【俺達が】就寝前イメージランド〜第2章〜【主役】

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深田が俺の隣に立つ。
「この魔物は金属を喰らうゴールドイーターみたいですね」
「どうやら、こいつがこの子が言ってた墓盗人みたいだ」
俺はカエラに目を移した。穏やかに寝息を立てていて、一向に起きる気配はない。
「どうしよう…」
思案に明け暮れる俺。その手が握る紙包みに、平井が気付いた。
「あ、僕のブラックブラック烏賊。なるほど、それで眠気を妨げることができたんですね」
そうだ。これがあった。俺は眠っているカエラの口元にブラックブラック烏賊の足を近づけてみた。すると、
彼女は寝ながらにして、烏賊に噛み付いたではないか。どうやら寝ながら食べる性癖があるようだ。
「辛っ!」
効果覿面。怒涛の勢いで目覚めた。寝起きバッチリのカエラは、俺の側に落ちている緑の魔物を凝視した。
「これは…?」
「こいつが君の言ってた墓盗人だろうな」
俺は辺りに落ちている副葬品の一つを拾い上げて、彼女に突きつけた。
「ご、ごめんなさい!私の早とちりで」
カエラは自分の頭を軽く叩いた。
「ハハハ、いいよ。無事、魔物を退治できたんだし」
まだ叩いている。
「わかったわかった、もういいよ。勝手に庭に入り込んだ俺達にも非はあったんだ」
まだ叩いている…と言うより殴っている。次第に力がこもって来た。っつか、ゴンゴン音してる。って、
おい!出血してきたぞっ!!
「わああああ!マジ大丈夫だから!!天地神明に誓って、君は全面的に猫の額ほども悪くないから!!!」
「本当に?」
まだ少なからず自責の念に駆られている様子。
「ああ」
カエラは手を止めた。どうやら精神が不安定になると自傷する癖があるらしい。ひょっとするとメンヘル
少女なのだろうか。