秋山瑞人総合スレ63rd 生徒手帳の63ページ

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882イラストに騙された名無しさん
秋山は地球儀に行った。
しかし、瑞っ子たちは、秋山というのがどんな作家だったか、もうはっきりと思い出すことができない。
文体が独特な作家だった事は憶えている。遅筆だった。既刊もあまり多くなかったと思う。
しかし、それ以上のことは、本棚の一角を占めている十二冊の小説を読めば、いつでも思い出せた。
そして、瑞っ子たちが今でも、秋山についてたった一つだけ、何にも増してはっきりと憶えていることがある。
いつ、どんな状況だったのかはわからない。しかし瑞っ子たちは、秋山が「デストロイの季節がくる」と言ったのを憶えているのだ。

瑞っ子は思う。

自分はもう秋山の事をはっきりと思い出すことができないけれど、秋山の方は読者の事を覚えてくれているかもしれない。
デストロイの季節のこともちゃんと憶えていて、いつか、読者に知らせてくれるかもしれない。
ぼくはここにいるよ、と。

だから瑞っ子は、このスレにいる。

秋山瑞人総合スレは、巨大匿名掲示板の漫画・小説等にあるライトノベル板の名物スレだ。
半分はEGFマダーで埋められており、その合間では秋山分を補給できる小説を晒しあい、
ほとんどが既出の話題で、ときおり新たな瑞っ子が迷い込んできたりして、ループにあたらしい彩を持ち込んだりしている。
そんなスレの毎日に、瑞っ子はそれでも何かを探すようにここを覗く。
瑞っ子はEGFマダーと書き込んでいる。

しかし、最近少しおかしなことが起きる。
時々、瑞っ子の視線の向きが変わるのだ。
瑞っ子たちの餓えて渇いて落ち窪んだ眼が、東京は千代田区にある電撃文庫編集部の方向をじっと見つめていることがあるのだ。


瑞っ子の狂気を宿した目の見つめる先、メディアワークス本社ビルは、白い乱雲とともにある。