【毒鬱】あいつらには朝日もさんさん〜56

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「暑いねー。ちょっと早くついちゃった」
こっちに小走りに駆け寄ってきて、A子はそう言って笑った。
「えっと、お待たせしました」
「いえいえ、こちらこそ早めに来ちゃいました」
二人でその場で頭を下げる。
なんだか一週間前と全く変わってない気がする。でも、そうじゃないのは自分でよくわかってた。
そうして、この前のことをなんて切り出そうか迷ってたらいきなり彼女から鼻をつままれた。
「・・・余計なことは聞きたくないんだからね。とにかく今日は黙って私に付き合うこと」
「でも・・・」
「でもとかはいりません。はい、場所移動!人多いから早く移動しよ」
腕を引っ張られてそのまま歩き出す。
「で、行きたい店は?」
「・・・何も考えてないです(´・ω・`)」
「だーと思った。じゃ、適当にお店入りましょ。冷たいお酒が飲みたいなー」
そしてお洒落な和風の居酒屋へ移動。
カウンターの席に並んで座って二人で最初はビールで乾杯。
昨日は会社の休みを取ってバーゲンにいった話とか戦利品の写メを見せてもらったりして、日曜の
選挙がどうしたとか、ボーナスから引かれた税金の金額の話とかしてたけど、気になってたことを
聞いてみることにした。
「何か、メールの返事が来なかったからちょっと心配だったんだ」
「んー・・・私もちょっと考えるところがあったからさー」
そう言ってA子はタバコにゆっくりと火をつけた。