こんなマリみては嫌だ45 Carmen 能 Act. less編

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17イラストに騙された名無しさん
あとがき

何かねー、物にも心があるような気がする瞬間って、確かにあるよね。

こんにちは、今野です。
以前、あとがき等で書き散らしていたと思うんですが、青い傘がらみの裏話について。
本当は『パラソルをさして』でページ数に余裕があれば入れようと思っていたエピソードなんですが
結局入れられず、その後おあずけを食らったままずっと封印してきました。
場違いかもしれませんが、今回、なんと、この‘あとがき'のページをお借りして発表しちゃいまーす。
・・・と言っても、かなり短いお話ですけど(笑)。


その老人は錐を手にすると、いきなり彼女に掴み掛かった。
「何をするのお爺ちゃん!やめてーー」
「ふっ ふっ ふっ ふっ・・・」
「やめてぇぇええええーーーー」
 キリキリ キリキリ
老人は彼女の青い体を掘り刻んでゆく・・・
「ふ、く、ざ、わ、ゆ、み・・・と」
「痛い!痛いよーーー!」
「あ、住所も書いとかんと・・・いや、学校名の方がいいかな」
「もう許してーーー!名前ならマジックで書いてーーー!」
 キリキリ キリキリ
「リ、リ、ア、ン、じ、ょ・・・」
「いやぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!」
18イラストに騙された名無しさん:2006/07/02(日) 21:31:17 ID:mEJ0sW8O
その後、老人は息子家族と晩餐をとっていた。
 ガシャーン
「ぐっ・・・痛い、体が、体がぁああ」
老人は突然倒れこむと苦痛を訴えた。
「お、お義父さん!」「おじいちゃーん!」
息子夫婦と2人の孫は老人に駆け寄った。
そして老人は不審な言葉を口にする。
「・・・傘が・・・傘がワシをぉ・・・」
「!?」
「お、親父!しっかりしてくれーーー」
「あ、あなた、救急車を呼んだ方が・・・」
「そうだな。祐麒!電話!電話だーー!」
「わ、わかった」
ドタドタ
「おじいちゃーん!死んじゃやだーー!」
泣き叫ぶ孫娘に老人は震えながら手を差し延べる。
「ゆ・・・ゆみ・・・よーく・・・聞くんじゃぞ・・・」
「なに?おじいちゃん」
孫娘はその手を握ると涙目で老人の言葉に耳を傾けた。
「あ・・・青い・・・傘を・・・大切・・・に・・・」
 ガクリ
それが老人の最期の言葉だった・・・
「おじいちゃーーーーーーん!」
少女の叫びが、閑静な住宅街の夜空にこだました・・・


―どうです、物にも心があるような気がしてきませんか?
ちなみに、この話を短編集に載せようと担当の方に持ちかけたところ、即答で断られました。
なんでだろう?
                                                 今野 緒雪

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません。