>>933 西尾維新『JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN』
皆さんは「二次創作」に興味があるだろうか。
同人誌やWeb上、あるいはVIP系の板なんかで日々書かれている、あれだ。
一口に二次創作と言っても様々な種類のものがある。
もしあの女の子があの時ああしていたら……こういう設定だったら……
私の彼女だったら……むしろ私が彼女だったら……等等。自由すぎる有様である。
そういった混沌とした情勢の中で、私の友人は
「自分にとって二次創作とは原作の隙間を想像で埋める作業である」と言っている。
つまり、原作で語られない過去や日常シーン、事件の裏側で起きていたこと、
キャラクターの心情といった事柄を想像し、書くのが楽しい(友人自身が楽しい)のだ、と。
もちろんこの友人の意見は彼がそう思っているだけであり、これが唯一の正解、などというものではない。
しかし、そういった意味で、この『JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN』(以下本作)は
実に正しい「二次創作」のあり方である、と言えよう。
本作について語る前に、本作の主人公である「DIO」について軽く説明させていただく。
DIOは大河少年漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のいわばラスボス格であり、
その言動や強さ、「悪のカリスマ」とも言える魅力から、ジョジョ全体の中でも
屈指の人気キャラクターである。
DIOは作中で強大な力を手にし、「取るに足らぬ人間たちよ! このDIOが支配してやるぞ!」的な
ことを言いつつ主人公に敗れて死亡するのだが、後に回想シーンで登場した際には、
自分の手にした力を捨ててまでも「天国」へ行こうとしていた、と言うことになっていた。
DIOが目指していた「天国」とは何か、なぜそこへ行こうとしていたのか、ていうか人格的に矛盾が無い? ということは
ジョジョファンの中でも定期的に話題に上る事柄である。
上のほうで私が「本作は正しい二次創作である」と書いた理由がお分かりいただけただろうか。
そう、本作は西尾維新による『ジョジョ』の二次創作なのである。
ちなみに本作に先立って、乙一、上遠野浩平といった人気作家が『ジョジョ』のノベライズに挑戦している。
これらの作品も分類するならば二次創作ではあるが、私は本作にこそキングオブ二次創作の称号を与えたいと思う。
自分のサイトでやれ的な意味で。
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「作家・西尾維新」についての褒めちぎりは
>>526が素晴らしい書評を書いてくれたので、
「ジョジョのノベライズ」としてどうかという観点で書いてみた。
正直に言うと読むのが苦痛だった。西尾維新は前から苦手だったが、苦手とかいう以前の問題であるように思う。
乙一と上遠野浩平のノベライズは本当に面白かった。ゴールデンハート? 忘れろ。