つまらない小説を無理矢理褒めちぎるスレ6

このエントリーをはてなブックマークに追加
329イラストに騙された名無しさん
>>327難しいっつーの。

「らき☆すた殺人事件」 ちょ:竹井10日 原作・イラスト:美水かがみ

ワンコイン、ワンコイン――ある時期流行った言葉である。
100円玉一枚でハンバーガーが買え、500円玉一枚でボーリングができる。
本著にその500円玉を使えば、ボーリングの球を投げるがごとく、ハンバーガーのように薄い本が宙に舞う。
実に興味深いことである。

さて、殺人事件という名を冠した書籍について、諸兄はどのようなイメージを抱かれるだろうか。
こと小説というフォーマットにおいては、まずミステリ、推理小説が筆頭に上げられるだろう。
では我々はミステリに何を期待するだろうか。
米澤穂信のような日常の謎を巧みに利用した本格ミステリ作品だろうか。
あるいはL. O. V. E. 路線のように人間の心という本質へと問いかけを与える作品だろうか。

著者はこれらの先入観を見事に覆す。
定石から離れて自由に展開する本文に、読者をほっとさせる真相と結末。
生き生きとした萌えキャラたちが、既存の原作という枠を超えて様々に振舞い、日常と非日常を描き出す。
そして読者は気づかされる。
――殺人事件だからミステリなのだという考えこそが間違っているのだ、と。

しかし結局のところそんな御託はどうでもいい。
物語と関係のないカラーページのシャワーシーンには、500円玉一枚以上の価値が見出されるからだ。

最後に重要な事実を述べておこう。
そもそも本作に関しては、角川の戦略それ自体が解きようのないミステリなのである。
私はそのことを発見したのだが、生憎ここには余白が足りない。本の中にならある、かもしれない。