あぁ 俺ってもてないんだぁと思う瞬間 増刊号 Vol.8

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265Part283
244 :Mr.名無しさん :04/03/24 17:41
昨日は終業式だった。
クラスもこれで終わりということで、放課後いったん家に帰ってからクラス全員でボーリングにいったんだ。


ボーリングなんか人生で3回しかしたことないのに、なんかやる気になって、
いろいろ本読んでみたり練習したり、おしゃれなんかしたことないのに、最後だからって
3週間前からちょっと無理して普段読まないファッション誌読んで研究したり、
スポーツ刈りが伸びまくった頭をスパイキーウルフにしたり、
自分なりにやれることをやってみたんだ。
もてたいってだけじゃなかった。
垢抜けたみんなに少しでも追いつきたかった。
みんなの視界に入りたかった。


ボーリング場に予定より早く着いて、俺はみんなを待った。
続々と集まるクラスメイトは普段は見ることのない私服姿で
学校じゃ見せない表情をしていた。

ボーリングレーンは6つ予約していた。

「どのレーンに誰がつくかは、適当にきめとくね」

クラスの女子Iは全員集合(といっても欠席者はいたが)した時点でそう言って、受付へ行った。

ところが実際はこうだった
266Part283:04/03/25 12:00
245 :Mr.名無しさん :04/03/24 17:52
第一レーンから第三レーン:イケ面、クラス内支配者階級女子

第4、5レーン:クラス内真ん中ポジション男女

第6レーン:俺、友人K、話したことない女子×2

何が適当に、だ。

レーンの番号に華やかさや会話や盛り上がりが反比例していた。
普段ははなしかけてもろくに返事しない女子がイケメン相手に必死に媚びていた。


それだけじゃなかった。
267Part283:04/03/25 12:00
250 :Mr.名無しさん :04/03/24 18:19
ボーリングの後、みんなでモスバーガーに行ったんだ。

そこではクラス内で中流以上の男子たちと、支配者階級女子とかの
アドレス交換会になった。
みなが交換に盛り上がってる中、誰にも聞かれない俺は一人テトリスをしていた。

「今メール送ったよー」「クイズ送ったけどT君横から答えいわないでよー(笑)」

そんな明るい話が盛り上がる中、俺は一人モスバーガーセットとジンジャーエールを相手していた。


俺は今まで勉強もスポーツも手を抜いたことはなかった。
だから県トップクラスの有名進学校に入学し、そこでもちゃんと成績を出している。
ほかの部員が来ない部活でも毎日一人で8キロ以上走った後、ほかのどの部よりも多く筋トレのメニューをこなしている。
身長だって180センチで他人に馬鹿にされないだけの体を持っている。
体脂肪率も9パーセントでキープできるように体の管理をしっかりしている。

でもそんなことまったく役に立たなかった。
何のプラスにもならなかった。

俺は彼らに追いつけなかった。
彼らの視界に入ることができなかった。
クラスにおいてどれほど取るに足らない存在に思われているかを知った。

バーガーが食い終わると俺はひとり足早に、まだまだ盛り上がりの雰囲気を
見せる店内を後にした。

普段はつけないワックスをつけた髪に吹く風は冷たかった。

16歳っていう年に俺の青春はなかった。