俺とかが小説を書くスレ

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 この日も俺は、酒を飲みながら何か楽しいことを考えていた。考えることは昔のことばかり。
俺は、高校の頃のことを思い出した。

 高校の同じクラスに「陽子」という生徒がいた。陽気の陽に子供の子。
しかし全く陰気な生徒だった。容姿は悪くない。スラッとした長身痩躯に長い髪。
白い肌に顔立ちのよい細くて高い鼻。長い睫毛。そしてその下には、
「我関せず」と言いたげな、物憂げな瞳。
 彼女はこの「我関せず」の瞳でクラスを見、「我関せず」の態度でいつも座っていた。
あまりおしゃべりをしているところを見たことはない。彼女のそういう態度からか、
同性からは嫌われ、また彼女のその容姿から、異性から好かれるタイプであった。
 彼女の態度はいつも同じで、媚びず、馴染まず、荒立てず。朝早く一人で学校に来て、
そのまま座って授業を受け、一人で弁当を食べ、ホームルームが終わるとすぐに
教室からいなくなる。そんな風に3年間を過ごして卒業してしまった。
彼女について知ることは少ない。当時部員数が最小である文芸部に所属していたことと、
成績は良くも悪くもなかったことぐらいだ。