「さよならピアノソナタ」
音楽青春恋愛小説。現在の代表作(たぶん)。今のところ唯一の完結済み作品。
主人公はCDを聞くだけが趣味の男子高校生。ヒロインはとある理由でピアノを弾かなくなったピアニスト。
なんのてらいもない、清々しいほどのボーイ・ミーツ・ガールだが、全編にわたって「音楽」が
テーマとなっていることが大きな特徴。しかし音楽の知識はなくても雰囲気が伝わる秀逸な描写が多い。
ヘタレ鈍感男を中心に、ツンデレと幼なじみとセクシーな先輩が全員惚れるハーレムものなのだが、
読後感はどこまでもさわやか。杉井初心者に最もすすめやすい作品。
【シリアス】−−−−−◆−−−−−【コメディ】
「死図眼のイタカ」
伝奇ミステリ。一迅社文庫から出た久々の「黒杉井」。わかりやすく一言で言うと「萌え京極夏彦」。
旧弊的な地方都市の支配者一族”朽葉嶺家”には、代ごとに四人姉妹の中から一人を選んで
後継者の嫁にする習わしがあり、その婿である少年が主人公。嫁選びの儀式が近づく中で
街では猟奇殺人事件が頻発し……という、伝奇の王道的な展開。
デビュー作にすらわずかに存在した微笑ましい要素は一切なく、陰惨なラストまで一直線。
一応、今後の展開があるようなことをイベントで発言していたが、今のところ単巻。
【シリアス】◆−−−−+−−−−−【コメディ】
「さくらファミリア!」
神聖冒涜微エロラブコメディ。イタカの次に一迅社から発売され逆方向に針が吹っ切れた怪作。
イスカリオテのユダの生まれ変わりである少年のもとに、イエス・キリストの生まれ変わりがやってくるのだが、
これがなぜか双子の美少女。さらに大天使(巨乳)や大魔王(幼女)まで同居することになる。
伝統的な押しかけハーレムストーリーなのだが、扱っているキリスト教ネタが妙に現実に即していて
非常に危険なにおいを漂わせ、しかも「ばけらの!」(後述)よりもさらにメタネタが多い。
シリアス分をほぼ捨てており、オチまで含めて徹頭徹尾ばかばかしく笑わせてくれる。
【シリアス】−−−−−+−−−−◆【コメディ】
「ばけらの!」
主人公が作者自身、登場人物がほぼ小説家という、あらすじ発表段階で業界騒然の怪作。
ヒロインがけものみみ・尻尾つきの狼少女(作家)、ネット上に流布しているいわゆる「支倉凍砂の本当の姿」。
その他、作者の知り合いの作家が多数登場。同期の友人をヒロインに仕立て上げ、
まったく照れることなくラブコメ展開を描ききった(ある意味)衝撃作。
連作短編形式で、基本的には作家たちが集まって楽しそうにダベりながら最後に人情話でオトす構成。
作家ネタがわからなくても普通のラブコメとして読めるという逆方面でのサプライズもある。
【シリアス】−−−−−+−−◆−−【コメディ】