つまらない小説を無理矢理褒めちぎるスレ11

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338イラストに騙された名無しさん
『這いよれ! ニャル子さん』(現在2巻、逢空万太、GA文庫)

これは、「文章を書かずに小説を完成させる」という革新的な小説作法に挑んだ作品である。
人類の長い歴史の中で蓄積された、膨大な資産を再利用することによって、独自のコーディングを最小限にして小説を作り上げるという、まるでクラウドコンピューティングを彷彿とさせる、まさにトレンドといえる手法ではないだろうか。

この二冊の文庫本を完成させるために、著者が「自身でコーディングした」文章量は、おそらく星新一氏のショートショート一編よりも少ないであろう。
さらにいえば、そのための脳活動に費やしたエネルギーは、一割未満に違いない。
これはまさしくエコ。これもまた時代の先端である。

驚くべきことに、この手法の利点はこれだけではない。
SF作家の平井和正氏には、読みやすい作品を書こうと心がけたところ、苦労して書いた作品も読者はあっという間に読み終えて次作を催促するようになり、自分の首を絞める結果になってしまったというエピソードがあるが、この作法ならそんな問題とも無縁。
明らかに、過去の手法の数倍以上の速度で作品を仕上げることができるであろう。

しかもその作品は、読者にとっても早く読むことができるものになる。
ほぼすべてのセンテンスが過去に目にしたことがあるのだから、理解が早いのは当然。
ユーザが慣れ親しんだインタフェース、なんとユーザフレンドリーな作品ではないか。
それはまた、忙しい現代人の時間を極力無駄にさせないという心遣いでもある。

唯一、この作品に問題があるとしたら、それは
「小 説 と し て は ど う し よ う も な く つ ま ら な い」
という点であろう。
だが、この革新的な試みにとって、そんなささやかな欠点など取るに足らないものである。その程度のことでこの小説作法を否定してはいけない。
どんな新技術も黎明期には問題があるもので、それはやがて解決されるものだ。
それに、この作品のつまらなさの責の大半は、作法ではなく著者の才能にあるのだから。