つまらない小説を無理矢理褒めちぎるスレ12

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15イラストに騙された名無しさん
「ヘヴィーオブジェクト」
(作・鎌池和馬/画・凪良/電撃文庫)

鉄板をご存知だろうか?
もちろん鉄で作られた板のことだが、お笑い業界の用語にも鉄板というものが存在する。
大雑把な意味として、行えば確実にウケる言葉や動きのことを、鉄板もしくは鉄板ネタと呼ぶらしい。
シンプルで使い勝手が良いせいか、こうすればうまくいくといったニュアンスで、日常的にも使われるようになった。
さて、そういう意味で本作ヘヴィーオブジェクトは確実に鉄板だといえる。
大ヒット御礼中の超人気作「とある魔術の禁書目録」の鎌池和馬が物語を紡ぎ、
イラストを担当しているのは、アルトネリコなど多くの話題作でその名を目にする機会が増えてきた凪良氏である。
プラスとプラスの融合。ハンバーグカレーのような安定感はまさに鉄板。面白くないわけがない。
で、そのヘヴィーオブジェクトだが、中身がこれまた鉄板なのだ。
ここでの鉄板はお笑い用語ではなく、本来の意味での鉄板である。

近未来、結局、戦争はなくならなかった。
でも変化はあった。
オブジェクトと呼ばれる超大型兵器同士の戦い。それが新しい戦争の形だった。
(作品紹介より)

オブジェクトとやらがどれくらい超大型なのかというと、全長50メートルで、重さが20万トンもあるのだという。
例えば、ファーストガンダムは全長18メートルで重さが43トン。
マジンガーZは全長18メートルで重さ20トン。東京タワーが全長333メートルで重さが3600トン。
オブジェクトは全長が50メートルで体重200000トン。
ぽっちゃりさんですね。
なに食ったらそんなに重くなるのか、その答えは本文の中のオブジェクトの作り方によって明らかにされていた。
あらゆる攻撃から身を守るため、何万枚という鉄板を重ねてオブジェクトは形成されていたのだ。
しかもなんと、職人さんの手作りで。
無機質で残酷なイメージが先行する兵器も、スーパーで売ってるキノコみたいに、職人さんの手作りであるとわかった途端、確かなぬくもりを感じられるから不思議だ。
こういう些細な演出が、鎌池和馬の作家としてのポテンシャルをよくあらわしている。

人気作家と人気イラストレーターの鉄板コンビがおくる鉄板で出来た兵器の鉄板ストーリー、それがヘヴィーオブジェクトである。
16イラストに騙された名無しさん:2009/10/22(木) 14:35:09 ID:9v7A6IOX
さてさて、異常に前置きが長くなってしまって申し訳ない。
とにかく私は今、一人でも多くの人に本作を勧めたくてしかたない。
なぜなら、この物語を読むことで、その人は夢を叶えることができるのだから。

きっと皆さんにも叶えたい夢があるはずだ。
例えばそれは就きたい職業であったり、進学したい学校であったり、手に入れたい物や誰かの心かもしれない。
しかし、その夢を叶えるための努力をなまけていたり、なんとなく諦めているのが現状ではないだろうか?
やりたいことはあるけれど恐怖心が邪魔をして、一歩が踏み出せない。
お前には無理だと自分自身に罵られ、気がつけば去年と変わらない自分がそこにいる。
いつからだろう?
できる理由より、できない理由を探して安心するようになったのは。
「主役なんて面倒臭い、脇役でいい」
これは物語の冒頭に登場する一文である。
皆、現実に絶望して諦めることになれてしまった。
生きることに疲れた現代人の、そのふざけた現実をぶち殺すために、鎌池和馬は新しい物語を完成させた。

圧倒的で絶対的な無敵の天敵に立ち向かう、大胆不敵で大体無敵の主人公が繰り広げる素敵なストーリー。
脇役に甘んじるな、自分の人生の主役になれと、鎌池は熱く語りかける。
ここでピンときた方もいらっしゃるかもしれないが、本作で掲げられているテーマは禁書目録のそれと全く同じだ。
作家という生き物は、自分にしか表現することのできないたった一つテーマを伝えるためにいくつもの作品を作りつづけているのかもしれない。
人間讃歌という壮大なテーマで30年間もジョジョの奇妙な冒険シリーズを描きつづけている荒木飛呂彦先生のように、
鎌池和馬先生もデビューから五年経過した今でも書いているものは当時と何一つとして変わっていない。
何一つとして、だ。
17イラストに騙された名無しさん:2009/10/22(木) 14:36:48 ID:9v7A6IOX
ヘヴィーオブジェクト。
世界を揺るがす超兵器の名前だが、この言葉を乱暴に訳すと「重荷」になる。
誰もが心にヘヴィーオブジェクトを持っている。
あなたにとってのそれは、自分の可能性にフタをする重荷だろうか?
あるいは目の前の壁を撃ち破る武器だろうか?
もしも前者だとしたら、ぜひこの本を読んで、無敵のストーリーを自分の中に宿してほしい。

そうすればいつか出会えるだろう、夢にまで見た理想の自分に。


おしまい。