小野不由美&十二国記その2

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>>576
 もちろん、読者が期待を裏切られたと感じた以上、その責めは作者が負うべきで、これについては何の否やもないのですが、問題は期待外れだったと否定されると同時に、別の方からは強い肯定をいただいてしまったということにあります。同一作品の同一箇所に対して、否定と肯定が同時に寄せられたりして、どうしていいのか途方にくれてしまった。自分では良かれと思って行った選択、その選択の是非は自分では検証できないけれども、実際に良かったと肯定してくれる人もいる。なのに絶対こういうことは許さない、と否定する読者もいて、「許さない」という強い拒絶に慌てふためいて正すのは、単に自分が媚びているだけに思えるし、肯定してくれた人にだって申し訳ないし、さりとて肯定してくれた人の存在を楯にとってこれで良かったと言い切るのは、単に自分にとって都合の良い評価をかき集めて保身に走っただけのことのように思われます。こういう場合、作者が自己の確信にもとづいて選択するしかないと分かっていても、その確信自体がないというか、無節操を絵に描いたような状態なので、泥沼の中に足を踏み込んでしまいました。どうやら今のところ、まだ抜け出せていないようなので、しまった、こういう時のために蜘蛛の一匹でも助けておくべきだったと後悔することしきりです。