いつもオドオドしてて、頼りない俺だけど、
ここは勝負どころだってことぐらいわかる。
玄関のドアが開いて、母親が現れた。
「珈琲さん…ウチに何か御用でも?あいにく娘はいま塾に…」
と、俺の後ろにいた彼女に気付いて、顔色が変わる。
「○○!どういうことなの!?これは!」
と、身を乗り出す母親と娘の間に俺は立った。
震える足を必死で押さえつけながら。
「さっき、娘さんが俺の家を訪ねてきました。
それで、夜道は危険だと思い、送ってきました」
「それは、どうも…。もう用はすみましたよね?帰ってください。
ホラ!あなたはこっちに来なさい!」
と、娘の手を掴もうとする母親。
「ちょっと、待ってください」
と、間に入る俺。
「は、話があるんですけど、聞いてもらえませんか?」
「私のほうはあなたと話すことなんてありません。おひきとりください」
そう言って、再び娘を捕まえようとする。