1 :
1 ◆5nKXNraGc2 :
おで がんばる
とりあえず設定を風呂の中で考えてくる。ノープランだから。
2 :
Mr.名無しさん:05/03/09 20:19:02
檀ふみ
3 :
1 ◆5nKXNraGc2 :05/03/09 22:56:52
やっぱりベタな展開がいいと考えたんですよ。
ツンツン→事件→デレデレ
あとはキャラクターか。
4 :
Mr.名無しさん:05/03/10 14:23:46
5 :
Mr.名無しさん:05/03/10 14:25:21
書いてから来いよ
糞小説スレ乱立させんな
7 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:17:54
まあ書いてみれ。
つーか俺はお嬢様ツンデレと悪友ツンデレがストライク。
そんだけ。
8 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:21:52
ツンデレラ
9 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:38:58
僕は丸出毒男。現在近所の毒々高校に通っているが、クラスでも目立たない存在だ。
自分で言うのもなんだが、気が弱く、あまり前には出れないタイプだと思う。
たまに同じ趣味の友達と話をしてると嫌な目で見られることが多い。
そんなわけだから、クラスでも一人寝てたり、本を読んでることがマイライフである・・・。
ふと僕は楽しく騒いでるグループを見る。その中心にいる女子を僕は見続けた。
「突出 玲(つんで れい)」
小学校時からの同級生である。
10 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:42:00
とりあえず文章力はなさそうだな
11 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:43:01
奇面組みたいな名前は要らないから
やり直し
12 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:47:11
おいおいもう終わりか?多少は期待してるんだからもうちょっと頑張れ
13 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:47:38
彼女は絶えず周りに友達がいて、いつも楽しそうに雑談している。
明るく、勝気で、キツめながらも人に好かれる性格からか男子にも人気が高い。
(玲はすごいな・・・皆に人気があって・・・あっ、男を平気で蹴ったりしてるよ・・・・・・)
しばし僕は玲らしい行動に目を向けていた。 すると、
女「あ、ねえねえ、毒男の奴こっち見てるよwww」
男「え?うそw」
グループの皆がこっちを向く。僕は慌てて顔を正面の法に向けた。
グループが爆笑する声が聞こえる。僕は顔を真っ赤にしていた、と思う。
そっと目を戻すと、玲と目が合った。
グループはまだこっちを見ていて、再び爆笑した。
玲は笑ってはおらず、ただ冷たい表情だった。
14 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:53:31
女「あいつ何?チョ→ウケルんだけどww」
男「わかんねwww」
嘲笑の嵐の中、中の良い友達が寄ってきて、
「どしたのアイツラ?気にすること無いよ。ああいうDQNとは違うんだからさ」
彼なりの優しい言葉に少しジーンと来たりしていた。
男「おw 徒党組みだしたw こえー!」
女「こないだずっとマニアックな話してたよw」
友人と話しながらも少しは聞こえてくる悪口。
しかし僕は気にせず友人と話し続けた。
15 :
Mr.名無しさん:05/03/10 16:58:45
ツンデレがなんなのか理解していないことが分かった
16 :
Mr.名無しさん:05/03/10 17:05:19
「小学校の時からあんな感じだったよ」
他の奴らのとは違い、その言葉だけはやけに僕の頭に、そして心に、大きく響いた。
それを言ったのはもちろん・・・玲だ。
女「マジで?w おもしれーw」
一同は笑いっぱなしだ。 友人は気にせず
「・・・いやあの話はかなりグッとこなかった?僕もうずっとハァハァしてたんだけどw」
と、僕ら共通の話をし続けた。 僕はハッとし、
「あ、うん、そうかも・・・」
と意識を切り替えようとした。 しかし、
玲「昔とかもずっと図書館に篭っててさ、ずーっと本読んでるの。」
再び玲の声が聞こえてくる。冷たく、厳しい口調だ。
「・・・・・・でね・・・キュアキュアで・・・MAXハート・・・」
友人の声が聞こえなくなってくる。情けない話を続けられてても、
僕は玲の声だけに意識を取られていた。
17 :
Mr.名無しさん:05/03/10 17:17:01
玲「あいつ眼鏡掛けてるでしょ。あれ本の読みすぎでなったんだから」
グループ「アイツらしーw」
僕は恥ずかしさを感じながらも、小学校の時を思い出していた。
漫画はもちろんのこと、虫図鑑や偉人伝などがある学校の図書室は
僕にとっては何よりも心魅かれるものだった。
そんな僕を外で遊ぶ方が好きなクラスメイトは
「もやしっ子」
などと呼んで、今と変わらず馬鹿にされていた。 でも・・・。
女「でも玲、チョ→詳しくない?」
男「好きだったの?うほwww」
女「うはwwwwww」
僕はなぜか胸がバクバクいっていた。玲の方を見る。
玲「違うからwww 一応同級生だからw」
笑いながら否定する玲。
女「ところでさー、次の数学の課題やったー?
男「うわ、やべ」
さっきまでの僕の話など無かったかの様に話題が変わった。
僕は数学の教科書とノートを出しながら、再び思い出に更けた。
図書館でひたすら本を読む僕を庇ってくれた女子がいた。
今からは想像出来ないかもしれないが、それは玲だった。
一緒になって本を読んでくれた頃の玲は、本の受け売りの話を熱心に聞いてくれたのだ。
(今じゃあんなにキツくなっちゃったけど・・・僕は・・・僕は・・・・・・)
?「丸出ぇ!!」
急に苗字を呼ばれ、僕は現在に引き戻された。
数学教師が眼鏡を擦りながらこっちを見ている」
(あ、いけね・・・)
「は、はい・・・」
出席を取っていたのか。全然気づかなかった。
教師「はい、次・・・」
先程の連中が声を小さくしながらも笑う。
僕は外を見る。窓からは青空が見える。外はいい天気だ。
(早く終わらないかな・・・学校生活・・・)
そう思いながらも、僕は玲と離れることを考えると、少し悲しくなった。
一日の授業が終わり、清掃を終えると僕は図書室に向かう。
別に委員とかな訳ではない。本を借りにいくのだ。
図書室に入り、図書委員に借りていた本を返却する。
「京極夏彦、好きだねーw」
俯いて入っていったせいか、返却口にいるのが顔なじみの図書委員だと気づかなかった。
図書委員「もうこの図書室にあるシリーズは全部読んだんじゃない?」
毒男「うん、そうかも・・・」
図書委員の「本尾 詠(ほんお えい」 クラスは違うが、よく本を借りに来る内に
互いの趣味を話す様になり、仲が良くなった。 あまり緊張しないで話せる、
数少ない女子の友達である。
21 :
Mr.名無しさん:05/03/10 17:57:18
あれれ?意外と面白い?続きキボンヌ。
つうかツンデレがイマイチよくわからん。
漫画のキャラで説明してくれ。
22 :
Mr.名無しさん:05/03/10 18:04:57
毒男「でも、妖怪とか好きだから・・・また繰り返し読むかも」
本尾さんは笑わず、
本尾「いいと思う。好きなのは何回でも読むよねw」
本を片付けながら笑う本尾さんを見て、
(いい人だな・・・)
とか思っていた。
僕の悪いくせなのか、考えごとをするとしばしボーッとしてしまうみたいで、
固まっている僕を見て、本尾さんは
「・・・どうしたの?」
と声を掛けてきた。 僕は自分の考えていたことを聞かれた様な気がして
焦ってしまい、顔が真っ赤になった。
毒男「なんでもない、なんでもない。 じゃ、じゃあ」
僕は大好きな文庫コーナーに逃げた。すごく不自然な去り方だな、と思った。
チラリと本尾さんを見ると、まだこちらを見ていた。
僕はなんとか笑って、軽く会釈をした。本尾さんもそれに応じ、軽く手を振った。
(変に意識してしまった・・・。気をつけよう・・・)
僕は棚に並んだ本に目を通し、次は何を借りようか考えていた。
気に入った本は買ってしまう方だが、自分の乱読を知っているために
なるべくは借りて読む様にしている。
僕は本を数冊取り、本尾さんの所へ向かった。
(変に意識しないように・・・変に意識しないように・・・)
機械で本のバーコードを読み取り、本が渡される。その時、
本尾「もうすぐ夏休みで、多く借りられるようになるからね」
(そうか、夏休みか・・・何しよう・・・)
毒男「うん、わかったよ。多分本当に多く借りるよw」
そう言ってそそくさと帰ろうとする僕。やはり面と向かって女の子と話すのは恥ずかしい。
本尾さんに背を向けようとすると、本尾さんは
「ちょっと待って」
と、声を上げた。 僕は振り返り、どうかした?と訊ねた。
本尾「もう少しで閉館時間だから・・・待ってくれたりしない・・・?」
僕は、なんというか、その、あまりモテない部類なため、これはかなり焦った。
毒男「あ、うん、僕で良かったら・・・いやその」
ゴニョゴニョ言って俯く僕。 そんな僕に触発されてか、本尾さんもかなり顔を赤くしていた。
少し気まずい沈黙の後、僕は裏返った声で
「じゃ、ちょっと待ってるよ」
と言った。恥ずかしくて本尾さんの方を見れなかった。
僕は適当な椅子に座り、借りたばかりの本を読んで待つことにした。
・・・全然内容が頭に入ってこない。
いつもの本を持った時の落ち着きが出てこない。
手足を妙にバタバタさせてしまう。
ちらりと本尾さんを見る。
偶然にも本尾さんと目が合う。 びっくりしたのか、本尾さんは視線を時計に逸らした。
そして時刻を確認すると、ひたすら下を見ている。
僕とは少し違い、ガッチガチに固まってる感じである。
確か閉館時間は午後6時。あと5分で時間となるんだが・・・・・・馬鹿に長く感じる。
(あと4分・・・)
(あと3分・・・)
(あと2分・・・)
(あと1分・・・・・・く、苦しい・・・!)
ストガン厨房?
チャイムが鳴る。顔を上げる僕と本尾さん。ふと手を見ると汗を掻いている。
(手に汗握る展開だ・・・)
と、くだらない考えが頭に浮かぶ。そうだ、これを帰りに本尾さんに言ってみよう。
笑ってくれるかな・・・。
本尾さんはコートを着て帰る用意を完了させていた。目を合わせ、少し笑う。
じゃあ、帰ろうか。
そう言おうとした瞬間、図書室の戸が開いた。
入ってきたのは苦手な女子2人・・・・・・と、玲だった。
玲と目が合う。固まる僕と本尾さんを一瞥し、何かを理解したかの様に
僕から視線を外した。僕
は一瞬にして汗が引いた気がした。・・・なぜかはわからないが。
女1「ほら言ったっしょ?まだやってるって!」
女2「いや自慢する程じゃないからwww」
(うるさいよお前ら!)
本尾「す、すいません、もう閉館時間なんですけど・・・」
聞こえてるのかシカトしているのか。女A、Bは気にせず、
「えーどれー?無くなーい?」
「あるって!絶対!ねー、玲?」
とか言っている。
呼ばれた玲が
「そっちじゃない?」と言って、僕と本尾さんの間を通り過ぎて行った。
まるで僕らの存在など紙よりも軽い物だと言ってるようだった・・・。
どうやら彼女らは参考書か何かを探しているようだ。
雑談しながら探す彼女らをジーッと見つめていると、横から深い溜め息が聞こえた。
本尾「帰る時間、遅くなっちゃうね・・・」
こう言った迷惑な連中は多い、ということは前に聞いていた。しかし、
その言葉には明らかに悲しさが見えていた。
(ここは・・・僕が強く言う場面なのか・・・な?)
僕は今までありもしなかった「男らしさ」が、ムクムクと起き上がってきた!
30 :
Mr.名無しさん:05/03/10 19:18:01
とりあえずあらすじを2行にまとめろ
話はそれからだ
毒男「も、もう、閉館時間ですよ!」
自分なりに、強く、大きい声を出したつもりだった。
しかし女子たちは全く驚いてる様子も無く、
「あ、いたんだ」
的な表情を向けてる。 すると女子Aが何かに気づいた表情をし、
A「毒男に聞けばよくない?こいつ数学出来るでしょ」
B「あー。こいつ今日も宿題やってたしねー」
よくわからないが、僕はかなり「しまった」と思った。まさかこっちに向かってくるとは。
A「ね−毒男?数学のテキスト集ってどこにあんの?参考書とか」
毒男「え?えっと・・・参考書なら確か奥の棚の方だったよ」
B「答えもついてる?」
毒男「わ、わかんない・・・」
そう僕が言うと女子A、Bは疾風のように奥に消えていった。
僕は、なんなんだ・・・と思っていると、玲がこっちを見ていることに気づく。
毒男「な、なに・・・?」
そう聞こうとする前に玲はA、Bのいる奥に消えていった。
(なんか言ってくれてもいいだろ・・・)
ショボンとしていると、横から本尾さんが声を掛けてくる。
「ごめんね、私の仕事なのに」
そう言いながら本尾さんはジッと僕の目を見る。感謝の意がひしひしと伝わる。
毒男「あ・・・」
かなり心が揺れた。玲の存在ですっかり忘れていたが、
僕は今、本尾さんと一緒にいるんだ。 そう思うと再び胸が熱くなってくる。
「いや、別に・・・」
そう言い掛けると奥から声が上がる。
A「これじゃーん!?」
B「あーそうかもー!!」
僕らの良い雰囲気は一瞬にして壊れた気がする。
奥から玲たちが出てくる。本尾さんが貸し出しコーナーに向かおうとする。
しかしなんと、女子たちは真っ先にこちらに向かってきた。
女子A「ねー毒男!」
僕の返事を待たず彼女らは話を畳み掛けてくる。
A「これ読んだら数学の課題余裕?」
僕は え? と思い、彼女らの持ってるテキストを見た。
B「どう!ねえ!」
僕は理解した。今日数学では多目の課題が出てたのだ。それを解く為のテキストを探して
いたのか・・・。 僕はテキストを受け取り、問題を見た。
今日出た課題と同じ物もあるし、答えもついてる。
毒男「うん、問題同じやつなら丸写しできると思うよ」
そう僕が言うと女A、Bは僕からテキストを奪い取り、
「じゃあコレ借りてくから」
と言って、外に出ようとした。
「あ、ちょっと!!!」
声が響いた。
僕と本尾さん・・・・・・そして、僕の耳には確かに、玲も言ったように聞こえた。
僕は「え?」と思った。玲の方を振り返りたかった。
しかし扉の前にいた女子A、Bがこっちに戻ってきて、
「うっさいから!」
「何なのよ!!」
ぎゃあぎゃあ喚く女子2人に僕は否が応にもこっちを相手にしなきゃいけなくなった。
毒男「い、いや、あっちのカウンターでちゃんと受け付けてもらわなきゃ・・・」
僕がそう言うと、
女子A「ハァ?そんなのいいから。時間無いんだってウチら!」
女子B「明日すぐ返すし!いいじゃん毒男!」
毒男「だ、だめだよ・・・」
僕はかなり押され気味である。本尾さんも加勢しようと僕の横に来たが、
タイプの違う女子の為か、僕と同じく、弱気である。
「いいじゃん別に」
玲が女子2人に加勢する。
僕はさらに狼狽した。確かにさっきは女子2人を制止してくれたと思ったのに・・・。
玲「明日返すって言ってるんだからさ。」
A「そーそー」
玲「それに毒男の横にいる子、図書の係の子なんでしょ?憶えておいてよ」
B「そーそー!行こ行こ!」
そのまま僕らを振り切り、玲たちは本当に図書館を出ていってしまった。
僕と本尾さんは、開けっぱなしの戸の前で立ち尽くしていた。
この話、なんかデジャブを感じるんだが・・・。
なんか微妙に思い出してきた・・・。
前はこれ、会社員がカラオケ行ったりする話じゃなかったか?
帰り道、僕と本尾さんはひたすら黙って歩いていた・・・。
結局玲たちが帰った後僕らも図書室を後にしたのだが、外はすでに暗くなっていた。
暗がりを沈んだ気持ちで歩いていると、僕は情けない気持ちで一杯になってきた。
たまらず僕は立ち止まり、本尾さんに頭を下げた。
毒男「ごめんなさい!本尾さん!!」
突然の僕の謝罪に、本尾さんはビクッとしていた。
毒男「あ、ごめん、驚かせて・・・」
本尾さんは首を振り、急にどうしたの?と優しく言った。
毒男「いや、その、ウチのクラスの人があんな事して・・・」
本尾「そんなの、毒男君が謝ることじゃないでしょ?図書委員の私がしっかりしなきゃ
いけなかったのに・・・」
落ち込む本尾さんを見て僕は思わず、
「そんなことない!男の僕がしっかり言うべきだったんだ!」
人気の無い通り道に僕の声が響く。思わず声を荒げてしまい、僕は顔を赤くした。
毒男「あ・・・ごめん、つい・・・」
そーっと顔を上げ、本尾さんを見る。すると、なんと本尾さんは泣いてしまっていた。
>>38 仕事から帰ってきて覗いてみたらこんなに話が進んでいて驚きましたw
次に俺も書き込みますので、おたがいにのんびりがんばりましょうー。
ちょっと待て。
俺は上の小説は、てっきり1が書いてるもんだと思ってたんだが。
1の小説はまだ始まってもいなかったのかよw
僕は頭がパニックになり、どうしたものか考えていた。
というより、硬直していました、と言う方が正しかった。
すると本尾さんは涙を拭き、
「ありがとう・・・・・・毒男君」
と僕に言った。
嬉しくて泣いたのだ、と彼女は言った。
それを聞き、僕もまた嬉しくてしょうがなかった。
その後は2人の会話も弾み、何事もなく家路に着き、今こうしてしみじみと思い出している。
「本尾さん・・・可愛かったな・・・」
思わず呟いた後、一人でニヤニヤとしてしまった。
日頃友人と「フラグを立てればOK」なんて馬鹿な会話をしていたが、
(もしかして・・・フラグ立ったのかな・・・)
なんてことを考え、またしてもニヤニヤした。
42 :
1 ◆5nKXNraGc2 :05/03/10 22:58:59
>>40 そうっす。のんびりやってますw
とりあえず大体の設定だけ考えたので、見切り発車で行こうかなと。
>>39 どうも1さんはじめましてw なんかスレ上がってたので、暇に任せて書いてます。
どうもスレ消費してすんませんw
44 :
Mr.名無しさん:05/03/10 23:03:42
パンツ姫小説バージョン
>>43 いえいえいえ、どうせdat落ちるのなら、スレはぱーっと使っちまいましょう!w
逆に流れを切ってすんません。
46 :
Mr.名無しさん:05/03/11 00:39:05
「いいからさっさと続きを書け。」
そういって
>>1をせっつくのは泣く子も黙る鬼編集長、響鬼であった。
「今夜中に続きを書かないとどうなるか・・・わかってるな?」
ガパァァ・・・
響鬼編集長の普段は閉まりっぱなしの口がゆっくりと開きつつある。
(!マズイッ!)
身の危険を感じた
>>1は慌てて机に向かうのであった。
47 :
Mr.名無しさん:05/03/11 01:03:51
最近の萌えツンデレキャラは砕蜂
(あ・・・そうだ・・・)
僕は椅子から立ち上がり、本棚へと向かった。
おこづかい等殆どを遣ってきたせいか、本棚にはびっしり本が入っており、
僕の部屋の壁は本棚で隠されている。 もし崩れたら・・・考えるのも恐ろしい。
僕は本棚から数冊の本を取り出した。
これは明日、本尾さんに貸す本だ。今日の別れ際、本尾さんがまだ読んでいない本を
僕が持っている事を教えると、本尾さんは目を輝かせ、貸して欲しいと頼み込んだ。
僕は嬉しかった。
何が嬉しいかって本の話題を共有出来る友人が出来たんだもの。
しかも女の子・・・・・・うっひょう!
こんなの・・・
こんなのは・・・小学校以来・・・・・・になるのかな。
僕は逆側の壁の本棚に向かい、隅にあるあまり読まない本を多く詰めた棚に手を伸ばした。
そこから僕は、小学校の時の卒業アルバムを取り出した。
ページを捲り、多くの知った顔の中から僕はある顔を捜す。
「あった・・・」
僕の目線はただ一点、小学校の時の玲を見ていた。
小学生らしい満面の笑顔でこちらを見ている。小学校の頃から綺麗だったんだよな・・・。
あの頃、クラスの男子は玲に構ってもらいたくて様々なことをしていた。
それを女子は面白くなく感じていたんだろうが、玲は気にせず、誰とでもよく話していた。
大人しい僕が珍しかったのか、そんな玲は僕によく話しかけてきた。
男子たちはそんな僕を疎ましく思い、彼らの中にはあまり入らせてもらえなかった。
彼らはよく外で遊んでいたため、自然に僕は教室の中に籠もる様になり、
次第に図書室を利用するようになっていった。
そこには・・・玲も一緒だった。
昼休み、誰も居ない図書室。一つの本を、玲と一緒に見る。
それが僕らの秘密の空間だった。
まだ「異性」というものをあまり意識してなかったせいもあってか、僕は情けない話、
今よりずっと玲と堂々と話していた気がする。
毒男「この昆虫が・・・で・・・これが・・・・・・」
拙い説明ながらも、玲は力一杯頷き、僕の話を夢中に聞いていた。
それが嬉しく僕は本を何冊も読んだ。不純な動機だったが、おかげで勉強は苦では
なかった。 その内に眼鏡を掛けるようになり、僕はもやしっ子としてますます苛められた。
(・・・まぁ、眼鏡を掛けるようになったのにも、不純な動機が隠れていたのだが・・・)
でも、そんな時に玲は先だって庇ってくれた。
玲「毒男はあんた達よりもずっと頭良いんだからね!少しは毒男と話してみなよ!!」
僕は嬉しかった。 どんなに泣かされても平気だった。 玲が居てくれたから・・・。
もう玲は憶えていないだろうが、僕は玲に約束した。
毒男「大きくなったら、僕が護る方になるからね」
51 :
Mr.名無しさん:05/03/11 05:21:32
「何言ってんだお前?」
僕は首が180度回るくらいの勢い後ろを向いた。
後ろに父さんが立っていた。
僕は今日一番の顔の赤さだったと思われる。必死に取り繕い、
毒男「なん・・・声掛けてから入ってよ!!」
と、必死な声を出した。
僕の必死な声は誰にも伝わらないのか父は平然と、
父「何回戸を叩いて呼んだと思ってる。もう飯だぞ」
と言った。
全然気づかなかった・・・。僕は自分に浸る癖にまた深く反省をした。しかもどうやら
先ほどの恥ずかしい台詞を声に出していたらしい。
毒男「わかったから、わかったから。今行くよ!」
アルバムを棚に戻し、僕は父が部屋から出るのを待った。恥ずかしすぎて
父の顔など見れなかった。
ドアが閉まる音がし、僕は溜め息をついた。
(こんな情けない僕が、あんなこと言えたんだよなぁ・・・)
僕は少し泣きそうになったが、鼻をすすって咳払いをし、憂鬱ながらも居間に向かった。
>>46 あの、編集長。お言葉ですが俺、書いてないしw 書きためてはいますけど。ベタなやつを。
送迎会はめんどくせえなあ、と思いつつ仕事に出かけてきます。玲の過去にムネキュン。
53 :
Mr.名無しさん:05/03/11 16:41:05
おお、いい仕事。
文章なんてものは何度か書いてればこなれてくるから。
あとは自分の表現したい事を洗練させていったほうがいいと思います。
ガンガレ。
54 :
Mr.名無しさん:05/03/11 16:43:12
毒男とは趣味があうな
今「塗仏の宴」読んでるところだ
晩御飯を食べている間も僕は昔を思い出し続けていた。
中学校に入った始めも僕と玲はよく一緒に帰ったりしていた。
だけどその頃からか、僕は綺麗な玲と居ることが妙に恥ずかしくなり、
だんだんと話す機会が少なくなっていった。
1ヶ月もしない内に玲は中学校でも馴染んでいき、小学校の時とは比べられない位の
男子が群がるようになっていき、下校時も彼らと一緒に帰るようになっていった。
一方僕はというと、いつまで経ってもそんなクラスに馴染めず、小学校の時よりも
暗くなっていった。 クラスの男子も常に本を話さない僕をからかい、それを愛想笑いで逃げる毎日・・・。
そんな僕に玲も付き合いきれなくなったのか、
会話することなどは中学校3年間、ほぼ皆無に近かった。
そして今、高校1年になった今でもそれは変わらないままだ・・・。
翌朝、僕は自分の机から玲たちのグループを見ていた。
あいかわらず騒がしく、特に変わった点もない。
昨日一晩中玲のことを考えていたせいか、玲が気になってしょうがない。
あまり見ているとまた昨日の様に話しかけられそうなのですぐに僕は見るのをやめ、
鞄の中に入れていた、本尾さんに貸す本を取り出し読むことにした。
(・・・本尾さん、喜ぶかな・・・感謝されたりして・・・今日も楽しく帰れちゃったりして・・・・・・)
だらしない笑いがこみ上げてくるのを必死に抑えた。
しかし抑えても抑えても口元がニヤけてしまう。端から見れば不気味であろう。
僕はハッと、昨日の父に恥ずかしいことを聞かれた失敗を思い出し、さりげなく周りを見渡した。
(誰にも見られてないよね・・・)
周りを見回す。寝ている友人、誰もいない隣の席、玲たちのグループ・・・・・・
それは一瞬のことだったが玲と目が合った。
玲はすぐに向こうを向き、横にいる女子に声を掛けた。
僕は、(玲に見られてたのか・・・)という恥ずかしさでたまらなく凹み、
なんで玲がこっちを見ていたのかなんて考えられなかった。
3時間目は数学だった。
教師は昨日出した課題の確認から始め、クラスの数人が解答を聞かれていた。
その中には昨日図書室にいた女子A、Bも居た。テキスト効果だろうか、彼女らはスラスラと答えを
言い、教師から珍しがられた。
(この授業が終わったら返しに来てくれるかな・・・)
僕はそう思っていた。
チャイムが鳴り、ザワザワと教室が騒がしくなる。僕は玲たちがいつも集まる
クラスの中心の方を見た。 変わらず女子A、Bたちは玲を誘い、雑談を繰り広げようとしている。
(あ、あれ?)
僕は不安になった。いつになったら返しに来るんだろう・・・。
律儀に図書室まで持って行くのだろうか?昨日あんだけ無作法だったのに・・・。
色々考えていると、友人が僕の机にやってきた。
友人「ねえねえ、昨日のアレ観た?最高じゃなかった?ねえねえ」
毒男「う、うん・・・」
友人は僕の様子などお構いなしに話を続けていたが、僕の耳に彼の話はあまり届かなかった。
どんどん不安になってくる。
(返して・・・返してもらわなきゃ・・・)
友人「・・・・・・だからさ。・・・ねえ?」
毒男「ああ・・・うん・・・」
友人「おい、聞いてる?」
毒男「ああ・・・うん・・・」
友人は、そっか、と言い、自分の席に戻っていった。
正直テキストの心配で話などロクに聞けない。
心配をよそに、時間はあっという間に過ぎ、下校時間となった。
僕は鞄に物を詰め、帰り支度をした。チラリと玲たちを見る。掃除中の男子を交え、
楽しそうに笑って話をしている。
(・・・多分、図書室に来てくれるよ・・・・・・そうだよ、玲だって居るんだし・・・)
僕は自分に言い聞かせ、ひとまず図書室に向かうことにした。
しかし教室から出てちょっと歩いたところで、誰かに背中を叩かれた。
振り返ると、肩で息する友人がムッとした顔で立っていた。
毒男「え・・・どうかした・・・?」
僕の言ったことに友人は大きく「ハァ?」と言った。
友人「今日一緒に帰ろうぜ!って言ったじゃん!」
僕はしばし考え、ハッとした。
(休み時間、適当に返事してた時のことかな・・・)
友人「言ったじゃん!!じゃんじゃん!」
しつこく攻め立てる友人に対し、僕はしどろもどろになりながらも、
「ご、ごめん・・・今日はちょっと・・・」
と答えた。 その返事に納得のいかない友人は、
「さっきはイイって言ったじゃん!ねえ!」
と、更にしつこくなった。 ああもう、どうしよう・・・!
毒男「とにかく、ちょっと今日は無理っぽいんだ。ほんと、ごめん」
投げやりにそう言い、友人を振り切るように僕は歩き出した。
友人「ちょ、ちょっと待ってよ!」
早足で逃げようとする僕の後を友人はついてくる。廊下を駆け、急いで階段を降りようとする。
すると階段の中腹くらいで、僕はまた誰かに話し掛けられた。
「あの、毒男君・・・?」
横を振り向くとそこには本尾さんが笑って立っていた。ちょうど図書室へ向かうところだったのだろう。
毒男「あ、ほ、本尾さん・・・」
少し息を切らせていた僕を見て本尾さんは、
「どうしたの?」
と訊ねてきた。 僕は息を整え、返事をしようとした時、後ろから友人がやって来た。
友人「なんで先に行っちゃうんだよ〜」
かなり息を切らせている友人は先程の元気もしつこさも無く、おとなしく話を聞いてくれそうだった。
毒男「ごめん。今日はその・・・ちょっと、用事があるんだ」
そう言うと友人は額の汗を拭き、
「えぇ!今日新刊出るんだよ!?一緒に買いに行こう、って言ったじゃん!」
と、切ないのか苦しいのか微妙な表情で僕に訴えた。
僕は大変申し訳ない気分になった。「ごめんね」と言おうとすると僕の言葉を遮るように再び喋り出し、
「何の用事あるのさ!行こうよ!」と言ってきた。困り果てた僕は、後ろに居る本尾さんの方を
チラリと見た。何が起こっているかわからない顔をしている。
友人「俺一人で寂しいんだよぉ〜!ねえ〜!だから何の用事が・・・」
彼は急に喋るのを止めた。僕の後ろに居る本尾さんの存在に気がついたのだ。
友人「あ・・・・・・もしかして・・・」
僕はその一言に焦ってしまった。変な勘違いをされてしまったら本尾さんに迷惑がかかってしまう!
毒男「いや、違うよ、その・・・変なことじゃ・・・」
僕のたどたどしいフォローを見て、彼は絶望と形容するに相応しい表情を浮かべた。
毒男「あの、その・・・」
友人は「いや、わかったよ・・・」と肩を落とし、じゃあね、と呟いて階段を降りていった。
(・・・本当に、ごめん!)
僕は心の中で深々と頭を下げた。
本尾さんは成り行きをポカンと見ているだけだった。だが、友人の凹みっぷりに心配したのか、
「ね。その、良かったの?」
と聞いてきた。彼には悪いと思ったが僕は、
「ああ、うん、大丈夫だよ」
と言って階段を降り始めた。僕が動くのに合わせて、本尾さんも降り始める。
そうだよ。今日は正直言って本屋に行ってる暇などないのだから。
歩き始めた本尾さんに僕は、
「今日も図書の当番なんだよね?」と話しかけた。 本尾さんは笑って「うん」と言った。
「僕も今、図書室に向かうところだったんだ」
そう言うと、先程まで笑顔だった本尾さんの表情が固くなってしまった。
(まさか、まだ本が返ってきてないことがわかっちゃったのか・・・!?)
何て言おうとしているかオロオロしていると、本尾さんは俯きながら、口を開いた。
「もしかして、図書館に来てくれるから友達との約束、断ったの?」
本尾さんはそう言って言葉を続けた。
「いいの?仲悪くなっちゃったり・・・しない?」
僕はここでやっと、本尾さんが僕と友人の関係の事を気遣ってくれていることに気がついたのだ。
「あ・・・!全然、全然大丈夫!」
僕の言葉に本尾さんは顔を上げ、僕の方を見た。 僕は気づかれたんじゃないかという焦りと
本尾さんへのフォローで混乱してしまい、思わず
「僕にはこっちの用事の方が全然大事だったし!」
と口走ってしまった。
言った後、鼻からフン!と息を出し、落ち着こうとした後、僕は自分がとんでもない発言をして
しまったんじゃないか? ということに気がついた。
本尾さんの方を見てみる。
本尾さんはまた顔を俯かせていた、しかしさっきとは比にならないくらい顔を真っ赤にしていた。
・・・とりあえず僕も顔を赤くした・・・。
沈黙したまま数歩行ったところで、本尾さんは言った。
「・・・ありがとう・・・」
小さい声で聞き取り辛かったが、確かに聞こえたその発言に、僕の心臓は廊下中に響き渡るのでは
ないかと錯覚してしまう位激しく脈を打った。 急に喉が渇いてきた・・・。
毒男「いや・・・その・・・あの・・・・・・」
言葉を続けたかったが、声にならなかった。それでも、「なにか言わなきゃ、何か・・・」と、
酸欠気味の僕の脳が必死に回転する。
しかし先に声を出したのは本尾さんの方だった。
「・・・意味・・・」
思わぬ不意打ちに、僕は返事出来なかった。
が、本尾さんは下を向いたまま、かまわず言葉を続けた。
「・・・大事の・・・大事の・・・・・・」
熱でも出てるんじゃないかという位頬を染めた顔で、本尾さんは必死に続きを言おうとした。
僕の心臓が通常の3倍の速さで波打つ・・・!!
「・・・・・・大事の・・・意味を聞いても・・・いい?」
こ、これはもしかして・・・
僕は今・・・
告白のタイミングに立っているの・・・?
急展開(゚∀゚)
「ぼぉ・・・・・・ぼぉくはぁ・・・・・・」
頭から湯気が出てるんじゃないかと思うくらいフラフラしながらなんとか話そうとする。
(いけ・・・!本尾さん待ってるぞ!・・・・・・いや、いっていいの・・・!?)
ゆっくりと本尾さんの方を向く。本尾さんも僕の方を見つめ、足を止めた。
「ぼぉ・・・ぼくはぁ・・・・・・僕は・・・・・・!!!」
『ピリリリリリリリリリリリリリリリ』
僕と本尾さんは飛び上がるように驚いた。全く同じリアクションだった。
マナーモードにするのを忘れていた僕の携帯にメールが届いた音だった。
(なんてタイミングで来てくれるんだよ、もう・・・!)
本尾さんを見ると、ひたすら深呼吸をしている。
僕も溜め息まじりで息を吐く。
メールの内容はこうだった。
『この、裏切り者めぇぇぇぇぇぇぇ ('A`)』
・・・先に帰った友人からだ。・・・・・・ひどいよ。
大きく溜め息をついた所で、本尾さんは「あ・・・」と声を上げた。
僕は咄嗟にどうしたの?!と過剰なリアクションを取ってしまった。
「着いちゃった・・・」
そう言った本尾さんの目線に合わせると、そこには「図書室」の文字が燦然と輝いていた。
図書室には鍵を預かる国語の先生が居た。というか常に居る存在の筈なのだ。
この先生、職員室にはあまり居なく、ここの奥で貸し出し本のデータなどを見ていたりするのだが、どうもご年配な為か、
よく生徒に任せてどこかへ行ったり、鍵を掛け忘れて帰ったりすることもしょっちゅう・・・らしい。
先日居なかったのもそのせいだろう。居てくれてさえいればあんなことも起きなかっただろうに・・・。
本尾さんはコートを脱ぎ、カウンターの椅子に腰を掛け、図書の仕事に手をかけた。
僕は落ち着き無いままうろつき・・・カウンターに近い机の席に座った。
正直、さっきの会話の続きがしたかった。しかし、先生は奥に居ると言っても、人が居ることは確かなことだ。
断念せざるをえない。僕と本尾さんは気まずい雰囲気のままだった。
(なんか言わなきゃ・・・・・・あ、そうだ)
僕は鞄から本を取り出し、ノートに何か書いている本尾さんを小声で呼んだ。本尾さんは顔を上げ、何?という顔をした。
「これ・・・」
そう言って僕は本尾さんが読みたがっていた本を渡そうとした。すると本尾さんは思わず、
「あぁ!ありがとう!!」
と、声を上げた。だが言った後に自分の声の大きさに顔を赤らめていた。僕はそんな本尾さんを見て、少し笑ってしまった。
本尾さんは恥ずかしそうに、今度は声を抑え、
「ほんとありがとう。これ・・・図書室にも、街の図書館にも無かったから」
と言い、大事そうに本を抱えた。僕は嬉しくなった。
やはり自分の持っている本を貸して喜ばれるというのは、同じ読書家としては嬉しいものだ。
「しばらく借りてもいい?」
「うん、もちろん。返すのはいつでもいいから」
(良かった・・・気まずい雰囲気から一転普通に会話出来るまでに戻ったぞ・・・)
そう思っていると、
「毒男くん・・・?」
と話しかけられた。いけない、もしかしてまた顔がニヤけてたかな・・・?と思い、口元を隠しながら
「な、なに?」と返事した。すると本尾さんは少し下を向き、
「携帯、持ってるよね」
と僕に言った。 はい、さっき鳴ったのは確かに僕の携帯です、と思いながら、「うん」と返事をした。
すると本尾さんはノートを僕の前に出した。そこには英数字が並んでおり、「?」と思っていると、
「これ・・・あたしのメールアドレス」
(・・・え!)
「良かったら毒男君のアドレス、教えてくれない・・・?」
僕は嬉しさのあまり、魂が飛んでいきそうだった。てっきり仕事しているかと思ったら、メアドを書いていてくれてたのか・・・!
携帯を親に持たされて以来、今日程この携帯の存在を感謝した日はない。
(ついに女の子のメアドが入るんだ・・・)
僕は泣きそうになるのを必死に我慢した。
70 :
Mr.名無しさん:05/03/12 05:56:11
僕と本尾さんの間にバラのアーチが掛かっているように思えてきた。2人の居る空間が桃色に・・・!
メアドを交換し、有頂天になっていた僕には、変な景色が見えていた。
しかし、僕はすぐに現実の世界へと戻された。
「・・・あの人たち、来ないね・・・」
僕の顔は青ざめた。そうだ、そもそも僕は、ちゃんと本が返ってくるか確かめに来たんだった。
「あの人たち、毒男君のクラスの人たちだよね?」
「うん、そう・・・なんだよね」
僕は弱々しく返事をした。
「今日、何か言ってなかった?」
本尾さんの悲痛な視線な僕に刺さる。
なんだかんだで、昨日のやり取りで最終的に玲たちを通してしまったのはこの僕だ。
親切に本の場所まで教えて。・・・僕が蒔いた種じゃないか、
僕に責任が掛かるのは当然なんだ。
「いや、その・・・ごめん、何も言ってなかったよ」
本尾さんは慌てて、「毒男君のせいじゃないよ!」と言った。
「とにかく、待っててみようよ。さっきまで教室に居たみたいだし・・・」
僕はそう言って椅子に座った。
(何やってんだよ・・・玲・・・・・・!)
一時間・・・二時間・・・三時間・・・・・・。 時計は無情にも、図書室利用の終了時間を指した。
71 :
Mr.名無しさん:05/03/12 09:14:36
おいおいいつになったらツンデレするんだ?
めんどくさくてツンデレなんてできっかよ
73 :
Mr.名無しさん:05/03/13 00:45:40
期待age
・・・結局その日、玲たちは図書室に来ることはなかった。
本尾さんは不安な表情を浮かべ「先生に相談しようか」と僕に言ってきたが、
さすがの僕にも男としてのプライドがある。
「大丈夫、今日はたまたまだよ」と本尾さんに言い聞かせた。
「でも・・・」と、本尾さんの表情は変わらなかった。
いけない。頼りにならない男子だと思われてるかも・・・。
僕はかなり無理した強がりと作り笑いで、
「明日教室で聞いてみるよ。大丈夫、僕だって男だから」と言ってみた。
男らしさがアピールできたかはわからないが、本尾さんは少しは安心してくれたのか、クスッと笑い、
「うん」
と言ってくれた。
そして僕らは一緒に帰り、今僕は何をしているかというと、
ベッドの上で頭に枕を押し付け、呻いているところだ。
(・・・真正面からあいつらに話しかけに行くのか・・・)
(しかも本を返せ、って僕が言うんだよな・・・)
(本を持ってきてなかったらどうしよう・・・)
(いや、クラスメイトなんだよ。何も怖がることは無いんだよ・・・)
(・・・正直、怖い・・・)
でも、本尾さんと約束したんだ。必ず返してもらうから、って。
・・・大丈夫、あっさり返ってくる。
きっと僕が明日休み時間にでも「こないだのテキスト返して」って言ったら
女子「あぁ忘れてた、ごめーん」とか言って、鞄の中、もしくは机の中に入れっぱなしになってる
テキストを渡してくれる。それを何事も無かったかのように返せばいいんだ。それだけなんだ。
僕は枕を放り投げ、強く息を吐いて気合を入れた。
(よし、気合だ!)
行動するのが一番。そう前向きに考え、僕は多少の自信を持った。
第一、考えてばかりだと沈む一方だ。僕は今日怒らせてしまったであろう友人にメールを送ることに
した。題名の欄に「今日はほんとごめん」と打ち、本文に移ろうとしたとき、メールが届いた。
(・・・本尾さんからだ!)
僕は眼鏡を持ち上げ、いつもの倍の大きさくらいに両目を開け、メールを開いた。
『今日は本ありがと。今読んでます。あの事だけど、無理しないでね。別にいつでもいいから。』
優しい言葉だ・・・ジーンと来た。
だけど、やっぱり心配させてるんだ。全然安心させられてないんだと思うと情けない気持ちになる。
しかしここまで言われて引け下がる訳にはいかない。本尾さんのことだ。この様子だと
自分に責任を感じて、同じ本を買って来て弁償してしまうかもしれない。
(が、頑張らなきゃ・・・!)
僕は返信内容に、
『大丈夫!心配しないでください。必ず返してもらうから。
だから安心して読書に勤しんでください(笑)』
と打ち、メールを送った。メールでは調子の良い事を言える自分が情けない。
しかし・・・本尾さんが今、本を読んでくれてるという事を想像すると、
嬉しさと一緒になぜか僕は妙に興奮してきた。僕ってやつは・・・。
携帯を持ってブラブラすること1分、本尾さんからメールが返ってきた。
『うん。(笑) 本、すごく面白いよー。ほんとありがとう。』
と返ってきた。ああ、こんな楽しいメールは初めてだ・・・。
僕と本尾さんはその後、本の内容について2、3通メールを交わした。
おかげでその日僕は、眠るまでずっとご機嫌で、友人にメールを送ることなどすっかり忘れて
しまっていた。
翌日、僕は携帯を握り締めて教室に入った。、
教室を見回す。まだ早い時間のせいか、玲たちは来ていなかった。
僕は自分の席に座り、彼女らが来るのを待った。
ドキドキする。どんどん不安になってくる。
落ち着くために僕は鞄から本を取り出した。これも本尾さんに貸そうと思って持った来た物だ。
僕の一押しの本で、きっと本尾さんも喜んでくれるに違いない。
そう思うと僕はニヤニヤし、少し元気になった。
戸が開く音。
僕は顔を上げ、目を見開いた。
・・・友人だった。彼はノシノシとこちらに歩いてきて、僕の方をジロリと見た。威圧感全開だ。
「き、昨日はごめん。メールも返せなくて・・・」
僕がそう言うと、彼はフン!と、鼻息で一蹴し、自分の席にノシノシ向かった。
謝りに行こうか考えてる最中、玲が一人で教室に入ってきた。
一瞬で体が硬直した。額から嫌な汗が滲んでくる。
玲の方を見る。席に座っている。綺麗な顔立ちのため、澄ました顔をしてる玲は
あまり話しかけてはいけないような雰囲気を出している。
(だ、だけど、玲一人なら・・・大丈夫だよ!)
僕は本を握りしめ、玲に近づいた。
78 :
Mr.名無しさん:05/03/13 19:23:26
いつツンデレ小説になるのか。
そして
>>1はどこに行ったかの件について。
期待age
79 :
Mr.名無しさん:05/03/13 19:41:53
つーかツンデレの萌えってなんだってとこから始めないとな。
まずツンツンしていないと。
脱線気味じゃないか?
>>78 書いてますよー。いろんなニーズに対応できるものを書きたいなと。
どーもエロゲみたいになってきましたが。
文章の書き方の本を見たりして勉強中です。
81 :
Mr.名無しさん:05/03/14 00:34:20
書いてるならさっさとうpしろよ
それじゃ仕事にいく前にうpします。
題名まだ考えてないけど。とりあえず一話。
第一話 とりあえず幼なじみ
寝ぼけまなこをこすりながら。
いまだ思考回路がうまくつながらないまま。
寝ぐせのついた髪の毛を蒸しタオルで直していて。
普通がいちばんいいんじゃないのかな?と俺は思うんだよ。
何事もほどほどに。だいたいに。
それなりの家族にぼちぼちの友達。なんともな容姿にさっぱりな運動神経。
のんべんだらりと学校生活。なんとなくな日常生活。
まあまあの高校、そこそこの大学、まずまずの会社に就職。
どっこいどっこいの彼女と付き合って、てきとうな年齢で結婚、出産、育児、教育。
きりきり定年まで働いてのんびり老後を楽しむ。
そんな風に生きれれば幸せなんじゃないのか?
うん、すげえ小市民な感じだな。
しゃこしゃこしゃこと歯をみがきながら、鏡で自分のぼけ面を見ながら。
まだ寝ぐせがうまく直らないまま(あきらめた)
朝っぱらから何を考えてんだろうか、と我にかえる。
まだ夢の世界にいるぞこの男は。いきなり人生を語るな、おい。
すっきりミントの歯みがき粉でも、俺の寝ぼけきった頭を覚ますことは出来ないでいた。
冷たすぎる水で顔を洗い、熱すぎるコーヒーを胃に流し込んでムリヤリに目を覚ましてから。
玄関の扉を、正面の家が確認できるくらいまで開けてみる。ほんのすこしの隙間から覗く。
今出れば、彼女と鉢合わせることもないかな?今日はいつもより早めだし。
・・・・・・なんでこんなに気にしなきゃならないんだ。
ははは、と苦笑い。口から漏れる息はわずかに白くただよい、ほんのりと眼鏡を曇らす。
ほどなく、外の乾ききった冷気がぶわっと玄関内に流れ込む。
頬に無遠慮にあたり、唇から水気を奪い、眼鏡越しに瞳を乾かす。
今日もあいかわらず寒いな・・・・・・それじゃ母さん、いってきます。
あ、いーよいーよ出てこなくても。いや、いやほんとにいいから。いやまじで。
・・・・・・それは、どういうことですか?ははは・・・・・・は。
い、いってきます!
俺はあわてて扉を開け、逃げるように歩きはじめる。
予想通りの寒さが、ダッフルコート越しに全身へと染み渡る。
母さんがいろいろ言っているみたいだけど、とりあえずほっとく。まあいつものことだし。
アスファルトを踏み出して学校に向かって一歩二歩さんぽ、そして同時くらいに。
頭の後ろから聞こえる、きいぃ、と鉄のすれる音。いつもの音。正面の家の扉が開く音。
間もなくばたん!と乱暴に閉められる。
これは・・・・・・おばさんであってほしい。
そう、牛乳と新聞を取りにきたんだよきっとそう。そうであってほしい。お互いのために。
かと言って、振り返って確認するのもおっくうで。
もしも違った場合のリスクを考えると、
このまま何事もなかったように歩き続けるほうがいいんじゃないかと思って。
よしハラは決まった。早足で学校へGO!
俺は気持ち歩幅を大きくし、足の回転数をあげる。
がんばれ自分、がんばれ自分!と心の中でチープな鼓舞をしていたその時。
あの、いつもの、つんつんとした声が聞こえてきた。
「ちょっとアンタ。ほら、ハンカチ落としてるわよ」
・・・・・・え?とつぶやきながら、ふっと振り返る。
アスファルトを見てみると、そこには車道と歩道をわける白線と石ころしかなくて。
やられた!と思っても時すでに遅く。
おそるおそる視線を上げてみると・・・・・・
そこには、きりっとつり上がった猫目を細め、薄く笑みを浮かべている彼女の姿があった。
「・・・・・・まあ、ウソだけどね。ばかじゃないの」
しれっと言い放つ彼女の口調は、外気よりも寒々しくて。
肩にかかるライトブラウンの髪の毛が、寒風にあたり静かに揺れる。
知的な印象を与える短めのボブカットは、さらさらと元の位置へ戻ろうとする。
思わず無言になってしまう俺。うわー貝になりてぇー。
なんてリアクションすればいいか困ってしまう。どうせ何言ってもいろいろ言われるだけだしな・・・・・・
いや、あきらめたら試合はそこで終了だ。
ここは、そう。アイサツをしよう。おはようございます、と。
もしも万が一、彼女の機嫌がよければ、返事があるかもしれない。
よし!俺の勝負!うけとれこの勝負球!
「あ、えっと、おはよう」
「・・・・・・朝からアンタの顔を見るとは、今日も一日ついてないわね」
俺の勝負球、先頭打者ホームラン!という感じで打たれてしまった。
がくり、とひざを突き、帽子で顔を隠しながら泣きたくなった。
まあ、なれっこだけどね。こういうの。
・・・・・・いいのか?慣れていいのかはたして。
少なからずともショックを受けている俺の心に追い討ちをかける彼女。
「アンタ、寝ぐせついているわよ。あいかわらずだらしないのね。
高校生なんだから、もっとちゃんとしなさいよ」
やられたっ!俺も気にしてたんだよそれ。・・・・・・さすがだ。
弱点であるアキレス腱を的確に察知し、攻撃してくるなんて見事すぎる。
っていうか、そんなにひどいのかね俺の寝ぐせ。
あんなに直したのになぁ。
寝ぐせを確認する俺に対して、トドメの一撃が炸裂する。
「そんな頭で学校行くなんて、考えられないわね。ばかじゃないの?
アンタのぼけっ面は直せなくても寝ぐせは直せるんだから、なんとかしなさいよ」
さて。
学校に行きたくなくなりましたよ。
さすがにここまで言われると、なれっこのはずの俺もヘコむ。あ、涙がでてきた。
軽くうなだれていると、今までのつんつんした口調とはうってかわって妙に優しい口調で話しかけられる。
「・・・・・・仕方ないわね。アタシがその寝ぐせを見てあげるから。
ちょっと、頭をさげなさいよ」
はて、どうしたものか?と俺は思った。
だってよ。こんな優しい言葉を掛けられたのは何年振りだ?少なくともここ数年に記憶はない。
何か裏がある?と思ってはみたものの。抵抗するともっとひどい仕打ちがありそうで。
言われるがままに頭を下げてみる。
「ほら、もっと頭をさげて・・・・・・直せないじゃない」
俺はあやつり人形のように頭を下げる。ちょうど彼女に向かって礼をするように頭を突き出す。
そして、頭に手のひらの感触。ちいさな彼女の手のひらが、寝ぐせを押さえつけている。
いや、離した。また押さえつけた。いや、離したぞ、そしてまた押さえつけた。
まるでバネをびょんびょんと押すように、彼女は手を動かす。
・・・・・・ひょっとして、遊ばれてる?
俺の疑念が確信へと変わるまで、そう時間は必要としなかった。
「・・・・・・ぷっ」
吹き出す声。笑いをこらえていましたよ、という声。
「なんでアタシがアンタの寝ぐせを直さなきゃいけないのよっ!ばーかっ!
あっはははは!」
おもいっきり笑う彼女は、もう楽しくて楽しくてしょうがないという顔をしていて。
おらー!誰か俺のちゃぶ台もってこーい!思いっきりひっくり返してやるぅ!
なんかもーほんとにやるせない気分になった。
・・・・・・じゃあ、そーゆーことで。
「・・・・・・俺、家にもどって直してくるよ。まだ時間早いし」
「あっははは・・・・・・えっ?いや、今のままでいいんじゃないの?
どうせ直したところで、元がひどいんだからたいして変わらないわよ」
「まあそれはそうなんだろうけど・・・・・・
ちょっと俺もこの寝ぐせはひどいと思ってたから。それじゃ」
「ちょ、ちょっと!学校ついたら、少しくらいは、手伝ってあげるから・・・・・・」
彼女の言葉はぜんぶ聞き取れないままで。
二人でいることに耐えられなくなってしまって。
俺はくるりときびすを返していた。
だれかの言葉も、だれかの気持ちも。
寒空の彼方に一瞬だけただよい、身を切るような北風がかき消し。
だれかの言葉も、だれかの想いも。
凍るように寒い冬の空へと溶けていく。
どこへ行きつくのか。どこに留まり続けるのか。
今はだれも知る由もなかった。
あ、おばさん。おはようございます。今日も寒いですね。
・・・・・・え?娘ですか?たしかに会いましたけれども・・・・・・まあ、いつもの感じで。
え?よろしくって言われても・・・・・・ははは。
それじゃ俺、寝ぐせちゃんとしてから出直してきます。
やっぱり戻ってきてくれたのね!とのたまう母さんを軽くスルー。
俺は洗面器にお湯を入れた。
ああ、今日もこんな調子か。
はあ、とわりと重くため息をついた。
つづく
96 :
Mr.名無しさん:05/03/14 12:02:36
1、やるじゃん。
続きキボンヌとだけ言っとく。
97 :
Mr.名無しさん:05/03/14 13:11:49
微妙にキモイけどなかなか面白いじゃないか・・・
イイヨイイヨー
続きマダー?(AA略
100 :
Mr.名無しさん:05/03/15 23:42:20
キッチリ最後まで書けよ
101 :
Mr.名無しさん:05/03/15 23:45:42
ツンデレ小説って何?
102 :
Mr.名無しさん:05/03/16 20:37:22
ほしゅ
103 :
Mr.名無しさん:05/03/16 20:39:28
続きに期待age
>>101 ツンデレの子がでてくる小説・・・ということでひとつ。あんま明確なものは考えてないっす。
明日あさってくらいに、二話をUPします・・・
だいたいの登場人物がでそろいます。
105 :
Mr.名無しさん:05/03/17 00:21:38
出来上がってんなら今うpしてよ。
dat落ちしちゃうだろ
保守しようぜ保守
age
108 :
Mr.名無しさん:05/03/17 11:43:31
>>106 Vakaだなぁ
すぐにうpしちゃったらスレ終わっちゃうじゃん
出し惜しみしてナンボ
109 :
Mr.名無しさん:05/03/17 12:52:14
なかなか期待agew
毒男板文学賞ノミネート間違いなしだな
毒男板文学賞って……存在するの?
111 :
Mr.名無しさん:05/03/17 23:48:53
書けてないんじゃないか?
今日は休みの1がそろそろと来ましたよ、どうもスイマセン。
ご意見かんそうありがとうございます。
>>105 一通り書き上げるのは、いきおいでなんとかなっちゃうのですが。
推敲に時間をかけていまして。
「一週間で書上げられるものなら、推敲に二週間かける」
なんてことを鐸木能光って作家が言ってたので、バカ正直にやってました。
これをやると、どんな文章でも読めるものになるみたいですよ。
>>108 いやそんな計算してないです。もともとノープランなので。
>>111 その通り。
文章入門書を読んでどうするかこうするか悩んで。井上ひさしはすげぇ。
じゃあ文豪と呼ばれる人の小説でも読もうかと夏目漱石を手にしたり。
海辺のカフカおもろいなぁと読んでたり。
エロゲみたくなってきたかな?と思いエロゲをインストールしたり。
アホな子みたいに逡巡してます。
それでは、つづきです。
第二話 なんとなく同級生
きっちり寝ぐせを直してふたたび通学路を歩いていると。
ぶぉぉ、と後方から車の排気音。
まあ思いっきり歩道にいるし当たることはないわな、とぼんやり考えながら足を動かしていて。
そういや今日保健室に行かなきゃ当番だもんな、と放課後の予定を確認していると。
ぶろろ、と車が横を通過する。うお超高級車。
どっかの国王が乗ってるような車っていうの?リムジンってやつ?
すげえ長いやつ。座席が四列に分かれていて、俺んちの軽の三倍くらい長いぞ。
しかもフルスモークだし。ボディはつやつやてかてか真っ黒だ。
・・・・・・ああ、そういやこれあの子ん家の車じゃん。ほんと金持ってんだな。
くるまが通過中、通過ちゅう。それなのに。
隣からぶろろろ音が延々と聞こえてくる。
あれ・・・・・・なんでこんなにとろとろ走ってんだ。歩きの俺とおんなじくらいですよ。
長いぶんスピード出ないのか?
車の窓を見てもうっすらと自分の顔しか映らず、中は確認できず。
かといって俺が手を振ってもあの子が無反応なのはわかりきっていて。
俺はそのまま歩きつづける。
ぶぉぉぉ、と車も遠ざかっていった。・・・・・・なんだよ、速く走れんじゃんかよ。
校門をぞろぞろ通り抜ける人々。
疲れの残るねむそうな顔、朝のあいさつ、やさしい笑顔。
校舎まで続くいちょうの並木道は学生がけだるそうに歩いていて。
俺も授業めんどいなぁ、と思いながらちんたら歩いていた、その時。
「さくらばっ!」
わけのわからない掛け声とともに、後ろから両肩にぽぽんとたたかれる。
けっこう痛い。少し前につんのめる俺。ずれるメガネ。
なんだなんだ?と振り返ってみても人はいない。
すると今度は前から声が聞こえてきた。
「おはよーっ。セクハラ大王!」
こちらを向き八重歯をちろっと出し、にっと笑う。たたたっとあっという間に遠ざかる。
耳くらいまでしかない髪の毛をせわしなく揺らしながら走り去る女の子。
おー、さすが陸上部。県一位はダテじゃない。
うん?せくはら?
でもあれは不可抗力で・・・・・・と保健室でのことを思い出していると。
周囲からくすくす、という笑い声が聞こえてきて。
その声にはあれがセクハラ大王よ、ふーんあいつセクハラ大王?という含みがあり。
うわこの場から今すぐ走り去りたい!と思っていると。後ろから引き止めるように言葉をぶつけられる。
「おはよう、セクハラ大魔王」
いや、魔王じゃないんだけど。
かといって大王でもないんだけど。
「まあ、それはそれとして、だ」
わりと神妙な口調で話しはじめる男友達。
「さっきのな、モンゴリアンチョップの時なんだけどな・・・・・・」
もんごりあん?ああ、さっきの両肩へのチョップのことか。
「こう、30センチくらいジャンプしたのな、あの子」
・・・・・・そりゃ、痛いわけだ。まだ軽くじんじんしてるし。
「それでチョップして、地面に着地したときにだな」
うんうん。
「こう、スカートがぺロっと、めくれたわけよ。いたずらな北風さんのしわざで」
こいつの方が、よっぽどセクハラ大王じゃないかよ。
「んで、紺だった。たぶんブルマだなありゃ」
あのさ、一言いいか?
「俺的にはスカートにブルマの組み合わせはポイント高いんだけど、
おまえはどうなの・・・・・・ん?なんだ?」
いっぺん死んでくれ。
「やなこった」
友達となんやかんや言いながら、やたらと立てつけの良い教室の戸を開ける。
にぎやかな教室内。楽しげな笑い声。あたたかな空気。
クラスメイトたちが昨日のテレビのことや遊びのことなど思い思いの話をしていた。
さて自分の席に座りますか、と窓ぎわに向かい歩く。
ふっ、と一瞬のことだった。女の子と目が合う。
何もかも見透かすような視線と理知的な顔だち。
俺の席、その前に座る彼女。朝のなげえ車に乗ってたこの子。
腰まで伸びる金色の髪は陽の光にあたり反射しきらめいている。
見惚れてしまいリアクションがとれないでいて。気がつきあわてて挨拶をする。
「あ、おはよう」
「・・・・・・」
刹那、ぷいっと目をそらされる。何事もなかったように教科書に目を向ける。
ははは、まあいつものことだ。何かおれ失礼なことしたのか?
いつもいつでもこうだよ。一年のときからずっとそう。
すこしでも状況を良くするため話しかけようかと思ったが、無視されるのが関の山で。
俺は教科書とノートをカバンから取り出す。
鉄製のふでばこはひんやりと冷え切っていた。
昼休みは、たいていが友達とだべっていたり遊んでいて。
でも俺はクラスの副委員長だったりするわけで。たまに働かないと。
「何やってんの?おえかき?」
いや、掃除当番表をつくりなおしてる。やぶれちゃってさ。
「ふーん、ずいぶんと熱心にやってますな」
そりゃ副委員長だから。ほとんど名前だけだけど。
「こーいうことやっとけば、委員長のポイントアップって感じ?」
なんでそこに委員長がでてくるんだよ。
「そりゃあ、ねえ。放課後とか、けっこういい雰囲気で話してるじゃん」
んだよ見てたのか?
「おう。ちょっくら見たぞ。委員長、ほんと楽しそうに笑ってたんだけど。
あんな顔しないぞ俺たちの前じゃ」
まあ、そうかも。俺だってさ、あんな風に笑うって知らなかったし。
「そうだな。ちょっと地味目かもしれんけど、そこがおまえの心をくすぐってんのかもな。
もうー好みがマニアックなんだから紳(しん)ちゃんは」
いや、べつにマニアじゃないし。ふつうにかわいいと思うけど?
「あーまあそうかもな。でもいまどき黒ぶちメガネにおさげなんて流行らないだろ。
マンガのガリ勉役くらいだぞ」
そういうもんなのか?メガネはおたがいさまだし。
「ふむ。まあ、友達としてだな、ひとつアドバイスをするとすれば」
・・・・・・うん。
「ちゃんとゴムはつける、ということだな」
・・・・・・あのさ。
「やっぱさ、オレらの年でパパはまずいと思うんよ。ん?なんだ感謝しなくてもいいぞ」
やっぱり死んでくれ。
「やだ」
きーんこーん、と予鈴の音。俺はできあがった掃除当番表を手に掲示板へと歩く。
・・・・・・そんなふうに意識していないよ、委員長は。
俺は、わからんけど。
この話をそっとぬすみ聞きしていた人のメモ。
(ぬすみ聞きというか、後ろの席での会話はいやでも聞こえる訳だが)
マニアック→OK ex.メガネ+おさげ髪
委員長→かわいい≒マニアック?(要調査)
ゴム→重要
パパ→NG
・・・・・・ふむ、とやけに納得した様子で、読書へともどる女の子。
授業が終われば、たいていの学生は自由なわけで。
俺は保健委員として保健室に向かう。今日は当番なんだよな。
こんこん、と保健室の白塗りの戸をノックする。
「・・・・・・誰?」
えっと、二年三組の保健委員ですが・・・・・・
「あら。いいわよ、入って」
がらがら、と戸を開けると。先生は背中を向けて椅子に座っていて。
くるり、と俺の方に向く。
するとそこには、白衣に黒の下着だけ(しかも勝負っぽいやつ)という格好の先生がいて。
ふふっ、といたずらっぽい笑みを浮かべ、足をいろっぽく組んでいる。
とりあえず、ゆっくり戸を閉めた。
さて、帰るか。
もちろんノックなんてしないで戸を開ける。
ばごん、と大きな音を立てて。
「ばーんそうこう、ちょーだいっ!ってあれ、先生だけ?
つーかそのカッコ、どうしたんですか?ふぁっしょん?」
「ふふ、ファッションなんだけど、わかってもらえなかったかしら」
小首をかしげながら、不思議そうに話す。
「・・・・・・かぜ、ひきますよ?」
帰り道を歩く足取りはとてもとても軽くて。
なせなら俺の隣には女の子がいるから。
「・・・・・・大変だね。保健の仕事もあるしクラスの仕事もあるし」
いやそんなことはないよ。
保健は・・・・・・仕事自体は好きなんだけどね。ちょっと、いろいろあってね・・・・・・
「いろいろ?」
あ、いやははは。とりあえずごまかしとこう。
クラスの仕事はほとんど綾戸(あやと)さんがやってるし。俺はただのサポート役なだけで。
「でも・・・・・サポートしてもらえないと、できないよ、一人じゃ」・
はは、そういうことにしておきますか!
「もう、からかうんだから・・・・・・
お互いに部活やってないから時間に余裕があるんだろうね。
でも、わたしはこれから塾があるんだけども」
そうなんだ。大学に進学するんだよね?
「うん。やれるとこまでがんばろうかなって」
そっかあ。目的があるってのはいいね。
「進学、するんだよね?」
あーどうしよう。試験には受かると思うんだよね。なんだかんだで。
でも、家がね・・・・・・どうかな?親と相談してみるよ。
「・・・・・・いろいろ、あるみたいね。
成績いいんだから、進学しないともったいない気がするけど」
はは、成績は中の上くらいだけどねー。綾戸さんにはおよばないっすよ。
「私は・・・・・・とりえが、勉強くらいしかないから」
そんなことはないって。とりえはあるよ。
「・・・・・・たとえば?」
そりゃ、なんといっても、いっしょにいるとほのぼのする。癒されるかんじがするよ。
マイナスイオンが出てるっていうのかな?
「そんな・・・・・・また、からかって」
わりと、まじめだったんだけど・・・・・・あ、あはは・・・・・・
「え、えへへ・・・・・・あ、それじゃここで。また明日ね、筒井(つつい)くん」
あ、うん。それじゃあね。塾がんばってね。
「・・・・・・ありがとう」
照れたように、つぶやくように彼女は言い、俺と違う道を歩いていく。
はは、よかったな。綾戸さんといっしょに帰れて、会話しちゃって。
じんわり小市民的な幸せに浸っていると、それを壊す人間がいるもので。
「・・・・・・なにニヤついてるのよ、キモいわよ」
それは正論かなと思った。
あわてて頬をきゅっと引き締める。
「・・・・・・なによ、彼女といっしょに歩いてデレデレしちゃって。
見ているこっちまで照れちゃったわよ」
見られていたのか・・・・・・いやでも彼女じゃないし、クラスメイトだよ?
「彼女じゃないって言っても、デートくらいはしてるんでしょう?」
いやぜんぜん。学校で会うだけだよ。しかもほとんど仕事の話だし。そもそも彼女いないし。
今日はじめていっしょに帰ったんだよ。
「・・・・・・ふーん。ま、アタシには関係ないけど。
せいぜいがんばんなさいな。応援しないけど」
・・・・・・あ、あはは。
がんばれって言っておいて応援しないときたもんだ。いきなり全否定ですよ奥さん。
俺は苦笑いするしかなかった。
「んじゃ、そういうことで」
気がつけば俺ん家の前まで来ていて、彼女はとっとと家に入っていって。
ここで気がつく。
久しぶりに、彼女と会話らしい会話した気がするなあ。
俺も家に入る。ただいまー、なんだよ母さんおおげさだなもう。
「・・・・・・なにニヤついているの?何かいいことでもあったのかしら?」
なんでもないわよママ。・・・・・・ふふっ。
「ほら、また笑ってる。もう、どうしたのかしら?」
なんでもないから、ね。ほらご飯のしたく手伝ってあげる。
「あらあら、めずらしいわね・・・・・・本当にどうしたのかしら」
だから、なーんでもないんだって。
二人きりの夕食は、いつもいつもの日常で。
「あ、そういえばね」
どうしたの?母さん。
「今日ちーちゃんがきて、この間はありがとうございましたって言ってたわよ。
これ、プレゼントだって。また日をあらためてお礼したいって」
お、クッキーじゃん。どうも手作りっぽいね。おかあさんに手伝ってもらったのかな?
いやあの子のことだ。すーぱー幼稚園児だ。自分でやったんじゃないだろか?
「優しいとこあるのね、シンちゃん」
・・・・・・まあ、気持ちはわかるから。
「・・・・・・そうね。そうよね」
ぐすっ、と鼻をすする母さん。まいったな。
それじゃ、ごちそうさま。逃げるように席を立つ。
「・・・・・・はい。おそまつさまでした」
予習も宿題もおわり、フロにも入り。
今日もいちにち終わりまして、ベッドの中で目を閉じぼやっと考える。
やっぱり普通がいちばんと思うわけですよ。
小市民なしあわせくらいが俺にちょうどいいんですよ。
そーれだけ。おやすみ。
あっというまに意識が遠のき、すやすやと眠りにつく。
静かに寝息をたてている、この少年の日常は。
ちょうどこの日くらいから、じょじょに普通からかけ離れていった。
兆候はじゅうぶん見えていたと思うけど。
つづく
128 :
Mr.名無しさん:05/03/18 14:42:26
ラノベの影響受けまくりの文体
129 :
Mr.名無しさん:05/03/18 14:47:37
ギャルゲやエロゲの影響も受けているんじゃ
130 :
Mr.名無しさん:05/03/18 15:08:22
>>128 >>129 要らん分析だなw
ツンデレ小説書くと宣言してる時点で、分かりきったことだろう。
131 :
Mr.名無しさん:05/03/18 16:12:55
>>121で「ばんそうこうちょうだい」って言ったの誰だ?
そんで幼馴染っぽかったツンデレ女は実は幼稚園児と・・・。
このペドが!
132 :
Mr.名無しさん:05/03/18 16:24:18
でも
>>93じゃ「学校着いたら」って同級生みたいな発言してるしなぁ・・
誰か解説して。
133 :
Mr.名無しさん:05/03/18 16:27:41
てゆかこの主人公、普通に毒男じゃないよな。別にいいけれど。
上〜の方の本尾さんと毒男君は毒男っぽかった。
あっちの続きもキボン
今のとこ、
近所のツンデレ娘
チョップ女=ばんそうこう
金髪娘=メモ
委員長
保健の先生
母親
ちーちゃん=幼稚園
ジャマイカ?
ぶつ切り描写がおもろい。
毒男の続きもキボンヌ。
135 :
Mr.名無しさん:05/03/19 09:13:42
保守
書籍化拒否
137 :
Mr.名無しさん:05/03/20 15:49:45
保守
138 :
Mr.名無しさん:2005/03/21(月) 14:39:19
保守
139 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 17:58:29
140 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 17:59:25
毒男板創作系スレはこんなものでは終わらないはずだ!!!
141 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 18:13:13
しかたねー
>>1が戻るまで俺のチンコ小説でお茶を濁すしかねー。
第1話「爺BIG」
今日は初めての空手大会の日だ。
俺は試合会場で心地よい緊張感に包まれていた。
(この黒帯にかけて、今日は全員一撃で決める!)
そう心に誓った矢先、あの男が俺の前に現れた─
「フフ・・・随分と強気やなぁ・・・自分」
佐藤大輔だ。俺はコイツが大嫌いだ!だから殴る!
喰らえ大輔!俺の必殺パンチがメシャグと大輔の顎を砕いた。
「おごぉ・・」大輔死んだ。勝ったのだ。
次の相手は誰だ!続く
142 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 18:15:16
早速殺しちゃったよ!爽快だな!!
この手のスレ乱立させるなよ。然るべき板に逝け
144 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 18:20:54
そう先生は親も見離した俺らに叱ってくれた。
だけど・・・だけど先生、これだけは聞けねーんだ・・・すまねえ。
「行くぞ・・・」
俺は子分達を促した。躊躇いながらも俺に付き従う子分達。
子分達は泣いていた先生も、泣いていた。
そして多分─俺も
145 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 18:26:15
で、どこが毒男的なのかと・・・
146 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 18:27:07
いや、俺はあえて言うぞ。
続 き き ぼ ん ぬ !!と
147 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 18:33:57
148 :
Mr.名無しさん:2005/03/22(火) 18:53:45
好きなタイプとのラブコメを妄想ってのはとても毒男的だと思わんでもない
149 :
Mr.名無しさん:2005/03/23(水) 14:29:39
んじゃオレも勝手になんか書こーっと
とか言って結局書かないでdat落ちがお約束だったりするわけですが
おずおずと僕は玲の横に立った。
突然僕に話しかけられたせいか、玲は驚いた顔を見せる。
「あ・・・あの・・・」
僕はおずおずと声を玲に掛けた。
「その・・・あの・・・」
(・・・うぅ・・・緊張してうまく声が出ない)
その様子を見てすぐに玲は、いつもの僕を見る、冷めた顔に戻ってしまっていた。
蔑む様な視線が僕の声帯を凍らせるように感じる。
しゃ、喋らないと・・・。 そう思っていると、
「・・・なに?用が無いなら席に戻りなよ」
玲に先手を取られてしまった。
澄んだ声ながら、どこまでも僕を突き放すその言葉・・・。僕は蛇に睨まれた蛙の様になっていた。
(だけど・・・だけど・・・!)
僕はギュッと、持っていた本を強く握った。
本から勇気を受け取るかのように。
「あの、あの数学の参考書・・・」
小声だがついに「あの」以外の言葉が出てきた。だがあまりに小声だったのか、
「なに?聞こえないよ」
と、あっさりリトライを言い渡されてしまった。
「あの、数学の参考書、まだ、返してないよね・・・?」
僕がそう言うと玲は、
「私は使ってないから・・・」
と、あっさり言い捨て、首を前に向けた。あまりに冷たい・・・。
「で、でも、トモダチでしょ?だったら・・・」
その言葉の途中で玲はこちらに振り返り、目尻を鋭くして僕を睨んだ。
「友達だったら何なの?」
「え?」
僕は急な問いに慌ててしまった。しかし玲はお構いなしに言葉を畳み掛ける。
「トモダチだからって私には関係無いでしょ?」
「え・・・あ、そ、その・・・」
「私じゃなく、あのコ達に直接言えばいいじゃない!って言ってるの!!」
冷たい表情は崩さず、しかしその姿勢からはとても伺えない程の激昂をあらわにする玲。
・・・僕は完全に萎縮してしまった。
目が泳ぐ。頭の中からガンガンと音が聞こえる気がする。
玲の声はかなり大きく、教室に居た何人かは、何事かとこっちを見ている。
泳いだ目を友人の方にやると、かなり不安そうにこっちを見ている。
「ちょっと?」
玲の言葉に、教室中を飛んでいた意識が体に無理やり戻される。
「・・・・・・」 こ、声が出ない・・・。
玲は固まっている僕の様子に溜め息をつき、
「・・・用がないなら、席に戻ってよ」
と、言い放ち、憂鬱そうに頬杖をついた。
正直僕の足はかなり自分の席に戻ろうとしていた。
理性は残れと言ってるのだが、玲の言葉に体が逆えない気がするのだ。
それは悲しいけど、小学校から続いていた、玲との関係が生きている気がした。
「あ・・・でも・・・」
青ざめながら僕は、なんとかそこに踏みとどまった。
「でも・・・でも・・・!」
でも、の先が出てこない。 玲は再び僕を一瞥し、
「・・・言いたいことがあるならハッキリ言って」
冷たいながらも、芯のある目が、僕を睨みつける。
「あ、あ、うん・・・あの・・・」
そう言われても言葉が出ない。もはや体が完全に石化している気がした。
玲は頬杖をついたまま、ゆっくりと僕の方に体を向けた。
イイヨイイヨー
足を組み替え、固まっている僕をジッと見る玲。
・・・その綺麗な顔で見られると、僕は更に何も出来なくなる。
(僕は、僕はなんて・・・)
「情けないよ」
僕はドキッとした。心が読まれた気がした。
「私を怖がってるの?ねえ」
見透かされてる。
「なんでそんなに怖がるの?・・・ねえってば」
・・・僕はひたすら黙っていた。情けない話、なんで怖がるか、それが自分でもわからないからだ。
玲は先ほどよりも深い溜め息をつき、
「・・・戻ってよ」
と言い、机に突っ伏してしまった。もう話したくない、ということだろう。
無意識に拳を強く握る。歯がゆいのだ。こんな自分がとことん情けなく感じる。
それでも自分の席に戻る気は無く、ただ、玲にもう一度話しかける勇気も無いまま、
僕は玲の横に立ち尽くしていた。
そのとき、教室のドアが開き、開いたと同時に、
「チョ→ヤバクねー!?」
「ギャハハハハwwww」
という声が聞こえてきた。・・・彼女らだ。
僕の額から一気に脂汗が出てくる。だが、足は動かず、根を張ったままだ。
「マジでだってwwww」
「うっそ信じらねーってwwww」
教室に入って来ても彼女らは騒がしい。
また、登校途中で一緒になったのであろう男子達も一緒になって騒いでいた。
彼女らが来たのに気づいた玲が体を起こす。彼女らは玲に手を振り、こっちに近づいてくる。
すると玲が急にこちらを向き、
「・・・ハッキリ言ってみてよ」
と、立ち尽くしている僕にそう言った。
僕は何のことかわからないままそこに立っていると、女子A、Bと男子2人が玲の下に集まる。
彼女らが2,3、言葉を交わすと、すぐに彼女らは僕の存在に気がついた。
目が合う。僕は思わず目を逸らす。彼女らはそんな僕を不快感丸出しで、
「ナニ毒男〜?」
「なんか用〜?」
と話しかけてきた。
僕は伏せ目がちのまま、「いや、特に・・・」と呟いた。すると、
「なら帰れよwwwww」
「うはwwwwww」
男子たちが僕にひどいことを言ってきた。それに大ウケする女子A、Bたち。
赤面しながら、玲の方も見る。
・・・玲はクスリともせず、ジッとしていた。
馬鹿笑いに疲れた女子Aが、再び僕に言葉を掛ける。
「でぇ〜?なんで居るの?」
男子もそれを追うように、
「早く戻れよ」 と言ってくる。
しかし、僕は戻らなかった。・・・戻るわけにはいかない。
だんだんイライラしてくる女子たち。
僕に浴びせる言葉もどんどんエスカレートしていく。
言い返したい、本を返せと言いたいが、僕の顔は下を向いたままだった。
(言わなきゃ・・・言わなきゃ・・・!)
すると玲がいきなり席を立ち、罵る彼女らの言葉を遮るように声を出した。
「毒男が、A子らにハナシあるって」
僕は驚きのあまり、目が点になっていたと思う。
(「・・・ハッキリ言ってみてよ」)
さっきの言葉の意味はこれだったのか。玲にそう言われると、さっきまでの罵声が止み、
「なによ毒男」
「早く言えよ」
と、言ってきた。もしかすると、これは玲の助け舟なのかもしれない。
僕はツバを飲み、本を握る力を一層強め、初めて彼女らの目を見た。
「ほ・・・本」
は? といった顔をする女子たち。
「本・・・本を、返して欲しいんだ!」
何かむかつくなぁ、この主人公
まぁまぁそういうなよ
見守ろうぜ
一瞬の静寂がクラスに起こった。
しかしその静寂はすぐに女子A・Bたちの甲高い声で掻き消される事となった。
「は?」
「なにそれ?」
「意味わかんないし」
「キモwww」
「もう消えろってのwwww」
「うはwwwwwwwwうぇwwwwwww」
一瞬にして先程までの空気になってしまった。
彼女らは人を馬鹿にしなければ喋れないのだろうか?
本を返せと久しぶりに声を荒げた影響か、僕は自分でも珍しい程に怒りを憶えていた。
玲が再び、顔を紅潮させ震えている僕の方を見る。
あくまで冷たい目のまま僕を見据える玲の顔は、美しいのだが、何を考えているかわからない、
能面の様な表情でもあった。
(どうして僕を・・・そんな表情で見るの・・・?)
僕がこんな状況にも関わらず、妄想の中に逃げ込もうとしたのを、玲は見逃さなかった。
「どうしたの?早く続きを言いなよ」
玲の命令が下る。僕はムチを打たれた囚人のように、
「はい」
と、思わず返事をしてしまった。
玲の言葉に思わず女子A・Bらも静まる。
玲は助け舟を出してくれているんじゃないか、そう思っていた僕は浅はかだった。
彼女はあくまで、僕をここから逃がさないようにするために発言をしたのだ。
僕はそう思い込もうとした。
(だけど・・・)
そう考えようとすつ反面、これが玲の優しさでもあり、厳しさでもあるのではないか、と
感じる部分もあった。なぜなら・・・
「ねえ!」
自分の世界から引きずり出される。 玲の声だ。
「言いたいことがあるんでしょ?言ってみなよ!」
玲の強い言葉に、さっきまで笑っていた周りの女子らも引いている。
僕はそこまで言われてしまう自分に怒りと情けなさが交じり、泣きそうになっていた。
やはり玲は、もう昔みたく僕に甘くはないのだ。
「ね、ねー玲ー。毒男でそんなにムキになることないじゃーん」
「そ、そーだよー。ねー?ねー?」
無表情な玲を必死になだめる女子たち。
「ねー?玲ー、そんな怖がってると毒男泣いちゃうよー?w」
「ホントホントw てゆうか玲、マジ女王様みたいww」
「わかるw俺も横でゾクゾクしてたwww」
「うはwwwww」
今だけは彼女らの空気に安らぎを感じる。
しかし、玲の視線が僕を射抜く。そう、逃げてはいけないのだ。
僕は玲から目を離し、女子Aの方を向いた。そして、
「あ・・・あの!」
と、僕なりの精一杯の声の大きさで叫ぶ。
騒ぎが静まり、僕に視線が集中する。
「あ・・・あの・・・と、図書室で借りた本・・・・・・」
声を搾り出す。心の中で、必死に頑張れ!と応援する、もう1人の僕。
「こないだ、A子さんたちが持っていった・・・あの・・・数学の本・・・」
女子A、Bらが目を合わせる。僕は尚も言葉を続けた。
「あの、あの数学の本・・・、か、か、返してほしいんだ、けど・・・」
終わりの方は果たして聞こえたのか微妙なほど、声は萎んでいった。
しかし、言いたかったことがやっと言えたのだ!僕は自分が大きくなったように錯覚した。
しかし、彼女らが次に吐いた言葉によって、僕の張り子の精神は、ボロボロに壊される。
「え?返さなかったっけ?」
「アタシ知らな→い」
(・・・・・・え?)
「あれ?B子が持ってったっしょ?」
「えー?違うしー。あれ?そうだっけー?」
「そうだってー!アンタ持って帰ったでしょ」
「マジでー?憶えてない。無くしたカモー!ww」
「アンタ超最悪ー!www」
彼女たちの声が遠ざかってゆく。僕の膝が笑い出した。頭がふらつく。
体内から一切の血の気が引かれたようだ。
(そんな・・・そんな・・・!!)
勝手に学校の本を持っていって、あまつさえ、それを無くしたかもしれないだなんて!
「え?なになに、何の話?」
「なんか無くしたの?」
傍らの男子たちが話しに入ってくる。
「えー?なんかー、数学の本借りたんだけどー。B子、無くしたみたいなんだよねー」
「マジでー?w 最悪だよB子〜www」
「まだわかんないから!ちゃんと探すからー!w」
僕は泣きそうになるのを必死で抑えていた。
(僕の馬鹿・・・!なんで・・・なんであの時、軽はずみにOKしちゃったんだよ・・・!)
教科書とはいえ、本を、ましてや人から借りた本を適当に扱う。その考えは僕には理解できない。
自責の念とともに、本尾さんへの申し訳無さがこみ上げてくる。
僕はもう、限界だった。
目から涙がこぼれる。溜めに溜めた、大粒の涙だ。
泣きながら僕は擦れた声で、
「・・・こ・・・困るよ・・・」と彼女らに言った。
さすがにそれには悪いと感じたのか、彼女らの態度も少し軟化した。
「いや、ちゃんと探すから。ねー?」
「これくらいで泣かないでよー!w その内見つけるからさー」
いい加減な受け答えにはもうウンザリだ。僕は鼻をすすり、
「・・・ダメだよ、困るよ・・・図書委員の人だって迷惑してるんだ。ちゃんと返してよ・・・」
と、こぼれそうになる涙を必死で押さえ、胸につっかえていた言葉を吐き出していった。
こんな時でも強気に言えない自分が恨めしい。
ふと玲を見る。玲は相変わらず表情を変えないままだ。ただ、何かを考えているようにも見える。
「そんなこと言われてもー、どこ言ったか思い出だせてないしー」
「ねー。ちゃんと返すからー。信用してよ、ねー?」
(信用・・・?そんな、そんなの、出来るわけないじゃないか・・・)
僕は返答せず、顔を伏せ、再び泣き出した。
そんな僕のいじけた態度が癇に障ったのだろう。男子2人組が面白くなさそうに僕に話しかけてきた。
「ちゃんと探すって言ってんだからさー、待ってやれよ。な?」
「大体なんで泣いてんだよ、ダセーから」
男子という援軍の到着に、さっきまで控えめだった女子A、Bらも攻撃に回る。
「そーだってー。だからもう泣くなっての」
「大体毒男の本じゃないでしょー?別にいいじゃーんw」
ここまで言われても、僕は何も言えなかった。悔しい。歯がゆい。
僕はもう涙を抑えることは出来なかった。
教室にはいつの間にかだいぶクラスメイトが集まっていた。そのほとんどが、クラス中央の
不穏な雰囲気に気がついていた。
その雰囲気に更に苛立ったのか、男子の1人が僕の襟を掴み、
「泣くなって!俺ら何もしてねーだろ!」 と、声を荒立てた。
僕は嗚咽を漏らし、さらに泣く。・・・言い返したい。しかし、声が出ない。
ざわつく教室に焦ったのか、襟を掴んでる男子は顔を引きつらせながら、
「・・・泣くなっての!なぁ!?」 と、襟を掴むその手を強めた。しかしその瞬間、
「ちょっと!!」
玲が突然、声を上げた。 シン・・・と静まる教室。
「・・・いい加減にしなよ」
襟を掴む男子に蔑むような表情を浮かべる玲。いつも笑顔を浮かべる玲とは大違いだった。
それに気圧されたのか、男子はうすら笑いを浮かべながら僕の襟から手を離し、
「じょ、冗談だよ・・・マジで怒んないでよ〜・・・」
と、必死に玲の機嫌を取ろうとした。
女子A・Bは完全に沈黙し、もう1人の男子は僕のご機嫌取りに回りはじめた。
「な、なあ毒男。ほんの冗談だから。な? 泣くなよ〜w」
やがてもう1人の男子も僕に擦り寄り、
「ごめんな毒男〜。ちょっと乱暴だったよなーw ゴメン」 と、馴れ馴れしく肩を抱いてきた。
悔しさと、玲に庇って貰っている、という男としての惨めさに、僕は言葉を失っていた。
玲・・・ごめんよ。
僕は・・・本当に情けない男だ・・・・・・。
必死に僕に話しかける男子。その男子が僕の持っている本の存在に気がついた。
今日も今日とて見習い騎士達は稽古に精を出している。
その様子を遠くで眺めながら絵を描いていた。
やはり僕には剣よりこっちの方が性にあってる。
描きあげた絵が思いの外、良い出来で思わず頬が緩んでしまう。
「また稽古をさぼって絵など描きおって…」「あっ」
キャンパスを後ろから取りあげられて振り向くと
凛々しい少女が立っていた。
こいつは多くの名将軍を輩出している名門ウィンチェスター家の娘
女ながらに神速の剣を使いこなし、
いまや見習い騎士の間でもトップクラスの成績をおさめている。
「今日という今日は軟弱な貴様に騎士道精神を叩き込んでやる!剣を持て!」
彼女は練習用の竹剣を投げて寄越すと、
自身も一回り細い竹剣を構えた。
やれやれと肩をすくめながら、僕も剣を構えた。
こいつが僕を目の仇にするようになったのは
僕らここに来て間もない時に開かれた剣術大会からだ
171 :
Mr.名無しさん:2005/03/25(金) 05:53:51
「あれ?毒男君、何の本なのそれ?」
適当な話題で僕をなだめようとしたのだろう、男子Aが僕の本を指差した。
お守り代わりに持っていた、本尾さんに貸す本である。
僕が鼻を啜り、本の説明をしようとすると、横に居た男子Bが、僕の手から本を奪い取った。
彼にしてみればそこまで悪気は無かったのだろう。
しかし、僕の中ではもう彼らに本を渡すという行為は絶対に嫌だった。
僕は今までにない、強い怒りが込み上げてきていた。
「なになに・・・えーと・・・なんか難しそうだなオイ」
「さすが毒男w 本好きだよね〜!」
本を軽々しく手渡ししていく男子たち。それは女子の手に渡り、
「いや超厚いんだけどー!」
「こんなの読んだことないよねー!」と言っている。
僕の怒りが脳から喉を通り、無意識に言葉となって口から出た。
「・・・返せよ」
女子たちの動きが止まる。
「返せよ!僕の大事な本・・・返せよ!!」
教室中に響き渡る、何年振りかの大声だった。
あの時は妹が病気にかかっていてお金が必要で
僕は無我夢中で戦っていたら
知らぬ間に勝ち上がり、決勝でも彼女を一瞬で倒し
新人戦とはいえ見事に優勝し賞金と
図らずも10代最強の名声という余計なものまで手にしてしまった。
彼女にしてみれば僕は始めて負けた同年代の相手であり
名門家の名を傷付けた平民出身の騎士ということだろう。
それ以来、彼女は必要以上に僕につっかかってきてはなにかと勝負を挑む。
「ゆくぞ!」
言うが早いか彼女は素早く太刀を払った。
相変わらず速い。
練習用の竹剣とはいえまともにくらったらタダではすまない。
僕は彼女の剣を捌き、いなすと間合いをとった。
さて、どうしたものか…
やはり女相手だとどうも攻撃できない。
何かいい手はないかと思案していると
遠くからの視線に気付いた。
窓辺から王女様が僕を見てる。
その刹那、僕の鼓動は跳ね、顔は熱くなり
「隙あり!」
意識が飛んだ。
>>170 新作か???
ややこしくなってきたな・・・・・。
174 :
Mr.名無しさん:2005/03/25(金) 12:15:18
地球上とは限らないからではないか
176 :
Mr.名無しさん:2005/03/25(金) 12:51:34
にしても竹は萎えるなぁ。でも話は面白いから続けてね。
177 :
Mr.名無しさん:2005/03/25(金) 12:54:15
「刹那」って単語、ファンタジー書く奴よく使うよな
元々仏教用語だっけ?
178 :
Mr.名無しさん:2005/03/25(金) 13:05:19
毒男の話、面白いけど本無くしたくらいで泣かれても困るよな。
正直、毒男はいじめたくなるタイプだな。。。
こういう奴がイジメの対象になるんだろうな。
181 :
Mr.名無しさん:2005/03/25(金) 14:07:12
意表ついて、セックス描写から始めるツンデレ新作期待age
182 :
Mr.名無しさん:2005/03/25(金) 16:30:04
よし、俺も
>>170に参加しよう。
今日も見習い騎士達がしこしこと稽古に精を出している頃、
俺は一人自室でシコシコと精液を出していた。
「ハァハァ・・・ウインチェスターたん・・・ハァハァ・・・うっ!」ドッピュンコ。
そして俺はじっと手を見るのだった。
>>182 そして「最低だ…俺って・…」とつぶやいた。
>>181 よし!かいてみる。期待しないでまっててくれ。
185 :
Mr.名無しさん:2005/03/26(土) 00:32:58
書くのはありがたいけどちゃんと完結させてね
186 :
Mr.名無しさん:2005/03/26(土) 04:25:10
「98!・・・99!・・・100!ふぅっ・・・。」
日課の素振りを終え、大きく息をついて辺りを見回してみる。
他のみんなはまだそれぞれの稽古を続けていたが、
俺は一足先に木陰で休憩する事にした。
芝生にごろりと寝転び、空を見上げる。
木々の隙間から射し込む、やわらかな午後の日差しが心地好かった。
そのままうとうととし始めていた時、
「今日という今日は軟弱な貴様に騎士道精神を叩き込んでやる!剣を持て!」
少し離れたところからそんな怒声が聞こえてきたものだから、
俺の眠気はすっかり吹き飛んでしまった。
「?・・な、なんだ?」
187 :
Mr.名無しさん:2005/03/26(土) 04:25:52
声がした方に顔を向けると、そこには見覚えのある男女の顔があった。
何やら凄い剣幕で捲し立てている女子の方は確かあの名門、ウィンチェスター家の令嬢だ。
名前は・・ええと、なんていったっけ?昔から女子とはとんと縁が無かったものだから、
どうにも女子の名前を覚えるのは苦手だ。
あっちの男の方は・・・そうそう、ここに来て始めて開かれた剣術大会で優勝した奴だ。
そのくせ普段は剣の稽古もせずに絵ばっか描いてる変わり者。
あれで最強なんて言われてるんだから嫌になる。(因みに俺は二回戦であっさり負けた)
名前は・・・こっちも思い出せない・・・おかしいな、寝ぼけてる?
などと考えている内に二人はいつの間にか組み打ちを始めていた。
片や瞬きも出来ないほどの連続攻撃を浴びせる女子。
片やその攻撃をのらりくらりと器用にかわす男。
(・・・レベル高ぇなぁ。)その様子をうんざり半分、感心半分で見つめる俺。
と、その時、男の動きが一瞬止まった。何かに気を取られたように見えた気がした。
「あ。」
次の瞬間、女子の振り下ろした一撃が男の頭にまともに入った。
受身も取らずにどさりと崩れ落ちる男。
おいおい・・・いくら刃引きしてあるとはいえ、今のはちょっと・・・。
ぴくりとも動かない男を見て、流石に女子の方も大慌てで
「お、おい!コラ、しっかりしろ!」と男の体をガクガク揺さぶる。
(あぁ、こんな時はあまり動かさない方が・・・。)
俺はどうしたものかと考え、このままもう少し様子を見守る事にした。
すると・・・
188 :
Mr.名無しさん:2005/03/26(土) 04:27:11
つ[総理大臣賞]
189 :
Mr.名無しさん:2005/03/27(日) 02:54:33
誰でもいいから続きかいてよー。
>>1はどこいったんだ?
190 :
Mr.名無しさん:2005/03/27(日) 03:27:58
>>189 新作の様子見てたんだけど、書いてもいいのかな
191 :
Mr.名無しさん:2005/03/27(日) 04:02:44
場つなぎに俺が考えた設定書くよ
俺の名はドクオ。この春摘出礼高校に入学したばかりの、典型的なモテない君だ。
中学…いや小学5年の時から右手が親友、エロの知識だけは人1倍。
入学してから部活も入らず、1人孤独な学園生活を送っていた。
だが、しかし。
ある1人の怪しい男から声をかけられた時から、俺の運命は走り出した。
「なぁ君! そこのモテなさそうなドクオ君」
「えっ? て、なんで俺の名前」
「ツンデレ同好会に……入会しないかい?」
「つ、ツンデレ同好会……?」
こうしてツンデレな彼女ゲットに燃える、俺の学園生活が始まった。
普通の高校生の話。
彼は才能にも容姿にも恵まれている。
だが本人はそれに気付こうともせず
生来の人嫌いな性格から生きることを苦痛に感じていた。
いつもの平日、いつもの時間いつものように目が覚めた。
一日の始まりはいつも憂鬱だ。
朝起きるとき、タイムカードを押すべきなんじゃないか
もそもそと着替ながらふと思う。
俺がこんな考えをしてることは誰も知らない。
彼は本当の意味で孤独だった。
孤独こそこのとき彼が最も手にしたいものであったが。
193 :
ヽ('A`)ノ キモメン ◆9d0clOTk26 :2005/03/27(日) 07:11:58
ワケワカメ物体Xな作品を抜かしたテキトーなマトメ
丸出毒男
>9 >13 >14 >16 >17 >18 >19 >20
>23 >24 >25 >26 >28 >29 >31 >32
>33 >34 >35 >38 >41 >48 >49 >50 >51
>56 >57 >58 >59 >60 >61 >62 >63 >64
>65 >66 >67 >68 >69 >70 >74 >75 >76
>77 >153 >154 >155 >157 >158 >159 >162
>163 >164 >165 >166 >167 >168 >169 >171
1 ◆5nKXNraGc2 (
>>1)
第一話
>83 >84 >85 >86 >87 >88 >89 >90 >91
>92 >93 >94 >95
第二話
>113 >114 >115 >116 >117 >118 >119
>120 >121 >123 >124 >125 >126 >127
ウィンチェスターといえば1894年ものショットガン
>170 >172 >186 >187
2ch専用ブラウザを使うと見やすいかもです。
以降のまとめは誰かエロい人にまかせた。
>>177 そう。極々一瞬のことで、指を弾くのが65刹那だっけ?
書いていくと「ツンデレか?これはホントにツンデレか?」と深く考え出してこれはこれで止まらないね
195 :
Mr.名無しさん:2005/03/27(日) 16:45:01
100%糞スレになると思ってたらまとめ役まで出てきてるのは凄いと思うw
僕の声で、教室が震える。いや、そう感じただけかもしれない。
皆が目を点にしてこちらを見ている。
様子を伺っていたクラスメイトも、
いつも僕を馬鹿にした目で見ていた男子も女子たちも、
そして・・・玲すらも。
教室は、時が止まったようになっていた。
ようやく男子が我に変える。顔をしかめ、ズボンに手を入れ、こちらを睨んでいる。
もう1人の男子も同じような面持ちだ。
僕に突っ掛かられた。それは彼らにとっては喧嘩を売られた、ということだろう。
だけど僕は怖くない。不思議とさっきよりも震えが小さくなってる気がする。
僕は言葉を続けた。
「本を返せよ・・・・・・早く!」
さすがにこの僕の言葉に我慢がならなかったのか、2人がこちらに寄って来る。
咄嗟に玲が割って入る。
「何本気になってんのよ!」男子2人を睨みつけ、静止させる。
しかし2人は明らかに聞いてない様子で、不満な顔をしていた。そして玲は僕の方に振り返り、
「毒男も毒男!落ち着いてよ!」と言い、僕をなだめようとした。
玲の顔は厳しかったが、この不測の事態に対し、珍しく動揺していたのが見て取れた。
僕は考えていた。
こうなったのも全ては玲のせいじゃないか。
玲がこの状況を作ったんじゃないか。
なのに今は、この状況に困惑している・・・。
僕はもう、玲が解らなかった。
僕はすぐさま視線を玲から外し、男子の持っている本に再び視線を合わせた。
その視線に気づいた玲がすぐに男子に言う。
「早く、それ毒男に返しなよ」
男子は面白くなさそうに、こちらに本を持った手を伸ばした。
僕は彼の手から本を奪い取った。それに再び男子はキレそうになっていたが、
今の僕にはどうでも良かった。
僕は本を両手でしっかりと抱えた。自然と顔が笑顔になる。もう涙は無い。
本を取り戻した嬉しさ。そして、心の底から声を出したことから、僕は充実感で一杯だった。
「そんなに・・・それが大事なの?」
僕は顔を上げた。そう言ったのは、玲だった。
いきなりの玲の問いに、僕はうろたえ、素に戻ってしまった。
が、玲は言葉を更に投げかけた。
「それ・・・どうするの?」
玲は、真っ直ぐに僕を見ていた。僕の心を透視するかのような透き通った目だ。
僕も玲を見返す。いつも通りの・・・綺麗な玲だ。だけど、その顔は・・・・・・。
確かにいつもの玲の筈なのに、僕はどこか悲しそうな印象を受けた。
動揺を僕に悟られないようにしているようにも見える。
こんな玲は、初めてだ・・・。
さっきまでの威勢は完全に無くなってしまった僕は、そんな玲の問いに、
「あの・・。いや、これは・・・・・・」
と、口ごもってしまった。
なぜハッキリ言えないんだろう?
これは人に貸すものなんだ。大事なものなんだ。そうハッキリ言えばいいじゃないか僕。
なのに、なんで・・・なんで・・・玲の顔が見れないんだろう・・・・・・?
玲はそんな僕の様子を見て、何かを悟ったようだった。
いつも胸を張っていた玲。厳しい顔を僕に向けていた玲。
それが初めて僕と同じように、下を向いた。
イイヨイイヨー
僕の玲の間だけに、互いを感じ合う空気が流れていた・・・気がする。
しかしそこで女子Aがいきなり声を出し、2人だけの静寂は打ち砕かれた。
「それってさー毒男、あの女の子に貸すんじゃないのー?w」
静かだった僕の心臓が途端に波打つ。こ、この人は、なんて空気が読めないんだ・・・!
「え〜なに?あの子ってー?」 女子BがAに聞く。
「ほら、図書室で毒男と一緒にいた子」
「なにウッソ毒男の彼女?! マジで?!」
僕は焦って否定しようとした。
「ち、違うよ・・・!」
だが焦る僕の態度に更に盛り上がる女子2人。
「なに図星かよ毒男!w」
「えーアタシ顔憶えてな〜い!」
盛り上げるため、良かれと思ってやっているのだろうが、僕には苦痛でしかない。
目立ちたくもないのに注目を浴びる。しかも本尾さんにまで迷惑が掛かる。
それに・・・、それに・・・・・・。
「ね〜、玲は憶えてる?その子の顔〜」
201 :
Mr.名無しさん:2005/03/27(日) 18:35:11
中と半端で止めるなwじらさないでクレw
おい!いいところで止めないでくれ!
今、俺の視線の先に1人の女子生徒がいる。
モデル体型、美形なルックスと凛とした雰囲気、短めの髪。スカートから伸びる
足には一つのくすみもなく、10代にしかない色気を感じさせる。
彼女はウチの名門吹奏楽部の時期部長と言われてる存在で、それだけに芯と気が強く、
楽器の腕前もなかなからしい。おまけにいいとこの娘だって言うから手が負えない。
「俺らなんか、マジで眼中ねんだろーなー」
後ろに座る同級生が、ふとつぶやいた。
まあ確かにそうだな。俺なんかモテない、勉強できない、趣味も無い。鏡を見るたび
親を恨み、恋愛経験の代わりにエロ関係の知識だけが蓄積されている。
こんな俺を筆頭に、こういった男子連中とはまさに別次元の存在だ。お互いの
人生において、こうやって接点を持てるのはたぶん今だけなんだろう。
「……」
「! ……」
「ん?」
そんなあいつは……
「なんか今お前の方見なかった?」
「……見てねーだろ」
俺の、ちょっとワケありな幼馴染だったりする。
エロ入れろや
童貞がエロなんて書けるわけないだろヴぉけ
僕はハッとした。玲の方を見る。しかし玲は下を向いたままだった。
「玲も見たよねー確か」
彼女らが話し掛けても反応を示さない玲。
何を考えているんだろう。
本尾さんとのことを冷やかされていることなど何とも感じなかった。
目の前の玲の胸中が、気になって仕方が無い。
楽しそうに騒ぐ女子2人に、不機嫌なままだった男子2人も絡んでくる。
「なに毒男に女居たの?」
「マジで?可愛い?」
女子たちは笑いながら、本尾さんの説明をする。
「真面目そうな子ー。毒男に似合ってたよ」
マジで?とか言いながら男子たちは話題に乗っていたが、顔はまだキレたままだった。
うすら笑いで彼らの話題に相槌を打っていると、後ろから肩を叩かれた。
友人であった。おそらくずっと様子を伺ってくれていたのだろう。
「もうそろそろ先生来るぞ。自分の席戻ってなよ」
僕は友人の忠告ももっともだと思った。
途中はぐらかされたが、一応本の事を伝えることは出来た。
しかし、
俯いたままの玲が僕は気になって、この場所から動くことが、どうしても出来なかった。
何も言わない玲。
何も言ってくれない玲。
どうして、いつもあんなに元気だったのに、どうして・・・?
僕の足が無意識に前へと進む。一歩、二歩と、玲に近寄る。
友人の手が肩から離れる。
「お、おい?何?どこ行くんだよ!」
友人の声が遠くに聞こえる。
何かに没頭すると他のものが考えられなくなる、僕の悪い癖だ。
・・・どこへ行くかって・・・?
僕は・・・俯いている訳を聞きに行くんだ。
玲の肩に手を伸ばす。
「れ、玲・・・あ、あの・・・・・・」
肩に手が触れる、まさにそのとき、
「はい、着席ー!」
ガラガラと勢いよく開くドアの音と共に、担任の野太い声が聞こえて来た。
僕は焦って手を引っ込め、自分の席に戻る。
騒いでいた女子たちもダルそうに自分達の席に座っていった。
玲は席に座ってからも、俯いたままだった。
ふと手に握っていた本を見る。頭の中に本尾さんの顔が浮かぶ。
本尾さんを考えると必ず幸せな気分になった。
・・・少なくとも、今日の朝までは。
今の僕は、見えない玲の顔に胸を痛めている・・・。
あの時僕は、玲になんて声を掛けるつもりだったんだろう・・・・・・。
HRが終わると、玲は何事も無かったかのように仲間達と会話を始めた。
いつも通りの明るい玲だった。遠めで僕はそんな玲に戸惑いながらも、少し安心していた。
そこに友人が近づいてくる。
「お前、朝何やってたんだよ。先生呼ぼうか迷ってたんだぞー?」
真剣な顔をしてる友人に対し、僕はとても申し訳のない気分になった。
「ご、ごめん。ちょっと・・・」
そう言うと友人は、
「まぁ別に喧嘩とかにならなかったからいいけどさー」 と、鼻息を荒くして言った。
「僕がそんなこと出来る訳無いよ」と言うと、友人は豪快に笑って「それもそうだな」と言った。
209 :
Mr.名無しさん:2005/03/28(月) 03:37:16
僕はその日、全ての授業が終わるまでぼんやりとしたままであった。
玲の事が気になっていたのと、本尾さんになんて言ったらいいか悩んでいたからだ。
それらの問題に対しての解決案が出ないまま帰りのHRも終わってしまい、
憂鬱な下校時間となってしまった。
帰る支度をしながらふと玲の席を見る。
机に掛けてある鞄が無い。玲は既に帰ってしまったようだ。
僕は1つ、溜め息をついた。
しかし憂鬱は続く。
そして図書室の前で僕はもう1つ、大きな溜め息をついた。
本尾さんに、なんて言って謝ろうか。
探すと彼女たちは言っていたが、正直当てにはならない。ここは正直に言うしかないだろう。
だけど本尾さんのことだ。相当落ち込むに違いない。
僕は図書室に入る踏ん切りがつかず、しばらくウロウロした後、トイレに篭ることにした。
今すぐ図書室に入り事情を説明する、すると重い空気が僕らの間に流れるだろう。
・・・・・・それに僕は耐える自信が無い。
だからここは、時間ギリギリに行き、帰り道で話そう。
さすがに逃げ場の無い空間での話し合いよりはマシになる・・・と思う。
そうウジウジと考えながら、僕は図書室閉館時間の少し前までトイレに篭ることにした・・・。
すいません1です。
立て逃げみたくなって申し訳ないです。
いま家と仕事のことで混乱してまして。
四月には一段落すると思いますので、また書きます。かならず。
誰も期待してないと思いますが、ご報告を。敵前逃亡じゃないっす。
小説書かれてるみなさん、がんばってください!
211 :
Mr.名無しさん:2005/03/28(月) 13:13:08
いいよいいよー。
212 :
Mr.名無しさん:2005/03/28(月) 15:07:20
>>210 デジャヴか・・・・・
つーか、書けなくなるのがわかった時点で言えと
まぁ、どうせ忙しいとかウソでネタ全部書いて推敲して、満を持して登場するつもりなんだろうがなーーーwww
213 :
Mr.名無しさん:2005/03/28(月) 15:18:35
>212
日本語はもうすこしうまく書いてくれ
214 :
Mr.名無しさん:2005/03/28(月) 15:21:09
ニダーは日本語苦手ニダー
215 :
Mr.名無しさん:2005/03/28(月) 15:41:45
俺も書いてみた。
飽きっぽいから、すぐ終了するかも。。
週末ともなると、この街唯一の繁華街には多くの人が集まる。
目抜き通りは仕事帰りのサラリーマンやOL、学生、
店の呼び込みやサンドイッチマンで混雑していた。
繁華街の外れ、飲み屋と風俗のエリアのちょうど
境くらいに乱立している雑居ビルの一角に
小さなビリヤード場があった。
薄汚れたビルの2階にあるその店には
小さなバーカウンターがあり、
カウンター前には、常連客が使用すると思われる華台が2台、
その奥に3台ずつキレイに並んだビリーヤード台が
三列に配置されており、計11台のビリーヤードテーブルが置かれていた。
これらの台はカップル客やグループ客でほぼ全て埋まっていた。
そして一番奥のビリヤード台で
男が独り玉撞きをしていた。
多くの客が、恋人や友人と一緒にビリヤードを
楽しんでいるのにもかかわらず、
男まるで苦行僧のごとく、険しい表情をしながら
黙々と同じ的玉の配置を繰り返し練習している。
その男の姿は、否応なしに目立っていた。
練習に集中しているためだろう、
若い女の店員が自分の練習風景を
後ろから見つめていることに気がついていない。
「最悪ね、初心者じゃないんだから、
あほみたくキュー先をこじってるんじゃないわよ」
とても接客中とは思えない態度で、女店員は男に話しかける。
男は後ろを振りむき、女の姿を一目すると
何も言わずにビリヤードの練習に戻る。
無視された形の女は、男のそばまで寄っていくやいなや、
男が持っていたキューを取り上げ、さらに厳しい口調で話しかけてきた
「だから、キュー先をこじってるてば、この下手くそが」
男は「やれやれ」とでも言いたげな表情を女に向けた。
「別に、てめぇにコーチ頼んでないし……
気が散ってうまくいかないから、向こうに行ってくれんか」
男のそっけない物言いに、カチンときたのだろう。
女の眉毛がピクピクと動くのがわかる。
「あ〜ら、人がせっかく好意でアドバイスしてあげたのに
ムカツクいいようねぇ〜〜。
だいたい、自分の下手くそぶりを
アタシのせいにするとは、いい度胸じゃない?」
「悪かったよ、えーと、こじりがあるんだな。
じゃあ意識してキュー出しをしてみるよ。
でっ、そろそろキューを開放してくれないか、
君の手の油でキューの滑りが悪くなるからさ」
女の指摘に少しは反省したのだろう、男の険しかった表情から棘が消え、
いたずらっぽい笑みがこぼれる。
「あっ、アタシの手はサラサラのスベスベじゃわい
油ぎっとるわけないやろが」
女はパンツのポケットからハンカチを取り出した。
そして、キューのシャフトをハンカチで乾拭きし始める。
黙って、キューを拭く女の仕草を見ると、
とても先ほどまで、憎まれ口を叩いていた人物と
同じだとは思えない。
キューをライトの光にかざし、
大きな二つの目で状態を確認しながら丁寧に乾拭きをする。
黒のベストにチョーネクタイ、黒い細身のパンツの制服姿で
ビリヤード・キューを持つ女の姿には気品すら感じられた。
「はい、返すわよ」
ぶっきらぼうに、キューを男に手渡す。
表情とは裏腹に、その渡し方は優しく丁寧だった。
女が、ビリヤードプレーヤーにとって
キューがいかに大切か理解してるからだろう。
ビリヤードプレーヤーにとってキューはとても大切道具であり
自分のキューを他人に触られるのは気分がいいものではない。
男も女を信頼していたのだろう。
とくに自分のキューを触れられことに腹立てた様子はない。
「サンキュー、冗談だからそこまで
丁寧に乾拭きしてくれなくてもよかったんだけどね」
ケラケラ笑いながら、
男はキューをテーブル脇のキュースタンドに立てかけた。
「だったら、さっさとそう言えや〜〜
アタシに余計な仕事をさせるなや」
女は男に歩み寄り,、小声で声を荒らげる。
男は自然と女を見下す。女の顔はちょうど自分の
肩の当たりであろうか。
男の身長は170センチの前半で、そう高くない。
したがって、女の身長は160センチあるかないかぐらいであろう。
ただし、女は顔が小さく、背筋がキレイに伸びている、
また体型は華奢であり、股下も長い。
そのため、女の背は見た目より遙かに高く見える。
いわゆるモデル体型というやつであろうか。
「だいたい、さっきまで一緒にいたカノ女はどこいったのよ」
くるくると変わる女の表情はまるで子猫のようである。
「帰ったよ」
男は女から逃げるように壁際へ移動し
そこに置かれているイスに腰をおろす。
「ふーん、アンタあまりの下手くそっぷりに愛想を尽かしたわけね
でっ、ビリの独り練習してるというわけか、ふむふむ」
女も男の後を追うように、ゆっくり移動する。
男が座ったため、一転して女が男を見下ろす立場となった。
その位置関係に気を良くしたのだろうか、
女は腕を組み、不敵な笑みを浮かべる
「おい、勝手に納得してるンじゃねぇ
だいたい、あの娘はカノ女でもなんでもないし」
男は必死で言い返すものの、どちらが優勢かは
もはや誰も目にも明らかであった。
「あの娘も、いやあの娘たちって言ったほうがいいかしらねぇ
ホント気の毒よねぇ。榊原はとっかえひっかえで、
毎日違う女を連れてきては、イヤらしい手つきでコーチ。
そのくせ、ビリの腕は下手とくれば、そりゃ女も愛想尽かすわ」
「おい、だから妙な勘ぐりはやめんかい」
榊原と呼ばれた男の言葉には耳も貸そうとせず
女の口撃は激しくなる一方だ。
「お客様、ウチはマジメにビリヤードを楽しむためのお店ですので
ナンパ目的での使用はご遠慮願いたいのですが」
いままでの軽快な口調とはうって変わって接客口調で言い放つ。
その女の言葉はまるで勝利宣言のようであった。
ここらでまとめようぜ
今までのを見直して、おまいらが続きを読みたいやつを挙げてみれ
毒尾は、むかつきつつも気になる存在だw
いろんな話がごちゃまぜな、
この混沌としたスレが大好きだ。
とりあえず〉〉1が生きてた。まあがんがれ。
俺は9のが一番楽しみだ
ごちゃまぜ状態だから、マトメ
丸出毒男
>9 >13 >14 >16 >17 >18 >19 >20 >23 >24
>25 >26 >28 >29 >31 >32 >33 >34 >35 >38
>41 >48 >49 >50 >51 >56 >57 >58 >59 >60
>61 >62 >63 >64 >65 >66 >67 >68 >69 >70
>74 >75 >76 >77 >153 >154 >155 >157 >158 >159
>162 >163 >164 >165 >166 >167 >168 >169 >171 >196 >197
>198 >200 >206 >207 >208 >209
1 ◆5nKXNraGc2 (
>>1)
第一話
>83 >84 >85 >86 >87 >88 >89 >90 >91 >92
>93 >94 >95
第二話
>113 >114 >115 >116 >117 >118 >119 >120 >121 >123
>124 >125 >126 >127
ウィンチェスターといえば1894年ものショットガン
>170 >172 >186 >187
時期部長は誤変換?
>203 (←以下、続けますか?)
飽き男 ◆PSR4/aLv0Y
>217 >218 >219 >220 >221
2ch専用ブラウザ(
http://www.monazilla.org/)を使うと見やすいかもです。
誰か「オレがまとめをやる!」っていうエロい人はいませんか?
>>225 俺漏れも
228 :
Mr.名無しさん:2005/03/29(火) 01:02:18
毒男も面白いが
>>1とウィンチェスターも続き書いてくれよ
男のごつごつした手が紗夜の細い首を絞めあげる
「やめろ!その手を放せ!」
しこたま殴られ力の入らない体で精一杯の金切り声をあげる。
「お…にいちゃ…たすけ…」
妹の紗夜が苦しそうに呟き、そして…
「ひあっ」
俺は突然のくすぐり攻撃で目を覚ました。
「おっはよぅ!起きた?」
麻夜姉が俺に馬乗りになりながらにこにこと微笑む。
「お、起きた。起きたからどいて…重い…」
「重い?失礼ねぇ〜。このスタイル抜群のお姉様のどこが重いって?」
言いながら俺の頬をぐりぐり引っ張り回す。
この人は俺の従姉でいつも俺にこうやってベタなちょっかいを出してくる。
「あ、こんなことしてる場合じゃないや。遅刻しちゃうから早く起きなさい」
言うやいなや、たたたっと軽快な足音を残して麻夜姉は部屋から出ていった。
取り残された俺も、もそもそと着替えると簡単に身支度を整え居間に降りた。
居間に降りると既に俺以外のみんなは朝食を食べ始めていた。
朝から元気な麻夜姉とおっとりした叔母の葉子さんと
低血圧でぼーっとしながら目玉焼きを箸でつつきまわしてる従妹の結衣。
「おい、ぼーっとしてると黄身が制服につくぞ」
「んん…?」
眠そうな眼で俺を見る結衣。
「言われなくてもわかってる」
結衣がぶっきらぼうに答える。
どうも俺はこの家でこの子にだけ良く思われてないようだ。
「あらあら朝から二人とも仲がいいわね」
一瞬にして気まずくなった俺達を見かねてか葉子さんがちゃちゃを入れる。
「「どこが!?」」
俺と結衣の声がハモったのを見て葉子さんはくすくすと笑う。
「ごちそうさま!」
結衣はバンっと箸をおいて席を立ってしまった。
去り際、少し顔が紅いように見えたのは怒りのせいだろう。
「じゃあ、さっさと支度して学校行くよ」
やれやれと言った様子で麻夜姉が言う。
いつもの日常。いつもの朝の風景。
けれど、俺は春の始まりとともに少しずつ変化の足音を感じていた。
ついでに
>>187の続きも書いちゃう。ベタだけど。
俺は医務室で目を覚ました。
目の前では心配そうに見つめる彼女の顔。
彼女は慌てて俺から飛び退き、医務室の出口へ駆けていった
が、動揺して足がもつれ派手に転んだ。
「大丈夫?」
僕は彼女に声をかけた。
「き、貴様に心配される筋合いはない!」
彼女は肩をビクリと震わせ振り向くと涙目でこたえた。
「あ、ごめん。その、ありがとね」
「何がだ?」
「気絶してる間、看ててくれて」
「なっ…」
「それに君がここまで運んでくれたんだよね?ぜぇぜぇ言いながらさ」
「そんなわけなかろう!
私はただ…そう、額を怪我したからここに寄っただけだ」
と、今さっき目の前で転んで出来たこぶをこれ見よがしに指差した。
「じゃあ、そういうことにしておくよ」
彼女がうろたえる様子がおかしくて笑いながら答えた。
「わ、笑うな!」
朱くなった頬を膨らませて彼女は抗議する。
こうして見ると彼女はまだまだあどけなさが残りずいぶんと可愛い女の子だな
少しの間、彼女に見とれてしまった。
「じ、じろじろ見るな…」
彼女は恥ずかしそうにうつむいた。
「あ、ご、ごめん」
気まずい沈黙
暫くして彼女が珍しく微笑んだ。
でもその笑顔がやけに辛そうで胸がざわつく。
「良かったな…おめでとう」
「え?」
言葉とは正反対の悲しい響きを残し
彼女は何かを吹っ切るように走り去って行った。
その翌日
教官から彼女は一ヶ月の謹慎処分を受けたことを知る。
何やら王女が直々に告訴し追放処分を宣告されたそうだ。
教官の嘆願で追放は免れたが、それでも彼女の受けた心の傷は測り知れない。
処分の理由は同僚の誰にも知らされず、様々な憶測や中傷が飛び交ったが
どれも僕には信じられず、教官に真相を問いただしたが
「お前には言えない」と切り捨てられた。
そして稽古にも絵にも身が入らず、ぼんやりと過ごしていた俺は
王女のもとへ参上するようにとの命が下った
234 :
Mr.名無しさん:2005/03/29(火) 07:12:56
↑ウィンチェスターは「僕」と「俺」がいて、
>>231は「僕」視点の続きと思われ。
>>231の一人称がごっちゃになってるからわかりにくいんだな。
続き書くときは気をつけれ。
235 :
Mr.名無しさん:2005/03/29(火) 13:58:20
kitaiage
つーか、名無し妄想が乱立しててまとめが難しい。
軽くコテするか、タイトル等の目印を入れてくれると助かる。
毒男書いてる者ですが、いつの間にかまとめ役さんまで出てきていることにビックリです
混乱避けるため次はまとめて投下するようにします
何人かの楽しみにしてくれてる読者さんの為に、頑張ります
238 :
Mr.名無しさん:2005/03/29(火) 23:42:01
そろそろまとめサイトキボソヌ
239 :
Mr.名無しさん:2005/03/30(水) 00:19:39
更新分だけ
ウィンチェスターといえば1894年ものショットガン
>170 >172 >186 >187 >231 >232
BADEND系?
>229 >230
>>237 がんばれ。完結させてくれれば文句なし。
>>238 自分には無理です
241 :
Mr.名無しさん:2005/03/30(水) 07:03:56
じゃあ俺が「すると…」の続きを書いてみる。
俺はもう暫く様子を見守る事にした。すると…
第七話「ウィンチェスターは辛いよ」
「真昼間から覗きなんて、良い趣味してるのね」
不意に背後から声をかけられたので一瞬驚いたが、後ろを振り向く事はしなかった。
声の主が誰なのか、確認しなくても俺にはわかっていたから。
「…覗きなんて人聞きの悪い事言わないでもらえますか?ヴァギナさん」
そう言いながら俺はようやく「彼女」の方に目をやった。
ニヤニヤとこちらを見つめている彼女は「ヴァギナ」。クラスメイトだ。
242 :
Mr.名無しさん:2005/03/30(水) 07:04:39
ヴァギナとは今年の春に知り合ったばかりだが、何故だか不思議と馬が合った。
俺の本当に数少ない、貴重な女友達の一人だ。
「あら、だったら何をしてたのかな?ペニス君は」
「あそこの二人が組み打ちしてたから見てたんだよ。見取り稽古ってやつさ」
「ふーん…って、あれ?リースじゃない」
(リース?…リース…あっ、そうだ!)
俺はようやくウィンチェスター嬢のフルネームを思い出した。
彼女の名はクリトリス・ウィンチェスター。親しい友達からは今みたいにリースと呼ばれている。
243 :
Mr.名無しさん:2005/03/30(水) 07:05:19
「うんうん、そうだったそうだった」
「…?」
一人で納得してる俺をヴァギナが怪訝な顔で見つめていたが気にしない事にした。
ウィンチェスター嬢はまだ気絶したままの男を肩に担ぎ、
どこかへ運ぼうとしているが(医務室か?)その足付きはヨロヨロといかにも覚束ない。
「…何だか大変そう。私、ちょっと手伝ってくるね。おーい、リースー!」
そう言って軽やかに駆けていくヴァギナ。そして独り残された俺は―
「パンでも買いに行くか」
と、購買部へ向かうのだった。
245 :
Mr.名無しさん:2005/03/31(木) 12:36:30
☆
続きも新作もがんがんやっておくれよ!
>>184のツンデレロマンポルノまだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
チンチン
248 :
Mr.名無しさん:皇紀2665/04/01(金) 06:19:50
松田優作の探偵ドラマのテーマソングで
「ばっしりっば!ばっしりっ!ばっしりっば!」
って曲なんだけどわかる?
249 :
Mr.名無しさん:皇紀2665/04/01(金) 08:47:06
bad city
250 :
Mr.名無しさん:皇紀2665/04/01(金) 15:24:55
保守
もしかしたら日曜くらいに書けるかも
252 :
Mr.名無しさん:2005/04/02(土) 10:13:07
ほす
公開プロキシから投稿できないってさ。どーゆーこっちゃ。
255 :
Mr.名無しさん:2005/04/03(日) 23:53:08
教室の窓の向こうには、乾いた筆でアクリル絵の具を塗りつけたような濃い蒼空が広がっている。
視線を変えると彼女の背中。じっとりと汗をかき、透けたブラウスがはりついてなまめかしい。後ろ
から突き上げるとはだけたスカートから見えるお尻の肉がそれに合わせて波打つ。
月は6月、季節は夏。幸いエアコンが設置されている涼しい教室の中で互いに目線を合わせるで
も甘い言葉をつむぐでもなく、ただ抱き合い体をぶつけてる。
「……あっ…あっ…あっ…」
机に手をつき後ろから攻められてる女の方も冷めた顔で腰を振り、お義理で適当に喘いでる。はだ
けた制服の下から意外に肉付きのいい裸がはみ出して、浮いた汗が匂いになって鼻に入る。本来
なら不快にしか感じないだろう汗のにおいだけで背筋を快感が走るのを感じて、そんな自分は変態
なのかな、とちょっと思う。
「…さっさと、あ、出してよ…、長い、んっ…わ、ね…」
途中突かれるたびに喘ぎ声を混ぜつつ、こちらに一瞥くれるとそう言う彼女。
「も、もう、ちょっと、…あ、あ」「んんっ!、あ、あぁ…」
彼女の腰に回していた腕に力が入る。コンドーム越しに彼女の中に射精。それで終わり。お互い
何も言わず、二人の荒い息だけがエアコンの風に乗って教室をただよう。
「はぁ…はぁ…はぁん…終わったら、さっさと抜いて…」
「──あ、あぁ、うん」
その言葉に我に返ると、彼女の中から離れて、ゴムを取ると口を結んで、ティッシュでぐるぐるくるん
でしまう。
その一連の動作を疲れたのかしばらくへたり込んで眺めていた彼女は、おもむろに取り出した
ポケットティッシュで股を拭き、後始末を済ますと、「じゃ」と立ち上がり、身支度を済ませてさっさ
と帰っていく。
こちらもそのなにも感情を見せない背中を見送って、電車一本分の時間を潰してから帰る。放課後
のこの関係が発生してからもう一ヶ月が過ぎようとしてた。
そう、事情を説明するには一ヶ月ほど遡る。五月末の中間考査2日目まで。
彼女の名前は片瀬青葉、僕の名前は柏木賢二。出席番号は36番と6番。女子は31番から始まるか
ら。名簿順に机を並べていけば僕たちは教室窓際の最後列に隣同士並ぶ事になる。
だからそれは偶然だ。
最後列窓際に座った片瀬がカンニングをしたのも、彼女がカンニングペーパーを仕舞おうとしたと
したその決定的瞬間に、ちょうど外を眺めようと顔を上げた僕と目があってしまった事も。
「柏木、ちょっといい?」
その日、帰ろうとした僕は隣に座る彼女に呼び止められた。
「なに?」
そうしているうちにクラスからはみるみる人がいなくなっていく。昨日もテスト、今日もテスト、明日も
テスト。早く帰りたいのはみんな一緒だ。
「見たわね?」
主語は必要ない。そう言いたげだ。事実そして必要は無かった。
「まー、見たけど」
「そう、見たか。ドアに鍵掛けて」
誰もいなくなった教室で、言われるままに鍵をかけて回る。たしかに人に聞かれたい話ではない
だろうから。
「柏木ってどうせ童貞でしょ?」
「はぁ!? 」
背中から掛けられた問いに一瞬頭が真っ白になる。
「ふん、やっぱり」
「それとお前のカンニングとなんのかん─」
けいがある、と続けられなかった。振り返ると片瀬はブレザーを脱ぎ、胸のリボンを外し、ブラウスの
第3ボタンまで外していたからだ。
鍵の掛かった誰も居ない放課後の教室で服をはだけた少女がニヤリと笑う。
「この場でチクらないと誓うなら私の処女をあげるわ。悪い話じゃないと思うけど?童貞の柏木クン?」
「何を… 」
顔に血が昇っていくのを感じながら後ろずさる僕を相変わらずニヤニヤ眺めながら、彼女はスカートの
ホックに手をかける。ぱさりとチェックの布切れが落ちて下半身が露わになって落ちたスカートを紺の
ソックスをはいた脚がまたいでまた一歩こちらに近づいてきて意外にボリュームのある乳房が揺れた
「そっちも早く脱ぎなさいよ、見つかりたいの?」
二人っきりの教室で彼女の裸を見てしまって処女をあげるなんて言われてこのころにはこちらは
思考力なんてものは校舎の外にフルスイングで放り投げていた僕はそれはもう言われるがままに
流されてまくってかちゃかちゃとベルトを緩めてパンツを脱いでしまった片瀬も最後に残った下着も
脱いで机に手を付いてこちらにお尻を向けていて初めてモザイク無しで見るそれはとてもとてもグロ
テスクでこれを舐めたりする心理は多分一生理解できないだろうなと思いながらソコに手を伸ばして
触ってみると穴は予想とはズレた位置にあってビックリしながらボクはもっとそれが見たくなってさら
に顔を近づけてみるてもやっぱりそれはグロテスクでこんな小さな穴にホントに彼女の脚が動いて
「バカ!」
蹴っ飛ばされた。真っ赤になった顔がこちらを向く。
「鼻息荒くしてなにジロジロ見てんのよ!さっさと終わらせてよ」
「ホントにいいんだな」
微妙に震えている腰を掴むとさっき確認した穴にあてがう、ものすごく熱くてその感覚がかえって
非現実的だった。
「黙ってくれるなら。…ほ、ほらさっさと挿れなさいよ」
それでも目の前の彼女がそう言うので、ムリヤリこじ開けて入っていく。熱さに加えて壁にムリヤリ
侵入してるような強い抵抗で亀頭が潰されそうな感覚。
「いた、痛い! 、痛いって!」
だがそんな感覚は彼女の痛みの比ではないようで、机の端を握る彼女の両手はぎゅっと握られて
いた。
だけどこっちはまだ入れたばかりで興奮して血が逆流した頭でさらに侵入を試みる、この感覚を
もっと貪ってみたい。ギチギチと擬音が聞こえそうな程の抵抗でそれは彼女の痛みに正比例して。
頭を振り乱し全身を震わせて痛みに耐えていた。噴き出している脂汗。
「ちょっ、ちょっと、ホントに痛いから! 、抜いて、一度抜いて!」
苦しい声で、悲鳴に聞こえるその声で、我に返った僕は一気に腰を引いた。そのときの最後の
勢いの摩擦だけで
「あぁ。あ」
発射してしまった。射精された精液が彼女のお尻やふとももにかかって、それは彼女がかいた
汗と混ざり合っていく。
「…はぁ、はぁ、はぁ」
しばらく言葉も出なかった彼女だったが。
「もっと優しくしてよ」
それだけをなんとか口にしたという感じだった。そして沈黙。あとはずっと。
何かしゃべるきっかけをつかめないまま重い沈黙だけが続いていく。
「…………あの、大丈夫?」
ようやく口を付いて出たのがこれかよと思うが、これが限界。
片瀬はため息をついて言葉を繋げた。
「──ヘタクソ」
ぐうの音もでません。片瀬はノロノロ立ち上がると股の血や尻に付いた精液をティッシュでふき取る
と服を着始めた。
僕も居心地悪い気分でパンツをはく。
「一緒に帰って誰かに見つかると困るから、柏木は次の電車に乗って」
ドアにかけた鍵を開けながら背中越しにそう言われた。
「あぁ、わかった」
「何も喋るんじゃないわよ」
「わかってるよ」
「明日からちゃんとゴム持ってきてよね」
「わかったよ」
ぴしゃん、とドアを閉めて去っていく背中に答えた。
誰も居なくなった教室。篭った匂いに辟易して窓を開けて。次の電車は何分だっけと時計に目を
やり、そこでようやく気が付いた。
「……明日?」
バカバカしいと思いながらもわざわざ10駅近く遠出した先のドラッグストアで4時間近く店内をウロ
ウロしてコンドームを買った。
次の日のテストは散々なデキだった。
そしてテストが終わった教室で僕はなぜかというかやっぱりというか片瀬とセックスして、時間差を
つけて帰って。そんな関係がそのまま7月に入っても続いている。
夏服の白がびっしりと詰め込まれた電車を降りて、改札から吐き出されてるように出て行く。この
小さな駅が混雑するのは登下校の時間だけだ。
生ぬるい朝の空気を感じながら駅前のコンビニに寄ってファミ通と目覚まし代わりのブラックの
缶コーヒーを買う。残金169円。来週になれば小遣いが入るがそれまでは厳しい事になりそうだ。
コンビニのビニール袋を提げていつもの道を歩く。山を削って作られた土地に住宅地とともに整備
されたこの学校、登校中の景色はいいが勾配のある道をせっせと歩くのが難点。自転車通学のヤツら
は特にこの季節、毎日汗まみれになって登校してきている。
登校して3階の教室のドアを開けると窓際の席にいつもどおり片瀬が座っている。その隣の机に座り
カバンを横に引っ掛ける。
「おはよ、柏木」「おはよう、片瀬」
毎朝繰り返してるいつもの挨拶。このあと「○時に」と片瀬が時間を指定し、それに「わかった」と返せ
ば1日の会話は終了するのだが、
「しばらくは相手しないわよ」
言いながら机に突っ伏し、ダルい口調で「体調不良」と続けた。その言葉に実は少しホッとする。
最近は痛いとかは言わなくなったがそれでも慣れたようでもない行為を義務感でこなされているようで
罪悪感めいたものがぬぐえないわけで。
「わかった」
いつもどおり返すと、買ってきたファミ通を読み始めた。コーヒー缶を開ける。ぷしゅっと音が響く。
だから「私の体調不良よりファミ通が大事か」という呟きはそのときは気が付かなかった。
となりで片瀬はカバンからバファリンを取り出すとペキペキと2錠出して口に含む。
「ふぃづ」(どうやら水と言いたいらしい)
「トイレまで行けば水道水が」
そう言い終わるより先に机の上においておいたコーヒーがひったくられる。彼女の白い喉が動いて
ぐいぃっと一気飲み。
「…ぐ、にガッ、なによこれ!? ブラック? 」人の飲み物をパクっておいてこの態度。
「だったら水道水でガマンしとけよ」
「絶対イヤよ、あんな臭いの」
空になった缶を僕の机の上に戻すと、こちらが反論する前にもう一度突っ伏して目をつぶり居眠り
モードに入られてしまった。
そこからその日の授業が全て終わるまで──それはいつもどおりなんだけど──二人の間に会話
はなかった。カバンに教科書詰めて難儀そうに引きずるようにして帰っていく片瀬を横目に見て、それ
がいつもの習慣に基づいている事に苦笑する。別になにもしないなら電車を1本ずらす必要はない。
むしろさっさと帰るのが自然だ。校舎から駅に向かって一斉にあふれ出す人の波に乗って朝とは逆に
坂を下っていく。
坂にそって続く人ごみの中に片瀬の後姿を見つける。ここ一ヶ月見慣れた背中が歩いている。
思えばなんなんだろうかこの関係は。特別仲がいいわけではない。1日隣にいてなにか会話がある
わけじゃないし、向こうからも話しかけてくる事もほとんど無い。放課後の時間を除けば一緒に行動
するのを避けてるようだし、セックスはしたけどキスはさせてくれない。ついでに言うと「アンタの顔見な
がらするなんてイヤ」という理由で後ろからしかさせてくれない。そもそも事の発端となったカンニング
の動機や、そこからなんでこんな関係になったのかなんて想像の限界を超えていて理解不能だ。
始まりからしてアレなんだから何か特別の理由があったわけではないのだろうなというのは解る。
例えば僕がアカギって苗字だったりしたら、逆に片瀬がアイカワだったりしたら、それだけで何も始ま
らない関係だったわけだ。
だからやっぱりこれを機会に何にもなくなって終わってしまっても、それはそれでしょうがない…、
のかなぁ、やっぱり。
なんていうかとりあえず並んでるけど絶対に交わらない感じ。
遠く陽炎の向こうから伸びてくる2本のレールの間に、挟まれるようにこじんまりと立てられた駅の
ホーム。やってきた電車の二両先のドアから乗り込む彼女を横目で見るしか出来ないでいた。
土曜日。隔週週休二日制なので出て行かないといけない日は出て行かねばならない。
いつもどおり家を出て金欠のためコンビニをスルーし、いつもどおりに登校していつもの教室。
「ふぃづ」体調不良2日目の片瀬。
「今日は無い」
「ふかえないあね」(使えないわね? )
バリボリとクスリを噛み砕いて飲み込んだ。
「…うー…今日はパス、保健室で寝てくるわ」
椅子から立ち上がって教室を出て行った。
そのまま片瀬は本当に1日帰ってこなかった。もう下校時間で隣の机には片瀬の鞄が掛かったまま。
帰る時間である。用事は何も無い。一応荷物まとめて保健室まで届けたほうが良いのだろうか?
でもそれをすると余計な事するなと怒りそうでちょっと考える。女子の私物に触るのに抵抗もある。そう
だこれはヤツの鞄だ僕があずかり知るところではない。帰ろう帰ろう。うんうん。
教室を出て階段を一階まで降りてくる。このまま目の前の出口を出てしまえば家まで直行だ。しかし
ここで右に曲がればすぐ保健室に行けることに何故だか気付いてしまってやっぱり考える。
一応様子だけは見てみるか、寝てたり帰ったりしてたらそのまま僕も帰ればいいや──。
気まぐれに近い、と自分では思う、そんな気持ちで保健室まで来てしまう。土足厳禁らしいので靴を
脱いでスリッパに履き替える。
「しつれーしまーす」
中には机に座った保険医が一人。保健室なんて考えてみればお世話になったことなんてなくて
ちょっと緊張する。
「えーと2-Bの片瀬さんは? 」
50超えた世話好きオバちゃん風体の保険医は「そこで寝てるわよ、起こして連れて帰ってちょうだい」
とボールペンでベッドのあるほうを指した。カーテンをこっそり開けて入ってみる。
「…………」
すー、とキャラに似合わない可愛い寝息を立てて片瀬が寝ていた。今まではこんな普通の顔なんて
見たことないので少しドキドキする。妙に意識してる自分がメンドクサイ、どう起こせばいいんだろ、肩
でもゆすってみればいいのかな、怒るかな。でも起こせって言われたしな。
「片瀬、片瀬」
とりあえずシンプルに肩をゆすってみる。すぐに反応があってぼんやりとまぶたを開いた。
「…んー……?あ?、あああああぁあああ!?」
寝ぼけ眼を思いっきり見開いて驚き、壁に頭ぶつけそうな勢いで後ずさる。
「あ、なっ、なななんで!?、何でアンタがいるのよ!?」
色が薄いから顔が赤くなるとすぐ分かるなぁ、とずれたところを感心する。
「いや、ちょっと、様子見に、かな…?」
「片瀬さーん、もう大丈夫でしょ?そろそろ帰りなさい」
保険医が座ったまま声を掛けてくる。
「あ、はーいっ。もしかしてもう放課後?」
前半は保険医への返事。後半の問いに頷いて、ついでにケータイを出して時刻を見せる。片瀬が
ため息を一つ。
「そうか、んじゃ帰るか」
ベッドから降りてスリッパを履きながら彼女がこちらに手を出す。「ん」
「ん?」
「ん?鞄。アタシの」
「あー…、教室」
「はぁ?持ってきてくれなかったの?」
もう一度こんどは盛大なため息をこれ見よがしに吐く。「アンタって心っ底使えないわね
つ。。。続きを・・・はあああああああああああああああああああああああああ
うおおおおおおおおおおおおおおおおお
>>256 うわ、続きがものすごく気になる。おもしろいなー。
文章書くのなれてる感じですね。がんがってください!
というわけで、こそっと第3話です。
第三話 いろいろとそれぞれ
(1)姉と弟
休日の昼すぎというのは、大抵がゆっくりまったりと時が流れていて。
椎名(しいな)家も例外ではなかった。
「ねーちゃん、ウイイレやらない?」
「・・・・・・あんたねえ、受験生はおとなしく勉強してなさい。
白校(しろこう)はそんなに甘くはないわよ」
受験生と呼ばれた男は、視線をテレビ画面にむけたまま話す。
居間のソファにあぐらをかいて座っていた。
テレビにはサッカーゲームの映像。手だけがせわしなく動く。
「大丈夫だよ、模試ではAクラスの合格圏内だし。
いいよ、シンにぃ呼ぶから。どうせヒマしてるんだろうから」
「どうぞ、ご勝手に」
なんの抑揚のない言葉を聞き、おもしろくなさそうに男は口をひらく。
「・・・・・・あれ?そういう反応なの?」
「そういう反応だけど、どうかした?」
またもそっけない応対に、口をとがらせる。
「まあ、いいけど・・・・・・つーか、ねーちゃんもいっしょに見てようよ。
ゲームしなくてもいいから、さあ。
シンにぃのゲームやってるとこ見ると笑えるよ。顔なんか必死だし戦略もムチャクチャだし」
「私はいいから。宿題があるから」
それだけを言い放ち、自分の部屋にもどろうとする女。
とんとん、と階段をのぼる音。
「うーん、年頃の子はむずかしい」
はは、と苦笑いしながらも手はコントローラーを握りしめていた。
(2)で、いっしょにゲームはやったものの
「なんで、家に来ないのさ?」
「いや、外に出るのめんどいし」
俺の部屋にはケンタが来てる。二人並んでベッドにすわりウイイレしてる。
こいつ受験生なのにこんな事してていいのか?俺の高校けっこうレベル高いぞ?
ヒマしていた俺にとってゲームのお誘いはうれしいものなんだけど。
家に遊びに行くってのは、ちょっとなあ。
彼女に何いわれるかわからないし、休みの日まで顔をあわせたくないだろうし。
だから俺の部屋に誘い返した。
「でるっつっても、まっすぐ歩いて5歩だよ?家にくればよかったのに。
かーちゃんもねーちゃんもよろこんだのに」
「まあ、なあ・・・・・・」
歯切れの悪い返事をしながらも、晋平ジャパンのFWはドリブルで突破しようとする。
が、スライディングであっさりカットされる。う、こいつうまくなってやがる。
「なんでパスしないのさ。いっつもドリブルばっかで手が読みやすいんだけど」
「いや、マンガだと一人でつっこんで全部かわしてゴール、ってのあるじゃん。
あれやりたいんだよね」
「あはは、シンにぃらしいや。でもそれは俺には通用しないっ!」
ボールは転々と選手にパスされ、あっという間にゴール前。右上ポストすれすれを狙う強烈なシュート。
画面には大きくゴールの文字がくるくる踊る。派手によろこぶ選手の姿。おい何点目だよこれ。
ハンデもらってるのに勝てねぇなあ。
「そこで、俺は推理したわけですよ。なんで家に来たくないのかを」
試合は俺のボールで再開する。またもドリブル一点突破を図ろうとする。
「あのさ、シンにぃに電話したとき、ねーちゃんが家にいるかって聞いたでしょ?
俺はそこにこの事件を解決するカギが隠されてると思うんだよね。違う?」
ボールはまたもあっさりカットされる。
「・・・・・・どうだろう」
ボールを持つ選手の後ろからタックル、笛の音。げ、レッドカード出やがった。
「姉ちゃんに会うのがイヤだったりして」
「それは、まあ、な・・・・・・」
当たらずとも遠からずなんだけど。
ゲームは一人少なくなって試合再開。ますます俺に不利な状況だ。
「そうなんでしょ?」
「いや・・・・・・それは違うぞ、ケンタ」
ボールは目まぐるしく選手間を動く。俺がボールを追いかけるとパスおいかけるとパス。
ひょっとして、遊ばれてる?
「じゃあ、なんでよ?」
「・・・・・・むこうが嫌がるから」
パスが止まる。ボールを持ったまま棒立ちの選手に向かいスライディングを仕掛ける。
あっけなくボールを奪えた。
「ふーん。そうですかそうですか。
ということは、シンにぃはねーちゃんのこと嫌いじゃないんだね」
「そら当たり前だ。きらいじゃないぞ」
またもドリブルで強引に敵陣地へと特攻をかける。
「・・・・・・むしろ、好きとか?」
「好きっていうか、さいきんキレーになったよな。そう思わない?
なんだよお前ん家は。姉さんは美人だし弟はイケメンで背も高いし。
なんで俺はひょろメガネで童顔なんだ」
やはりボールはあっさり取られてしまって。ケンタも俺と同じようにドリブルで勝負をかけてきた。
「んー、なんか話がにグチが入ってるんだけど。内容もすりかわってるし。
でも、そうかあ、美人かあ・・・・・・たしかにそうかも。んふふふふ・・・・・・
そっかそっか」
「なに笑ってんだよ、スキあり!」
俺の渾身のタックルはむなしく空を切り。
「んふふ、超情報ゲットって感じだ」
「げっと?・・・・・・うわ!なんだよそのシュートは!」
異様に曲がるシュートはキーパーの手の届かないところに飛んでいく。
またも画面にはゴールの文字。野球みたいな点差になってきたんだけど?
(3)カーチャンのブレイクタイム
扉からノックの音、お菓子とジュースを持ってきてくれた母さんの声。
「ケンちゃんこんにちは。ゆっくりしていってね」
「あ、おじゃましてます。今日もおキレイですね」
「あら、おじょうずね」
「・・・・・・いやマジです、お世辞じゃないです。
シンにぃと横になって歩いてたらお姉さんと間違われますよ」
「ふふふっ。夜ごはんも一緒にどう?おばさんはりきっちゃうわよ」
おいあんま誉めるなケンタ、あとが大変だ。母さんも色っぽくしなを作るな!
まあ、姉さんというのはあながち間違いじゃないんだろうけど、認めたくないっ!
認めたら負けのような気がする。
「じゃあおばさん掃除のこってるから。ゆっくりしていってね。
あ、シンちゃん。新聞しばったから裏の物置に入れておいてね」
あ、うんわかった今やる。ケンタちょっと待ってて。
階段を降り、廊下の隅に目をやる。ビニール紐で結ばれた新聞の束を手にする。
うん?一番上によく知る顔があるぞ。・・・・・・ああ、あの時の記事か。いい顔で笑ってるなぁ。
すごいんだよなこの子は。そのすごさがイマイチ伝わらないけど。
それも、あのキャラクターのせいだな。
(4) 白鐘(しろがね)日報 一面、「あのひと」
白鐘高校二年 葉山 歩(あゆむ)
「小さいころからダースで走りまわってました。走るの好きだったんです。
そのまんま大きくなって陸上部に入って、大会に出てみたらあれよあれよと(勝ち進んだ)。
そんな感じかな?」
七男五女の次女として生を受け、中学・高校と100m走を続けてきた。
六月に行われた県大会では堂々とした走りで一位となる。
「走ってる時はなにも考えないですね。ただ足を動かして、手を振って。
なにも考えなくていいから、好きなのかもしれないし続けているのかもしれないし」
高校へは運動特待生として入学。陸上三昧の日々を過ごしている。
周囲の期待は否が応でも高まる。
「プレッシャーにはならないです。ウソです、少しなります。
でもいいんじゃないかなと。今までこれだけ注目をあびる事も無かったし。
あ、TV局の大家族スペシャルくらいか」
目標は?と聞くと小柄な体を大きく揺らしながら、エネルギッシュに答える。
「そりゃあオリンピック。あ、その前にインターハイ。
言うだけはタダなんで。行けるとこまで行ってみたいですね」
座右の銘が「やればなんとかなる」「とりあえずやってみる」「歩いていてもおなかは減る」
細長い目からは光が溢れていた。
(5)さっそく報告
夕飯前の居間では、姉弟がテレビを見ながら会話している。
弟は、やけにニヤニヤしながら話す。
「ねーちゃん、いい情報あるんだけど買わない?」
「・・・・・・ばっかじゃないの?」
「あ、いいのかそんなこと言って。あのさ、シンにぃのことなんだけど」
姉の表情はぴくりとも変わらない。弟はかまわず言葉を続ける。
「さっき、遊びに行ったときに聞いてみたんだよね。ねーちゃんのこと」
「それで?」
「・・・・・・聞きたい?」
「別に」
「何だよつれないなあ・・・・・・そしたらさ、最近キレーになったよなあって言ってた。
あと好きだよって」
きらいじゃない=好き、という解釈をする弟。にやにやと笑みを浮かべる。姉の表情をチラリうかがう。
「・・・・・・話はそれだけ?」
薄いリアクションを残し、姉は台所へと向かう。
「んー、全然ひっかからない。これだけエサをまいているのに・・・・・・もうなんとも思ってないのかな?」
弟は首をひねりながら、再びテレビへと目を向けた。
(6)内心はそんなことなくて
「・・・・・・どうしたのかしら?最近、食事の支度を手伝ってくれるけど」
なんでもないわよママ。・・・・・・ふふっ。
「いいことでもあったの?そんなにニコニコして」
本当になんでもないから。あと何をやればいいかしら?
「じゃあ料理の盛り付けをやってちょうだい」
はーい。がんばるぞっと。
「あらあら、本当にどうしたのかしら・・・・・・」
思春期のむずかしい年頃だものね・・・・・・
あとで健太に聞いてみないとね、と母親は不思議がっていた。
(7)悪友と電話でだべって
「んで、いつ紹介してくれんのかい紳平ちゃん?」
だから、紹介するなんてひとことも言ってない。
「お前なあ、白鐘学園のツートップのうちの一人と幼なじみなんだから、
ちょっとは働いてくれてもいいんじゃないか?俺たち親友だろ?」
都合のいい時だけ親友かよ。ってツートップって何だよ。
「そりゃオマエ、里見さんと椎名さんに決まってるだろ。ほんっとキレーだよな。
里見さんは日本人ばなれした顔だちとスタイルと!なんだっけ、母さんがアメリカ人だっけ?
あのながーいさらさらな髪の毛をさわってみたいって世の男ならそう思うはずだそう絶対!」
まあ、そうだわな。里見さんの髪の毛、お人形みたく綺麗だよな。
「対する椎名さんはショートカットがとっても似合っていて!ボブっていうの?
きりりとした顔立ちが大人っぽくてさ、手足もすらっと長くてモデル体型で!
この学校に入ってよかったよ」
はは、オマエらしいな。
「ぜひともお友達になりたいんだけど、二人とも無口でよう。
里見さんなんて友達つくろうとすらしてない。誰とも話さないし。俺たち庶民とはやっぱちがうな!
まだ椎名さんとは話せるだろ?だからこそ、オマエに動いてほしいんだよ!」
そんなこと言っても、俺だって話さないし。
「え、でも学校に一緒に来てるじゃんかよ」
それは近所だから、たまたまだよ。家出る時間がおんなじくらいだから。
会話はないぞ。一方的にいろいろ言われるけど。
けっこうつらいぞ。というか胃に穴があくぞ、ストレスたまるぞ。
「んー、でも話し掛られてんじゃん。うらやましい」
そいじゃ一度、朝いっしょに学校に行こう。そうすりゃわかるよ。
「お、そりゃいいアイデアだ。すげえ遠回りになるけど、椎名さんとしゃべれるなら安いもんだ。
さっそく明日、むかえに行くよ」
おー、んじゃ30分までに来いよ。そん時についでにエロ本も返す。
「おう!明日新しいのを持っていってやる!世の中ギブアンドテイクだからな」
へーへー。しかしなんつー取り引きだ。
「じゃ明日たのしみにしてっぞ!おやすみ!」
(8)悩み
すっかり夜もふけて。
一人の女の子は、机の上で日記を書いていた。
一月某日
茶道、日舞、ピアノ、学校の宿題。
それ以外は、特になし。
整った文字は日記帳に素っ気なく並べられて。
はぁ、と大きなため息。まつげを伏せ、寂しげな表情でぼんやりする。
そっと静かに、数日前のページをめくる。
一月某日
今日も風が冷たい。校門から校舎までの道が遠く感じる。まだまだ春は遠い。
通学途中にあの人を見かける。あわてて運転手さんに速度を緩めてもらう。
一人、寒そうに歩いている彼。今日は椎名さんはいないみたい。いつもは距離を置いて歩いているのに。
彼は一瞬だけこっちを見たけど、再び何事もなかったように歩く。気がついてはいたみたい。
いえ、私にと言うより車に気がついたのかしら。目立つものね。
私という一人の女の子には……いつ気が付いてもらえるのかしら?
いつまで気付いてもらえないのだろうか。心が苦しい。
このまま気がついてもらえないのかと思うと、憂鬱になる。仕方ないのかもしれないけど。
自分のエゴだと分かっていても、私には名乗り出る勇気もなく。
忘れられていても、私は忘れられず。忘れられていても、あきらめきれず。かと言って何もできず。
あいかわらず、里見(さとみ)という家柄は私を縛りつけて。
教室であいさつしてきた彼は、本当によそよそしく。
思わずうつむいてしまい、ますますよそよそしくなる。
なんとかしないと。
何かきっかけがほしいのに。
そして、再び大きなため息。部屋内の冷えた空気に溶けていき、消えていった。
つづく
このスレはsage進行にしようぜ。
厨が流入してきて荒れたら洒落にならん。
いま、誰もいない?
おれ、書いてもいいかな?
まだまとめてないけど…
第1話 幼馴染(1)
???「…ゃん。…ちゃん。」
体がゆれている。地震か?この世の終りか?
???「こうちゃん。こうちゃん。」
誰かが俺を呼んでいる。あぁ、死んだ母さんかァ…まってて母さん今行くよ〜…
て待てよ?母さんは生きてるよな?じゃぁ、ばあちゃんか…ウフフ
???「変なこといってないで、早く起きてよ!もう!入学式、遅れるよ?!」
俺「ちっ。俺の安眠を邪魔しやがって。訴えるぞ。」
???「いいから。ほら、寝癖すごいよ?直して来たら?」
俺の名前は、里見 幸太郎(さとみ こうたろう)今年から高校生。顔は普通、成績も普通、運動もできないわけじゃないけど出来るわけじゃない。
ホントに平凡な、なんの面白みも無い男だ。自分で言うのもナンだけど。
さっきから俺の安眠を邪魔しやがっていたのは、斎藤 ゆき(さいとう ゆき)
まぁ、あれだ。そう、3文字でまとめると 幼 馴 染 ハイ終了。それ以上でも以下でもない。
コイツも俺と同じ高校に通うことになる。小中高ずっと同じ。高校はまだ分からないけど小中はずっとクラスも同じ。
ホントに腐れ縁だ。マニアなら泣いて喜ぶシュチュエーションだが。実際そんないいもんじゃない。
今日もこのとうり、俺の安眠は妨害されるってワケだ。ハァ。ヤになっちゃうよ。
ゆき「何ボーっとしてるの?はやくしないとほんとに遅れるよ?!」
俺「へいへい。着替えるからでてって。それとも…見るか?」
ゆき「みない。」一言。冷たく言い放って、俺の部屋を出ていく。
今日から俺達が通うことになる。桐濱(きりはま)学園は、俺にはもったいないような進学校。
何で俺がそんなとこにはいれたかと言うと、おじいちゃんが学園町をやっているから。ナンかせこいけど、こんなことでもしなきゃ、行く高校なんて無かったわけだから、何だかんだいって感謝してる。
サンキューおじいちゃん。
つづく
287 :
Mr.名無しさん:2005/04/04(月) 23:53:10
ツンデレの意味がわかんねえ
第1話 幼馴染(2)
さぁて今日は入学式だし、ちょっとカッコつけて寝癖のままで学校に行こうかなっと。
いや、めんどくさいだけ。ごめんなさい。
ゆき「こうちゃん?まだぁ〜?」
下からゆきが呼んでる。俺をせかすな。俺はあくまでマイペース。
ゆき「式まであと10分しかないよぉ〜?早くしないと遅れるよぉ〜?」
前言撤回。今日の俺はランディジョンソンもビックリなアスリート。さぁ飛ばすぞぉ〜。
俺「あはは、ゆき〜いくぞぉ〜。」
ゆき「な、何?どうしたの??」
俺は無理矢理ゆきの腕を引っ張って玄関のドアを……って、あぁ、まだ寝巻きだ…遅刻かな、こりゃ。
俺「………さき、いってて。」
ゆき「う、うん。」
あぁぁあぁあああぁぁ。入学式に遅刻なんて何たる失態!!俺の人生もう終りか?!って、そこまであせることじゃないな。うん、オチつこ。
ゆっくりと下ろしたての制服に腕を通す。さぁて、走るかな、っと。……ハァ…昔っから、走るのは苦手だったんだよな。
4月もまだはじめ、俺は、まだ冬の香りがのこる、外に飛び出した。えっと…桐ガク(桐濱学園の略)ってどっちだっけ?
たしかぁ…そうだな。俺の直感を信じよう。そうしよう。
こっちだと思った方向に走り出す。よし、ビンゴ!ゆっくり歩いてるゆきの背中が遠〜〜〜くに見えてきた、視力はいい。これは自慢できる。マサイ族にスカウトされたくらいだ。
段々ゆきの背中が近くなってくる。
俺「おぉ〜い、ゆきぃ〜!!」
ゆきが振り向く。あぁ、端からみるとアイツ結構可愛いんだな。なんていままで考えたことがないようなことが頭に浮かぶ。
今日の俺はどうかしてるよ、まったく。
つづく
第1話 幼馴染(3)
俺「ハァ…ハァ…やっと、追いついた…ハァ」
行きを荒げて近寄ると。
ゆき「あはは、頑張ったね、よしよし。」
と、ゆき。バカにしてるのかお前は。
俺「こんなにゆっくりしてていいのか?」当然の疑問あと十分しかないんじゃないのか。
ゆき「えへへ、私の時計ずれてたみたい。携帯見たら、まだあと三十分あるよ。」
ぇぇぇええぇえぇ。俺の努力は…なんだったんだ…orz←コンなカンジ。ホント。
俺「勘弁してくれよ…ちかれたぁ〜…ハァ。」落ちこむ俺。笑うゆき。いつもの光景。
小学校時代からなんども繰返されて来た、登校風景、一つ違うのは、今日から高校生ってことだけ。
そういえば、アイツも桐ガクだったな。
↑途中でした…スイマセン。
続き↓
アイツってのは俺の悪友、コイツも小中高と同じ。あぁ、いっとくけど男だぞ。
???「よぉ!お2人さん!今日も暑いねェ!」
あぁ…こいつのことなんて考えるんじゃなかった…ホントに出てきたよ…こいつ。
俺「よぉ。龍也(たつや)お前は仲いい恋人を邪魔するような奴だったか?」
龍也「え?恋人?ハハハ!つりあわねェ!ばぁか!キチガイ!ハハハ!!」
このアホみたいな奴は、赤坂 龍也(あかさか たつや)俺のもう1人の幼馴染。
アホだけど、勉強できて、スポーツ万能、それでもってイケメン。非の打ち所が無い男。俺とは真逆。
まぁ、だから、仲がいいのかも。
龍也「ゆきちゃんはオマエにはもった無いぜ。ホント。こんな奴の何処がいいんだよ、ゆきちゃんは。」
ニヤケながらいう龍也。いつもの光景。登校風景。一つ違うのは、今日から高校生ってことだけ……なハズなんだけど。
この日から、俺の日常は音を立てて崩れていくんだ。俺たちは気付かないけど。
第二話につづく
第二話 笑劇のクラス分けとちいさな先輩。(1)
3人でおしゃべりしながら歩いていくとすぐ桐ガクに到着した。
真新しい校舎。楽しそうな喋り声……は聞こえてこない。当然だ、到着が早すぎる。
受付の準備が整ってないぞ。ほら、先生方がビックリしていらっしゃる。
え?式が始まる20分前?ははは。……ゆきのばか。
なんて考えてるうちにあの2人はどっかいってしまった。薄情もの〜…
さて、俺はどうしようかな…う〜ん。そうだな。なんて考えていると後ろから声がした。
???「ねぇ。君、新入生?」
後ろを振り向く。あれ?誰もいない。気のせいか?
???「無視しないでよ〜!後ろだよ!」
また声がする。後ろを振り向く、やっぱり誰もいない。ん?いや、いるぞ、うわなんだこの子供は。
俺「君。何処の小学校の子?ここは高校だよ?えっと、第一小かな?第一小はね…」
???「わ、私は小学生じゃないよ!」
俺「ぁぁ。中学生?それにしてもチッチャイね。どちらにしろここは中学でも…」
???「わ、私は桐学生だよ!もう!この制服見えないの?!」
はぁ?なにトチ狂ったこといってるんだこの子は、背伸びしたい年頃なのかな。
俺「はいはい。お母さんは?お父さんが一緒なのかな?」
???「むぅー!制服みてって!ほら!」そういって制服のスカートを摘んでみせる。あ、青と白の縞パンだ。
って、制服?あぁ、来てるのここの制服だよな…ぇ?ってことは…
俺「ここの…学生?」
???「さっきからそう言ってるでしょ!新入生だよね?私受付だから…はい。花、胸に着けるから…」と言って必死で背伸びしてる。
え?受付って…てことは先輩?!ありえない!ありえない!140aないぞ!この子!
???「ぅー…かがんでくれるかな…届かないよ…」
俺「ぁ、は、はい!」俺はびっくりしながらも言われるままにかがむ。ちなみに俺は長身だ。
???「ん、よし。出来た!はい、体育館行っていいよ。」そう言ってニッコリ笑う。可愛い。小動物的だ。
俺「ぁ、はい。えと、先、輩?」
???「ぇ?なに?」
俺「名前…聞いてもいいですか?」
???「ぁ、うん。私、3年生で、三月 希(みつき のぞみ)だよ。よろしくね。」そう言ってまたニッコリ。
第二話 笑劇のクラス分けとちいさな先輩(2)
俺「あ、俺、里見です。里見 幸太郎」
希「幸…太郎君だね。うん。よろしく。ぇと、そろそろ体育館行ったほうがいいよ?」
周りを見回す、そろそろ始まるみたいだな。行くか。
俺「は、はい。じゃぁシツレイします。」声が上ずる、何でキョドッてんだ俺。
希「うん。またね。」そう言ってニッコリ。辞めてくれ、やられちまう。
先輩から逃げるようにして体育館にいくと、ゆきと龍也は既に椅子に座っていた。裏切り者…
龍也「ぉ〜い、幸太郎〜こっちだこっち!」
俺「お前等…勝手に行くなよな…酷い目に会ったぞ。」ん?酷い目なのか?あれは。どうなんだろ、まぁいいや。
ゆき「こうちゃん。座ったほうがいいよ…始まるみたいだから…」
俺「ん。」俺は素直に頷いてイスに腰掛ける。さぁて、寝るか。
……………
…………
……
入学式も終って、クラス分けの掲示板の前にたかる奴ラ。俺はあくまでマイペース。焦っていいこと一つも無いよ?
龍也「お、幸太郎。よかったな。おれたち、同じクラスだぞ!A組だ。ははは!またか!」
俺「まただな、ゆきは?」
龍也「同じだ。ホント腐れ縁な、俺たち。ははは」たからかに笑うイケメン。早速女の視線を集めてやがる。
はぁ、A組ね、さっさといくか。
つづく
第二話 笑劇のクラス分けとちいさな先輩(3)
教室につくと既に大体の奴らは席についてるみたいだった。知った顔もいる。
俺は自分の席に腰掛け、先生がくるのを待つ。ぉ、キタみたいだな。ドレドレ?どんないかついセンコーだ?
先生「オラ、せきつけー!」
うわ、何だアイツ、ロンゲに茶パツ〜?!おいおい、勘弁してくれ…
先生「よし、全員いるな、よし、俺は、菊池 博也(きくち ひろや)だ見た目はアレだが、まぁなかよくしてやってくれ。」
お、中身は案外マトモなんだな、一安心。
退屈なHRをボーっとしてやり過ごす。やがてチャイムのおと。今日はここまでだ。終りだ。天晴れだ。
教室の中が開放感に満たされていく。……帰るか。
俺「おぉい、ゆきぃ、帰るぞ〜」
ゆき「あ、うん。待って。」早速女子に囲まれてやがる。まぁ、ゆき人懐っこいからな。仕方ないか。
女子1「ぇ?あれ、ゆきちゃんのカレシ?」女子2「ぇ?マジ?なんか、パッとしないね?どこがいいの?」
すきかって言いやがって。カレシじゃないし。パッとしなくて悪かったな。ケッ!
ゆき「違うよ〜…ただの幼馴染…だよ。」ちょと言いよどむ。そうか、俺は幼馴染と言って紹介するのも恥かしいか。
女子1「ふーん。それよりさ!あんなんほっといて私たちと遊びに行かない?」
女子2「いいね!行こうよ!」
ゆき「え?で、でも…」そう言って俺を見る。
俺「いいよ、行ってきな。俺、龍也と帰るから。じゃぁな。」後ろでにひらひら手を振る。
ゆき「ぇ?ぁ…こうちゃん…」なにかいいたそうなゆき、でも俺無視。
女子1「ねね?行こうよ!あいつもいいっていってるしさ!」
ゆき「ウン…分かった…」ちょっと声が暗い。まぁ、いいか。龍也のとこ行くか。
見る限りデレデレだけども個人的には頑張ってほしい
第二話笑劇のクラス分けとちいさな先輩(4)
俺「おーい龍也ぁ!」龍也を呼ぶ。
龍也「おぉ!幸太郎!いいとこにきたな。今からみんなでカラオケ行くんだがおまえもどうだ?」
うわ、コイツも女に囲まれてやがる。ケッ!池面さまはいい身分だな。
俺「いいわ。辞めとく。俺、帰るわ。じゃあな」
龍也「お?そうか?なら俺も一緒に…」
女子3「えぇー?龍也君駄目だよー!カラオケ行くんでしょぉ〜?」
龍也「ぇ?いや、えと。」
俺「いってこい。俺はいいから。じゃぁな。」
ったくドイツもコイツも。…一人で帰るか。
昇降口を出ると、強い日差しが俺の肌を焼く。
???「あれ?幸太郎君?」ん?この声は。
俺「先輩。今帰りですか?」いいながら振りかえる。
希「うんっ。幸太郎君も?よかったら一緒にどう?」言って、小首を傾げる。
俺「ぇ、ぁ、は、はい、よかったら…」
希「私は、いいよ。よし、決まり!えっと…家はどっちの方?」
俺「桜町です…」
希「うん、じゃぁ、結構近いんだね。行こうか?」
俺「ぁ、はい。」慌てて追いかける。ケッ、ザマーミロ龍也!俺はこんな可愛い先輩と…ハァ…
俺は小さくため息をつきながら帰路につくのだった。
第3話につづく
>>294 あ、はい。有難うございます!いまは外堀を埋めてる感じですかね。これからツンツンキャラを出していこうかと思っています
297 :
Mr.名無しさん:2005/04/05(火) 08:19:46
>>1 登場人物が多くてわけわかんねえ。
誰かまとめて。
298 :
Mr.名無しさん:2005/04/05(火) 08:28:54
>>1 凄いね、いやマジで。 夜、読みます。CU!
待ってくれてる人いるのかな…。でもはじめたからには書き終えます。第3話。
第三話 桜と俺と嫌な奴。(1)
始業式も終って、今日で3日目、通常授業も始まって、退屈な日々。
英語の担任の声を子守唄に、ふぁ。おやすみぃ〜。
と思ったところでチャイムが鳴る。え?もう終り?嬉しいような哀しいような。
あぁ、いまの四時間目か、ずっと寝てたから気付かなかったぜ、ははは。
さて飯か。ゆきでも誘って、購買かな。
俺「ぉぉ〜い、ゆきぃ〜」
ゆき「え?なに?こうちゃん。」とてとてと、走ってくる。
俺「購買いくべ。」
ゆき「あ、うんっ。」嬉しそうに頷く。ハァ、一体ナンなんだ?購買がそんなに嬉しいのか?
俺は、さっさと出口に向う。
ゆき「ぁ、まってよ〜」ゆきが追って来る。
俺「はやくしろよ。パン、売りきれちまう。アンパンだけなんて絶対嫌だぞ。」
ゆき「うんっ。」また、嬉しそうに。何がそんなに嬉しいんだか。
………
……
購買は人でごった返していた。さぁ、どうするか。
決まってるな。うん。いいとこ見せてやる。
俺「ゆき、何が食べたい?」
ゆき「ぇ?えっとね…メロンパン…」メロンパン…また競争率が高いものを…しかしおれも男だ。とってきてやる。
俺「よし。任せろ。」俺は人の波に向って走り出した。
…………
………
第三話 桜と俺と嫌な奴。(2)
ハァ、、、ハァ、、、取ったぞ…メロンパン…ははは、ゆき、俺は…やった…ぞ
なんてな。大丈夫。まだ生きてるみたいだ。さぁて、ゆきは何処かな。っと。
ゲ シ ィ ッ ! ! ! !
俺「?!?!?!」背中に衝撃が走る。
俺「いったぁああ?!」
???「あ、ごめん。生きてるね。おっけぇ〜。じゃ」
俺「………おい、待て。おまえ、絶対わざと蹴ったよな。」体を起こしながら、ソイツに悪態をつく。
???「チッ。アンタが悪いのよ。最後のメロンパン…。」メロンパン〜?そんなことだけで俺は蹴られたのか。冗談じゃない。勘弁してくれ。
俺「それは、逆恨みって奴だぞ。俺はしっかり俺の金で…」
ゲ シ ィ ッ ! ! ! !
俺「イタぁっ?!」今度はスネだ。いたい。ぅぅ。
???「うっさいわね!!アンタ男でしょ!?潔くさっさと、メロンパンよこしなさいよ!」
はぁ?何いってんだコイツ。大丈夫か?
俺「なぁ、俺がどうしてオマエにメロンパンやらんといけないのだ?理由が無いだろ。」
???「いいから!はやく頂戴…」
ぐぅ〜。
ん?ぐぅ?俺じゃないぞ?じゃぁ。
???「?!!?。あ、アタシじゃないわよっ?」まだ何にもいってない。
俺「そんなに腹減ってるのか。そうだなァ…仕方ない。ホレ、くれてやるよ。」
ポンっとメロンパンを投げてやる。
???「ぇ?え?いいの?」
俺「はぁ、まぁいいよ。俺は他のパンもあるし。じゃ。」さっさとこの場を離れたくて一気にまくし立てる。
???「ぁ、ぁりがと・・・」ん?なんかいったか?まぁいいや。
…………
………
……
あ、あれゆきのだった。どうしよう…ハァ…
散々ゆきに愚痴られて(よっぽどメロンパンが食べたかったらしい。)昼休みも終了。
しっかし、何だったんだ。あの女は。リボンの色は俺たちと同じ。つまり…1年生ってことになるけど…
あんな奴、クラスにはいなかったよな。結構可愛かったし…。っておいおい。何でおれは、あんないやな奴のことばっかり考えてるんだ?
ハァ。何組なんだろ…。あとで探してみるかな…。
さぁて、帰りのHRも終ったと。部活に入る奴は、このあとレクリエーションみたいなのがあるらしいけど。俺は、入るつもりは無いから、このまま帰宅だ。
あぁ、そうだ。昼のあの女、探してみようかな。メロンパンの代金を請求してやる。
廊下に出てキョロキョロと回りを見渡す。廊下にはいないな。…うぅん。B組に行ってみるか。
ぁ、いたいた。アイツB組だったのか。ん?一緒にいる子は……確か中学おとき、一緒のクラスになったことがあるこだ…
えっと…なんていったっけ…あぁ、そうだ。春野。春野 桜(はるの さくら)だ。
第三話 桜と俺と嫌な奴。(3)
ん?春野がこっち向いて手ぇ振ってる。
後ろを振り向いてみる。誰もいない。もう1度春野のほうに向き直る。
まだ手ぇ振ってる。……俺?…しかいないよなァ。ジェスチャーで「俺?」と聞いてみる。
すると春野が席を立ってこっちに歩いてきた。
春野「もう、君だよ、君。里見君…だよね?えっと私…」
俺「春野だろ。春野桜。知ってるよ。中学の時一回同じクラスになっただろ。」
春野「わぁっ。覚えててくれたんだ。嬉しいな♪」ホントに嬉しそうだ。
俺「そこまでバカじゃないぞ。とゆうか、春野も桐ガクだったのな?」
春野「うん。そーゆー里見君こそ。よく入れたね。」
うわ、コイツあっさりと酷いこと言ってのけやがる。いまのは結構グサっっとキタなァ…
俺「余計なお世話だ。ところでさっきあそこで一緒にいた奴は?」そういってさっき春野と、嫌な奴が話していた席を指差す。嫌な奴は既にいなくなっていた。
春野「え?…あぁ、なぎちゃんね。えっとあの子は…」
嫌な奴「アタシがどうかしたの?里見…だっけ?」
俺「うわぁっ!」いきなり背後から声がして、俺は素っ頓狂な声をあげてしまう。
嫌な奴「アタシは、早川。早川 渚(はやかわ なぎさ)よ。アンタは。里見?下の名前は?」
何だコイツ、俺よりマイペーすだな。ムカツク。
俺「俺?俺は幸太郎。里見幸太郎。よろしくな。」
サワヤカに言ってみる。
渚「はぁ?なんでアンタなんかとヨロシクしなきゃいけないのよ。…ていうか。幸太郎…?変な名前。」
こいつぅ…俺が下手に出れば調子に乗りやがって…あ、そうだ。メロンパンの代金!
俺「メロンパン…」
渚「はぁ?メロンパン?あぁ、…もう食べちゃったわよ。残念でした。」
俺「いいよ。金だけ返してくれれば。120円。」そういいながら手を突き出す。
春野「えっと?2人は…知り合い?」春野が不思議そうにこっちを伺っている
俺「今日昼休みにちょっとね。早く120円。」ズイ。
渚「は、はは・・・今日、お財布無いの…」そう言って頭の後ろを掻く。柔らかそうなセミロングでストレートの髪が少し揺れた。
俺「はぁ。じゃあ、あしたでいいよ。明日もってこいよな。」そう言って立ち去ろうとした時。
渚「あ!まって。」呼びとめられた。
俺「何?」そう言って振り向く。
渚「お、お昼は…ぁ、ありがとっ。」顔が真っ赤だ。
俺は少しドキッとしながら。「お、おぅ。」照れ隠しにそう言った。
第四話につづく
第四話 遠足(1)
菊地「よーし。明日は遠足だぁ!ただし!バナナはデザートだからな!よし、HR終り!」
気付けば桐ガクに入学してもう2週間。ばたばたしてたから早く感じた。そんなこんなで明日は遠足。
近くでやってる、花の展覧会みたいのに行くんだそうだ。正直興味無い。お花は小学生で卒業しました。
でもコイツは興味津々。
ゆき「ねぇねぇ!こうちゃん!明日楽しみだね!えへへ、私お花スキなんだぁ〜!」
ゆき「ぁ!お弁当は私が作っていくからね!作ってこなくていいよ。」
さっきからずっとコンなカンジだ。何が楽しいんだか。
ゆき「会場は、ネズミーランドの2倍くらいの大きさなんだって!おっきぃねぇ!」
俺「そんな広いのか!?うわ、つかれるだろ…なぁやっぱりずっと同じとこにいようぜ…」
ゆき「そんなの駄目だよ!見てまわれないじゃなぃ!」
ハァ…ネズミーランドの2倍って相当だぞ…。展覧会終ったあと何に使う気なんだ…。そのトチ…。
龍也「それにしても、バナナはデザートなのか…おやつじゃないのか…ううむ…」
コイツはコイツで変な事で悩んでやがる…ハァ…明日…行くの辞めようかな…
ゆき「こうちゃん聞いてるー?!」
俺「はいはい。聞いてますよ。」
ゆき「それでね、それでね!」
ハァ…。雨…降らないかな…
ゆき「晴れるように、私沢山、てるてるボウズ作るね!」
龍也「そりゃいい。じゃあ、俺は千羽鶴でもおるか。」
ゆき「あはは、それは違うよぉ〜。」
ハァ…馬鹿バッカ・・
つづく
第四話 遠足(2)
菊地「さぁ、班ごとにならべよ〜!」
やってきてしまいました。ハァ。見事に日本晴れ。今日ほど晴れを憎んだ日は無かったよ。
ゆき「晴れたねェ〜、気持ちいねぇ〜。」滅茶苦茶おっきなリュックを背負ったゆきが言う。
龍也「そうだなぁ〜。気持ちいなぁ〜。」こっちも滅茶苦茶な荷物の量だ。なんだお前等、キャンプでもするのか。
春野「ぁ、里見君だ、やっほ〜」春野が呑気に手を振っている。その隣で早川が俺をジト目で見てる。そんな目で見るな。
菊地「ぉ〜し、全員いるな!バスに乗れェ〜。」
バスねェ。チャーターしたのか?金がもったいないな。そんなことを考えながらバスに乗りこむ。
龍也「しっかし、このバスでけぇなぁ。さすが私立の進学校。バス一台にかける金もちがうってかぁ?」隣の席に座りながら龍也が言う。
俺「そんな金あるなら、2泊くらいで沖縄とかつれてけってんだよ。」
龍也「おま、それじゃ遠足じゃねぇだろ。」ケラケラ笑いながら龍也が言う。バスが動き出した。
数分後。
俺「うぷ…」酔った…吐きそうだ…
龍也「大丈夫かよ?着いても回れないんじゃソンだぜ?」
俺は頷いて再び窓の外に顔を出す。
さらに数十分後。
菊地「ほれ、ついたぞ〜、各班仲良く回れよ。時間はしっかり守ること!では解散!」
ゆき「ほら!こうちゃん!ついたよ〜。ゲーゲーしてる場合じゃないよぉ〜」
ちっ、人の気も知らないで。
春野「里見君、大丈夫〜?」
春野まで来やがったか…まさかいっしょに回る気か?勘弁してくれ。
春野がいるってことは…やっぱりいやがる、早川だ…まだジト目でこっち見てやがる。
ホント嫌な奴。ハァ…。うぷ。
さぁ、入場。うわ、入場料取るの?冗談じゃない。こちとら来たくて来てるわけじゃないんだ。
つづく
第四話 遠足(3)
うわ、結構混んでるな。てかだだっ広い。
広大な土地にいろとりどりの花が敷き詰められている。前言撤回、こりゃすごい。滅茶苦茶綺麗だ。
入り口は丘になっていて下には川が流れている。すごいな。こりゃ。
ゆき「わぁ〜すごいねぇ〜。川が流れてるよぉ〜!」
龍也「すごいな、滅茶苦茶金かけてるなこれ。」なんでそうすぐ金に結びつけるかな…。
春野「きれーだねぇ〜、ねぇ?なぎちゃん?」
渚「…うん。」お?やけに素直だな。感心した。
俺「すごいな、来てよかったかも…」
ゆき「でしょ?」春野「だよねぇ?」渚「バッカじゃないの?」
俺「早川はうるせ。」
渚「あ、そう?桜、ゆきちゃん、赤坂くん。行こっか。」………俺は?
走ってついていく、俺。はぁ、なんだこの温度差は。ハァ、やっぱりイヤな奴。
…………
………
しばらく歩いて、腹減った。さて飯にするか。
俺「おぃ、ゆき、そろそろ…」
ゆき「ぁ、うんっ。今日のは自信作だよ〜」そう言って背負ってたおもそうなリュックを下ろす。
小さく鼻歌を歌いながら、弁当箱を、つぎつぎ、つぎつぎ、つぎつぎ…何個入ってんだ。
ゆき「はいっ!みんな召し上がれ♪」ニッコリ。
みんな「いただきまぁす!」
つづく
一度降りた階段をまた登って教室まで戻る。先を歩く結構元気な人からブツブツと「あーまったく、
使えないし、気が利かないし、頭悪いし、ヘタクソだし」とか色々聞こえるが聞かないふりをする。
ドアを開けて教室へ。誰も居ない。「……なんだ、そういうことか……」今日何度目か知らない盛大な
ため息をついた彼女が荷物をまとめ始める。そういえばどうせ帰りは別々でとか言われるならここまで
付いてこなくてもよかったんじゃないだろうか。こちらをチラチラ伺いながら鞄を詰める片瀬。
「で、したいの?」鞄を閉めてからこちらを向いて一言。
「え?」
「昨日できなかったし、わざわざ心配でもないのに保健室まで来て、こんな手の込んだ事して2人
で教室まで戻ってきたんだし、したいんでしょ?」
「ムリなんだろ、別にいいよ。帰らないの?」
普通に答えたつもりだったが、返ってきたのは「え?」とあっけに取られた表情。
教室中に妙な沈黙が広がっていく。
お互い見つめあったまま無言。
「ねぇ、もしかして、ホントに気が利かないだけだったの?」
「えーっと、そう、なんだけど………」
もう一度沈黙。空気が白くなっていくのが見えるよう。
「わ、悪かったな、気が利かなくて!」
「ホント、あきれ返るわ、まったく」
呆れつつもちょっとだけ笑った彼女が、屈んで膝を付いて僕のベルトに手をかける。
「うわぁあ、なにすんだよ!?」
「動かないで。今日気付いたけど、要するに挿れなくても出せば満足なんでしょ」
そのままずり下ろされる。で、、そこで手が止まってじっと見つめられてしまってこちらとしても
居心地が悪い。
「…そういえばちゃんと見るの初めてだったわ」
あぁそういえば。数はこなしたと思うけどずっと後ろからだったし。
「ねぇ、昨日お風呂入った?これ、ちゃんと洗ってるよね?」
「洗ってるよ! だから嫌なら別に」
「うっさいわね、やってあげるって言ってんだから黙ってなさいよ、いい、いくからね、…いくわよ」
意を決したのか指を伸ばしてくる、つまむように触った指から感じる熱が暖かい。
「あ、大きくなってきた」
包まれるように持たれて彼女の指や手のひらのしっとりとした感触が自分の想像しない動きで、
今までとは違ったその刺激が気持ちいい。
「へー、こんなんなんだ、思ったよりグロい、って!ねぇいま皮が、皮がズルッって!」
…お願いですからそこは実況しないで下さい…。
「痛くないの?」
「いちおう、こういうものなんで…」
「そーいうものなの、変なの。それじゃ、舐めるわよ」
片瀬の顔が近づいてくる。躊躇してるのか直前で一旦動きが止まったけど、そこから掛かる息が
くすぐったくて、それだけでも気持ちいい。なんか今ならなにされても気持ちいいと思う気がする。
舌を出してペロっと舐める。思ったより固い舌がざらりと下から上に上がっていく。その感触が強烈で
背中が思わずくの字に曲がる。
「ふふん」
その反応に気を良くしたのか「勝利の笑み」めいたものを浮かべて、勢いつけて舐め始めた。片瀬の
荒くなっていく息がくすぐったくて、たまに唾液が音を立てる。
「ん…ん…ぺちゃ、んっん…」
「ごめん大丈夫?」
惚けたままだった意識をムリヤリ戻してネクタイの目隠しを外すと、彼女はゴホゴホと咳き込んで、
口元を押さえてる手のひらには吐き出した精液がべっとりと垂れていた。
「出すなら出すって、オエェ、ちょっと飲んじゃったじゃないよ! あー、もう、気持ちワル」
「ごめん、まさか本当に最後までしてくれるとは思ってなくて」
「ゴホッなによそれ、気持ち良かったんだからいいでしょうが。それとも気持ちよくなかったとでも! ?」
「あ、いや、違う! 気持ちよかったよ!」
とっさに答えてお互い赤面
「そ、そう、ならいいじゃないの」
「そ、そうだね」
「私、トイレ行ってくるから、鞄持ってきて」
「あ、あぁ、わかった」
「その前にパンツはきなさいよ」
「……はい」
一番近い女子トイレまで行くとちょうど片瀬が個室から出てきたところだった。蛇口を目一杯ひねって
じゃぶじゃぶと手を洗い、手のひらの匂いを嗅いでたりする。
「なんか、何度洗ってもにおいが取れない気がするわ」
しばらくは必死に洗ってたが諦めたのか飽きたのか蛇口を止めた。
「まぁいいわ、帰るわよ」
そのまま持ってきた鞄を受け取って歩き出す。いつもの通りその背中を見送る、と。
「アンタ、なに突っ立ってんの?置いてくわよ」
「へ?」
「へじゃない、さっさと帰るわよ」
「あ、あぁ。わかった」
いつもの背中を今日は追いかけながら、そういえば呼び方が「柏木」から「アンタ」に変わったのは
いつごろからだろう、と考えていた。
ぼく達は並んで坂道を歩く。
土曜の昼。そろそろおやつでもほしい時間。いつもの坂道は時間が中途半端でぼく達以外制服で
歩いている人は誰も居ない。元々学校が建ったのを機に駅も建てられたような場所なので学生以外
の人通りもない。
日差しは強烈で空はいつにも増して蒼かった。
「あっついわね〜」
片瀬は校門を出た瞬間から制服のリボンを外して、ブラウスの襟元をつまんでパタパタあおいでる。
眉間にしわを作って口は「〜」の字をしていて何処から見ても完璧に不機嫌に見える。
「片瀬、体調は大丈夫なのか?」
「だいぶマシよ、どうしたの?」
しわを寄せた眉のまま答える。
「いや、不機嫌そうだから」
「日差しがまぶしいの。あと……、アンタの味がまだ口の中に残っててマズいのよ」
にらまれた。
「それは、……ごめん」
「いいけど。私、基本的に体弱くてね。夏は苦手なの」
手をおでこまで持ってきて影を作りながらそう答える。
「へぇ、知らなかった」
「繊細なのよ、アンタと違って」
坂道もそろそろ終わり。いつもの駅前のコンビニが見える。時計を見ると電車の時間までは
少しある。ちょうどいい。
「コンビニ寄りたい」
「そーね。私もちょっと涼も」
二人して自動ドアを通る、片瀬は雑誌コーナーに直行。僕はお菓子や文房具の棚を突っ切って
一番奥のドリンクコーナーへ。夏季限定の清涼飲料水が並んでいるが、何を買っていいのかわか
らないのでとりあえずミルクティーあたりが妥当か。
レジで会計、147円也。雑誌コーナーへ。
「なに、ミルクティー? コーヒーじゃないんだ」
雑誌を戻した片瀬とコンビニを出ると、僕の手を見て意外そうに言う。
「片瀬の分だからな。やる」
ペットボトルを差し出す。このときの片瀬の表情の変化のめまぐるしさはなかなか見ものだった。
「あ、あんたの分がないじゃないのよ」
「僕のはいいんだよ」
残金22円。
「ま、まぁ貰っといてあげるけどさ」
蓋を開けると相変わらずぐいぃっと勢いで飲む。
「はー、ウマイ。ようやく口の中がマトモになったわ」
ようやく表情を崩してくれた片瀬にほっとする。改札を通って駅に入ると上りの回送電車が止まっ
ていた。帰るときに乗るのは下り方面なので関係ないんだけど、
「この路線で回送なんてはじめて見た」
「そう? たまにあるわよ。上りはあと一駅で終点で、車庫があるでしょ。本線からたまに回ってくる
のよ」
手にしたミルクティーを飲みながら説明してくれた。
回送はなかなか発車しない。
「駅が空くの待ってるんでしょ」
「空くって?」
彼女はホームから上り方面を指差した。伸びるレールが陽炎で揺らぐそのさらに先。
「ここ出るとすぐ、2本あるレールが1本になるのよ。だから一度終点に行ってから車庫に行こうと
しても、下りに降りてくる列車がある場合は鉢合わせになるわけ」
「──へー、びっくりだ」
こうやって片瀬と二人並んで喋ってるのが。
「正確には1本が2本になったって言うか、開発されて学校が出来るまで元々単線だった名残
なんだって。予算なかったのかしら」
そう解説したところで陽炎の向こうから下り電車が来た。入れ違いに回送が出発する。
扉が開くと、車両は空っぽだった。乗客は僕たちだけ。この路線の経営が激しく不安になる。
二人で長椅子の真ん中にどかっと座ってやる。エアコンの効いた車内、窓ガラスには流れていく夏の空とガラスを通って刺してくるような太陽の光。
そうして並んだままひと駅が過ぎる。相変わらず乗客は僕たちだけ。奇妙だが少し安心する沈黙に
身を任す。
「いいね、こういうの」
椅子に深く体を沈めた片瀬が呟いた。
「私、人ごみも苦手でさ。登校時間が早いのもラッシュを避けたいからなんだ」
いつもと違う落ち着いた雰囲気が不思議と違和感なかった。
「あの……、あのね。受験の日にね。今までの勉強疲れと緊張がピークだったのに他の受験生と
一緒に電車の中に詰め込まれて大混雑でもう限界。駅着いた途端に倒れたの」
「あー、僕の受験の組もいたよ、駅についてすぐ目の前で女の子がばたー…、ん、…って…?」
隣に座る彼女に目線を動かす。片瀬は目線を伏せてこちらを見ようとはしなかったが
「あの時は……、あの、アリガト…」
小声でそう言ったのが確かに聞こえた。耳が真っ赤だ。
「あー…、そっかぁ、そうだったんだ……」
キッっといきなりこっちに向きなおす片瀬。
「やっぱり! アンタ全然気付いてなかったでしょ! 」
「いや!だって!ほら、中学の制服だったし」
「それでも私は一目でわかりました!、あんた目がフシアナなんじゃないの!? あームカつく!」
首を…、首を絞めながらは止めて……。
「いいわ、アンタ罰として明日1日あたしに付き合いなさい、10時待ち合わせ、いいわね!?」
「なんで!?」
「なに、嫌なの? ……もしかして都合、悪い?」
それは反則だ、そんな顔されてそれでも断れる男なんて絶対いない。
「うん、わかった10時に」
だからこちらも素直に気持ちを表現する事にする「楽しみにしてる」
「そ、そう。なら問題ないわね、このミルクティーのお礼にコーヒーくらいは奢ってあげるわ」
駅に着く。彼女が降りる駅。
「遅刻するんじゃないわよ。──また、明日ね」
降りてからこちらに手を振る、初めて背中以外のさよなら。
「うん、明日」
それに手をあげて答える。
電車はすぐに走り出して駅を通り過ぎて彼女の姿は見えなくなるけど。明日になればまた会える。
いつもと変らないはずの流れる景色、夏の空。
違う何かが始まったのは、だから自分たちの中の事。見える蒼すら違って見える新しい始まりだった。
翌日。
「はぁ!? 前借するの忘れた? 全財産にじゅーにえん!? アンタねぇ……、ヤル気あんのー! ! 」
>>316 お疲れ様です。面白かったです!
こんがらがってきたので登場人物まとめます。
里見 幸太郎:主人公。平凡人間、視力だけはすごい。
斎藤 ゆ き:幸太郎の幼馴染。天然?
赤坂 龍 也:幸太郎の幼馴染。完璧男。池面。
三月 希 :先輩。小さい。
春野 桜 :幸太郎の同級生。中学の時に同じクラスになったことがある。
早川 渚 :ツンツン少女。ストレートのセミロング。幸太郎をジト目で見る。
こんなカンジです…
片瀬青葉、良すぎる。
スレの題意に一番沿った内容と丁寧な文章、まとまりある展開。かわいさにやられた。
また書いてなー。
>>306の続き。
みんな「いただきまぁす」
全員一斉に箸をもつ、こりゃ美味そうだ。ゆきは料理うまいからなァ…っともたもたしてたらなくなっちまう。
……………
………
みんな「ごちそうさまぁ」その間約10分。
早い。あれだけあった弁当が既に空っぽ。以外にも一番食べたのは春野だった。
ゆき「おそまつさまでした。」そう言って片付けはじめるゆきを尻目に俺は、芝生にねっ転がった。
俺「俺、ここで寝てるから。集合時間近くなったら起こしに来てくれ。」ふぅ。風邪が気持ちイイ。
龍也「忘れてて、起こしに来なくても恨みっこなしな。じゃ。」いや、恨むけどな。
そして俺はゆっくり目を閉じた。
…………
………
???「…ろぅ。…太郎…。幸太郎!!」
ゲ シ ィ ! ! ! !
俺「ぐふぅ?!」俺はハラにカカト落としを食らって飛び起きた。ぉぇ、昼飯が戻ってきそうだ。
渚「集合時間近いわよ。あと15分。早く起きたほうがいいわよ。」
ぇ?早川?早川が俺を起こしに?なんでだ。まあいいや。
俺「おう、アリガト。他の皆は?」
渚「アンタを忘れてもう集合場所に行ってるわよ。早くしてくれる?アタシまで遅れるんだけど?」
俺「あ、ぁぁ。よいしょ。」掛け声とともに上半身を起こす。その間に早川はスタスタと先に行ってしまった。それを慌てて追いかける。
俺「おい、まてよ。ていうか、オマエよく覚えてたな。皆は忘れてるって言うのに。」
渚「………たまたま、目に入っただけよ。」少し顔を伏せる。そんな仕草が少し。…可愛かった。
俺「そっか、サンキュな。」………すこしだけね。
第五話につづく
第5話 過ぎ行く春に…(1)
キーンコーンカーンコーン♪
あ、チャイムだ。ふぅ、今日もやっと終りか…。
四月も終わりに近づいて、5月のテストにむけて皆、猛勉強。
え?おれ?勿論そんなことしないさ。ははは。…駄目かな?
龍也「幸太郎、帰ろうぜ。」龍也がいつものように声をかけてくる。
俺「ん、あぁ。行くか。」よっこらしょっと腰を上げようとしたとき。
菊地「おぉ、いいところに。お前等2人、ちょっと手伝え。」
俺・龍也「はぁ?」俺たちの講義の声も虚しく、制服の襟をつかまれて、2人してずるずる引きずられていく。
龍也「センセ!センセ!何するんですか?!」無様な格好のまま龍也が叫ぶ。
菊地「ん?今日学級委員が2人とも休みだから、委員会に出てくれ。よろしく。」
………俺たちが開放されたのは会議室の前。会議に…でろってこと?
龍也「……どうする?」
俺「行くしかないだろ…」
龍也「めんどくさいな。」
俺「そりゃあな。」
俺・龍也「はぁ。」大きくため息をつき、俺は、会議室の扉に手をかけた。
第5話 過ぎ行く春に…(2)
ガラガラ…
俺「シツレイしまーす。」
龍也「失礼します…」
うっわ、さすが中央委員会…真面目面がぞろぞろと…その中に知った顔を1人見つけた。
あ、希先輩だ…手ぇ振ってるよ…振り返しておこう。ひらひらと手を振る。
龍也「ぉ、おい。手なんか振ってる場合じゃないだろ。なんか言えよ…」耳元で達也がささやく。
俺「お、俺…? ぇ、えっと、1年A組です。学級委員が2人とも休みなので、代理できました。」
よし、我ながらよく言った!
委員長(?)「君たちは、そこに掛けたまえ。」委員長らしき男がそう言う。素直に腰掛ける俺と龍也。
委員長(?)「それでは、はじめる。」簡潔に述べる。
「御願いします」 きっちりとした挨拶、俺と龍也は明らかに場違いだ。まあ、もう一人明らかに場違いな人がいるが…そう思い、希先輩をチラッと見る。
やっぱりニコニコしてこっちを見てる。先輩も代理なのかな?
委員長(?)「1年A組?!」
俺「は、ひゃい?!」うわぁ・・・やっちまった・・・
委員長(?)「もう一人の代理は、どうしたのかね?」
俺「はい?」となりを見る。龍也の姿は…無かった…………逃げやがったな!
俺「いない…みたいですね。」回りから失笑が漏れる。あぁ…恥かしい…。
アイツ…明日ぶっ殺してやる…
片瀬青葉よかったsage
まとめ更新(順不同、敬称略)
丸出毒男
>9 >13 >14 >16 >17 >18 >19 >20 >23 >24
>25 >26 >28 >29 >31 >32 >33 >34 >35 >38
>41 >48 >49 >50 >51 >56 >57 >58 >59 >60
>61 >62 >63 >64 >65 >66 >67 >68 >69 >70
>74 >75 >76 >77 >153 >154 >155 >157 >158 >159
>162 >163 >164 >165 >166 >167 >168 >169 >171 >196 >197
>198 >200 >206 >207 >208 >209
1 ◆5nKXNraGc2 (
>>1)
第一話
>83 >84 >85 >86 >87 >88 >89 >90 >91 >92
>93 >94 >95
第二話
>113 >114 >115 >116 >117 >118 >119 >120 >121 >123
>124 >125 >126 >127
第三話
>268 >269 >270 >271 >272 >273 >274 >275 >276 >277
>278 >279 >280 >281 >282
◆uh.Nj7Topk
第一話
>286 >288 >289 >290
第二話
>291 >292 >293 >295
第三話
>299 >300 >301 >302 >303
第四話
>304 >305 >306 >319
第五話
>320 >321
登場人物まとめ
>317
ウィンチェスターといえば1894年ものショットガン
>170 >172 >186 >187 >170 >172 >186 >187 >231 >232
片瀬青葉
>256 >257 >258 >259 >260 >261 >262 >263 >264
>308 >309 >310 >312 >313 >314 >315 >316
飽き男 ◆PSR4/aLv0Y
>217 >218 >219 >220 >221
続きそうな作品だけにしました。単発ものはデリ。
2ch専用ブラウザ(
http://www.monazilla.org/)を使うと見やすいかもです。
誰か「オレがまとめをやる!」っていうエロい人はいませんか?
そろそろメンドくさいです。
片瀬青葉、大変おいしゅうございました。
その他の職人さん方もがんばってくださいませ。
ひょっとして良スレか?
まとめの方乙です。
遅れましたが
>>321の続き。
アイツ明日ぶっ殺してやる…そんな物騒なことを考えながら、適当に委員長の話を聞き流す。
大分俺も人の話を聞き流すのが美味くなってきたな、うん、うん。……だめじゃん!
そのうち委員会も終って、下校時刻、さぁ、帰るか。つかれたぁ。
希「幸太郎君?」ん?希先輩?なんだろ。
俺「はい?なんでしょ。」
希「よかったら、一緒に帰らない?ぇと、それとも、用事。あるかな?」
俺「ぁ、いえ、いいですよ。帰りましょう。」用事なんかあるわけない。俺、即答。
希「よかったぁ。うん、じゃあ、かえろ?」先輩ニッコリ。それにしても周囲の目が痛い。
いったん、下駄箱で先輩とわかれて、昇降口で合流する。先輩とかえるのこれで二回目か。二回目って感じがしない。
希「ねぇ、幸太郎君?」先輩が下から見上げてくる。
俺「はい?」
希「このあと…よかったらだけど…あの、」先輩が珍しく、言いよどんでる。なんだろ。
希「喫茶店でもいかない?」なんだよ、そんなことか。そんなん。
俺「いいですよ。とくに予定も無いし。」イイに決まってるじゃないか。
しばらく歩いて商店街に着く。遠回りだけどいいか。
希「ぇっとぉ・・・ぁ、ここ、ここ。私の気に入りなんだァ♪」ぅっゎ…男には場違いじゃないか…この喫茶店…
希「店員さんがね、メイドさんなんだよぉ〜♪」…はぃぃ?!メイドですか…俺の趣味を的確に着いてきますね…ふふふ。
カラン、カラン♪
ドアにつけられた鈴が音を立てる。店員がやってきて…
渚「いらっしゃいませ♪ようこそ♪」
俺「………早川?」場が凍った。
つづく
第五話 過ぎ行く春に…(3)
渚「さ、里見…」早川が固まる。うっわーフリフリのメイド服だ…。似合う…かも…
俺「なにやってんの?」間抜けな質問をしてしまう、大分キョドってるな…俺…
渚「何って…バイト…」
俺「…そうか。」
希「あれ?2人は…恋人?」何てこと聴くんだ…このひとは…
俺・渚「ち、ちがいますっ!」うっわぁ…ハモった…
俺・渚「おんなじこというなっ!」またハモった…
希「ふふ、仲、いいんだね♪」
俺・渚「全然っ!」
希「ふふふ…。」
渚「あ、案内致しますっ!」なんで怒ってんだよ。イテっ、蹴るな…。睨むな…
渚「ご注文がお決まりの頃お伺い致しますっ!!!」ダンっ!と俺のお冷をテーブルに叩きつけて早川がカウンターに戻っていった。
希「可愛いね。あのこ。ふふ。」
俺「何処がですか…。」
俺はコーヒーを頼んで、先輩はいちごパフェを頼んだ。食べ終わって、店を出るときに、チラっっと早川と目があったが、早川がすぐに目をそらしてしまった。
帰り道。
希「…幸太郎君は…好きな人とか…いる?」
はいぃ?!
つづく
つづきいいいいいいいいいいいいい
丸出毒男の人はもう書かないのかな・・・
丸出毒男は大長編になりそうだから、鋭意製作中なんだよ!!
とポジティブシンキング
丸出毒男ガンガレ
333 :
Mr.名無しさん:2005/04/09(土) 13:35:11
ここはエロ系がなくちゃ小説書き込んじゃ駄目なんですかね…?
ツンデレとは?
ググれ
・最初はツンツンケンカ腰なんだけど色々あって仲良くなってデレデレ
・口ではツンツンしてるが内心はデレデレ
どっちが好き?
選べるわけがない。
このスレはsage推奨でマターリ逝きましょう
遅くなりましたが
>>328ノ続き…待ってる人いるのかな…orz
希「…幸太郎君は…好きな人とか…いる?」
はぃぃ?!
俺「は?!何を言い出すんですかっ!いきなり!」
希「図星?クスクス…」
俺「はぁ、、、いませんよ。」
希「そぉ?さっきのウェイトレスさんのこと…スキなんじゃないの?」
俺「はぁっ?!なんでそうなるんですかっ!」俺が…早川のこと?ありえない。
希「さっき、二人のこと見ててそう思ったんだけど…」
俺「ありえませんよ。アイツ、ヤなやつだし。…それに、向こうは俺のこと、どうも思ってないですよ…」
希「そうかな…幸太郎君はそうじゃなくても。あの子は…多分…。」先輩が言葉を濁す。
俺「………それは…ないですよ…」
希「まぁ、私にはよく分からないけどね……もし、そうだったら…幸太郎君はどうするの…?」
俺は、その質問に、答えられなかった……
……………
…………
………
家に帰ってからも、希先輩の言葉が頭から離れなかった。
『もし、そうだったら…幸太郎君は…どうするの?』
どうするの?…か……
そんなん。知るかよ…
第六話につづく。
342 :
Mr.名無しさん:2005/04/10(日) 22:25:02
おもしろ〜い!!
弟6話はやく〜〜
第六話 ホントの、気持ち。
あれから数日、俺は考えていた。
俺が、早川のことどう思っているのか。
結論は出なかったけど。
早川も、あんまり俺に突っかかってこなくなった。バイトのことでおこってるのかな。
ゆき「ね、こうちゃん」
俺「ん?」
ゆきがドアの方を指差す。そこには…
俺「早川……」
小走りで駆け寄ると。
渚「ぁ、こうた……里見…。」
幸太郎と言おうとして止めたのか。
俺「なんか、用?」つい、そっけない態度を取ってしまう。
渚「ぁ、あの……ぅ、ぁ、アンタなんかに用はないわよっ!」そう言って走って行ってしまった。
俺「ぁんだよ・・・」
……それから何回か、早川が来たが、俺が近寄ると、走っていってしまう。
いったいなんなんだよ・・・
きたきたきたきたああああ
第六話 ホントの、気持ち
帰り道。もうすぐ日が暮れる。…からすの鳴く声。
俺は…ぁ、ぃや。俺たちは、肩をならべて歩いていた…
俺「…………」
渚「…………」
なんでこうなったかっていうと…
………
……
…
HRの終りをチャイムが告げる。さぁてと。かえるか。ゆきは部活だし、龍也もどっかいッちまったし。
一人で帰りますかね…。…教室を出たところで、呼びとめられる。
渚「ぁ、さ、さとみっ!」
早川…
俺「ぁんだよ。」
渚「ぁぅ…ぁ、ぁの、い、一緒に…帰えってあげるわよ…?…どうせ…1人なんでしょ?」
俺「んだよ、ムカツク言い方だな。いいよ別に。オマエに心配されなくても。」
渚「ぁぅ・・・あの。一緒に…帰って…」
俺「ハァ…別にいいけど。春野は?」
渚「部活…」あんだよ、寂しいだけか。素直じゃないな。
………
……
…
俺「…………」
渚「…………」
さっきから会話はない。一緒に歩いてるだけ。
渚「あの…さ。」
早川が、口を開いた。
渚「こうた…ぁっ…里見は…彼女…とかいるの?」
俺「幸太郎でいいよ。」
渚「えっ?」驚いたような顔をする。
俺「間違って訂正するくらいなら、幸太郎でいい。」
渚「ぇ、あ、うんっ!」早川が嬉しそうな顔をする。
俺「あぁ、あとついでにな。彼女は…いないぞ。」
渚「分かってるわよ。」
俺「なら、聞くなよ。」
…再び、沈黙…。
そのうち、俺の家に着く。
俺「ここだから。じゃあな。」ひらひらと手を振る。
渚「ぁ、こうたろ…」
俺「ぁ?」振り向く。
渚「あたしのことも…その…渚で…いいから!」それだけ言うと。早川…いや渚か?は走って言ってしまった。顔を、真っ赤に染めて。
俺「…素直じゃないな。」そんなことを呟いて俺は玄関の扉を開いた。
347 :
カバ兄:2005/04/10(日) 23:48:53
第六話 ホントの、気持ち
俺「ただいま。」なんか、少し、少しだけ。俺の中で。ほんの少しだけ何かが変わったような気がする。
言葉に、出来ないような、些細な変化。でも、俺の中では、大きな、大きな変化。
俺。はやか…ぁ、いや、渚のこと。
好き、だ。
これが、俺の。
ホントの、気持ち。
今日、やっと気がついた。
ううん。前から気がついてたのかもしれない。
アタシ…あの人のことが好き…
ばかで、変に理屈的で、無愛想で、普通。なんにもいいとこないけど。
アタシ。あの人のこと…里見 幸太郎のこと。
好き。
これが、アタシの。
ホントの、気持ち。
第七話につづく。
キタ?ついにクライマックスキタ?
>>349 七話で、次が最終話でしょうか。そういうよていです。
ところでカバ兄ってなに?
352 :
Mr.名無しさん:2005/04/11(月) 18:24:08
展開ハヤスwwwww
お、VIPPERか?
355 :
352:2005/04/11(月) 19:10:12
まじごめん
>>355 謝る勇気のある人は大成します。
丸出毒男とウィンチェス他ーの続きマダー
カバ兄ってなに?
360 :
Mr.名無しさん:2005/04/12(火) 12:28:29
もう飽きた
飽きたのは勝手だがsageてくれ。
職人、続き待ってます。
第四話 なんつーかコスプレ
(1)やる気あふれる悪友
月曜日のけだるい朝、空にすすけた色の雲、七時半ちょうどに鳴るチャイムの音。
玄関にはいつものコイツ。息切らしながらニコニコしてる。
お前はこーゆーことだけには一生懸命なんだよな。
「そんなに誉めるな、てれるぜ」
いや、ぜんぜんほめてないから。
「とりあえず約束のブツだ」
あーどうーも。これはこれは・・・・・・洋モノとちっちゃい子と人妻ですか。またずいぶんマニアックな・・・・・・
お前のストライクゾーンは広すぎだな。
「うはは、人間として幅を広げようと思ってな」
もう十分ひろいひろい、もうちょい狭くしろ。ちょっと待ってな、部屋に置いてくるから。
こんなバカっ話をしていると、家の人は気がつくもので。
洗い物をしていた母さんが台所から出てくる。
ニコニコと細い目をさらに細め、ぬれた手をエプロンで拭いている。
「あら、シベリアくんじゃない。おはようございます」
「あ、あああお母さま。おはようございますですハイ」
なに緊張してんだよガラにもない。とここで俺は気がつく。
両手に持っているのは「午後の人妻・クリーニング屋ケンちゃん」
一瞬の空白、流れる一筋の脂汗。あわてて後ろに隠す。
「あら、何をもっているのかしらシンちゃん?」
いや、なんでもないなんでも。
俺はダッシュで二階の部屋へと戻る。・・・・・・やべえ、じっくりと見られたかな?
とりあえずベッドの下へと隠しておく。
「・・・・・・何をあわてていたのかしらねぇ、シンちゃんは。
シベリアくん、いつもシンちゃんと遊んでくれてありがとうね」
「や、やややそんなそんな、俺でよければ、いつでもシンペーくんとっっ!」
ニコニコ微笑む母さんと、なぜか直立不動なシベリア。
おーい何でそんなにテンパってんだ。それじゃ行くぞ。
「はい。いってらっしゃい」
(2)いつもと違う風景
玄関の扉を開けて一歩二歩さんぽ。そろそろかな?
俺は耳をすまして、後ろからのドアの音を聞いてみる。
しかし、いつまでたっても扉は開かれず、音は聞こえてこない。
・・・・・・どうしたんだろ?いつもならこの時間に出るとはちあわせになるんだけど。
「もう先に行っちゃったとか?」
かもね。
「かもねってなんだよ!せっかく早起きしたのに!」
ま、今日はあきらめるしかないな。
「うう・・・・・・せっかくお話できると思ってたのに・・・・・・」
ほらほら行くぞ。あ、忘れないうちにエロ本返しとく。
「ううう・・・・・・まあ、お母さんと話できたからいいか」
プラス思考なヤツだな。って俺の母さんとしゃべって楽しいのか?
「そら楽しい。あんなキレーな人としゃべるだけでドキドキしちゃうぞ。
目元が細くってさ、いつでもニコニコと笑っていてさ。
そこにほのかにただよう落ち着いた大人の色気っていうの?おっきい胸っていうの?
たまらないっすよ」
ふーん、そんなもんなの?でもオバさんだよ?
「バカ野郎!お姉さんだろ?」
いや、こんな大きい一人息子がいるんだぞ?おまえがバカだ。
「・・・・・・きっと、実の子じゃないんだよ、うん」
勝手に納得するな。かってに人んちの設定をややこしくするな。
(3)ここで高そうな車、ふたたび
「あ、あれ里見さんの車じゃない?」
お、そうそう。やけにツヤツヤなブラックボディ、どっかの国王が乗ってそうな車。
あいかわらず長いな、角とか曲がれるのか?今日もとろとろ走ってるな。
・・・・・・おい、オマエ何やってんだよ?
「何って、手ぇふってんだよ。見りゃわかるだろ?」
そりゃ見りゃわかるけど。
そんなにオマエと里見さん、仲よかったっけ?
「ううん、ぜんぜん。話しかけても返ってこなかった」
だろうな。誰かと話してる姿を見たことないもんな。
「だからこそ!手をふるんじゃんかよ。これが突破口となるように。
ほれ、おまえも手ぇふれ、早く!」
なんだよそれ・・・・・・と思いながらも、俺も小さく手をふってみる。少しだけ笑いながら。
見てるんだろうか、気がついているんだろうか。
車の窓はあいかわらずの黒一色。外から様子がわかるはずもない。
ぶろろ、と排気音の後、車は加速をはじめた。どんどんと小さくなる。
「なんだよ、今日はいい一日じゃないかよ、なあシンペー!」
・・・・・・そういうものなのか?
(4)この少し前、玄関前では
「ねーちゃん、なにやってんの?のぞき窓なんか見て」
うるさいわね。なんだっていいでしょ。
「ひょっとして、シンにぃの家を見てたりして」
どうしてそうなるのよ。
「だって、結構いっしょに学校いってるでしょ?」
たまたまよ。たまたまアイツといっしょになるだけなんだから。
「ふーん、たまたまなんだ。へぇー」
なによ。何が言いたいの?
「いーや別に。そっかそっか」
なにかひっかかるわね。・・・・・・あ、あれ?あの人は紳平の友達の・・・・・・
「どうしたの姉ちゃん」
な、なんでもないわよ。
(5)幼なじみの理想と現実
「しかし、お前はいいよな。あんなステキな幼なじみがいて」
・・・・・・いいと思うか?
「聞くまでもないな。うらやましすぎる。高嶺のハナと自然にしゃべれるんだから」
高嶺の花ねぇ・・・・・・
俺は最近の会話を思い出してみる。
「朝からアンタの顔を見るとは、今日も一日ついてないわね」
「草木のほうがよっぽど役に立つわね。
アンタはいるだけで環境破壊が三倍増になるんだから」
「アンタの顔も、姿も、ぜーんぶ見たくないわ!」
「テストの点が高いからっていい気になるんじゃないわよ。
こんなもの、社会に出たらなんの役にも立たないんだから」
「しっかし、サエない顔してるわね。そんなんじゃ女の子にモテないでしょ?」
「い、いきなり止まらないでよ、近づかないでよ、きもいからっ!」
「アンタが幼なじみなんて、一生の恥ね」
「下校時にアンタに会うなんて、冗談じゃないわ」
「どうした紳平?いきなりテンション下がってるみたいだけど?」
いや、なんでもないなんでも。
「んならいいんだけど。それでさ、俺とバイトやらないか?土日だけだからさ。
いま二人ばか探してんだよ」
あー、まあこの時期ヒマだからいいかもな。それって、何するの?
「お、やってくれるか!仕事内容はそん時のおたのしみということで。
安心しろ。そんなにハードじゃないから」
(6)そして確信へ
校門を通り抜けて、しばらくして。
後ろから誰かの駆け寄ってくる音、軽快なリズムで靴と地面を蹴りつける音。
そして俺の横で止まる。なんだと思いながら顔を向けてみると、その瞬間。
「みるこっ!」
わけのわからない掛け声とともに、きれいなフォームのミドルキック。
スカートがめくれあがり、すらり長い太ももがあらわになる。短すぎる髪の毛がさらっと揺れた。
ぽーんとスニーカーの靴紐面が腹に当たる、軽くよろめく。
力弱めてくれてるんだろうけど、それでも痛いんですけど。
本気で蹴ったらとんでもないぞ、県一位の100m走者なんだから。
「あはははは。おはよーセクハラめがね!」
にっ、と満面の笑顔を向ける。あいかわらず元気だ。
それだけ言って、再び走り出す葉山さん。なんてアイサツだ。
「・・・・・・ばっちり見えたな、紳平」
まあ、なぁ。
「・・・・・・ほら、ブルマだろ?」
やっぱブルマじゃない?
(7)授業前のサプライズ
一時間目の授業は歴史か・・・・・・また眠い時間にねむたくなる授業だな。
老先生の姿を待っていると、そこに現れたのは白衣を着た女先生で、クラスの皆が驚いていた。
長いワンレンの髪はわずかに紫色をおびている。眠そうな目の下にすっと通る鼻梁、グロスの目立つ口紅。
高いヒールなんか履いちゃって、一昔前のジュリアナ東京のおねーさんみたいだ。
「はいはーい、みなさん席についてくださーい」
ざわつく生徒、それをにっこりと微笑みながら制す先生。何がはじまるんだ?
「今から持ち物検査をはじめます。机の中とカバンの中身をチェックさせてくださいね」
先生はカバンと机の中を、一人あたり五秒のペースでテキトーに見てまわる。
うちのクラスはラッキーだったな。
学校一斉でやっているから、下手に生活指導の先生にあたると時間はかかるし山ほど没収される。
それに比べて、園崎(そのざき)先生はかなりヤバイ物を持っていても見逃してくれる。
優しいんだよな。こういう所が生徒に人気あるのかな?だまっていれば美人だし。
そういえば・・・・・・とある事に気がつき、シベに小さな声で話し掛ける。
おい、おい!お前どうするんだよ!お前のカバンの中に、俺の返した本があるだろ?
「だいじょうぶ。その点はぬかりがない。来た時点でイヤな予感がしたんだよ」
お、さすが。野生の勘がはたらいたな。
「だからオマエのカバンに入れといた」
うぉい!ふざけんなお前!
あわててカバンの中を確認してみると、そこには返したはずの本があって。
バニー姿のお姉さんがにっこりと笑っていて。うわどうすんだこれ。
タイミングは悪いもので、ちょうど先生がかつかつとヒールを鳴らしながら横に立つ。
「ふふ、筒井くんのカバンには何が入っているのかしらね」
・・・・・あの、先生
「何かしら?」
自首したら罪は軽くなりますか?
「あら、何かイケナイものでも持っているの?」
いけないというか、あの、ある授業の参考書というか副読書といいますか・・・・・・
「それは私が判断します。さあカバンを出して」
カバンの口を開け、じろじろと見る先生。もちろんエロ本の存在に気がついている。
それでも顔色を変えずにチェックしていく。
あは、あははは・・・・・・
「・・・・・・特に問題ないじゃない。ただの参考書ね」
え?
しれっと言い放ち、俺の椅子の裏へと回りこむ。・・・・・・たすかった!
「それじゃ次は、机の中ね」
なんでわざわざ椅子の裏に回りこんだんですか・・・・・・と聞こうとする間もなく、俺の顔横から先生の顔が近づいてくる。
いや、まあそうすれば机見れますけど、ちょっと近づきすぎじゃないですか?
ほら、先生の胸が俺の肩にヒットしてますし!顔だって近づきすぎですよっ!ああ、シャンプーのいい香りが……
やばい一部分に血が集まってきた。
「うーん、ちょっとあやしいわね・・・・・・じっくり調べさせてもらうわよ」
先生・・・・・・あの、ちょっと、体が・・・・・・
「体が、どうかしたのかしら?」
ほら、当たってるんですが・・・・・・というか耳元でしゃべらないでください。
「それくらい、ガマンしなさい」
息が耳に優しくあたり、背中に電気が走ったようにビクッとする。
そして、その様子をジト目で見る、前の席の里見さん。じーっと見てるぞ。
瞳の色が青っぽいんだな、ハーフだもんね。いや、そうじゃなくて。
あ、あは、あははは・・・・・・
俺はあいそ笑いをするしかなく、しばらく冷たい視線で見られていた。
あの先生、いいかげんカンベンしてくれませんか?
「それでは、これで持ち物検査を終わります。それじゃ先生がくるまで静かにしていてね」
がらり、と戸を開ける。廊下に出て行こうとしたその時、思い出したかのように口を開く。
「そうそう筒井くん。放課後、その参考書を持って保健室に来ること。いいわね」
・・・・・・はい、わかりました。
ぴしゃりと戸が閉められた後の、シベの一言。
「うん、無事に終わってよかったな」
俺はなんのためらいもなく首を締めた。
どの口がいうかどの口が!
(8)噂、どんどん広まる
昼休みに廊下を歩いていると、やけに大きな声で話し掛けられる。
「おーい、セクハラ大王あらためコスプレていおーう」
・・・・・葉山さん、誰からその話を聞いたの?
「あの、なんだっけ、朝いっしょにいた・・・・・・そうシベリアくんから!
さっきアタシのクラスでおっきい声でしゃべってたよ」
シベの野郎・・・・・・
って、葉山さん2−Bだから、椎名さんにも聞かれたかな?
いい?もともとアイツの本だから。そこんとこ間違えないで。
知らないうちに俺のカバンに入れられてた。えん罪だよ。
「でもでもぅ、借りたんでしょ?げっかんこすぷれっくす。こすぷれ趣味なんだね」
あはははは、と能天気に笑う葉山さん。
っぴき、とフリーズする俺の体。そこまで話したのか。
そして横切る里見さん。こっちの会話がバッチリ聞こえてるだろう。ああもうこれ以上広めないでくれ。
・・・・・・まあ、借りたことは借りたけど。
「ふぅーん。へぇー、ほぉーん。借りてんじゃん。見てるんじゃん。えん罪じゃないよそれ。
なんていうの、じっこうはん?」
・・・・・・あんま、正論を言わないで・・・・・・正直ヘコんでるんだから。
放課後も先生に呼び出されてるし。ぜったいいろいろ言われる。
「まあ見つかったあいてが、そのその先生でよかったんじゃない?
もちもの検査じたいはスルーだったんでしょ?らっきーじゃん。
ほけん委員でよかったよかった!」
それはそうだけど・・・・・・なんか俺、あの先生に目をつけられてるみたい。
「まあ観念するこったね!いろいろ言われてすむんならいいんじゃない?」
いろいろ言われるだけなら、いいんだけど・・・・・・ね。
「ふぇ?」
その頃一人の女の子は、歩きながら手帳にメモしていた。
「コスプレ=お気に入り」
うんうん、とやけに納得していた。
(9)そしてダメ押し
「筒井くん・・・・・・ちょっと、いいかな?」
すべての授業も終わり、保健室に行かなきゃメンドいなぁと思っていたその時。
ぼそぼそ、と綾戸さんから呼び止められる。
「あの、朝の持ち物検査のときに先生にいわれてたのって、何だったの?」
あ・・・・・・あれはその、ちょっと授業と関係ない本が入っていてね・・・・・・
俺のじゃないんだけど。入れられてたんだ!
「それって・・・・・・」
うん?
「・・・・・・私、見てみたいんだけれども、いいかな?」
あ、あのね綾戸さん、やめた方がいいよ?
「え・・・・・・そんなに、まずい本なの?」
うーん、マズいね。なんというか、その、エッチい本だから。
「あ、あ、そんなような、本なんだ・・・・・・」
すべてを理解したような表情の綾戸さん。
ああ、いままで少しづつ積み上げてきたものがガラガラと崩れた気がした。
せっかくいい感じでしゃべれるようになったと思ったのに。
「まあ、そんな本も、たまには必要かもね、あは、あははは・・・・・・」
無理して笑う綾戸さんを見て俺は。
死にたくなった。
「でも、ダメだよ。そんな本をもってきちゃ」
あは、と笑いながらそっと叱る彼女はかわいすぎる。
こういう表情できるんだよな。みんなは知らないだろうけど。
はい。本当に気をつけます。
綾戸さんにいろいろ言われる分にはいいんだけどね。いや、むしろ言われたい。
・・・・・・俺ってヘンなのか?
(10)カンベンしてください先生
先生いませんように、と祈りながら保健室をノックする。
しかし無情にも「はーい」という声が聞こえてくる。こんな時にかぎっているんだもんな。
普段、どこいってっかわからないのに。
俺はハラを決めた。がららら、と静かに戸を開ける。するとそこには。
ほんのり桃色の看護婦すがたの先生。手に持っているのはカルテですか?なにやってんすか。
ふふ、とほほえむ先生は俺を挑発しているようで。
見る人がみたら天使のようなんだろうけれども、俺にはサキュバスが笑ってるようにしか見えなかった。
あはは、とつられて笑う俺。
がららら、と戸を閉める。
さて、帰るか。何事もなかったように保健室を後にしようとした。
「・・・・・・こういうのが好きなんでしょ?コスプレックスくん」
扉から顔だけを出し引き止められる。顔をひきつらせながら仕方なく保健室に戻る。
いちおう弁明しとくか。
あの、それ俺の本じゃないんです。カバンに勝手に入れられてて。
「あら。それじゃ、興味ないの?こういうものに」
ぱらぱら、と「月間コスプレックス」を見ながら、上目づかいで俺をねめつける先生。
・・・・・・これは、いじめですか?
いえ興味がないわけじゃ。この本借りてましたし。・・・・・・あ。
「ふーん、借りてたんだ。こういうのがいいのね?」
こういうのって先生。
そんな、興味深そうに見ないでください。俺だって男の子なんですから・・・・・・興味、ありますし。
「これは・・・・・・すごいわね」
先生、俺泣きそうです。
「わかったわ。私もがんばってみるわね」
何をがんばるんですか先生は。
「それはそれとして・・・・・・こんな本を学校に持ってくるというのは、先生として見逃せません。
学校は勉学の場ですよ?遊びに来ている訳ではないはずです」
先生は強めの口調で俺を追い詰める。正論すぎてぐうの音もでない。
・・・・・・はい。反省しています。
「この本を、生活指導の先生に持っていく事もできるけど、それはまずいわよね?」
はい。できればオンビンに事をおさめてほしいのですが・・・・・・
「私もそこまで鬼じゃないから。でもね、条件が一つあるの」
・・・・・・どんな、条件ですか?
「保健委員の仕事をさぼらないこと。それで手を打つわ」
俺も本当はさぼりたくはないんですけど、その、先生が・・・・・・
「なによ。私のせいかしら?筒井くんが来ないのは」
あの、この前みたいな格好はこまります。下着に白衣いっちょうってのは。
目のやり場に困ります。
「そうなの?よろこんでくれると思ったのに・・・・・・」
そりゃあ正直うれしいですが、あれはマズいっす。
普通のカッコなら喜んで保健室に来ますから。
「ふぅん。それじゃ普通の格好するから、来なさいね。
しっかしこの本、すごいわね。世の中にはマニアがいるものなのね。筒井くんみたいな」
先生・・・・・・あの、あんまりいじめないでください。
(11)そしてカットイン
ノックなしで勢いよく開かれる扉。ビクっとする俺。
それもそうだ、先生は俺のエロ本をふむふむ言いながら読んでいるわ看護婦姿だわで。
状況を説明するのが難しかったから。
開かれた戸の先には、運動服にブルマ姿の最近よくみる顔があって。めいっぱい元気!という顔をしていた。
「こーんにちわっ!ばーんそうこうちょーらいっ!
ってあれれ・・・・・・なに、読んでるんですか?」
「ん、それはこの少年に聞いてみるとわかるわ」
・・・・・・はい、げっかんコスプレックスです。
俺は観念した。もうどうにでもしてください。
二人の女の子は、じっくりと本を読んでいる。
葉山さんはきゃあきゃあ言いながら、園崎先生はいたって冷静に。
「・・・・・・うわぁ、わぁ・・・・・・これはまずいよう。だってまるみえだよ?
制服としてイミがないもん」
「でも、それが筒井くんはいいのよね?ぐっとくるのよね?」
「うわー、そうなんだー。このヘンタイー!あははは!」
もう・・・・・・この場から帰りたい・・・・・・
(12)そして帰ったら帰ったで、校門の付近。
すっかり日も落ち、あたりは暗くなり。冬の日の入りは待ってくれない。
玄関から一歩出て外の寒さに身震いする。
ぼんやり見える人影、近づき確認すると一番顔を合わせたくない人と会ってしまうもので。
「この、どヘンタイ。なに学校に持ってきているのよっ」
やっぱりバレてたのか椎名さんにも。シベの奴、ホントに恨むぞ。
俺の安息の場は、家にしかないのか・・・・・・
いたたまれなくなり、俺はとっさにウソをつく。
あ、俺学校に忘れ物してきちゃった・・・・・・戻るね。じゃあね。
「あ、ちょっとなによ、待ちなさいよっ!」
ぼんやりと照らしはじめる街灯は、二人の影を作る。遠く長く伸び、どんどん距離は離れて。
今は何もわからないまま、心の距離すらも離れているように見えた。
実際のところは、いまだ誰にもわからない。
本人同士すら、わかっていなかったのだから・・・・・・
(13)家に帰っても。
母さん、どうしたの?ボーっとしてるけど。
「……え?ど、どうかしたのかしら、シンちゃん」
なんだか母さんがよそよそしいのは、気のせいか?
目を合わせてくれないのはどういうことだ?
ひょっとして……いや、まさかねぇ。
(14)その原因
ベッドの下がエッチ本の隠し場所ということは、母親はもうずっと前から知っていて。
「午後の人妻・クリーニング屋ケンちゃん」を眺めながら、呆然としていた。
「シンちゃんももう17歳だものね……こういう事に興味あるのは自然なんだけど。
こっちの方面の趣味だったのね……もう。それならそうと言ってくれればいいのに。
……そうじゃ、ないわよね。
どうしましょ、これからどんな顔をして話せばいいのかしら……」
おろおろと動揺する母親。
と、とりあえず!そうよ、ジャンル別に整理して……とずいぶん混乱していた。
(15)今日の日記
一月某日
曇空は晴れることなく一日が過ぎてしまう。
今日はうれしい事があった。
あの人が手を振ってくれた。気がついている。車だけじゃない。私に気がついてくれている。
それだけで心の中が満たされ、あたたかくなる。
笑みをもらさずにはいられない。車の中は相手から見えないけれども、私も手を振り返してみる。
今度は、窓を開けてみようかな?
少しづつ接点が生まれて、少しづつ仲良くなって、思い出してもらえればいいなあ。
思い出してもらえないのも、無理はないんだけど。
私も何か行動にうつさないとね。
そうだ。
チョコレートをあげる、というのはどうだろう?バレンタインデーの日に。
直接話すのは苦手だから、手紙を書いて。
あと二週間ある。そうだ、それがいい。
だまって待っていても、何も変わらないものね。私もがんばらなきゃ。
つづく
第七話 すれ違い
六月、しとしとと雨が降っている。
梅雨の時期はどうも駄目だ。憂鬱な気分になる。
ジメジメするしね。
まぁ、梅雨が過ぎれば夏で。俺の一番好きな季節の到来だ。
キーンコーンカーンコーン♪
おし、終った、と。さて、帰るかな。
ゆき「こうちゃん♪かーえろっ」
俺「ん。」カバンに筆記用具だけ入れて立ち上がる。
ゆき「ねね、どっかよってく?」
俺「ぇ〜メンドイ。」
ゆき「ケチ…。」
そんな二人様子を1人の女子が、教室の入り口で…
渚「ぁぅ。な、何よ…デレデレしちゃってさ…何よ…一緒に帰ってあげようと思ったのに…」
見ていた。
つづく。
393 :
Mr.名無しさん:2005/04/12(火) 23:30:44
長すぎ登場人物多すぎで誰が誰だかさっぱりわからん
>>1 そこはかとないエロゲくささが大変よいと思います。
まだ読んでないけど大変GJ
すげえな・・・
書き手の方々頑張ってー
398 :
Mr.名無しさん:2005/04/15(金) 03:31:19
保守
hosyu
職人さんがんばってください
400 :
Mr.名無しさん:2005/04/17(日) 00:04:00
続きが読みたいねマダー
マターリ雑談でも適当にしてればいいんじゃないかな
保守だけ書いても過疎スレに拍車が掛かってるようで切ないしさ
じゃあ最近の近況でも書こうかw
俺はGWが楽しみだYO
GWなんて、家で寝てるぐらいしか予定がない
最近9時ごろにねて4時ごろに起きる
406 :
Mr.名無しさん:2005/04/17(日) 14:51:52
407 :
Mr.名無しさん:2005/04/17(日) 15:34:37
第七話 すれ違い(2)
帰り道、久々にゆきと肩をならべて歩く。時々肩がぶつかる。
そう、相合傘だ。
俺「もうちょっと詰めろよ…」
ゆき「む、むりだよぉ〜。もとはと言えば、こうちゃんが傘持ってこないのがいけないんだからね」
そういいながらも何処か嬉しそうだ。なんでだ。コイツとは長い付き合いだけどよく分からんことがある。
それより少し後ろ…
渚「ぁぅぅ…仲良さげに歩いちゃってさぁ…何よ…ぶつぶつ」
学校からつけていたのだ。電柱に隠れながら。傘があるから回りからはバレバレだが、前の二人は気付いてないらしい。
渚「ぁ、お店に入った…で、デェトみたいじゃない…」
カランカラン♪
店員「いらっしゃいませ♪おふたりですかぁ?」
この間、希先輩と来た喫茶店だ。無意識に渚の姿を探してしまう自分に嘲笑した。
ゆき「ここの、ウェイトレスさんの制服可愛いよねぇ♪私、一回着てみたいなぁ…」
夢見る少女になってやがる。まぁ、ゆきなら似合うだろうけど。
一方、渚。
渚「アタシの店だぁ…入りにくいなぁ…でも…」店先でうろうろしてると。
ナンパ1「ぉ、君可愛いねぇ?それって桐ガクの制服じゃん?」
ナンパ2「いまひとり?なら、俺達とあそばね?ひまなんだよねぇ〜」
渚「うっさいわね!今アタシは忙しいのよ!どっかいって!」
ナンパ1「あ?こっちが下手にでりゃ調子乗りやがって。おら、こいよ!」
そう言って渚の腕を引っ張る、ナンパ。
つづく
第七話 すれ違い(3)
渚「やだ、ちょっと、はなしてよ。」
いくら渚が腕力があるといっても、やはり男と、女。力の差は歴然だ。
渚(ぁぅ…こ、幸太郎…)
一方幸太郎
俺「っかし、こんでるなぁ。」
ゆき「うん。ここケーキが美味しいからね。クラスの子も結構来るみたいだよ♪」
ずっと上機嫌だな。なんかアッタンか。ふと、窓の外を見る…
そこには――…
エ…?渚?それも、なんかからまれてるっぽい。
気がつくと俺は、立ちあがって、ドアに向って走っていた―――…
ナンパ1「おら、早くコイよ!」
ナンパ2「がんばるねぇ〜、おれ、このこ、好みかも。」
俺「おい!何してんだ!」息を切らして駆けつけると、渚は、男2人に腕を捕まれていた。
渚「ぁ、こ、こうたろ…?」渚が驚いたような声を上げる。
俺「放せよ。嫌がってるだろ!」声を荒げる俺。
ナンパ1「んだよ、オマエ、このこのなんだよ?あぁ?」
俺「俺は…俺は、コイツの…」
俺「…彼氏だ。」
つづく
じらすなよ('A`)
>>410 まだまとめてないんですorz
もうすこしまってorz
ひき逃げか
こういうの「書き続ける」って偉いと思うわ
オレ飽きっぽいから途中で絶対やめてるし
つーわけで頑張れ
>>412 ひきにげ・・・?
>>413 やっぱ自分のすきでやってることだし…ありがとう。
それでは続き。
俺「…彼氏だ。」
俺はそう言い放って、渚の腕を引いた。よろけて、俺に抱きつく形になる。
ナンパ1「あんだよ、彼氏いたのかよ、ちっ。興醒めだ。いくぞ」
ナンパ2「ともだちでもいいからさぁ〜」そう言って引きずられていった。
渚「ぁ、ぁりがと…」顔を真っ赤にしてそう呟く。俺は傘を拾って、渚に渡してやった。
俺「もう、変なのに捕まるなよ。…おまえ、顔は結構いいからさ…」可愛いって言えばいいのに、素直じゃないな俺。
渚はますます顔を真っ赤にして。
渚「私も…こうたろ、結構好きだよ…」いや、すきなんて言ってないんだが。まぁいいか。
俺「じゃあ、ゆき待たせてるから行くな。」
渚「ぁ、…うん。」
戻ると、ゆきが拗ねていた。
渚「可愛い…か。フフッ」
第八話につづく。
まだ長くなりそうです…スイマセンorz
ひき逃げってのは週刊マンガなんかである「微妙に気になる展開で次回に続く」手法
「かってに改蔵」の何巻かに出てくる。
>>415 なるほど・・・
まぁ、そうゆうふうに書かないと楽しんでもらえないですしねwまぁ、楽しんでもらってるかどうかは微妙だけど。
第八話 初デート
六月も半ば、梅雨はまだまだ続くみたいだ。これでいて、結構気温が高いから手がつけられない。
でも、その点桐ガクはいいよな、空調整ってるし。さすが進学校。
キーンコーンカーンコーン♪
お、終ったか。さぁて、昼飯昼飯♪
小さく鼻歌を歌いながら、購買に向う。端から見たら変人に違いない。
俺「うわっ、むしむししてるっ!」
流石は購買。人が集まるだけあってむしむしする。
ドンっ!
何かがぶつかる感じがした、大した衝撃はないが…後ろを振り向く。
希「あ、ぁたた…」あぁ、先輩だからか。
俺「大丈夫ですか?先輩?」そう言って手をとって立たせてあげる。
希「あ、幸太郎君。うん、有難う♪」ニコニコ。
俺「いえいえ、っていうか、先輩っていつも購買でしたっけ?」
希「ぇ?ううん。今日は寝坊しちゃって…お弁当作れなかったんだぁ…それで仕方なく。 幸太郎君はいつも購買?」
俺「はい。親は『めんどくさい』とか言って弁当つくってくれないし。作ったとしても、大量殺人兵器になるのがオチですからね。」
希「た…大量殺人兵器……」冗談なのに。
俺「それより1人でパンかえますか?ここは戦場ですよ。」
希「あ、馬鹿にしてるなぁ〜?取ってきて見せるんだからっ。みてなさい!」そう言って人ごみに…
希「ぁわわわわぁ〜」流されていった。大丈夫かな。先輩。
つづく
418 :
Mr.名無しさん:2005/04/19(火) 00:32:21
hosyu
まとめ更新(順不同、敬称略)
【連載中の作品】
1 ◆5nKXNraGc2 (
>>1)
第一話
>83 >84 >85 >86 >87 >88 >89 >90 >91 >92
>93 >94 >95
第二話
>113 >114 >115 >116 >117 >118 >119 >120 >121 >123
>124 >125 >126 >127
第三話
>268 >269 >270 >271 >272 >273 >274 >275 >276 >277
>278 >279 >280 >281 >282
第四話
>362 >363 >364 >365 >366 >367 >368 >369 >370 >371
>372 >373 >374 >375 >376 >377 >378 >379 >380 >381
>382 >383 >384 >385 >386 >387 >388 >389 >390 >391
◆uh.Nj7Topk
登場人物まとめ
>317
第一話
>286 >288 >289 >290
第二話
>291 >292 >293 >295
第三話
>299 >300 >301 >302 >303
第四話
>304 >305 >306 >319
第五話
>320 >321 >327 >328 >341
第六話
>343 >345 >346 >347 >348
第七話
>392 >408 >409 >414
第八話
>417
【休載(?)中の作品】
丸出毒男
>9 >13 >14 >16 >17 >18 >19 >20 >23 >24
>25 >26 >28 >29 >31 >32 >33 >34 >35 >38
>41 >48 >49 >50 >51 >56 >57 >58 >59 >60
>61 >62 >63 >64 >65 >66 >67 >68 >69 >70
>74 >75 >76 >77 >153 >154 >155 >157 >158 >159
>162 >163 >164 >165 >166 >167 >168 >169 >171 >196 >197
>198 >200 >206 >207 >208 >209 (続きマダー)
「ここはxになるの。わかる?」
ハキハキとした口調で、俺の間違いを指摘するのは、家庭教師の美紀さん。
美紀さんは近所に住む女子大生で、ここ2ヵ月、週に4回はうちの家でこうして勉強を教えてもらっている。
でも俺は美紀さんが来るようになってから、余計に勉強に集中出来なくなった。
その原因は紛れもなく勉強を教えている美紀さんにある。
彼女の肌は透き通る程白く、大きな瞳の周りには黒々とした長いまつげが伸びている。完全にタイプ、ストライクゾーンだ。
おまけにミニスカートや胸の大きく開いた服をしょっちゅう着てきて、俺を誘惑しているとしか思えない。
「ちょっとちゃんと聞いてるの?」
「あっ、すいません」
「もう。あ、ここも間違えてる。そんなんじゃ目指してる大学行けなくなるわよ」
あんたのせいだよ。そんなに椅子くっつけて座るからいけないんだ。
ほーら、下向いたらパンツが見え…そうで見えないな。
「ほら早く消しなさいよ。あぁ、もう」
そう言って彼女は僕の消しゴムでノートを消しだした。
…あたってる。俺の腕に美紀さんの胸が。
今日の彼女の服装はミニスカートにロングTシャツ。
残念ながら見た目ではわからないが、消しゴムを擦る度に、彼女の腕の振動が、彼女の胸、そして俺の腕へと繋がる。
もう少しもうすこ…あぁ、消し終えてしまった。もう少し消えの悪い消しゴムを買っておくべきだったと、俺は猛烈に悔やんだ。
「早くペン持って、ちゃっちゃかやりなさいよ」
美紀さんのぽってりと形のいい唇が、キラキラと光を弾きながら俺に言った。
―かきかきかきかきかきかき…
やっぱり集中出来ない。
この顔を少しだけずらせば、彼女の顔が目の前にある。
その距離は10センチもないだろう。
女の人特有の甘くていい香りが俺の頭を占拠していく…。
―バコッ
「何してんの?さっきから手動いてないじゃん。ちゃんと考えてんの?」
暑い参考書の背表紙で叩かれた頭が、じわじわと痛む。
「(x+2)(x…」
いくら問題を呟いても頭の中にちっとも入ってこない。
むしろ考えようとすればする程むけていく。
「あぁ、もうあんた駄目ね。10分の休憩にしましょ」
そう言って彼女は立ち上がり伸びをした。
「うぅーん、疲れた」
丈の短いTシャツから脇腹が見えている。あぁ、もう我慢の限界だ。
俺は彼女をきつく抱きしめた。
「ちょっと?!なに!離してよ!」
腕の中で暴れる美紀さんを、ベットの上に強引に押し倒した。
うるさく喚く口に舌を押し込むと彼女はやっと静かになった。
腕の力は抜けて、自分から舌を絡めてきた。
「んぅっ」
漏れる息がなんとも色っぽい。
唇を離すと、潤んだ瞳でこっちをみている。
…やばい!そんな風に見られて止められる奴がこの世にいるわけない。
もう一度キスをしながら、服の中に手を入れた。
「ひゃっ、冷たい」
なにもかもが彼女じゃないみたいだ。それどころか夢のような気さえしてくる。
おいおいいいとこで止めるなよ
続きが気になるじゃないか
でもこのままいくとただの官能小説になってしまうんですけど、いいんですかね?
>>428 いいよ。ツンツンしたまま書ききってしまって
あとからどうやってデレにもってくか考えれ。
俺のチンコが早く早くと急かしてる
もうここの流れからツンデレな話にするのはひとひねりいるわな、確かに
実際に生で触る彼女の胸は予想以上に大きかった。俺の手で掴むと指からはみ出してしまう程だ。
その胸の先の色づく部分を口の中に含んだ。
「あっ、んぅ」
小さな声で、でも確かに声を上げている。
舌で器用に転がしながら、俺の左手は彼女左胸を揉む。
右手は序々に下がり、スカートの中、内ももを何回かなぞる。指先で、ゆっくり、ゆっくり。
薄目を開いた彼女の手が俺の腕をつかみ、足のつけねにもっていく。
「…仕方ねーな」
と俺は呟いて下着を下ろした。
彼女のそこはもうすでに濡れている。
割れ目の上のでっぱりから、液で濡れる所まで、指を数回を行き来させた。
それだけで、指先はねっとりとした物で光っていた。
中指を静かに壁の中に押し込んでいく。声にならない彼女の息は荒くなる。
指が奥まで埋まり、壁を摩る。
「あっぅっ」
高い声。彼女は今までよりも、明らかに敏感に反応を返してくる。
俺はそれに応えるようと、やっているこっちがいやらしさを感じる程の遅さで、指先を回す。彼女が一番を喜ぶ場所をさぐる為に。
…ここだろう。その場所に向けて一気に指先を動かす速度を速めた。
「ぁっあっいぃっんぅっ」
俺の服をつかみだから声をあげる。部屋には湿った音が響く。
あんまり良い反応をするものだから、すぐに動かすのを止めた。
すると美紀さんは僕の目を見て
「…いじわる」
といった。小指を口元に置いて、そんな事をいう彼女はこの世の物とは思えない程いやらしく、俺の心と指先までもを揺さ振った。
「あっだめっだめっイっちゃう!!あっぁっあぁ…」
本当にあっさりとイってしまった。
抜いた中指と人差し指をくっつけたり離したりして、愛液を眺めていると、彼女はゆっくりとまぶたを上げた。
強くつかんでいた服のすそから手を離し、俺の手に触れる。
「ごめんね、イっちゃって」
なんでこの女はこうも俺を刺激するんだろう。
…というかなんというか、可愛い。いや、可愛すぎる。
俺は彼女にキスをした。ねっとりといやらしいキスを。
「…しいの」
小さな声で呟いた。
「は?何?聞こえない」
すると彼女は眉を寄せてもう一度
「…入れて…欲しいの」
と微かに聞こえる声で言った。
「おまえ、さっきイったばっかじゃん。それなのにまだくわえたりないわけ?」
そう言うと、恥ずかしそうに頷いた。
俺を彼女が受け入れいく。壁は締め付けながら、しっかりと飲み込む。
顔の横に手をついた形の正常位だと、動いていても彼女の表情がよくわかる。
彼女の手のひらが俺の首にまわる。
喘ぎ声で途切れ途切れになりながら
「ちゅーしよう」
彼女は俺に唇を押し付けた。
彼女の声、体のぶつかる鈍い音、きしむベッドに、漏れる息。
二人を包む、この空間全てが上質なエロで出来ていると思った。
「はぁっんぁっ、奥にっあたっるのっ…んっぅ気持ちぃっいっ」
さっきイったせいもあってか、彼女はすでにイキそうになっている。…そして俺も。動きが加速する。
「んあぁあぁあ…」
―どっぴゅっどぴゅ
お互いがほとんど同時に達した。
ベッドに並んで横になっていると彼女が言った。
「本当はずっとしたかったんだよ。」
「え?!」
「…でもね、自分の立ち場を考えて、必死で我慢してたの。ずっと。だから今日抱きしめられた時、いけない!と思う反面、凄く嬉しかった…」
彼女、美紀さんはそれからも前と変わらず週に4回うちに来て、俺に勉強を教えている。
変わった事といえば、今まで10分だった休憩時間が伸びて30分にも一時間にもなる事が出来たくらい。
もちろん、その休憩の間は、俺が彼女に保健の実技を教え込んでやっているわけだけど。
でもそのおかげで、勉強にさっぱり身が入らない。このままだと狙っていた大学は確実に落ちるだろう。
…けどまぁ、いいかな?なぁーんて最近は思っている。
その理由は、狙っていた大学よりも、ワンランク低い、彼女の通っている大学に行こうと決めたから。
もしもその大学にも落ちたなら、可哀相な浪人生の家庭教師としてもう一年、彼女に頑張ってもらおう。
ついでにいうと、俺の夜の授業は受かろうが、落ちようが関係なくこれからも続けていく予定。
おっしまい。
乙
ツンデレでないが乙。
442 :
Mr.名無しさん:2005/04/19(火) 23:56:46
毒男の続きだけが気になる
はげしく乙。イイヨイイヨー!
444 :
Mr.名無しさん:2005/04/20(水) 00:09:19
>442の「だけ」という二文字で傷付いた椰子多数。
モコモコ(・∀・)イイ!
446 :
作者:2005/04/20(水) 02:29:36
>>442 嬉しいこと言ってくれてありがとう。他の作者さんも乙です。
ウィンチェスター
まとめサイト作りたいな
>448
期待してるぞ
455 :
Mr.名無しさん:2005/04/22(金) 16:21:14
ガンガレ
ツンデレを語る場合、デレは最後の最後でたった一回でもよい。
ある天才は言った。
ツンデレとは99%のツンと1%のデレであると
457 :
Mr.名無しさん:2005/04/22(金) 19:21:19
エジソン
モンテスキュー
ルソー
加藤鷹
加藤大
463 :
Mr.名無しさん:2005/04/23(土) 23:53:51
毒男の続きが気になってしょうがないんです
ここは昔懐かしいときメモの鏡さんを愛しちゃうような人達が集まるスレですか?
ここで小説書いてる人は皆毒男なの?
466 :
Mr.名無しさん:2005/04/25(月) 17:01:17
そうだよage
467 :
Mr.名無しさん:2005/04/25(月) 18:04:51
毒男じゃないのに、ここに小説カキコしたやつ知ってるよ。
そこんとこどうなの?
面白ければいいんじゃん?
小説書いてくれるならば、毒男であることとかに拘らんだろ。
そんなことより、ageんな。
どうなの?と聞かれてもどう答えてほしいのやら、という感じです。
とりあえずまた投下していただけるようにおながいしてくれ
期待sage
更新分
【完結した作品】
モコモコ
>422 >423 >424 >425 >426 >431 >432 >433 >434 >435
>436 >437 >438 >439 (完結)
なに?廃墟化一歩手前?
まーこんなもんでしょ。最初を考えれば良くぞここまでってもんですよ
474 :
Mr.名無しさん:2005/04/27(水) 00:42:49
こうなったらもう俺たちで他の作品もどんどん完結させるか?
一人一行ずつぐらいで。
475 :
Mr.名無しさん:2005/04/27(水) 02:01:16
毒男書いてる者です。
1さんがもう少しで完結、ということだったので投下を控えていたのですが・・・。
もし1さんの更新がしばらく無いのなら投下して完結させたいと思います。
お待ちしてました
投下予告キター!!
478 :
Mr.名無しさん:2005/04/28(木) 01:43:17
おねげーしますだ〜
待ち保守
いわゆるひとつの加筆修正待ち?
ワクワクテカテカ
>>1さん、どうしちゃったんですかね。少し様子見してたのですが・・・。
投下ですが、都合によりGW後になります。すんません('A`)
何人かの待ってる方々が居てくれることがとても励みになるっす。
>>482 投下が遅れるのは残念ですが、
投げ出したりしないようなので安心できました。
ありがとうございます。がんばってください。
さあ、皆の衆!
毒男だけでなく、他の偉大なる物書きの方々のためにも
GWの間、連休厨から守りつつ、dat落ちしないように待つのだ!
応! と今書き込む必要はないな。
俺は
>>1と◆uh.Nj7Topkとウィンチェスターが楽しみなんだが。。。
漏れは全部楽しみにしてる
まだかなー?
新しいの誰か書いたら?GWだし
とりあえず、GW中にageるのは危険行為なので気をつけよう。
滅茶苦茶遅くなってます。すいません。明日には投下できると思います…
早さもほしいけど、やっぱり自分が納得できる作品をたのむぜ
つーわけでがんばれー
GWで圧縮が加速しているようなので保守
492 :
Mr.名無しさん:2005/05/02(月) 18:16:11
hosyu
493 :
Mr.名無しさん:2005/05/03(火) 02:09:40
hosyu
そろそろ落ちそうだぞ
大丈夫か?
ほしゅ
ほっしゅ
おい、オチが上手く決まらないぞ、何とかしてくれ
毒男マダー?
第五話 なんでかギクシャク、なかなおり
(1)初日、なぜか着ぐるみ
バイト先の事務所に行ったら。
目の前にはクマの着ぐるみがハンガーにかけられていて、両手をだらりと下ろしている。
あの、バイトしに来たんですけど。
「だから、これを着ることがバイトなんだよ」
・・・・・・これを着るのか、このクマを?
「そうそう。それでチラシくばって愛嬌ふりまいて、子供にゃ風船くばって。
それだけで一万円ってのはおいしいぞ。
この三連休で三万円!おい、何に使おうか」
たしかにそりゃオイシイな。
「あはっははは!こすぷれっくすくんには、ちょうどいいんじゃない?
まにあだもんね、シンペーちゃんはっ」
だから、それ勘違いしてるよ葉山さん。
ってかなんでここにいるの?
「あー、それはボクもバイトやるから。
ウチはあんま、こづかいもらえないんだよね。きょうだい多くってさ」
葉山さん、もうウサギの着ぐるみ姿になってるし。
あ、このキャラクターって……
にこにこもりの、そのおくに。
なかなかなかまの、さんにんです♪
くまきち!
うさこ!
たぬべぇ!
三人はいつーも、なかよーし♪
……の、アニメのあれか?
「そう、アレ。よかったな紳平!堂々とコスプレができるぞ」
よくねーって!だからちがうってよ!
「まあまあくまきち、仲良くがんばろう!」
うわもうこっちはもう役になりきってるし。
(2)いろんな人に出会うもので
ここ、白鐘町の駅前に「サトミデパート」がオープンして。
その宣伝部隊として、くまきち(俺)うさこ(葉山さん)たぬべぇ(シベリア)は頑張っている。
……なんだ、蒸し暑いぞ。けっこう重労働な気がすんだけど。
あれ?こっちに向かって歩いている、あの黒ぶちめがねは。
あーやーとさーん!
「わわっ!・・・・・・だれ?」
どうもー、くまきちです。
「・・・・・・その声は、筒井くん?」
ちがいます、くまきちです
「あはは、そういうことにしておくね。アルバイトしてるんだ」
シベのやつに騙されてね。買い物?
「うん、暇だったから来たの。やっぱり人がいっぱいね」
あは、と微笑みながら話す綾戸さん。
いやなんだこりゃついてるな、と喜んでいると。
「くまきちさん、こんにちは」
……やばい、園崎先生だ。なんでこんなとこにいるんだよ。
つうか俺だってバレてないよな?愛嬌をふりまいとけ。
左右に軽くとびはねながら、両手をかわいく振ってみた。
すると後ろに回り込まれ、首のあたりを抱きしめられる。
「……筒井くん、よね?」
いえ、そのくまきちです。にこにこ森から、はるばる出てきました。出かせぎです。
「ふーん、そうなの。ところでくまきちさんは、アルバイトの申請を学校に出したのかしら?」
・・・・・・いえ、クマだもんで、言っていることがよくわからないです。
俺はやけくそ気味に愛嬌をふりまく。
「くまきちさん、休み明けに保健室に来てね。たっぷりお説教をします」
あはは……は。やばい、完全にバレているし。
あれ、あのなんげえ車は……里見さんだ。オーナーの娘じきじきに来ましたよ。
ここは、そう。風船あげとこう。
ふだんの俺ならムシされるだろうけど、今の俺はくまきちだ!にこにこ森からはるばる来ましたよ。
どうぞ、と愛嬌をふりまきながら風船をさしだす。
「あ……ありがとう、ございます」
う、うわ。すっごい穏やかな顔で、俺に微笑みかけてくれてる。
なんだ、こんな顔もできるんじゃん。おもわず見惚れてしまった。
……ちょっと冒険してみるか。話しかけてみる?
「・・・・・・こんにちは、里見さん」
わ、と驚く。そりゃそうだよな。
その瞬間、そこかしこから大勢の黒服が出てくる。SPってやつか?
サングラスをした集団から銃をつきつけられて。え、それ本物っぽいんですけど!
おもわず両手を上げフリーズする俺。
あの、自分は善良なくまですよ。危害は加えませんよ。
てててっとデパート内に逃げていく彼女。・・・・・・悪いことしたな。
あの、いいかげん銃おろしてくれません?
(3)おんなのこ
ようやく昼休み。頭だけ外して一休み。
汗をかきまくった体に、冷たいジュースが染み渡る。
着ぐるみって、けっこうクサいのな。
疲れ果てている俺とは対照的に、げんきハツラツな葉山さん。
着ぐるみ着たまま、おしりふりふりダンスしてるんですけど。
なに、やってんの?
「いや、こーゆーのがすきかなって」
・・・・・・それは大きな勘違いしてるよ。
「えー!だってこの前そーゆー本もってきてたじゃん、学校に」
それは、まあ、そうだけど・・・・・・
「こすぷれ好きなんでしょ?」
あー、好きか嫌いかっていったら……そりゃあ、ねえ。
「だから、ほら」
またも、おしりふりふりしながらダンスする。
……なんか、妙にいろっぽいんですけども。
あーもー!女の子はそーいうことあんましないの!
そんな動いてると汗かくから、クサくなっちゃうよ。
「え……」
だから、汗くさくなっちゃうよ。着ぐるみなんだから、暑いでしょ?
「・・・・・・なによ」
ん?
「なによなによ!ヘンタイでセクハラでコスプレのくせに!」
なに怒ってるの?
「どうせボクは汗くさいですよっ!走ってばっかだから!」
いや、そうはいってないって。着ぐるみってくさいから……
「やっぱり筋肉バカって思ってるんだ、シンペーちゃんもっ!
どうせ走るしかのうがないですよっ!」
そんなことは、ないって。ほら、着ぐるみの中って汗くさいから……
「やっぱそうなんだ、これでも気にしているのにっ!」
だーから。ちがうんだって。
「もう、いい!」
ちょ、ちょっと待ってよ!誤解なのに……
(4)二日目、適当な話
翌日。朝のミーティングには、既に着ぐるみを来た三人がそろっている。
葉山さんとの間には会話がない。ミーティングが終了するとすぐに外に出て行った。
「おい、くまきち。ちょっといいか?」
……なんだよ、たぬべぇ。
「うさこと、何かあったのか?どうも昨日の午後から、二人の間に微妙な空気が流れてるみたいだけど」
う……鋭いな。
「そらわかるって。休み時間だってなんもしゃべらないし」
……そうだな。
「まあ原因はどうでもいいし、俺が口はさむことじゃないけど」
たぬきの着ぐるみをかぶっていて、シベリアの表情はわからなかったが。
多分、今まで見たことのない真剣な顔をしているのだろう。
「俺がもう一人、バイトするやつを探しにB組に行ったんだよ。
それでツレと話しててさ、そこに葉山さんが会話にはいってきて。
紳平もバイトするぞって話して、それでバイトすることになった」
そうだったのか……
「面白い縁だろ?
俺がB組にいかなきゃあの子はここにいないし、
お前だって保健委員じゃなきゃ知り合ってなかっただろうし。
葉山さんの、ケガの手当てしたんだろ?」
うん、手当てした。
「つまーり、たぬべぇが何を言いたいかっていうと」
……うん。
「女の子にはやさしくしろってことだ。そして仲良くしろな。
そーゆー縁って、なかなかないもんだぜ?」
そう、だな……
「それと俺たち、にこにこもりの仲間じゃないかよ。
キャラ的に、ギスギスしてたらいかんぞ。
……俺の言うことだから、アテになんねぇかもしれんけど」
いや、んなことない。
「まあテキトーにがんばれ」
はは。なんだ、お前にそんな事いわれるとは思ってもいなかった。
「バカヤロー!俺だって思ってねーよっ」
まあ、ありがとな。
(5)ししゅんき。
お昼休み。俺は、くまきち姿のまま、おそるおそる葉山さんに声をかけた。
うさこさん?あの、ちょっと、いいかな?
「……なに?」
あの、えっと、ゴメン。俺、無神経だから、いろいろ言っちゃって。
「あ……う、ううん。こっちこそゴメン。なんか、ボクもどうかしてたね……」
少しの沈黙、その後。
葉山さんは静かに話しはじめる。
その言葉は……
自分自身の事を。
抱えている悩みについて。
今思うことをありのままに。
俺に向けてくれていた。
「最近、いろいろ気にしすぎてね。あはは、らしくないね」
「ほら、陸上で高校に入ったでしょ。それで走ってばっかいて。
まわりの人はどこそこに遊びに行ったりバイトしたりとか、いろいろやってて」
「なんかギャップっていうのかな?まわりと違う学校生活を送っていてね。
学校に来ても走ってばっかいる生活ね。ズレを感じる時があるんだよ、うさこは」
「それで、最近はぐじぐじ考えてた。これでいーのかなーって」
「高校生でさ、楽しいときに何やってんだかって、ナイーブになってた」
「練習の時にいろいろぼんやりと考えていれば、そりゃケガもするってもんでさ。
転んじゃって、すりむいて、血がでてね」
「そして保健室にいったら、くまきちがいて。……あはは、あの時はおもしろかったよ」
(6)数ヶ月前。保健室、ほけん委員。
あの、すいません……ケガしちゃったんですけど……
「あ、はい。どうしましたか?……うわ、ひどい血!しかもこんな時に限って先生いないし……」
くらっと目まい。疲労と血がながれているせいだろうか。
なんてついてないんだ。
「あの、あのですね。俺でよければですけど、応急処置しますが?」
あ、はい。おねがいしますぅ……
「あの、それじゃとりあえず消毒しますので……土がついているから、水で軽く流しますね」
「いたいですけど……すいません」
「はい、それじゃ消毒液をつけて……」
「あとは、包帯巻きますね」
てきぱき、と処置してくれる、メガネをかけた男の子。
ボクと同じ学年だよね?見たことあるもん。やさしーなぁ。
ぐるぐる、と包帯を巻きはじめたのはいいんだけど。
あの、太もも、さわってるよ?くすぐったいんだけど……
そうは思っていても言葉には出さずに。おとなしくガマンする。
「あ、あはは……すいません、あの、不慣れなもんで」
それでも、太ももをさわる手は止まらずに。
「あ、あの、わざとじゃないんで……」
最初はわざとかな?って思ったけど。
いっしょうけんめいに、必死になっている彼の顔を見ていると、何も言えなくなってしまう。
男の子は、包帯を巻きながら話しかけてくる。
「あれっすよね、葉山さん。走っててケガしたんすか?
すごいですよね、インターハイにも出て活躍したり、新聞に載ったり」
いや、そんな敬語なんていいよ。タメどしなんだからさぁ。
「いや、敬語なのは、クセっていうか……」
あは……そうなんだ。
「あの、部活って、おもしろいですか?俺は入ってないから、わからなくて」
うーん、ぶっちゃけ最近、つまんないかな。
「そっすか……毎日毎日おんなじことの繰りかえしだもんね、それはしょうがないかも」
ボクは運動特待生でしょ?だから走らないとダメだし、面白いもなにもないんだよね。
おんなじことのくりかえしで、つまんないから向上心もなくなるし、ケガもするし……
「んー……」
……ここんとこ、陸上をやめてもいいかなって思っててさ。
こんな中途半端な気持ちでやっててもケガするだけだろうし、タイムも伸びないだろうし。
「うーん、じゃあさ。やめてみるっていうのはどうっすか?」
……え!?
「あ。本当にスッパリやめるんじゃなくってさ。
あのさ、ファミコンってあるじゃん。あれにはリセットボタンってついてるでしょ?
あれを押すと、今までの点数とか内容が消えてしまうやつ。
葉山さんもさ、自分のリセットボタンを押してみるのいいんじゃない?」
あー、うん、あはは。それも……おもしろいね。
「それで、また走りたくなったら走ってみると。そうすると気分転換になるんじゃないかな?
はは、すごい無責任なこと言ってるね、俺。
でも、そう思うっすよ」
でも……でもね。そうするとボクの価値がなくなるんじゃ……
「価値って?」
あのさ、走るだけが、この学校にきてる理由だから。
運動の特待生だし、勉強だっててんでわかんないし……
「そんなことは、ないんじゃない?」
え……
「ううん、そんなことはないよ、絶対に。価値がないなんて」
え、それって、どういう……
キター
援護
うれしかった。悩んでいたんだけど、誰にも言えなくて。
言えなかったんだけど、誰かに励ましてもらいたかったくて。
だからこそ、次の言葉を聞きたかった。どうしてそんな事を言えるのか。その時。
保健室の扉が静かに開かれる。
「ごめんなさいね……あら、ケガかしら」
先生はボクに巻かれた包帯を見て、優しく口を開く。
「これは……筒井くん、ウデをあげたわね」
……あの、でもセンセイ、セクハラでしたよ?あははは!
太ももぺたぺた触られましたよぅ!
そんなことを言うつもりはなかったんだけど、少しイジワルな事を言ってみたくってね。
からかってみたら、面白い反応をしてくれそうで。思わず言っちゃった。
これが、後々にまで引っ張ることになったんだけど……
今は、よかったなあって、思ってる。
だって、つながりができたんだから。
(7)かんしゃ
「あの時に、そんなことはないって言ってもらって、うれしかった。
助けられた。すくわれた。感謝してるんだよ、これでも。
で、あの時はそれでいいやって思ってたんだけど。
最近、またいろいろ考えはじめてね。……こう見えても、弱いんだから。女の子なんだからね。
だから……昨日はちょっと、カチンときて。うさこは気をわるくしたの」
そうだったんだ……ごめんね。俺、そういうのニブいから。
「ううん、いいよ……逆にこっちが、ごめんね。
でね、バイトやってみたいなって思ってて。みんなバイトして遊んだりしてるでしょ?
そこでシベちんがB組にきて話してて。くまきちもバイトするっていうから、ボクもやってみようって思って。
……やってみて、思ったのはね。
大変で、苦しくって。でもたのしくって、おもしろくって。やりがいがあって、充実して。
部活やってても味わえない、ステキな感覚だね」
あははは、と着ぐるみの中から笑う葉山さん。
「……くまきちには、ほんとにホントーに感謝してるんだよ?あと……」
葉山さんは、うさこの顔を取る。額には汗が浮かび、真面目な顔をして、俺に視線を向ける。
「紳平ちゃんにも、もちろん……だい感謝してるんだよ?
それだけは……知っててほしいかなって……」
ぼそぼそと、照れたようにしゃべる葉山さん。言葉尻は聞き取りにくかったけど、感謝しているというのは分かった。
「あはは!そういうことっ!また明日もがんばろうね、くまきち!」
ばーん!と背中を叩かれる、前によろめく俺。屈託のない笑みを浮かべる葉山さん。
ああ、よかった。いつもの葉山さんにもどってくれた。
(8)いきなりバトル野郎
「はーいサトミデパートですよー!ほらおじょうさんにはフーセンですよーっ!」
おしりふりふり、エネルギッシュに動きまくるうさこさん。
「……おーいくまきち、なんか昼休み過ぎから、うさこが元気すぎるんだけど?」
あー、うん。話して仲直りしたから。
「雨降って地かたまるってやつか?ははは。……葉山さんもいいんじゃないか?」
いいって、なんだよそれ。
「お前と似合ってるよ。アンバランスさが、バランスとれているんだよ」
なんかよくわかんないんだけど?
「わかんなくていーんだよ、ちくしょー!おら風船くばるぞ!」
なんだよ、それ……
チラシ配って風船を配っていると、離れたところによく見る顔を発見する。
あれ、あれは……椎名さんだ。なんか男にからまれてるみたいだけども……えっ!!
瞬間、俺は彼女に向かって走り出していた。
趣味の悪い服装。ダサい髪型。あきらかにガラの悪い顔つきの男。
いきなり私にぶつかってきて、ニヤついている。……これは、ワザとよね。
「あーっとねぇちゃん、どこに目ぇつけてんだい!」
……あなたがぶつかってきたんでしょ?
と言いたい所をぐっとこらえる。無視して立ち去ろうとする。
「おい、おい!なんだよあやまりもしないのかよっ!
ちょっと待てよっ!」
肩をぐいっとつかまれる。……仕方ないわね。
あら、失礼。
「おいっ、失礼ですめば、ケーサツはいらないんだよっ!」
なんてセリフなのかしら。前近代的ね。
いいかげん、腹が立ってきた。
かかわりたくなかったけれども、思わず口が開いてしまう。
その汚い顔をどけてくれるかしら?
あと、息がくさいわよ。
「な、ななな!これでもクレンジングには気を使って、
口臭だってガムかんだりしてがんばっているのに!」
そんなの知らないわよ。それじゃあ。
「ま、まてっ!」
ふたたび肩をつかまれる。
きゃっ、と短い声。バランスを崩してばたりと倒れてしまう。いたいじゃないの……もう!
あれ?誰か走ってくるけど、何かしら?
「どおりゃあ!!!」
「うおぅっっ!」
体ごと男に思いっきりぶつかる。肩への衝撃が頭の芯まで響く。
俺は男の腰にしがみつく。二人とも倒れこむ。
「何すんだ、この人形!」
すくっと立ち上がる男。まだ倒れている俺。
俺の腹めがけて、蹴りが一発、二発、次に顔に。背中にも。
とどめに体重をかけた膝が首のあたりに落ちてくる。
息が詰まる。目まいがする。情けないことに動けなくなる。
「だいじょうぶか、くまきち!お前、何やってんだー!」
シベリアが助けに来てくれた。男に殴りかかろうとする。
しかしパンチはするりとかわされる。
勢いあまって倒れこむ。よつんばいになるシベリア。
「ふっ。アホかおまえら!」
「ヒーローはっ!」
よつんばいのシベの背中を踏み台にして、高く高くジャンプするうさこさん。
「おくれてやってくるっ!」
スピードの乗ったヒザを、男の顔面に向けて繰り出す。
男はかろうじてよける、その瞬間。
うさこさんのヒザから下のスネがものすごい勢いで蹴り出される。軌道に三日月の弧が走る。
側頭部にクリーンヒット。短いうめき声。もんどりうって倒れる男。
俺は、まだうんうんうなっていて。
「くまきち、だいじょうぶ?わるいやつは、うさこがやっつけたからもう安心!」
役名はいいから・・・・・・たしけて。
(9)夜、二人からの電話。
あばらって結構かんたんにヒビはいるもんなんだな、知らなかった。
「そりゃオマエが貧弱だからだ。この貧弱ボーイ」
・・・・・・そうだな。じゃあ俺はもうバイト無理だから。わりぃな、他さがしてくれ。
「ほーい。早く治せよな」
けっこう簡単に治るみたいだよ?心配すんな。
「まあ、俺はお前を見直したぞ」
なんだなんだ。
「椎名さんを助けるために体張るとは思わなかったぞ」
・・・・・・まあ、彼女、いやがってたから。
「でも、助けてもらったのが近所のひょろメガネだったとは気がついていないだろうけど」
そりゃそうだ。あの時の俺はくまきちだったから。俺のことは椎名さんには秘密だぞ!
「・・・・・・言えばいいじゃん。くまきちですって」
・・・・・・なんで?
「なんでって・・・・・・俺は、人のゴタゴタが面白くてしょうがない」
ほーう。
「で、お前にゴタゴタしてほしいわけよ」
お前に喜んでもらうような事は、したかない。
「・・・・・・これは冗談としても、だ。言う言わないはお前の勝手なんだがな。
椎名さんだって、少なからずとも感謝してるとおもうぞ」
・・・・・・そうか?
「そうだ!あーいう場面に女の子は弱いと見た」
どうだろ?余計なお世話だったのかもしれないし。
「・・・・・・イヤだったんだろ?知らない男に椎名さん連れてかれるのが」
そういうわけじゃないよ。
「そういうわけじゃないけど、とっさにくまきちタックルが出た、と」
・・・・・・そういうことだな。俺だって深い意味もなく行動してたから。
「そういう、とっさの行動が、その人間の深層心理の行動なんだぞ」
そうなのか?
「だから。お前は口ではいろいろ言うかもしれないけど、心の奥底じゃそうじゃないって事だ」
そういう、ものなのかなあ・・・・・・
「まあ、わからんけど」
うわ、いいかげんだ。
「ははは、俺がいいかげんなのは前から知ってただろ!
じゃあ、そろそろ切るわ。じゃあな」
おう。また明日。
「くまきち、だいじょうぶだった?」
あー大丈夫だいじょうぶ。アバラにヒビがはいったけど。
「うそ!ジュウショーじゃんっ!ちょっとした動きでも痛くなるでしょ?」
あ、ほんと軽度だったから、そうでもないよ。クシャミすると響くけど。
「そっかぁ・・・・・・不幸ちゅうのさいわいだったね」
そうだね。葉山さん、俺のぶんまでがんばってよ。
「あはは、がんばる!全快したらお祝いしたげるよ、バイト代で!どっか遊び行こうよ!」
うわ気前いいね。期待してるから。
「あは。まあ明日、今日の兄ちゃんがインネンつけてきたら、またのしておくから!」
うーわ悲惨だ。ところでお願いなんだけど。
「うん?なになに?」
このことは、椎名さんには秘密にしておいてもらいたいんだ。
「・・・・・・うん、いいけど」
おー、良かった。シベに言ったらさ、いろいろ言われて。名乗り出ろよって。
「・・・・・・そりゃ、名乗ったほうが面白いからじゃないの?シベちん的には」
人をなんだと思っているんだアイツは。人のゴタゴタが面白いって言ってた。
「まあ、ボク的には、あんま面白くないから」
そういうものなの?
「・・・・・・そーいう、もんなのっ!あはは、何言ってんだろうねボク」
うん?
「あは、それじゃあ、そろそろ切るね。明日バイトあるし」
そうだね。俺のぶんまでがんばって。
「ありがとーう!それじゃあ、おやすみね」
おやすみ!
(10)三日目、とうとう動きはじめる。
バイト最終日の今日も、うさことくまきち、たぬべぇは張り切っている。
「……あのさ、葉山さん?」
「なんだい、たぬべぇ?」
「今日のうさこの中身って……だれ?」
「いんや、しらなーい。ボクはシンペーちゃんの代わりにくまきちだけど」
噂のうさこは、一人づつ丁寧にていねいにお辞儀をし、しずしずとチラシを配っていた。
あの、すいません。
「はーい、くまきちだよー。さあ、おじょうさんにも風船のぷれぜんとだー」
あの、あの!昨日は、どうもありがとうございました。
「・・・・・・昨日のくまきちは、お休みしてまーす。別のくまきちです。すいませーん」
あ、ああ、そうですか・・・・・・
「・・・・・・ちょっと時間いいかな?もうすこしでお昼休みにはいれるから・・・・・・
お話できるよ、シーナさん」
あ、はい。お願いします。
……って、どうして私の名前を?
「んふふふふ。それは!もすこしすればわかるよー」
「二代目くまきちの正体は!」
もぞもぞと頭をはずす。
「じゃーん、葉山さんでしたっ!」
あ、なんだぁ。こんにちは。どこかで聞いた声だと思ったのよね。
「あはは、ボクもビックリだよ。いきなり話しかけられたとおもったらシーナさんだったから!」
あは。ごめんなさい。それでね・・・・・・私、昨日くまきちさんに助けられてね。
お詫びのプレゼントを持ってきたんだけど・・・・・・
「あー・・・・・・実はね初代くまきちから口止めされているのです。
マスクマンの正体はぜったいに秘密だと」
え・・・・・・そうなの?
「うん。とってもシャイボーイでね。どうするよっ?て聞いてみたけどね・・・・・・
でも、でもでも!渡すことくらいはできますよ!」
あ、それじゃあ、お願いしてもいいかしら?これ・・・・・・昨日はスイマセン、ありがとうございましたって。
「うんっ!渡しておくね。きっとよろこぶから!」
あは、ありがとう!きのうのクマさんは、ケガとかしなかった?
「えっと・・・・・・」
・・・・・・ケガ、したんだ。
「うーん、これは口止めされてないから、いいかな?
実は、アバラにヒビがはいっちゃったのです。それでバイトできなくってね」
え・・・・・・そんな。
「まあ軽度のケガって言ってたから、だいじょうぶだよ。
椎名さんがきにやむことじゃないよ。こうしてプレゼントももってきてるし、
逆によろこぶんじゃないかな?」
でも、悪いことしちゃった・・・・・・
「だいじょうぶ!アタシが言っておくしこれも渡すから!
心配しないで」
うん・・・・・・ありがとうね。
「なーに、おやすいごようですよっ!」
それじゃ、よろしくね。アルバイト、がんばってね。
「ありがとう、それじゃあね!」
と言って別れて。ボクは思う。
「・・・・・・渡すことくらいは、そりゃできるよ・・・・・・
ホントなら、家から歩いて五歩くらいで自分で渡せるのにね……」
(11)こっちもこっちで
えっと、うさこさん。どうしたの?バイトはもう終わったよ?
「あの、あの、くまきちさん……昨日は、ごめんなさい。いきなりで、びっくりしてしまって……」
「えっと、話がみえてないんだけど?」
「……え?だって、筒井さんじゃ……あ、ごめんなさいね。
私も脱がなきゃ、分からないよね」
うさぎ頭をもぞもぞと外すと。
そこには、学校でも有名なおじょうさまがいて。わー、髪の毛きれーだなー。
「今日はおつかれさまでした、くまきちさん」
「なーんだ、サトミさんじゃーん!今日だれなんだろうねって不思議だったんだよっ!」
「え!?どうして、私の名前を?」
「それはっ!二代目くまきちの正体は!
じゃーんっ!同じ学校の葉山さんだったからですっ!……これやるの二回目だ、あはは」
「……あ、こんにちは……あれ?昨日は筒井さんじゃ……」
「えーっと、うん、そう。でもケガしちゃって今日はお休みしたの。
(あ、口止めされてたけど……まあいいや)」
「え!怪我ですか……何か、あったのですか?」
「えーっと、まあ、名誉の負傷かな?
いやがってる女の子を助けるために、身をてーして助けたの。かっこいいね!」
「そう、でしたか……」
「ところで!」
「……はい、なんですか?」
「キレーな髪ですねっ!金色で長くてつやっぽくて、うらやましいなっ」
「あ、どうも……ありがとう、ございます……」
「こうしてバイトしたのも何かのエン!
バイト代はいったら、いっしょにどこかに遊びに行かない?うちあげって事で!
シンペーちゃんとかシベちんとか!」
「あ……はい。ぜひ、よろしくおねがいします……」
うぉぉ、二代目くまきちグッジョブすぎ!!
あの里見さんと接触して遊ぶ約束までしてくれてるなんてっ!
さすが常人にゃムリなことをサラリとやってのけてくれる。
たぬべぇは、着ぐるみの中で涙を流して喜んでいた。
つづく
542 :
Mr.名無しさん:2005/05/04(水) 23:15:17
もう長すぎて何がなんだかっていうのが素直な感想
>>542 どうも感想ありがとうございます。
実力不足でした。
というわけで、この小説のプロトタイプだけ投下しようと思います。
もともと、「今からツンデレ」というスレがあって、
主人公
>>50 51-70 ツンツン
71-90 事件
91-110 デレデレ
111-130 セックス
みたいな感じでスレの流れをあらかじめ決めて、リレー方式で書いてたんです。
その時書いたものを広げて書ければな、と思ってました。
では。
いや、やっぱり老兵は消え去るのみで。
ノシ
>>544 ここに楽しみにしてる人間が一人おりますぞ。
消えるなんて言わずに今後もよろしくプリーズ
イヤになったらいつでも止めれるし、
イヤだと言われても本人がヤル気ならいつまでの続けられる
1 ◆5nKXNraGc2氏がどうしたいか以外は考えなくていいよ
547 :
Mr.名無しさん:2005/05/05(木) 01:00:27
いじけるほどのもんじゃないだろw
小説家じゃあるまいし
548 :
Mr.名無しさん:2005/05/05(木) 13:26:32
毒男に物書きとか向いてないんじゃね?
他人の評価でチヤホヤされなきゃ書けないんじゃなぁ
Loveなんとかって小説スレ見てもそう思った
そんなことを言わないで続きを書いてくだされ
他の職人さんの降臨もお待ちしています
とてもGWっぽい流れですね
543から544のレスまでの間の己の心情を小説にしてみ?
>>543 ageている段階でただの煽りだから放置しる
553 :
Mr.名無しさん:2005/05/05(木) 23:33:32
>>552 こんな板でまでagesage言うなよ自治厨
こんな板でまで、か。ナイス自虐。
やっぱ俺たちは自虐してナンボだよな。
電車のせいで「俺たちは自虐しないでもいいんだ!」とか誤解する
ところだったぜ。あぶねーあぶねーw
ところで俺は丸出毒男の続きを待っているわけだが、玲タンをヒイヒイ
言わせる展開だと腎虚で死んじゃうので配慮してくれ。
555 :
Mr.名無しさん:2005/05/06(金) 01:57:21
俺も早く毒男の続きが読みたいお。
556 :
Mr.名無しさん:2005/05/06(金) 01:58:19
あとウィンチェスターも読みたい。
だれか「ぱすてるチャイム」風に続き書いてくれないかな。
557 :
Mr.名無しさん:2005/05/06(金) 14:40:40
ツンデレこいやーーーーーーーーーー!!
しばらくは来ないな
とりあえず保守って見るお
続きマダー
561 :
Mr.名無しさん:2005/05/08(日) 23:40:12
ホス
562 :
Mr.名無しさん:2005/05/09(月) 00:34:39
初めてみたけどなんか
>>1が可哀想だな
これだけ頑張って書いてたのに・・・
みんなもっと暖かい目で見てやればよかったのに
563 :
Mr.名無しさん:2005/05/09(月) 01:05:49
あれだけ頑張って書いて感想が「長杉」だもんなぁ
564 :
Mr.名無しさん:2005/05/09(月) 01:17:14
と
>>1がぼやいておりますw
んな事言われてもなぁ、こっちだって面白ければ面白いと言ってますよ。
565 :
Mr.名無しさん:2005/05/09(月) 01:17:41
566 :
Mr.名無しさん:2005/05/09(月) 01:36:50
>>1 そう自分を責めるな
まァ落ち着けよ
誰も認めてないわけじゃないんだ、というかお前はまだ原石だ
これからの素材なんだから一つ一つの意見を大切にして実戦の中で
もっといい文章書ける様になればいいじゃないか
いつまでも引きこもってないで、出てこいよ
みんな待ってるからさ
567 :
Mr.名無しさん:2005/05/09(月) 10:58:55
それより毒男の続きがよみたい
正直毒男より
>>1のほうがおもしろい。
毒男はなんか主人公がムカツクからいいや。
あーあ、ゴールデンウィーク中にageたせいで
頭の悪い厨にいつかれてしまったよ・・・。
>>1に限らず、職人様方は
馬鹿共の妄言なんていちいち真に受けないで放置しちゃってください
流れ変えるため投下していきます。
>>1さん気にせず書いていきましょう。
時計を見るともう6時、30分前だった。
トイレに篭ってからしばらくの間、僕は本尾さんに貸す予定の本を読んでいた。
しかし数学の本が返ってこなかった件のショックのせいで、全然集中が出来なかった。
(辛い・・・)
これから本尾さんに会いに行く訳だが、本尾さんはどういった顔をするだろうか?
責任感のある本尾さんのことだ。きっと自分を責めるだろう。
本尾さんの悲しむ顔は見たくない・・・。
そう思って僕は躍起になって取り戻そうとしたのだが、僕は何も出来なかった。
その上、玲にまで、なんだか悪いことをしたような気持ちになってしまった・・・。
今日の玲の、沈んだ表情を思い出す。玲があんな悲しそうな態度を示したのは初めてだ。
(僕は、玲のことをいまだに好きなんだろうか?)
顔がカーッと熱くなる。
誰かが見てるわけでもないのに、1人で赤くなる僕。
(何を考えてるんだ、僕は。これから本尾さんに会いに行くんだぞ?
馬鹿なことを考えてないで、しっかりしろ!)
そう考えると顔の火照りは収まったが、すぐにまた陰鬱な気持ちになった。
「くそ!」
僕は自分を無理やり奮い立たせ、便座から立ち上がった。
深呼吸をし、図書館の戸の前に立つ。
緊張のしすぎだろうか、変な汗をかいてきた。
手も冷たい。戸に手を掛けても、なかなか開けることが出来ない。逃げ出したい気持ちで一杯だ。
(・・・僕の意気地なし・・・!)
ここを開ければ、すぐそこに本尾さんが居る筈だ。ああ・・・ちくしょう・・・ちくしょう!!
頭を抱えて悶えている僕の後ろから、
「なにやってるんだ?」
と、誰かが声を掛けて来た。
不意打ちに心臓が飛び出る程驚いた僕は後ろを振り向くと、
そこには図書室を預かる国語の先生が立っていた。(
>>68)
「え、いや、その・・・」
先生はうろたえる僕をポカンと見ている。
「その・・・別になんでも・・・」
すると先生はいきなり僕の方に手を伸ばしてきた。
「どうでもいいが、邪魔なんだがなぁ」
先生は戸の窪みに手を掛ける。あ、そういえばここは図書室の前だったんだ・・・・・・。
そう思っている間に戸は完全に開ききった。
僕は自然と図書室の中に顔を向けた。
当然のことだが、そこには本尾さんが居て、こちらを見ていた。
(・・・あ。)
本尾さんと目が合う。
心の準備も無しに、いきなり本尾さんの前に出された僕は、石のように固まっていた。
その横を先生が通り、本尾さんに「ご苦労様」と声を掛ける。
本尾さんも先生に挨拶をし、目線が僕から外れた。僕の体の硬直が解けた気がした。
先生と本尾さんが図書の仕事の話をしている隙に、僕は入り口近くの席に座った。
(今のうちに、なんて言おうか考えなくちゃ・・・)
馬鹿正直に言ってしまうか、それとも誤魔化してしまうか・・・・・・あれ?
ふと前に人の気配を感じる。顔を上げるとそこには本尾さんが心配そうな顔をして立っていた。
(あ、あれ!?)
ふと先程まで本尾さん達が居た所を見ても誰も居ない。先生は既に奥に移っていた。
(・・・会話終わるの早いよ!)
再び本尾さんに顔を向ける。な、なんて言おう・・・。
しかし僕が口を開く前に本尾さんが、
「どこ行ってたの?ずっと探してたのに」
と言ってきた。僕は焦ってしまい、
「え、な、なんで?」などと間抜けな返答をしてしまった。
「いつまで経っても来ないから・・・」と本尾さんは答えた。
そりゃそうだろう、テキストの件が心配だったに違いないのだ。
しかしまさか「怖くてギリギリまでトイレに逃げてました」なんて言えるわけがない。
僕は「ちょ、ちょっとね」と言い、目を逸らした。こ、このまま溶けて無くなりたい・・・。
本尾さんは僕の前の席に座りこんだ。
「HR終わった後毒男君のクラス行ったら、もう居ないって言われたし、
しかもなんか朝、喧嘩みたいなことになったって聞いて・・・」
それを聞いて僕は慌てて否定した。
「喧嘩なんかしてないよ!そんな大げさなことじゃないから!」
必死の弁明も意味を成さず、本尾さんの表情が更に曇る。
「でも・・・なんか前来たあの人たちと、物凄く揉めてたって」
額から汗が出てきた。
「そ、それ、誰から聞いたの?少しオーバーだよ」
「毒男君といつも居る人だけど・・・凄い心配してたよ?見かけたら宜しく、って」
(そうか・・・アイツが気遣って言ってくれたのか・・・)
僕はもう逃げるのは無理だと思い、素直に本を返してもらえなかった事を謝ろうと思った。
「ごめんなさい!!」と言い、勢い良く頭を下げようとしたその瞬間、
「ちょっと職員室に行ってるから、少し留守番お願いねぇ」
と、飄々とした先生の言葉に、僕の謝罪はおもいっきり遮られ、
謝ろうとして勢いのついた上半身は止まらずに頭を机に打ち付けた。 い、痛い・・・。
「は、はい」と本尾さんが答える。そして先生はご機嫌な様子で外へ出て行った。
すぐに本尾さんが僕の方を向き「大丈夫?!なんでぶつけてるの!?」と心配してきた。
こんな格好悪い僕の額を擦ってくれる本尾さん。
間近で見ると、物凄くドキドキしてしまう。少しでも格好つけようと思った僕は、
喉から出掛かってたごめんなさいをひっそりと胸にしまいこみ、
「い、いや、大丈夫だよ・・・」と薄ら笑いを浮かべ、無駄に強がった。
しかし突然、本尾さんの目から涙がみるみると溢れてきた。
「え?」とか思っている間に、泣き出す本尾さん。
僕はあたふたとハンカチを探したが、どこにも無い。
どうしよう。ていうかどうして泣いてるのか。僕はなんと声を掛けたら良いのか。
やはり格好悪い俺に、本尾さんは目を赤くしながらも再び笑顔を作り、
「・・・ごめんなさい」と謝った。
混乱してた僕は思わず、
「いや、それは僕の言う言葉だよ!ほんとにごめんなさい!!」と、
再び勢い良く頭を下げ、再び頭を机に打ち付けた。
5分程し、お互いに落ち着いたところで、僕は本尾さんに謝った。
「ごめん。本、返してもらえなかった。・・・ごめんなさい」
僕は大体の事情を話した。すると本尾さんは悲しそうな表情を浮かべたものの、
「そんなのいいよ。図書委員の問題で、毒男君に迷惑掛けたのがいけないんだし」
「そんな。僕がそもそも・・・」
しかし本尾さんは僕の言葉に首を振り、
「それに、そんなことで喧嘩とかして怪我したら・・・」
僕は「そんなひどい喧嘩じゃないよ」と本尾さんに言った。
本尾さんは、本のことより、僕の事を気遣ってくれていたのか。
人として当たり前のことなのかもしれないが、僕は嬉しくなった。
「本の事はもう気にしないで。先生に言ってみるから」
と言って明るい表情で席を立つ本尾さん。
「あ・・・でも先生、まだ戻って来てないんだ。もう6時になっちゃうのに・・・」
その言葉に僕は気持ちが暗くなった。
(そうか、やっぱり先生に言った方がいいんだよな・・・)
僕はこんな状況になりながらも、玲のことを考えると憂鬱な気持ちになった。
ふと本尾さんを見る。・・・こんな良い人の前で、僕は何を考えているのか。
・・・僕は、玲だけではなく本尾さんも好きなんだろうか・・・?
自分の気持ちすらハッキリ出来ない自分が恥ずかしくなった。
ハッキリしない自分の気持ちを誤魔化すように、僕はそういえばと言い、鞄から一冊の本を出した。
「これ、本尾さんに貸そうと思っていたんだけど・・・」
本尾さんは目を輝かせ、「ありがとう!」と声を上げた。
僕がこの本についての説明をすると、本尾さんは一言一句真剣に聞いてくれている。
本尾さんのこういう所が僕は可愛いと思った。
本の内容についての会話も終わり、ふと時計を見ると、もう6時を回っていた。
「先生、遅いね」
僕の言葉に本尾さんも「もう来ると思うんだけど・・・」と首を傾げた。
そこに戸が開く音がした。噂をすればなんとやら。
僕と本尾さんは先生が来たと思い、振り向いた。
しかしそこに立っているのは先生ではなく、玲だった。
だから長いんだっての!!!
やっとこさ続きか
待ってたぜ
続きキボンヌ
580 :
Mr.名無しさん:2005/05/10(火) 00:07:37
遅い!遅いよ!でも乙!!
うは!激しく(・∀・)イイ!!
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
おお、きてるきてる。
まとめ更新(順不同、敬称略)
【連載中の作品】
1 ◆5nKXNraGc2 (
>>1)氏の作品
第一話
>83 >84 >85 >86 >87 >88 >89 >90 >91 >92
>93 >94 >95
第二話
>113 >114 >115 >116 >117 >118 >119 >120 >121 >123
>124 >125 >126 >127
第三話
>268 >269 >270 >271 >272 >273 >274 >275 >276 >277
>278 >279 >280 >281 >282
第四話
>362 >363 >364 >365 >366 >367 >368 >369 >370 >371
>372 >373 >374 >375 >376 >377 >378 >379 >380 >381
>382 >383 >384 >385 >386 >387 >388 >389 >390 >391
第五話
>499 >500 >501 >502 >503 >504 >505 >506 >507 >508
>509 >510 >511 >512 >513 >514 >515 >516 >517 >519
>520 >521 >522 >523 >524 >525 >526 >527 >528 >529
>530 >531 >532 >533 >534 >535 >536 >537 >538 >539
>540 >541
毒男 ◆DtIt8CeAEE氏の作品
>9 >13 >14 >16 >17 >18 >19 >20 >23 >24
>25 >26 >28 >29 >31 >32 >33 >34 >35 >38
>41 >48 >49 >50 >51 >56 >57 >58 >59 >60
>61 >62 >63 >64 >65 >66 >67 >68 >69 >70
>74 >75 >76 >77 >153 >154 >155 >157 >158 >159
>162 >163 >164 >165 >166 >167 >168 >169 >171 >196 >197
>198 >200 >206 >207 >208 >209 >571 >572 >573 >574 >574
>576
【休載(?)中の作品】
◆uh.Nj7Topk氏の作品
登場人物まとめ
>317
第一話
>286 >288 >289 >290
第二話
>291 >292 >293 >295
第三話
>299 >300 >301 >302 >303
第四話
>304 >305 >306 >319
第五話
>320 >321 >327 >328 >341
第六話
>343 >345 >346 >347 >348
第七話
>392 >408 >409 >414
第八話
>417
さっきまで会話があった図書室は、押し殺されているような静けさに包まれた。
水槽のラジエータの音、切れかけの蛍光灯がチカチと鳴っている音まで聞こえてくる。
玲は入り口で僕らを確認すると、気まずそうに顔を伏せ、中へ入ってきた。
なぜここに玲が・・・?僕は目の前の玲を見つめる。
玲が視線に気付き、顔を上げる。しかし目が合うと、また玲は顔を伏せた。
どこか寂しそうな表情を浮かべている玲。
そんな玲を見ていると、とても切なくなってくる。
僕はフラフラと吸い寄せられるように玲の方に一歩進み、声を掛けようとした。
しかし沈黙を破った第一声は、本尾さんであった。
「もう、閉館時間なんだけど・・・」
その言葉に僕は我に返る。
僕は今、玲になんと声を掛けるつもりだったのか・・・?
本尾さんの発言に玲は小声で「うん・・・」と答え、そして鞄から一冊の本を僕らに差し出した。
それは数学のテキストだった。
思わず「あっ」と声を上げてしまった僕は、顔を赤くした。
僕の方へ玲が寄って来る。そして僕の方にテキストを持った手を伸ばし、
「これ・・・」
と、僕にテキストを手渡した。
「ど、どうしたの?これ・・・」
間の抜けた声で訊ねる。すると玲は沈んだ表情のまま、口を開いた。
「・・・A子に家まで取りに行かせた」
僕は驚いた。
「そ、そこまでしてくれたの・・・?」
すると玲は少し顔を赤らめ、
「・・・別に。悪いのは私達だったし」と言った。
僕は今にも目から涙が落ちそうになっていた。嬉しくてだ。
本が返ってきた事に対してか?いや、違う。玲がここまでしてくれた事にだ。
「あ、ありがとう・・・!」
そう言った時には、涙はおろか、鼻水も止まらなくなっていた。
鼻声になっている僕の声に気付いた玲が顔を上げる。僕はよほど酷い顔をしていたのか、
玲は慌ててティッシュを出す。
鼻をかみ、涙を拭く。玲の前で格好悪い・・・と思った。だけど、止まらなかった。
すると頭の上から笑い声が聞こえてきた。僕はティッシュを丸め、眼鏡を掛けなおした。
そこには、楽しそうに笑う玲が居た。
その瞬間、僕の頭の奥から、昔の思い出が湧き上がってきた。
・・・小学生の頃、僕が苛められて泣いていた時、玲はいつもこうやって僕のところに来て
僕の涙を拭いてくれた。そして泣きっ放しの僕を見て笑い、
「大丈夫だよ」
と、手を引いていってくれた。
・・・玲は、あの頃と、少しも変わってなかったんだ。
僕は玲を見たまま、固まっていた、らしかった。
僕を呼ぶ玲の声に我に返る。僕はハッとして、再び玲を見る。
玲は不思議そうにこちらを見ている。心配そうな表情だ。
僕は再びドバドバと涙を流した。玲はまた僕にティッシュを渡そうとしたが、僕はそれを受け取らず、
学生服の袖で涙を拭くと、玲を見つめ、こう言った。
「・・・ありがとう、玲。本当に・・・ありがとう」
いつもオドオドしている僕からこんな事を面と向かって言われた玲は、いつもの冷静な表情を崩し、
「な、なにが・・・?」と聞き返した。
「あ、ティッシュのこと?別にそれくらい・・・」
僕は玲の言葉を遮り、
「・・・いや、それだけじゃないよ。いつも玲に助けてもらってばかりだから・・・ありがとう」
僕は、心の底から玲に感謝していた。
玲は戸惑い、僕から視線を外した。
身の内側から勇気が溢れてくるようだった。何故かはわからなかったが。
玲は顔を伏せながら、
「別に・・・そんな風に言ってもらう程のことじゃ・・・」
と、どこか嬉しそうにそう言った。
僕と玲の間に、小学校の頃のような雰囲気が流れた気がした。
だけど今はもう、小学校の僕らじゃない。
僕はもう、高校生なんだ。
少しだけ人の気持ちがわかるようになっていた気がした僕は、さっきまでの情けない自分から
生まれ変わった気分になっていた。
(僕はもう・・・玲に迷惑は掛けないよ・・・)
・・・しかし僕はこの後、自分がいつもと全く変わっていない、
どうしようもない自分だと思い知らされる・・・。
盛り上がってまいりました
早すぎるかもしれないが、
なんかもう次スレいきそうな気が今からする
早く続きキボン でもsage
実は、オイラはまとめが忙しくて、殆ど読めていなかったりする。
まあ、うれしい悲鳴だがね。
時間が空いたらまとめて読むつもり。
職人応援sage
モロヘイヤキモメンもついでにガンバレ
ワクワク
なんか俺も書きたくなって来たな。
なんとなく構想が少しずつ出来上がりつつある・・・
とりあえず続き期待sage
>>448 まとめサイトマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
保守と同時に期待sage
600 :
596:2005/05/13(金) 18:52:00
え?あれ期待されてる?
一応今2話目まで書けた。まあ1話が短いわけなんだが。
もうちょっと進んだら投下してみようかな・・・
あ、いらないならやめとくよ?
いらないなんて誰が言ったんだね?
皆が君のことを待っているのだよ?
602 :
Mr.名無しさん:2005/05/13(金) 21:09:05
603 :
Mr.名無しさん:2005/05/13(金) 21:12:24
604 :
Mr.名無しさん:2005/05/13(金) 21:22:58
チョー楽しみにしてるぜい!!
その自信の根拠と頷ける作品がうpされるのを願うぜ!!
ageんなクズ共
>>600 心まで不細工なリア厨は放置で頑張れ。
606 :
596:2005/05/14(土) 11:50:06
608 :
ヽ['A`]ノ キモメン ◆9d0clOTk26 :2005/05/14(土) 21:31:08
2アウト。ランナー1.3塁。
かなり危なかった。ニシさん何やってんのよ
うおおおおおおお!!!
誤爆した・・・
しかもageてるし・・・
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ
野球ヲタだったのかキモメソは
巨人ファンです。最近、風当たりが強いです。
>>606 期待
>>596でつ。
結構期待してくれてる人がいるみたいで嬉しい限りっす。
あまり期待させすぎると内容がショボーンだったときに申し訳ないんでいい加減そろそろうp
Vol.1
入学式も終わり、ぞろぞろと体育館から出て行く。
真新しい制服に身を包み、みんな美しく見えた。
教室に入る。男女混合出席番号順に机に座っていく。
なんだ、両方とも隣は男かよ。と思ったら、前後は女の子だ。よし。
担任と思しき30代くらいの男性教師が名前を呼び始めた。
「・・・武田直人」
「はい!」
「お、いい返事だな」
武田直人(なおひと)。俺の名前だ。
大きく返事をしたら一辺に視線を向けられたが、そんなことで動じる素振りは見せてたまるか。
「田島奈々」
「はい。」
透き通った声が後ろから聞こえた。
なんとなく振り向いてみると、目が合ってしまった。
「…」
「・・・」
まっすぐ見つめられる視線に、不覚にも動揺してしまい、あわてて前を向く。
(俺としたことが・・・いくらちょっとかわいいからって動揺するなんて・・・くそ)
セミロングの髪が印象的だった。
かろうじて肩にかかるくらいの滑らかな黒髪と、窓からの光を反射する白い肌が、
やたらに俺の中でリプレイされていた。
そういえば、緊張しているようには見えなかったな。高校の入学式、多少は緊張しそうなものだが。
それだけ度胸があるってことなのか・・・?それとも逆に、緊張しまくってるからああなのか?
「武田、聞いてるか!?」
「え、あ?」
しまった。彼女―田島奈々のことで頭がビジー状態だった。あわてて再起動する。
「なんすか?」
「クラスの目標を決めたいんだ。それと、来月末にある文化祭の出し物もな」
「ああ、そういうことですか」
「お前、仕切ってみるか?」
「はい?」
「さっきいい返事してたからな。ご褒美だ」
「褒美って意味わかんないすけど。まあそう言うならやりますよ」
立ち上がって黒板の前に行く。内心ではチャンスが来たと思っていた。
こういう外部からの要求でやらされたことを上手くやって見せると、周りの評価は上がる。
仕切りなら、昔からの得意分野だし願ってもない。
「先生、終わりましたよ」
「む、お、お〜そうか」
首を振りながら眼鏡をかける教師。俺に仕切らせたのは自分が寝たかったからか。
「とりあえず、こんな具合でどうですか?」
「ああ、いい、いい。」
黒板に書かれている結果を見ずに教室を出て行こうとする。なんてやる気の無い教師だ・・・
だがそれもいい。本来クラスをまとめなければならない担任があの調子なら、
今しがた会議を仕切ってみせた俺の株が相対的に上がるということ。
高校生活のスタートとしては上等だ。
「あ〜、忘れてた。武田武田、お前委員長な」
「はい?」
「今クラスを仕切ったんだろ。その勢いで、委員長も、な!」
委員長ね・・・出来ればそういう役職にはならずに影から集団を引っ張る、
ってのがいいんだけどなあ。
「毎年委員長決めは揉めるんだ。お前でいいだろ?な?」
ま、担任がこれじゃ影からなんて出来そうもないし、多少の権限もらっといても損はないか。
「はあ・・・わかりました、やりますよ」
「よおし決まりだ!あ、一応だが、異論ある奴は?」
と聞いてもいるわけがない。大体みんなやりたくないんだから。
「それと、副委員長も決めなきゃいけなかったな〜。誰かやりたい人いないか?」
まあ副でもいないだろうな。めんどくさいだけだし。
「なあ、誰かいないか〜?どうせ決めなきゃいけないんだから早く決めときたいんだよ」
明らかにテンションが下がる。大体今決めるほうがおかしいはずなのだが・・・
「わたし…やります」
透き通った声が聞こえた。その方向に皆が一斉に振り向く。
立ち上がったのは、空いている席―つまり俺の席の後ろの女の子。田島奈々だった。
「おおっ、いいね!こんな早く決まるなんて教師生活初めてだよ。じゃよろしく!解散!」
こんな早くって早すぎだよ。入学式当日だぞ。
それにしても・・・彼女が、何でだろう・・・?副委員長とかするタイプには見えないが・・・
緊張が解けた様子で帰っていくクラスメイトの隙間から、俺を見ている彼女を見つけた。
さっきと同じ、表情を変えずにまっすぐ見つめる瞳。また脳がビジーになった俺は、
今度は目をそらすこともできなかった。
つづく。
きたあー!
孤高系ツンデレか?
>>615 お。。。。おまい・・・・がんばれ。期待sage
つづき
Vol.2
高校生活が始まってから1週間が経った。そろそろ慣れてきた、なんてもうそんな次元じゃない。
委員長だからという理由で、事あるごとにあの担任に呼び出されて仕事をさせられる。
ひどいときは、小テストの問題作成まで手伝わされた。
「問題作るのを生徒にさせていいんですか?」と聞けば、「別のクラスで使うんだからいいんだよ」
どこまでやる気の無い教師なんだ一体。
そして、もっとわからないのが彼女。そう、田島奈々だ。
今も、担任に言いつけられた書類整理をやっているのだが、担任は俺1人に指図したのにも関わらず
彼女は自分から手伝うと言って、みんな帰った後の教室に残った。
考えてみれば、この1週間ずっとそんなだ。問題を作ったときも、担任は俺だけでいいと言ったのだが
わざわざ職員室まで来るから、担任もそれならと俺たち二人に任せてどこかへ行ってしまった。
どういうつもりなんだろう?帰っていいと言われているのに、あえて居残り作業をするなんて
何かの理由があるとしか思えない。もちろん俺がそんなことを聞くわけにもいかないが、
なんというか、こうずっと続くとやはり気になる。
気になって考えていると、手元が疎かになって書類を散らかしてしまう。
しかし彼女は文句の1つも言わずに落ちた紙を1枚ずつゆっくり拾い、作業を再開する。
これもまた気になってしまう。
どうにも腑に落ちないのだ。わざわざ自分から仕事をやると言うのもそうだが、
もっと気になるのは作業をしている彼女の一連の動作。手先が正確で動きにそつが無くミスもしない。
要領がいいというのだろうか、しかし、時々思い出したように動きがスローペースになる。
まるで時間を引き延ばしているような。なぜ・・・?
家に帰りたくないのか・・・それとも俺と一緒にいたいから・・・
・・・まさかな。
「ねえ…」
「ん、ん?何?」
はっと意識を現実に引き戻す。
「もう少し…離れてくれる?」
「あ、ああごめん・・・」
さっき思った2つ目の理由、即死。まあ・・・当然か。
「終わったわ。確認してくれる?」
「あ、ああ・・・」
受け答えがぎこちなさすぎ・・・もっとしゃんとしろ、俺。
一枚ずつめくって内容を確かめる。途中で、彼女の方をチラと見てみた。
終わったなら帰ればよさそうなものだが、彼女は椅子に座ったまま窓を眺めていた。
いや、窓から見える景色を見ているのだろうか。
二階の、それも教室の真ん中から見えるのはいくつかの建物の屋根と曇った空だけだ。
この曇った空模様が彼女の沈んだ心模様を表している・・・なんてことはないよな。
「うん、いいと思う、これで。先生へは俺から渡しに行くよ。お疲れ様」
軽く挨拶して、カバンを取り教室を出ようとすると
「待って。わたしが行くわ」
「え?いや・・・」
さっと俺の手から書類の束を取り、颯爽と歩いていってしまった。
「お疲れ様。…」
もう一言何か言いたそうな感じだったが、振り向いて、行ってしまった。
遠ざかっていく後ろ姿が、昨日よりも寂しそうに見えた。
つづく
次のVol.3はイベント発生になるんで、うp遅れます。
綾波みたいだね
なんかやけに反応が薄いですね・・・
ひょっとして面白く無かったですか?だったら今すぐきっぱりやめます。
ここいいスレだから汚したくないし・・・
あるいは「まだ様子見」ということなら救いがありますが・・・
様子見というのもあるだろうし、
まだ話が展開し始めたばかりでコメントがしづらいというのもあるだろうし、
何より金曜〜日曜の週末を過ぎていないから、
見ている人が少ないというのもあるかと。
もちろん、オイラは面白いと思うよ。
今までにないツンデレのタイプっぽいんで、期待もしているしね。
まあ、そんなに気負うことはないかと。
>>624 反応あるから面白いってものでもないよ
反応なくても面白いと感じてる人いるかもしれないし
反応なくても気にせず投下!
根本的に人がいないスレだし
見てるだけ
1、スレッドが立つ。
2、技術のある人間が提供して盛り上げる。
感動を求めて人が集まってくる。
3、書ける人間が乗ってきてさらに盛り上げる。最盛期。
4、盛り上がりに乗じて何も書けない魯鈍と白痴が寄ってきてスポイルする。
彼らの無駄な愛着が逆効果を及ぼし、スレッドのレベルが著しく低下。
5、飽きて大勢が去っていき、行き場の無い魯鈍と白痴が残される。
低レベルな自慢・偏見の陳列、煽りあい、無駄な罵倒、
いわゆる「2ちゃんねる用語」を多用したお寒いレス等々が並ぶ。
6、煽りと罵倒しか出来ない魯鈍まで魯鈍同士の空疎な煽りあいに飽きて去る。
7、何も提供できない白痴が過去の栄光の日々を夢見て空ageを繰り返す。
脳死状態。
そういうことでしたか。みんなアリガd
昔から真似事みたいなことはやってたけど
公にするのは初めてなんでビビってますた。しかも2chだし。
じゃあ執筆再開します。
実はVol.3がまだ書き終わってないんだよね。やけに長くなっちゃって。
今日か明日中に、最低イベントのさわりだけでも投下しようと思いまつ。
がんがれ
最近はダウナー系ツンデレのことを解凍系と呼ぶらしい
633 :
Mr.名無しさん:2005/05/19(木) 14:44:11
そのこころは?
約束どおり投下しまつ。
あんまり筆が進まなかったのでイベントの開始部分だけ。
Vol.3
ある日。また放課後に仕事を言われた俺・・・と田島奈々。内容は図書室の書籍整理の手伝い。
なんか全クラスの図書委員と委員長たちが集まってやるらしい。
で、今彼女と二人で図書室へ向かっているわけだが。一つ気になることが。
絶対に俺の後方にいようとする彼女だ。前に出るのはもちろん横に並ぼうともしない。
俺が止まると彼女も止まる。俺はそんなに避けられてるのか・・・?
あんまり気になるから思い切って聞いてみた。
「あのさ、田島さん」
「やめて」
「え?」
「今は苗字で呼ばれたくないの。呼ぶなら、名前にして」
今は・・・?また妙な言い方だな。
「えっと、じゃあ、奈々さん」
「何かしら?」
「その、ずっと後ろにいるのはやめてもらえないかな?尾行されてるみたいで気分が悪いんだけど・・」
「あら。ごめんなさい。でも…それは無理よ」
「どうして?」
「あなたと並んで歩きたくないからよ。誰かに変な誤解されそうだし」
「じゃあ先に行けば・・・」
「……」
・・・?
「…図書館の場所が…わからないの」
そう言って彼女・・・奈々は横を向いた。初めて見る、恥ずかしそうな表情。
そういうことなら仕方ないか。道案内役くらいしてやろう。いいもの見せてもらったし。
「わかった。じゃあ奈々さん、離れないようについてきて」
横を向いたままこくんと頷き、俺が歩き出すと奈々も動いた。
「今日は来て頂いてありがとうございます。皆さん適当なところから始めてください。」
だだっ広い図書室の真ん中で司書の先生が軽い挨拶。
恐らくは要領がわかっているのだろう先輩方は、それぞれ思い思いの場所に散らかって整理を始めた。
この図書館がやたらに広いのは校長が原因らしい。
本好きな人で、とにかく自分が読みたい本を図書室経由で注文しているとか。全く以って迷惑な話。
入学からある程度経ったとはいえ、まだ日の浅い俺。他学年は当然、一年の他クラスにも知り合いなんかそうそういるはずもなく。
こういうとき少しでも顔見知りの者と一緒になろうとするのは心理の常だ。
先輩たちは作業を始めているのにまだ俺の後ろにいるということが、奈々もまた同じ気持ちであることを証明していた。
「じゃあ・・・始めようか」
「…ええ。」
とりあえずこの辺から・・・と近くの本棚から本を取り出そうとしたら、
「おわっ?!」
すごい勢いで奈々に腕を引っ張られ奥の方へと引きずられる。
「ちょっ・・・なんだ!?」
わけも分からず引きずられて、ようやく腕を放してくれた場所は、
中央のテーブルエリアからは見えない図書室の隅っこだった。なんでこんなところに?
「一体どうしたの?こんなところに連れてきて・・・」
「……」
何だ何だ?ちょっと顔が赤いぞ。
「1つ…聞いていい?」
「何?」
「あなた…わたしのことどう思ってる…?」
「え・・・?」
急に何を言い出すんだ。
「今まで…一緒に仕事してきたけど、何の会話もなかったから…」
「それは・・・なんとなく話しかけにくかったし・・・」
「話しかけにくい…?」
「あ、ああ・・・その、少しだけど」
「そうなんだ…」
え、いや、なんだこの空気。えーっと・・・
「と、とにかく、整理の方やろうか?ほら、そこに脚立もあるから上の方からさ」
「うん…」
一応仕事も始めないといけないので、流れを切りつつも取り掛かる。
二人並んで、それでも間には微妙な距離。流れを切ったのがまずかったのか、互いに無言。だが、
「わたしってそんな風に見られてるんだ…」
真意が分からないそのつぶやきに、手が止まる。こういうときは・・・どうしたら?
「…あ!」
「!?」
今日はここまで。
今週中には必ず続き投下。
萌えた。
結構、展開は速めなんだね。
他の職人さん達もがんばってくださいな
イイヨーイイヨー
保守
明日できそうにないので今日投下。続き
横を振り向くと、奈々が固まっていた。よく見ると・・・怯え、てる?
「ど、どうしたの?」
「く、くも…」
顔を動かさず視線をまっすぐ保ったまま答える奈々。足も震えている。
「クモ?」
本のすき間にでも見つけたのだろうか。結構ホコリかぶってる本棚だしいてもおかしくはない。
「えーと、そうだな、その辺の本で向こうに追いやったりとかしてみたら?」
「それ…無理…」
「どうして?」
「わたし…くもは一番ダメなの…」
「じゃあ、降りて別の所を・・・」
「それもダメ…足、動かない…」
これは相当苦手みたいだ。ちょっと意外だが。
「だから、その、お、降りるの…手伝って…?」
今にも泣きそうな顔。こんな表情で言われたら、断るわけにはいかない。
「わかった、今行くから」
脚立から飛び降り、奈々の下に回る。それでえ〜と、どうやったらいいのかな。
「ひゃ!!」
「あ、ごめん」
とりあえず腰に手をあててみたら、恐怖で敏感になっているのかビクンと震えた。
「ここにいるから、落ちる心配はしないでゆっくり降りてごらん」
「で、でも…」
「大丈夫。絶対受け止めるから」
右手を腰の辺りに、左手を彼女の体付近に伸ばした体勢で語りかける。
横から見れば変な光景だったろうが、俺も奈々ももちろん真剣だった。
「…ぅ…ふぁ…」
目をつぶり、勇気を振り絞る。きっと今、奈々は世界で一番頑張っているだろう。
「そうそう、もう少しだ」
1歩目の左足が、段を1つ降りようとしていた。と、
「…ん…あ!?」
体重を支えていた右足がよろけて、奈々が宙に浮く。次は俺が世界で一番頑張る番だ。
「お・・・っと!」
どうにか受け止めることができた。俺に抱きついた格好のまま震える奈々。
今の数分が、それだけ怖かったということだ。そんな奈々に俺が出来る唯一のことといえば、
「よしよし、怖かった怖かった。もう怖くないよ」
彼女を抱きしめつつなだめることだった。
「・・・落ち着いた?」
2分くらいか、そのままの状態でいた俺と奈々。震えが止まってきたのに気づいて聞いた。
「…う、うん…」
とはいえ声はまだか細い。彼女にこれ以上仕事はさせられないな。
「とりあえず、奈々さんはもう何もしなくていいから、その辺で休んでて。あと俺がやるよ」
「あ、でも」
「いいからいいから。図書館より君の体が大事だ」
おお、何気にかっこいい事言ってないか俺。我ながら信じられん。
「うん…じゃ、そうする…」
わかってくれた。俺から離れ、ふらふらと壁に寄りかかって、そのまま座り込む。
震えだけは完全に止まったようだ。
それを見届けてから本棚に向かい、整理を再開する。
どのくらいの大きさかはわからないがクモがいるらしいので、なるべく離れたところを。
・・・いや、追い払ったり殺したりするのが面倒なだけで別に怖がってるわけじゃない。ほんとに。
「はい、今日はお疲れ様でした。それでは解散」
またまた簡単な終わりの挨拶を聞き終え、皆わいわい騒ぎながら図書室を出て行く。
俺は・・・というと、その辺から適当に取ってきた本を読みながら中央テーブルに座っていた。
なぜ帰らないか、それは奈々が隣でまだ休んでいるから。というか眠っているから。
相当疲れているのか、あるいは家でよく眠れなかったのか、
普段の奈々からは想像のつかないほど穏やかな表情だ。起こしちゃ悪い・・・ってのはやっぱり建前で、
自分の本心はこの寝顔をもう少し見ていたいんだということは改めて考えるまでもなかった。
「図書室では静かにしましょう」という貼り紙の前で、俺は全力でそれを守っていた。
「ん…む…」
「!」
・・・起きちゃった。もうちょっと見ていたかったけど仕方ない。
「目が覚めた?」
「…ぇ?」
俺の姿に少し驚く奈々。寝起きで、今いる場所を勘違いしているのかな。
「おはよう。30分くらい眠ってたよ」
「え…あれ?あ、わたし…」
「起こすのも悪いし、放っても帰れないから、待ってた」
「あ…」
「じゃあ、帰ろうか?」
読んでいた本を棚に戻しに行くのを奈々は待っていてくれた。そして、二人並んで図書室を出る。
今日はここまで。続きは近日中に。
まだVol.3続きますよ。
更新分
毒男 ◆DtIt8CeAEE氏の作品
>9 >13 >14 >16 >17 >18 >19 >20 >23 >24
>25 >26 >28 >29 >31 >32 >33 >34 >35 >38
>41 >48 >49 >50 >51 >56 >57 >58 >59 >60
>61 >62 >63 >64 >65 >66 >67 >68 >69 >70
>74 >75 >76 >77 >153 >154 >155 >157 >158 >159
>162 >163 >164 >165 >166 >167 >168 >169 >171 >196 >197
>198 >200 >206 >207 >208 >209 >571 >572 >573 >574 >574
>576 >587 >588 >589
武男 ◆3AqXnlpzp6
Vol.1
>612 >613 >614 >615 >616
Vol.2
>619 >620 >621
Vol.3
>635 >636 >637 >641 >642 >643
職人さん方、ご苦労様です
646 :
Mr.名無しさん:2005/05/22(日) 04:18:19
クォリティの低くなってきた件について。
ツンで玲ちゃんの話マダー?
648 :
Mr.名無しさん:2005/05/23(月) 15:48:46
結局毒男しか面白いのなかったな
【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】
【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】
【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】
【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】
【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】【age厨注意報発令中】
空襲警報か!?
もうこの手のスレは駄目なのかもな
この手のスレは職人が来ない間何をするかが運命を分ける
それじゃあシチュエーション考えようぜ。
こんなの良くない?的な。
シチュエーションか…
ツンツンに責められて逆切れ。そんでデレデレに移行、とか?
そこらへん丸出毒男に期待しておりますw
玲子に期待
656 :
Mr.名無しさん:2005/05/24(火) 09:02:43
強気な意地っ張りも、冷淡なダウナー解凍系でもいいけど
通常時のツンが、デレる一瞬がぽいんつだと思うわけさ
ツンデレだけど物語の流れとしてはツンツンツンツンデレツンぐらいがいいと思うわけさ!(力説
どれでもいいから続きがほしい。
飢え死にしそうだ。
この手のスレで、自分語りをする人がいないスレはありませんか?
>>659 自分語りって一人称のこと?
確かに三人称使う奴あんまいねぇな。あとほとんど口語体だし
別に本職じゃないんだしどっちでもいいだろ。おもしろけりゃ
創作文芸板逝ってろ
>>660 自分語りってのはオナニートークのこと。
萌えストーリーの後に、当人の書き込みがダラダラ続いたら萎えるってのは確かにある。
むしろ名無しで書き込む神はいないものか……。
あと創作文芸板は小説を書く板じゃないよ。
誘導する前に一度くらい覗いて来た方がいい。
そんなにオナトークあるかな。
投下予告くらいしかないような・・・
>>661 烈しく同意。
っつーか、名も無き毒男の小説スレ作ろうぜ!頼んだ。
むかし有ったけどなくなった。
捕手
666 :
Mr.名無しさん:2005/05/26(木) 13:30:04
もしかして、「たけくらべ」って日本最古のツンデレ小説なのか?
667 :
Mr.名無しさん:2005/05/26(木) 13:35:14
>>666 泣けるね。たけくらべ。
実際は「吾妻語り米姫の宴」辺りかと思う。小説っつーか、説話だけど。
投手
669 :
Mr.名無しさん:2005/05/28(土) 00:21:18
ageんなヴォケ
hosyu
ドクオ
kurakura
連休中にウンともスンともいわねーですだったから、
もう駄目かもわからんね。
676 :
Mr.名無しさん:2005/05/30(月) 20:31:09
ここでageてみるカンフル
だからageんなって。変なの来るだろ
お前みたいなのが
678 :
Mr.名無しさん:2005/05/30(月) 22:37:59
ツンデレは書くのが難しいからな・・・
テーマを絞りすぎずに、単純に恋愛小説を書くスレにすればいいと思われる。
そこまでいくなら恋愛小説に絞る必要もないんじゃない
まぁそれでもこの手のスレでキチンと完結したり1000まで行くのは難しいんだよ
オレも書いてはみたけど進まなくなって1ヶ月近くHDDで放置プレイだし〜
こういうスレで2ヶ月続いただけでもかなりのもんだろ
見たことないよ
683 :
Mr.名無しさん:2005/05/31(火) 01:22:02
とりあえずドクオとレイの話だけは完結させてほしい。他は知らん
age荒らし乙
ここ、ストガン厨に監視されてるらしいぞ
ようやくスランプ脱出できたみたいだから
続き投下しようと思うけど・・・もうお呼びでない?
いちいち確認すんなよ
呼んでないって答えたらどうするつもりだったんだ
つーわけでうp
>>686 そんなにビクビクせんでもいいからw
投下まってるよ。
ありがと・・・(つД`)
>>646とか俺のせいかなーと思ったので。
では
>>643の続きでつ。
ちょっと歩いて、ふと横を見ると奈々の姿がない。
「あ、あれ?」
思わず辺りを見渡すが誰もいない。どこだ・・・?
「…ぃた…」
声は下から聞こえた。視線を下ろすと奈々がうずくまっていた。
「ど、どうした!?」
「あ、ちょっと足が…」
見ると、右足首が少し腫れている。さっき脚立から落ちたときにひねったのかもしれない。
「歩けない?」
「ちょっと…ダメ…」
まいったな・・・廊下の真ん中で・・・とりあえずどこか座れる所はないか?
「…」
一番近いのは図書室か・・・
「…んぶ」
保健室は遠いし・・・といって図書室に戻るのもなあ・・・
「…おんぶ!」
「え?」
しゃがんだまま、何かを決意した目で俺を見上げる奈々。おんぶって・・・
「もう、恥ずかしいんだから何度も言わせないでよ!」
「・・・いや、でも、」
しどろもどろもいいとこだ。全く予想していなかったせいで頭がビジー・・応答なし。
「大体あなたが脚立を使えって言うからこうなったんだから…責任取ってよね…」
またまた予想していなかった言葉に、脳、再起動。
「・・・わかったよ。よっ!」
「え?え、ちょっと!?」
腰を落として奈々の体に手を伸ばし、一気に抱え上げる。
「ちょっとなにしてんの!?ねえ!」
おれがやったのは、おんぶじゃなくていわゆるお姫さま抱っこ。
おんぶして、と言うだけでも相当の決断だっただろう奈々は当然のごとく抵抗する。
抵抗する・・・けど、両腕を俺の首にしっかり回しているということは・・・
「じゃ行くよ」
「だから、何でこの格好なの?!」
「いや、おんぶだと足首痛くないかなって思って」
もちろんウソだが。
「痛くない、痛くないから降ろして…」
「もう抱えちゃったし、いいじゃない。足が痛いって言えばみんな変には思わないって」
「そういうことじゃなくて…」
なんか寝顔と同じ、今までからは想像できない恥ずかしがりっぷりだ。
あるいは、これが本当の奈々なのか。普段の顔は何かを演じているのか。
「ああ〜んもう、恥ずかし…」
「まあまあそう言わずに。俺は嬉しいけど?」
「う、嬉しい…?なんで?」
「そりゃ、かわいい君にこんなことできるんだから」
「か、かわいい…?」
「ああ、かわいい」
「…」
黙り込んでしまった。顔を見ると、真っ赤なままうつむいている。
嫌がってるわけじゃ・・・ないと思う。
俺から顔を背けようとするが、真っ赤な顔が周囲にもろに見えてしまう正面を向けずに、
結局俺の方を向いてしまう、この一連の動作もかわいいものだった。
口調は平然としていながら、実はバッコンバッコン言ってる俺の心臓の音を聞いて、
奈々は何を思っているだろう。
いつからかは分からないが、奈々は俺の胸に顔をうずめたまま、俺を見上げていた。
俺は気づいていないふりをしていた。
放課後になってだいぶ経つせいか、誰にも会わずに保健室に到着できた。
よかったよかった。自分からこんな事しといてなんだが、担任なんかと会ってしまったら
どうしようかと思ってたが。
奈々を抱えていて両手がふさがっているので、保健室のドアは奈々に開けてもらう。
中に入ったら閉めてもらう。・・・なんだこの共同作業は。奈々も微妙な表情になってるぞ。
「よ・・・しょっと」
適当なベッドの上に奈々を降ろす。
ようやく恥ずかしい格好から解放された奈々は、「…はぁぁ…」とため息を漏らした。
部屋を見渡してみると、どうも誰もいないようだ。その辺の引き出しを順に開けていくと
湿布を見つけた。適当な大きさに切って奈々に声をかける。
「湿布があったけど、自分で貼る?」
「うん…」
湿布を渡して、近くの椅子に座る。やれやれこれで一段落・・・
「ん…しょ…あれ?」
「・・・」
「もう…どうしてぇ…」
「・・・」
湿布の接着面についているカバー(?)を剥がせないでいるらしい。
小声で湿布に文句を言いながら、必死になって格闘している様子は、やけに微笑ましい光景。
しかしまあ、ずっと見てるわけにもいかないので
「ちょっと貸して」
「あ…うん…」
受け取り、湿布に手を掛ける。簡単にさっと剥がしてみせると多少カッコイイかな?
「…」
「お・・・あれ・・」
「…」
「う・・・くそっこのっ・・」
剥がれない。あーしてもこーしても剥がれない。なんでだ!?
「…クス」
「おらあああ!」
やけになって無理やり引っ張ったら何とか剥がれた。・・・少し破れたけど。
「ふう、どうにかできたよ。」
「うん…ありがと」
さっきの俺が面白かったのか、表情に笑みが浮かんでいた。
こんな予定じゃなかったんだけど。ま・・・いいか。
接着面に触れないようにして奈々に湿布を返す。今度こそ一段落だな。
「ひゃ…冷た…」
湿布を貼った瞬間の冷たさに驚く顔に、思わず見とれてしまった・・・
時計を見ると、6時を回っていた。もうこんな時間か。
「痛み・・・どう?」
「だいぶ…落ち着いた」
「じゃあ、そろそろ帰る?歩けるかい?」
「うん…たぶん」
手を貸しつつ、ゆっくり起き上がらせてベッドから降ろす。何とか立ち上がれるようだ。
「うん…大丈夫」
「よかった。これ、カバン」
奈々が休んでいる間に教室から取ってきたカバンを渡した。
「ありがと…」
やさしく、穏やかな調子のその言葉が、俺の中の何かを満たした気がした。しかし、
「まだ、ちゃんとは歩けないだろうし、よかったら送っていくけど・・・」
「それはやめて」
打って変わった強い否定が、胸をえぐった。
「でも・・・その足じゃ・・・」
「いいの。1人で帰れるから」
「・・・」
少しは信頼されたと思っていた。だが奈々は明らかに、自分の家の場所を知られる、
あるいは家まで俺を連れて行くことを嫌がっていた。
「・・・わかった。じゃあ、気をつけて」
落胆の感情を必死で隠して別れを告げる。ガラにもなく、泣きそうだった。
「さよなら。…ごめんなさい」
少し右足を引きずりながら保健室を出て行く奈々を、俺は呆然と見送っていた。
これでVol.3は終わりです。
4はまた後日。
貼るならさっくり貼って何も言わずに消えた方が良いらしいよ?
展開はまだこれからって感じに見えるけど。
>>694 おいおい、そんなこと言うなよw
>>659だけだろ、そんなつまらんこと言ってるのは。
オナニー結構。俺は作者と馴れ合いたいね。
期待〜
馴れ合いもいいんじゃね
一塁手
698 :
Mr.名無しさん:2005/06/03(金) 00:01:14
あげ荒らし
さっさと続き書け
700げとー
新着スレのスレタイがどっちを向いても電車男だらけだ
あんな最初からデレな物語の何処がいいんだ
703 :
Mr.名無しさん:2005/06/04(土) 16:21:27
それはこのスレが廃れてるのとは関係ないわな
705 :
Mr.名無しさん:2005/06/04(土) 18:09:02
パソコンで戦闘シミュレーション。すごすぎ。
706 :
Mr.名無しさん:2005/06/05(日) 00:26:37
>>704 こんな板でまでagesageぬかすな。
うぜえよ自治厨。
↑
空気読めないお前が一番ウザい。
リアルで友達いないだろ。カワイソス
708 :
Mr.名無しさん:2005/06/05(日) 15:30:52
馬鹿ばっかwwwwwwww
711 :
Mr.名無しさん:2005/06/05(日) 23:42:00
俺は独身だけど貴族じゃなくて労働奴隷だしなあ・・・
俺Janeの最新バージョン使ってるんだけど独身貴族板逝けないから
できればここで続けて欲しい。
ボード取得しろよ
>>714 ごめん。「板一覧更新」てのがあるのに今気づいたorz
ワラタ
でも、移住したところで職人さんが来ない限りは・・・
意見を聞きたいけど、もう見てないのかな・・・
毒貴板は荒らしそんなに少ないの?
718 :
Mr.名無しさん:2005/06/07(火) 01:34:17
とりあえずドクオだけはキッチリ終わらせて欲しいなぁ
保守
出だしだけならいくつか思いつくんだけどねぇ
キチンと転結つけるとなると難しいよねぇ
保守。
漏れは、
主人公が死んで、ツンデレ女が
「こんなイイ女を置いて逝くな」と
泣いちゃうベタは話がいいな。
毒男の人、俺も待ってるからね
誰でも良いから続きぼん
ワタシタチは飢えています
保守
hoshu
ほす
とりあえず目指せ1000
きっと次スレいくよなこれ。
テンプレとか考えた方がいいのかな?
>>728 今の流れから、どう解釈するとそうなる?
と釣られてみるテスト
>>729 いや、スレの残り具合と未完結の話を比べたら
絶対足りないよな・・・と単純に思ったんだが。
一応今のところ執筆停止を宣言した作品はないわけだし。
なんつーか、この手の創作スレって作り手が雲隠れってパターン多いよな。
何らかの音信してくれてもいいと思う
書き逃げOKが2chのいいところ
そこは覚悟して付き合わないと
突き詰めたらそうだろうけど。
でもせめて続ける意思があるのかどうかくらいは知りたい・・・
いっそのこと「やってらんね」宣言でもしてくれたら楽なんだけど・・・
735 :
Mr.名無しさん:2005/06/12(日) 13:02:41
正直やってらんない。お前ら反応薄いもんw
コテつけて発言
しかし、こんな流れになってても誰も現れないとは、
職人さんたちは普段はこのスレを見てないのかもな。
738 :
Mr.名無しさん:2005/06/12(日) 20:24:06
>>737 「普段は」じゃなくて「もう」の間違いだな
読ませてもらった
ログは残しておこう
突然ですが、自分は作品が完結するまで書きますよ。
最近書き始めたばかりなんでまだモチベーションが続いてるってのもあるけど・・・
なんか別のツンデレ小説の構想まで浮かんでしまって、それをどうするか
今地味に悩んでるところです。
いや、悪いが君はどうでもいい。
それよりドクオの続きが読みたい。
ひでぇ…
俺は期待してるから安心汁
ありがと・・・グスン
>>741でちょっと凹んだので普通に嬉しっす。
急に忙しくなってきて、書くペースが落ちてるんで続きはもう少し先になります。
新しく浮かんだ構想の方も、どうしたものか・・・
「姉みたいなツンデレ年上幼馴染」
俺の書く文章でこれ読みたいですか?`s(-'-;)
いちいち聞くのは野暮って奴だぞ
>>745 別にここにいる連中の指示を仰ぐ必要は無いって。
書きたければ書けばいい。
それに名作だろうが駄作だろうが、何の投下も無く廃れてる現状よりはマシだと思うぞ。
>>745 そういうところがウザイって言われるんだよ
>>745 好きなのを書くと良い。
このスレには粘着キティが2,3人いて、それが脳の緩んだこと書いてるが、
気にしないで放置して、がんばってください。
ちなみに俺は、年上趣味だ
おまいらマターリ汁
>>751 俺漏れも
こうやって聞く事自体もよくないみたいっすね。
書いてみることにします。投下は少し先になるだろうけど・・・
つーかいいのか俺。そんなことやってる場合か俺。
・・・もういいや。
「脅迫営業」
枕営業てのは生保レディだけじゃないよ。もちろん客とのパワーバランスだけどね。
おれの場合は野村證券の営業のコと箱根に一泊旅行。
一橋卒の大人しそうな子だった。あんまり証券会社の営業なんて
向いてないタイプだったけど、けっこうイイ体してたので(w)、おれも下心あって
かなり注文だしてやってたのよ。つうか営業成績の半分くらいは俺の注文だったと思う。
だから誘ったら断れないだろうと自信があったw。だって野村は成績わるいとすぐアレだからね。
旅館にチェックインして、「とうぜん分かってるよね?」と聞いたら、うつむいて「はい」と答えたので
とりあえず一緒に風呂に入ることにした。脱衣場ですでにビンビンに勃起してもうた。
だって服ぬいだら想像してた以上にナイスボディだったし、緊張してる顔が妙に色っぽいんだもんw
でフェラしてもらったのだが、あんまり男に慣れてなかったんだろうな。
すげー下手くそで全然気持ちよくない。一生懸命さは伝わってきたんだけどね。
で、「もういいよ」て言ったら、「すみません」てちょっと涙目になってて
なんだか可哀想になったから、交代して今度は俺がフェラしてやった。
そしたらプルプル体を震わせてすぐにイっちゃったよ。マッチョのくせに。すげー勃起した。
757 :
Mr.名無しさん:2005/06/14(火) 21:39:43
大学時代、ガリ&チビ&童貞くんがうっかり強がって、
ゼミで一番可愛い(だけど気が強い)娘の前で
「僕は女性にはあまり興味が無い。今は本を読むのが一番ためになる」
と言ってしまい、
「はあ!?君さーあ、付き合った事もセックスも経験ないからんな事いってんでしょ?
悔しかったらセックスしてからそのセリフ吐いなさい!説得力ないわよ!
キャビアもフォアグラも食べた事ないくせに世の中のうまいものについて
語ってるようなもんねっ。女の子に相手にされないのが納得いくわ、あんたの場合!」
と一気に罵倒され、目が真っ赤になって震えていた。
758 :
Mr.名無しさん:2005/06/14(火) 22:25:59
「興味がないから付き合った事もセックスした事も無いんだよ!ピーピー喚くな売女!!」
そう言って僕はその鼻持ちならない女の顔面を思い切り殴りつけてやった。
メシャァッ
鈍い音をたて、女の顔が醜く歪む。
初めて人を、それも女を、殴った・・・。
僕の拳はしばしその甘美な興奮に打ち震えていた─
ツンデレまだー?
保守
となグラって漫画はツンデレに入るのだろうか?
なにそれ
ググれよ。
ぐぐれぐぐれって(ry
知ってるんだから教えりゃいいだろうがボケ
766 :
Mr.名無しさん:2005/06/17(金) 02:33:48
浮上
保守
>>765 ツンデレ幼馴染キャラが出る漫画です。
どマイナーです。
とりあえず、そんくらいl。
廃墟保守
ほsh
「お前さ、なんで俺にばっか突っかかってくんだよ。」
「は?別にあんたにばっか構ってる訳無いじゃない!自意識過剰なんじゃないの!?」
「やっぱ突っかかってんくんじゃ無ぇか…。そんなに俺が嫌いなら話しかけないでくれ。
俺もお前にはなるべく関わらないようにするから。」
「え…そんな…私…。」
「…なんで泣きそうになってんだよ?ワケわからん…。」
「――のバカ!!」
作品が投下されないので勢いで書いた。今は反省している。
キュンとした
>>770 萌えたよ。GJ。
しかし、そんな超短編の流れを作っちゃうと職人さんたちが戻って来づらくなる悪寒
128 名前:番組の途中ですが名無しです[] 投稿日:2005/06/08(水) 10:17:29 ID:Bg3geh6a0
高校のクラスの委員長はマジで基地外だったな。
女に政治家や会社社長が少ない理由が俺には分かるぞ。女は感情的なんだよ。
みんなで掃除時間にホッケーしてたのに俺だけ怒られた。ぜんぜん客観的じゃない。
俺のテストの点数が悪かったら、「頭わるいんだからもっと勉強しなさいよ!
クラスの平均点下がるでしょ!!」とかいって、放課後、強制的に居残りさせられて
数学の勉強やらされた。「腹減ったからコンビニいってくる」て逃げ出そうとしたら
自分が家で焼いてきたパンを食わされた。「俺はセブンイレブンのパンが好きだから
セブンイレブンいかせろよ」と言ったんだが、「コンビニのパンが美味しいなんて
味覚が変だよw」とか言いやがる。おまえは何様なんだよ?ちょっとくらい料理が
得意だからて威張るな、アホ。 しかも俺がキュウリ食べれないの知ってて
ハムサンドにキュウリ入れてるんじゃねーぞボケ。気づかないで食ってしまっただろうが。
全部食ってから「いまのキュウリ入ってたんだよw」なんてわざわざ言うな。
気持ちわるくなっただろうが。母親にもキュウリ食わされたことないのに・・・orz
>>773 それネタじゃないのか?
微妙に萌えられないんだが・・・
ヴェルタースオリジナルの改変だかのはコピペにしては
よく出来てたような希ガス
なぜなら彼女も特別な存在だからです。
>>776 懐かしいコピペだな。っていうかその一文だけであの前文が浮かぶ漏れは・・・
だいぶ2chに染まってるな
hsh
>>777 これですか?
ガムを噛んでたら、オロチの私のことを避けてる姫子が寄ってきて
「ち、千歌音ちゃん、私にもガムちょうだい」って言ってきた。
かなりむかついたんで、姫子の首根っこ掴んで口移しで
自分の噛んでるガムをやるフリをした。
殴られるか、悲鳴をあげられるか、どうでもいいが二度と近寄るなと思った。
ところが、驚いたことに姫子は目を閉じて唇を少し開いたんだ。
私の方がビビッて、あわててちょっと離れた。しばらくの間があった後、
姫子は、「千歌音ちゃん、私、どうしたらいいのかな」と小声で言って、
ガムを奪って走り去った。
それから何日か後、姫子がキャンディーを食べてたので
今度は私の方から「ひとつよこしなさい」と言ってやった。
そしたら私をからかうように、なめてたやつを唇にはさんで口をとがらせた。
私は姫子の唇ごとキャンディーをほおばってやった。
今では姫子は私の一番大切な人。その時なめてたキャンディーは
もちろんヴェルタースオリジナル。
なぜなら姫子もまた、特別な存在だからです。
ガムを噛んでたら、普段私のことを避けてる由乃さんが寄ってきて
「私にもガムちょうだい」って言ってきた。かなりむかついたんで、由乃さんの
首根っこ掴んで口移しで自分の噛んでるガムをやるフリをした。
殴られるか、悲鳴をあげられるか、どうでもいいが二度と近寄るなと思った。
ところが、驚いたことに由乃さんは目を閉じて唇を少し開いたんだ。
私の方がビビッて、あわててちょっと離れた。しばらくの間があった後、
由乃さんは、「マジでするのかと思った」と小声で言って、ガムを奪って走り去った。
それから何日か後、由乃さんがキャンディーを食べてたので今度は私の方からひとつください
と言ってやった。そしたら私をからかうように、なめてたやつを唇にはさんで口をとがらせた。
私はその女の唇ごとキャンディーをほおばってやったよ。
今では由乃さんは私の姉妹。その時なめてたキャンディーはもちろんヴェルタースオリジナル。
なぜなら由乃さんもまた、特別な存在だからです。
職人さんキボンヌ
hoshu
保守
785 :
Mr.名無しさん:2005/06/22(水) 20:58:26
由乃さんだけでマリみてとは乱暴な気が
どうでもいいが、祥子さまはツンデレじゃないのか
hosu
祥子さまはデレデレでし
職人さん待ち保守
毒男の続きが見たい保守
究極の保守
いよいよ保守だけで800間近。1000まで頑張るぜ
保守がわりに短編投下。
勢いで書いたやつなんで文章が劣化気味だから
時間を無駄にしたくないヤシはスルーしてくれ。
「はあぁぁ…。」
今日、何度目かのため息を吐く。
少年はただ、ひたすらに憂鬱だった。
放課後、屋上に上って景色を眺めるのは彼の日課だった。
特に景色が綺麗なわけでは無かったが、何も変わらない町並みを見ているだけで彼の心は癒された。
――昨日までは。
(…なんでこんなに憂鬱なのか?原因は解っている。
アイツが何故だか知らんが朝のアレから見るからに元気が無い。
原因は…俺だよな…理由はさっぱり解らんが…)
彼の脳裏に、今日何度も思い返した朝の出来事が浮かび上がる。
いつものように学校へ登校し、いつものように教室の自分の席へと向かう。
そして、いつものように――
「…また朝から冴えない顔してるわね。ちゃんと鏡で自分の顔見てから登校してる?
…見てるこっちが恥ずかしいわ。」
――隣の席の女子生徒に絡まれる。
「お前さ、なんで俺にばっか突っかかってくんだよ。」
「は?別にあんたにばっか構ってる訳無いじゃない!自意識過剰なんじゃないの!?」
「…朝から元気なコトで…。お前は俺にケンカを売るのが日課なのか?」
「別にアンタにケンカなんて売ってないわよ!アンタがあまりにもだらしないから、
皆に笑われる前に私が忠告してやってるんじゃない!」
「忠告つーより嫌味にしか聞こえないんだが…。そんなに俺が嫌いなら話しかけないでくれ。
俺もお前にはなるべく関わらないようにするから。」
「え?…そんな…私…そういうつもりじゃ…。」
「…なんで泣きそうになってんだよ?ワケわからん…。」
「――のバカ!!」
…それっきりアイツは元気が無い。いつもならあの程度の口論でへこむような奴ではないハズだが…。
眼下に広がるグラウンドでは運動部が元気に活動している。
いつなら気にならない気の入った掛け声が耳に入るたび、気はますます滅入ってくる。
(はあぁ…気は乗らないが、一応謝っとくか。なんか俺のせいで落ち込んでるみたいだし…。
いくらなんでもこのまま帰ったら気分が悪すぎる。…今頃になって決心するのもナンだが…。)
幸い彼女は吹奏学部で、まだ校舎内の音楽室にいるハズだ。
(ちょうど文化部は終わる時間くらいかな…とりあえず音楽室で待ち構えとくか。)
自分から彼女に会いに行く。
いつもの自分なら絶対にしないであろう行為に彼は苦笑気味に
―だが先程よりは確実に軽くなった心を胸に―
早足で屋上を後にした。
とりあえずココまでにしとく
前に勢いで書いたやつのリメイク?続きは要望があれば投下予定
スレ汚しスマソ。
>>798 続き希望に一票。次からは酉つけてもいいんじゃない?
これで終わりでも悪くないんじゃない、
続きを考えてあるなら一々断らずに続ければいいべ
何でこのスレの書き手は一々続きを要望しないと書かないのか
作家気取りもいい加減にしろ
お前もこんなスレで煽ってる暇があったら仕事探せ
803 :
Mr.名無しさん:2005/06/26(日) 08:41:39
馬鹿ばっか
図星ついちゃって悪かったね。無職くん
806 :
Mr.名無しさん:2005/06/27(月) 00:58:45
こんな状態で来るわけねーだろマヌケ
807 :
Mr.名無しさん:2005/06/27(月) 01:25:05
「あいつにしよう」
男が指し示したのは一人の小柄な少女だった。淡い色の髪を二つに分けて、肩に垂らしている。深い色の制服に身を包んだ、どことなく地味な少女である。
取り立てて美少女というわけではないが、あまり気の強くなさそうな面持ちである。となりで微笑んでいる同じ制服のお下げ、あれはよろしくない。あの手の女は大人しそうに見えて、いざ犯すとなるとかなり梃子摺らされる。
「あれくらいが丁度いいだろう」
何人もの女を強姦してきた男たちの経験から言えば、あの手の女は抵抗したところで少し拳を振るえばすぐに大人しくなり、後腐れがない。事件を公にするくらいなら死を選ぶタイプなのだ。
「――いくぜ」
ワゴンが、ゆっくりと発進された。
「祐巳ちゃ……」
声を掛けようとして、佐藤聖は口を半開きのまま凍りつかせた。別に気づかれたというわけでも、後ろから抱きつこうとして逃げられたというわけでもない。不審な車の存在に気がついたのである。
(なに、あのワゴン……?)
聖がいるのは校門から十分ばかり歩いた三叉路だった。三つ叉の先には幅のさして広く無い道路が延びている。リリアンの女学生が下校する道の中では、あまり人通りの多いというわけでもなく、ごく普通の生活道路という趣である。
その数メートル先を祐巳が一人で歩いている。島津由乃とは既に別れているらしかった。
808 :
Mr.名無しさん:2005/06/27(月) 01:34:34
>>806 だよな
こんな状態でうpする奴がいるとしたら、とんだ空気嫁ねぇ野郎だなwww
さっさと投下しろや
hosu
813 :
Mr.名無しさん:2005/06/28(火) 16:05:56
,.∩ `ヽ
〃∪'´ ̄`二二人\ ヽ
| ツ´ ̄ ̄ ̄ ̄´ ヾ ヽ. ',
|ハ ,ニ、 ,. - 、 | | | l |
| ハ ィハ ,二ヽ. | | | | | 同じ板にコピペするとそのままだけど、
| | | じ' |トJ〉 /)} l | 違う板にコピペすると鬼のような怖い顔
| ハ 、'_,  ̄,, 厶イ川| に変わる摩訶不思議なそれなんてエロゲ?
l l /\ .. イV\川 |
,' l l ,イ `l ̄´ / /ヽl l
l | l ハ `メ、 〃 ヽヽ、__ノ
814 :
Mr.名無しさん:2005/06/28(火) 20:22:55
うp だれか たのむ。
所でツンデレってなんだ?
「普段はツンツン、二人っきりの時は急にしおらしくなってデレデレといちゃつく」
ようなタイプのキャラクターの事
817 :
Mr.名無しさん:2005/06/28(火) 20:55:51
はじめはツンツンしてるけど最終的にはデレデレになってEND
818 :
Mr.名無しさん:2005/06/28(火) 21:28:55
ツンツンツン→デレ→ツンツン→デレデレ→ツンツンツン→終了
819 :
Mr.名無しさん:2005/06/28(火) 22:27:03
このスレももう終了だな
820 :
Mr.名無しさん:2005/06/28(火) 22:48:58
小説じゃないとダメ?
821 :
Mr.名無しさん:2005/06/28(火) 23:52:25
│:::::: ミミミミミミミ ミミミミミ│
│:::: ───〓──────〓〓─────〓
│ ── ̄ ̄ │/ ̄●\ / │〆 ̄●ヽ │
│ヽ ⌒⌒\ヽ───ノ /│ │───> .│
│ヽ 〆  ̄ ̄ ̄ ̄ │ │ \──/
│ \. │ │ │
│ │ .. │ │ /
│ .│ . . ─/ ヽ / < お前らホームラン級のバカだな
│ │ / \⌒\ ノ\ . / \
│\/ヽ / \. /
│ │\ │ │ <── ̄ ̄ ̄──). /
│ │ ヽ │ \ \++++++/ /
│ .│ \ \────/ /
│ / \ (────ノ /
822 :
Mr.名無しさん:2005/06/29(水) 00:46:29
うp だれか たのむ。
ほーしゅ
続き(・∀・)マダ?
俺は弱小テニス部の一年。4月にこの高校に入学して半月が経つ。テニス部に入ったのは中学の頃ずっとやってたからだ。
練習しながら隣のコートの女子テニス部の方をチラリと見る。
気になる先輩がいるからだ。俺はことあるごとに憧れの先輩を盗み見していた。「ちょっと!何見てんのよ!このエロガキ!」
突然後ろから声をかけられてビクッとした。恐る恐る振り替えるとニヤニヤしながら有希が立っている。
「なんだ有希か。」
「なんだってなによ。女子ばっか見て練習しないからいつまでたってもうまくならないのよ!」
「少なくともお前よりは上手だよ。中学の時やってたんだし」
有希は中学3年間の同級生だ。中学までは陸上をやってたのに高校からはテニスをやるという。
「ていうかさ。なんでお前テニス部はいったの?陸上で結構いい成績とってたじゃん?」
「う、うるさいわね。あんたには関係ないでしょ。」「ふ〜ん。まぁ頑張れよ。それにしても香織先輩っていいよなぁ」
「あんたそんな目で見てんの最っ低!」
「健全な男子ならだれでも…」
いきなりグーがとんでくる「いてっ。何もグーで殴る事ないだろ?」
「そんな事よりバックハンドの打ち方教えてよ。中学までやってたんでしょ」
「いいよ。」
ちょっと教えていると有希が汗ばんでくるのがわかった。Tシャツの下の下着が透ける。
こいつ結構良い躰してるじゃん。触って見たい。衝動に駆られる
「見てばっかじゃなくてちゃんと教えなさいよ」
ハッと我に返る。
「ちょっと違うかな。手はこうだよ」
「こ、こう?」
「違うってこうだよ」
「もうわかんないよ。教え方ヘタクソなんだからっ」カチンときた。教えてやってるのはこっちなんだぞ?頼まれたから教えてるんだぞ?
「こうだよ」怒りに任せて左肩を触ってしまった。汗ばんだシャツ、透ける下着。うなじ。怒りに任せて触っとはいえドキっとする。
怒りが体を通じて伝わったのか「ごめん」有希があやまる。
身長は俺よか低い。上目遣いで謝られると動揺する。
唐突に新職人キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
期待(・∀・)
小出しやめておー(^_^;)
玲ちゃんのその後が気になるよ…。
ウィンチェスター、毒男、1…。
と思ったら新職人乙乙!!
動揺してしまった俺。取り繕うのも変だし、焦る。
「今変な事考えてたでしょ?」
図星だ。
「どうせ香織先輩の事でも考えてたんでしょ?」
よかった。俺が有希に対して抱いた感情はバレなかったらしい。
「う、うん」
でも不思議だ。いつもは強きの有希が素直だ。変に勘ぐってしまう。
「バックハンド良くなってきたよ。素振りより実践実践。ボール打ってきたら?俺も練習あるし」
「そうね。」去ろうとする有希。
「おいっ俺に一言あってもいいんじゃない?」
「あんたの方がテニス歴長いんだから当然でしょっ。」
ちょっとでも可愛いと思った俺が馬鹿だった。はぁ。
その日はそのまま有希と口を聞く事なく部活は終わった。
着替えて学校をでようとすると暗い中校門に誰か立っている。
校門に人が立っているのは別に珍しい風景ではない。特に気にする事なく通りすぎようとすると有希だった。
「誰か待ってんの?」
「別に〜そんな訳じゃないけど」
「ふ〜ん。まっ暗いから気を付けて帰れよっ」
「言われなくてもそうします〜」
「ったく。可愛げないなぁ。じゃあな」
「ちょっ…」
普段は強きな性格の有希がなんかしおらしい。部活ではTシャツにハーフパンツで色気とは程遠いが今は部活も終わり制服の有希。薄暗い中、白い制服だと少し感じが違う。なんというか…
「なんだよ」
ことばでは強がって見せるが内心はドキドキしていた。
「今日は…ありがと」
小さい声で聞き取れなかった。
「えっ?何?」
「今日はありがとうっていったの。ばーか」
そう言って有希は走りさっていった。
なんでありがとうなのに馬鹿なんだよ。まったく。俺はしばらく校門の前で後ろ姿を見ていた。
ワクワクテカテカ
ワクワクテカテカ 最高の誉め言葉です。遅筆なんで待っててください
834 :
Mr.名無しさん:2005/06/29(水) 22:05:05
それはきっと気があるに違いな〜い><
>>833 期待してるよ。あと、酉つけない?まとめ人のキモメソ氏がやりにくいだろうから。
トリついたかな?日付がかわる前に投稿します。
誰か良い題名付けてください
>>836 ◆hanwM2E4hc の検索結果 1 件
逆にすごいなw
題名は自分でつけるべきだと思われ
俺は去って行く有希を見ていた。
バンッ。いきなり後ろから背中を叩かれた。思わずビクッとする。
「へへっ見てたわよ少年」
「か、香織先輩…?」
ビックリした。香織先輩とはまだ数回しか話たことなかったし、その殆どが部活の用事だったからだ。
「有希と良い感じだったじゃない?告白されたの?」
「全然そんなんじゃないですよ。ただちょっと話てただけで」
「そうは見えなかったけどな…」
「先輩こそ何してるんですか?」
「う〜ん私は有希と部室で話ててさ、なんか盛り上がちゃって。で、部活帰りに甘いもの食べて帰ろうって誘ったんだけど、用事ありますからってフラレちゃった。」
「へ〜」
ってかなんで俺こんな自然に憧れの香織先輩と話せてるんだ?相づちを打ちながらもそんな事考えていた。
街頭の光に虫が集まっている。
香織先輩はかまわず話を続けた。
「……でさ。ちょっと聞いてるの?人の話?有希を誘ったんだけど、行かないってゆうから付けてたの」
香織先輩はニヤっとしながら
「まぁ有希は先輩の私より君を選んだみたいだね」
え?正直な話どうなんだろう?有希は俺に用事があったんだろうか?
いや単に他の用事だったのかもしれない。頭の中を色んな思いが交錯する。
「あ〜お腹すいた〜。部活の後って甘いもの食べたいよね〜。よしっ君が有希の代わりに寄り道に付き合いなさいっ」
唐突すぎだっ!でも香織先輩と帰り道が同じ方向なので断る理由などない。むしろ願ったり叶ったりだ。
「はいっ行きます」
即答した。
先輩と自転車を押しながら並んで歩きだした。
「ここだよ。言っとくけどおごりじゃないからねっ」
甘党の店蜜柑屋。狭い店の中には部活帰りの学生がちらほらいた。和風な粋な店だ。
先輩は二人掛けのテーブルを選びすわると慣れた手つきでメニューをみている。「よしっ決めた。迷ったけどアンミツにするっ。ふふっここのアンミツ美味しいだよ」
「じゃあ僕も。」
「さっき部室で盛り上がったって言ったけど何の話してたと思う?」
「え?わかんないですよ」
「君の話だよ」
「えっ?」
「ビックリした?本当だよ。だからさっき君と有希を校門で見た時、なんか納得しちゃった。有希ってさぁすっごく嬉しそうに君の話するんだよ?バックハンド教えてもらっちゃいましたって。本当に嬉しそうだった」
「いやあいつとは中学の腐れ縁で」
内心はドキドキしていた。有希が俺の話を嬉しそうにするなんて
乙(`・ω・´)
保守
スゲェ…新入りクン、スゲェイイよ…
話それるけど俺って中高と私立男子校だったからソンナ光景まるで無縁だったな…
まぁ共学でもm(ry
orz
844 :
Mr.名無しさん:2005/06/30(木) 14:20:25
「あんみつおいしいだよ」ってどこの田舎もんだよ
「ねぇねぇ有希の事、本当になんとも思ってないの」
どう答えていいのかわらず
「そ、そうですね」
目の焦点をどこにもあわせず曖昧な返事をした。
「そっかぁ。でもいいなぁ。なんか青春って感じがする。」
香織先輩は伸びをしながら言った。伸びをした拍子にお腹がチラリと見えた。綺麗だ。雑誌のグラビアと比べても遜色ない。
意識しないようにしても見てしまう。
「香織先輩お腹見えてますよ。」
「きゃっ!見たわね〜高いわよ?」
「あ〜あ、甘いものばっかり食べてるから太るのかなぁ」
「全然太ってないですよ。それに顔だって綺麗だし」
「お世辞うまいじゃん」
「いやお世辞っていうより本当の事だし。」
自分でも自分の言う言葉に驚く。
「みんなも憧れの先輩だって言ってます」
違う!本当は俺が憧れてるって言いたいんだ。でもそんな勇気もなく「自分」を「みんな」と言う主語に置き換えた。
「ありがと」
先輩はちょっと照れながら言った。
「そろそろでよっか。あ、お金はいいよ。やっぱり私おごるね。綺麗って言ってくれたお礼。」
「ありがとうございます」
「先に店でて待ってて、途中まで一緒に帰ろ?」
もちろんいやじゃない。
店をでてからは先輩はあまり喋らなくなった。
俺も何を話していいのかわからず、ただ時間が過ぎた。
俺と先輩は並んで歩いているが間に二人の自転車があるので距離は遠い。
でもこの位がちょうどいいんじゃないかな。あんまり近すぎると今以上に緊張してパニックになるに違いない。
「あっ」
先輩が何かに気付いた見たいだ。先輩の向いてる方向をつられて見ると有希がいる。でも有希はこっちにきづいてない。
どうしよう。有希だけには香織先輩と二人でいるとこを見られたくなかった。
「有希〜何してんの〜?」
先に声をかけたのは香織先輩だった。
有希が香織先輩に気付く。俺は有希の死角になるよう先輩の後ろに立っていた。
「あ先輩!今から塾行くとこだったんですよ」
「そっかぁ頑張れ有希」
「先輩、誰かと一緒に帰ってるんですか?」
有希がこっちを覗きこむ。見つかってしまった
「あ、あんただったの。」有希は興味なさそうに言い放った
「よかったじゃない先輩と帰れて。」
「先輩気を付けてくださいね。こいつHですから。襲われますよ?じゃ塾あるんで」
有希は振り向きもせず走っていった
「私も帰るね。送ってくれてありがと。じゃあまた明日部活でね」
その日の夜は眠れなかった
(・∀・)イイヨイイヨー
まとめ更新(順不同、敬称略)
【連載中の作品】
武男 ◆3AqXnlpzp6氏の作品
Vol.1
>612 >613 >614 >615 >616
Vol.2
>619 >620 >621
Vol.3
>635 >636 >637 >641 >642 >643
>689 >690 >691 >692 >693
◆hanwM2E4hc氏の作品
>825 >826 >831 >838 >839 >840 >845 >846
正体不明
>795 >796 >797
【休載(?)中の作品】
毒男 ◆DtIt8CeAEE氏の作品
>9 >13 >14 >16 >17 >18 >19 >20 >23 >24
>25 >26 >28 >29 >31 >32 >33 >34 >35 >38
>41 >48 >49 >50 >51 >56 >57 >58 >59 >60
>61 >62 >63 >64 >65 >66 >67 >68 >69 >70
>74 >75 >76 >77 >153 >154 >155 >157 >158 >159
>162 >163 >164 >165 >166 >167 >168 >169 >171 >196 >197
>198 >200 >206 >207 >208 >209 >571 >572 >573 >574 >574
>576 >587 >588 >589(続きマダー)
1 ◆5nKXNraGc2 (
>>1)氏の作品
第一話
>83 >84 >85 >86 >87 >88 >89 >90 >91 >92
>93 >94 >95
第二話
>113 >114 >115 >116 >117 >118 >119 >120 >121 >123
>124 >125 >126 >127
第三話
>268 >269 >270 >271 >272 >273 >274 >275 >276 >277
>278 >279 >280 >281 >282
第四話
>362 >363 >364 >365 >366 >367 >368 >369 >370 >371
>372 >373 >374 >375 >376 >377 >378 >379 >380 >381
>382 >383 >384 >385 >386 >387 >388 >389 >390 >391
第五話
>499 >500 >501 >502 >503 >504 >505 >506 >507 >508
>509 >510 >511 >512 >513 >514 >515 >516 >517 >519
>520 >521 >522 >523 >524 >525 >526 >527 >528 >529
>530 >531 >532 >533 >534 >535 >536 >537 >538 >539
>540 >541(続きマダー)
◆uh.Nj7Topk氏の作品
登場人物まとめ
>317
第一話
>286 >288 >289 >290
第二話
>291 >292 >293 >295
第三話
>299 >300 >301 >302 >303
第四話
>304 >305 >306 >319
第五話
>320 >321 >327 >328 >341
第六話
>343 >345 >346 >347 >348
第七話
>392 >408 >409 >414
第八話
>417(続きマダー)
ウィンチェスターといえば1894年ものショットガン
>170 >172 >186 >187 >170 >172 >186 >187 >231 >232
(続きマダー)
飽き男 ◆PSR4/aLv0Y
>217 >218 >219 >220 >221 (続きマダー)
間違ってるところ見つけたら、適当に修正しておいて。
853 :
798:2005/06/30(木) 20:49:38
正体不明って…w
一応、続き書いてまっせ
>574が2つ
>574 >575だね
次の日。俺はいつもより早めにテニスコートに向かった
コートには十分過ぎる程早く行ったのに人影があった。
有希だった。バックハンドの自主練をしている。
気まずい。
俺はできるだけ目立たないようにシューズをはいたり、柔軟などをやっていた。有希を避けるかのように
話し掛けてきたのは有希の方からだった
片瀬青葉の>311も追加で
すいません。まとめが終わってから投下した方がいいですよね?
>>859 筆早いね。いいからどしどし投下しちゃってちょうだいな。
いくらでも後でまとめられるんだから、もうがんがん投下しる
「昨日はよかったじゃない?」
「たまたまだよ」
「たまたまって。それ言い訳のつもり?」
いつもは受け流すのに、なぜかムキになってしまった
「なんだよ言い訳って!?先輩と帰るのに一々有希に報告しなきゃいけないのかよっ。もしかして嫉妬してるのか?」
有希は押し黙った。
そして下をうつむきポツリと言った。
「知らないっ」
少し長めの髪が顔を隠しているので表情は見えない。
「ごめん言いすぎた」
沈黙が続く。
突然有希は顔をあげ
「ばっかじゃないの?なんで私があんたにヤキモチ焼かなきゃいけないのよ?」「さっ今日もバックハンド教えなさいよ」
「あ、あぁ。じゃあ俺ボールあげるから」
「違う。今からじゃないわ。練習後。」
「え〜」
「何よ?香織先輩には放課後付き合ったくせに!私には付き合えないっていうの?」
「わかったよ。じゃあ先輩達が帰った後な」
「当然よっそれくらい。じゃあね」
有希は小走りで去っていった。
部活が始まった。
うちの部は基本的に男女別れて練習する。でもたまに混合で練習する日があった。
今日はその日だった。
部活が始まった。
うちの部は基本的に男女別れて練習する。
でもたまに男女混合で練習する日があった。
今日は偶然その日だった。
香織先輩は来てない。今日は来ないのかもしれない。俺は有希を避けるように練習した。
練習も終わりに近づいた頃香織先輩来た。
今日は居心地が悪い。昨日あんな事があったし、しかもよりによって男女混合の日だ。有希の事も香織先輩の事も気になってしょうがない。
散らばったボールを集めていると香織先輩の方から近寄ってきた。
「おっす!悩める少年、元気かい?」
「ええ、まぁ」
「昨日は付き合ってくれてありがとっ」
先輩はいつも気さくだ。誰とでもこうなのかな?
先輩との話は盛り上がった。なんか堰がきれたように俺は話した。
先輩は何気ない言葉でも笑ってくれる。
「今日も蜜柑屋行く?」
先輩からのお誘いだ。
「いやっでも今日は用事が」
「そっか…あっ有希とでしょう?」
「そんな事ないですよ」
「あ〜っ真っ赤になってる〜図星だ〜。
じゃっ今度ね」
部活が終わった。
ワクワクドキドキ
あぅ…巧いな…
部活が終わったあと俺は一旦コートの外に出た。4月半ばとはいえ運動後は暑い。
顔を洗って再びコートに戻ると有希が待っていた。
「遅いわよ。日が暮れるのは早いんだから」
開口一番。今日も口はへらない。
「ねぇ私テニスうまくなったでしょ?」
「まあまあかな」
「私ね運動神経いいんだっ」
「運動神経だけだろ?」
「ばかっ」
「何もラケットで殴る事ないだろ。でも確かに筋がいいのは認めるよ」
「でしょっ。一ヵ月後にはあんたに勝つかもね」
「はいはい」
有希がまたラケットで殴ろうとしたので反射的に身構えた。
「早くやろっ」
その後30分程練習した。
やはり今日は暑い。
「そろそろ暗くなってきたし終わりにしようか」
「うん。それにしても暑いねぇ」
「ボール集めようか?」
二人の間にはボールら散らばっている。
俺は足元にあるボールを拾う。有希もボールを拾う。
徐々に二人の間のボールは少なくなり、そして距離も自然と縮まる。
有希は今日は3つボタンのポロシャツだ。
次のボールを拾おうとした瞬間、同じタイミングで有希もかがんだ。
ポロシャツのボタンを外していたもんだから女性特有の白い下着が見えてしまった。
女性特有の白い下着…
/|ァ(*'A`)/|ァ
ワクワクハァハァ
間違い箇所のみ修正更新。
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【休載(?)中の作品】
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【完結した作品】
片瀬青葉
>256 >257 >258 >259 >260 >261 >262 >263 >264
>308 >309 >310 >311 >312 >313 >314 >315 >316 (完結)
間違いだらけで凹む
>>キモメソ氏
乙です。これだけの作品があるんだから間違うのも仕方ないよ。
まとめご苦労さま。
俺は慌てて目をそらした。よかった。有希は気付いてないみたいだ。
見つかっていたら何をされたかわかったもんじゃない。
でも気になる。俺は気付かれないようにもう一度見た。
大きさは普通?形はいい。
気付かれるのが怖かったので俺はわざと別の方向を向いて、できるだけ平常心で話し掛けた。
「なぁ有希。なんでテニス部に入ったの?」
「あんた前にもそれ聞いたわよ?」
「別に意味なんかないわよ」
少しがっくりした。昨日はその事を考えていたので眠れなかったからだ
もしかして有希は俺の事好きなのかもしれない。でも…
考えが色々駆け巡る。現実に引き戻したのは、やはり有希の言葉だった。
新しい毒男系小説スレ発見。
もうしばらく様子を見てスカウトに向かう予定。
>>873 余計なことをするなボケ
うざがられるだろ
どうして厨は他スレから引き抜きたがるんだろうか
馬鹿だからだよ。
まあまあ。続きをマターリ待とうぜ
もう… 待て…ない…アッ(ドッピュ
ほしゅっておくか
保守
捕手 清原
「今日一緒に帰ろう?」
「う、うん。」
かなりの不意打ちだ。
「なんなの?いやなの?」
「そんな事ないよ。」
「じゃあ終わったら校門でね。」
「あと顔真っ赤よ。熱あるんじゃない?」
そう言って有希は手を俺の額にあててきた。
もう一度見える白い下着。喉がゴクリ鳴る。
こんなに近くで有希を近くで見るのは初めてだ。
うちの学校は基本的に化粧は禁止である。でも有希の顔は化粧をせずとも綺麗だ。頬が少しピンクだ。ドキドキする。
化粧は禁止といえどもグロスは塗っているらしい。光る唇。
「熱はなさそうね。まぁ今日は暑いしね。ゆっくりしとけば大丈夫よ。」
そう言って有希は俺の額から手を放した。
「じゃあ後でね」
有希はそそくさと去っていった。
先に校門に着いたのは俺だった。少し遅れて有希は来た。
お互い自然に歩きだした。
「もうすぐ新人戦ね。あ〜私出れるかなぁ」
そういえばもうすぐ新人戦だった。試合には慣れていたので意識していなかったのだ。
「有希なら出れるよ。俺が保障する。」
「ほんと?」
「うん。最近うまくなってきたし。俺の教え方も良いしね」
「私がうまいの!まぁあんたには感謝してるけど」
「出れるといいな試合。」
それからはずっと試合の話だった。有希の家の近づくと有希は突然話をかえた。
「私がテニス部に入ったのはね…中学の時あんたを見て楽しそう…だったからなの…」
「え?う、嘘だろ?」
「本当よ。悪い?」
「そんな」
「だ〜か〜ら次の試合絶対勝ってよね。私のテニスの先生が負けたとか承知しないんだから」
おつ…
…うま
884 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:29:29
「ば、ば〜か!!ブスの前だからってカッコつけてんじゃねぇよ!!・・・毒下覚えてろよ!!」
「・・・大丈夫?・・・ねぇ大丈夫?害(ガイ)君」
ぐったりと倒れている少年に手を差し伸べるけれど少年はまだ起き上がろうとしない。
「・・・ごめんね・・・害君。舞のせいで・・・ごめんね・・・」
ゆっくりと少年は起き上がるとようやく立ち上がって私の頭を軽く撫でる。
「俺なら平気だよ舞ちゃん。それよりあいつら追っ払ったからもう平気だぜ・・・いって〜!」
「だ、だめだよ害君!まだじっとしてたほうがいいよ!」
「へ、平気だってこのくらい!俺は男だからな!!」
少年はわざとらしく腕に力こぶを作って見せる。
「・・・で、でも害君の絵が・・・」
すまなそうにする視線の先を地面に移すとさっきの男の子達が喧嘩した腹いせにと
ビリビリに破いた少年の絵がちぎられて地面に舞っていた。
「別にこんなのまた描けばいいよ。へへ・・・でも俺あいつらに勝ったぜ!ざまーみろ!」
少年は泥だらけの顔を思いっきり笑って見せて私に向かってピースをしてみせる。
「・・・ありがとう。害君にはいつも助けてもらってばっかり・・・ごめんね舞が他の子と違うから・・・」
そういうと私は自分で描いた絵を強く抱きしめてうつむいてしまった。
「舞は悪くないだろ!悪いのは女をいじめるあいつらだろ?舞の絵を破こうとしたあいつらが悪いんだろ!!」
「でも・・・舞が公園でお絵かきしたいなんて言わなかったら・・・ヒック・・・」
私は自分のせいで少年が怪我をしてしまったことに耐えられずに泣き出してしまった。
「泣くなよ舞!言ったろ舞は悪くないって!」
「で、でも・・・舞が・・・舞が他の子と違うからいつも・・・舞が普通の子と同じだったらよかったのに」
「馬鹿!舞はなんでいつもそんなことばっかり言うんだよ!!」
「でも・・・舞の髪は変な色だって・・・男の子達はいつも言うし・・・だから舞はブスだって・・・」
いつの間にか私は描いた絵を地面に落としたまま両手で顔を覆ってしまった。
885 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:30:12
「・・・ま、舞はブスじゃねーよ」
「ウソだもん・・・舞はブスだもん・・・」
少年は無言で私の絵を拾い上げるとほこりを払って私に手渡そうとした。
「・・・一生懸命描いたんだろ?舞のお母さんの為に描いた大事な絵だろ・・・」
「・・・いらない・・・ブスな舞が描いた絵なんてママきっと喜ばないもん」
「・・・それに害君みたいに絵うまくないもん」
私は完全に拗ねていた。絵を渡そうとする少年の手を私はかたくなに拒んだ。
「いい加減にしろよ!舞はブスなんかじゃねぇ!ま、舞は・・・舞は・・・か、かわいいよ・・・」
「・・・ホントに? 舞のことホントにかわいい?」
自分の言葉にかそれとも少年の言葉にか心がドキドキした。私は真面目な顔つきで少年の顔を覗き込んだ。
「あ、当たり前だろ!俺はウソなんて言ったりしね−よ!!」
「うん!・・・えへへ・・・害君がそこまで想ってくれるなんて舞うれしいな・・・」
「も、もういいだろ!それよりこれちゃんと描いたんだから早く持てよ・・・」
私はうれしそうに絵を抱きしめるとその場でクルクルと回ってみせた。
「そ、それじゃ帰ろうぜ。途中でたいやきでも買っていこうぜ」
「・・・舞?なにやってんだよ?早くしねーとたいやき屋さん閉まっちまうぜ?」
私は立ち止まりふと思いついたことを言おうとモジモジと足元の砂をつま先でなぞった。
「うん・・・でもちょっとまって・・・害君・・・もう一つ聞いてくれる・・・?」
「なんだよ?」
「いつか大人になってもっとかわいくなったら害君の・・・お嫁さんにしてくれる?」
「ば、ばか急に何言ってんだよ!」
「ダメ? ・・・やっぱり舞のこと害君ブスだって思ってるんだ」
「んなこと思ってねーよ!いいよ大人になったらお嫁さんにしてやるよ!」
「本当?約束だよ!?大人になったら絶対だよ!?『約束』だからね!!」
886 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:33:01
「毒下!! オイッ毒下!! 起きろよ!! テメーなに寝てんだよ!!」
机が荒々しく蹴られる。あまりの反動の大きさに慌てて彼が机から起き上がる。
私の友達が数名彼の席の前に立っている。
寝ぼけながら机に転がっていたメガネをかける彼を早くしろと言わんばかりにまだ机を蹴っている。
ようやく彼がメガネをかけると女の子の一人がいかにも見下した態度で言葉を吐きかける。
「テメーメガネのくせになに日直さぼってんだよコラ?舞が困ってんだろ?早く書けよなメガネ!」
不意のことに彼は辺りを見回している。教室の中には人はほとんどいない。
壁がけの時計に目をむけてようやく放課後だということに気づいたらしい。
「メガネ!なに舞のことジロジロ見てんだよ!キモイんだよ!」
そんなつもりはないのだろうが彼は改めて私の姿を見た。
ハーフで天然のサラサラな金髪を今風のカットで肩まで伸ばしていて。
少し彫りが深いがすっきりとした整った顔立ちでスリムでしなやかな体つきで。
透けてしまいそうなほど白い肌の私のことを。
多分男の子は私のことを美少女というだろう。実際結構学年に関係なく男子からは人気がある。
887 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:34:00
「・・・毒下君。早く日誌書いてくれる?」
私は腕組みしたまま呆れた顔で彼の顔を見た。
「ココに今日のこと書けばいいんだよね・・・」
私は無言でうなずいた。彼と目が合うとどうもなにかはずかしい。
うなずくとすぐにさっきのはずかしい自分のイメージを打ち消すように隣の子と話し始めた。
「つーか当たり前だろ?他のところは舞がもうちゃんと書いてあんだろ?あ〜ほんとウザイ!」
さっきまで彼の机を蹴っていた女の子がイライラした口調でまた蹴り始めた。
「・・・」
私は彼の態度に少し失望した。なんでここまでやられて何も言い返さないんだろう。
「はい・・・」
書き終わった日誌を今日の日直の相方である私に手渡そうとするとまたさっきの女の子が彼の手から奪い去り中身を読んで爆笑し始めた。
「あははっ!なにコイツ?バカじゃねーの?なに『今日は昨日とほぼ同じです』って?」
「ハァ?何ほぼって?つーかもうちょっとましなこと書けよメガネ!」
日誌なんてほとんどの人がいい加減に書いている。そんなに爆笑するほど面白いとは思わない。
なんとなくまた彼と眼があう。彼は何も言うことも無く黙って下を向き帰り支度をはじめている。
なんか妙に彼の情けない姿を見ていると教室に残っていたクラスの男子の一人が
サッカーボールをリフティングしながらニヤニヤとワザと私に聞こえるように喋りだした。
「まったくどうしよーもねぇよな毒下は!三島さんも可哀相だよなこんなのと日直なんて」
「ほんと毒下ってウザイからな。おまけに友達少ねーし。彼女もいないからなぁ」
言い終わるとその男子の周りにいた男子達が一斉にゲラゲラとカラスの鳴き声ような汚い笑い声を出す。
彼は言い返すはずもなくいつものように黙って自分の荷物をまとめると教室を後にした。
「三島さん〜これからヒマなら俺らとカラオケでも行かない?」
私も彼のいなくなった後教室を出ようとするとさっきの男子達がいつの間にか近寄ってきていた。
「・・・悪いけどそういうウザいのパス」
888 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:35:58
そう冷たくあしらうと私は何事もなかったように教室を出た。
教室を出た私はその足で美術室にむかった。
美術室に向かう途中この学校の美術部には一番大事な秋季絵画コンクールのポスターが目に入った。
確か去年、彼もこのコンクールに出品したはずだ。でも結果は今ひとつだったらしい。
今年もそろそろ準備しなくちゃいけないって美術部の子がいってたけど彼は今年は上手くいってるのだろうか?
そうしていると美術室についた。するとすぐに美術部の部長が私に声をかけてきた。
「やぁ三島さん待ってたよ!話は友達から聞いてると思うけどモデルの件考えてくれた?」
「ええ・・・まぁ・・・」
正直私はこの人のことを好きにはなれない。
友達はカッコイイし頭も学年トップクラスなんて言うけど私はなんていうか彼の性格がどうも好きになれない。
「ねぇいいだろ三島さん?僕の人物画のモデルなんてうちの学校じゃ君以外考えられないんだよ・・・」
「いいじゃん舞!モデルにやりなよ!舞ぐらい綺麗な子がモデルやらないのもったいなさ過ぎるよ」
「でも。私あんまり自身ないし。それに先輩ってモテるじゃないですか。他の子に恨まれちゃいますよ」
・・・ほら来た。この自己中心というかナルシストの性格が私にはどうも好きになれない。
おまけにその性格のおかげで一時期私とこのナルシストが付き合ってるなんて誤解を受けて大変だった。
上の空で部長の話を聞いていると彼が美術室に入ってきた。彼も美術部の一員だから当たり前か。
たしかこの高校には美術の特待生で入ったはずだ。
彼の描く絵は風景画ばかりだが私は昔から彼の絵が好きだったりする。
彼は私たちの姿に気づいたはずなのに何事もないように隅の席に腰を下ろすと黙々と作業の準備を始めている。
889 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:36:48
「三島さん?聞いてる?さっきから上の空みたいだけど・・・モデルの件引き受けてくれるよね?」
「頼むよ。君みたいな日本人離れした綺麗な髪と目を持ってる子は君しかいないのわかってるだろ?」
「そうだよ舞!舞外人のモデルみたいなんだからやるべきだって!」
やっぱりこの人は永遠に好きになれそうもない。人を外見で判断するなんて奇麗事は言わない。
けれどこの人は私のことを何もわかっていない。
私だって今だからこの外見にも少しは自身を持てるようになったけれど昔は本当に自分の外見が嫌いだった。
なのにこの人は私の外見の珍しさだけでモデルになってくれと平然と言う。
「・・・ごめんなさい・・・私そういうの興味ないから。別の人に頼んでください」
私はそう言うときびすをかえすと部室を後にしようとした。
「ちょ!ちょっと三島さん?えっ?急にどうしたの?ねぇ?ちょっと待ってよ!」
左手に不快感が走る。みると部長が私の腕を握っている。そのまま力任せに自分の前に引っ張る。
「痛っ・・・痛いです!!先輩なにするんですか!?」
「まだ・・・話は終わってないよ・・・勝手に帰ってもらっちゃ困るな・・・?」
こいつ。本当に頭に来る。誰がアンタみたいな奴のモデルになるかっての!
「先輩・・・舞痛がってますから離してあげて・・・」
友人が必死になってこの部長に頼むも
「君には聞いてないよ・・・というか君には用がない。これからは二人で話したいんだ。消えてくれる?」
友人の彼女は少なからずショックだったのだろう後ずさりするとそのままうつむいて黙ってしまった。
多少なりともこの先輩に憧れていたから今日だって一緒に来たって言うのに・・・
「アンタ先輩だからって・・・痛っ!!」
「先輩に向かってその口の聞き方はよくない・・・君はただ黙ってモデルを引き受けてくれればいいんだよ」
反論しようにも抵抗しようにも腕をしっかり握られてはどうすることもできない。悔しいけど。
890 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:37:37
「・・・なんだ毒下!なんのつもりだ!?」
一瞬にして腕が解放される。見ると彼が私と部長の手を引き離してくれていた。
「・・・何とか言え毒下!お前一体どういうつもりだ!!」
「部長・・・その・・・彼女は嫌がっています・・・だから・・・」
彼が言い終わる前に彼の頬が激しく弾かれる。周りで見ていた部員達も一斉にざわつく。
「ちょっとアンタいい加減にしなさいよ!!が・・・毒下くん大丈夫!?」
彼は何も言わずに頬を弾かれた衝撃で外れたメガネをかけ直すと無言で私と部長の間に立った。
「おい!!お前らさっきから何を騒いでいるんだ!!」
奥のほうから美術部の顧問が現れた。周りはその怒声に沈みかえりいっせいに私達に視線が集まる。
「・・・三島さん。今のうちに早く帰って。後はどうにかするから・・・」
彼は振り向くことも無く私達に言うと私は友人に手を引っ張られるまま美術室を後にした。
私は後味のわるい感じで学校を後にした。
友人と別れた後も彼のことが気になったけれどいい案が浮かばずいつの間にかこの公園に来ていた。
小さい頃よく来た公園。今もよくやすみになると彼がここでスケッチをしているのを見かける。
そういえば昔、幼稚園のころ彼とよく遊んだっけ。
いつの間にかお互いに口も利かなくなっちゃったけど・・・
そんな昔のことを思い出しながら暗くなった公園のブランコに腰を下ろすと人影が私の前に現れた。
「が、害君!?」
891 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:38:49
昔のことを思い出していたせいか、つい彼の名前が出てしまった。
「ガイ君って?まぁいいや・・・君さぁ三島舞ちゃんだろ?俺達スゲ−君の事タイプなんだよね」
「ね、ね、今ヒマしてたでしょ?どうこれから俺らと一緒に遊ばない?」
最悪だ。彼の名前を知らない人に聞かれた上にこんな他校の連中に絡まれるなんて
「ねえってば!黙ってないでせめて俺達と話だけでもしてみない」
「つーか舞ちゃんってスゲ−髪綺麗だよね。髪もブリーチじゃこんな綺麗にならないよね」
「舞ちゃん目もスゲ−綺麗。カラコンとかしてるやつよりいいよな!やっぱハーフは違うわ最高!!」
ほんと最悪だ。こんな気分のときにこんな女を自分の飾り程度にしか見てないカスに・・・
「ウザイ・・・今すぐどっか行ってよ!!アンタらみたいに口臭い奴と話す事なんて無いよ!!」
激しく絡んできた2人組みを睨みつける。
「・・・ハァ?お前何調子乗ってんの?モテるからっていい気になりすぎじゃねーのかコラッ!?」
二人組みの一人が私の腕をつかむと無理矢理立たされる。
「まぁまぁ・・・とりあえず俺の口が臭くないのに臭いなんて言うんだから直接味わってもらおうぜ」
そう言うともう一人が私のアゴを無理矢理掴むと自分の唇と合わせようとしてくる。
「は、離せっていってるだろ!!」
必死に足をばたつかせるとアゴを掴んでいた男の下腹部に足が当った。
男は下腹部を押さえながらその場にしゃがみこむ。
「お前マジで調子に乗りすぎ・・・マジで犯っちまうぞコラ!?」
瞬く間にそいつに両腕を塞がれる。コイツの息は本当に臭い。絶対嫌だこんな奴に・・・
瞬間そいつの頭が大きく傾いた。見るとまた彼がそこに助けに来てくれた。
「イッテェーな!!んだおまえ!?」
連中がそういい終わる前に彼は連中に飛びかかっていた。
最初は優勢に運んでいたケンカだったけど時間が経つと二対一の差が徐々に出てくる。
最後の方には彼が一方的に殴られ蹴られるだけのサンドバック状態が続いた。
連中の一人が振り上げた拳が彼の頬にめり込む。彼はその反動で遊具に頭から叩きつけられる。
「ゴン」と鈍い音が夜の静かな公園に不気味に響き渡る。彼は糸の切れた人形のようにその場に倒れこむ。
892 :
Mr.名無しさん:2005/07/04(月) 13:39:48
昼間から下らんことやってるなぁw死ねばいいのに
893 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:40:20
お、おいっ!コイツうごかねーぞ?こいつ・・・頭から血が出てんぞ!!やべーぞ・・・コイツマジで・・・」
「ま、待てって!何一人で逃げてんだよオイッ!待てよ!おいてくなよ!!」
連中は彼の打ち所が悪かったことに怯えてその場から全力で走り去っていった。
倒れこんだままの彼のもとに近づく。必死に呼びかけても返事は無い。
「・・・害くん?ねぇ害君!?ねぇ何とか言ってよ!!おねがいだから!!」
私は彼の上半身を抱きかかえると必死に呼びかけた。もしかしたら・・・そんなことが頭によぎる
「・・・三島さん?大丈夫?」
「大丈夫なのは害君のほうでしょ!? あっ!動かないでまだじっとしてて・・・」
彼は目をあけると自分よりも私のことを心配してくれた。
「害君・・・平気?額が随分地面にぶつかったみたいだけど・・・」
「うん・・・もう大して痛くないよ・・・最後の倒れたのアレ演技だから・・・」
そう言うと軽く笑うとむくりと起き上がる。
「ば、ばか!!ホントに死んじゃったと思ったんだからね!そういうことは前もって言ってよバカ!!」
「それじゃ意味無いよ・・・」
私の気持ちも知らないでよく言う。でも演技なら一安心だった。
「・・・それじゃ帰るから・・・三島さんももう遅いから早く帰ったほうが・・・」
言い終わらない間に彼はヒザから崩れ落ちてしまった。
「ちょ、ちょっと毒下君!?」
「・・・んと・・・ちょっとやられすぎた・・・ちょっと休んでいくから先に帰っていいよ」
「な、何バカなこといってんの!いいからちょっとこっち来なさいよ!」
私は自分でもどうして彼にここまでできるのか不思議だったが噴水で自分のハンカチをぬらすと
彼の腕を引っ張りそのままベンチに横にさせると膝枕を彼にしていた。
「み、三島さん!?いいって!別にたいしたこと無いから!一人で休んでれば治るから!」
さっきまでの落ち着きぶりはどこへやら膝枕したとたんこんなに慌てるなんてなんか可愛い。
「そ、そんなに嫌がんなくたっていいでしょ!ほらじっとしなさいよ!血が拭けないじゃない!」
それでもまだ彼はよっぽど恥ずかしいのだろうか、なかなか大人しくならない。
894 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:41:19
「いいよ!自分で拭くから!ホントに大丈夫だから! ・・・あ」
彼は額を拭こうとする私の手を振り払おうとしたのだがその手が誤って私の胸に・・・
「・・・だからじっとしてなさいって言ってるでしょ!!このドサクサ変態!!」
ワザとじゃないとわかっていたものの普段のくせからか彼の頭に鉄拳を下してしまった。
「・・・ごめん。でもアンタがじっとしてないのがわるいんだからね・・・」
「・・・こっちこそゴメン。・・・で、でもわざとじゃないから」
「あ、当たり前でしょ!?ワザとだったら本当に許さないわよ!」
しばらくの間二人とも無言だった。どれくらい経っただろうかしばらくしてから声をかけてみた
「今日は・・・アリガト。二回も助けてもらちゃった・・・」
「いいよ・・・別に・・・み、三島さんは悪くないんだし・・・」
「それより・・・ごめんね私のせいで部長とケンカさせちゃって・・・」
「だからいいって・・・三島さんは悪くないんだから・・・」
彼はそう言うと視線を外に外してしまった。そっけない言葉だったけどなんだかすごくうれしい言葉だった。
「そ、それはそうとなんでアンタこんなところに私がいるなんてわかったわね?」
「・・・? 僕はいつもこの公園に寄り道して帰ることが多いから。三島さんがいたときはびっくりした」
ちょっとだけ自意識過剰な自分に恥ずかしくなった。それでも彼がいてくれてよかったと思う。
ゆっくりと彼の額の切れ目から出る血をふき取る。よく見ると彼の目や口りもだいぶ切れていた。
「動かないの・・・ここからもたくさん出てるんだから・・・ちゃんと・・・ほら動かない」
「いいよ・・・くすぐったいし・・・そこはいいって・・・」
なんだかこのやり取りがたのしい。相手が彼だからかもしれない。メガネをとると昔のままの害君だ。
結局私たちは2時間近く冷静に見ればはずかしいやり取りを続けてしまった。
895 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:42:22
「はぁ〜どうしよう・・・なんで昨日あんなことしたんだろう・・・あ〜はずかしい!!」
朝起きて身支度を整えたはいいけれどなかなか学校に行く気分になれない。
昨日・・・色々あったとはいえ彼に膝枕なんかした後でどんな顔して会えばいいのかわからなかった。
結局その日は自主休校ということにした。
あの時のことを思い出すと所構わず鼓動が高まってしかたないのだ。
ためしに友人に休むことを伝えてそれとなく彼のことを聞こうと携帯電話をかけてみた。
「舞!?どうしたの風邪?そっか風邪じゃしょうがないよね。いいよ担任には私から言っとくから」
「・・・えっ毒下?・・・うん一応いるけど?どうかした?あいつなんか顔中ボコボコだよ?」
「あのあと先輩に締められたとか・・・?まぁさすがにそれはないだろうけど・・・」
「まぁともかく舞は心配しないで休みなよ。ノートとかは後で貸してあげるから」
それからなんだかんだ落ち着かずにしている間に日はだいぶ傾きかけていた。
「よしっ!ここでじっとしてても始まらないからまずは夕飯の買出しにでも行こう」
玄関にから外に出るともう本当に夕方になっていた。
買い物を終えると何故か昨日の公園に来てしまった。するとそこには一人寂しく座り込む彼の姿があった。
ゆっくりと気づかれないように後ろから近づくとなにやら一人でぶつぶつ言っていた。
896 :
Mr.名無しさん:2005/07/04(月) 13:42:56
技巧以前に基本ができてない文章でも賞賛される
だから居心地がいいんだろうな
897 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:43:36
「ハァ・・・何やってんだろ?これじゃホントに・・・でもモデルがな・・・」
「モデルがどうしたのよ?」
話し掛けると彼は短い悲鳴と共に体をビクつかせ後ろを振り返った。
「失礼ね・・・なによその悲鳴?」
そう言うと私は彼の隣に座った。
「み、三島さん・・・ど、どうしたの?こんなとこで?」
「別に・・・何となくよ・・・それよりアンタこんなとこでなにしてるのよ?」
「べつに・・・」
「別にってなによ?アンタ今コンクールの準備で忙しいんじゃないの?」
「三島さんには・・・関係ないよ・・・」
「な、なによ人がせっかく心配してあげてるのに!どうせアンタのことだからモデルの子がいないんでしょ!」
「・・・し、しかたないだろ・・・こっちだって必死に探してるけど」
不意に彼の顔が暗くなる。どうやらそのことでだいぶ困ってるみたいだった。
「・・・ゴメン・・・言いすぎた」
「いいよ・・・ホントのことだし・・・」
「・・・それでアンタどうにかなりそうなの?」
「・・・わかんないよ・・・でもこの分だと」
彼の顔が一層暗くなる。昨日のことが会ったからだろうかなぜか急に彼のために何かしたいと思った。
「・・・ねぇ・・・私がモデルになってあげるって言ったらどうする・・・?」
「・・・冗談でしょ・・・今はそんな気分じゃ」
せっかく人が手伝ってあげようというのに、煮え切らない態度の彼についカッとなってしまった。
「いいから答えて!!私がモデルやってあげてもいいって言ったらアンタはどうするの!?」
898 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:44:58
「そ、そりゃ・・・うれしいけど・・・」
「けどってなによ!?いい?アンタは私に貸しがあるの!だから貸しを返させてあげるって言ってるの!!」
「それって・・・どういう・・・もしかして三島さん僕のモデルやってくれるの!?」
「ち、ちが・・・そ、そうよ!でもこれは昨日の貸しを返せてあげるだけだからね!」
「ま、まぁアンタは絵だけは昔から上手いからね変に描かれる心配も無いだろうし・・・」
「あ・・・ありがとう・・・ありがとう・・・三島さん・・・」
「・・・いいわよ別に・・・アンタにならそ、その・・・私の絵を描いてもらいたいし・・・」
「ふぇ?なに?なんか言った?三島さん?」
「・・・ホントばかなんだから。そんなことで泣いてるんじゃないわよ・・・全く」
翌日から私は彼のモデルとして描かれることになった。
当然というかどうでもいいことだが友人からは
「舞ちょっとマジ!?メガネのモデルになるなんて本気?ぜってぇエロイポーズとか要求してくるよ!」
などといわれたり。美術室に入るとちょっとしたざわめきが起こったり。
「おい・・・あれって三島先輩だろ?なんで毒下なんかと一緒にいるんだ?」
「三島さんって部長の誘い断ったって聞いたんだけど?それなのになんで毒下君のモデルになってるわけ?」
「毒下のやつ・・・やるなぁ三島さんと組めるなんて・・・うらやましい・・・」
騒然とする室内で私たちはなかなか作業に取り掛かることができなかった。
「静かにしないか。コンクールまでそんなに時間はないんだぞ!!」
中央の位置で作業をしていた部長が立ち上がりざわつく皆を一喝した。
「久しぶりだな毒下今まで何をしていたんだ!?それはそうと三島さんお久しぶりだね・・・」
相変わらずこの部長は懲りていないのだろうか。油断するとすぐに体に触れてくる。
私はセクハラまがいの部長のつま先を踏みつけると奥の空いているところに彼を誘った。
「・・・ったくあの部長まだ懲りてないのかしら」
「・・・ははっ・・・そうかもね」
899 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:45:57
それにしても美術部がこんなに本格的にやるとは思ってもみなかった。
化粧をした子や、ドレス見たいのを着た子、はたまた布を素肌に直接巻きつけた子までいる。
男子のモデルなんてビキニパンツ一枚の人までいる。
自分がどんな格好にされるのか少しだけ不安になった。
「ねぇ・・・私もその・・・あーいう格好するわけ?」
「えっ!?うーん・・・うん。いいよ。そのままで。そのままの方が三島さんらしいし」
「遠慮しなくてもいいわよ・・・でも。ま、アンタがそれでいいっていうならいいけど」
やっぱり彼に描かれることは正解みたいだった。ありのままの私を書こうとするなんてなんだかうれしい。
時間があまり無いと思っていたが作業のほうは順調以上にはかどっていった。
気がつけばコンクール5日前に絵は完成した。
「へぇ〜アンタやっぱ絵だけは上手いわね・・・それともモデルが良いせいかしらね?」
「うん・・・三島さんがモデルになってくれたから上手く言ったんだと思う」
「な、なに恥ずかしいこと言ってるのよ!アンタ少しは冗談ってモノを理解しなさいよ!」
「そうかな・・・?三島さん魅力があったからここまで納得のいく絵が描けた気がするんだけど・・・」
「なっ!・・・もう・・・絵のこととなるとアンタは・・・ホント・・・変わらないわね・・・」
絵を描いてるときも思ったのだけれど彼は絵のこととなると真剣になりすぎる。
作業中も恥ずかしいくらいずっとこっちを見ていた。まぁ仕方ないんだろうけど。
絵は描かれた本人でも驚くほどよく描けていた。変に描かかれたら・・・なんて心配も杞憂におわった。
900 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:46:46
「・・・うん。よく描けてるな毒下」
彼と二人で絵を見ていると不意に部長が声をかけてきた。
「部長・・・」
「同然でしょ!私がモデルなんだから!」
「ふっ・・・それはそうだろ・・・モデルが三島さんだからね・・・誰でもこれくらいは描けて当然だろ?」
この男わざわざ嫌味を言いにくるなんて本当にいやな男だ。
「ちょっと待ちなさいよ!確かにモデルがよかったこともあるだろうけどこれは毒下だから描けたのよ!」
「三島さんは絵のことがよく分かってないらしい・・・まぁ・・・当然か・・・」
「なによ・・・なにがわかってないっていうのよ・・・」
「三島さん・・・所詮人物画はモデルが絵のよさを左右するんですよ・・・毒下はその手伝い程度・・・」
「もっと言ってしまえば三島さんがモデルなら毒下じゃなくてもそこそこ絵が描ける奴で充分なんですよ!」
「な、何言ってるのよ!毒下に私がとられたことが悔しいからってそんな・・・」
「もういい!!もういいんだ・・・三島さんもういいんだ・・・」
「毒下・・・アンタねぇ・・・」
「フン・・・どうやら自覚してるらしいな・・・まぁそういうことだ・・・」
私はなぜ彼が何も言い返さないかはわからなかった。
でも彼の叫び声にはなにかどうしてもそうして欲しくないという気だけは何となく感じた。
「ちょっとアンタ!!あんなこと言われて悔しくないわけ!?」
「・・・いいんだよ・・・部長の言うことも一理あるしね」
「だ、だからってアンタね・・・もうっなんで私がこんなに怒ってるのにアンタは・・・」
「でもね三島さん・・・俺ホントいうと三島さんが描けただけでうれしいんだ・・・」
「だって・・・僕は今までの中で本当に納得いく絵が描けたんだから・・・」
「全くアンタって・・・ホント絵に対しては素直すぎるんだから・・・」
「まぁいいわ。アンタがそこまでいうならモデルやった私も満足だし」
「ありがとう三島さん・・・」
901 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:47:27
翌日彼はどん底に落とされた。
放課後提出のために最後のチェックをしようと思って部室に行くと人だかりができていた。
人を掻き分けその中心に行くと・・・彼の絵が大きくナイフのような物で無数に切り裂かれていた・・・
「ちょ、ちょっと何よこれ!!毒下!!アンタこれどういうこと!?」
「・・・わからないよ・・・僕にも何がなんだか・・・誰がこんな」
そんな中に部長が現れた。絵を見下ろすと驚くようも無くただ私と彼にだけ言うように
「あ〜あ・・・これはもうだめだな。修復すらできそうにないなぁ・・・せっかくいい絵だったのに」
「ちょっとアンタ・・・」
当然こんなばればれの手口に黙ってるほど私は甘くない。食いかかろうとすると彼が必死に止めに入ってきた。
廊下へと私を追いやった彼に向かって怒りの矛先を向けた。
「ちょっとアンタ!あれやったの絶対あの部長だよ!?何で黙ってたのよ!」
「・・・証拠がないよ・・・それに・・・もうあの絵は戻ってこない」
「・・・」「・・・」
二人とももうお互いに何も言うことがなかった。お互いにわかっていた。
もう何を誰に言ってもあの絵が戻ってこないことを。
「ごめんね三島さん・・・せっかくモデルまでしてもらったのに・・・ホントごめんね・・・」
「・・・」
「三島さん?」
私は彼のほうが落ち込んでいるのに何一つできない自分が悔しくてたまらなかった。
「ごめん・・・僕ちょっとこれから職員室に美術の顧問の先生のところに行くから・・・じゃあね・・・」
しばらく私はその場にいたが何となく納得いかずに美術室に向かった。
絵は彼が片付けて処分してしまったためもうどこにもなかった。
皆の完成した絵がある中昨日まで確かにそこにあったはずの絵がない。
あんなに真剣に彼が描いた絵はもうどこにもない。それでも彼は満足だと言った。それなのに・・・
「あっ・・・三島先輩・・・」
振り向くと美術部の下級生と思われる女の子が礼儀よく頭を下げていた。
902 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:48:36
「それにしても酷いです・・・毒下先輩の絵をあんな風にするなんて・・・」
その子はいかにも気が弱そうな子に見えるのになんだかすごく真剣に怒っているように見えた。
「・・・それに・・・これじゃ毒下先輩もうこの部にいられなくなっちゃいます」
「えっ?それってどういう・・・」
私はその子がやけに彼に思い入れしているのがなんとなくムッとしたけれど、それよりその理由を聞いた。
「うちの部はこのコンクールには全員出場が義務付けられているんです・・・それを不参加だと・・・」
「特に毒下先輩みたいな特待生のすごい人はそれをやらないと・・・無条件で退部なんです・・・」
「退部になったら毒下先輩は特待生じゃなくなるから・・・そしたら先輩の今までの苦労は・・・」
知らなかった・・・彼が退部寸前の立場にいるなんて・・・
もしこのコンクールがダメだったらもう二度と学校で絵が描けなくなるなんて・・・
だから彼は何を言われても何をされても怒らなかったんだ。
美術部で問題を起こしたら即退部になってしまうことがわかっていたから・・・
私はその子にお礼を言うと職員室から出てくる彼を待って出てくるとその手を引っ張り無理に絵を描く
用意をさせた。途中何度も色々聞かれたけれど彼にそれだけ準備させるとそのまま学校から連れ出した。
・・・それにしてもあの下級生『香山さん』だっけ・・・なんかやけに彼のこと心配してたわね
・・・もしかしてあの子・・・まさかね・・・ううん。今はやるべきことに集中しないと・・・
彼の腕を引っ張って歩くこと二十分。ようやく自宅についた。
「ここって・・・三島さんの家じゃないか・・・」
「そうよ。ほら!なにボーっとしてんの!さっさと家に入りなさいよ」
不思議がる彼の背中を押すと私は彼を無理矢理居間に座らせた。
「ね、ねぇ三島さん?こんなとこ連れてきてどうするの?」
「ちょっと黙ってて!いいからアンタはそこで待てって!いい?呼ぶまでそこにいるのよ!」
903 :
Mr.名無しさん:2005/07/04(月) 13:48:39
こんな無駄に長い文字の羅列を読む人間がいると
信じているその傲慢さが許せない!
904 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:50:25
彼は未だに事情を飲み込めていないようで座ったまま私で疑問のまなざしを送っている。
私は説明もそこそこにママの部屋に入った。
悪いとは思ったけれど勝手にクローゼットを開けると例の物を探した。
クローゼットをかき回すこと三十分。ようやく探していた物が見つかった。
自分の部屋にそれを抱えて入ると制服を乱暴に脱ぎ捨てそれに袖を通す。
「・・・ママのほうがスタイルよかったんだ」
などと少し胸に余裕があって腰が少しだけ!キツイのが気になったりしたが今はそれどころではない。
普段はそれほど化粧はしないのだがどうもこの格好には化粧が無いのは不自然すぎた。
化粧をすると共に髪を結い上げる。かれこれ一時間かけて何とか様になった。
それにしても・・・勢いでここまでやってしまったけれどいざ彼の前に出るのはさすがにはずかしい。
それでも・・・もうここまできたら・・・私はゆっくりと部屋を出ると階段を降りた。
「み、三島さん・・・」
彼はそれだけ言うと私をじっと見たまま動かなくなってしまった。
・・・そうあからさまに驚かれるとなんだか余計にはずかしい。
「い、いいから早く作業の準備しなさいよ・・・それともこの格好じゃ不服?」
「そ、そんなこと・・・き、綺麗だよ・・・」
ここに来てまた人が恥ずかしくなるようなことを言う。
それから私は両手を前で組んだままのポーズで彼はそれを一生懸命描き続けた。
三時間ほどするともう夜の九時になっていた。私たちは休憩と夕食をかねて二人で宅配ピザを食べた。
「あ、あの三島さん・・・?それってウェディングドレスだよね・・・」
相変わらずモジモジしながら人を盗み見るように尋ねてくる。
絵を描いているときのように堂々と見ることできないそんな彼の態度が少し胸を締め付ける。
905 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:51:42
「それって・・・もしかして三島さんのお母さんのドレス?」
不意にもう一枚食べようと思っていたピザへ伸ばした手が止まる。
急にカロリーのことが気になってくると食欲もなくなった。
「・・・やっぱり・・・変・・・かな」
「そ、そんなこと無いよ!な、なんていうか り、理想のお嫁さんって感じだよ!!」
「だ、だれがお嫁さんなのよ!まだお嫁さんになったわけじゃないわよ!!」
「え? い、いやそうじゃなくて・・・でも本当に綺麗だと思うよ・・・」
いきなり真剣な目になるのはずるいと思った。でもそんな彼だからこそこの姿になれたんだとも思った。
「そろそろ帰るよ・・・もう夜遅いし・・・片付けしたら帰るよ。今日はありがとう」
私は彼の今の現状の全てを知ってしまっている・・・だから私は思い切って彼に告げることにした。
「あのさ毒下・・・」
「なに?三島さん?」
黙々と後片付けをしながら彼は後ろを向いたまま聞き返してきた。
「何も・・・その・・・片付けることないんじゃないの?明日もやるんだし・・・」
「でもそんなことしたら三島さんの両親に迷惑がかかるよ」
「そ、それなら平気!両親いま二人とも出張中だから」
「そうなんだ。でも家でも少し進めたいし」
ダメ・・・なかなか切り出せない。でも・・・ここで言わないと・・・これは彼のためなんだから!
「ど、毒下君!!今日家に泊まりなさい!!」
「えっ!? み、三島さんなにを・・・」
「だ、だからアンタさコンクールまで時間無いでしょ?だから泊まっていきなさいよ!」
「で、でもさすがにそれは・・・まずいよ・・・」
自分で言っていても恥ずかしくてしかたがない。変な意味に取られそうで怖かった。
「や、やっぱりまずいよ・・・泊まるって・・・大丈夫家でもやるから」
恥ずかしさが頂点に達した。すると頭が真っ白になって口が暴走し始めた。
906 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:52:34
「い、いいから泊まっていけばいいのよ!何変なこと想像してんよ変態!」
「それにアンタ今回のコンクールで失敗したら美術部退部になるかも知れないんでしょ!?」
「それでいいわけ!?そしたら二度と学校で絵が描けないんだよ!?」
「あのセクハラ部長にも一生頭が上がらなくてもいいの!?」
「それに人に一番大切な人への格好させておいて間に合わなかったじゃ私絶対許さないんだから!!」
言い終わってから激しい嫌悪感に見舞われた。彼だって美術部の退部のこと知られたくないのに・・・
「知ってたんだ・・・」
「ご、ごめん・・・つい・・・香山さんって子から聞いちゃって・・・」
「香山さんが・・・いいよ・・・このペースだといずれ言わなくちゃいけないと思ってたから」
私は浅はかだった・・・彼は絵をもう何年も描いているんだ・・・
こんな放課後と深夜に少しやったぐらいじゃ終わらないことぐらい初めから知ってて・・
でも私がこんな格好までしたから・・・
「でも・・・ありがとう三島さん・・・昔みたいに一緒に絵がかけてうれしかった」
彼は目の前に絶望が待ているのに精一杯の笑顔を向けてくれた。
私は胸がこみ上げてきてそんな彼が本当に・・・本当に・・・好きでたまらなかった・・・
「・・・まだコンクールまで四日もあるじゃない!勝手に諦めないでよ!」
「時間が放課後だけじゃ足りないなら二人で学校サボって一日中絵を描けばいいじゃない!!」
「私は・・・私は・・・害君の絵が好きなの!!だから・・だから・・・あきらめないでよ・・・」
言葉の最後は声にならなかった。ただ彼に諦めて欲しくなかった。
「わかったよ・・・そこまで三島さんが言うなら頑張るよ!だから・・・頑張ろう二人で・・・」
それから私たちは朝から晩まで絵に全ての時間を費やした。
907 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:53:32
「お風呂は十分以内に出ること!いいわね!」
「ちょっと!!私は十分以上お風呂に入ってもいいの!!今度入浴中にきたらただじゃおかないわよ!!」
「もういい加減ニンジンぐらいちゃんと食べなさいよ・・・昔とちっとも変わらないんだから」
「いい!?私の手料理なんて全校の男子の憧れなんだからちゃんと味わいなさいよ」
「それと寝てる間に変なことしたらフライパンで頭叩き割るからね!!」
あっという間にコンクール前夜はやって来た。彼と生活する最後の夜。
絵は幸いにも何とか形になった。彼は前より良いできだと喜んでいた。
私もその絵は前の絵よりもなにかわからないけど良いと思った。
時間は少なかったけれどその分二人の想いがしっかり詰まっているそんな気がした。
コンクール提出日の前夜私はここのところずっとモデルとして動かず立ちっぱなしだったのに
なかなか寝付くことができずにいた。
ふと喉に渇きを覚えたので私は彼の眠るリビングを抜けてキッチンに行こうとした。
するとソファーから布団を蹴飛ばして寝ている彼の姿を見つけた。
「もう・・・しかたないな・・・」
そういいながら彼に布団をかけてあげる。彼は布団をかけてあげるとうれしそうにこっちに寝返りをうった。
少しだけ彼の寝顔にドキドキした。平凡な顔なのに見ていても飽きることはなかった。
自然に指が彼の髪の毛を撫でていた。まるで母親が子供を寝かしつけるように・・・
「(な、なにしてんの私・・・これじゃ寝てる害君にイタズラしてるみたいじゃない!)」
それでもその行為がどこか心地よくて私は眠って聞こえるはずのない彼に小声でポツリポツリと語りかけた。
908 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:54:09
「ねぇ・・・害君・・・昔もよくこうやって家でお昼ねしたよね・・・」
「害君ってすごいよ・・・昔からずっと絵描いて今も描き続けるなんて・・・」
「そういえば害君覚えてる?害君昔私ととっても大事な約束したんだよ?」
「いじめっ子から助けてくれた時私のこと害君・・・お嫁さんにしてくれるって言ったんだよ・・・」
「それで大人になったら絶対お嫁さんにしてくれるって約束したんだよ・・・」
「ねぇ害君・・・私まだ子供かな・・・害君? ねぇ・・・私まだ子供なの・・・?」
「害君はもうそんな昔のこと忘れちゃったのかな・・・舞は今でも覚えてるよ・・・」
「害君が舞をお嫁さんにしたいって言うなら・・・舞はいつでも害君のお嫁さんに・・・」
「害君・・・約束・・・」
朝目がさめると私は害君の眠っていたソファーの上に眠っていた。
どうやら彼の寝顔をみながら私も眠ってしまったらしい。
そう考えると顔が熱くなった。私の寝顔も彼に見られたことになるのだから・・・
彼の絵はコンクールを無事乗り切った。それどころか審査員特別賞を受賞した。
そこまではよかったのだが・・・彼の絵は明らかに私でしかも・・・ウェディングドレス姿・・・
さらに彼の絵が破かれたことはかなりの生徒が知っていてうちのクラスの子も当然知っていた。
加えてその後二人そろっての欠席。よっぽど鈍くない限り私たちの仲を疑わない人はいなかった。
案の定クラス内では私のいないところで彼と私のあること無いことが囁かれていた。
せっかく彼と絵を通じて仲がよくなったのにこれではお互いに口も利くことができずにいた。
冷やかされることよりも彼との間が日に日に広がっていくことの方が私には怖かった。
909 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:54:45
「舞ウソだよね?毒下と付き合ってるなんてウソだよね!?」
今日も教室で相変わらず友人はその話題を振ってくる。
「・・・だから言ってるでしょ毒下君とは幼馴染でそれでたまたま絵に協力しただけだって」
「ホントにホント?じゃあやっぱり毒下のことなんか何にも想ってないんだよね!?」
「あ、当たり前でしょ!だ、だれがあんな絵ヲタクのことなんか!」
「そうだよねー!舞ああいうキモイの嫌いだもんねー!」
「そ、そうよ誰があんなキモイやつと好き好んで絵なんかの協力なんてするわけないでしょう」
「よかった〜 そうだ・・・・・・・・」
その言葉を言った瞬間血の気が全身から引いていった・・・
彼がいないことを確認して話していたはずなのに彼は廊下で担任の先生に呼び止められてまだそこにいた。
彼の方に目をむけるが彼は目を合わせるとすぐに下を向いて何処かに行ってしまった。
その後彼とは口はおろか目すらも合わなくなった。
何度か廊下で声をかけようとしても彼は私など見えないようにただ通り過ぎるだけだった。
そんな状態が一ヶ月ぐらい経ったある日私は彼と日直の仕事をすることになった。
相変わらず彼は私と目もあわせることも無く事務的な会話以外は話そうとしてこない。
・・・当然のことかもしれない。あんなに信頼してくれた彼の前であんなこと言ったのだから。
彼と日直を通してなんとか以前のような関係に戻れたらなんて思っていた自分が馬鹿みたいに思えた。
何も変わらないまま放課後を迎えた。
私は彼の描き終わった日誌を眺めながら机に座りほおずえをしてぼんやりとしていた。
「あっ舞!いたいた!ねえちょっと聞いてよ舞!すっごいもの見ちゃった!」
友人が教室になだれ込んでくると早くちに何かをまくし立てる。今はそんな気分じゃないのに・・・
「舞聞いてる!?さっき美術部の前通ったんだけどさ・・・そしたら・・・そしたらさ!」
私はまた美術部のことだからあの部長がなにかやらかしたのだろうと適当にあいづちをうった。
910 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:56:31
「なんと!あのメガネ毒下が下級生の子に告白されてんの!マジでびびったよ・・・」
「つーかアレは相当見つめあってたからマジだね。毒下も大人しいくせに影では随分やるもんだわ」
私は自分の耳を疑った。それと同時になんでという疑問が何度も頭の中を駆け巡った。
「その相手ってのが確か『香山』とかいったけ?なんかいかにも大人しいって感じの子なんだけどさぁ」
涙が今にもあふれそうになった。こんなにも彼のことが大事だった事に今更気づかされた。
「舞・・・?どうしたの?・・・ちょっと舞!?どこ行くのよ!?」
私は何がなんだかわからないまま走り出していた。
いっそこのまま学校から出て行ったほうが楽になるかもしれないのに自分の意思とは関係なく
足は勝手にどんどん美術室に向かっていた。
今あそこに行ってどうなるというのだろう?ただ惨めな思いをするだけなのに
それでも彼に会いたかった。謝りたかった。言って欲しかった・・・本当の気持ちを。
そんな混乱したままの状態で美術室にたどり着いた。もう彼はいないかもしれない。
今ごろは香山さんと仲良く・・・楽しそうに・・・恋人として・・・
どれも私がしたくてもできなかったことだ。私はただもうどうでもいい気持ちで美術部のドアを開けた。
部室には彼が残っていた。彼は一人で何かを黙々とスケッチブックに描き込んでいる。
他には誰もいなかった。・・・香山さんの姿もそこにはいなかった。ゆっくりと部室のドアを閉める。
彼は一度だけ振り向き私のことを見るとまたスケッチブックに目を戻し黙々と作業を続けた。
「(どうして・・・どうして何も言ってくれないのよ・・・私のことそんなに嫌いなの・・・)」
じっと彼の座る背中を睨む。挨拶も何も言ってくれない彼の態度が私にとっては酷く残酷だった。
「(ならいいわよ・・・そんなに・・・そんなに嫌いなら・・・もう・・・)」
私は多分自分でも嫌だと思うぐらいに卑屈な笑みを一瞬浮かべると何も言わない彼の後ろに近づいた。
「アンタ・・・香山さん告白されたんだってね・・・よかったわね・・・」
その瞬間彼は振り返り驚いたように私の顔を見た。
911 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:57:24
「あの子随分とアンタのこと心配してたもんねぇ?なにずっとお互い気になってたわけ?」
「・・・アンタって最低だよね。本当は彼女のことモデルにしたかったんでしょ?」
「モデル引き受けた時ワザと泣いたりしてさ・・・なに?そんなことで私が喜ぶとでも思ったわけ!?」
「私はあの子の代わりってわけ?アンタ何様のつもりなのよ!ふざけるんじゃないわよ!!」
心にも無い言葉が自分の言葉がじわりじわりと私の胸に刺となって突き刺さる。
「ち、ちがう・・・なに言って・・・」
彼はまだ驚いた表情を崩さずに必死に弁明しようとする。
「なに!?まだ偽善ぶるつもり?それとも同情?私がアンタに同情されるなんて私も落ちたもんよね!」
「いいじゃない好きなんでしょあの子ことが!?別にいいわよ誰がアンタと付き合おうと関係ないし!」
「よかったじゃない・・・これでアンタはあの子とずっと仲良くお絵かきできるんだから!!」
「私もホントバカだよね・・・こんな奴にいいように利用されて・・・最低・・・もう最悪!!」
もう何も喋りたくなかった。これで彼は完全に私のことを嫌う。いいんだこれで・・・
「い、いい加減にしろよ!!」
彼は荒々しく立ち上がると私に詰め寄ってきた。こんなに怒る彼をみたのは初めてだった。
「さっきから何言ってんだよ!?三島さん・・・なんで急にそんなこと・・・俺は別に・・・」
「別に・・・なによ・・・言いたい事があるならハッキリ言えば!?私が嫌いなら嫌いだって言えば!?」
私は詰め寄ってきた彼の制服のブレザーの襟を握ると彼を押し返すようにまた喰いかかった。
「・・・言えるわけないだろ。いえるわけ・・・舞のこと嫌いだなんて言えるかよっ!!」
「嘘つき!!もういい加減本当のこと言ってよ!そうじゃないと私・・・もう耐えられないよ」
私は自分の立場もわきまえず彼の胸にしがみついた。
彼が私のことを昔のように呼んでくれたことで胸がいっぱいになった。
しばらく私は彼の胸でとまらない涙を流し続けた。もう離れたくない気持ち一心で。
912 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:57:57
「舞・・・もう遅いのかもしれないけど・・・俺は舞が好きだ・・・」
「え・・・? で、でも・・・害君はもう香山さんと・・・付き合う事にしたんじゃ・・・」
「断ったよ・・・だって・・・俺は・・・舞のことお嫁さんにするって約束したからね」
「な、なんで?なんでそのこと・・・ま、まさかあの時・・・き、聞いてたの?」
「・・・途中からね・・・それで思い出した・・・大人になったら舞のこと・・・その・・・お嫁さんに」
「でも・・・私あの後害君の前で酷い事・・・それでもいいの・・・?
言い終わると彼の腕が優しく私を包み込んだ。
「舞は・・・舞の性格は知ってるから・・・そういう所も含めてもやっぱり好きだから・・・」
「・・・だったら何で・・・あの後私のこと避けてたのよ・・・」
彼の手が私の髪を優しく撫でる。
「・・・ごまかさないでよ・・・こんな事じゃごまかされないんだから」
「あのあと・・・そのずっと舞のことがずっと気になって・・・その・・・告白したくて・・・」
私の中に温かい何かが満たされていくようだった。心地よい温もりが二人を包んだ。
「そ、それで・・・舞は・・・その・・・」
私は彼から体を離すと急に後ろを向いた。
「ま、舞・・・?」
「そうね・・・そこまで言うなら・・・仕方ないから付き合ってあげる・・・その前に目をつぶって」
彼は一瞬きょとんとした顔をしたがすぐに真っ赤になり大人しく目を閉じた・・・
913 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:58:30
私は彼の告白から正式に彼と付き合うことにした。
最初はクラスでも皆信じられないと言う顔で見られたものだった。
「ま、舞!?め、メガネ毒下なんかと付き合ってるってなんてウソだよね!?」
「・・・ううん・・・害君・・・じゃなくて毒下君とは・・・その・・・そう!付き合ってあげてるのよ!」
「マ、マジで!?だってあのメガネで絵ヲタクの毒下だよ!?舞が付き合ってあげる必要ないって〜」
「しょ、しょうがないでしょ!もう付き合ってあげるって言っちゃったんだから。フフッ・・・」
「・・・ダメだ舞アンタちょっとお昼付き合いなさい!説教してあげるから!」
「ご、ごめんお昼はちょっと先約があるから・・・それじゃちょっと用あるから行くね♪」
「ま、また毒下とお昼食べるわけ!?ま〜い・・・目を覚ましてよ〜」
鞄から二つ分のお弁当を取り出すと今日も相変わらず机で突っ伏している彼の前に行く。
「・・・っと毒下君。お昼作ってきてあげたから食べたかったら起きなさいよ」
「・・・全部聞こえたよ・・・相変わらず酷い扱いだね」
そう言うと少し悲しそうな顔をして彼はゆっくりと起き上がる。
「い、いいでしょ別に!付き合うも、付き合ってあげるも一緒でしょ!いいから早く立ちなさいよ!」
「・・・多分違うと思うよ・・・いや絶対違う」
「なんか言った!?そ、それはそうと今日は天気がいいから屋上にでも行くわよ!」
「最近ずっと同じこと言ってる気がするけど・・・痛・・・」
まだぶつくさい言う彼のおでこを軽く指で弾くとシートとお弁当を持たせて人が滅多にこない屋上へむかった。
屋上の扉を開けると期待通り他に人は誰もいなかった。
914 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 13:59:04
「んん〜いい天気!!やっぱ晴れた日は気持ちがいいよね害君!!」
シートを広げた上で思いっきり横になると足を軽く伸ばして座っている彼のひざの上に頭を乗っける。
「み、みしまさん・・・!?」
あたふたとする彼の足を軽くつねる。
「痛!!」
「もう・・・二人きりの時ぐらい舞って呼びなさいって何度言ったらわかるのよ・・・ホントにもう・・・」
「ごめん舞・・・でもこれだとご飯食べられないよ・・・」
「いーの♪いーの♪これなら付き合ってるように見えるでしょ?」
とたんに顔を真っ赤にしてどうしたらいいかわからない彼の姿に苦笑しながらゆっくりと彼の隣に座る。
「・・・あのさ舞?ま、またお箸一つしかないんだけど・・・今日もなの?」
「あれ?ごめんね〜また忘れちゃった・・・仕方ない。また一緒のお箸で食べるしかないみたね?」
わざとらしく肩をくっつけて彼の照れる顔を眺める。ホントうれしいくらい期待通りの顔をしてくれる。
「そ、そうだろうと思って自分のお箸持ってきたんだ・・・これでちゃんと・・・」
「えい!」
彼がポケットから出してきた割り箸を掴むと全力投球で屋上の柵の外目がけて投げた。
「あ、あ〜〜!!」
彼は柵の方に歩みよると呆然と落ちていく割り箸をみつめている。
「こ、こら舞!なんてことするんだ・・・よぅ・・・」
そんな彼の態度なんて無視して背中に抱きついてみせる。
「一つのお箸で食べたほうが美味しく食べれるでしょ・・・わかったら早く座りなさい・・・は・や・く」
「・・・はい」
そうしてまた一つの箸で代わる代わるにお互いに食事を食べさせていく。
他の人になんて絶対見せられないことだけど今は二人きりだから思いっきり素直になれる。
人前では相変わらず上手く気持ちと行動が素直になれないけどこうして二人でいられればいつかきっと・・・
「あ、あのさ・・・舞ってなんていうかこういうお箸一つで食べるフェチの人なの・・・?」
「・・・アンタねぇ・・・せっかくアンタのために・・・なのにアンタは私のをそういう目で見てたわけ!?」
無言で彼の顔の頬を思いっきりつねる。彼は悲鳴を上げて何度も謝る。
・・・まだまだ私たちは付き合わないと約束は当分果たせそうにないみたい。
915 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/04(月) 14:00:12
長すぎてスマン・・・ちょっと吊ってきます。
>>896 前に、どっかの書き込みで、
素人の文章は「・・・・」が多い。
と、聞いたことがある。
「・・・」の部分を文字で表現できれば
そこそこ上手いように見えるんじゃないか。
>>915 いや、いいぞ
いい感じだぞ
すばらしいぞ
エクセレントだぞ
>しまむら
ツンがやや弱いと感じたが
マーべらすだったよ。お疲れ
感動した!
イイじゃん。乙です。
ところでテニス部毒男の話の続きは?
>しまむら
オニャノコ視点で最初は戸惑ったけど読んでいくうちに引き込まれて逝ったよ。
素晴らしい作品をありがとう。
よかったら続きor新作書いてくれ
>>島村氏
良かったよ。いや実に。
「負けるかもなぁ」
「ちょっとそんな事いわないでよ」
「だって俺、自分の練習せずに有希の練習に付き合ってるもん」
意地悪と自分で思いながらも俺は続けた。
「キスさせてくれたら勝てるかもな」
パンチが飛んでくると思って俺は身構えていた。
しかし有希は黙っていた。
様子が変だ。白い肌がみるみる赤くなっていく。
会話が途切れた。俺は黙って歩くしかなかった。
俺らはその後も会話はなく、ただ歩き続けた。
段々家に近づいていく、それは同時に人気が無い場所に行くのとイコールだ。
電柱の明かりの下で不意に有希は立ち止まり、普段では考えられない程の小さな声で言った。
「…ス…て…みる?」
「えっ?」
「キスしてみる?って言ったの?恥ずかしいんだから何回も言わせないでよ」
「でも」
「私のせいで試合に負けたら嫌なの!」
俺は無言だった。
「何恥ずかしがってんの?男でしょ?勇気だしなさいよ」
そういって有希は目を閉じ、上を向いた
カワユス…
今8chでやってる『スローダンス』?ってドラマなかなかツンデレ〜ンな感じかも…
スレ違いお許しを。
…って熟女な上にツンデレでもねぇし…
マジゴメん。スルー汁orz
>>916-922 無駄にレス消費したのにありがとう
1レスにどれくらい書けるかわかんなくて長くなりすぎたのに
今度はもっと煮詰めてツンデレにします。マジありがとう
>>しまむら氏
イイ!!(・∀・)ガンガレ!!
毒下ってなんて読むの??
話はとてもよかった。
どくしたじゃないの?
>>島村氏
アナタの別作品が読みたいくらいに巧い。
てか話長くないと思うんだけど。釣りなのかな?
とにかく良かった。もう書かないのかえ?
>>933 釣りというより真性厨房です。
一応また懲りずに書いてます。
とりあえず6レスぐらいにおさまるようにしたいです。
長さなんて、書く人の好きでいいと思うがな
読みたくないやつは読まなけりゃいいだけだし
書き手が合わせる必要は無い
>>934 むおっリア厨か!?それであれだけの小説を書けるとは、なかなか将来有望ですな。
ヲタとして。
新作待ってるよ。長くなっても、何日かに分けて投下するようにしたらどう?
いいとこで中断させたら、その放置プレイにMな人がハァハァするかも。
>>936 いや・・・何にもわかってない意味の厨房です。
…の数は減らしたほうが無難であろう
もうすぐ次スレだし
誰かまとめサ(ry
>>島村氏
A子:全然…厨房なんかじゃないよ。
A子はつぶやいた。島村はその言葉をもう一度確かめたくて
島村:え…A子?
と曖昧な返事をした。
A子:島村は全然厨房なんかじゃないよ!!!!
今度は、ハッキリと分かるように、力強く答えた。
島村:A子…ありがとう。
そう答えた上で、普段と違うA子の態度に面食らいながらも自分の耳が熱くなるのを感じた。
A子:ちょ、アンタ何!?照れてるの?!馬鹿じゃないの?!
島村:う、うるさいな…でもA子だって顔真っ赤じゃんかよ。
A子:嘘でしょ?!なんでアンタに顔が赤くなるのよバぁカ
島村:ほら、また赤くなってる〜
笑いながら、紅潮した頬をツツいてみる。
A子:な、何すんのよ?!
島村:かわいいよ
A子:バ、バカな事言わないでよ
島村:また赤くなってるし
少し間を置いて、島村は続けた。
島村:なぁ…A子。
A子:何よ?
島村:好きだ。前からずっと。お前が好きだよ。
A子:またまた…何言ってんだかこのオバカちゃんは…
島村:俺は真剣なんだよ!!!!!
静かな教室に島村の声が響き渡りA子は少し驚いた表情で島村を見た。
飽きたから辞めるわ…
('A`)?
島村氏は厨房じゃないよ!!というのを小説風に伝えたかっただけです…技量が無くて冷めマスターベーションorz
懲りずに投下
「ほらそれはこっち!ああっそれはあっちだって言ってるでしょ!?アンタ何聞いてるのよ!?」
「う、うるせー。お前もそこで威張ってるヒマがあったらちっとは手伝え!」
「なによ?アンタ?これが見えないわけ?いいのよこれ皆にばらしても?」
そう言うと彼女。一之瀬ユカは小さな電話用のテープを荷物で両手が塞がっている俺のまえにちらつかせる。
俺はいま訳あって彼女の委員会の手伝いをしている。もとい手伝わされている。
環境委員会などといういわば用務員のような校庭の草むしりやらの用具の片付けなどの雑務係をやらされている。
そもそも俺がなんでこんなことをしているかというと。
「お姉ちゃんお疲れ様。あっ、罪藤(さいとう)さんもこんにちは」
いつみても可愛いぜ。さすがユキちゃんだぜ。といいたいところだがこんな無様姿は見られたくないぜ。
少し話がずれてしまったが俺はこの前このマイ・スイート・ハート一之瀬ユキちゃんに電話で告白した。
そう確かに俺は彼女に告白したはずだった。でも俺が告白した相手はなんと彼女の姉である一之瀬ユカだった。
性格は全く違うのにこの姉妹は双子ゆえ身長・容姿と声がとんでもなくそっくりなのだ。
違うところといったら姉のユカはセミロング。妹のユキちゃんは可愛らしいショートカットってことぐらいだけど。
それにしても俺は告白した後、姉のユカが電話越しで冷ややかなにつっこまれるまで全く気づかずにいたのだった。
今もその時の極度の緊張でそこまで頭が回らなかった自分自身があまりに情けなくてならない。
というわけで俺はこの時の告白をユカの奴に録音されていいなりになっている。
「はいこれお姉ちゃんに。それとこれは罪藤さんに。」
優しいユキちゃんは一息入れていた俺に飲み物を買ってきてくれた。なんか癒される。つい顔がニヤける。
「あ、ありがとうユキちゃん。やっぱユキちゃんだけは昔から優しいな」
無言で後ろから蹴りが飛んでくる。
「ユキ?だめよ?こんな馬鹿にジュースなんてもったいないから。こいつはそこらの水道水で充分なんだから」
「お、お姉ちゃん!だめだよ。せっかく罪藤さんが手伝ってくれてるだから親切にしなくちゃ」
スペース使ったほうがいいよ
というかなんでこの姉妹はこんなに差があるんだ?昔からそうだったな。見た目はそっくりのくせに。
姉のユカはどっちかというと男勝りで妹のプリンセスユキちゃんは大人しくていつも可愛かったな。
「それじゃお姉ちゃん私部活に戻るから。罪藤さん姉が無理言ってごめんなさいね」
少し申し訳なさそうな表情が俺の心をがっちり捉えた。やっぱり君は最高だ。俺はいつまでも彼女に手を振り続けた。
「コラ!エロ駄馬!いつまで休んでるのよ?さっさと片付けなさいよ」
「だれがエロ駄馬だ!お前も少しはユキちゃんを見習え!」
「アンタまだ自分の立場ってもんがわかってないみたいね?さてこれはどうしようかしら?」
「くっ。わ、わかった。わかったからそのテープ絶対誰にも聞かせるな…聞かせないでください」
それからも俺は事あるごとに姉のユカに手伝いをさせられ続けた。
ユカの使いっぱしりは徐々にエスカレートしていき、ついには学校のみならず外にも及ぶことにもなった。
「なんで俺の日曜日をお前のために割かなくちゃいかんのだ」
「どうせもてないアンタのためよ?こうして私が変わりに付き合ってあげてるのよ。ありがたいと思いなさいよ?」
「余計なお世話だしちっともうれしくない。はは〜ん?さては妹の方に先に彼氏ができるのがくやしいんだろ?」
「そ、そんなわけないでしょ!アンタは人も気持ちも知らないで…どうしてコイツときたらユキ、ユキって」
「あん?なんか言ったか?それよりどこ行くんだよ?」
「わかってるわよ!!もうっ!なんでアンタは。いいから早く行くわよ!!」
何を怒ってるかわからんがちょっといい気味だったりする。
あーそれにしてもこれがユキちゃんとだったらな。ユキちゃん今頃なにしてんのかな?
「ア、アンタさあ。そ、その映画観ようと思うんだけど。どう?」
「おごりならいいぜ。もちろんユカのな」
「いいわよわ。じゃ行くわよ。」
「お、おい何マジになってんだよ?いいよ自分の分ぐらい自分でだすよ。何ムキになってるんだよ」
どうもユカの様子がおかしい。映画館に入ってからというもの常に周りを見渡してはキョロキョロと何かを
探しているみたいだった。そもそも今日の呼び出しもどこか強引だった。
俺はかったるいからパスと何度も言ったのにユカの奴はなかなか折れずほとんど脅迫されて呼び出された。
まぁ脅迫まがいの行為は今に始まったことじゃないがそれにしてもやっぱり変だ。
映画が始まってもろくに見ようともしない。また時々客席を見渡している。一体ユカの奴どうしたのだろうか?
「な、なぁユカ?おまえさっきから何やってんだよ?」
「べ、別に私は何にも」
「別にじゃないだろ。全く。もう映画終わっちまうぞ。何でこんなとこ来たんだよ?」
ユカは何も答えなかった。ただ映画が終わると足早に映画館の入り口に向かっていった。
「ユカ。お前一体今日は何がしたいわけ?映画終わったんだし、さっさと帰ろうぜ?」
「あっ!!おね−ちゃん!!罪藤さーん!!」
おおっ!この声はラブリーユキちゃんの声!そうかユカの奴なんだかんだ言っても俺とユキちゃんのこと・・・
「ねえっ!!ちょっと待ってよ!ねえ罪藤!!」
俺は振り返ることなくどんどん先に歩いていく。ユカの声なんて聞きたくもなかった
「アンタ待ちなさいって言ってるでしょ!!」
息を切らしながら俺の前にユカが回りこんで必死に俺の腕を掴む。
「なんだよお前、くそっ!!お前全部知ってて今日映画館に連れてきたんだろ!」
「そ、それは。だってそれはアンタがいつまでもユキ、ユキっていってるから」
「だからってあれは酷くないか!普通に口で言えばいいことだろ!?」
「じゃ、じゃあアンタはそう言ったら信じたわけ!?ユキに、ユキには彼氏がいるって言ったら信じた!?」
「それは…くそッ!いつから知ってたんだよ。ユキちゃんに彼氏がいるってこと」
「ずっと前から。アンタが告白するずっと前から。それにこれはアンタのためを思って…」
俺は今までのことがだんだん腹立たしくなってきた。こいつは人の気持ちを知ってたくせに電話まで録音して
挙句、俺とユキちゃんの彼氏を鉢合わせさせて。そのくせ俺のためだと?ふざけるな!
「ははっ。ユカ面白かったかよ?俺が振られるところが見れて面白かったかよ!?えっ!?」
「そ、そんなつもりじゃない。た、ただ私は」
「そんなつもりじゃない!?ふざけんなよ!だったらなんで!お前の態度からそんなこと信じられるかよ!」
「わ、私はただアンタに」
「言い訳ならもう聞きたくねーよ!! 二度と俺に話し掛けるな!!いいなその面も二度と見せるな!!」
俺は乱暴にユカの腕を振り払うと後ろから聞こえるユカの声を無視してその場から去った。
それから俺とユカは以前のような関係は全く無くなった。ユカも俺も一言も口を聞かなくなっていた。
でも後になってユカがどうしてあんなことをしたのか気になってしかたなかった。
頭が冷えて冷静になるたび、たんなる悪ふざけには思えなかった。ユカは一体何を考えていたんだろうか?
いつしかユカのことばかり考える日々が続いたある日の夜、俺の家に一之瀬宅から電話がかかってきた。
「も、もしもし。あ、あの罪藤さんのお宅ですか?」
「ユ、ユキちゃん!?どうしたの?こんな時間に」
「い、いまから会えませんか?どうしても、そ、その!大事な話があるんです!」
「大事な話って?ど、どうしたのユキちゃん?電話じゃダメなの?」
「が、学校の近く公園で待ってますから!それじゃ!」
俺は妙な違和感を覚えたが、こんな時間に一人で公園にユキちゃんを待たせるわけにはいかないと急いで外に出た。
誰もいない公園に一人ぽつんと座るいつものショートカットのユキちゃんの姿があった。
「ごめん待ったゆきちゃん?ゆきちゃん?どうしたの?なんか暗いよ?」
「…ごめん罪藤。ユキじゃないんだ」
よく見ると髪形こそ同じだが顔つきはユカ本人のものだった。
「…なんだよ。こんな髪まで切ってまた俺をからかいにきたのかよ」
「これ返そうと思って。ごめんね罪藤。私罪藤のこと傷つけて」
俺は今にも落としそうなほど震えながらテープを差し出す彼女からゆっくりとそれを受け取った。
「ユカおまえなんでそんな髪型にしたんだよ。会うだけなら声似てるんだからそんなことする必要ないだろ」
まだ小刻みに震えるユカの姿に俺は今までしてきた事に心が痛んだ。
「そ、そうだよね。アンタに会うだけなら声だけで充分だよね」
うつむいたまま喋るユカはあまりにも弱々しく俺は見ていることができなかった。
「ユカ。俺もう怒ってないから。考えてみれば俺が勝手に浮かれてただけだったしな。 …じゃあな」
「待ちなさいよ。またそうやって勝手にどっかに行かないでよ!!」
帰ろうとする俺の腕をユカは力ずくで引っ張る。涙を溜めた目で俺の顔を睨むように見上げた。
「アンタってホントずるいよ。自分のことばっかり言って。何様のつもりよ!?」
「アンタが誰かのことを想っているとき他の誰かがアンタの事想っていることだってあるんだから!!」
ユカは突然俺にしがみつくとせきを切ったようにまくしたてた。
「私だってずっとアンタのこと好きだった。小さい頃からずっと。でもアンタはユキのことが」
「だから、だからユキに彼氏ができた時アンタには傷ついて欲しくなかったの!」
「私はユキの代わりでもいいからアンタに私のことを見て欲しかった!」
「アンタをつなぎとめるにはあんな風にするしか私にはなかった。アンタのそばに少しでも長くいたかったから!」
ユカはそう言いきると小さな肩を震わせてずっとしゃくりあげていた。
俺はそんなユカの気持ちがたまらなく守りたくなった。俺は自分勝手だと思ったがそっとユカを抱きしめた。
「なによ。同情ならいいわよ!!馬鹿みたい…なんで私!こんな、こんな奴のこと好きなっちゃたんだろう!?」
「ねえ教えてよ!どうしたらユキみたいになれるの!どうしたらアンタに振り向いてもらえるのよ!!」
「髪型だって同じでしょ!?話し方だってそっくりにできたでしょ!?ねえあとは、あとはどうすればいいのよ…」
ユカは俺に必死に抱きつきながら俺を見上げる。涙でくしゃくしゃな顔が俺の心をぎゅっと締め付ける。
「罪藤…偽者でいいから。ユキの偽者でいいから。あの時みたいに告白して…そしたら私もう罪藤のこと忘れるから」
949 :
しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/05(火) 21:00:04
ユカは一度顔を離すと俺の胸に横顔を押し付けその言葉を待ちながらじっと目を閉じている。
俺の体にユカの鼓動がかすかにそれでも確実に伝わってくる。俺はユカを抱きしめたまま呟くように口を開いた。
「ユカ…俺は勝手かも知れしれないけど。それでも俺は一之瀬ユカが今は好きだ。」
「偽者とか言うなよ。ユカはユカでいいよ。いつものユカで俺はいい。俺のせいで髪の毛切らせちまってごめんな…」
「いいの?私ユキみたいに優しくないよ?すぐ怒るよ?ぜんぜんユキみたいに可愛くないよ?」
俺は答えなかった。ただユカの目をじっと見つめていた。
どちらからともなく自然と顔と顔が近づく。お互いの唇の先に温かな温もりが伝わり二人を包んだ。
スマンまた調子にって書いちまった・・・アドバイスくれた人ありがとう。
イイヨイイヨーGJ
もう少し罪藤の方の心変わりのシーンが欲しかったかなと偉そうに言ってみる
でもいいツンデレなので◎
よろしいなー
>>950と同じでいきなり心変わりするのが気にかかるがw
あと読み手のことを考えた改行とかも考えると更に良くなると思われ
目を閉じ、上を向く有希。
俺はその姿を見て驚いた。そしてどうしていいかわからずにいた。
だが決心し唇を近付けた。それは一瞬の出来事だった。
有希は驚いた様子で
「なんでほっぺなの?」
と聞いてきた。
「なんかフェアじゃ無い気がして」
「格好付けちゃって。でも少しは見なおしたかも」
俺は頬だったけどキスできた事がすごく嬉しくて浮かれ気分だった。
なんか有希も最初は納得いかないって感じだったが、最後には俺の事見なおしたっていっていた
俺等2人はこみあげてくる嬉しさを押さえながら家に帰った
でも2日続けてキスするなんて、しかも大人のキスするなんて思いもよらなかったんだ
953 :
Mr.名無しさん:2005/07/05(火) 22:03:20
次スレ&まとめサイトあったほうがよさげだけど、どうする?
しまむら氏とテニス部氏2人とも乙彼茶ん
すまんあげた
まとめサイト?いらんいらん。このままの形のほうがいい。
まとめなんて作ってもろくなことにならん。