19:10
店に入った。黄昏時とはいえまだまだ暑かったから、駅から近い範囲で
適当に気に入った店に入る。和風で割と落ち着いたところ。今の居酒屋では
珍しくもないが、テーブルごとにパーティションで区切られてるのがよい。
ファーストオーダーが来て乾杯したとき、後輩が口火を切る。
「さっきの話なんですけど」
「んあ?」
陶製のジョッキを慌てて口からはなして、次の台詞を待つ。
「仮病さんってホントに彼女いないんですか?」
「いないよ。……って、断言できるのが悲しいところだがw」
「w」
「社会人になってからずーっといない。分かるだろ」
はっきり言って余計な一言だったが、瓢箪から駒というべきか、
「うーんそういえば。わたしも学生時代の彼と別れてから……って変なこと言わせないでくださいよw」
フリー確定キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ …のか?
「ええ? 嘘だろ」
「嘘じゃありませんよ。なんでそう思うんですか」
「だってお前、普通に可愛いじゃん」
「目が泳いでますよw」
「目見ながらなんて言えないってば、こんな台詞」
まあ実際はキョドってただけなんだが。