『ユリイカ 2010年10月臨時増刊号』総特集☆冲方丁
「嫌がらせ」 を作品に昇華する方法 お子さま厳禁 !? 毒々トーク? / 冲方丁×篠房六郎
以前『カオス レギオン』ってファンタジー・ライトノベルをやったんですが、そのときにわかったのは「やさしく書く」ことでした。「わかりやすく書く」だけでなく、とても壊れやすい人のために物語を書くこと。
ライトノベルやマンガに必要なのは、意外と作者の「侮られ力」なんじゃないかと思いますね。(篠房)
そのひとの思考なり感情・感性なりを、印象に残るかたちで他人に見せるんだから、表現には必ずどこかしら暴力的な側面がありますよね。だからこそ読むひとの心に届くわけでしょう。
それに対してライトノベルは、ものすごくナイーブに作ったことで、数だけは増えたんだけど、業界に活力がなくなっちゃった。
初期のライトノベルはそれなりに技術職で簡単には真似できないはずだったのが、加工の仕方を「免許皆伝」された人たちがとにかく増えて、「かわいきゃいい」みたいに箸にも棒にもかからないものも商品化しちゃったので、大変なことになってきたんです。
ライトノベル自体の現状がどう考えても「硫黄島」で、離着陸の飛行場にしか使えないなんの作物も採れない土地を、殺し合いながら奪い合ってどうするんだ、みたいな(笑)