恋愛なんか諦めた筈なのに、たまに涙が出る人 Part2
612 :
Mr.名無しさん:
ある日、俺はエロゲを買いにパソコンショップへ行った。
もう俺は周囲の目などに動じることのない、廃人エロゲプレーヤーだ。
パッケージを手にとって、堂々とレジへと向かった。
俺の前には、プリンタを買うカプールが並んでいた。
そのカプールがレジで支払いをしようとしたとき、店員が「おめでとう
ございます!レシートに当たりが出たので、商品は無料です!!」と言
った。
なんでもこの店では、50人に1人の割合で、このようなイベントが起こる
そうだ。
カプールの女の方は、「ヤッタ〜!!ケコーン式のドレス、もう一つ高いやつに
できるよ〜!!」と大はしゃぎだった。
若い女性店員が、「あ、ごケコーンなさるんですか。お似合いですね。幸せ
なお2人がうらやましいですよ。」と自分のことのように満面の笑みで
当選の手続きを済ませた。暖かく奇麗な笑顔だった。
そして、カプールを暫し待たせ、別の店員が商品を包みはじめた。
「次のお客様、どうぞ」とその女性店員が俺を呼んだ。
商品を待つカプールの横で、俺はエロゲをレジに出した。
レジの店員は、俺を蔑むような表情に変わり、無言でレジを済ませ、商品
を俺に渡した。まるで汚物を押し付けるかのように。
あの暖かい笑顔が、これほどまでに無機質な表情に一瞬で変わったのだ。
第3者が見ていたら、きっとこの上なく悲惨な光景だったに違いない。
カプールの男の方は、勝ち誇ったようにニヤニヤと笑みを浮かべていた。
俺は逃げるように店から出た。周囲には動じないはずだったのに・・・・・・
不条理な現実にさらされ、酷く人生に疲れた気がした。
その夜、俺は買ってきたエロゲをプレイすることができなかった。
ベッドに潜り込み、天に背を向けて、震えながら眠りに落ちようとした。
だが、それもできなかった。涙が止まらなかった。