つまらない小説を無理矢理褒めちぎるスレ14

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まず。

「小説じゃないじゃんコレ」との指摘もあるでしょう。当然です新聞記事ですぶっちゃけこれ
しかし……読むとわかるように、これはひとつの私小説ではないかとわたしなどは感じたのです。しかもある程度ライトノベル的な
(最初の2レスでちぎり対象を掲載)

1945年8月15日『朝日新聞』朝刊 末常卓郎

溢れる涙、とめどなく流れ落ちる熱い涙。ああ今日昭和二十年八月十五日、「朕は帝国政府をして米英支蘇四国に対し、其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり」
との大詔を拝し、大君の在します宮居のほとり、濠端に額ずき、私は玉砂利を涙に濡らした。
唇をかみしめつ、またかみしめつ道行く兵隊の姿を見て胸かきむしられ、「作れ飛行機」の貼紙を見ては、宮城への道々を悲憤の涙を流し続けてきた私であった。
胸底を抉る八年余の戦いのあと、歩を宮城前にとどめたその時、もはや私は立っていられなかった。抑えに抑えていた涙が、今は堰もなく頬を伝った。
膝は崩れ折れて玉砂利に伏し、私は泣いた。声を上げて泣いた。しゃくり上げ、突き上げてくる悲しみに唇をかみ得ず、激しく泣いた。
男子皇国に生を享けて、またいつの日かかくも泣くときがあろう。拭うべき涙ではない。抑えるべき嗚咽ではない。泣けるまで泣け涙あるかぎり涙を流せ。
寂として声なき場域の中に思わず握りしめる玉砂利。拳を握って私は「天皇陛下……」と叫び、「お許し……」とまで言って、その後の言葉を続けることが出来なかったのである。
玉砂利に額を押しつけて、きのうまでの輝かしき民族の歴史、今日は悲しき民族の歴史の日を慟哭する赤子われ、大東亜戦争は終わったのだ。
さあれ一億国民は、戦争終わる日の宮城前に、どのような光景を眼にせんことを思い、苦しき一日一日を、この楽しい夢を追い、希望に胸を膨らませて戦ってきたことか、
……提灯行列、旗行列……歓声……笑顔……ああ聖上の白馬に召させられて二重橋上に出で立たせ給えば、百雷の万歳天地に響きわたる……
夢寐にも描きし栄光の勝利のその日は、我れも我が子もついに見んとして見得ざることとはなった。
(中略)
9602/5:2012/01/03(火) 21:43:21.54 ID:86gK0DBL
身を距てる数歩の前、ああ、そこにも玉砂利に額ずいて、大君に不忠をお詫び申し上げる民草の姿があった。
私は立ち上がって「皆さん……」と呼んだ。「天皇陛下に申し訳ありません……」それだけ叫んで声が出なかった。
だが私は一つの声を聞き、二つの声を耳にした。「わかります」「私も赤子の一人です」「この上どんなことが起ころうとも……」
この声はそれだけ言って、もうあとは嗚咽にかき砕かれた。日本人、ああわれら日本人。上に万世一系、一天万乗の大君の在します限り、われらの心は一つ。
如何なる苦しみにも耐えぬき、いつかの日、今日この日の歴史の曇りを拭い去り清め掃い、三千年の歴史を再び光輝あるものたらしめるであろう。
天皇陛下には畏くも「ここに国体を護持し得て忠良なる爾臣民の赤誠に信倚し」と仰せられている。ああ聖上を暗き世の御光と仰ぎ、進むことこそ我ら一億の唯一の道ぞ。
涙のなかその喜びに触れて私は「やりましょう」と大きな声で叫んだ。
9613/5:2012/01/03(火) 21:44:23.55 ID:86gK0DBL
以下、ちぎりに入ります

> 溢れる涙、とめどなく流れ落ちる熱い涙。ああ今日昭和二十年八月十五日、「朕は帝国政府をして米英支蘇四国に対し、其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり」
> との大詔を拝し、大君の在します宮居のほとり、濠端に額ずき、私は玉砂利を涙に濡らした。
日付より先に涙が止まらぬ様を繰り返し強調することで、劇的な演出を試みている
続く文でもう一度涙を流すさまを描くことで劇的な演出をさらに加えている。とどまらずさらに

> 唇をかみしめつ、またかみしめつ道行く兵隊の姿を見て胸かきむしられ、「作れ飛行機」の貼紙を見ては、宮城への道々を悲憤の涙を流し続けてきた私であった。
皇居までの道程でもずっと泣いていたことを明かしてどうやら栄養状態がよさそうなことをアピ…じゃなくてさらにこの記事の悲痛さを増している。うえにさらにさらに

> 胸底を抉る八年余の戦いのあと、歩を宮城前にとどめたその時、もはや私は立っていられなかった。抑えに抑えていた涙が、今は堰もなく頬を伝った。
どんだけ泣くねん、ていうかさんざん泣いとったくせに「抑えに抑え」とったんかい!と突っ込みたくなる涙涙涙の畳み掛けである。効果は言うまでもない

> 膝は崩れ折れて玉砂利に伏し、私は泣いた。声を上げて泣いた。しゃくり上げ、突き上げてくる悲しみに唇をかみ得ず、激しく泣いた。
> 男子皇国に生を享けて、またいつの日かかくも泣くときがあろう。拭うべき涙ではない。抑えるべき嗚咽ではない。泣けるまで泣け涙あるかぎり涙を流せ。
うん、「また」なんだ。済まない。 仏の顔もって言うしね、泣いて謝って許してもらおうとも思っていない
でも、この繰り返しを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思ってまた泣いてるんだ。じゃあ、説明をしようか
「唇をかみしめつ」歩いてきた記者は突き上げてくる悲しみのあまりもはや「唇をかみ得ず」、「抑えに抑えていた」けど「抑えるべき嗚咽ではない」
このわずかの間に記者の感情がさらに高まり成長物語になっていた。何を言ってるのかわからないと思うが俺もなにをry
9624/5:2012/01/03(火) 21:45:26.68 ID:86gK0DBL
> 寂として声なき場域の中に思わず握りしめる玉砂利。拳を握って私は「天皇陛下……」と叫び、「お許し……」とまで言って、その後の言葉を続けることが出来なかったのである。
> 玉砂利に額を押しつけて、きのうまでの輝かしき民族の歴史、今日は悲しき民族の歴史の日を慟哭する赤子われ、大東亜戦争は終わったのだ。
ここまで私小説『泣き虫』を続けてきた末に、報ずべきだろう事実がようやく現れた。「大東亜戦争は終わったのだ」

> さあれ一億国民は、戦争終わる日の宮城前に、どのような光景を眼にせんことを思い、苦しき一日一日を、この楽しい夢を追い、希望に胸を膨らませて戦ってきたことか、
> ……提灯行列、旗行列……歓声……笑顔……ああ聖上の白馬に召させられて二重橋上に出で立たせ給えば、百雷の万歳天地に響きわたる……
> 夢寐にも描きし栄光の勝利のその日は、我れも我が子もついに見んとして見得ざることとはなった。
走馬灯的描写、さらには白馬の「聖上」を思い浮かべる。そう、なんと記者は乙女願望「白馬の王子様」の所有者であった
男のロマンのなかにある乙女の願い、アンビバレントに見えて実は近しい心情であることに気付かせてくれた記者殿に八百万の感謝を
9635/5:2012/01/03(火) 21:46:07.37 ID:86gK0DBL
> 身を距てる数歩の前、ああ、そこにも玉砂利に額ずいて、大君に不忠をお詫び申し上げる民草の姿があった。
後の土下座・ロイヤル・ストレート・フラッシュにつらなる万世一系状態の伝統芸「DOGEZA」の真髄に触れ得たことで記者にふたたび八百万の感謝を

> だが私は一つの声を聞き、二つの声を耳にした。
類語反復し、さらに数えをひとつ増やす技法。これは聖書にもみられる表現法で記者の該博ぶりが伺えよう
なお1+2=3というアレンジを加えている(そのあと三つの発言が続く)。つまり算数にも明るい

> 「わかります」「私も赤子の一人です」「この上どんなことが起ころうとも……」
三人なのにまるで一人の意志でつぎつぎに言葉が生みだされているかのような一体感をかもしだし盛り上げ、破調まで入れて力強さと余韻をもたらしている
kれは非常に高度な技で漢語風にいうと腹話術
つまり記者が謙虚な○○○(敵性言語状態により自主削除)である可能性は火を見るより確定的に明らか

> 涙のなかその喜びに触れて私は「やりましょう」と大きな声で叫んだ。
いうまでもなくのちの孫さんのtweetである
幸福の相対性をわずか12文字で表わすソフィストぶりも特筆すべきだろう
また悲痛な出来事を綴っているはずの記事をいつのまにやら
友情(土下座から生まれる出会い)・努力(玉砂利握り)・勝利(三千年の歴史)の週刊少年ジャンプ三原則へとまとめあげるその手腕たるや、
「なるほど記者はジャンプ黄金期の赫々たる主人公らの先行者※であったか」と思い知らされ、我々はこの高度な文章芸にひたすら平伏するのみである
※参考:tp://kiti.main.jp/Angura/senkosya/senkoh.jpg


以上です。お目汚し失礼しました