早世の小説家 故郷で遺品展
T・Bシリーズの吉田直さん 創作メモや挿絵展示
2004年7月、34歳の若さで亡くなった福岡県芦屋町出身のファンタジー小説家、
吉田直(本名・松本直)さんの遺品を集めた「スナオ展」が7月1日、
同町山鹿の町歴史民俗資料館「芦屋歴史の里」で始まる。
代表作「トリニティ・ブラッド(T・B)」などの舞台設定に使った創作メモや
作品に添えられた挿絵原画などを展示する。10月1日まで。
吉田さんは25歳のときに特発性血栓症を発病。
治療を受けながら、京都大大学院在学中の1997年に作家デビューした。
刊行した小説は15冊に上り、計150万部以上を売り上げた。
「T・B」シリーズは8カ国で翻訳され、漫画やテレビアニメにもなった。
会場には、吉田さんが病気と闘いながら作家になる決意を固め、
「この世にいた証しを残すため、本を書きたい。史記のように
2000年以上たっても残るものを。書ければ死んでも構わない」
とつづった両親への手紙も展示。
作品でコンビを組んだイラストレーターの
THORES(トーレス)柴本さんの原画25点のほか、
メモ帳やパソコンに残っていた資料など約1000点も並べられる。
吉田さんの小説の編集を担当した角川書店スニーカー文庫編集部の
女井正浩副編集長(37)は、吉田さんの作品を
「歴史を緻密(ちみつ)に勉強して独自の世界観をつくると同時に、
登場人物も魅力的でうまく結び付いていた。
作家活動の舞台裏や想像力の源泉を見てほしい」と話している。
初日と命日の15日に、先着30人にポスターをプレゼント。
入場料は中学生以上200円、小学生100円。
芦屋歴史の里=093(222)2555。
=2006/06/28付 西日本新聞朝刊=