【毒鬱】あいつらには朝日もさんさん〜56

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会計を済ませて店を二人で出たけれどA子はいつもの笑顔じゃなくって硬くこわばった顔をしてた。
「あのさ、今日は付き合ってっていったから、この後も黙って私について来て」
返事をしないまま有無を言わせない勢いでA子はまた俺の腕を引っ張って歩き始めた。
俺はひきづられるようにA子の後をついて行った。
人ごみをすり抜けるように二人で街の奥に向かって歩いていく。
その間、何も二人とも言わなかった。
俺も、情けないけれど何もいえなかった。
ぼーっと引っ張られるままに歩いてたらA子がとんでもない所に入って行こうとしていた。
「え!?ちょ、ちょっと!!」
「うるさい!黙ってついてくればいいの!!」
「でも!」
「黙れ!」
A子が俺を引っぱりこんだ場所は、この前とは違うけどラブホテルだった。
「どうしてこんなところ・・・」
「・・・ここで逃げたら、直球のこと一生恨んでやる」
フロントで俺の腕を掴んだままでそう言われて、俺は大人しくすることにした。
原因も終わりもラブホって・・・。
そう思ってるうちに鍵をもらって二人でエレベーターに。
気まずい。空気重い。
二人で黙ってるとエレベーターが部屋のある階に止まってドアが開く。
A子はまた黙ったままで俺の腕を引っ張って部屋の中に入った。