駅まで来て、切符を買う段になってやっと手を離した。
電車の中では来たときほどには話がはずまなかった。
「花火綺麗でしたね」
「うん、そうだね」
こんな調子。
最初に待ち合わせた駅まで戻ってきた。
「家まで送るよ」
「えー、そんな、悪いですよ」
「俺はまだ電車あるし、大丈夫だから」
「わたしも大丈夫ですよ。お酒飲んでないし、駅からは近いんだし」
「夜だしさ、一人で家まで帰らせるわけにはいかないよ」
「そんなこと言って、先週は送るなんて言ってくれなかったじゃないですか」
_| ̄|○ソウデシタネ
「あのときは」
今ほど好きじゃなかったし――そう言おうとしてやめた。
「とにかく先週と今週は別!」
そういって強引に承知させた。
少しは嬉しそうに見えたけど、俺の勘違いだったかも知れない。