小野不由美&十二国記その2

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>>570
 ひょっとしたら、そう思うのは環境のせいかもしれません。一部ではご存知の通り、わたしは京大ミステリ研の出身で、先輩後輩がこぞって作家になったわけですけど、その彼らがみんな、そもそも作家になりたかった人たちで、ほとんどがミステリというジャンルにすごく強いこだわりがあって、個々に理想とするミステリ像というものを持っていて、それを一途に追い求めているようなところがあるのです。対するわたしは、その中にあって、徳にジャンルに対するこだわりもなければ、コレという理想像も持たなくて、ほとんど無節操に何でも来い、という状態なので、実を言えばそういう自分にかなりのところ劣等感があったりします。
 曖昧模糊とした理想像を身を削るようにして追いかけている彼らを見ると、そういうのって、格好いいな、とすごく憧れるわけですけど、なのに自分はというと、その場その場で気の向くまま、軽佻浮薄というか、行き当たりばったりというか。そういう自分を省みるたびに、なんかとっても格好悪いなあ、と思ったりして。
 そう思いはするのですけど、実際のところ、そもそも読者としてのわたし自身が無節操で、ジャンルを問わず何でも来い状態で、自分が書く段になっても、アレが良かったコレが良かったと、読者としての自分に引きずられてしまうのでどうにもなりません。