Eのアパートは、たしかに駅から近かった。道も明るかったし、Eが大丈夫と
言い張ったのもうなずける。
「すみません、結局送ってもらっちゃって」
「いいよ、俺が送るって言ったんだし。俺の方こそ強引だったかも」
「そんなこと――本当にありがとうございます。お茶でも飲んでいきます?」
さすがにこれは社交辞令だろう。
「いや、悪いよ。俺も、電車なくしちゃうかも知れないし。家に帰ってから
やることもあるしさ」
「仕事ですか?」
「そんなようなもの。来週は会社来るの?」
「はい、来週が最後になると思います」
!!!!?????
「最後って何? 辞めるってこと?」
「あ、いえ。お客さんのところに常駐するんです」
「いつまで?」
「今年度一杯って聞いてます。……って、仮病さんに言ってませんでしたか?」
常駐の話が出てることは聞いていた。しかも昨日だ。_| ̄|○
「いや、最後とか言うからびっくりした。」
「w 今日は本当に楽しかったです。今度は仮病さんから誘ってくださいよ」
「約束しますw 明日またメールするよ」
「はいw それじゃ、お休みなさい」
「それじゃ、また」
今日はここまで。
なんか、チャンスを逃した気がするわけで。
チャンスの神様には前髪しかないというフレーズが俺の中でリフレインしていまつ。