つまらない小説を無理矢理褒めちぎるスレ3

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326イラストに騙された名無しさん
やってみた
「乃木坂春香の秘密」1〜4 五十嵐雄策
絵のみを目的として買ったのは冴木忍以来である。
キョウハクDOGSを知らずに先に読んでしまった身にとって
小説の中身は実の所さほど期待していなかった。
しかしどうだろう。期待以上どころか、さらにその上を作者は行ってのけた。
優しい以外にこれといって取り得のない主人公がとある秘密を共有することで
完全無欠のお嬢様と恋に落ちる―
ありがちといえばこれ以上ないほど使い古されたパターンであるが、
同時にそれは王道でもある。
作者はその王道のど真ん中をこれ以上ないやりかたで突っ切る。
すなわち、いかなる障害も主人公とヒロインの恋を止めることはできない、
という命題を底流ではなく前面に打ち出したことである。
故にあらゆる障害は一瞬で暖かい周辺の手によって排除され、嫌味な上級生、反対する父、世界の違うセレブといった
主人公の敵手たる存在は主人公の手をわずらわすことすらなく時の彼方に飛び去るのである。
壁の花どころではない。書割のように彼らの存在は薄く、それゆえにこそ
主人公の無色透明な優しさとヒロインの全方位的なカラフルさが際立つのである。
327326:2006/06/16(金) 20:42:52 ID:rxRbE0qh
そしてこの小説を斬新なものとしているもう一つの理由が
ハア?といいたくなるほど遅い関係の進展だ。
既に4巻を消化して居るにもかかわらず、彼らは今だに手をつないだだけで赤らみ、
フォークダンスを踊れなかったといって泣き、それではと覚悟するヒロインに突撃する主人公は
常に萌え記号満載のメイド長に阻まれる。メイド長は絶対わざとやっている。間違いない。
出会い即ヤリ中出しが万延する現代における作者の嘆きと奥ゆかしい恋愛観が読み取れるではないか。
sneg?と問い詰めたい設定てんこ盛りでありながら、読者が期待をかなえられることは一切無い。
無いったら無い。たぶん。
断言しよう。この作品こそ、萌えの萌えによる萌えのための最大公約数、憲法であり
マストであると。其処にこそ価値があるのであって、この作品に求められるのは断じてストーリー性とか
泣きとか鬱とかドラマとかそういったあざとい演出ではないのだ。
萌え絵師の神たるしゃあを擁する五十嵐氏の、絵を最大限に生かすための器としての物語。
それこそがこの女神の残り湯のごとく温く暖かい結界を形成しているのである。