西尾維新 その224

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400イラストに騙された名無しさん
昔、ラノベの賞にすごい熱意をかけている友人がいて
何度も送っていたがそのたびに落選していた。
俺はそんな友人を見ていて、何となく自分も書きたくなり
初めて書いた小説を、ただそのままにしておくのももったいないので適当な賞に応募した。
するとなんと佳作を受賞してしまった。 友人には内緒にしておくつもりだったが、ある酒の席で
ついぽろりと話してしまった。友人は初め冗談と思ったようだが、おそらくは後で自分で調べたのだろう
俺が受賞したことが事実だと気づいた。 そして友人が言った言葉がこれだ

「なぜ初めて応募したなどと嘘をつくのか。 何度も書いて送った人間じゃなければ受賞できるはずがない」

もちろん、嘘偽りなく初めて書いて初めて送った小説である。俺としても受賞できるなどとは思っていなかったが
してしまったものは仕方がない。 しかし友人はそれを信じず、俺を嘘つき呼ばわりして一方的に関係を絶った。
彼の気持ちはよくわかる。自分が熱意を向けて打ち込んでも得られないものを、何の経験もない人間がぱっと得てしまったのが認められなかったのだろう。
運や才能の差というものは友情を簡単に破綻させてしまうものだと、しみじみと思った。