多分、あの彼が入院してこなければ、今この場で私はあなたに『私でよかったら
付きあって下さい』って言ってたと思う。それくらい、あなたとの時間を大切に
したいと思う。でも、今の私には本当は誰が大切なのかわからないの。
本当にごめんね」
「でも、僕のことが嫌いなワケじゃぁないんでしょ」
「嫌いだなんて。好きよ。でも....一番なのか、二番なのかわからない。
ズルイ女でしょ。だから、もうこれ以上会ってあなたを傷つけちゃいけない
と思ってたの。今ならまだ誰かを失っても大丈夫だと思って」
「あのね、あなたとこれからも会ったりするとね、その分入院している
彼のことも気になってしまうと思うの。ずるいのは充分わかってるの。
昨日、彼女さんにこのことを全部話したら、『いいじゃない、どっちが本当に好きか
とことん確かめてみれば。浪人がお前に捨てられて傷ついたら私が慰めとくから気
にするな』って言われたの」
「それで、白衣さんはどうしたいの?」
「あなたの気持ちを知りたい。しつこいようだけど、あなたよりも年上で、
過去があって、仕事も時間が不規則だし、心のどこかにあなた以外の人もいる。
そんな私とあなたはどうしたいのか」
「要するに、その入院している人に僕が勝てばいいんでしょ?その人よりも
僕と一緒にいたいって白衣さんに思わせればいいんだよね?大丈夫、振られるのは
慣れてるし。白衣さんに彼女になってもらえるように、白衣さんの彼氏になれるように
頑張れってことだよね。とりあえずは、お友達からってヤツだよね」