ラ板住人のラ板住人によるラ板住人のための一行リレーラです。
<ルール>
・一レス一行にまとめること
・前の人のレスを受けて展開させること
<禁止事項>
連投/夢オチ/下ネタ/即死/ライトノベルをラノベと省略すること/流れを読まない粘着/スルー
次巻は
>>980が出版することとします。この辺例外もあります
過去ログは
>>2-3あたりにあります。
我輩は主人公である。名前はまだない。
「やあ創造神何をしてるんだい?」「ああ破壊神か、ちょっと暇潰しに英雄でも創ろうと思って」「いいねえ俺も参加するよ、どんな設定にする」
英雄?我輩のことだろうか。設定?我輩の運命のことだろうか。こやつらは我輩の運命を決めようとしているのか
我が輩は軽く両腕を伸ばした。つい、大きめのあくびが出る。良い天気だ。ん、我が輩はどうやら余り上等な服を着ていないようだ。それもよかろう。この分厚く実用指向の服も、嫌いではない。さて、我が輩が持っているのは、
ひのきのぼうとかわのたてだけである。スライム程度を蹴散らすには十分と言えるだろうが、ドラキーあたりを相手にするには少々心もとない。
ただのひのきのぼうを町で買う必要などは本来ないはずなのだが、生憎と我が輩の行動は神の作ったルールに縛られているのだ。是非もない。
「創ちゃん我輩って奴が勝手に動いてるけど」「あーいい、あそこ何も創ってない世界だし。まだ主人公候補なだけだし、それより時代設定どうする?」「うーん現代世界にする?」
我輩は……この一人称疲れるな。普段どおり行こう。俺は身の危険を感じていた。何者かに監視されているような気味の悪い感覚がする。
イヤな予感。後頭部に焦げ付くような感覚。とっさに俺は伏せた。半瞬前まで俺の頭があった場所を、風を切る音と共に黒い影が横切る。危なかった。凶暴な牙と爪を備えたそれは、音もなく向うの茂みに着地し、こちらを振り返って低い声で威嚇する。その口には無数の牙。
獣人?わからん何でこんな住宅街の片隅でオカルトと対面してんだ、ガブッ!腕に鋭い痛みが「この!」俺は腕を地面に叩きつける。くそ意識が「噛んだぞお前も俺の同類になるんだ」
それから1週間後のことだった。俺の身体に異変が起きたのは。
一日目、
一方何処とも知れぬ空間「よっしゃできた」「んー何が創ちゃん」「今回の世界モデルは地球21世紀、さらに特定遺伝子保有者はあるきっかけで特殊能力者に覚醒」
そのころセバスちゃんは
週末のペルー戦に向けて
大型の高速ヨットの整備に余念がなかった。「待つよろしメアリー。今度のアメリカズカップに優勝したら、君と結婚するね。絶対アルよ」
その話し詳しく聞かせてもらえる。今一番聞きたくない、聞き慣れた声が空から聞こえた。
「なんだよ姉貴俺の妄想に茶々入れんなよ。あと部屋に入るときはノックしろっていつも言ってるだろ」
「一樹、お父さんが、お父さんが!」姉の後ろには、父親が立っていた。その腕からは血の滴が、音を立てて床に滴っていた。これはただの傷ではない。何か、大型の肉食獣に噛み割かれたような傷だ。
そこで俺は目を覚ました。嫌な夢だった、汗でパジャマが身体に張り付いていた。時計を見るとまだ午前12時3分。真冬の夜、外では雪が降っていた。俺は着替えるために寝室を出た。
だが腕の傷を見てそれが夢でないと理解した「これじゃ親父と同じじゃねえか」そう十年前俺と同じく腕に傷を負いその後蒸発した。今は姉との二人暮しだ
俺は夢の中の出来事を思い出した。突然訪れた、あの“感覚”。人後を話す獣人。腕に覚えた火のように熱い痛覚。どうやらあれは夢ではなかったようだ。包帯に覆われた腕をそっと撫でる。でも、いつ部屋に帰ってきたんだろう? そして、誰が治療を?
――同時刻の某所。「博士、被験体が目を覚ましたのですが…」「どうした?」「どうも記憶が残っているようなのです」
「か・ず・き・・れ・い・こ」白い部屋の中獣が暴れる「部屋の強化は済んであるか?」「はい脱走はありえません」「ふん先日破られたばかりではないか」
「しかし博士、こんな非人道的な実験に意味は…」「それ以上言うな。すべては陛下のためだ」
「閣下?閣下のためですか?」「そうだ、閣下の壮大なる計画の一部ではあるが、まぁ詳しい話は今度と言うことで…」
(はっ…これで計画の一部、ね。一体どんな大事を企んでやがるんだ?)博士の助手、S機関からのスパイ・綾裂はこっそりと心の中で唸った。「どうした、助手?」「…いえ、なんでもないですよ博士」
「ところで話は変わるんだが綾裂くん、君の名前『綾裂』は何と読むのかね」
「あやさきです。それより彼がそんなに重要なんですか見たところただの獣人ですが?」「ふふ彼は感染者だわしやお前のように自然発生能力者を探すのと違い量産が可能になる」
「博士、いいから句読点をつけろ!」「な、なんだね急に?」「聞き取りづらい…んですよねえ、その喋り方は、ははは(…しまったつい地が出ちまった)」
「綾裂くん、女性なんだからその口調はどうかと思うよ。君は黙っていれば美人なんだから…」言い終わらないうちにドアがバタンと開いた。「!」
開いたドアから黒ずくめの男が二人、ドアの内側両脇に張り付いた。安全を素早く確認すると低い声で「お入り下さい」と声をかける。すると、まだ幼い少年が二人の男を引き連れて入ってきた。「弟王さま。本日はいかなる御用向きでしょうか」博士は臣下の礼を取った。
(王ね、たかが犯罪組織なのに随分と大仰な呼び名ね)綾裂は心中をおくびにもださず同じく礼をとった
「えぇ、僕もそう思います」弟王と呼ばれた少年が、綾裂に対して、柔らかに微笑んだ。
綾裂の表情が凍った。なぜ、私の考えていることが?「驚かないでください。これだけ数が減ってしまったとは言え、僕も種族が“王”の一人なのですから、この位は嗜みます」やわらかにそう言うと、弟王は博士に向き直った。「新な仲間を造り出す計画、進んで居られますか?」
「それは問題ないわ。量産はできる…。ただ現在の技術力では造っても寿命が3年しか持たないの。」
「ふん、3年あれば十分だ。所詮人の手で造ったもの。今の所、あの計画さえうまく行けば良い。数を増やすのはそれからでも遅くないだろう。お前の命も俺が握っている。グズクズせず何とかすることだな。」
「ええ、実験体《凶獣》能力は獣化・再生と思われたのですが、能力者を覚醒させる感染者と判明しました」「ふーん、で、脱走した際の行動は?」「え、いや、すぐ確保できたので・」
「行動は?」弟王が笑顔で尋ねる。「う、うむ。しょ、詳細は後ほど報告書にして提出しよう」博士は何故か吹き出る汗を拭いながらなんとかそれだけ言った。
「一樹、朝ご飯食べないの?」キッチンから姉の礼子が呼ぶ。「うん、判った」生返事をしながら、血のこびりついた包帯を、音を立てて腕から剥がす。予想に反して、腕には何の傷もなかった。やっぱり夢だったのか。そう思いながら、一樹は自室を後にした。
「一樹、今日は病院いって怪我を見てもらわないと」「いや、深い傷じゃなかったみたい」「・・そう。一樹は父さんみたく黙って消えないよね?」「当たり前だよ玲子姉さん」
「書き置きぐらいは残すよ。それより、さ。例の件どうなった?」
「順調よ。今朝報告が入ったんだけど、ついに父さんの仇の目星がついたわ」
「仇って、まだ死んだときまったわけじゃ」「でも、あの事件の後よ、父さんが蒸発したのは。」
3年前のあの事件。当時、謎の獣に人間が襲撃される事件が多発していた。襲われた被害者の性別や住所、年齢や地位はまちまちだった。
ただ、1つだけ共通点があった。俺と姉さんだけが気付いた共通点。それは・・・
過去に有る特殊なアレルギー治療を受けていることである。そして、父さんや俺。そして姉さんもその被験者になったことがある。
三年前のあの日。ちょっと出かけると言った父は千切れた衣服と大量の血痕だけを残し、行方がわからなくなった。
いや十年前だっけ?まあ、どうでもいいか。…ともかく父さんが蒸発し、母さんもその心労と家計を支えるために始めた慣れない仕事のせいで去年、静かに息を引き取った。
そして、俺と姉さんは二人きりになった。俺にとって家族がいなくなることは、耐え難い恐怖だ。
「一樹、一樹どうしたの急に黙り込んじゃって。タンメンが冷めるわよ」
「父さんは今どこにいるのかな?」・・・「博士、凶獣のデータは?」「はっ、弟王様彼は十年前覚醒。三年前通り魔事件の際確保」「あれか、彼はわかるんだなG遺伝子の保有者を」
「よしそこまで解っていれば上出来だ。…時間だな。僕はそろそろ幼稚園にいく」「行ってらっしゃいませ弟王様」
『幼稚園』というのは、子供ばかりを集めた実験施設のことである。最近では、規模拡大と、それに伴う大々的な拉致まで計画されている。
通称「幼稚園」と呼ばれるそこを生き残り卒園する事ができた一握りの者たちは、裏社会で「見えざる者」と呼ばれ恐れられている。
一方、一樹玲子の姉弟。トゥルルル!「はい南方ですあっ弁護士さん。えっ、手を引く。葉海製薬が三年前の事件に関わっている証拠は・ガチャ!」「・・姉さん、店を開ける時間だよ」
玲子は両親の残した遺産を元に喫茶店を経営していた。生活費と一樹の将来の学費を賄うのでいっぱいではあったが、どうにかやっている。そこで、葉海製薬の薬害と謎の襲撃事件の奇妙な同期のついて、密かに調査していたのであった。
「ねえ一樹。前話したこと、覚えてる?出前をやらないかっていう話。あなた止めたけど、やっぱりやってみようと思うの。ランチ以外での食数増やしたいし…」
「もちろんいいよ。ラーメン始めるんだよね。懐かしいな…父さんの店「雷来軒」は無くなっちゃったけど、きっと姉さんなら幻のタンメンを作れるよ」
雷来軒それは知る人ぞ知る伝説の店。一樹達の父は唯一暖簾分けを許された男だった。
「冗談じゃないわ。喫茶ライトニングは本格的珈琲が売りなんだから。それに、父さんの味なんて、再現できないよ」遠い目をする玲子。「さ、無駄話していないで学校へ行ってらっしゃい。――学費ならどうにかなるから、勉強をきちんとお願いね」
いつもどおりの退屈な授業。しかし2時間目が終わったころ俺はある違和感に気が付いた。
『学費ならどうにかなる』だって?まさか。店はまだまだ軌道に乗ってないし、弁護士費用だってある。資金難もいいところなのに。
だのに、姉さん…
俺は嫌な予感がして大学を飛び出した。ヒュン!体が軽い?「おい一樹・・つむじ風?」・・喫茶店には黒服がいた机の上には札束「貴女邪魔です。これで葉海製薬から手を引きなさい」
「これっぽっちで?フン、桁が違うんじゃないの?」姉さん・・・流石です。
「少し、世間を知った方が宜しいですな」唇の橋をつり上げ笑う。「恐喝でもするの?」姉さんも負けない。「まさか。合法的な手段は……ん?」男が後頭部を押さえた。と、同時に俺も後頭部に焦げ付くような感覚を覚えた。「君は…誰かな?」振り向いた目が金色に輝く。
「貴方こそ誰ですか?」俺は何とか言い返した「葉海製薬の人間だよ。ふーん、試してみるか」ポーン「グアァァァァ!」頭が痛い痛い「一樹、貴方何を!?」「姉の方は適性なしか」
男が何を言っているかは分からない。だが、ここで男を排除しなければ、姉さんと引き離されてしまうだろうコトが直感で分かった。
「姉さーんお昼ご飯できたよ〜 今日は手打ち蕎麦…あっ」ドンガラガッチャン「いっけな〜い、つまづいちゃった」黒服男の頭に蕎麦をぶちまけてやった。
台詞こそ萌えキャラ風だが蕎麦つゆの熱は洒落ではない。今回は特にあんかけもサービスしてある。
「・・・面白い事もわかりましたし、今日のところは失礼しますよ」男は平然とした態度で出ていった・・数分後「あっちぃぃー!!お前冷凍能力あったろ冷やせ!」そんな声が聞こえた
「ご免ね、一樹。でも、さっき具合が悪そうだったけど、大丈夫?」「平気だよ。それより、午後は休講でヒマなんだ。少し手伝うよ」俺はカウンター奥に入り、エプロンを着けようとし、ふと手を止めた。男が何かした時の、細胞が燃え上がる感覚が一瞬蘇ったのだ。
あれは、なんだってんだろう。体が熱くなり血がたぎえり、そして・・・そして、なんだか忌まわしい事を一瞬思ってしまったような気がする。
「どうしたの一樹、鼻血出てるわよ」「い、いやなんでもないパンダ!!」
「パンダ?」「ち、違う。俺、トイレ行って来る!」便所紙で鼻血を拭きつつ俺は考える。なんださっきの他の世界と繋がった感覚は
トイレから出、手を洗う。食品を扱う店なのだから、当然消毒まできちんとやる。すっかり洗い終え、水を止めようと蛇口を軽くひねった。すると、蛇口の持ち手が手の中で粘土細工の様に潰れてしまった。「何だ、これは……」背中に冷たい汗が伝った。
「盛り上がってきたな創ちゃん」「まあね、でも気を抜くとぐでぐでになるから、その時は修正たのむよ破ちゃん」「あいよ、記憶因果の破壊はおまかせ。さっきちょっと危なかったし」
「なんだお前ら」小学生らしい男の子2人が、洗面所の窓からこちらを覗いていた。
「へー、俺たちを認識できるんだ。ちょっと試そうか」窓ガラスから手が伸びてくる。俺はいや人間は此れには勝てない。こいつ等はそういう存在だと唐突に理解した。
奴らの名は『睡魔』。父さんが言っていた、人類の敵だ。するとさっきの蛇口も幻覚か。そう意識してみれば、蛇口は元の形のままそこにあった。これならば…!
どこともしれね空間「くすくす、何か俺達睡魔で幻覚だってよ創造神」「しばらくは様子見だ破壊神。それともそういう存在を創ろうか」「まあ、しばらく葉海製薬に任せようか」
「いやまて、これはまずい兆候かもしれないぞ」「何だよ急に雷神」 なんだ小学生がまた1人増えたぞ。春休みだなぁ
そう、今は春休みだ…。桜の季節………。小学生…………。俺の中で何かが繋がった気がした。そして、ぼんやりしていた頭が急にはっきりした。この研ぎ澄まされた感覚…
「スイッチは開いたか、じゃあいい加減帰れ」「何をうわわわーーー!!」気がつくと俺は洗面所にいたさっきまで…何だっけ?「一樹どうしたの?」
「なんでもないよっ窓の外に小学生男子がいてちょっとショタ魂に火が…いやなんでもないです」冷たい視線が突き刺さる「それよりさっきの奴らは何なんだよ」
「あいつら、ね。名刺には葉海製薬総務部ってあるわ。私、奴らが公表している、例のアレルギー治療薬の治験資料を調べたの。それは特定の時期に行われ、開発中止になっていた。その原材料仕入れを洗っていたら突然奴らがやって来た訳」
「まいったわね弁護士は手を引かれるし。明確な被害者がいないから誰もがおよび腰よ」葉海製薬全国規模の会社で、この町の発展の中心。そう現状でこの町は全て上手く行っているのだ
安定した雇用は住民を根付かせ、その税収は町を潤し、議員は票田を得て葉海製薬の紐付きとなる。俺たちの戦いは、この三者の結合を切り崩すところから始まるだろう。まず倒すべきは…
ワンマンぶりが最近鼻につく都知事だ。
「一樹、あんた今変なこと考えてるでしょ。都知事を倒すとか」図星。「いい。葉海製薬を潰す必要はないのよ。私達は葉海製薬から真実とお金さえ搾り取れればいいんだから」
お金って・・・本音が漏れてますよ姉さん。「でも具体的にどうしたらいいのかな。新聞社にでもタレ込む?」
「何を?どれも噂話で証拠がないわ」そうだ結局現実問題として俺は何の力も持たないただの大学生にすぎない。
翌日、
俺は大学の図書館に入り浸っていた。ゼミのレポート作成の為、と言うのは口実で、実はあの葉海製薬のルーツにについて調べていたのだ。驚いた事に、この会社の歴史は安土桃山にまで遡り、当時漂着したバテレンがその始祖で有るらしい。ところが彼らについて調べると、
腹がへってそれどころじゃなくなったんでメシに出かけた。
吉野家に入ると、あいつがいた。
あいつではなく、あいつらか。俺以外に姿が見えない二人の小学生。「また会ったねえ」「会ったよね」からかう笑顔が気に障る。「いったい何だ、お前ら」「僕達と話しているとら目立つよ」「目立ってるね」店内の数人がこちらを見ていた。独り言と思われている様だ。
「いいんだよ春だから。大して珍しくないだろ。あー兄ちゃん大盛1つとこの子たちに並盛2つお願いね」
一度聞きたかったんたが、お前ら双子?? そっくりな顔してよ。 それになんだその格好は………。 タキシードで牛丼食いに来るなっ
俺はそれ以上喋れない。不可視の力で押さえ付けられ、体中に激痛が走る「うるさいよ一樹、それより大学に戻りな物語が動くから」俺はあっけなく気絶した「お客さん大丈夫ですか」
「判った、判ったって!」ようやく体が自由になる。周囲の変な人を見るような目がとても痛い。その場を誤魔化すように、俺は牛丼をお持ち帰りにして貰い、大盛りひとつと並二つを抱えて学校へ戻った。
学校に着いた。はずだった。「あれ?学校って…ここだよな?」塀はあるが校舎がない。だだっぴろい更地が広がっていた
「大学なら移転したをですけど」俺に声をかけた人がいた。おかしいさっきまで確かに此処に−−−−そうだ、そうだったな間違って古い方にきちゃった「貴方は?」「綾裂と言います」
「こんな更地に居ても何もいいことありませんよ…早く帰りなさい」綾裂と名乗った女性はそういって入り口に向かって歩き出す。俺は訳がわからずなんとなく彼女と一緒に歩き出した。「…けっ、しかしこれ程とはな」「え?綾裂さん、何か言いました?」「…いえ、何も」
何故俺が移転前の学校の敷地へ来たか。多分、調べていた資料に、葉海製薬の始祖であるバテレンが教会を建てた場所だと出ていたからだろう。アダムに知恵の実を食べさせた蛇を知恵の天使として崇め、各地を追われながら変容していった異端の教会だが。
GUUuuUURooOO!急に響いた異音に俺は横を見る。立っているのは綾裂さん一人「私の腹の叫びです」視線が狂おしいまでに牛丼一筋。
俺は牛丼をだし「食べる?一人じゃ多いし」「まあ、どうしてもと言うなら」「じゃあいらないの?」「・・・ください」
「そうじゃないでしょ」「・・・牛丼をいただけませんでしょうかご主人様」「よくできました、はい」彼女のむさぼるように食べる姿を見ながら俺はしばらく優越感に浸っていた。しかしすぐさま、あることに気付いた。
綾裂さんは両手にひとつづつ丼を持ってかっこんでいる。俺の持っていたのは大盛と並の計三つ。じゃあ、残りひとつはどこへ行ったというのだ…!?
「美味しいねぇ、これ」「!!」ふと見下ろすと少女がいた。いつの間に現れた!?なんで牛丼食ってる!?
ピロリロリ〜〜♪
そんな時にメールが届いた。さてと、差出人はと
差出人は『葉海製薬総務部 担当 八島』――!! 「そろそろ、発症因子が目覚めた頃だがどうかね? 研究員である綾裂の指示を聞いて生き残るも良し、聞かずに人としての姿を失うも良し、だ。選択肢は君の手にある」だと?
「さぁどうするぅ?お兄ちゃん」少女が邪悪な笑みを浮かべている。
綾裂さんもさっきまでの情けなさは完全に消え、怖い顔で何やら考え込んでいる。俺はそれを横目に見ながら、警戒しながらも少女に尋ねた。「君は・・・誰だ?」
「葉海清音、調べてるんならわかるでしょ」「・・現会長の孫娘」「偉い偉い、よく調べたね」瞬間、俺は殴りかかってた。が、少女は指一つで止めていた。「疾いねそっち系の能力か」
「秘蹟を起こす血筋って腐りやすいの」綾裂さんが怖い顔のまま呟いた。「何が…」「でも、長年の純化の果て、我が教団は偉大な果実を手に入れつつある。でも問題は残った。一つは出生率の低下。もう一つ。普通の人間には認識できない個体、ロストチルドレンの発生」
親父が異常に子沢山だったこと、俺が最近見えない子供を見るようになったこと。いくつかの疑問に答えができたが、これをこいつらに気づかれてはならない。
「えい!」少女、葉海清音がそんな掛声と共に軽く指を弾く「ぐぉ!?」その瞬間、俺は冗談のように吹っ飛んだ。
無様に倒れこむのを拒否して、なんとか体勢を立て直す。「うわ、あれを受けてほぼノーダメージ?」呆れたような清音の声に「んなわけあるか!」と突っ込みを入れる。
「大体なぁ、俺は牛丼食えてないんだよ!返せよ俺の牛丼!」明らかに負け惜しみだし、少女が食べたのは並盛だからお門違いなのは承知の上。まずは時間稼ぎをしないといけない。
少女は、おそらく綾裂さんも、知らないのだ。男を苦痛で殺すには、ある場所を指で弾くだけで十分だということを!時間を…回復するための時間を、稼がないと…!
「何か企んでる目だねー。バレバレだよお兄ちゃん」その瞬間目の前が暗くなった。気が遠くなる・・・
だめだ!ここで気絶したら俺は殺される。そしたら玲子姉さんは一人になる逃げるんだ「なあに逃げられると・・疾い」ヒュン俺は走った体が軽い光が見えるこれは光速の世界
と、思った途端足がもつれてすっころんだ。それはもう豪快に、むしろ転ぶのが当然という勢いだった。
気が付けば、図書館前。携帯の着信音が鳴る。番号は非通知? 「ハーイ、逃げ足の速い一樹君。こちら綾裂姉さんだよ。あんた、名前と住所押さえられた時点で逃げても無駄だって判らない? 取りあえず話の続き。もし、人間で居たければ、切るんじゃないよ」
時すでに遅し、俺は携帯を図書館の返却ポストに投げ込んでいた。恐怖にかられた俺は図書館の中に入り受付のお姉さんに
思わず、すりーさいず を聞いてしまった………
「上から72、56、・・・
129.3」
「マジで!!」「ウーソ」ガコン!一樹は頭を本で叩かれた「何とち狂ってんのバカズキ」「えっ、お前は!?」
「何故かいつも俺に絡んできては喧嘩を売る究極のツンデレ、斉藤雪!」まあ、ツンデレとはいえデレッた所は見たこと無いが。
薬学部の江ノ島、だ。高校からの顔見知りで、葉海製薬についての調査を頼んでいる。「受付のお姉さんは今お昼よ。私、替りを頼まれたの。で、返却ポストを調べたら、こんな物を発見」江ノ島の手には、俺の携帯が!「試薬γ16がどうこうって言ってたわ。どういう意味?」
>>133 (しまった、被った。取りあえず名前は斉藤雪だとして脳内補完よろしく)
『薬学部の江ノ島』という二つ名を持つツンデレ、斉藤雪が差し出した携帯電話からは、一人で延々と説明を続ける綾裂の声が漏れ出ている。
「あなたはわたしからにげられないのずっとずっとずっとおいかけるあなたをおいかけるのずっとおいかけるの…」
「聞いてのとおりだ、斉藤雪。お前に頼みたいのは…」江ノ島。デートすると別れる伝説の島を二つ名に持つように、斉藤雪の別れさせ屋スキルは神の領域にある。
「それは難しいわね。相手は葉海製薬の研究員でしょ?」「……知っていたのか」「たっぷり喋ったから。それでさあ、治験に参加しないとどうとかって言っていたけど、どういう事?」「それは…」言葉を継ごうとしたが、声を出しづらい。見ると、手に獣毛が生え始めている。
「もうだめかもわからんね」
「縁起でもないことを言うなよ」声を絞り出すと、俺は生えてきた獣毛を引っ込めた。最近こういうことは頻繁におきるので、対処はなれたものだ.
まあ焦ってもしょうがないか。ここまで走ってきて腹も減ったことだし「雪、飯でも食いに行かないか?」と誘ってみた
「やだよ、あなた濡れた犬みたいな臭いするもん」ひどい扱いだ。「ほら、バター飴。舐めながらでいいから話を聞きなさい」なんていい友達なんだろう。
なんて旨い飴だろう。雪がこちらを見る目が細くなったのが気がかりだが、俺は最後まで舐めきった。「ああ、旨かった」「そう、そんなに試薬γ16は美味しかった?」「なにおう!」
直後、俺の身体に異変が起きた。胸が熱い・・・頭がぼうっとする・・・なんだこの感情は、目の前の雪がひどく可愛く見える。好きだ!抱きしめたい!
「ふん。試薬が眠っていた因子を顕在化させ、発症前の保菌者でしかない私に反応し始めた、か。綾裂さんの言っていた通りね」「どういう意味だ!」「私ね、綾裂さんの助手志望なの。だから協力してたんだ。あーそのままだと獣化が止らなくなるよ。どうする?」
146 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/05(木) 03:16:12 ID:KQEtIYJY
冥王「フハハハハハお前を殺す」
何か選挙カーが通り過ぎた。俺も選挙行かなきゃ、義務だし権利だもんな。で俺の状況は変わらないわけで。母さん、富良野の冬は厳しいです。
あの時の俺はまだガキだった――ただ、今なら分かる気がするんだ。母さんが、あの時言った言葉の本当の意味が。
そう、あの時母さんは確かにこういった−「あなたは都知事になるのです」
いや違う本当は何て言ったけ?・・あれ何で黒服に囲まれて「綾裂、雪、協力に感謝する」一樹は黒服に運ばれた「綾裂さんこれでよかったんですか?」「ええ、これでより深く組織に入り込める」
なんとか変な気分が収まり、気付いたときには俺は捕まっていた。「あ、あれ?おい、雪!友達売る気かよ!それじゃあお前ツンデレじゃなくってツンドラだぞ!」
雪はまるで養豚場の豚を見る様な目で俺を見ていた。俺はすべてを悟り、観念した。そして俺が連れて行かれたのは、
154 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/05(木) 21:20:20 ID:KQEtIYJY
冥王の前だった。冥王「頂きま〜す」
γ16---獣化。人を豚に変身させ、来るべき食糧難にむけて売り出すという悪魔の薬だ。生まれてこの方ドングリしか食べたことのない俺の肉は、さぞかしうまいことだろう。
「違う」俺の心の呟きを聞いた!?「この薬は試験薬G遺伝子を持たない者にはただのビタミン薬、しかし因子の持ち主には」「グガアァァー!!」体が痛い「貴男の能力は何かしら?」
157 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/05(木) 23:33:41 ID:KQEtIYJY
怪人バビーボンに変化した
158 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/06(金) 01:02:02 ID:mcdJkfJ/
冥王「バビーボン死ね」バビーボン「ククク」
綾裂の言葉も終わらぬうちに、俺の視界は変化した。周りの黒服が、綾裂が、雪が、その動きを止めた。いや、違う!俺の認識する速度が上がったのだ。まるで濁流を押し渡るかのようにまとわりつく空気をかき分け、周りを突き飛ばし、包囲を抜けた。
160 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/06(金) 01:08:14 ID:qAHn1K9V
包囲を抜けた先は、雪国であった。
もう訳が分からない…突破したが思考は支離滅裂、体は激痛でもう動かな…いや、動く!動くならとにかく逃げなくちゃ…!俺はバビーボンなんだからにげるれにげろお!!
「不甲斐ない奴だ」突然、俺の前に人影が現れた。「我輩が逃がしてやるから、3秒だけ目をつぶっておれ」
164 :
そだね。:2007/04/06(金) 01:58:01 ID:TowfYjO1
俺に嫌はなかった。言われるまま静かに目をつぶる。まるで三半規管をかき混ぜられたような不快感があり、そして再び目を開けると、窓のない高い天上のドーム型の空間の中央に俺はへたり込んでいた。目の前には、見知らぬ男。
「あ、ああうう」俺は礼を言おうとしたが口が上手く動かない。すると「む…喋る事すらもまともに出来んのか。しかたない之を飲め」と、男が飴の様な物をくれた。
飴じゃない?!カレー味のナノマシンだ。飲み込んだナノマシンは俺の体を修復していく…
なんということだ!俺の体が金髪ツインテール美少女になってしまった。これはこれでイイ!
ドゴス!「いてぇ」「静かにしろ!その効果は一時間だけだ」「あんたは?」「黒峰、お前と同じ葉海製薬を調べてるものだ内部からな」「俺どうなったんすか?」
「お前はあいつらが使っている人体改造薬を飲まされたんだ。諜報活動用に開発されたはずだが…」彼女は言葉を止め、俺の体をなめるように見る「趣味性が強すぎて使い物にならなかったんだろうな」
「使い物って?」「奴らは500年前に異端として追われたキリスト教の一派だ。彼らはその間特殊な血統を育て上げたのだ。真の王、救世主の血脈を」「じゃあ俺はその…」「違う、調子に乗るな。繁殖力が弱い王族の従者。それが貴様ら獣の血脈だ」
「そして、私は貴様の力をいただきに来た」いきなり唇を奪われた!!!?
文字通り!
斬られた唇を押さえ離れる「あんた味方じゃなかったんかよ!」「俺が手柄をたて組織に深く潜り込む、組織に追われてる力の無い奴を味方にする。どっちが得だ」
「しょうがないな間をとって俺が組織に潜り込むよ。唇うばわれちゃったし、あんたには責任とってもらわないとね」
口ではおちゃらけながら、黒峰を観察する。さっきからこいつは、言動、行動、性別までもが全て支離滅裂だ。そう、まるで作りかけの小説のキャラクターみたいに
取り敢えず今の俺は女の子で、あいつは男で、く、く、唇奪われちゃったけど。あ、あ、あれ!?私のファーストキス?ウッソー!イヤーン私のファーストキス返せー!エ〜ン奪われちゃったよ〜!ピシ?ピシピシ!あれっ?なんか精神が入れ代わる!パリン!
・・・訂正しよう。し、支離滅裂なのは俺もだ。「な、なんだって言うんだこれは・・・」血が流れる口を押さえながら俺は呻く。
「これでお前もメサイアウィルス保菌者だ。γ受容体、γ系試薬と合わせ、お前は王族の、我が輩の忠実な僕となったのだ」「何だと!」「悪いことでは無い。我が輩と共に組織に入り込める。珍しい自然発生の獣人としてな」
179 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/07(土) 04:16:08 ID:Wu3oCotd
その時!
オホホホホ!魔法少女冥王見参!
必殺魔法よん
ふわふわふぁんしー
どりどりどりーみー
ぷりぷりぷりてー
魔法少女奥技!
じぇのじぇのじぇのさいど(●^o^●)
なんと魔法の効果で一行ルールが崩壊した!
先程から言動が統一しない黒峰。ああ、壊れてるんだな、いや俺もかなら「はははは・・ザシュ!何故王の私が?」「革命ってしらない?黒峰さん」さて追っ手が来る前に逃げるか。
………………………………………。
カキーンと乾いた音とともに青空に描かれる一筋の白線。「ホームランだ」と言いながら空を見上げる小学生たち。
これは少し昔の話。
一樹の父の子供時代である。もちろん、今後自分の身や子供に事件が降り懸かるなんて夢にも思っていない。
そう、この日ボールをさがして草むらの中であれを見つけなければ……………
草むらの中に居たのはなんと赤子だった。そばに手紙が置いてある。
それは手紙ではなく契約書だ。《誓え獣の末裔。私が王になった時、お前の一族は私に仕え私以外の王を消せ》それは赤子から頭に直接声が聞こえるあらがえない声「イエスマイキング」
185 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/07(土) 23:08:58 ID:Wu3oCotd
そこに冥王が現れた「オホホホホ」
そして冥王は去っていった「その子を大切に育てるのじゃぞぅーーー・・・・」
ガン!俺はそこいら辺の岩に頭をぶつけた。とりあえず、冷静に現在の状況を確認しよう。
赤子はそのまま消えた《契約は成った忘れるな》・・・この契約が影響したのは今から十年前そして現在も・・「あれ一樹帰ったの」「・・ああ、ただいま」おかしい記憶が飛んでる
確か魔法少女が選挙カーで革命したら草むらで父さんと俺と出会って…いやそんなはずはない夢に違いない。でも何か変だ…「姉さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「話は後よ。あなたつけられたわね」腕をつかまれて家の中に引きずり込まれた。鍵をかけてバリケードを組む姉に、
全身鎧とゆうか、妙にメカニックな何かを着た母さんが、台所から出てきた。「‥母さん?」、「あらコレ?スーパーで買ったエプロンよ、値段の割に戦車以上の火力で空も飛べるの」
「誰だてめぇ!!」「何言ってんの母さんでしょ」「母さんは死んだはずだ」「・・引っ掛からないか、催眠には自信があったんだが」ドサ!玲子姉さんが気絶し、後ろに何かがいた
後ろを見ようとした瞬間鋭い痛みが肩から頭に突き抜けた、慌てて見れば……あるはずの腕が消し飛んでいた
194 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/08(日) 16:39:26 ID:r7MH+pBJ
一同「う、腕がー!!」
「こたびの取り組み、破壊どのの差配であったな」「いかにも」「血迷われたか」「何と申される」「左腕のない剣士に骨を断つことはできぬ。全身甲冑の剣士はおトイレにも行けぬ」
悶え苦しむ俺の前に、あの小学生2人が立っていた。「またてめーらか…目的はなん…なんだ…」それだけ言って俺は気を失った。
「やっぱり僕らが見えてる」「そうみたい」「お前ら、ロストチルドレンって奴か?」「教会は王の失敗作って意味でそう呼んでる」「そうだよ」「違うってのか?」「意外と賢いじゃない」「少しはね」「じゃあ、何者だ?」「神の器だよ」「だよ」王の次は神さまかよ!
何かがおかしい。気を失ったはずの俺が自称神の小学生と喋っている。
『君は今死にかけてる。だから僕らが見える』はあ?何言って、うわぁ!俺半透明、下に体・・「女は殺しとけ」おい待て、ふざけんなよ死んでる場合じゃねえ!『戻るなんて楽しませてくれるな』
『身体に戻りたいか。女がそんなに大事か?』『どうなの?』当たり前だ。二人だけの肉親だぞ。『なら取引だ。誓約に基づき、神の器の僕となれ』『なってよ』ふざけんな。お前らがやあったくせに。『違う。でも僕になれば仕返しは出来る』『できるよ』
なぜ俺なんだ
「君の体格がちょうど良かったんだ」
『あれ?だめだ既に契約されてるよ』『あちゃー、売却済か、まあいいか見物の方がいいや』黙れ、お前等に付き合ってる暇ない「うおぉぉー」俺は絶叫と共に起き上がる『王との契約か』
飛び起きて男に飛び掛る!「姉さんに触るんじゃねーーーー・・・え?」だが思った以上に加速してしまい10mの距離を0.23秒で駆け抜けそのまま体当たりのように男にぶつかる!
意外にも柔らかな感触。「女・・・!?」
ぶつかる直前、男の姿が消えた。壁に激突する俺。「ふん、出来損ないの野良獣人め」男の姿が歪み、また母さんの姿になった。「この姿は好きか? 無改造の落ちこぼれめ」
目の前で母の姿だった何かがまた姿を変えた
ぬらりひょんだ。「おぬしはこのままでは主人公失格じゃ」
ブン!かまわずぶん殴った「まてわしの硬度はお前では突破」「ごちゃごちゃうるせぇ!」殴る!殴る!殴る!拳が潰れかけるが知った事かこいつらは許せねえ「しょんなましゃ・ガン!
気がつけば両手で殴っていた。なくしたはずの左腕も、馴染み深い打撃の感触を返す。
「俺の左手が…まさか爺さん、俺の腕を復活させるためにわざと殴られたのか…?」横たわる血と肉のかたまりに、俺は自然と敬礼の形をとった。
ついに俺が殴っていた相手は、大きな血の塊を吐くと動かなくなった。「あ〜あ、人の持ち物に何て事をするんだろう」気取った男の声。振り向くと、俺と同年代の男が壁に軽く背をもたげていた。「初めまして、野良獣人。私の事は兄王と呼んで良いよ」
「てめえ」「いや、戦う気はないよ。なるほどその力、修司の息子か」「親父を知ってんのか!」「知ってるけど教えな〜い」俺が男に掴み掛かろうとすると幻のように消えた。
『兄王』と名乗ったそいつが消えるのと同時に、母さんに化けていた“何者か”も灰になって消えた。後に残ったのは、俺と姉さんだけ。それにしても奴の言葉が気になる。奴は父さんを知っていた。やはり、葉海製薬が怪しいのか?
翌日俺はあるところに向かっていた。
杜王町という町だ
不思議な運命を感じる
一方葉海製薬「おかえり兄王、黒峰が死にましたよ」「黒峰?ああ、王の血族だから王だと幻想した馬鹿か弟王」「なら何であの姉弟に興味を?確かに今の皇の守護者の血族ですが」「だから重要なのは個人の能力だ」
「その為には力を持たぬ者がどうなろうと知ったことではないと?」「我々は慈善事業家ではない……」
―舞台は杜王町に戻る。俺はある高層マンションの前に立っていた。
「どうしてこんなことに……」 俺はそこで全裸という自分の格好に呆然としていた。 それもそのはず、さっきまで風呂に入っていたのだ。そして、気がついたらここにいたのだ。 そして、目の前には呑気な寝息をたてている見知らぬ女の子。
(こんな夜更けに何をしているのだろう?それも高層マンションの前で寝ている...)俺がそんなことを考えていると、マンションから見知らぬ男がこちらに向かって手を振っているように見える。
どうやら住人のようだ。とりあえずこちらも笑顔で手をふりかえす。‥この時は忘れてたんだ。倒れた女の子の傍に全裸でにこやかに手を振る自分のことを
凝視している謎の物体Xが
手帳を見せながら近づいてきた。「ちょっときみ、免許証見せてくれるかな」
パジャマ姿の女の子を担いで俺は謎の物体Xの真逆に逃げる「おい、こら!君、待ちたまえ!」掴まったら人生が終わる、警察手帳なんて見えないが俺には何故かわかった!
物体X。俺がそう呼んだそいつは叫んだ。「待ちなさい、試験体F10号! 私は葉海製薬研究所の者だ。悪いようにはしない。こちらへその子を渡しなさい! その娘は普通の試験体じゃあない、王族の……」
「…うるさい」ドカーン!!少女が目覚めその言葉を呟くと警官?は爆発して吹っ飛んだ「おはよう」「…誰?」少女はそう言い全裸の俺を見て「…ぷっ」鼻で笑った
彼女の冷たい視線が俺の魂を射抜いた。おおおお何だろうこの体にあふれる屈辱と快感のえもいわれぬエクスタシー!ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒート!!
「きもい」ビシっ!チョップをくらった。「はは!申し訳ないですマイロード!」ってあれ?なんだか知らんが体が勝手に従っちゃう!?く、悔しい・・・でも絶対服従?って感じだ。
「しつこい!」彼女の左手におさまった武骨な拳銃がこちらに向けられた。「お?」―銃声とともに俺の体は虚空へと投げ出された。ちょい待ち屋上だぞここ死ぬってぷちぐしゃだっておいおいおい……
……目覚めたら、知らない部屋に居た。かわいらしいぬいぐるみやファンシーなカーテンから、一目で女の子の部屋だとわかる。
ヒュン!えっ落ちる、いや落ちてたまるか!途端に景色がスローモーションになりビルの壁を蹴り衝撃を殺し着地する。「しっ、死ぬかと思った」
「私の従者なら、そのきもい思考をなんとかなしなさいよ」いつの間にか、ビルの屋上に居たはずの少女が俺の横でそういった。な、何者だこいつ・・・というかなんで俺はこんな所に居るんだ!?
それに今気がついたが、目の前に血だらけの以前人間だった異型のものどもが幾つも倒れていた………。「ちょ ちょっとこれはシャレになってないぞ」 そして、目の前の少女がニヤリと笑い舌なめずりをした。
実は襲いかかって来た襲撃者たちから俺を逃がすために彼女は屋上から俺を突き飛ばしたのだが、その時の俺はそんな事も知らず、ただ恐怖した。
「あのー、ここ何処ですか?」「杜王町だぞ。そういうお前はどこからだ?」「東北!?えーと千葉県葉海市から」「ほう、ちょうどよい今からいくぞ」「ええ!」
それからまさか七日七晩歩き続けることになるとは夢にも思わなかった。
いつしか記憶が薄れ、俺はどこかの和室に寝かされていた。白い顔が俺を見下ろしている。
「ぜぇ、ぜぇ……どうしてこんな道を選ぶ?」「良いから、黙って歩け!」「君は良いよ。俺が背負って居るんだから」適当に買った服はちくちくする。靴はサイズが合っていない。背中の女は重い。そう言えば、何故俺はこんな事をしているんだ?
第七感を覚醒した。‥これが小宇宙か!
「第七の感覚ですか」俺の話を聞き終わった白い顔の女は少し考え込む顔をした。「あなたはF10号さんで良いのでしょうか? 私の知り合いに、玲子と一樹と言う葉海製薬を調べている姉弟が居ます。二人の喫茶店に行けば、何か判るかも知れません」
「いや俺がその一樹だよ」「あなたが?」少女は俺をまじまじと見つめ、俺はちょっとドキッとした「想像してたより貧相ねえ」「なっ、何だよあんた…そういえば名前は?」
「ちょっと待ってそれより一言だけ言わせて。最近かぶりすぎよ。投稿する直前に一旦リロードしてみてね」「何それ?」「気にしないで、CMよ。私の名前は…」
「いや、やっぱ言うのやめとく」
「取りあえず、あなたが私の下僕であることは間違いないわ。――命令。私を玲子さんの所へ連れて行きなさい」こんな横柄な言い方、嫌いだ。だが、逆らおうとする意思とは無関係に、まるで暴力のような強制する力が俺の身体を無理やり動かす。
「なんっ……!?」「少し荒っぽいですが、あなたの脳の運動野に干渉させてもらいました」「はぁ?」「さあ玲子さんのところへ、いいわね?」……冗談じゃない、俺はアンタのマリオネットじゃない!その思いすら口にできない。
操られたまま俺は家に向かう。妙にカクカクした動きの男と少女の2人連れが衆目を集めたが俺にはどうしようもない。
「……つまり人間の脳はもともと社会的認知を前提としている」奇妙な女を伴っての帰宅に驚きながら姉さんは現象を説明してくれる。「あなたや父さんの様な因子保持者は、そこに絶対上位者を刷り込めるの」俺にとってそれが『この女』なのか。
「というか俺、風呂に入ってた筈なのに…なんであんな所に?」という俺の疑問には少女が答えてくれた「ああ、連中からどうやって逃げようかって考えてたら、無防備にふらふらしているあんたの因子を感じたから助けなさいって私が命じたのよ…覚えてない?」
「いや、覚えてない」「脳に干渉した影響かしら、玲子?」「かもしれないわね……あまり神経伝達に干渉しないほうがいいわ、安全性は保障できないから」「分かったわ」
「ちょっと待ってくれ!何で姉さんがこんな事知ってるんだ」「ふう……調べたのよ父さんが失踪する前に言ってた事。とても信じられなかったわ超能力なんて、そう彼女と会うまでは」
252 :
sageろ:2007/04/14(土) 19:31:57 ID:w/o/KDbP
「彼女?この女とは別物なのか?」
そう。 彼女の名前は
『ルナ・ミコト』まぁ 「時の旅人」と呼ばれる事が多いかしら。 そもそも彼女はわたし達とは違う時間軸で生きてるから遭う事は難しいと思うけど、彼女に遭った人間はこの世の真理を知覚する事ができる。そう、彼女はこの世で唯一無二の魔女よ。
「姉さん、改行はNGだよ・・・・」
ガラガラ「ただいま」?父さんが帰ってきたらしい。「なんだお前達も帰ってたのか?ちょうどいい話しがある。じつは父さんくしゃみをすると母さんになるんだ」
「あらお帰りなさい。早かったのね」といいながら姉さんはコショウの瓶を開けて父さんの鼻につっこんだ。
「二度も同じ手を使うなんてワンパターンね」「やっぱりばれたか」父の形をした敵はどろりと姿を変えた。
「ぶわっくしょい!」不定形のモノは大量の鼻水だった。「まぁ?あらあら、みんなおかえりなさい」、「母さん!?」
「一樹君、どれこに紛れ込んだ奴が居るか判るでしょ?」「ああ」後頭部の辺りの違和感が、教えてくれる。俺の“同類”を。「――命令。倒しなさい」言われるまでもない。俺は壁の中に拳を叩き付けた。生きた“何か”の手応え。幻影の元は、消えた。
「馬鹿な、この高貴なる私が…!」胸を貫かれそいつはまだ生きていた、が「残念ね、大して高貴じゃなかったって事だわ」すかさず少女が男の首を刎ねる。俺を苦しめた人形遣いのあっけない最期だった。
そっからの姉さんの手際は恐ろしく早かった。大きなカバンを取り出して衣服を詰めている「何してるの一樹、あなたも支度しなさい。居場所がばれたんだからいつまでもここには居られないのよ」
そうして8時ちょうどのあずさ2号で旅立ちました。
「何処へ行くんだよ姉さん」「お爺様の所よ知っているはずよ、父さんの事、葉海製薬、私達草蔵家の血の事」
ということで、じいさんの家に着いた。川原のそばの築70年、先々代から伝わる3LDKのダンボールハウスである。
川原を通り過ぎ、ようやく屋敷の門へたどり着く。正面奥に、母屋の玄関が見える。左手には古い土蔵。そして手入れが行き届いた庭。「――お爺ちゃん。私、玲子です」これだけは近代的な、インターホンを姉さんが鳴らす。
゛ウチに何かご用ですか??゛
「よう来たの玲子。まあ、立派に育ちおって」いつのまにか姉さんの尻を揉みながら爺ちゃんが現れた。「いやですわお爺様」言いながら姉さんの肘うちが決まっていた。
爺ちゃんが白目をむいて崩れ落ちた、と思った瞬間
「まだまだ」そこにいたはずの爺ちゃんは跡形もなく消え、少し離れたところに悠然と突っ立っていた。「まだまだご健在ですわね……」「人生先は長いわ、お前にはまだまだ負けんて」俺の目には何が起こったのか分からなかったが、どうやら爺ちゃんはアレを回避したらしい。
「で、なんじゃ一緒に暮らす気になったか?それと一樹例の物見つけたぞ」爺ちゃんは親指をぐっと立てた、俺も同じく立てる。サンキューエロ師匠
「ところでそちらの嬢ちゃんは初顔じゃの。もしかして一樹の彼女かい?一樹も大人になったもんじゃのう。ひょひょひょ」と笑いながらルナのお尻に手を伸ばした。
師匠、その女はヤバイ! そう思ったときには既に遅く、じいちゃんの腕はきしみを上げてねじり上げられた。「くぉ……お嬢ちゃん、ただ者ではないの?」「ルナと申します。一樹君の”主”ですわ」「な、なんと! しかし、いつ契約の儀を?」
あれはそう…夏休みが始まって三分くらい経った頃
と、ボーイミーツガールな萌え系法螺を披露した「・・・というわけで俺とルナルナは真なる神々の策略を打ち破ったんだ!愛で!」「おおう、絵に描いたようなツンデレじゃなお嬢ちゃん!そうか愛か!」
勿論、俺と爺さんは吹っ飛ばされた。それはもう、高々と、あれ?俺このまま天国まで行けんじゃない?て位吹っ飛ばされた。
10秒ほど重力を忘れた後、屋敷の塀をこえて俺は田んぼに、爺ちゃんは肥溜めに落ちた。「いてて・・爺ちゃん大丈夫か?」と振り返ると、犬神家の一族のように足だけ飛び出していた。
「ぶぁいじょうぶじゃ…ふう、やれやれ修司だけでなく一樹もこちら側に来るとわな」「爺ちゃん、やっぱり親父の事知ってんのか?」
「……この世にそんな”真の王”は、救世主は要らぬ。15代前の当主はそう言ってバテレンどもと袂を分かったのじゃ。そして、使徒の血脈は我らと共にこの地に伝わった訳じゃ」徹底した洗浄とと消毒の後、祖父ちゃんは一族の歴史を語り終えた。
「それはわかったけど、なんで俺や姉ちゃんが狙われるんだよ!あの黒服の奴らさえいなければ俺と姉ちゃんは×××××」
「ん〜?なんか言ったかの一樹、ピー音が酷くてわしには聞こえんな〜」「なんで×××××が放送禁止用語なんだよ、じゃあ×××でどうだ」「聞こえん聞こえん!葉海製薬なんてまったく聞こえんわい」「聞こえてんじゃねーか!」どつきあいを始める俺と爺さん
って爺さん身体堅ぇよ。なんだよそのメタルボディ―。サイボーグなのか??
「違うわ!わしの能力硬質化じゃ」「何だよそれ反則だ」「一樹お前も目覚めてるんじゃろ」「確かに変な力はある。まさか姉さんも?」「違うそもそも三代続けて目覚めてるのが異常なのじゃ」
「その証拠にほれ、玲子は力こそ無いが身体に悪い兆候が出ておろう」「え!?今まで気づかなかったけど…」爺ちゃんは姉さんを指差して「この薄い胸じゃ」
「胸の小さいのが欠点などというのは、一部の巨乳主義者達の妄言である。胸の大きなことが不必要なことは、ダイエットにおいて、胸から痩せる事からも分かる。また、人の身体的な特徴をことさらに強調し、悪し様に扱うことは下劣にして悪質な人格攻撃であり
また低俗で蒙昧な大衆への安易な迎合……」「玲子さん、私に任せて。――命令、お黙りなさい」俺と祖父ちゃんは同時に硬直した。「ふふ。どうやらもう一人、使徒が増えたみたい」ルナが微笑んだ。
「いや、やっぱわしはボインの方がよいの」って普通に爺ちゃん動いてる!「嬢ちゃん、直接契約して無いもんは操れんよ。そう皇でもない限り」皇?ルナの顔色が変わった怯えているのか?
いや、これは怒り?ルナの感情が何故か俺に流れ込んでくる・・・ような気がする。
その瞬間俺の中の何かが臨界点を超えた。
目の前が真っ赤になる。たぎる。熱いアツイあつい。「――っああぁ!!!!」体が自分を拒絶する。拒絶された俺の意思は虚空に弾き出され、そして何も分からなくなった……。
う゛ぁ。頭が痛い。痛い。痛い。五月蠅い。俺に話しかけるな。五月蠅い。それに何だ、この生暖かい感触。あ゛―頭が痛い。そこで俺は気がついた。「爺さん、あんた身体は硬質化してるんじゃないのか………??何があった、なんで俺の腕があんたに刺さってるんだ………」
「馬鹿者!たやすく力に飲み込まれおって!!」腕が動かない万力で締め付けられて…ガン!「お爺様!?」「腹の筋肉で締めて腕を拘束した…グフォ」
「じ・・・「おぉ〜、ナイスタイミングかぁ?」今立て込んでるって言うのに、いつの間にか不法侵入者が俺の後ろに立っていた。
「初めましてぇ。ボク、葉海製薬のぉ〜新人、天野と申しますぅ〜」 騒々しい奴だ。「それでぇ、上司の命令であなたを兄王様の下僕にするよう言われましてぇ。ちょっと精神を乗っ取りに来ましたぁ」……な、なんだと、この野郎!
「下がっておれ一樹!孫はやらせん」はっ、迅い!爺ちゃんも敵も動きが追えねえ「強い強い、私では勝てませんな。ただし貴男が万全だったらね」
「お、俺の小宇宙が熱く燃えている...」「あ、ゴメン、煙草の火落としちゃった」そうか、さっきから灰が上から降ってくると思ったら彼女が煙草を吸ってたんだ...「って、おい!何時の間に煙草なんか...。それにこの妙に焦げ臭い匂いは何だ?」
「やっべサンマ焼いてんの忘れてた」
鈍い音。祖父ちゃんが調理中のサンマに気を取られた瞬間、天野の一撃が胴体に決まった。「戦闘中に、余計なことを考えすぎです。取りあえず、あなたの意識から乗っ取ろうかな」朗らかにそう言うと、天野は目を細め、意識を集中し始めた。
「爺ちゃんから離れろ」ガシッ!ドス!「遅い、遅い、素質はありますが若すぎる」くそ、くそ、何もできないのか…ドクン!殺せ王を殺せ王の手下も殺せ…頭が痛い…皇以外は不要
「喝!」爺さんの気合で、俺の頭が一気に冴えた。今は、今やれること、今やるべきことだけに集中する。
今の俺に出来る最高のことは、さんまを美味しく焼くことだ!はっきり言って戦闘面じゃ足でまといだ。だが世界一のさんまを焼いてやるぜ!!
七輪に載せたサンマをパタパタと扇ぐ俺。横で手際よく大根をおろす玲子。そんなどこにでもある夕食の風景だったが、
換気扇を回していなかったために、秋刀魚の煙が部屋中に充満し、その場にいた全員の視覚と嗅覚を奪い去った。
なんと爺ちゃんの動きが格段に良くなった。「まさか・・・手を抜いてたんですかぁ!?」「いや、気になっとたサンマや孫も無事そうなんでな。ようやっと戦いに集中できるってもんじゃ!」
が、ひどい煙のせいで皆パニック状態になり、誰も爺ちゃんのセリフに気づかなかった。「はぁ、いつになったら晩御飯になるんですか」ルナが呆れたようにつぶやく。
それでも楽勝ぽいぞ。よし、そこだ爺ちゃん「はい交代」「へっ爺ちゃん?」「わしがピンチの時なにもしなかった罰じゃ」向こうには憤怒に燃える敵「…秋刀魚食べます?」「いらん!」
「ならばその秋刀魚、拙者がいただこう!」
ゴウッ!吹き上がる炎がサンマを焼き尽くす。「だ、誰だ!?」「拙者、フォボス・ミコトと申す」「なんで来たフォボス!」「天野、分が悪い。ここは一旦退くでござるよ」
「糞兄貴、何でこんな処に。こっちの世界に来る事ができるなんて………。能力は封印されてるハズよ。」
「ああ、玄関の鍵が開いてた」
「…じゃあしょうがないわね。もうすぐ夕飯だから食べていくでしょ?」
なんだかんだで皆で焼いたさんまをメインに、夕食を食べている。「この味噌汁旨いですねこれならすぐお嫁に行けますよ」、「…それ作ったのオレ」 ポッ
「ふーんちょっと意外かな、ところで……や ら な い か ?」
「その言葉を待っていたぜ」
何故か中断した戦闘が何故か再開した。「く、なんだ今の不思議ワールドは・・・何故のんきに秋刀魚を食ってしまったんだ!?」
ガラガラ〜「こんちはー、NHKの集金にきましたー。さっさと払わないと殺しますよー」
「じゃあ俺が払うよ!プスー」
爺ちゃんが屁をこきながら言った。
「次から次へと・・・・・・、うっとしい。一旦逃げるわ!私の周りに集まって!」切迫したルナの声に俺は『味方以外も周りに集まりました』みたいな下らないボケが来るんだろうな、と覚悟しながらも従う。
どさくさにまぎれて色々さわっておく(こいつ胸ないな…)その瞬間世界が歪んだ。浮かぶような落ちるような感覚・・・
気が付けば、真っ暗な広間。正面には、やや細面の菩薩像が寂しく立っている。いや、これはマリア像じゃあ? 「さすが、真の王族じゃな。飛び先も我らがゆかりの地下聖堂とはな」祖父ちゃんが嘆息を吐いた。 突然、女の声がした。「あら、一樹くん」
そこに居たのは葉海製薬の綾裂だった・・・ってあれ?この人、夢の中の登場人物のはずなのになんでいるんだ?アレ?
321 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/23(月) 14:37:22 ID:rpRNIrW6
「まさか、そんな・・・、あなたはコンピューターおばあちゃん!?」
「あらあらあら、私もいますよ?」、「ぱ、パタパタママ!!」
なんだこれそうか………夢!!一樹の顔面には深々と綾裂の拳が埋まっていた「何を?」「馬鹿は黙ってたほうが話しやすいでしょ」
「はい、これあげる」綾裂は俺を殴った手に持っていたモノを俺に渡した。「ロザリオ?」マリア様の前でロザリオ・・・?なんだか嫌な予感がする
「祈りなさい」綾裂がそう告げた――純度100%のスマイルで。「は?」「あなたが生きている間にできる事はそれしかないわ、だから祈りなさい♪」
祈れだって?もうラスボスか!?むしろ、歌ったほうが良いのではないか?
しかしロザリオを受け取った俺がお姉さまの言うことを聞かないわけにはいかない。磁石を出して西――メッカの方角を確かめて祈り始めた。
くそっ、こんな時なのにあの歌しか思い浮かばねぇ―。こうなったらやけくそだ。せぇーの「ちょうど一年前にこの道を通った夜 昨日の事のように今はっきりと思い出すぅ〜大雪が降ったせいで 車は長い列さぁ〜」
ドガッ!腹部に鈍い痛みが走った「喋るな、死ね」
「誰がラスボスだ! 良いから祈れ」また、殴られた。「たく、雲隠れしたと思ったら、いきなりここへ現れる。しかも、ロストナンバーの王族と一緒に。良いからミサに参加する信者のふりをしなさい。これから『救世主降誕計画』の説明があるの」
祈っても歌っても結局殴られるのか俺は…。こんどは信者かよ。アグラかいてジャンプすりゃいいのか?
何もかも嫌になったんでアグラをかいてジャンプしようとした瞬間「---命令、祈りなさい」突然割り込んだルナの声に体が強制的に反応する。う、動けない。「あなた、葉海の人間よね?どういうつもりなの」
強制があまりに強力で動けないし、喋れない!「…そう、喋る気は無いのね?」、違う喋れないんだって!「その覚悟見事なり!ならば見事に散ってみよ!」
ちなみに動けないのは俺。ルナが話しかけているのは綾裂だ。
俺が現状の整理を終えると、突如、巨大な鐘の音が響き渡った。空気自体が音叉になったように、鐘の音は幾重にも重なり、響き、場を支配する。
突然神の栄光を讃える歌が鳴り響く。いつの間にか周囲には人だかり。「皆さん。奇跡の時はもうすぐです。もうすぐ真の救世主が産れます」恍惚とした表情の男が演壇に進み、喋る。「……博士!」綾裂が小さく悲鳴を上げた。
「私はG遺伝子が何かわかりました。G遺伝子は神の血なのです。ですが人の血が混じり不完全。ゆえに私は創りました完全な神を!」博士の後ろにはカプセルがあった「ちっ、まさか本当のキ○ガイだとは」
と綾裂が呟くのを俺は聞いてしまった。この人、実は口が悪いんじゃないか?「さあ、皆さん祝いましょう!新たなる神の誕生を!」
カプセルの中にはまだ幼い美少女が全裸でたゆたっている。何故か大事な所は光りの反射やら少女の髪の毛やら博士が邪魔で見えない。ちなみにそれを見た俺の口は叫んでいた。「美幼女万歳!ハレルヤ美幼女!」
叫んだ瞬間、カプセルが割れた
そして凄まじいハロー・エフェクトと共に人影(眩しくてよく見えない!)がカプセルから出て来た。「初めまして人間のみなさん。ぼくの名前は
イナギ・ミコト
「ねっ、遊んで僕ずっとカプセルの中で退屈だったんだ」ミコトという少女は花のように笑う「じゃんけんしよ、じゃんけんぐー」「えと、グー?」ドガン!少女の拳から衝撃波が走り破壊がおきた。
衝撃波はその信者を細切れにし、そのまま数十人の信者をも巻き込み疾る。「お、おおっ・・・!見よ!これぞ神だっ、神の降臨なのだ!」博士は恍惚とした表情のままうっとりとそう叫ぶ、仲間が肉片になったというのに狂信者達もその声を聞き喜びの歓声を上げる。
「おお、我らが神の写し身。この騒ぎはいかな事でしょう」気取った口調で“兄王”が現れた。それと同時に、力の暴風と狂気の饗宴は止った。「ふん。私の威光で君臨する代行者風情が、なによ」ミコトと呼ばれた少女は、やや照れくさそうにそう応えた。
「いけませんねえ、そんなんでは皇に嫌われますよ」「ふん、皇はこれくらいじゃミコトを嫌わないもん」それはまるで大好きな父親を自慢する少女のようだった
「おい不味いぞ嬢ちゃん、いつの間にか敵だらけ…嬢ちゃん?」祖父ちゃんがルナに囁く、がルナの様子がおかしい。兄王をじっと見つめて動かない。”ドクンっ…!”これは…ルナの感情が…また流れ込んできた、のか!?熱いアツイあつい!
「ちっ、気絶か。今は逃げるのが先決ね。そこの爺さん。あんたと一樹でこのロストナンバーを担いで。出口はこっちだよ」綾裂さんと姉さん。俺と祖父ちゃんに担がれたルナは歓喜に湧く地下聖堂をどさくさに紛れて脱出した。
「ふう、ここまで来れば大丈夫じゃろう」
何だこれ夢?そこは業火包まれていた「つまらないですね皇、まっ所詮名前だけの王」そこは三人の人影がいたそれにルナ?「どうしますこのお嬢さん?」「好きにしろ兄王」
俺の目は現実の地下道を映していると同時に業火包まれてた広間をも映していた。まるで白昼夢のように。幻影の広間でルナが叫ぶ。「許さない…よくも父様を!お前たち許さない!許さないんだから!」
「一樹?」玲子の呼びかけにも反応しない……というか目が死んでいる。「たぶんだけど……」すこし苦しそうにルナが呟く。「深層意識の融合によってあたしの深層意識が流れ込んでるのよ……」「ということは一樹は今……?」「彼の意識は私の記憶の中よ、私の記憶を見ている」
「つまり、あんた。ロストナンバー王族のルナが教会急進派、つまりは今の主流派が起こしたクーデター騒ぎの夢を見てるって事?」ルナを見つめる綾裂。「ええ。あの時襲撃を主導したのは、あの兄王。あいつを見て、私の中にあの時の記憶が蘇って」ルナが目を伏せる。
「でも本当に恐ろしいのは…」…「つまらん」「おやお帰りで皇」男はルナの脇を通り過ぎるが「待ちなさいよ」その男の眼には漆黒の闇があった「黙れ」ただの一声、だがそれを聞いた時心が折れた音を聞いてしまった
今度は俺がルナを守ってやる番だ。だが、今の俺に何ができる。考えるんだ、何かないか、何か……この状況をひっくり返す、皇を超える何か……………。そうだ、昔から誰にも話した事も見せた事もないとっておきの技があった!!それは…………
この右手をおもむろに
伸ばし掴もうとする。が幻影は幻影、触れることなど出来なかった。「では娘は閉じ込めておきましょう…何かに使えるかもしれなせんしね」兄王がそういった瞬間幻影は弾け、目の前にはルナが…現実のルナが居た。そして俺の右手はなぜかルナの胸を掴んでいた。
レナ。姉さん。そして綾裂さん。気が付くと3人が俺を取り囲み、俺を袋だたきにしていた。あまりの勢いに祖父ちゃんも手を出せず、惚けたふりをしてただおろおろするばかり。
痛みが快感に変わりはじめたころ、空から
隕石っぽいものが落ちてきた。何故か俺の脳天に
ぶち当たって貫通したのに平気だった。血も出ない。でも夢でも幻覚でもないことは確かだ
ひょっとして俺の身体は……
「もう一発喰らう?」ルナが怒っている。どうやら、隕石は彼女の拳だったらしい。「きやつら、聖典にある神の写し身まで復元したとはのう。まったく、科学の進歩とは恐ろしいわい」あの爺さんが震えている。
だけど、震えながらもしっかりとケツに手を伸ばしてるとこが、爺さんだよな。
そういや、イナギ・ミコトは??
そういえばどこにもいない。あんなにうじゃうじゃいた信者達もだ。よくわからないまま俺たちは家に帰ることにした。
一方聖堂「さあミコト様王どもに天の裁きを」「なんで?皇に嫌われちゃうよ」「これでは凶獣にスパイさせる必要なかったですね」聖堂には漆黒の獣が顕れていた。「皇の命だ死ね」「馬鹿な馬鹿な!」
「ミコト様」「何?」「やつら我々が思った以上にしぶとい様子、ここはロストナンバー排撃の為に聖堂近衛兵団の運用許可を……」
「聖堂近衛兵団?ああ、幼稚園出身の子たちだっけ?いいよぼくが皇にいっておくよ」「はい、では」そういって葉海製薬の新人、斉藤雪は闇へと消えていった。
『幼稚園』――もちろん、文字通りの施設ではない。王族と呼ばれる子供達に特殊な教育を施し、凶獣とも獣人とも呼ばれる従者に盟約を結ばせる為の機関である。兄王と弟王。そして、ロストチルドレンと呼ばれる常人の目に映らない双子もここの出身である。
そしてこの機関を創った皇と呼ばれる葉海源蔵。彼の目的は不明だが獣人を操る王族と呼ばれる能力者、そして純粋なG遺伝子のみで造られた人造神イナギ・ミコト。彼らの力が暴走すれば首都圏は壊滅するだろう。
そして、現在この世界で彼らに対応できる勢力というのは存在しない――最低限、葉海製薬とその付属機関の耳に入った中では。
そしてしばらくの間動きがないまま、日本はゴールデンウィークに突入した。
俺たちが家に…喫茶ライトニングに戻ってからはや数日。綾裂さんが教えてくれた葉海製薬の陰謀に俺たち姉弟は戸惑いを隠せなった。とりあえずは日常生活を送りながら相手の出方を窺う、そんな消極的な方針に決まったは俺が敵の巨大さに怯んだためかもしれない。
いや今日ぐらいはくよくよ考えるのをやめよう。せっかくみんなでディ○ニーランドに来てるんだから。
笑顔をふりまくつがいの2足歩行をするネズミ。これも2足歩行する間抜けな犬は子供達の前ですっころんで見せる。アヒル、栗鼠、狼、熊、猫、エイリアン。どいつもこいつも、エンターティナーに徹している様は、いっそ清々しくさえ有る。
意外な事にルナが妙に楽しそうだ。表面上は興味が無いようなフリをしているが2足歩行のネズミと握手をしたり一緒に写真を取ってもらったりと子供のように楽しんでいる。
ふと悪戯したくなった「ルナその中身人がいるぞ」「はあ、何を言ってるんだ?そんなはずないだろ」「いやまじで透視してみ」「えっ?えっ?」ルナはこうした事に無知さを出すことがある。
直後「お前何者だ!?」突然ルナが叫んだ。ネズミのほうを睨んでいる。何かが視えたのか?
「さがれっ!一樹!」ルナが鋭く叫ぶ。「え、ちょ、何?」ややよろけながらずっこけた瞬間、それまで俺の頭があったところを45ACP弾が空気を抉りながら突っ込んできた。え?なんで分かったかって?それは……
その瞬間、俺の時間だけが超高速で動き始めたから。ゆっくりと45ACP弾が目の前を進む。腕を動かす。まとわりつく空気がゼリーのように、重い。弾を弾く。摩擦で腕が熱い。周囲の人間は、全くと言っていいほど動かない。――イヤ、動く奴が居る!
そいつは、ネズミの着ぐるみを中から真っ二つに裂き、今の俺でさえ霞む速さで飛び出してきた。
初撃をなんとかかわすとそいつは本日修理中のアトラクションに入った。誘ってるのか?「いくぞ一樹○ッキーの仇だ」ルナは残骸になったミッ○ーを見てた。あれマジ泣きかよ
あのスピード、まず間違いなく葉海製薬の刺客だろう。ついに来るべき時が来たのか。俺はルナの後ろを走りながら覚悟を決める。「ルナ…俺が飛び込む、援護を頼む」
「ダメ…私が行く。あれは敵じゃない…きっとあの人は、」そのときだった、俺とルナの真上に
影が躍る。しまった!いつの間に上に!?「ウィィィィッ!!」影は剣のような物を一斉投擲、鋼の雨が降りかかる!
387 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/30(月) 16:18:08 ID:QjNQn1rS
「っ……!」降り注ぐ鋼の雨を見据え、俺たちの盾になる位置取りで玲子姉さんが割り込んできた。「え……」大量の剣が、突如出現した橙色の光のようなものに次々と弾かれてゆく。って何あれ!?ATフ○ールド!?しかもなんか弾いた剣がどんどん消えていってるし!
388 :
イラストに騙された名無しさん:2007/04/30(月) 16:23:17 ID:mDAcHov9
「小さな頃に見た夢は」
痛々しくて
夢見がちで
することなくて
一人がよくて
引きこもりがちだった
小さな頃に見た夢は
甘いリンゴの味がする
はいはい腐女子腐女子
剣を弾く、だがいくつか刺さった『何故そいつを守る?』声だけが響く「何言って」くそ頭が痛い『命をはる意味があるのか』「けっ契約」『無理矢理結ばれた契約に意味があるか?』
「だって……」『答えは、この次までに考えておけ』それだけ言うと、そいつの気配は消えた。そして、喧噪が戻ってきた。時間の流れが元に戻ったのだ。突然破裂したネズミの着ぐるみと、吹き荒れた突風。そして、壁に突き刺さった一発の銃弾を残して。
真っ二つになったネズミを見て誰かが叫んでいる。別の誰かが「中の人などいない」と喚いている。だが俺たちにはもう関係がない。俺とルナは無言でその場を立ち去った。
俺はさっきの奴の事をルナに聞こうとして…止めた。ルナの顔がとても寂しそうだったからだ。「絶対…」暫く経ってルナがぽつりと呟いた「え?」「絶対にミッ○ーの無念をはらすわよ、一樹」と力強く言った。
だが俺はルナをまともに見れなかった。考えてみれば葉海製薬を調べると言ったのは姉さん。ルナとの契約はいつのまにか結ばれていた。俺には俺だけの動機が欠落している。
そんなネズミ事件の余韻も落ちついたゴールデンウィーク真ん中の平日。俺は学校の図書館に来ていた。
とりあえず広辞苑でエッチな単語を調べる。大学の図書館なのにページが折れたり落書きがされている。俺みたいな奴は他にいるんだな
うーん広辞苑じゃ物足りないぞ。医学書の棚に行こう。
医学書をめくってみても、はっきり言って何が何やらで俺の脳味噌はちっとも文字を読み取らない。『そんな時こそウィキペディアがあるじゃないか……』心の中の俺が呟く。確かにそうだ。カラー写真あるし、見やすいし……。レッツゴー陰陽j……じゃないウィキペディア!
パソコンをインターネットにつなぎ、もののついでに葉海製薬のHPを見ていると、奇妙なページに跳んだ。「なんだ?これ」
[5月某日葉海製薬総帥葉海源蔵のご令嬢命様の誕生パーティーを開催します場所は……]何だこれ罠か?いやしかし
俺の両手は無意識のうちに応募フォームに必要事項を入力していた。「最後に送信ボタンをポチっとな」
Res >> : miss !! XD
>!EMERGENCY!EMERGENCY!EMERGENCY! 中止(A) 再試行(R) 失敗(F)?>
もちろん(F)
申込フォームが画面上から跡形もなく消えた。だが、「参加お申し込み、有り難うございます」からかうような、女の声。ゆっくり振り向くと、そこには斉藤雪が居た。
ガタっ!俺は椅子から転げ落ちそうになった。「あらら、そんなに驚かないでよ傷つくじゃない」まったく傷ついた様子も無く雪は肩をすくめる。「雪…お前、人を売っといてよく顔を出せたな」
「それよりいいの?そのパソコン、煙噴いてるわよ」
やべっ、爆発する…「氷結」パソコンはカチンコチンに凍っていた「単刀直入に言うわルナを引き渡しなさい」「何言ってんだ?」「バカズキ私はねもっと出世したいのよ。いいでしょ守る理由なんてないんだし」
「守る理由ってなあ……」「ああ、そうだったわね。あんたが守られてるんだった。まぁいいわ、詳しい話は後でしてちょうだい」――雪のその後の行動は素早かった。首筋に衝撃を感じ、俺の意識はどっかへ飛んでいった。
気付くと、目の前に色々な俺がいた。その非常識な状況のおかげで、俺は自分が夢を見ていることを明確に理解できた。
俺Aはフィギュアを作っていた。俺Bはエロゲと会話中。俺Cはnyダウソ待ち。あれ?全部いつもの俺じゃんコレ現実?
「…いい加減に起きろ!」俺は病院の検査着でベッドの上に寝かされ、手足には枷が嵌っている。「これから深層における刷り込み初期化、要するに契約の解除実験をするの。あんたが兄王様の持ち物になれば、私の将来も安泰よ」雪は極上の笑顔を見せた。
その後のことは思い出したくない。俺の貞操よさらばだ・・・
などと簡単に諦めると思ったら大間違いだぞ雪。確かに俺がルナに肩入れする理由なんて…ない。だが、親を殺され泣いていた小さなルナを思い出すと見捨てる事だって出来ないんだ。
「――っと言うことでー……超深層脳内探知機ブレインサーチャー七号機、起動!」頭に着けられた歪な帽子がモーター音と共にかすかにうなる。
それと同時に、正面の壁がぶち破られた。巻き上がる粉塵の中から現れたのは、一匹の獣だった。
『……守る理由は見つかったか?』この“声”は、遊園地で出会ったあいつだ。「…聖堂近衛兵団の獣人が何故邪魔をする?」「邪魔をしているのはお前だ。皇様は貴奴ら一族に人手を加える事を良しとはしない」獣のくぐもった言葉に雪が沈黙する。
「皇の意志は」「…絶対です」獣人は俺を見て「なるほど修司殿に似ている」「親父を知って『ウォォーーン!!』「騎士団長がお呼びだ」何だ何でこの遠吠えに懐かしさを感じてるんだ?
とりあえず、俺は獣の後についていく事にした。後ろで雪がなにか呪詛の言葉を呟いているが、敢えて無視する。
30分後、獣は駅で新幹線の切符を買っていた「禁煙席で良かったよな?」「あ・・・ああ」「ほら」俺は切符を受け取った。
獣人がいて何で騒がれないんだと思ったら、いつのまにか金髪碧眼の美青年になっていた「ずっとあのままなわけないだろ」道行く女性が青年に見惚れてる。くそっ、不公平だ。
うさばらしに、青年からは分からない角度で、青年に様々な装飾を施した。おっと、ここの看板曲がってる。土踏まずに電飾をセット。
即座に頭に拳が振ってきた。「貴様、それでも生まれついての使徒か!」形のいい目がきつい光を宿す。「時に、騎士団長、修司殿に会ってどうする? 今更親子の対面でもあるまい。団長殿は、互いに善き王の使徒たれば善しと言っているが」 親父、生きていたのか!
「ん?お前の一族はほぼ不老不死だから八代前の祖父母殿とかも元気だぞ。良かったなw。ちなみに騎士団は皆親族だ、ほぼ退団が無いしな。つまり俺も」
「ほ、ホントか!?」不老不死ってすげえじゃねーか!なんてラッキー、生まれてよかっ「嘘だ」・・・・・へ?「ふむ、どうやら我々の事をそれほど知ってはいないようだな」
そういや、爺さんは普通に老けてたな。にしても、こいつ性格悪っ。この性格じゃ女にもてても長続きはしないな。
そのうちに新幹線がとある駅に着いた。そして、何も言わずにドアを開けて出迎える黒いセダンに乗り込む。「少しは身なりを整えろ。真の王、ひいては神の写し身を守る法の盾、神聖なる聖堂近衛兵団が本部に出頭するのだからな」
俺が
>>422で設置した装飾をそのままにしてるやつに言われたくない台詞だ。
「ところでアンタ名前は?」「ラシエル=\―これが俺のコードネームだ」「竜巻の天使とは随分大げさじゃないか」「ほう、思ったより教養はあるのだな……」「そいつぁどーも」
そんな会話をしているうちに車は巨大な門扉を潜り抜け人気のない山道を登っていく。遥か先、山の頂上辺りには巨大な洋館…つーか城が見える。ここは本当に日本か!?
「するどいな。我々はまもなく日本から独立する」
「なにを!」「我らの目的は、真の王たる救世主の下、神の国を地上に造り、そこへ人々を導くことで救済する事だ」「だって、救世主はキリストじゃ…」「救世主が現れたなら、なぜ世界は斯くも救われぬのだ? 我ら教団は、あれは救世主ではないと結論づけた」
神の国?救世主?・・・やべえ、マジでやべえ匂いがプンプンしやがるッーーー!!!
「皇こそが救世主。古き知識だけの王族では何も救われぬ。そのため一族も名も全てを捨てた」そうだ、どこかでみた顔だと思ったらこいつルナに似ている。
「お前ひょっとして…」「到着だ」俺の問いかけはあっけなく無視された。車を降りて大きな木製の扉の前に立つ。あらためて自分は場違いだと思った。
だって皆がみんな、獣の皮をかぶり刺青を全身にいれてる。皆さんドドンガ踊って楽しそうだけど何かあったのぉか??それとも、俺が来たせいか……。嫌な予感がするぜ。
「ふん、貴様は知るまい。全て宗教の根源は、この通りデモーニッシュな物だ。なにしろ、人の身で神の真理に触れんとするのだからな。それ、また一人。正規の騎士が産れた」目の前で踊っていた男が一人、雄叫びと共に獣化を始めた。
この光景は、どう見てもカルト集団や、悪の組織のものだ。
ところでラシエルは
>>422で仕掛けられた装飾にいつになったら気づくのだろう?
いや、もはや装飾なんてどうでもいい。獣だのカルトだの、、、もういやだ。家に帰ろう。
そうだ、俺はなんでひょこひょこ付いてきてしまったのだろう?いくら助けられたからとはいえ・・・こいつらは敵だ。敵の拠点に単身乗り込むなんて、どうかしている。
たけどただ逃げ帰るのも格好悪い。敵の頭の首でもとって帰りたいよな。となると、必然的に皇やあの双子たちと対面することになるのだか。何とかならないものか。「せめて姿さえ消せればなぁ、俺が獣化して襲えば何とかなるかもしれないのに……」
「さあ、団長殿の部屋だ」うだうだ言っている間に、目的地に着いてしまった。それにしても、何て呼ぼう? やっぱり、『父さん』かな。「団長殿! ロストナンバー王族、ルナ殿の使徒を連れて参りました!」「――入り賜え」重そうな分厚い樫のドアが音を立てて開いた。
ドアを空けたむこう側、部屋の中央にいたのは「父・・・さん?」一匹の傷ついた獣人だった。
まずその獣人に気を取られてしまったのだが、あらためて入った部屋を見てみると、そこはどうやらかなり大きな書斎のようだ。ところどころに灯された控えめな照明が橙色に部屋を照らし、その中に落ち着いた雰囲気の木製家具がたたずんでいる。
何気なく眺めているとふと机の上に目がとまった。違和感を感じたのだ。なんだこれは?
「それは・・・」懐かしい声が部屋に響いた。「それは皇の剣、クラウソラスだ」
「まさかこんなところにあの魔剣が?そんなバカな」剣を手に取ってみる。ずっしりとした質感。曇り一つない刀身。見つめているうちに吸い込まれるような悪寒を感じた。とその瞬間
手が実際に引きずり込まれる。意識が遠退く漆黒が宇宙が見える、俺が消える「馬鹿が!」ガン!殴られた衝撃から剣が離れる。殴ったのは「久しぶりだな一樹」「親父を」
人間の姿になった、俺の父親。行方不明になったのは随分前だが、間違いない。「久しいな。ずっと会いたかった。だが、王を持たぬ状態のお前に王を持った俺が会っては、お前の魂を損ねてしまう。許せ」少し身勝手な所も、そのままだ。
「……で、聞きたいんだが、ここはどこだ?なぜ俺が呼ばれた?そもそもなんで親父がいるんだ?だいたい――」「まぁ落ち着け。うまいボルシチでも食べながら話そう」会話が少しズレている所も、そのままだ。
「ハフハフッう、うまいなこのボルシチ…おかわりっ!」「フフフそうだろうそうだろう、まあ落ち着いて食いたまえ」綺麗なメイドさんがおかわりを入れてくれた。
「あ、ども・・・大体生きているならなんで連絡のひとつ入れなかったんだよ。母さんがどれだけ苦労したと思ったるんだ、このクソ親父」
親父。そして親父のうまい棒を口に頬張るメイド...「お口に出して下さい御主人様ぁ」
間髪入れずに出されたデザートが、うまい棒というのも昔どおりだ。ちなみに俺はカレー味が一番だと思っている。「ぼふぉろびぇびょやじ」まるごと噛りながらだから真ん中の穴からボロボロとこぼれてくる。
「……旨いか、一樹?」親父が遠い目をしている。「ん、ああ」俺は一瞬目を泳がせた。「何故ルナ様を主とし、王として護るか。答えは用意できたか?」食事の手が止った。「皇様は、既に魔剣クラウソラスに選ばれている。理由無く、秩序を乱すな」
「そんな顔も知らない奴の秩序が何だ!」空気が変わったまるで王宮の一室のようだ「こんな顔だが」音も無くその男は顕れた。年齢は若者にも老人にも見えた。そいつはクラウソラスを平然と持っていた。
「あ---」近くに立たれただけで魂が凍りついた。そして次の瞬間、体が勝手に跪きそうになるのを気合と根性でなんとか押さえる。圧倒的な威圧感、全てを照らす王者の威光。何の準備もなく、俺は最悪の相手と・・・ルナの仇と対面してしまった。
思わず逃げた。
「ふっ」皇のはっした声は嘲りではなく憐れみだった「どうした止まって?いいぞ、逃げ帰っても」
「ではお言葉に甘えて」
能力をフルに使って、浅ましく、滑稽に、ただその場から離れる。頬を伝っている涙は恐怖の涙だ。ルナも親父も頭の中から消えていた。
走る疾る奔る!壁をぶち破り、扉を叩き割り、門扉を蹴飛ばし---俺の何処にこんな力があったのかと思うぐらいの力を発揮して俺は逃げた。怖い・・・あんなのと対峙しようなんて無理だ
あの眼が焼き付いて離れない。漆黒のどこまでも深く底の知れない眼が。何より怖かったのは安心したのだ、皇の眼を見るだけで他がどうでもよくなるくらい安心した。それが怖かった。
気がつけば、俺は、自分の家に戻っていた。「は、はは・・・」生き延びたことの安心感が、笑いを引き起こす。「家の前で何してるの?一樹」
「……姉さん。何でもないよ、本当だって」「なら良いけど。今日のあんた、ちょっと変だよ」姉さんはまた店に戻った。姉さんには親父の事をなんて伝えよう? 俺達が親父の事で調べていた葉海製薬の本体とも言える教団。その中に親父本人が居たなんて。
467 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/11(金) 20:51:46 ID:7BWpVve5
まっ、いいか。とにかく寝よう。頭の中を整理するためにも
明日は土曜日。どうしようっかなあ。天気も日中は晴れてるらしいし。そうだ、あいつに会いに行こう。
そういや会うのは5年ぶりだな。昔ウチの隣りに住んでいた幼馴染みの あゆみ。この間久し振りにメールが来たんだ。少しだけ緊張するな。とにかくルナには黙っておこう。
そして翌日。どしゃ降りと強風のなか俺は街道を歩いていた。
白骨街道、そこは数多のもの達が戦い合い倒れ臥した修羅の街道、その果てにはヴァルハラがあるとか強力な武器が眠るとか言われている。
白骨散らばるその街道を俺の駆る90式戦車が猛進する……シュールだ。
「……さて。我が愛車を戦車に見立てる理由は何かな?」「……冗談ですよ。綾裂さん」俺は白骨温泉へ向かう為に綾裂さんの車に同乗している。「で、綾裂さんは何故白骨に?」「ん、魔剣に対抗できそうな法具がありそうだからな。王族の魂を定着させる何かが、な」
「それより、お前は?」「いやぁーなんか伝説のエロ本がこの街道の終着点にあるとかで――じょ、冗談ですよ!幼馴染みに会いに行くだけです!だからそんなチェーンソー振り回さないで落ち着いて下sくぁwせdrftgyふじこlp;
・・・血が足りない。肉もだいぶ落とされてしまったがまあ何とかなるだろう。俺は綾裂さんと分かれて獣道を歩いていた。
目的の温泉はもう近い……。だが、この血だらけの格好でどんな顔して幼馴染みに会えばいいんだ。そして、俺の右手にはなぜかエロ本と薔薇の花束。
血が止まっている?何故だ確かに力に目覚めてから回復力は高まってるが−−−−ドクン!《へえ魔剣に触れたから蓋が開いたのか》誰かの声を聞いた気がしたが今は待ち合わせ場所に
行こう……とその前に腹ごしらえでもするか。
お、ちょうどこんなところに喫茶店があるじゃないか。入ってみよう。「お帰りなさいませご主人様」
「ルッ、ルナ!?」そこにはふりふりのメイド服を着たルナがいた「なっ、何でしょう私の名前はユエですよごっ、ご主人様」あー、そういえばバイト始めたって言ってたな。
じゃあとりあえずコーヒーと、ここに書いてあるオプションのお触り一回で。うーん、それにしても500円はちょっと高いな。まぁ、いいけどさー
ルナに鼻フックされた。「お…おはわりってこれかよほ…でも…良ひ」
うっ、膝が笑ってラァ。だが、もう行かなくちゃ。女の子を待たせるわけにはいかねーよ。「じゃーな、ルナ。バイト頑張れよ」目指す温泉はもうそこだ!!
「ねえ、なんで裏口から出ていくの?」「こっちから来たんだけど?」「あんたまさか裏の山上ってきたんじゃないでしょうね?」俺は無言で会計を済ませ、表から出ていった。そこにはちょっとした観光地の目抜き通りが広がっていた。どうやら、バスもタクシーもある。
いや、あった≠ゥ。過去形での話だ……ほんの数分前まではバスやタクシーだったんだろうって鉄くずばかりだ。たぶんとんでもない力で吹き飛ばされたのだろう。
だが、まるでビデオの逆再生のように戻っていく「面倒くさいなあ」「ミコト遊んだら片付ける我もやるから」「はぁーい皇」……一瞬意識がフリーズした何であいつらが?
時間はさらに戻っていく...すべての始まりの時へと...
行き交う人々。車。話し声。ついに、目の前には当たり前の観光地になった。「……そこの獣人。隠れて居らず、出て来い」皇の、静かな声。だがそれは、俺にとっては全く逆らえない圧力を伴っていた。ふらふらと、足が前へ出る。止められない!
もしもし、こっちにこいと言われましたか?俺とアナタとの間は車道がありますよ。赤信号ですよ。こっちはフラフラですよ。……なんか10tトラックが来ましたよ……。俺、今車道のド真ン中デスヨ……。ドウスルンデスカ……ヒカレチャイマスヨ……。
轢かれたと思った瞬間体をぐいっとひっぱられて宙を浮いていた。なぜか俺はトラックに乗せられていた。
「よう、少年」綾裂さんだった。
「帰るぞ」「え!?それはどうゆう」
「あんなヤバイ連中が法具探しに出張ってきて居るんだぞ。お前は簡単に皇の指令に服従する。ルナは――駄目だ。あれも多分簡単に魂を抜かれる。おまけにあの神の写し身まで来ている。勝つ見込みが無い。せめて見えない子供達でも居ればなあ」
「んっ、あいつらって葉海製薬の人間じゃ?」「…あいつらは敵でも味方でもない。きまぐれなんだ幼稚園に在籍した事もあるが全て嘘の経歴だった。ただ一つわかるのは皇に匹敵する力の持ち主って事」
「で…………なんで綾裂さんはそんな重装備なんですか?」迷彩服にカストロ帽、パイナップル型の手榴弾にAK。まるで中南米の革命軍兵士だ。
「え、いや、これから撮影なんだ」「はぁ」明らかに誤魔化された気がするがつっこまないほうが良さそうだ
ところでこれは綾裂さんの前ではとても言えないが、カストロ帽をスカトロ帽と頭の中で思ったのは俺だけですか?……そうですか……。
「どうした少年?よだれなんか垂らして」
「……、まあ私はこれから矢波部神社にある物を取りに行く。少年、お前はルナと一緒に帰れ」「矢波部神社ですか!」 偶然だ。幼なじみのあゆみの家じゃないか。「俺も行きます。メールで渡さなければならない物があるって言われて、だからここに来たんです」
「ほう、何だその渡さなければいけない物って?」「それが……俺もよく知らなくて……たぶん戦車だと――嘘です。ホントにゴメンナサイ……」
一方その矢波部神社では巫女が儀式をしていた。神社は一画から風雷が巻き起こっていた「封印も限界ですか。魔剣と対をなす名前を忘れられた神剣よ目覚めるというのですか」
そのときだった。天が割れるような轟音とともに神剣を封じていた宝物殿が吹っ飛んだのだ。
あらわれたのは艶めかしいほど豊潤な気≠まとった一振りの長剣。白金の蔦がを絡み合ったかのような柄と、鋭利に磨き上げられたわずかに反った刀身は近寄りがたいほど荘厳な白金の輝きをたたえている。
それは未だ風雷を巻き起こし、その音は鳴り止まない。「存外遅かったな神剣」「皇、何なのこの音!?」「始まりの音さ」同時刻一樹「呼んでいる」同時刻ルナ「呼んでいるわ」
同時刻俺「牛丼大盛り、つゆだくで」
同刻、聖堂近衛兵団管制室。初老の管制官が報告する。「団長、神剣の覚醒を確認。二個中隊を確保にあたらせます。認可を」「必要無いよ夢野君、もう皇が向かっている」「了解。……彼らしいですな。神出鬼没だ」「は……まったくだ」二人とも少し口元を歪めて苦笑する。
そのとき俺は牛丼にしょうがをたっぷり乗せていた。そしてさあ食うぞと思った瞬間、肩をたたかれた。
508 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/24(木) 09:36:06 ID:Mcxi9+Nl
「先生、時間です」
「何の冗談だよ、ルナ」振り向かずに牛丼を掻き込む。「判って居るんでしょう? あれが目を覚ましたの」「綾裂さんは帰れっていったぜ。賛成だよ、あんな化物相手じゃ」「ちょっと!」「命令したらどうだ? 皇かお前。どうせどちらかの命令が有れば俺は従っちまうんだ」
命令が叫ばれた。「そのツユダク牛丼を一気飲みしろ!」、「な!?や、やめろツユダクってスゲー熱いんだって、お願いアッ!アッー!アッーーー!!」
「その熱さが身に滲みたなら、もう二度と彩雲国スレで臭いうんこなんて言うんじゃないぞ」
じっちゃが言った。
「俺には関係ない、あんな化け物…そうだ、ルナもうやめようぜ。戦いなんかより、ほら牛丼でも食わないか?な?」「…そう、悪かったわ巻き込んで。貴方はそこで牛丼でも食べてなさい。じゃあね」「見損なったぞ一樹」そういってルナとじいちゃんは外へ出て行った。
「おっ、俺には関係ない関係ないよな」だが脳裏に浮かぶのはルナの姿そして殺される姿。このままでは遠からず現実になる想像「お…俺には関…係」
ルナの手…震えてたな。それにまるで最後の挨拶みたいだった。…あいつだって分かってるのかもしれない、皇がとんでもない化け物だって事を。「だ、だけど…か、かないっこないんだ。お、俺は、無駄死にはごめんだ。お、俺には関…係」
「――あるだろハゲ!あんたそこまでへタレだったの?」「姉ちゃん!?」ええへタレですよ姉上。ですが、ですがね、俺の毛根は健在ですよ。千代に八千代にさざれ石の苔むすまで健在ですよ。
「いい、よく聞きなさい一樹」すうっと息を吸い込む姉さん。「女の子を見捨てるようじゃあんた一生負け犬よ!相手の強さによって出したりひっこめたりするのは本当の勇気じゃなぁい!」何故かずがんと心に響いた。そうだこのままじゃ俺はルナを見捨てる事になるそれは…嫌だ!
「牛丼3つ持ち帰りで包んでください!」慌ただしく金を払い、俺は急いでルナを追いかける
だが時すでに遅し!!!
「雨が降ってきた」俺は何となくわかるルナの場所へむかってたこれはあの神社かズルッ!「痛っ、なんだよこの水溜まり?これ赤……」雨の中俺が見たのは
血塗れで倒れている爺ちゃんと右腕から血を流しながら戦っているルナだった。そしてその前方、そこに奴は居た。悠然と傷どころか雨粒一つもその体には付いていなかった。
「てめぇ……」「来たか、出来損ないの相棒」「ンだとコラ、調子ぶっこいてんじゃねぇぞ……」両手に気≠収束させ、具現化させる。特に意識したわけでもない、自然に脳裏に浮かんだ動作。透写。構築。反りのきつい二振りの刃が月明かりに鈍く光る。俗に言うククリナイフ。
「ほう、魔剣の知識が流れたか。だが!」皇はだだ突進しただけだが早さが桁外れだった。パリン!「脆いぞもっと考えろ!あがけ!命を賭けろ!我を退屈させるな!」
あっさりと、本当にあっけなく俺が具現化したナイフは折られてしまった。信じたくないし今も九割がた信じちゃいないが、奴は……素手で刀身をつかみ、へし折った。「――っ……!」「やはり準契約ではこんなものか……素質はあるのだろうがな……」
「あ、悪魔めっ…!」やはり俺の力じゃ勝てないのか…いや、それでも俺はもう逃げない。ルナは立っているのがやっとの状態だし爺ちゃんに至っては生きてるのか死んでるのかも不明…一生後悔し続ける負け犬はごめんだ!
皇は悠然と構えてる。くそっ、なめやがって「使わんのか?」「何?」「神剣だよ。せっかくお膳立てしてやってるのに」皇の目線の先には未だ力の放出が収まらぬ神剣があった。
まぶしく光る神剣を前に、俺は意を決して牛丼を
捧げた。「頼む、お前が神の剣だというなら力を貸してくれ!俺の牛丼を全部くれてやってもいい…俺はルナを、皆を助けたいんだ!」
俺は剣を掴んだ、が。「うがああ!」悲鳴が漏れる。神剣を掴んだ手が、焼けるように熱い。“吾は王たる者の剣。何故獣人ごときが望まんや”俺の頭に剣の意思が伝わる。頼む、少しの間だけで良い!“ならば、贄を捧げよ。而して神意を問え”手が、手が焼ける……!
俺はチャックを開け、愛息子を差し出した。「さあ、好きにするが良い!」
瞬間、愛息子が炭化し砕けた。「あ…ああああ!?」“よかろう、汝の一部を対価として一時だが力をくれてやる“溢れる光が剣に収束し真の刃が姿を現す。
刀身を包んでいた光が離散し、俺の体に降り注ぐ。「あ……あぁ……」ゆりかごに優しく包まれたかのような安堵感。そして、肉が溶け出し骨さえもが露出していた両手が、砕け散ったはずの愛息子が――「ほう……神剣の加護……か」時を巻き戻すかのごとく再生してゆく。
いやよく見ると形が違う。これは俺の息子じゃない
だめだ力が抑えきれない。「ウォォーー!」「くるか」まばゆい発光が巻き起こる…ポタポタ「ふふはっはははは!!我の血を見るなど何十年ぶりだ!愉しい!愉しいぞ!さあ殺し合いを続けよう!!」
見れば皇のトレンチコートの左肩が赤く染まっている。……浅くはない。「?」構えた神剣の柄の宝玉から空中に文字が投影される。Fragarach,set up start.′浮ェ粒子化し、空中にて再結合。俺の手には新たな姿となった神剣フラガラッハ≠ェあった。
“仮初の主よ、敵の力は強大だ。今ので先ほどの対価が消えた。更なる対価を“剣から知識が流れ込んでくる…こいつは使用者を食らう事によって使用者が受けたダメージを敵に跳ね返すことが出来る因果変動能力を持っているらしい。
536 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/27(日) 18:42:57 ID:MnH+do2h
農民田吾作「日本語話せお前ら」
を暗唱しながら俺は精神を統一させる
皇「戦いの最中になんと悠長な。我はヒーローの変身シーンを黙って見てるような特撮の怪人ではないぞ!!」
そう言い放つと皇はこちらに突撃してきた!!
だが皇は重大なミスを犯してしまった。一行リレースレで改行してしまった彼に勝ち目はなかった...
鋭く適確な連撃。俺は神剣に振り回されるようにして何とか防いでいる。「どうした傷つけたり、傷つけられたり、お互いに殺し合おうじゃないか」
不味い、このまま、マトモに戦ったら俺に勝機はない!受けた傷を相手にそのまま送り返すフラガラッハの切り札を使いたいところだが、代償として腕や足などの体の一部を失う事になる…どうする!?
皇「お前に我は倒せない。なぜなら我はミスを犯さないからだ。さっき改行したのはミスだったがこれからは気をつけるのでもう二度と我はミスをしないのだぁーー!!」皇の猛襲は続く。
俺は決めた。このまま戦っていても殺されるだけだ。何もしないで死ぬよりも何かやって死んだ方がマシだ。俺は切り札を使うことを決意した。
俺は、魂の底に潜むスイッチを入れた。途端に、体中の組織がめきめきと音を立て、変化を始めた。そうだ、始めて自分から完全獣化したのだ。獣化した俺の回復力なら、暫くは出血しても大丈夫。「剣よ、俺の血を贄とし力を使え!」
獣化して馬並みに怒張した俺の息子が激しく脈打つ。
瞬間、息子内の血液が消失し凄まじい激痛が俺を襲った。「ぐ、ぐうううあああああ!!」“考えたな、仮初の主よ。だがクラウソラスの力を返すのは一度が限度だ…それ以上はお前の体がもたぬだろう。よく攻撃を見極めろ“ き、キツイぜ…く、クロスカウンターって感じか。
547 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/28(月) 15:21:19 ID:mDCP0dlG
農民平八「だから日本語話せって」
「なら、隙はあたしが作るからきちんと仕留めるのよ」ルナが血の気のない顔で不敵に笑った。皇の動きを抑えるから、自分ごとその剣で皇を貫けと言っているのだ……
「ほほう、この状況、まるで3Pか無理心中のようだな。おもしろい。我は一向にかまわないぞ。やれるものならやってみるがよい」お前には無理だろう。というような余裕の表情で皇はこちらを見ている。
全ては一瞬で決まる。周囲の音が消えていく………「はっ」「フラガラッハ!」ザン!手応えあり「中々愉しめたクラウソラス!」その絶望的な声が響き皇は復元した。奴は今まで魔剣を使ってなかった。「褒美だ次まで見逃してやる」
551 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/29(火) 01:08:42 ID:0khkwxYC
農民太郎吉「さ、今の内に稲を刈るべえ」
雨の境内に残った物。赤くどろりとした水たまりと、その中に倒れ込むルナ。獣化した俺の焼けこげた腕に握られた王の剣、“神剣フラガラッハ”。 「やれやれ、普通人の出番なんか、無かったなあ」ぼやく綾裂。
通りすがりの農民「はー、今日はアマガッパーさ着て作業になんだな」
「さて…どうすっかな」倒れる三人を見ながらぼやく綾裂。そして気付く、神社の方から巫女姿の少女が走ってくるのを「ありゃあ、矢波部神社の巫女か」巫女は惨状を見るとぽつりと呟く「…間に合いませんでしたか。神剣は敗れたのですね」
俺は雨の降る中ぼんやりとあたりの声を聞いていた。神剣が魔剣に負けたのではない。単純に俺は神剣に振り回されてただけだ「…強くなりたい」
「あなたの……せいではないですよ」「ん〜?巫女さん、それってどういうことなの?」「神剣は、まだ……未完成なんです。……えっと」「綾裂よ、よろしく。――で、さっきの話。細かく……聞かせて頂戴」
「うちはあゆみ…冠凪あゆみ。とりあえずこちらに」そういって巫女さんは神社の本殿へと俺たちを招いた。
あれ、最近の本堂は地下に洞窟なんてついてんのか
「この洞窟は近所に住む太郎吉さんが畑仕事のついでに掘ってくれたものですわ」「マジか!?」「ええ、マジです」巫女さんは笑顔でしれっと答えた。ついでなんてレベルじゃねーぞ。一体何者だ太郎吉。そんな疑問が俺の頭をかすめた。
「…その、本殿に入る前に…です」「うん?なんかするのかにゃ?」そう聞く綾裂さんに巫女は苦笑いをする。そして俺たち三人に塩を塗りこんだ「「へあああああ!?」」「本殿に血の不浄を持ち込む訳にはいかないので…消毒を」「え、えぐいねえ」
「ではお清めが終わりましたので本殿の中へどうぞ」「で、神剣をパワーアップさせるにはどうすればいいんだ?」俺は単刀直入に巫女のあゆみさんに尋ねた。
562 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/30(水) 13:48:52 ID:0UI9TFaJ
「それは……」
あゆみさんは頬を染めながら帯をほどき始めた
「まずはうちと勝負や!!手加減はせえへんで!!小僧!!」巫女服の下は武道着、キャラも内気な巫女から熱血関西弁女格闘家に変わった。
「なんですとぉ!?」「魔剣クラウソラスとあんたの持ってる神剣フラガラッハにはな、擬似人格システムが組み込まれてるんや、フラガラッハはまだ覚醒してから時間が経ってない。そやから経験積まなアカン!」
「問答無用や」うわっ!いきなりかよ…あれ?何でこんなゆっくり、えーと攻撃していいのか?「ぐぺっ、やるようやな」皇の威圧感にはまるで足りない「悪いあんたと修行しても皇には勝てない」
「その油断が命取りや」あゆみさんが再び殴りかかってきた。俺はそのへろへろパンチをわざと受けてやる事に・・・俺は衝撃で吹っ飛ばされた。
567 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/30(水) 22:59:11 ID:0UI9TFaJ
「ずるいぞ!胸チラなんて!」
「勝つために手段をえらばんのがうちのモットーや。けど、拳の威力はほんまもんやったやろ。スピードを犠牲にする代わりに全身の気を拳に集中させる。これぞ冠凪神拳゛猛牛の歩み゛や」
「しかし遅いんじゃどうしようも……」「お前は修行が足らんぞ、一樹」祖父ちゃんが怖い顔をしている。「どういう意味だよ」「拳を避けるに拳の幅以上避ける必要は無いぞ。攻撃も同じ事よ。速度は絶対ではなく、要は、見切りぞ」
「なかなか良い事言うわね。一樹のお祖父さん」とルナ。「私たちもただ見てるだけじゃなく、ああいうかっこいい事を言いたいわね」と綾裂。
祖父「ルナよお前には秘密があるのだ。…出来れば伝えたくなかった。だが真の名を知らねば本当の力は発揮できんからの。お前の今の名前 L-NA を逆から読んだのがお前の真の名前じゃ。祖父ちゃん英語苦手だから出生届けを出すとき逆から書いてもうた。すまんアナル!」
「ちょっと!!何もそんなこと今言うことじゃないじゃないでしょ!!」とルナ。「黙っていればバレなかったのにね」と綾裂。
573 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/31(木) 13:45:27 ID:OAg+2wW5
本で得た表現マネして簡略できず長文になるの多いな
574 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/31(木) 13:46:46 ID:OAg+2wW5
これでok
ルナ「らめぇええ」
何だかギャラリーが騒がしいが今は戦いに集中だ。「ほな次の技行くで冠凪神拳の恐ろしさ思い知らせたる」そう言うとあゆみさんの姿が一瞬で消えた。どこだ!?
地を這うような低空姿勢「どや秘奥義牛突や」「…やっぱりなあ怖くない」そうあの皇の圧倒的な殺気がない。「防いでみてからいいてみい」ガゴン!「…嘘やろ」あゆみは完全に気絶した
やれやれたいしたことなかったな。俺はあゆみを起こしに近づき・・・近づいた瞬間、彼女は起き上がり俺の体に絡んでしがみついてきた。「冠凪神拳゛蝿取り草の構え゛や、油断したやろ」あゆみは俺に覆い被さり間接技をかけてきた。嬉しいような苦しいような
そんな複雑な気分を抱えていると「ここで華麗に俺様参上ッ――!」「はいっ!?」ボッコーンと本殿の壁が吹っ飛び、木材の破片とともに、どっかの馬鹿が登場した。
579 :
イラストに騙された名無しさん:2007/05/31(木) 23:47:01 ID:neQTIazC
「ガッハッハ!我こそは斉天大聖六代目孫悟空なり!じっちゃんの名にかけて勝負しろ!」
あたりは完全に静まり返っている。そう白けてるのだ。冷めた目が謎の馬鹿に突き刺さる「ガッハッハッはは…は…は……あのちょっといいですか?」
581 :
イラストに騙された名無しさん:2007/06/01(金) 01:10:38 ID:9JWkIIhD
「2コ上でも言った様に僕は六代目孫悟空でして……ついては一つ勝負などして頂けたらいいなー、なんちゃって……」
「あのアホまた来おったんかい。一樹はんちょっと休戦や」あゆみは俺から離れて男の方へ歩いていく「おお、お前は俺の終生の好敵手あゆみ。俺と勝負・・・」「おととい来いや!!冠凪神拳・羅刹芭蕉扇拳!!」「のぎゃゃー!!」男は一撃で空の彼方に飛ばされ星になった。
唐突に生じた隙を見逃すオレではない!駿足の逃げ足を生かしその場から逃げ出した。もうそろそろオヤツの時間だし、今日は良いナンパ日和だ。
584 :
イラストに騙された名無しさん:2007/06/01(金) 15:31:21 ID:9JWkIIhD
「やっ、逃さへんでえ!たあああっ!不動金縛りの術!」身体が動かない!?
585 :
イラストに騙された名無しさん:2007/06/01(金) 16:10:16 ID:tljcr1tM
「フハハハハハ体が動かないだろう」しまった拘束された。こうなったら仕方ない。秘技「オナラジェット」
「こんなんオナラだけに屁でもないわ。もうキレたでこうなりゃ一撃であんたを仕留める!!」あゆみさんは俺の方に走って向かってきた。すごいプレッシャーで俺は動けない。「泣いても笑ってもこれで最後や。冠凪神拳究極奥義・猛牛魔王突き!!!」
いやまて、皇と対峙した時の威圧感はこんなものだったか?恐怖で胃液が逆流する寸前だったこの程度にてこずってられるか「何かんが『フラガッハ!』
「これで終わりやぁぁー!!」あゆみがこちらに突進してくる!!その姿に巨大で恐ろしげな牛の姿がダブって見える。だが俺は恐れない。俺は神剣を構えた。
589 :
イラストに騙された名無しさん:2007/06/01(金) 22:27:07 ID:9JWkIIhD
ンモー
ドガッ!!とてつもない衝撃だ。だが俺はダメージをくらうと同時に・・・・剣を振り下ろした。ズシャッ!!!「・・・見事や。うちの・・・負けや・・・」あゆみは倒れた。そして俺も倒れた。
591 :
イラストに騙された名無しさん:2007/06/01(金) 22:57:57 ID:tljcr1tM
場面代わって魔王の城、水晶に映るあゆみ達を覗く怪しい影、冥王「ククク、イケニエはここに居たか」、冥王はニヤリと笑った
「一樹これからが本番だ!」爺ちゃん何いって…ビシュシュルシュル…神剣の剣の形が崩れ、一樹の回りを繭のように包んでいく「一樹!」「始まったか」………どこだ!《私の造った空間だ》
(゚∀゚)ニヤニヤ
今のは剣の声か?《いかにも。冠凪の巫女を倒し、試練をクリアしたお前に神剣の真の力を与える》
つーかあゆみってあんまり強くなかったし。《何か言ったか?》いや、別に。で、どんな力をくれるんだ?《契約の書き手の力を。この力があれば、二度とルナ以外の王に、たとえ皇で有ろうとも服従することはない。それに――》それに?《父親を皇から自由に出来るぞ》
ついに魔王城の塔に囚われた姫の部屋の扉をヒカリの魔法で打ち消した。「貴女は自由です。」−しかしそこに居たのは自分だった。部屋にある鏡で自分の姿を見る。血染めのドレスに剣、女性の肢体。思考迷路に囚われた瞬間だった。
テレビをつけるとそんな感じの番組が始まった。「…それで一樹は本当に大丈夫なの?」紅茶を飲みながらそれを結構真剣に見ながらルナが尋ねた。「ああ、アレは神剣の力やし問題はないと思う」
「ここで空気を読まずに俺様参上!!」あの馬鹿だ。どうやってここに来たんだ!?「外で聞いたぞ、あゆみを倒したとな。だったらお前を倒せば俺はあゆみより強いと証明できる。勝負だ!!」《おお、おもしろそうだから試練その2として彼と戦ってみなさい。》げ、マジかよ
「とゆーかだな神剣。本当にこんな事をしていて強くなれるのか?」《…多分》…。「なー、俺もう帰って寝ていい?体中痛いしだるいし眠いし」《いや待て!強くなるきっと強くなるだから吾を信じて戦え!》
一方、外では「お爺ちゃんどこ行ってたの?」「ちと厠へな。そういやさっきの孫悟空に会ったぞ。勝負の結果を聞いてきたんで一樹が勝ったと伝えたらあの繭に入った」「あのアホ、また来たんか。ほんま懲りんな」「あの人とはどういう関係なんですか?」「幼なじみの腐れ縁や」
「あゆみ。彼が六代目孫悟空というのは本当なの?」テレビを見ながらルナが尋ねるとあゆみは額を押さえて言った「あれはあのバカが言ってるだけ。六歳のときに西遊記読んでからずっと言ってるんよ」「…馬鹿ね」「馬鹿や」「まあまあ、元気があっていいではないか」
繭の中:しかたない。面倒だが戦うか。「はっはっは!!六代目孫悟空ことこの俺、猿ヶ島三郎様の伝説が今始まるのだぁ!!」・・・やっぱこいつ馬鹿だ。
ガスッ!「ぐはっ、やるようだな」無言で顔面を殴るボコッドスッベキッ「いひゃい勘弁」手を止める「油断したへぶっ」ベキッマウント状態で殴る殴る
「ふふ、この俺様をここまで手こずらせるなんて、成長したな」何言って居るんだ、このバカは? 《うむ。強くなったな》神剣にも突っ込みが必要なのか?《いや、冗談ではない。さて、これでお主に頼めるな。お主の父の事。そして、あの人の手で造られた神、偽の神の事を》
「まぁ……任せてくれ」<なかなか頼もしいな>「頼むぜ、相棒」<了承した>柄の宝玉が光りだす。空中投射される文字列。Level3 limiter release.
「今だ!!隙あり!!」うわっ!!何するんだ。三郎がいきなり殴りかかってきた。不意を突かれて俺は吹っ飛ばされた「あゆみと同じく勝つために手段を選ばないのが俺様の流儀だ。まさかイベントの最中に攻撃されるとは思わなかっただろ」
「うぜぇ」「な、何だよそんな目するなよ」「神剣続きを」「無視すんな」グシャ!「消えろ」「ヒィー」馬鹿はようやく消えた
繭の外:「繭からなんか出てきたわよ」と綾裂。「なんや三郎。もう負けたんか。」「うう、技も出せずに負けたぜ・・」「ま、当然やな。うちに勝てんお前が一樹はんに勝てる道理はないで」「畜生!!一樹め。いつか復讐してやる。覚えてろ」そう言いながら三郎は去って行った。
609 :
イラストに騙された名無しさん:2007/06/03(日) 08:45:56 ID:alfmySgg
場合代わって魔王の城「冥王」
を解体した跡地に作られた魔城「ガッデム」
この城の現在の主は皇である。前の主だった魔王(冥王とも呼ばれていた)は皇の手で殺された。
「皇なんでこんな黴臭い所に来たの?」「いや、それなりに趣向をこらそうと思ってなミコト」「まあ、変な奴殺したのは少し面白かったけど」「久しぶりに全力だしたしな」
「しかし物足りぬところもあった。やはり殺し合いは神剣を持つ奴とやりたいものだ」そう言って皇は一樹のことを思い浮かべた。
「皇様」聖堂近衛兵団の団長が跪いて奏上する。「諸人を我らが同胞として迎える日、“祝福の日”計画の準備が整いましてございます」「そうかい、ご苦労騎士団長。――ところで、一樹とこの間会った」「……」「剣の仮主となっていた。獣人のくせに」
「では我ら近衛兵団が総力を挙げて一樹めを抹殺いたします」「いや、その必要はない。放っておいても向こうからくるだろう。それに、奴は我の獲物だ。奴は我が手で葬る」
「よい、もう下がれ」玉座の間の扉が陰気な音をたて閉まる。「――皇……神剣を持っている子ってどうだった?」「素質はあるのだろうな、力を使いこなせていない。素人だ」「ふーん、ちょっと見てきてもいい?」
「いいぞ。だが夕飯までには帰ってこいよ。」「はーい、行ってきまーす。」そう言ってミコトは出て行った。
部屋は皇一人となった「兄王、弟王暇ならミコトを見てくれ」無人のはずか声が返る『承知』「ああそれから神剣を奪ってもいいよ欲しがってたろ」『よろしいので?』「より強い担い手の方が愉しめる」
「承知しました」その声とともに兄王と弟王の気配が消えた。
「さあ、道化どもは消えた。時が遷ろうその前に、我らが舞台の幕を開けよう。“祝福の日”は来たりなん。後はかの方々、我が親愛なる双子の神、「創造」と「破壊」のお出まし次第、か」皇は自嘲気味に微笑んだ。
その頃、儀式を終えた俺はあゆみと昔話をしていた。「一樹はん。強くなったなあ。三人で遊んだ頃とは大違いや」「え?三人?」「覚えとらんのか、うちとあんたと孫悟空の三郎とは昔よう遊んだ仲やないか」あの馬鹿と?そうだっけ?あ、そういえば。俺の昔の記憶が甦ってきた。
「ぼくは孫悟空だ。牛魔王めやっつけてやる!!」「だれが牛魔王やねん。どりゃ!!」「どっひゃー!!」三郎は飛ばされ星になった。「あゆみちゃん。いまとばしたのだれ?」「ただのあほや一樹はんはきにせんでええで」・・・そんな思い出だ。昔はこんなことが何度もあった。
一時間後、「じゃ、またいつか遊びに来るよ」「一樹はんと勝負できてよかったわ。でも次戦う時は絶対に負けへんからな」あゆみとの別れの挨拶も終えて俺たちは神社をあとにした。
「……一樹?」「ん?」うつむいて服の袖をぎゅっとつかんでおそるおそる声をかけてくる――……らしくない。「その……ね、神剣、くれないかな?」一秒。二秒。「は?ルナお前――」「残念だけど、ボクはミコト。ルナじゃない」
くっくっとくぐもった声で笑った相手の顔を改めて見直す。 ああ、確かに地下聖堂で見た、あの顔だ。でも、どうして今まで気が付かなかった? 「それはですねえ、『幻を見よ』と、我々兄弟が命じたからですよ」振り向くと、あの兄王と弟王の兄弟が立っていた。
「お前ら一体いつ来たんだ!?」「ついさっきさ。神社から出てくるところを待ち伏せしてたのさ」ミコトは笑みを浮かべながらそう答えた。
「もう時間がないんだ」笑みが浮かんでいたのもつかの間、2人はいつになく真剣な顔に変わった。
「おい!!本物のルナは?みんなはどうしたんだ!?」「もう捕まってるわよ」そう答えたのは綾裂さん。見ると兄弟の後ろでみんな体を縄で縛られ地面に転がされていた。
「さて、“祝福の日”が始まるまであと少し。人類が等しく健やかに救われる為に、不安要素は排除しなくてはならない。己の王との契約すら完遂できない半端な獣人よ。ルナの替りに私が命令してあげよう。――剣を渡しなさい!」兄王の言葉が、強烈な圧力を持って響いた。
やだね
「ならばしょうがない」
Fragarach,set up start.#ロ定の意思と共に神剣を顕現化させる。すると強烈な圧力はあっけなく消えた。いける…神剣とならこいつ程度の命令なら無効化できる!
「我が命令を聞かないのであれば貴様を殺して神剣を奪うのみ!!」そう言うと兄王は俺に向かってきた。弟王もそれに続く。
兄王の秀麗な顔が眼前に現れ、眼光が煌めく。途端に、身体の中で何かが外れ、身体の動きが止る。「王と獣人の違いが、契約の主と成るか否かだけではない事を教えてやる!」全身に、切り裂くような激痛。「今、運動にかかわる神系を全て痛覚に繋ぎ替えた」
痛みで気が狂いそうに…いやこのままだと狂う!「お、い、神剣…なんとかならないのか!」《今、ディスペルする…少し待て》…だが兄王がこんな隙を逃すはずも無く剣を振り降ろ―ズガン!突如起こった爆発に兄王が吹っ飛ぶ!「この程度の呪縛で私を抑えようなんてお笑いね」
「神剣は世界を創りし二柱の神の遺産ふさわしい者の手にこそあるべきだ」兄王は神剣を掴む。意識が飛びそうになる痛みをこらえ神剣を離さぬようにする。
神剣を掴もうとした瞬間に兄王は吹っ飛ばされた。「大丈夫?一樹」助けてくれたのはルナだ。自力で縄を解いたようだ。《一樹、ディスペル完了だ。》その神剣の声とともに俺の体から痛みが消えた。これで反撃開始だ。
「さすが王族といったところか…我が魔眼の呪縛を打ち破るとはね」「黙りなさい…父様の仇、ここで討つ!」兄王とルナが睨みあう…俺は弟王の攻撃を捌きながら叫んだ「ルナ…そっちは任せる!」
だが返事がない「おいルナどうした?ルナ!?」彼女の様子がおかしい。正気を失っているようなトロンとした瞳をしている
そして、おもむろに服を脱ぎはじめた。
「一樹・・好き」「うわっ!!ちょ、何やってんだ!?」ルナは俺に近づいてきて・・「隙あり!!」突如、俺の腹にパンチが。そこで俺は正気になった。「おもしろい幻覚だっただろ。俺も催眠術ぐらいは使えるさ」俺の目の前で弟王が笑みを浮かべている。
その後ろでルナが半裸になっている。これは幻覚?現実?戸惑う俺に向かってルナが攻撃を仕掛けてきた
「ルナ目を覚ませ!!」「残念。ボクはミコトだよ」姿はルナだが声はミコトだった。「どうだ。催眠術のお味は?」弟王が言う。だが弟王の姿もルナに変わっていた。いや、弟王だけじゃなく兄王の姿も縛られてるみんなの姿もルナに変わっていた。ここにいる全員がルナに見える。
一方、本物のルナは兄王と睨みあったままだった。叫んでる一樹が気にはなるが今は動けない。「あんな野良獣人を僕にするとは、やはり所詮はロストナンバーという訳だね」
兄王の挑発には乗らずルナは静かに言葉を返す「あら、私にはその野良獣人に手こずってる様に見えるけど?それに一樹は…」そこでルナは言葉に詰まる。ふと、自分にとって一樹は一体なんなのだろうかと思う。僕?家来?…何か違うような気がする。
ただ一つ言えるのは、ルナにとってすごく大切で……きっと何者にも代えがたくて、絶対に失いたくない――そんな存在であること。ゴメン一樹、私にはそれ以上は考えられない。怖いから。失ってしまうのが怖いから……だから。
「だから私は・・・・、お前を殺して、一樹を殺して、私も死ぬわ」
「復讐にのみ生きるか…哀れな」「お前が…お前が言うなっ!!!」呟く兄王に激昂したルナが鉄球を放つ。ズガン!兄王の眼前で突如その鉄球が爆発する!――これがルナの切り札…触れた無機物を爆発させる事が出来る力だった。
爆炎の中から雷のように兄王が飛び出しルナの首を掴んむ。「やるな、だがもういい死ね」兄王の顔を醜く焼け爛れてルナの首を万力のように締め上げる「グッ、ガハッ、か、ず」
の、こ…」
「カズノコだと!?私の前でカズノコと言うなぁーーー!!!」なにやらカズノコにトラウマがあったのかルナを締め上げる兄王の力が強くなった。
「ふ・・・やはり・・・な・・・数の子がキーワードか。一樹今だ!!」
ちょうどその時、半裸姿で迫って来るルナの幻覚を一樹は打ち破った。「今?くそ、今度こそ幻覚じゃないだろうな!?」《All right, Master》
「今だ、一発デカイのぶちかますぞ!」《承知、形態移行》「やらせないよ、一樹……――ッ!?」「コイツはあたしがおさえるよ!」いつの間にか綾裂さんが縄を抜け出し、ミコトに牽制射撃を行った。《刀身部伸長及び開放、銃身露出。状況乙′タ定出力制限解禁》
「な、なんなのですかこれは!?神剣とは…一体!?」弟王は攻撃も忘れ神剣の変化にただ呆然としている。ついてる、今の俺は完全フリーだ。こいつで決める!
「さすがは神剣だが」ぶん!兄王はルナをまるで武器のように振り回し盾に使う「グフッ!」俺は思わず止まる「甘い甘いその甘さを呪え」
《”ホーミングモード・オン ターゲット 兄王”と音声入力するが良い》「“ホーミングモード、オン ターゲット 兄王”これで良いのか」《良かろう。そのまま真上にでも我を向け、引き金を引け》「本当に良いのか?」俺は天上に銃形態になった神剣を向け、引き金を引いた。
両肩に絶大な反動。閃光、轟音。思わず閉じたまぶたの裏が真っ白に染め抜かれ、あっさりと視覚と聴覚が奪われる。何も聞こえない……静寂――まるで自分の存在さえ希薄に感じるほど――絶対的な無の瞬間。真っ白。
――そして俺が目覚めたのは、その日から1週間たった朝のことだった。病院のベッドの上でルナから当時の惨状を説明されたのだ。
「戦いは・・・兄王はどうなったんだ?」「死んだわ。できるなら私の手で倒したかったけど・・・」ルナはそう答えた。
「そうあれは」……「ここまでか」そう言う兄王は袈裟懸けに切り裂かれていた「最後に一つ教えてやる。神剣と魔剣に善悪はない。その証拠に持ち主の負担を考えないさっきの技。そいつは果して目覚めるのかな?」
「……俺は、コイツを信じてみるよ」右手に握られた神剣は既に通常の形に戻っているが、刀身から大量の蒸気のようなものが噴き出し、柄を握っているだけでもかなりの熱気が伝わってくる。お疲れさん――――相棒。
一樹達が聖剣を巡って兄王達と死闘を繰り広げている頃、謎の熱病が世間を席巻していた。しかと思われていたそれは、葉海製薬が低価格で発売したワクチンにより短期間に収束していった。だが、そのワクチンを投与された患者の一部が異常な反応を見せ始めたのだ。
俺は病院のベッドの上で兄王との戦いの顛末を聞いた。ミコトと弟王は兄王がやられたら撤退したらしい。とりあえず今は休息だ。・・・しかし世界では大いなる異変が起きていた。
それは大規模な失踪事件だ深く静かに隣人が消えていく。失踪した人々は今いるのは葉海製薬のどこかの施設のはずだ。
「――やっぱ、助けるべきだよな?」ルナが首肯する。「そうね、葉海に捕まった以上ろくでもない℃タ験に使われるだけ……何とかしないとね」「私も行くから安心して待ってろ」「え?綾裂さん、待ってろって?」「お前はまだ本調子じゃない、安静にしてろ」
ちょうどそのとき看護婦さんが入ってきた。「さあ一樹くんお注射の時間ですよ〜お尻出してね〜♪」
チャラチャッチャッチャラッチャチャラチャッチャッチャラッチャーアナタノ〜両手が私の尻を弄り回す〜
などと言っている間に、俺の尻に太い注射針が打ち込まれ、何かの薬品が注射されようとした、その瞬間!「待ちな、雪!」綾裂さんに注射器がたたき落とされた。「邪魔しないで! 聖剣の仮主ですよ。契約因子をキレイにして兄王様に献上すればどんなに……」
「兄王?何言ってるの?兄王なら一樹が倒したわよ」とルナは雪に言った。「え・・・・・」雪は絶句してる様子だ。どうやら兄王が死んだことを知らなかったようだ。
「まあそれはそれで。」とすぐさま雪は2本目の注射を取り出した。「兄王のことは残念ですが、これは趣味ですから」
「何言ってんですか兄王様ならここにいるじゃないですか。」そういい雪は長袖をまくる。「お前!?」その腕は雪のものではない未知の腕、いやこれを俺は知っている兄王!
「前に兄王様の細胞を戴き、移植したんです。そうすれば兄王様並みに強くなれます」雪はそう言いながら笑みを浮かべる。「私自らが実験台となり成功したんです。くけけけけ」雪は妙な笑い方をすると注射器を構える。「くけけけけ」雪は笑い続ける。明らかに普通じゃない。
「――っという訳でぇ!楽しい楽しいオ注射タアァァァ――――イッッム!!刺して刺して刺しまくルウゥゥゥゥ――!!HEY!ア――ッハッハッハ!くけけけけっけけけけけけっけけっけおkjdsfhgmvヵ」
雪は狂ったように笑っている。「兄王の細胞を移植だなんて無謀なことを・・・。体が拒否してその影響が精神にきてるようね。かわいそうに」綾裂さんが冷静に分析する。
いや冷静に分析してないで助けてくださいよ。俺の尻にはぶっとい注射器が刺されて、どくどくと青い液体が注がれていた。なんだ?この全身を駆けめぐる寒気と快感は!?
「昆虫採集に使う青い薬ーー♪くけけけけ♪」うわぁー!!やべえ死ぬー!!俺は自力で尻の注射器を抜き、立ち上がる。そして神剣を手に出現させる。「雪、これは神剣だ。おとなしく降参しろ」
「それがどうしたの?」雪は動じてない。その時、病室の扉が開いた。そして入ってきたのは、「ウウッ!!」「グルル!!」ゾンビ達だ。その服装は白衣。病院関係者のようだ。「雪は天才なのゾンビ化ウイルス発明したのーみんなみんな仲間にしたのーすごいでしょー♪くけ」
「ふん、獣人化に失敗したんだね」綾裂さんは容赦がない。「な、ななに言ってるんですか!」「この間のはしかもどきのウイルスとワクチンの組み合わせで、むりやり獣人の大量生産をしたものの、変化に失敗し、ゾンビ化した個体が大量発生。そんなところでしょ」「うっ……」
「見破られてるじゃないか、雪」突然聞き覚えの無い声が俺たちの会話に割り込んできた。「おっと失礼、初めましてだったな。俺の名前はソラ。ミコト様の直属のヘブンズゲート部隊の隊長をやらせていただいている。今は訳あってお前を護衛しろとのことだ」
身のこなしに隙が無い。相当な腕前だろう。「何よソラ!アンタはすっこんでなさい!これから楽しいカーニバルが――ゲッ!?」ソラが手刀を雪の首筋に埋め込んだ――ようだ。実際、一樹には見えなかった。《並大抵の者ではないな……》
一方雪は崩れ落ちない。『A隊B隊C隊戦列を整えろ』ゾンビ達はその声を聞くと整然と俺達を取り囲んだ「雪いい加減に」『まてよ空重要なのは神剣だろ結果を待て』「兄王なのか!?」
なんか俺の尻に刺さった注射器を無視して話が進んでるな・・・・。こういうとき、俺はどんな顔をすればいいのかな?
ソラ「笑えば良いと思うよ」
とりあえず注射器は抜くべきだよな。抜いた針を見てみると、あらためて寒気がする。……太い……。《一樹よ、まずは脱出優先すべきと我は愚考するが?》「同感だ」――だがどうする、部屋の外はゾンビだらけで、しかも雪とソラがいる。となると残るは――
「やれやれ、だね」ソラは両手を胸の前で打ち鳴らした。「ハッ!」かけ声ひとつ。すると、合わせた掌から、真っ白い光が溢れる。『……――!』声にならない悲鳴を上げてゾンビ、いや獣人のなり損い達は、ぼろぼろと崩れ落ち、灰になってしまった。
『ちっ、そうか空お前第一世代だったのか』この現象を把握している雪いや兄王?『教えてやるよ。[感染者]能力者を増やせる能力者それを薬の形にしたのがゾンビだ。そしてそいつ草は蔵修司お前の父親だ』
「えなんて?ごめん聞いてなかったもっかい言って」正直尻が痛くてそれどころじゃないんだが。
「お前が好きだ」
「そうか…奇遇だな。俺もおまえの事が好きだったんだ。」
「ちょっと!!なんでやおいに走ってるの!!」綾裂さんからツッコミが入って正気に戻った。はっ!!俺は何を言ってるんだ!?「くけけ、あなたに注射した昆虫採取に使う青い薬に惚れ薬をブレンドしたの♪くけけけけ」
そうか……。だがアレが疼いて仕方がないのだが。そのせいか。この気持ちは止まらない!!ソラっ
「だが断る!!!」
『いつまで漫才やってんだ。神剣が奪われたってのに』俺は気付く、神剣がない、兄王が握っている「返せ!」『武器は強い方が持つもんだ。神剣俺は不適格か?』《……力量は十分だ》
「ほう、ならば俺と組むか?こんな出来損ないなどと組むより、よほど貴様もありがたかろう――」《思い上がった口を利くな》「何だと?」《なるほど力量はある。だが貴様のごと卑劣な小童が使えるほど、我は安くない》
神剣が光り輝く!『ぐっ!?』雪…いや兄王が怯んだ一瞬を逃さず俺は蹴りを叩き込み剣を奪い返す「ルナ!」「上出来よ、一樹」以心伝心…俺が飛び退くと同時にルナが放った鉄球が兄王にぶち当たった!
死んだ。まさか・・こんなあっけなく?だが兄王は確かに死んでいるように見える。何だ?この違和感は・・・・
兄王が、いや雪が起き上がる。「やはりこの女の身体では無理か」そう言うと雪の腕がもげて床に落ちる。雪は倒れる。だが腕は生物のように動いている。「腕の兄王の細胞が増殖して独自の生命体になったのね。雪は寄生されて操り人形にされてたんだわ」綾裂さんが分析する。
「逃がすか!」俺は神剣に力を込めるゴオオーー「すごいわ一樹」ドクン《いや止めろ一樹》ドクンなんだ力が吸い取られる『さっきリミッターを外しといた、力を吸われてミイラになっちまえ』
力を吸い取った兄王の腕は巨大化していく。だが『兄王として再生するには細胞の材料が足りんな』そう言うと腕(だった肉塊)はゾンビたちを喰らい始めた。『ついでだ』「や、やめろ!!」肉塊はソラに覆いかぶさり喰らいついた。『我が肉体の一部となれ、ソラ』
「ぬ……ああぁぁあぁあぁぁぁぁぁ――!!」信じがたい事だが、ソラの体がずぶずぶと肉塊に飲み込まれてゆき……ゴプンというげっぷのような音を肉塊が吐き出した時、ソラの体は既に飲み込まれ、跡形も無かった。
『おいおい、俺より自分を心配しな』そうだ未だ神剣による力の放出が止まらない。…意識が《何故止まらぬ》『神剣の本質は力!お前は神剣の意識じゃないただの後付けの制御装置だ』
「イイエソンナコトハナイデスヨ」
窓の外からの声。振り向くと人型の何かがいた。――待てよ、ここを何階だと思ってる。第一人じゃないし。ローブのような襤褸切れの隙間からのぞく、ところどころ苔の生えた、黒みがかかった金属板に覆われた体。のっぺらぼうの顔。しかも完璧に空中に静止している。
右には肉塊となって人を喰らう兄王、目の前には俺の力を無理矢理吸い出す神剣、左には訳のわからん金属人間。・・・くそっ!どれから対処すればいいんだ!?
と混乱したのもつかの間、謎の金属人間に掴まれて俺は空を舞った。「なっなんだ何するんだ!?」「オチツキナサイ アナタヲタスケマショウ」
左腕にルナと綾裂さん、右腕に俺と神剣――不思議と力の吸収は止まっている――を抱き、奴は一気に上昇する。眼下に街の光。冷たい夜の風が容赦なく吹きつけ、力の吸収にあったせいで火照った俺の体を冷やしてゆく。
『くっくっ、いいねえ制御装置を使わず自力で神剣を制御したか。決めた次の肉体はお前がベースだ』兄王に力が集中していく、だが俺は対峙しても何故か不思議と落ち着いていた。
そして自然と深い眠りに落ちた。
目覚めた時、戦いは終わっていた。「ルナ!!兄王は!?」「死んだわよ。って、二回目ね」俺は無意識のうちに兄王を倒したらしい。「でものんびりもできないわよ」と綾裂さん。「あなたが寝てる間に皇が本格的に侵攻を開始してこの国を征服したの。奴は今、首相官邸にいるわ」
「な、なんだってー!!」「シー静かに、他の客に迷惑でしょ」落ち着いて辺りを見回すと、そこは俺の行きつけのwファミレスだった。
何だかストーリーを一週とばしたみたいだ。本当に兄王は死んだのか?「綾裂さんところでその包帯は?」『ん、別に何でもないわ』
伸ばした指の先で、包帯がはらりと解ける。酷い傷だ。「あの剣の奴、あんたの血だけじゃ足りなくて、私の血も要求したの。お陰でこの有様。でも、代償に見合うことはしてくれたわ。でもね」手元のワンセグ携帯を点ける。画面に表示される新首相就任演説。「皇!」
皇「私は約束する!日本の女子は制服としてセーラー服を着用することを。そして体育着にブルマーを復活させることを!…」
「近年の堕落した文化により、ブルマは廃れ、退廃的な体操服がはびこった!だがしかし!その歴史は今ここに終わりを告げる!今こそ、我らが新しい希望の灯火をともすのだ!そして、全人類の未来の為、我が日本国民は立たねばならんのである!ジーク・ブルマァァァァ!!!」
今まで俺は勘違いをしていた。皇は最高だ!!俺は皇の部下になろうと思う。止めるなルナ&綾裂さん。ジーク・ブルマァァァァァァーーーーー!!
俺はファミレスを飛び出す。あの演説の場所はどこだったろう?とりあえず皇のところに行かなくては。俺はタクシーを拾った。
「お客さん、どちらまで?」「皇の所へ!って・・・あれ?」運転席を見ると何故かガスマスクをしている運転手「・・・あっさり引っ掛かるとはね」ぷしゅー
「ふふ、良くやったわ。後はγシリーズ試薬の完成形を注入して……これでよし」雪、なのか?「ふふ、これでこいつの『契約』は弟王さまのものになる。あの忌々しい剣もろともね。これでロストナンバー、ルナを始末するだけよ」駄目だ、意識、が、遠、く……。
「雪、お前死んだんじゃなかったのか?」意識が朦朧としながらも俺は雪に聞いた。「あれは愚かなオリジナルよ。私は優秀な゛二人目゛の雪」「オリジナル…二人目…そうか、お前は雪のクローンか?」「その通り、あなた意外と聡明ね」「意外は余計だ…」そこで俺は気絶した。
一方その時、ルナは偽放送を見て飛び出した一樹が偽タクシーに連れ去られるのを見て頭を抱えていた「くっ、あの速度では追いつけない…一樹」「おい、ルナルナ乗れ!予定は変わっちまったが、このまま突入してついでに一樹を助けっぞ!」
綾裂が乗った赤いジャガーが私の目の前で止まる。私は急いでジャガーに飛び乗った。「お願いするわ、綾裂。あとルナルナっていうのは止めてもらえないかしら」「いいじゃない、可愛くてさあ」
一方皇の居城「弟王準備はぬかりないか」「ええ、抜かりないです皇。あの雪という者なかなかの掘り出し物でして」「兄王がスペアにしてただけはあるか。オリジナルもそろそろ修復が終わるか」「目覚めるのは雪、兄王どちらですかね?」
「弟王様!!」一人の衛兵が駆け込んできた。「何事だ?」「兄王様が、ぎゃー!!来たー!!」衛兵の後から来たのは巨大な肉塊だ。肉塊が言葉を発した。『我が肉体を再生させる。そして私は実験するの。くけけ』「修復は失敗か。しかも雪の狂気の人格が混ざっているな」と皇。
「フッ、退屈しのぎに丁度いい。――クラウソラス、我が元へ来い!」『仰せのままに、我が主』皇の手に、神剣クラウソラスが現れる。「城を破壊しても面倒だ。力を45%解放」『御意』紫色の雷光が迸ると、巨大な肉塊を包んだ。数回のたうち、肉塊は完全に消えた。
「うっわー、スゴイスゴイ!ねえ皇、ボクもそんな剣ほしー!」皇の横に居たミコトがはしゃぎながら言った。「ふむ…困ったな。そうだ、そろそろかの剣が到着するはず、アレをミコトにやろう・・・弟王」「判りました。では僕が取りに言ってきます」
一方ルナたちは――「スイマセン、チョット来テクレマセンカ」「あんた、あの機械人形!」「申シ遅レマシタ、私ハ錬金師モルガンニヨリ生ヲ授カリ、彼ニ仕エルモノ」「ホムンクルス?」「いえ綾裂、彼はゴーレムよ」
「イイエチガイマス、今週のビックリドッキリメカデス」「ま・・・まさかあなたがあの伝説の」「ハイ」
『メカデス』---伝承によれば一夜にしてソドムとゴモラを滅ぼしたという巨神兵の名だ
「あ!!綾裂さん。話してる間にタクシーに逃げられましたよ!!」「しまった!!逃げられたか。メカデス!!あんたが話しかけるから逃げられちゃったじゃない!!」「ソンナコト言ワレマシテモ……」
メカデス「…わかりました。でわ私に乗って下さい。追い掛けましょう」そうメカデスが言ったとたん変形が始まり、あっと言う間にイカす車になった。メカデス「どちらまで?」
「うははははっ!なんだよそりゃ!おい、ルナルナ、変形したぞ変形!」「そうね…こんなゴーレム私も初めて見たわ」「変形ロボ…っぷ、あいつが居たらどんな反応を…ツッコミ不在なのがホント惜しいねえ」メカデスの変形を見て綾裂は手を叩きながら大爆笑した。
「そのドライブ、ボクも混ぜてくれないかい?」この声どこかで……「ソラ……生きていたの!?」ルナがとっさに声をかける。「ふん、あいにく死神にも見離されていたみたいでね。皇の所行くんでしょ?ボクも話あるから連れて行ってよ」
【いいぞ聞こう】その瞬間皇の声が頭に直接響く【さあクライマックスだ派手に盛り上げよう】声が終わると共に綾裂と雪の車が不可視の力に包まれ転移した
いや正確には転換した。すべての人類が性転換したのだ
「……だったら面白いわね、クスッ」「綾裂さん。不気味な独り言は止めてね」「ねえ、お2人さん。騎士団のみなさんがお集まりですが、どうします?」西洋風の城の中庭の真ん中。ビーグルモードのメカデスを獣人達がすっかり取り囲んでいる。
「ココハ任セテクダサイ」メカデスは既に人型に戻っている。「いいの、あんたは?」「構イマセン――両腕部フェアリング展開。砲身及ビ補強骨格……展開。材質硬化開始。コア結合。掃討砲ヨルムンガント°N動シーケンス完了」
だが、
【ふふ、神剣の騎士よ対となる魔剣にもお前と同じ者がいる】空間から何かが顕れる「オ、オ前ハ」「407年10ヵ月3日21時間32分10秒ぶりの再開だな」
「久しぶりだなぁ。メカデス」そいつはメカデスと同じ姿をした機械だった。「オマエハ、ロボデス!!」「覚えていてくれたか。そうだ。カタカナ言葉しか話せない貴様よりも性能の良いロボデス様だ」ロボデスと呼ばれた機械は嘲るような口調で話してきた。
「サクユツキサラム」ソラがぼそっとつぶやいた途端、現れた機械は砂に変わった。「いや、バカッぽかったからつい…」
いや砂が動き始めメカデスを拘束する「ナノボディ」「約400年ぶりの神魔戦で寝呆けたか操者も乗せず」「折角皇から戴いたのですから早くけりをつけないで下さい」弟王がロボデスの頭部に顕れた
「……あんた、ソラじゃないでしょ」綾裂がソラを睨む。「何言ってるのさ。ボクはソラだよ」「いいえ。ソラは「ボク」なんて言わなかった。そんな一人称を使うのは私の知る限り一人しかいない。」「ちぇ、ばれたか」そう言うとソラの姿が変わる。「そうさ、ボクはミコトだよ」
「……あんた、ミコトじゃないでしょ」綾裂がミコトを睨む。「何言ってるのさ。ボクはミコトだよ」
綾裂がミコトに言う。致命的な…一言を。「いやあんたはミコトじゃないよ…葉海清音。皇の孫娘にして強制的に肉体の全てをG遺伝子に変えられた神の写し身…人造の救世主」「…!?」「気付いてないと思ったかい?これでもプロなんでね」
「だから何?確かに僕は清音とミコト二つの記憶があるけどそんな事で動揺するとでも。それよりメカデスを気に掛けたら」遥か上空では二つの鋼の騎士の戦いが続いてた
「それにさ、黙ってたけど綾裂さんだっけ?キミもニセモノだよねー。前に会った時と波動が違うんだよね…。そこまでわかるのボクぐらいだけどさ。今謝るなら許してあげる」
「あら、お見通しだった?」「まぁね、本物は今頃墓石の下?」「違うわよ。綾裂なんて人間はもともと存在しないの。あんたが今まで見てたのは、あたしが土こねくり回して作り出したオートマータよ」「あっらら〜随分と豪華な術をお使いになるね」
「で、いったい誰なわけさ??うんや、どーでもいいか。キミはもう楽しませてくれそうにないしね…。じぁあネ☆」
少年だか少女だか分からないそいつはクルリと振り返って立ち去る。興味をかられた俺は後をつけることにした
「俺ッ子だったんですか、綾裂……さん?」「錬金術師アヤソフィア。面倒だから綾裂と呼ぶことを許す」「なんでこんなめんどくさい事を?」「神の技を解き明かすのが錬金術師の仕事。で葉海製薬に身分を隠して入り込み、何故か出来の悪い兄弟子の助手にされた訳よ」
「……話は終わりか?」「我らのことを忘れてもらってはこまるぞ。俺より性能の劣るメカデスは破壊した。次は貴様らの番だ」いつの間にかメカデスは破壊され、弟王とロボデスがルナと綾裂に襲い掛かってきた。
753 :
sage:2007/06/30(土) 13:24:13 ID:mfD8RTVS
それは一瞬だった。
いや、3秒位あったかもしれない。
既に四肢の損壊が激しいメカデスが俺たちを庇った「ゴ・無・・事デ・ス・・カ−ピ−−−」メカデスの瞳から光が消えていく
「バギーちゃん……」
壊れたロボデスの中から弟王が出てきた。「よくも博士の造ったゴーレムを!」「おいガキ。あれは博士を名乗る不出来な兄弟子が、師モルガンの技術をまねただけだ。アレだけじゃない。獣人化ウイルスと抗体だって、王族を被検体に神の写し身を造る技術も、みんなそうだ」
「ふっふっふっ偉そうにご高説しているがコピーがオリジナルに勝てないと本気で思ってんのか?進化し続けるコピーは黴の生えたオリジナルに勝るロボデス!」残骸が粒子となりロボデスが再生する。
「弟王様。アーマーモードの承認をお願いします」「よし、許可する!!」「ロボデス・アーマーモード!!」そう言うとロボデスは砂状になり弟王の体に集まった。そして弟王の体が金属の装甲に覆われた。「アーマード弟王!!見参!!」弟王はそう言ってポーズを決めた。
「…」?、「…ちから…」!?、「…私の名を…」!、「力が欲しければ私の名を呼べ!」!!
「進化し続けるコピーか、ハッ…タリではないな」「一樹聞こえるわ」「ルナ?何も聞こえな」ブゥゥン「神剣が震えている」その時メカデスの瞳に光が戻った
「あれ、一樹くん。いつの間に戻ってきたの?奴らに捕まってたんじゃないの?」いつの間にか戻っていた一樹に綾裂さんが聞いた。「何とか二代目雪の隙を見て自力で逃げ出してきたんです」一樹はそう答えた。
「ところで綾裂さん」「なに?」「お伝えしたいことがあって……その……ここなんですけど」「何よ、ハッキリ言いなさい!」「――核で吹っ飛ばされるんだそうです……」
それも五秒後に
「なっ!?」「いやあ、ちょっと雪の奴をぼこったらアイツ怒っちゃって「こ、このケース入り核爆弾を爆発させるわ!」とかいって…ほら」と、一樹が指差す方向には怒り狂った雪がケースを持って走ってきている。
「一樹を核で殺すの!!くけけ」雪は狂ったように笑っている。「やれやれクローンも情緒不安定か」そう言うとアーマード弟王は雪に片手を向けた。「しばらく寝ていろ」手から電撃が放たれ、雪に直撃する。「くけ……」雪は気絶した。「邪魔者は消えた。さあ、勝負と行こうか」
しかし振り返ると誰もいなかった。「・・・・逃げたか。やるじゃん」
さてそのころの俺はというと
皇の居城の内部に侵入したが迷っていた。「綾裂さーん。どっち行けばいいんですかー?」「私に聞かないでよ。ここの内部構造は私もあまり詳しくないんだから」
「ああ、一樹そこ赤外線通ってるわよ」綾裂さんがスコープを覗いて指示をくれるおかげで、なんとかセンサーは避けている。「違うわ、もっと足を開いて……そう手を下に――」……綾裂さん、わざとですね。なんでコマネチなんかしないといけないんですか……。
「なにふざけてんのよ、死にたいの?アンタ。もっと手は鋭角に!コマネチはもっと優雅でセクシーなのよ」
突然壁を飛び越えて来た集団が。「諸君ここが悪の本拠地だ。練習を思い出せ!!皇のブルマ野郎をぶっ飛ばして我らスク水愛好軍の恐ろしさをおもいしらせてやれ。パワードスーツの確認はすんでるな。オールウエポンズフリー。施設は幾ら破壊しても構わん、健闘を祈る」
「……なんか変な奴らが来たわね」」「あっ、一樹、あそこにいる人って……」ルナが指し示した方向にはパワードスーツを着て鉄でできた棒を振り回してる男がいた。「俺は孫悟空だ!!スク水の理想に共鳴して参上!!」……間違いない。自称・六代目孫悟空こと猿ヶ島三郎だ……
ドタドタ騎士団が騒ぎを聞き集まる「ここは決戦の場だ部外者はお取り引き願おう」「何を偉そうにこの三郎様が…ザシュ「いてえよ本物の剣だ」馬鹿集団がやっと事態の深刻さに気付いた
始まったのは一方的な虐殺だった「ぎゃあああ!」「な、なん…こんなっ!!」「かーちゃーん!」どだい平和ボケした馬鹿集団と戦闘集団では勝負にならない。見る見る間に減っていく馬鹿たちを見て綾裂さんが駆け出す「ちっ、見てらんねーぜ」
俺はブルマ派だが仕方ない。俺も助けにいくか。だが、集団の一角で衛兵達をぶっ飛ばしてる奴がいた。「オラオラオラオラ!!オッス、おら悟空。貴様らなど牛魔王のあゆみと比べれば雑魚同然だ!!」あいつ、一応は戦えたんだ。だが、衛兵の数は多い。……加勢してやるか。
魂の奥でスイッチを入れる。根源的な力が、俺の細胞を揺さぶり起こす。「オォオオオン!」獣化した俺の雄叫びに、騎士団の全員が文字通り魂消た。腕の一降りに、数人の騎士が弾け飛んだ。「成長したじゃないか」どこかで聞いた声。ああ、ラシエルか。あの近衛騎士団の副長だ。
「さて、彼らじゃ君に失礼だ。僕が相手しよう」と、言うなり、両手を宙に掲げる。ラシエルの華奢な体躯には不釣合い……というより人間には不釣合いな大剣が具現化。「どう?XK-06 ZANBA――オーダーメイドの特注品さ」
「そうかよ・・・なら」俺は右手を空に掲げる『Fragarach,set up start』朱の粒子が俺の手に集い神剣フラガラッハ≠ェ具現化する。「俺も特注品だ!」
にらみあう一瞬、同時に地を蹴る。何千分の一秒のわずかな時間。彼我の距離――ゼロ。大上段から振り下ろされた斬馬刀の一撃を受け止める。途方もない重量の斬撃に、靴が雨で半ばぬかるんだ大地に押し込まれる。
「ふん!」「だあっ!」力ずくで振り降ろそうとする斬馬刀を俺は横に弾き、その勢いを利用してフラガラッハを叩き込む…寸前、横から逸らした筈の斬馬刀が突如切っ先を俺に向けて放たれた。
「相打ちか…?」とラシエルが痛みをこらえながら言う。「いや、俺の勝ちだ」俺ははっきり言った。「……そうか、お前、成長したな」ラシエルは地面に倒れた。一方、「三郎、あんた意外と強いのね」「俺は孫悟空。当然だ!!」配下の騎士達は綾裂さんと三郎が片付けたようだ。
「では第2ラウンドだ」ラジエルの体が胸に十字傷のある獣人に変わる。「そんな!」ルナはあきらかに動揺してる「さっきの業、身のこなしその傷まさかにい…」
…にい」
「お兄たま・・・?」
「OH。ブラザー」
ルナの台詞に俺と綾裂さんが同時に疑問を発す。兄…だって?こいつが!?
「兄さん、サン兄さん何でしょ」「…気付いたか、整形したんだがな」「皇に騙されて」「私は私の意志で仕えている。全ては因果律を破るため、全てを知りつつも何もしない一族など悪だ!」
「なにを…何を言ってるの…皇は…とうさまを、かあさまを殺したのよ!」ルナの叫びにラシエルは顔色一つ変えず平然と答えた。「ああ、知っている。だが必要な犠牲だったんだ、この狂った世界を正すためには」
「邪魔はしないでね、ルナ。とりあえずそこの獣人の両足でも切り落とすよ。」次の瞬間、一樹の両足の太股から下が消えた。血の池の中を一樹は転がる。
「ぐぁぁぁぁーー!」「悪い一撃で仕留めきれなかった」サンは斬馬刀を上段に構える「待て」綾裂が割って入る「どけ!」サンは憎しみをこめて見る「綾裂貴様も同じだ知識だけ持ち活用しようとしない」
「はてにゃ?何のことかしら、私はただの通りすがりの親切なお姉さんだぜ?」「黙れ、貴様がS機関…錬金術師どもの犬だと調べは付いている。貴様ら錬金術師はあれだけの力を持ちながら何故それを秘匿する!」
「大きな力はそれにふさわしい者が管理すべきなのよ。愚者が力を後先考えずに振り回して、それで何が起こったか……アナタも知ってるんじゃない?」
「笑わせるな何もしない事を管理とでもいうのか!相応しいものそれは皇だ事実黴の生えた技術を進化させたのは皇だ」そういいラジエルは剣を振り下ろした
手足を半ば切断されながら、獣人の生命力のみで石畳の上を転がり、辛うじて避け続ける一樹。「異端として封じられた我らが、全ての人を導く日は間近。あとは不安要素たるルナ、一樹、そしてあの双子を取り込むのみ! この世に神の国を開くため、我が剣に掛れ一樹!」
くそう、両足をやられた……。《一樹、私に任せろ》神剣が語りかけてきた。すると、俺の足に魔力が集まり……俺の両足が再生した。「おい!!神剣の力で足が再生するなんて卑怯だろ!!」ラシエルが叫んだが、俺の知った事ではない。今は勝つ事が何より重要だ。
しかし足が再生したとはいえ、ラシエル…いやサンだっけ、ともかくこいつが異常に強いのは確かだ。ここはちと卑怯だが「ルナ、綾裂さん、あとついでに三郎…一斉攻撃で行くぞ!」「…俺はついでかよ」
フラガラッハが変形し、己の開いた刀身を加速器とするレールガンへと変貌。ルナは既に複列砲撃術式陣を起動している。綾裂さんは、馬鹿でかいガドリング砲を構えている。CIWSでも盗って来たのか?三郎は……?まぁいい。これで準備は整った!
「3対1は卑怯じゃないか」「その通りだな一樹」その声は「弟王!…親父!」「もはや問答無用」そして三人が異様な構えを取った「あっ、あれは禁断のデビル&ゴッドエクスクラメーション」
最初に動いたのは一樹。だがサンの反撃を受け切れずまたも左手と左踝を失う。しかし、まだ倒れない。その頭上をルナか飛び越えすかさず全体に古代上級魔法ияйЮ∂を放つ。サン達に怒濤の太古の怒りが降り懸かる。
「ロボデス。バリアをはれ!!」「了解!!」弟王が自らの鎧になってるロボデスに命令した。すると弟王達の周りに見えないバリアがはられて魔法を防いだ。「見たか。これがこの俺、アーマード弟王様の実力だ」
「やれやれ次元結合結界か…一樹、こいつの相手は私に任せておきな」綾裂さんはそういって弟王に向かって駆け出す。同時にサンと親父も動き、俺に向かって斬りかかってくる。マズイ!どっちも俺よりうわて、捌き切れない!
《装具送還を行うぞ》「へ、何それ?」《黙っていろ……送還!》一樹を中心として突如白い竜巻が発生。「ッ……!」二人の動きが止まる。数瞬の後、竜巻が消滅。「お、すげぇ。早着替え?」純白のトレンチコート。ずしりと頼もしい重量。《鎧だ。送還時に気力を消費する》
綾裂さん一つ問題が…。「トレンチコートはすごいが俺が元々着ていた服もどっかに転送されて全裸よりマシかな??程度に変態な格好なんですけど。風が吹くたびに可愛い息子が見えちゃうんですけど」「我慢しなさい一樹。でも安心して防御力は格段に上だから」
《すまぬ一樹、アンダーウェアの送還を忘れていた》「おまっ……フラガラッハ!ンな事忘れるなっつの!」《送還する》再び白い竜巻――紺色を基調としたセーターとジーンズ。《高耐久炭素繊維と特殊鋼線を編みこんである》
「ファッションショーは終わったようだな。では、俺の剣で貴様の体を真っ二つにしてやろう」「お前のそんな服よりも俺のロボデスアーマーの方が強いに決まっているだろうが!!くたばれ!!一樹!!」サンと弟王が俺に向かってきた!!
そして去っていった。。。「???何が起こったんだ」と振り返るとそこには
「奴らには外に行ってもらった。前座は終わりだ。我らを楽しませてくれよ。一樹」「そうそう、ボクも楽しみたいしー」皇とミコト!!いきなりラスボスかよ!!
「クラウソラス、いいな」《Yeah,》「よし……送還!」黒い霧が皇を包み込む。「我が心は凍てつく凍土。美酒ではなく血に酔い、屍の腐臭に身を躍らせた……。戦いこそが我が安息。つわものの血は我をより高みへと誘う……楽しませろ、一樹!」霧が――散った。
それからのことはよく覚えていない。
気が付くと俺は地面に倒れていた。体中に傷があり激痛から動く事もできない「こんなものか、こんなものでしかなかったのか」そう皇は失望したように呟いた。
「思えば貴様の連れも随分あっけなかったな。空間消失術で二人ともあっさり消えた。少しは骨があるかと思ったが……他愛も無い」――……今コイツなんて言った?消えた?思考、呼吸。いや、おそらく心臓の鼓動も含めた身体中の全てが静止した。――今コイツ何テ言ッタ?
瞬間俺の血がたぎった。静止していた肉体が急速に、不規則に蠢き出す。そうして、俺は一線を超えた。
「やめておにいちゃん!」
THE END
一樹はその言葉に耳を貸さず、カードを引き抜く。「まず一枚目、ドロー!モンスターカード!」
「……貴様はいつからデュエリストになったのだ?」皇は心底呆れたような視線で一樹を見る。「もう、うんざりだ。さっさと死ぬがいい」皇は俺に向かって剣を振り下ろした。その攻撃は俺に直撃した。
(ああ俺は死んでしまったんだな・・・お花畑が見える・・・・)
【駄目だよ】[主人公が死んじゃ]いつかの二人の子供だ【違うよ僕達は2柱って数えなきゃ】[てこ入れするか]お前等何を【君の意見は聞いてないよ主人公】光だ光に侵食される
「くそ、やめろおおお!てめえらがなんだか知らねえが、俺を…乗っ取るなああああ!フラガラッハァァアァ!!」叫びながら俺は剣を呼ぶ、剣だ…剣さえあれば
《…お久しぶりです創造者》「フラガッハ?」【心配するな君に力を与えるんだよ】白い子供は神剣を俺に突き刺す。力、力が注がれる[君の倒すべき敵は]「…皇だ皇を倒すんだ」
気が付くと俺は無傷で立っていた。(あれ?確か俺、皇の剣衝を受けた筈なのに…生きてる?それにあの二人の子供…あれは夢だったのか?)
「我が剣を受けても生きているだと?まあいい、貴様など我が手で葬るまでもない。弟王、ラシエル、殺れ」いつの間にか皇の傍らに現れた二人が俺に切り掛かってきた。だが、俺は避けて、二人を斬った。「何!!」「馬鹿な……」二人は信じられないという顔で地面に倒れた。
力だ力が溢れてくる。「殺す殺す皇を殺す」「ねえ皇何であいつ私と同じ力がでてるの?」ごちゃごちゃうるさいな、今はこの衝動のままに「とうとう介入してきたか創造神、破壊神!」
「coolにいこうヨ、一樹くん。俺の傍らにソラが立っていた。ルナさんと綾裂さんもボクが保護してるからネ。」「あれっ、ソラ死んだはずじゃ…」「う〜ん、黙ってたけど実はボクはキミの剣、フラガッハの中に宿る精霊でさ。剣が有る限り死なないんだ。」
「今の君じゃ皇は倒せない。このままだと君はフラガッハの力に支配されちゃうヨ。もう一つの魔剣アンサラーを手に入れるんだ!!」「何か
安直な設定だなぁ...」
「で、アンサラーってのは?」「左手用の防御短剣――要するにマインゴーシュって奴だね。強烈な守護術式が仕込まれてるらしい。それこそATフィー○ド並みらしいよ」「すげえなおい……今どこにあるんだ?」「ああ……それがね――
「アンサラーってこれの事?」ミコトがポケットから短剣を取り出した。「皇が誕生日プレゼントにくれた物だけど、へえ、そんなすごい物だったんだ」そう言いながらミコトは短剣を構えた。くそ!!敵の手に渡っていたのか……
ちなみに、その短剣の真名は《暗黒天使殺千獣結界刀六六六式戒ちょっとだけよ》といった。
「何その無駄に冗長かつたいした意味も無いと思われる当て字まみれの言うのがかなり面倒くさくてしまいには誰もが忘れてしまいそうな真剣なのかふざけてるのかだったら九割がたふざけてつけちゃいましたってへっって感じのなんともリアクションに困る真名」
作者「文句言うな」
一樹「へっ!ツッコミのためだけにわざわざ魔剣創造主ご本人がお出ましするとはご都合主義も極まれりだな!」ミコト「で、あんただれ?」
「おい、創造神、俺達はあんまりでしゃばらない方がいいぞ」「すまない。破壊神、ちょっとカチンときたもんでつい」そう言って作者――創造神と破壊神は消えた。「なんか邪魔が入ったけど、戦闘再開といこうよ。ボク、本気でいくよ」短剣を手にしたミコトが俺に向かってきた。
ボキッ!「…え?」俺がその絶技に気付いたのは皇が俺の首を折った後だった「生きてる?首の骨を折られたのに」「今のお前はそれぐらいじゃ死なん、お前は神々を呼び寄せる餌だ」
俺「おしりかゆいムヒ〜、おしりかゆいムヒ〜」なんか首を折られたのにスゲエ余裕な気分!
ミコト「そういえばさぁ、事故で腕を失った人が、ないはずの手が痒くなることがあるらしいね」俺「おい、なんで今このタイミングでそんな話をしてるんだお前?」
次の瞬間
風が吹いて、スカートがおもいっきりめくれた。
俺は風だ。俺は風だ。俺は風だ!スカートの中を注視しつつ、俺は目的を達した。そう今の俺は片手にパンツ、片手に「略ちょっとだけよ」を持っている。皇はもちろんパンツ穿いてないスカートの中を覗いている。
皇と俺はしばらく見つめ合い、しっかと握手を交わした。
わけがなかった「もうよい」皇が底冷えのする声を出した。ドス!「…あ…あ」剣を突き立てられ串刺しされる「そのまま現実逃避してろ全てがなくなるまで」皇はルナの前にたった…そして魔剣が振るわれた。
一樹に続きルナまでも、その冷たい剣は寸分違わず心臓に突き刺さっていた。2人分の血で池になる床。もはや、治療など気休めにもならない。心臓を失った2人……。「ついに主役交替か。どうする創造神?」破壊神は笑いながら聞いた。
謎の美少女「やめてふたりとも! 私のために争わないで!!」
「なんだ貴様は?」皇は少女を見る。どこかで見たような…「なんてね♪私は受け身なヒロインじゃないわよ」そこで皇ははっとした。「貴様、綾裂か!?」「その通り、これは私の新しい肉体よ」
「今さら何の用だ?」「一樹を逃がそうとね」「ほうその屑をか。足が震えてるぞ」「む、武者震いという奴さ」綾裂さんが皇の前に立つ…何だ俺は何をしてる?今動かないでどうすんだ!
瞬間、俺の《第2の人格》が意識をのっとった。
「ょ、ょっ。あっ・・・・。オマエはぉっ俺が・・・・・・・・・・・・。たお・・・・・。」「随分と弱気だなお前(笑)」皇が笑う。それに、私がつけた傷は私でも治せないぞ。穴の空いた身体でどう戦う、獣人化か?獣人かすると血圧が上がって血が吹き出して死ぬぞ。」
「――ハッ……」短い嘆息。皇ではない。「誰だ」皇が問いかける。姿は見えない。「回廊、接続」出所の知れない声の後、何も無い虚空からぬるりと人が出てきた。「貴様、名をなんと言う」「貴様?卑しい身で俺に指図するなたわけ」皇以上の高飛車な口調。
「俺をたわけと呼ぶなたわけ」
「黙れ童貞」
その心無い一言に俺は、絶望した。
だが、おかしい目の前の光景が俺の体が勝手に動いてる「まあよい不様に死ね」「ふん、急拵えとはいえ今度の主演は品がないな」神剣と魔剣がぶつかり合う
その時、魔剣が使い手に反して動き出した。意思を持った魔剣が言葉を発する。「あっは〜ん♪ いまどき神剣だってぇ、ふっるぅ〜い♪」
『
● ● ●
』 …………一瞬にして気温が零下数十度の領域に到達した――気がする……。
(これはツッコミを入れた方がいいのかな・・・。俺の右手が「なんでやねん」のポーズでうずうずしていた)
好奇心に負けてツッコミをいれた。「・・・な、なんでやねん」
パスワード承認。エマージェンシーモード展開 ……
ピコーンピコーンピコーンピコーン・・・・・・ガチャ
神剣がGENKAITOPPAした。新たなる能力に目覚める。
そう、皆が憧れるあの力。最低でもテストで95点はとれる能力。これで、夏休み明けのテストもバッチリだい。
「うわあ!うらやましいなそれ。ボク、殺してでも奪い取りたいよ」そう言ってミコトは手に短剣アンサラーを持ち、飛び掛かってきた。
やばい、いろいろあったせいで気をぬいていた。やられるってコレ。ああ、どうせなら童貞卒業して死にたかった……。「スキル発動。<千の砲火>」声の後、なぜかミコトの姿が消失した。なぜ?理由は簡単だった。飛来した横殴りの鉛の雨。――大雨洪水警報発令。
ああ明日は学校休みだな…そんなどうでもいいことが頭をよぎる
それに……、みんな忘れてないか、俺の心臓剣で貫かれてるの。ホント死ぬ、せめて童てぃ…………………。そこで俺は倒れた。後はよろしくな、ルナ。
心臓を貫いた剣にガンガン蹴りを入れる。「おーい、生きてるかー?」
だれ?
「今、お前を倒せばこの猿ケ島三郎様が最強だ。ガッハッハ」お前かー!!俺は起き上がり三郎に思いきり蹴りを入れた。「のぎゃーー!!出来心でしたー!!すみませーん!!」三郎は空に飛ばされ星になった。
「――っ……!?」何気なくあたりを見回すと風景が一変していた。無限に広がる赤錆色の空と乾ききりひび割れた大地、そしてあたり一面に突き刺さった十字架。磔にされた死体の多くは白骨化しつつある。「俺の隔離固有結界《裁きの日》だ」――この声。ミコト?
ミコトはHな水着をきていた。
「み、みことお前、大事なところが隠れて無いじゃないか!」と僕。
いいでしょ、夏だし……。気持ちイイよ。
硬直する僕を押し倒してそのまま騎乗位になったミコトは……
俺の目を覗き込みながら―― 「 や ら な い か ? 」
「やる!」と言い終わるか終わらないかの刹那、
僕のドリルがミコトを衝(つ)いた!
《失敗作だな》その声が聞こえた時全てが消え去り、俺は白い部屋にいた【ここまで進んだがね創造神】《うーん主人公を皇に変えるかラスボスは俺達にしようか》【ん、まだいたのか元主人公消えろ】
そして、主人公だった一樹は消えた。
―――――暗闇。 泣いている少女がいる。
孤独と絶望の淵で、少女は永劫の時を生きていた。
そこに一人の男がやってきた。「あれ?俺、あの双子に消されたはずなのに……。ここはどこだ?」一樹は辺りを見渡す、一面、暗闇だが、向こうに少女がいる。ここがどこなのか聞けるかもしれない。
「お嬢ちゃん」声をかけてみる
「なんだてめえは?ん、あっ!てめえ、あの馬鹿双子に物語の主人公にされてた奴だな。ははーん。こんな所に来るとは、てめえ、なんか下手うったな?」見た目と声は可憐な少女だったが、言葉使いと態度はヤクザみたいだった。
少女は永遠の時の中で過ごすうちに、強い態度で振る舞い他者を威圧する、という誤った自己防衛を身に付けていた。
「ところで、てめえ、一人ぼっちで行くとこないんだろ?オレも一人なんだ。だから、よかったらオレと一緒にいやがれ!!」少女は強気なんだか弱気なんだかわからないことを言ってきた。
「やだよ」毅然としながら断わった。
また場面が変わる。今度はやけに明るい、海の近くの丘に立っていた。見渡す限り、木と海しかなさそうだが、
「さっきの殺風景なとこじゃなくて、こんな場所ならオレと一緒にいてくれてもいいだろ?なあ」少女は俺にしがみついてきた。仕方ない。しばらく付き合ってやるか。「わかった。君と一緒にいてやるよ」「ホントに!?」「ところで君の名前は?」「オレは美雪。よろしくな」
「オレ」という一人称に疑問を持って胸を鷲づかむと
「きゃあ!何するんだよ!」……貧乳だが胸はある。本当に女の子だ。「ごめん。口調が乱暴なんでもしや男かと思ってさ」「ひでーな。オレのこの喋り方は生れつきだ。オレはこれでもれっきとしたレディだぜ」美雪は小さな胸を張ってそう言った。
「ところで美雪、ここは一体どういう場所なんだ?」「ここは「チラシの裏次元」。あの双子がボツにした物語のアイデアのゴミ捨て場さ」「て、ことは俺は捨てられたのか……」「安心しろ。オレも同じだぜ。オレもボツにされたアイデアなんだ」「いや、慰められてもなあ……」
「ところで話は変わるが美雪、俺たち外れもの同士、 付 き 合 わ な い か ?」
「おめえ節操ねえな。そんなんだから主人公クビになったんじゃねーの」美雪はあきれながら言った。
悔しかった俺は美雪に催眠術をかけた。
「支離滅裂な行動なるほど失敗作だな。お前世界に戻る気もないのか」そうはいってもいまさら戻ってもルナ、綾裂さん全員こ・ろ・され・てる?
「あ、そういやお前が主人公やってた物語、完結したらしいぞ」「え?主役の俺がいなくなったのに?」「まあ、これ見ろや」美雪はどこからかテレビを持ってきた。画面には皇が写ってる。皇が大勢の民衆に称賛されている。「この皇という奴が主人公になって世界を救ったらしい」
「まじかよ、じゃあ俺は?」「言っただろ。ここはボツになったアイデアの墓場さ。ボツになったお前は、最初からあの世界にいなかったことになってる。つまりお前という存在を知ってるのは、あの馬鹿双子とオレだけさ」
その頃、神都アガルタリアでは―――
盛大な宴が催されていた。主賓はもちろん皇だ。その傍らにはルナと綾裂がいた。「ありがとうございます。皇様」「私達を貴方様のような御方の側女にしていただけるなんて、この綾裂、感無量の思いにございます」二人は皇に仕えられる事が幸せといった感じで、皇を讃えている。
「フハハハハ本当に良かった。あと100レスほどだしな」と高笑いする皇。「レス…とは?」ルナと綾裂は不思議顔。「いやなんでもない。それより…」
「寝室へ行くのですね。皇様」「私達二人でたっぷりサービスいたしますわ」二人がそう言うと皇達三人は連れだって寝室へ……そこで画面が消えた。美雪がテレビを消したのだ。「何するんだ?これからいいとこだったのに!!」「他にツッコむ所あるだろ。これだからお前は……」
といいながら美雪はおもむろに
一冊のノートを取り出した。パラパラ捲ると、どのページにも作りかけの物語の欠片が溢れていた。ある物は英雄譚として、または希望の物語として、雄々しく、美しく始まった物語。だがその全ての主人公が些細なことから堕落し、疲れ果てて物語が終わっていった。
「これは?」「双子のこれまでの失敗作をまとめたノートさ。ほら、ここにお前の話も載ってるぞ」そのページには紛れもなく一樹の物語が記されてた。「……お前、双子の助けを借りていながら敵のボクっ娘に手を出したのか、それじゃ主人公クビになって当然だぜ」
それから三年が過ぎた……。俺はあいかららずテレビて皇やルナ達を見ていた。別にあっちの世界に未練があるわけではない。ただ見ているだけだ。もうあちらではルナと綾裂さんは皇の第一・第二婦人と、とて彼の子供をなんにんも産んでいた。
だが俺は変わらなかった。肉体的には何も変化もなく、ここに来た時のままだ。美雪に聞いたが、この次元では時間という物が無いため、俺達は年を取らないんだそうだ。それどころか死ぬ事もない。俺は不老不死になったのだ。だが、それも今の俺にとっては虚しいだけだ……
「虚しいのか?」ぬらリひょんが問いかけてくる。・・・この世界には何もないが偶に異界から変なものが紛れ込んで来る。このぬらりひょんという物体もそうだ。「虚しい?ああ、なんだかよくわからんうちに置いてけぼりを食らったような虚しさがあるよ」
「あまえるな!くずがここにいるのはてめえの行動の結果だ」
「何ぃ!」「ふん、本当の事を言ったまでだ」そう言うとぬらりひょんの姿が消えた。だが奴の言う通りだ。俺は皇に勝つ事より女とヤる事しか考えて無かった。俺は主人公失格だ。だが、女とヤりたい!ハメたい!ベッドの上でヒイヒイ言わせたい!それが俺の望みだ。げへへへ。
「大体、あの双子・・・まるで神様気取りで人を追放しやがって。許せないぜ、なあ神剣!」」《いや、どこから突っ込んでいいのか判らんのだが・・・まあ、とりあえずようやく我の存在を思い出したか。このまま忘れ去られるかと思ったぞ》
「忘れるわけないだろう仲間なんだから。ところで美雪って俺に気があると思わね?ね?」 《・・・・・・お主一遍死ぬか》
「まあそれは冗談だが……ここから出るにはどうしたらいい?」《やっとまともな事を言ったな。少し待て》言い終わると同時に変形を開始する。長い銃身が割れた刀身から突き出す。《我を真上に向け、天を撃て》
言われたとおりにやってみた。だが……「何も起きないぞ?」《そんな!?私の力が!?》神剣が狼狽する。「お前ら、ここから出れるなんて本気で思ってるのか?」美雪がやってきた。「オレも最初の頃は脱出を考えたが、今じゃ諦めたよ。ここからは出れないんだ」
「天?つか、何も無いぞ?」この世界にはそもそも薄闇しか無い。《いや、何も無くはない。忘れたか?我が名は神剣、フラガラッハ。因果を断つものなり!》神剣から放たれた白刃は何も無いはずの闇を切り裂く。その瞬間、一瞬だが世界の法則が乱れた!
と、思ったのも束の間、光は失われてしまい何ごともなかったかのように静まりかえっている。《すまない、一樹。この世界では神剣の力など役に立たないらしい》
「まあいいさ。俺と美雪はこの世界の神になるんだからな」《うむそれもまた人生也》
「神になる……か。その発想はなかったな」「いい考えだろ?この世界をこのままにするのは勿体ないし、ここを俺達の世界にしようぜ」しばしの沈黙の後、美雪はこう答えた。「……そうだな。どうせ暇だし、何もしないより何かした方がマシか。よし、その話乗ってやるぞ。一樹」
「まずはそうだな・・・・・世界の名前、どうする?」
「チラシの裏次元のままでいいんじゃねーの」と言う美雪。「いや、それじゃダサいだろ。どうせならペーパーワールドってのはどうだ?チラシよりはマシだろ」「……ま、それでいいんじゃね。オレは別に構わねえ」
こうして俺と美雪は神となった。一億と二千年ほど経った頃には世界を創造出来るほどになっていた…そして物語は
>>5に続き円環が紡がれた。
無限ループも15556398回目に差し掛かっていた。世界を見続けるのも俺はそろそろ飽きてきた。かわりばえのない世界。最後に必ず負ける主人公。いっそのこと墜ちるところまで墜ちた悪のはびこる世界にしてしまおう。そちらの方が面白いに決まっているわ。
「まったく、どいつもこいつも期待外れだぜ。ほんと人間は堕落しやすい生き物だな」「……お前が言うと説得力あるな。一樹」「今の俺は神だ。もうその名で呼ぶな。創造神」「へいへい、わかったよ破壊神」今の俺たちは神だ。美雪が創造神。そして俺が破壊神だ。
「ふがいない主人公どもにはもううんざりだ。だから、この世界を悪の蔓延る世界にするが、別にいいよな。創造神?」「ああ構わねえ。お前も神なんだから好きにしろ」美雪から許しを得たので俺は凶悪な魔物達を創造して世界に放った。世界は恐怖と混乱に覆われた。
平和だったペーパーワールドは魔物たちがうろつく混沌とした世界になった。魔物たちを放ったのは、すべてを破壊する魔剣を持った獣人の姿をした邪悪な神。その名を破壊神カズキと言う。
カズキはあちこちの世界で暴虐の限りを尽くしていた。高みの見物をしていた俺はふと違和感を覚えた。
「おい、破壊神……いや、一樹」美雪は一樹に声をかけた。「なんだ?創造神?俺様に何の用だ?げへへ」一樹の様子は以前と変わっていた。目つきは鋭く、凶々しき雰囲気をまとっている。「……お前、変わったな」「おう、俺様は破壊神だ。昔の弱い一樹じゃねえ。最強の存在だ」
「支配に飽いた者が戯れに混乱と調和の物語を産む。ありきたりだがそれはいい、だが我らのしていることに調和が抜けておらんか?」「ん、そう言えばな」「ならいずれ此処には調和をもたらす勇者が……」言い終わらぬうち、目の前に歪みが生まれ、数個の人影がまろび出た。
すでに遥かな昔、だがすぐわかった「皇!」「ウロボロスの輪に飲み込まれた愚かなる邪神よ因果を破り来たぞ、今が終焉の時だ」
「人の身で人を超え…神の領域に来たか…よかろう相手をしてやるよ人間」そう呟きながらも俺は何故か満足していた。俺は望んでいたのかもしれない…人間が神を倒す事を。俺が敵わなかった運命すら乗り越える者が現れるのを
「いでよ。フラガラッハ!!」俺は神剣を手に出現させる。《くっくっく、今日も楽しませてくれるのだな。一樹よ》「もちろんだ。それに今日の獲物は皇だ。八つ裂きにしてやろうぜ」《同意だ。くっくっく》神剣も今では主と同じく悪に染まり、もはやその凶々しさは魔剣である。
「永かった。人の身には永かったぞ、邪神よ。御身らがまき散らす悪より人を自由とするため、心を鬼として人間の持てる力の全てを糾合、やっとウロボロスの門をくぐるに至った。さあ、人が神に捧げる最期の供物、神殺しの舞を今こそ舞おうぞ」皇の目に迷いはない。
……勝負は一瞬でついた「残念だ一樹、試練を越え因果を破るのはお前だと思ったのに」「がはっ、何をいってる皇?……はは、そうかこの力はそうだ私も神という役割を与えられただけだったのか」
「違う!邪神よ貴様は自らその役割を受け入れたのだ…意思あらば運命ですら断ち切れた」「く、くははは。そう、か人は…運命にすら勝ち得るというんだな、皇」「そうだ」「そうか…ならば――」俺が出来なかった運命を乗り越えた者に倒されるならば…「わるくないな」
「……斬るぞ」皇は静かに剣を構える。「……ああ、斬れよ」俺はそう答えた。もう未練はない。皇が剣を振り下ろそうとした。だが、「やめろ!!」創造神、いや、美雪が皇の手を掴み、皇を止めた。「そいつはオレの……大切な奴なんだ。頼む!殺すな!!」
「…どれだけの命あるものがそう叫んだ?」皇が静かに美雪に問う「…そ、それは」美雪が口ごもる。そう、俺たちには聞こえていた…神に縋る数多の叫びを。「幾千の世界、幾万の友の無念、その報いを受けここで果てろ!」
「だめだ!」美雪はなおも抵抗する「確かに一樹はこの世界ではどうしようもないクズだった・・・でも21さt・・・いや来世では重要な役どころに」
「もはや、問答無用!」皇は剣を振り上げ叫んだ。「答えを導け、我が剣『アンサラー』よ!この哀しき輪廻を打ち破る答えをっ!」《Yes, my master.》剣が輝き、その輝きと共にそれは振り下ろされた。
「ウオオッッーーフラガッハ!!」光と光のぶつかり合いだがそれは皇が押し勝っていく「何故だ!?」「俺の仲間、俺の敵、死んだ奴、殺した奴全員分の光だ」「眩しい眩しすぎる」
やはりダメだ。俺は皇に勝てない。俺は破壊神として多くの世界を滅ぼしてきたが、皇は俺以上に修羅場をくぐってきたらしい。そして奴は大勢の人々の想いをその背中に背負っている。奴は、皇は本物の英雄だ。俺なんかとは比べものにならない……。
かくして物語の幕は下りた。「まさか捨てた筈のゴミが僕達になるなんてね」「僕達は僕達だけでいいのさ・・・紛い物なんて、ねえ?」「まあまあ、もう消えた事だし…次はどうする?」「そうだなぁ」――全ては予定調和の檻の中に。 一行リレーラ20冊目・『完』
エピローグ。俺は皇に殺された。だが、「なんで生きてるんだ?俺。それにここは?」「気がついたか?一樹」美雪が微笑んでる。「俺、死んだよな?」「ああ、だがオレの力で魂を助けた」美雪の力?「オレ、ボツにされた物語では死神役だったんだ。だから死を自由に操れるんだ」
夢を見る。…皇は幾多の悲劇、暗黒に染まろうとも立ち上がる光り輝く英雄皇に。それを俺達は虚無の空間で夢見る「ここは何もないな」「でも静かだ」「そうだな」…………完
えーと本当に完、でいいの、かな?
蛇足。「なあ、美雪。俺たちこれからどうすんだ?」「オレたちはもう物語から解放されたんだ。自由にやろうぜ」「……自由か。じゃあ美雪、俺と、や・ら・な・い・か?」「別にいいぜ」「マジで!?いいのか?」「ああ、二億年以上の付き合いだ。お前になら抱かれてもいいぜ」
「死んじまったから、体はないけどな」「えー」 缶
もうぐでぐだから終わらせよう
つーか終われ
>>944で一応オチもついたし、これで終わりにするか。
リレー小説の反省。
まさかこんな終わり方をするとは思わなかった。
やっぱりミコトとやってしまったあたりから展開変わったな。
展開が予想できないリレー小説の醍醐味を味わったぜ。
美雪「1行で語れバカ」俺「バカっていうなー」
つか、しばらく見てないうちにいつの間にか主人公は捨てられてるし
脱出させようとしたら諦めて神になるし・・・どんだけ〜
山場で屑な行動とらせるからだよ
何とか持ちなおして決戦までいったのに修復不能なほど屑になるし
ちょっと前半で設定てんこ盛りにしすぎたかなあ。
良い感じの出だしになったと思ったんだが。
このページどうやって埋める??
しかし雪とかミコトとか一樹の父親とか最後は出番なく終わったな。
最後の方、完全に書くの止まってたし強引に話進めなきゃとおもった。
それで次レスどうする
しかし幾らなんでも、もうちょいバトルシーンはまともな流れになって欲しかったな
まぁ今となってはどうでもいいんだけどさ
神凪あゆみ戦はけっこうよかったと個人的には思う。
こいつはもう死んだんだ、って言っているのに同じ奴をしつこく出そうとするのも、
正直困った。挙げ句の果てになんだか訳のわからない生物にしてみせるし。
アーマード弟王も結局、まともに戦う前に終わったしな
とりあえず全体通して言えるのは、死んだキャラはそのまま死なせろってトコだと思う。
後半キャラがインフレしてきて、裁ききれてなかったし
次はギャグにしようぜ
舞台どうする学園?それとももっと広く町とか?
舞台がどこだろうと俺には書ける自信がある。それが一行リレー。
広すぎもどうかと思う。今回は獣人だったから次回はサイボーグなんかどう??
サイボーグだとギャグはきついぜ。
サイボーグなら基本線はシリアスにしないと。
って、仮面ライダーか?
主人公がどうせ屑化しちゃうと思うんで抑え役のサブ主人公用意したらどうかなsage
話がどう転ぶかは参加者の筆次第。俺は糞化させないようにする。
次スレマダー?
どうせなら男塾みたいにアホみたいな決闘をやらせまくってはどうだ?厨設定にはオレは自身あるぞw
いずれにせよ、登場した次のスレで即死と、クズ化と、
一旦死んだり二度と出てこられない状況になった奴がしつこく再登場ってのは避けたいな。
今回、出だしが結構良い線行っていたのに、その辺切っ掛けでグダグダしていったのが悔やまれる。
本当出だしは良かったんだけどなんかバトル路線に入ってから妙なレスが増えた気がする。
戦いの最中にいきなり魚焼きだしたりw
こんな終わりにしちゃったけど初めに双子神を出した人はどんな設定を考えていたのか
ちょっと気になるな。
最初に神様だしたんだけどもっとギャグっぽくしたかった
主人公に倒されたら舞台裏で
いい死にっぷりだろ。次のイベントは何起こす。
フラグたたせとくみたいな感じで
新作の方もカオスな流れだな。
一言いいか。何だか新作でも同じ名前のキャラが出て来るが、そうゆーのはやめないか?気分一新新キャラで逝こうぜ。一行リレーラ21板の皆がこのスレを見てくれる事を願う。
とはいうものの、もう始まってるし。
脇役って事で諦めるしかないんじゃね?
>>973 そんな意図があったんだな。
俺は、神様が出てきたとき、マトリックス的なものを想像してレスしてた。
主人公が決められた世界から脱出しようとする話を狙ってるんだと思ってた。
>>977 キャラは同じでもパラレルワールドという事でひとつ。
とりあえず方針としては殺すキャラはしっかり殺すってことでいこう
なんか新スレやたら設定が重くなってんだけどもっと軽いギャグでいきたいんだけど。