あぁ 俺ってもてないんだぁと思う瞬間。 Part124

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18Mr.名無しさん

 オレはデブだ。しかも顔だって良くない。
 が、自分で言うのも何だが、昔っから女にはかろうじてモテてきた。一般的にはモテないんだけど、オレみたいな見てくれの奴が好きな層が少数だけど確かに存在するのである。そして、マイノリティがゆえに、そういう層のオレに対する視線は予想以上に熱いのだ。
 で、そういう層の女のコと付き合うと、またこれが割と長続きするのである。
 ところが、付き合いが長くなるとオレはギャグとかを全然言わなくなり、しかも、本来の面倒臭がり屋気質が頭をもたげてきてドコにも連れていかなくなる。そう、典型的な"釣った魚にエサはやらないタイプ"なのである。
 が、それでも女はオレに愛想を尽かさない。……いや、聞いてくれ。決して自慢してるわけじゃないのよ。オレが言いたいのは、それには「秘密」があるということなのだ。
 これを公表するのは初めてのことだが、簡単に言っちゃおう。オレはワキガじゃないが、暖かい季節になると脇の下から微かに白檀(びゃくだん)の香りを発するのだ。
 そう、お香とか出来たての箪笥が発する、神聖さを感じさせ、と同時に頭が少しホワ〜ンとしてしまうようなあのニオイである。で、女はオレにベタベタしながら自動的にそのニオイを嗅ぎ、もの凄く安心するというか、やすらぎのようなものを覚えるのだ。
 これは今までに付き合った女の中の計5人に言われた。決してオレの思い込みではないのだ。
 で、寒い季節になるとオレの脇の下からは白檀の香りが打ち止めになる。てことは、オレは冬に女に愛想を尽かされることが多いのかというと、これがそうじゃないのだ。
 なぜなら………いや、決して気が狂ったとは思わんで欲しいのだが、冬になるとオレの耳クソから麝香(じゃこう)のニオイが漂いだすのである。
 麝香といえば白檀と同じく香料の一種で、ジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を乾燥させたものであり、異性を興奮させる香りだといわれている。そんな代物がオレの耳クソ、オレの耳の穴の奥で分泌されているのだ。
 いや、さすがにオレも驚いたよ。が、これも今までに付き合った女の中の計4人にキッチリ言われたのである。
 要するに、オレという肥満体は暖かい時期には植物系、寒い時期には動物系の香りを出して女を安心させたり欲情させたりしているのだ。それも無意識下で……。
 なぁ、オレって何?