■あの人はいま 元電撃文庫大賞受賞者 茜屋まつりさん(51歳)
2011年、電撃文庫大賞授賞式。 そこに、満面の笑みで出席した男がいた。
41歳で将来を嘱望され電撃文庫大賞を受賞した、茜屋さんは今……
「あの頃は若かったですね(笑)」
若き日を回想する茜屋さんは、どこか寂しげだ。
「未だに夢を見ることがあるんですよ。このライトノベルがすごい!で、俺がSAOを抑えて一位になる夢を」
電撃を離れた後、一迅社で新作を二作ほど出版するも、ヒットは叶わず、美少女文庫に活躍の場を求めた。
その後、古巣の電撃文庫に復帰するも、加齢により病気がちになり、若手や新人作家の台頭に押され目立った活躍はできず45歳の若さで引退を決意。
今はコブダイ料理屋を営む傍ら、地元の専門学校の非常勤講師を勤めている。
●暖簾の屋号の文字はソードアートオンラインの川原礫氏の手によるものだ。
「いらっしゃい」。東武東上線上福岡駅東口から歩いて3分。「コブダイ屋 MATSURI」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると、白いタオルを頭に巻いた茜屋さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『MATSURI』という文字は川原礫先生に左手で
書いていただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
●かつての同僚で電撃文庫やガガガ文庫で活躍している愛染猫太郎、講談社ラノベ文庫の看板作家になった岬鷺宮ついて尋ねると……
「あいつら俺より下手やったんですけどね(笑) 」と、おどけ
「編集に気に入られるのも才能だと思いました」
「なろう小説さえ無ければって…歯がゆいですけど。」
「今はもう現役に未練はありません。今度は、教え子でアニメ化を狙いますよ(笑)」
(写真)コブダイを手に持つ茜屋さん。