【毒】爆撃本スレpart64【鬱】

　それでね、最初に話した入院してきた彼が『元気ないね、大丈夫？』って声をかけてくれたの。
何も言わないのに、私のこと気遣ってくれて。自分のほうが具合悪いのに。
いまの病院に来て、そんなこと言ってくれた人いなかったから、そんな人がいるんだって
思ったらそれからずっと気になっちゃって」

「その入院してきた人のことが好きなの？」

「そんなのわからない。彼は私のことなんて一人の看護婦くらいにしか思ってないだろうし。
私にとって気になるのは正直な気持ちなの。

　でもね、一昨日ね、あなたが電話くれたとき本当にうれしかったの。ああ、私を気にかけて
くれる人がここにもいたんだって。
　昨日、朝に電話したのもね、それは気まぐれじゃないのかなってちょっと怖くなって」

「本当に、昨日は楽しかったの。ご飯もいっぱい食べちゃったし。すごく楽しかった。
元気ももらえた。あんなに笑って楽しかったの久しぶり。寝癖もね。
映画館で目が覚めたときにね、横で寝ていたあなたの寝顔を見て、ちょっと安心しちゃった。

また会いたいって言われて、すごくうれしくて。

でもそうしたらね、またあなたがどこかに行ってしまうんじゃないかって、怖くなったの。
これから就職もするだろうし、そうすれば新しい出会いもあるでしょ？
私とまた会いたいなんて。
たった二回会っただけなのに、共有した時間はほんのちょっとで

そしてね、今入院している彼のことも気になる自分がイヤになっちゃったの。
だから、あなたとももう会わないようにして、彼も退院したらそれで終わりって。

だから、あんなことを言って。ごめんなさい。