【狼と香辛料】支倉凍砂(はせくらいすな)スレ 13
数日後。若草が雪の名残と語る細い街道を、
美しい少女が一人で操る荷馬車が辿っていた。
夜は明けても、鉛色の雲が東の空を厚く覆い、朝の日は届かない。
あるかなしかの風が狼の耳を隠すフードを揺らし、見渡すかぎりの草の海を渡っていった。
少女の背後から、朝一番の乗り合い馬車の騒々しい音が近づいてきた。
五メートルほど前方に小さなベンチが置かれていた。
これでも街と街を継ぐ乗合馬車路線の中継駅である。
ベンチに腰を下ろしていた細っこい少年が荷馬車に気づき、はっと顔を上げた。
次の瞬間、照れくさそうな表情をつくってうつむく。
手袋もない両手は赤ぎれだらけだった。
傍らの小さな鞄には――ラントとあった。
少女と、そしてかつてはロレンスのものであった荷馬車は通り過ぎた。
少しして、背後で乗合馬車の止まる音。それが近づき、追い抜いていく。
いきなり窓があき、少年が顔を出した。
細い手を必死に振りながら何か叫んだ。
けたたりましい蹄鉄と車輪の音がその声をかき消した。だが少女―ホロにはきこえた。
少年はこう言ったのだ。
「ぼく、買い付けに行くんです。親方がまかせてくれるようになったんです」
馬車の後を追うように一陣の風が吹いた。
ホロは思い出した。
ロレンスの言葉に耳を傾けていた少年の顔を。
限りなく懸命で、尊敬する彼から何かを得ようとするその眼差しを。
そしてホロは知った。
かつては使い走りに過ぎなかった少年が、志半ばで倒れたロレンスの夢を継いだことを。
いつか雲は切れ、差し恵む光の彼方へと消えてゆく小さな馬車を見送りながら、
ホロの口元に淡い微笑が浮かび始めていた。もしも少年が目に止めたなら、
それを浮かばせたのは自分だと、いつまでも語り続けたことだろう。
それはそんな微笑だった。
>>432 本物のロレンスは単なるへたれ行商人で、偶然麦束を積んでただけ。
ホロは自力で抜け出しただけなのに、ロレンスを恩人として大切に思ったらしい。
そして約束どおり美談にして語り継ぐために電撃大賞に応募したそうな。
おもいでほろホロ
春がきたからかまた変なのが湧いてきたなぁ
>>432 ホロの事だからその場のノリで一を十に広げて物凄い話に仕立てられそうな気がする
>436
変なのってどれが?
>>433だろ、多分
>若草が雪の名残と語る細い街道を、
この書き出しからして、すでにおかしい
文章は達意平明に 技巧を凝らしたいならばもっと勉強してこい