小野不由美&十二国記その2

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>>572
 なのでせめて、場当たり的に書くとしても、一作一作はきちんとやろうと思うのですけど、実際に書く段になると、力及ばないことがあったり、緊張の糸が切れて後で振り返ると「流してる」感じがする箇所があったりと、それでなくても情けない有様で、そのうえ書いている最中にも、こうのほうがいいんじゃないか、もっとこうするべきなんじゃないかと邪念がどんどん涌いてきて、結果として毎度毎度、なんとか折り合いをつけて丸め込んで、かろうじて終わらせる、という気がしてなりません。もちろん、それはその時点での、自分なりの最善であり、ひとつの結論ではあるのですけど、けれども決して核心ではないという意味で、やっぱり不甲斐ない気がしてしょうがないのです。
 そういうわけで、だいたい一作、書き終えると、しばらくは猛烈に落ち込んで、「これでは読者に合わせる顔がない」とか思って枕を抱え込んでうめいていたりしたあげく、だいたい、自作の読者には作者はなれない、という世の中の仕組み自体がよろしくない、などと神をも恐れぬ八つ当たりをしたりするのですけど、実際のところ、せめて読者としての目で自作を読むことができれば、もっとどうするべきか分かるだろうに、と思わずにいられません。