ラ板住人のラ板住人によるラ板住人のための一行リレーラです。
<ルール>
・一レス一行にまとめること
・前の人のレスを受けて展開させること
・同時刻にレスが被ったり、意味不明なレスが投下されても物語に組み込むこと
<禁止事項>
連投/夢オチ/シモネタ/即死/ライトノベルをラノベと省略すること/流れを読まない粘着
次巻は
>>980が出版することとします。この辺例外もあります
主役:中華4000年、白黒のニクイ奴 パンダ!
前スレまでのあ・ら・す・じ♪
ループする世界に気付いた橋本裕也はついに
その元凶、夢を食べる虫の存在を突き止めた。
果たして裕也はこの悲劇を喜劇に変えられるか!?
CAST
橋本裕也:今時の高校生。必殺技は、「都市型迷彩(ダンボール)」
西島美奈:裕也のバイト先の先輩にして同級生の生徒会長。夢を食べる虫に寄生されているらしいヒロインその1
松本里香:裕也の元後輩。飛び級で同級生になった才女。ダイナミックな愛情表現をする物語の鍵らしいヒロインその2
広間晶 :女装が大好きな勇二の弟。外見はどう見ても女の子。八極拳の使い手でもあるヒロインその3
アーリテ姫:東南アジアの国の姫(インド?)。身長は140センチだが胸はデカい。運動能力に優れ、銃器の扱いに長けているヒロインその4
広間勇二:裕也の同級生であり心の友。水玉と縞々に過剰な反応を示すエロマシーン
相馬:とある組織が放ったスパッツ過激派。ブルマ授業をスパッツテロで潰すべく日々奔走している
久賀:23歳で校長まで上り詰めた敏腕女性。ブルマと謎を三度の飯より愛している
京棟:金髪ツインテール美少女体育教師。ロリだが成人
ヲタコン:相馬の仲間。隠れキリシタン
諭吉:相馬のペットの猿
ぬらりひょん:いつでもどこでも突然裕也の前に現れる謎キャラ。詳細不明
稀にほぼ同時刻に書き込みが発生する場合がありますが
その場合は先に書かれた方をできるだけ優先してください。
またレス被りを少なくするためにも書き込む前にリロードしましょう。
また前後の流れを汲まず急な場面転換はなるべく避けてください。
雑談・意見などは名前欄かメール欄に書いてください。
なおこのスレはsage進行推奨です。(あくまで推奨です。あげたからといってスルーされることは無いと思います)
6 :
<後編>:2006/02/18(土) 05:55:24 ID:aeaOQTjh
何か夢を見ていたような気がする…大切な夢を。だが、夢の光景は泡雪のように融け、驚いたという感情以外は形を成してくれない。
「レム睡眠から覚醒中だ」パンダは脳波形を見ながら呟いた。
保健室のベッドの上で俺は何故か真剣に夢について考え込んでいた。パンダが脳波形…駄目だ、よく思い出せない。
「しっかりしろ、お前の名前はなんだ?」パンダは意識確認を行っている。
何故保健室にパンダが居る?微睡む意識を集中させるが、どうも上手くいかない。夢の中で、とても大変で、大切な事があったはず。だが、パンダの顔を見て、集中が途切れがちになる。
「もう一度聞く。お前の名前は?」パンダが再度口を開いた。「俺は…」ふと、唐突に、自分の名が浮かぶ。それが正しいのかどうか、分からないが…「俺は、相馬……相馬龍だ」
パンダに見えたのは校医の半田先生だった。ちなみにどう見てもパンダに見えるのでニックネームは白黒のニクイ奴だ。
徐々に意識が覚醒してゆく。そうだ、目の前に居るのは校医、半田。常に着ぐるみを被った変人女医。俺の…同僚。
コイツはマジなとき以外は訛りが出る「元気そうアルね? 安心したアル」
「ヲタコン…いや半田先生。俺は一体…?」
「まだ意識の混濁があるみたいアルネ」パンダはラム酒の小びんを相馬に渡しながら呟やいた。
「その名で呼ぶな、相馬」静かな中に厳しさを加え、叱責する。「私は半田…アル」聞き慣れない、無理矢理な口癖に思わず吹き出してしまう。
「ああ、済まない半田先生」笑いながら俺はラム酒を口に含む。強烈なアルコールが俺の意識を完全に覚醒させる。
そういえば…と思い出す。組織の「実行」役を補佐する人間は、総じてコードネーム「ヲタコン」と呼ばれる。だが、中にはそう呼ばれる事を嫌う人間も存在するのだ。
あの隠れキリシタンはどうしただろうか。天草の呪縛から逃れただろうか…ふと耳に手を当てるが、通信機(インダス川原産)は外されていた。「そういえば…君はうなされていたアルな」
「うわごとで、ぬらり、ぬらりと…何だ?ぬらりひょんの夢でも見ていたアルか?」からかい口調で聞いてくる…だが、俺は何かが引っかかってしまい、とっさに冗談を返せなかった。
「まあ、正気に戻ったのなら安心アル…ちなみにその小瓶の中身は消毒用アルコールアルよ」
ぶぼぁっ!!強烈な味がする。意識は一気にハッキリしたが、超純度のアルコールで、脳内がまったりしてきてしまう。「この…損保ジャパンだ…め…ウエッ」
「パンちゃ〜ん遊びに来たよ〜!また中国茶飲ませてよっ!…あれ?」突然扉がガラッと開き、金髪ツインテールの少女が顔を覗かせる。体育教師、京棟だ。
「…今のが任務失敗のペナルティって事で。上からペナルティを与えろと言われてね」小声でそれだけ言って京棟の方へ行く半田。…任務、失敗?
「パンちゃん、その子は?」とてとて、と歩み寄りながら聞いて来る。「ああ、階段で貧血起こして転がったみたいアル」「ふーん、見ない顔だね」
京棟が、顔を近づけ覗き込んで来る。瞬間、ブワッと首筋にジンマシンが浮かんだ。「ちっ近づくんじゃねぇよ!」とっさに毛布を被り、逃げる。
「?」「あ、すまないアル。コイツはどうも極端な女嫌いで」言い繕う半田。「それより…もう以前の腹痛は大丈夫アルか?」着ぐるみの中、瞳を鋭くして問い掛ける。
「うん、全然平気」笑顔で答える京棟。(流石、体力はあるな)内心で舌打ちする。とある組織からの指示により、以前この教師に毒入り茶を出したのだが、効果は薄かったようだ…
ブルマ派であり体育教師である京棟は、組織の恰好の標的だ。だが半田としては、内心複雑でもある。無邪気に懐いてくるこの教師を、可愛いとも感じていたのだ。
「さあ、京棟さん 今日はガンジス川の水で淹れた特級茶葉アルよ」半田はまた人体実験をするつもりらしい。
その光景を毛布の隙間から眺めつつ、俺は記憶を手繰り寄せていた。(…任務、失敗)その言葉が、重く俺にのしかかる。どんな任務だった?何故失敗した?
失敗の反対は成功である。しかし、失敗を失敗とみなすのは
そのものの論理構造ゆえである。かように俺の思考は空転した。
アレは忘れもしないアラスカ基地での事だ、俺はメリルなる女とダーバ局長を見張っていた。
(思えば、あの頃からだったか…都市型迷彩に興味を抱き、ダンボールを、ロッカーを、洋式トイレを愛する様になったのは…)ついつい、思い出に浸ってしまう。
そんな俺に、新たなる任務が言い渡された。「スク水派とビキニ派の殲滅。」また厄介な仕事が回って来た。
次の任務は絶対成功させてやる。俺は迷彩のためスク水を着て、女子更衣室に忍び込んだ。
とりあえず里香のロッカーを物色する。案の定パットを発見。証拠品として押収。
・・・スク水とビキニを殲滅したら何を着るんだ?そんな疑問が頭を掠めたがまぁいい。任務は任務だ。
君は、思考することを置き去りにしたんだ、そんな心の声が聞こえた。
そうだ、現実逃避だ。思い出から妄想へ逃げるなんて…俺はどうかしていた。組織が…ハーフパンツ着用推進スパッツ派(通称ハース派)がスク水だビキニだ、等という下世話でどーでもいい闘争に関わる筈が無いのだ。
俺は負けたんだ、シロウトに、ブルマ過激派である橋本裕也にっ・・・!
過去の栄光、妄想に逃げている間、どうやら俺は口が半開きでヨダレをタプタプ流してたらしい。物凄く心配そうな顔で、半田が俺の顔を覗き込んでいた。(半田の顔はパンダの中だったが)
半゜田「おい大丈夫か?体に悪いから寝言は簡潔にしろよ。改行が無けりゃいいってもんでもないぞ」
「悪かった、大丈夫だ」そう返して、辺りを伺った。京棟が机に座ってガンジス茶を飲んでいる。
人間は爆発だ〜という放送が聞こえた
半゜田「一行は全角で大体62文字ぐらいだ。60字を超えそうになったら気をつけろ」
「俺が…素人に負けたのは分かった。あれから、どの位時間が経っている?」問いに、半゜田はゆっくりと答える。「丸1日だ」
「……丸一日……で?今やつは?」――その頃、裕也は美奈とともに異世界に留まっていた。
「その間ずっと寝たままでな、少々心配していたアル。傷は全く大した事は無いんだが…」言い澱む。「さっきも言ったが、相当にうなされていてな」
「夢だ…そう、俺は夢を見ていたんだ。そこで俺は…
「お前は、何の夢を見ていた?」問い掛けられる。「尋常では無いうなされ方だった。お前と共にここへ運ばれた、橋本という生徒も」
被った〜好きな方で続行ヨロ
「よく覚えてないな。ところで、奴がここにいるのか?!」これは願ってもない。復讐のチャンスではないか。
「もう自宅に帰っている。今日は欠席との事だ。意識が少々混沌としているらしい。…昨日は大変だったぞ。松本という女生徒や、留学生のお姫様、生徒会長や校長までもが、橋本を見舞いに来た」
「それも、皆…一様に虚ろな顔になっていてな。白昼夢でも見ているのかと…。一応、お前のベッドは隠しておいたから、誰にも見られていないが、お前もうなされたり恍惚となったり…妙だった」
「嫌な…嫌な夢をみたんだ」俺がそれを語ろうとしたら「いい加減夢って話はやめろ、3chからコピっただけだろうが」半゚田は不満気に言った
「ふふ、そうだな。すまない」夢という不確定な事よりも、今は、作戦の失敗を挽回する為にも、動かねば…。だが、新たなミッションは入っていないようだ。
ベッドから降り、ふと目を横へ向けると、京棟が丁度ガンジス茶を飲み終えたところだった。「ふぃ〜、ごちそ〜さまっ!」
「落ち着くアル、今度はコレを飲むある」半゜田は中国七色の川の水で淹れた茶を差し出した。
今はまだ課業時間ではないのか?壁の時計を見て、思う。「先生〜!課題終わりましたっ!」その時、元気な声と共に女生徒(広間晶といったか)が入って来た。
「あら広間ちゃん…もう終わったのぉ?」残念そうに言う京棟。「はい、学園祭の出し物決まりました!担任なんですから早く戻って下さいよぅ」
「半゜田先生のお茶、全部飲めないわね。残念だわ」京棟は名残惜しそうに、晶と保健室を出て行った。
「あっ!」突然、広間は半田の方を向き、慌てて一礼した。「お師匠!挨拶遅れてごめんなさい!」…師匠だ?「…戯れに、八極拳を教えてやっている」小声で俺の疑問に答える半田。
(何とも、酔狂でお人好しなパンダさんだ…)思わず苦笑してしまう。あの少女の兄が、ブルマ過激派と知っての事だろうか…。
ともあれ、京棟も広間も行ってしまった。「ひとまず、外に出る。外の空気を吸いながら、気持ちを切り替えるさ」「そうか。あまり大っぴらには歩くな。夕飯までには帰って来い」…お前はお母さんですか。
街を歩きながら、考える。…半゜田にはああ言ったが、実際俺は、例の夢が気になっていた。夢を食う虫。生徒会長に取り付けて。…俺は、ぬらりひょんで…
使い勝手のいいサンドバッグを作る研究する。ぬらりひょんは、ボロクズになった。
「ひゅう!最高の殴り心地だぜぬらりひょん!はぁははは!」…って俺は道の真ん中で何やってるんだ。通行人の視線が痛い。
そうだ。俺は夢の中でぬらりひょんになっていた。夢の節々を垣間見て、昨日の生徒会長の夢も、草葉の陰から覗いていた。
もちろん京棟の入浴姿も覗いていた。京棟め…金髪ツインテールロリ美少女だけでなくあんな属性まで持っていたとは。
プロポーションはまるで女子中学生
そういえば、あれでもバレー部顧問なんだよな。とはいっても、部員が練習する中を抜け出して、職員室でお茶飲んでたりしてるそうだが…
ともあれ、所詮は夢の話。以前の相馬ならばそれこそ一笑に付しただろう。しかし、ここ数日間ずっと感じていた微妙な違和感が相馬に一考させるだけの余地を与えていた。
……橋本裕也……俺は奴に負けた。任務を遂行するには再び奴と対峙することになるだろう。俺は……奴に勝てるのか?
裕也への再戦や夢を食う虫の謎。様々なものを胸に秘めたまま、相馬は夜の街へと消えていった…。
…消えていこうとしたんだが、その途中で警官に呼び止められてしまった。「ここから先は18歳未満立ち入り禁止、大人の世界だよ」
「私は軍の者だ。この少年は私の連れだから口出し無用だ」 まさかここでこの人に会うとは…「ぬらり少佐!」
「友波3より友波本部どうぞ・・・友波町で軍人を名乗るぬらりを確保した。テロリストの可能性もあるので今から連行するどうぞ」ぬらり少佐は逮捕された。ちなみに俺も学生という偽りの身分が仇となり補導されてしまった。
「押収品はブルマとスクール水着、バイアグラ。所持金は128円。どう見ても堅気の学生ではないな。」軍の補導員の尋問は、熾烈を極めた。
パトカーに乗る寸前、パンダが乱入。警官達を張り倒した。「だから夕飯までに帰って来い言うたやろぉぉお!!」…ごめんよぅ。でも未成年に間違われてちょっと嬉しい相馬龍(25)だった。
超時間が開いたにも関わらず被った
>>80に結婚を申し込みつつ、以下好きな方で続行ヨロ
「フ〜…」帰る道、長い溜め息を吐く半゜田。「何でバイアグラ持っていたかは聞かん。お前もまだ気持ちが落ち着いていない様だ。今晩も保健室で検査入院だな」
負けた身でアジトに帰還もバツが悪い。素直に従う。校門に着いた所で、脇のフェンスに座り込んでいた広間晶を見つけた。こちらを見るなり「お師匠!今日は遅かったですね!」
「お師匠この人は?」俺を見ながら言う。「…私の親戚アル」少し考え答える半゜田。「そうですか。ネクタイの色…兄ぃと同じ2年ですね、先輩だっ!」
組み手を行う晶を見つつ、俺は(ブルマ過激派広間勇二には弟が一人いると聞いていたが…女の子じゃないか。組織の情報網も案外アテにならんな)などと思う。
制服のままの晶は、ハイキックの度にスカートをヒラヒラ捲れさせている。中はスパッツ。俺は(ふむ、良い子じゃないかハァハァ)と好感を持った。
しかし、俺は気付かなかった。晶のスパッツに、世界を滅ぼす力の封印が成されている事に・・・。
その封印の名は「萌え」。そう、ブルマを穿いたら日本一の晶は、スパッツを穿かせたら世界一似合う人間なのだ。
鍛錬が一段落したらしく、晶と半゜田が戻って来る。「ご飯にしませんかっ?お昼のパンが残っちゃってたんで、良かったらどーぞ!」
そういって晶が差し出したパンはあんパン、メロンパン、焼きそばパン、カレーパン、食パンだった。さて、どれを選ぶ?
俺は、「6」の晶を選択した。「ハァハァハァハァハァハァ!!」…瞬間的に半゜田から跳び蹴りを食らい、素直にメロンパンを選択する。
購買のものにしてはかなり上質な、メロンパンを「カリカリモフモフ」と喰らいながら、晶のスパッツをじっくりと堪能した…
そんな俺の視線には気付かず、明るく話しかける晶。「本当はこのパン、兄ぃのお友達の分なんですけど、今日突然休んじゃって。お昼休み退屈でしたよ〜」
兄の友人…橋本裕也の事だ。忌々しさを感じるが、顔には出さない。「その…友達とは、仲が良いのか」何か情報が聞き出せるかもしれない。
「へっ!?いや、そんな、イイ仲だなんて…ゴニョゴニョ」俯く晶。ええい、ラチがあかん!
肩に付いた糸くずを払うフリをし、晶に盗聴機を仕掛けておこう。
盗聴器の作動を確認しつつ、心の中に妙な嫉妬が生まれる。こいつは橋本裕也が好きなのだ。このような神々しいスパッツ姿の少女に好かれるとは…
一方その裕也は丁度自室で目覚めたところだった。「夢を喰らう虫……。どうすれば美奈さんを救えるんだ…」
とりあえず勇二に電話で真相を話してみた。誰かに話す前の予行演習だ。「…というわけで、俺たちはその虫に捕らわれていたんだよ!!」「な、なんだって!…っておいおい裕也。どーゆーオチだよそりゃ」
そりゃそうだ。こんな荒唐無稽な話、誰が信じるのか…。当面は、一人で何とかするしか無さそうだ。日中ずっと部屋で横になっていたので、居間に行ってみる。
102 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/19(日) 22:08:02 ID:igmFfVIk
ちょうど夕食の準備が終わったところのようだ
居間と並ぶ台所で、一人の青年が夕食の準備をしていた。裕也の12人の兄が一人、『兄や』の助六だ。
「あら起きたのね。大丈夫?ご飯食べられそう?」母親が台所から顔を出す。ん、と俺は生返事をしながら食卓についた。
「ありがと、母さん。ニイヤ、帰って来てたんだ」「ああ。又吉も一緒だ」居間に寝そべる『兄貴』の姿も見える。
珍しい。家の兄たちは滅多に家には帰ってこないのだ。…こんな時期に二人同時に帰ってくるなんて、何かあったんだろうか?
「与作と田吾作も来てるよ」ニイヤが言う。『お兄ちゃん』与作と、『兄様』田吾作まで・・・?いよいよもって、何かあったと悟る。
「何かあったの?」恐る恐る聞く。「何言ってるだぎゃ。もう少しでお前の学校の学園祭だぎゃ。OBとして見に来たぎゃ」アニキが答えた。
ちなみに「兄や助六=vはナース派、「兄貴又吉=vは巫女派、「お兄ちゃん与作=vはバスガイド派である。
すっかり忘れていた、2週間後に、俺の通う学校「私立友波高等学校」で、学園祭が行われるのだ。確か今日、クラスで何をやるかHRが開かれていたはずだ。
インターフォンが鳴ったので出てみると勇二が立っていた。「これ学園祭のパンフな。随分靴が多いな。兄貴たちが帰ってきたんか?」
「ああ。流石に大学生の4兄は暇そうだよ。…上がってくか?飯食ってけよ」広間は兄弟の二人暮らし。両親は仕事で海外に行っていた。
「いや、晶が作ってるからもう帰るよ。」そう言うと勇二は原チャリ(免許は?)にまたがり帰って行った。
居間へ戻り、4兄と食卓に着く。「4人とも大学は?学園祭まで2週間もあるのに」「単位は足りてるし、自主長期休暇さ。休めない他8人の分まで、友高祭を見て回るつもりだ」
「ウチのクラスは喫茶店みたい。ちなみに俺は調理担当らしい。勝手に決められてもなぁ……」
「ところでヨガフレイム(…俺の事だ)よ、顔色が悪いが大丈夫か?」田吾作『兄様』が聞く。…ちなみにこんな風に呼んだり呼ばれたりするのは、今年の正月の橋本ゲームで
『ジャッジメント』父上が大勝し、その一存によりこんな訳わからん事に…。ちなみに、母さんは『ボンヤスキー』だ。
「大丈夫だよ、兄様。一晩寝れば良くなるさ…ご馳走様」正直、俺の体調はあまり良くなかった。夢の狭間から帰って来てから、妙に体が重く感じる時がある。
眠るのが怖く感じた。寝たらまたあのセカイに行ってしまうかも…そして今度は帰ってこれないかもしれない…だけど美奈さんは……そんなことを考えているうちにいつしか俺は眠りに落ちていった。
暗闇の中、二人の少女が対峙している。一人は美奈さん、もう一人は…、夢で何度も見たことが歩けど…、誰だったか…。里香?!
「うぉぁ!」ガバッと跳ね起きる。…朝だ。夢で二人の女性が対峙していた…が、何を意味しているのか分からない。他に見たものは、忘れてしまっていた。
「おはようアル、相馬。またうなされていたな」診察机に向かったままの姿勢で声を掛ける半゜田。ワシワシと笹を食べている。…お前人間か?
「相馬、少し寝言が多いアル。つーか保健室で夜を明かすナヨ!……まったkuムシャムシャ」
「相馬、組織からの指令アル。今日は必ず授業に出るように」…指令!「本日、お前のクラスに特殊な転校生が来る。敵か味方か…見極めろ」
特殊な…。目の前のパンダも充分特殊だが。「そいつの情報は?」「殆ど何も分かっていないアルが…コードネームを持つ、海外の組織の者らしい」
(まさか、ヤツが日本に?いや、そんなはずはない…ヤツは行方不明になったと聞いている)
教室には戻ってみたがまだ来てないみたいだ。(この展開は当然、可愛い女の子だろ?wktk)任務そっちのけ
ふと、教室の掲示板に貼られた新しいプリントに目が向く。『出し物決定!喫茶店』下にクラスメイトの役割が記されている。「俺、ウェイターかよ。めんどくせぇ…」
その下、「橋本:調理」…ふん、顔を合わせずに済む。そのさらに下に、見慣れぬ外国人の名前が。「!!」…間違いない。『造魔師』だ!日本に来ていたのだ。
そろそろクラスメイトが登校し始めている。賑やかだと思考が纏まらない。一度教室を離れ、ブラリと校舎を回る。と、「ソーマ先輩!」後ろから晶に声を掛けられた。
「久しぶりだな」振り返ろうとする俺の背中に硬いものが押し付けられた。しまった、こいつの特技は声帯模写だった。晶の声を真似るとは…油断していた。
「…晶に会ったのか」後ろを見れないまま、聞く。「昨日の夜、見ていた。珍しいな、女アレルギーのお前が」…今も、後ろの声の主のおかげで、首筋が痒い。
「何しに日本へ来た」感情を殺し、聞く。「貴方に会いに来た、って言ったら…どうしますっ?」嘲笑の滲んだ、『晶』の声が返る。「ふざけるな!」
「こっちを向くんじゃねぇ!」押し殺した怒声。当たり前だが…コイツ、本気だ。
「お前に話せる事は無い。今日は、昔馴染みに挨拶でも、と思っただけさ」にこやかな声に戻る。「まだ、あの組織に居るのか」苦しげに問う俺。
「ふん…」少し声の調子を落とす。「また、お前と仕事がしたかったよ…。何故抜けた、『灰鱗』ソーマ?」…久しぶりに、昔の名を聞いた。
瞬間、「くっ!」後ろから悲鳴があがり、背中の圧迫が解かれる。俺の都市型迷彩猿、諭吉による気配を殺した奇襲攻撃。成功だ。
瞬時に距離を取って振り返るが、もう背後には誰も居なかった。「…敵か味方か確認、か…」組織の任務を思い出し、呟く。周囲には、朝の雑踏が戻っていた。
(とりあえず装備を取りに行くか)俺は水中移動要塞型基地、通称:イエサブに向かった
が、校門を出る所で予鈴が鳴った。組織から今日は出席しろと言われた以上、休む事は出来ない。「装備も武器も現地調達…か」苦笑し、教室へと引き返した。
教室では喫茶店でのウェイトレスのスカートの長さについて熱い、熱い議論が繰り広げられていた。
「裕也、遅刻するよ!」母さんの声。ガバッと飛び起き時計を見る。HRまで後僅か。昨晩また夢を見てしまい、良く眠れなかったのだ。「…ヤバい!」
「乗るだぎゃ、弟よ!」アニキが外で単車のエンジンをかける。
「助かる、アニキ!」流石バイクは違うぜ!そのスピードは途中であったパンをくわえて猛ダッシュする姫をあっさり追い抜くほどだ!
「に〜が〜さ〜んだわさっユーヤ!」抜かし際に、鎖文銅を首に巻き付けられた。「んきゅをっ!?」息が止まる。
(ヤバっ…死ぬ!?)そう思った瞬間俺はバイクから飛び降りた。時速60kmからの決死のダイブ
(あ…降りたら降りたで、死ぬ…)と思う間もなく、地面が目の前に。「よっと」姫が跳躍し、腕の中に俺を収めた。お姫様抱っこだ。
「いつか私もユーヤにこうやって抱っこして欲しいだわさ」
と何も無かったように話してくる姫。…すぱーん!!ハリセンで突っ込む俺!「暗器は危ないから使うなって、こないだ言ったばっかりだろ、姫!」
「弟よ〜!遅刻するだぎゃ!」引き返して来たアニキ。「ん、私も乗せるだわさ!」「え」「んを、可愛いおぢょうちゃんだぎゃ。うし、のるだぎゃ!」
「お義兄さん、よろしくだわさ!」どさくさまぎれに何言ってんだよ。そんな文句を言う間もなく学校に着いた。HRには間に合いそうだな。
教室に入ると、皆学園祭の話題で盛り上がっていた。喫茶店のスカート丈の話らしい。「おう裕也」勇二が挨拶する。それに答えつつ、教室を見回すと…
(相馬…)教室の端、頬杖をついて、相馬がこちらを見ていた。表情から何かを読み取る事は出来ない。すぐに目を逸らしてしまった。
「おはよう裕也くん。その…どうしよう?」困惑顔の美奈さんが話しかけてきた。相馬…あいつ、スパッツ過激派だってばれているのに堂々現れるなんて一体…。
それとも…堂々と出席できる、何かがあるのだろうか。…チラリと様子を伺ってみると…不敵に笑っている様に、見えた…
取り敢えず、昨日の今日で何かをしてくる事は無いだろう…と思う。楽天的かもしれないが、夢の事だけでも頭が一杯なのだ。
「こんな人目につく所でスパッツテロをしたりはしないと思う。授業が終わったら校長に報告しに行こう」…こんな先送りでよかったのだろうか
しかし、現実はそう甘くはなかった――。
…橋本と生徒会長、二人が俺の方を物凄い勢いで伺うのを感じる。全く、ウザい事この上無い。今はお前らに構っている暇はないのだ。…アイツが来るのだ、ここに。
そうアイツ・・・俺の12人の妹のうちのひとり、
>>136で晶の声帯模写をした……相馬 麗。血は繋がってないが俺の妹の一人だ。
「お前ら席に着け」担任のカミナリ先生が教室に入る。「野比!廊下に立っとれ!」…取り敢えず毎朝の日課で、野比が廊下に立たされた。お勤めご苦労様です。
「突然だが、今日はお前らに転校生を紹介する。ロシアからの留学生だ。レイ・ソーニャ君、入りたまえ」
カミナリ先生「おしべとめしべが合体すると、そこからガンダムシードが生まれるのだ!」今日も受験とは関係ない授業が淡々と進められた。
(裕也、お前転校生来るって知ってたか!?)(いや俺も知らん…)勇二と思わず顔を見合わせてしまう。美奈さんも知らなかった様だ。
扉がガラリと開き、転校生が入って来る。
入ってきたのは見惚れるような銀髪をした少女だった。そして彼女は口を開く。「はろはろー!私が噂の美人転校生よん。よろしく〜♪」
…フワリと花の香りがした。腰まで伸びた、軽くウェーブする銀髪。スラリとした目鼻立ち。気品ある欧州貴族の様な少女だった。口調はアレだが。
「美しい…。口調はアレだが」勇二が呟く。一発で虜になったようだ。「そうだな、綺麗な子だ…口調はアレだが」俺も素直に同意する。
ふと窓際の相馬を見てみると、なぜか彼は脂汗を流していた。何緊張してるんだ?
姫が、物凄い顔でこっちを睨んでいるのを感じる。…なんだよ、何怒ってるんだ。心なしか、美奈さんもこちらを伺っているような…?
「それではソーニャ君の席は…」「はいはーい先生、私はあそこの席が良いですわん♪」彼女が指差した席は
「では、橋本と相馬の間にある、空いた席、そこに座りなさい」カミナリに言われ、「はいはぁ〜いっ♪」軽い調子で歩いて来る。…あれ?こんな席、空いてたか?
そういえば、野比の席だったことを思い出す。野比、完全に忘れ去られているな。
席に腰掛け、俺に顔を向けるソーニャ。「これからよろしくねっ♪」満面の笑顔。暖かい躍動感溢れるそれは…例えるなら、夏のヒマワリの様に。
176 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/20(月) 23:14:58 ID:5kxZn5dG
いや、南国のラフレシアよりはましというだけさ。
い、いかんいかん。つい見とれてしまった。俺には美奈さんがいるというのに。
(麗め!何故よりによって俺の隣に!)冷や汗が止まらない。『ソーニャ』がこちらを向く。「よろしく、『ソーマ』」微笑む顔は、全てを凍らせる、白き薔薇…
何故か汗をだらだら流している相馬をよそに、さっそく声をかける勇二。「あ〜、俺、広間勇二っていうんだ。よろしくソーニャちゃん!ところで…」
180 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/20(月) 23:25:25 ID:gdPZoPBc
「結婚して下さい。」…求婚していた!相変わらずのスピードだ。奴にとってはプロセスも何も無い。ひたすら直球。ひたむきなまでにストレート。
ソーニャはちょっと驚いた顔で勇二を見た後。「わあ、それって求婚?…ねえねえソーマ、どーしよう?」銀髪の少女は何故か相馬にたずねた。
「知らねぇ…好きにしろ」窓の外に目をやり、決してソーニャを見ようとしない。依然汗だく状態だ。「…馴れ馴れしく…話し掛けるな…」
「あー、ゴホン。私語は慎め。ソーニャ君はまだ日本のことは良く知らんそうだ。橋本、お前学校の案内してやりなさい」
「はい。よろこんで」クラス中に嫉妬の嵐が吹き荒れる中、俺は喜色満面の笑顔で返事をした。
廊下で二人きりになる。「ではではっ♪出会いを祝してコサックダンスおどるねっ♪」ぬ!?その超ミニスカでコサック!?
半゜田が仲間に入りたそうにこちらを見ている
コサックダンスしながら3人で体育館へ向かう。
一瞬そんな幸せな想像をした俺だが、すぐに現実に戻る。「・・・じゃあ昼休みに校舎を案内するから」「ええ、その時はよろしくね♪」
「……クククク、幸先良く馬鹿が一匹かかりよった…」
クラスの片隅にひっそり佇む老婆(17)が、そう呟いた。オカルト同好会所属で世界征服を企んでいるのだ。
様々な思惑が混ざりつつ、授業が始まる。ソーニャと机を付けて教科書を見せ合っていると、焼け焦げる様な視線で姫が睨んでくる。何をそんなに怒ってるんだ?
さあ?自分の胸に手を当てて考えなさい、とソ−ニャは頑なな表情を崩し、彼から視線を外した。
一時限目が終わり、転校生の周りにクラスメイトが殺到する。質問攻めに、朗らかな笑顔と冗談を交えた返答で返す。一躍人気者だ。そんな光景を見ていると、
姫に腕を引っ張られ、廊下へ。「アイツ、感じ悪いだわさ!アイツに近づくんじゃないわさ!」かなり激昂している。どうしたんだろ、姫?
そして更に少し怒ったような口調の美奈さんが「…裕也くん、校長室へ行きましょう!」といって俺を引っ張っていく。
「ユっユーヤに…近、近づく…なんてゴニョゴニョ」…小声の為、聞き取れない。「とっとにかく!許さないわさ!」言い放ち、教室に駆け込んで行ってしまった。
「やあ、先日は世話になったな」校長室にて、久賀校長から声を掛けられる。
「校長、スパッツ過激派の相馬が、またクラスに現れています!これはどういう…」美奈さんが問う。「ああ、その事なんだが…理事長派が動いている」
「私も万能ではない。理事長には逆らえんのだよ。まあかなり自由にはさせてもらっているがね」ため息をつく校長。俺はそんな校長に
「嘘、ですね。校長、あなたがそれ位の圧力でブルマ派の敵を放っておく筈が無い。…相馬を泳がせて理事長派の陰謀を暴く気ですね?」
校長が、俺の目をじっと見つめ…「残念ながら、事はそんな単純でも無くなってしまった。敵は、スパッツ過激派だけでは無くなったのだよ」
俺も校長の目をじっと見つめながら言った。「つまり鮎…」「校長!これ以上過激派が増えたらもう生徒会じゃ対応し切れません!」美奈さんが悲鳴を上げる。苦労してたんだな…美奈さん。
「だからこそ、理事長派が事態の収集に出てきたんだ…。君たちには今まで良く手伝って貰った。後は上に任せて、君達は普通の学校生活を送るんだ」
「そんな…」俺は思わず抗議の声を上げるが、「君達に話せるのは以上だ。退出したまえ」「校長!」「教頭、生徒会長がお帰りだ」
扉が閉じ、校長室内に静寂が戻る。(欧州最大の組織、その先兵『十二姉妹』…一筋縄ではいかん。今は事態の推移を冷静に観察する他ないのだ…)
追い出されてからも俺の校長への怒りは収まらなかった。裏切られたかのような気分だ。そんな俺に「ありがとう裕也くん、もういいの。あとは生徒会の仕事だから…これ、遅くなったけど約束のチョコレイト」
俺は、何を怒っていたのだろう。…一番この事で辛いのは美奈さんなのに。それでも気丈に俺を気遣ってくれる。申し訳無い気持ちで胸が一杯になる。
「美奈さん……俺、絶対美奈さんを助けて見せますよ」俺は大切な人を守り抜いてみせる。そう心に誓った。
授業は順調に進み(ソーニャはかなり勉強が出来るみたいだ。留学する位だし、当然かな?)昼休みになる。
「ユーヤ、お昼…」裕也の席に向かう姫の前にずいっと出てくるソーニャ。「橋本くん!お昼一緒していいかな?」
ムカッ!…と音がする位の顔でソーニャを睨む姫。その二人を見て「い、いや、俺いつも勇二と晶の3人で食べるから…ゴメン」と言って売店まで逃げ出す。
その時、晶という単語を耳にした瞬間に、相馬がピクリと動くのを見逃さなかった。
そしていつもの中庭。相変わらず里香たちが楽しそうにバスケをしている。
「……クククク、豚どもめ。せいぜい束の間の安息を味わっておくんだな」
216 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/21(火) 21:22:08 ID:/GptWUTX
中庭の片隅にひっそりと佇む老婆(17)が、そう呟いた。オカルト同好会は、中庭からUFOを呼ぶための電波を発信しているのだ。
「さー!今日はいつものパンに、食パンのレパートリーを加えましたっ!」晶が明るく言う。「…味無いやん」勇二がボヤく。俺は突っ込む。いつもの昼食風景だ。
「なに言ってるの。こうして噛んでれば…うん、甘い♪はい、先輩もあ〜ん」
「で、ですね…今日は別枠のパンがあります。これは取らないで下さい。メロンパンです」「…別枠?」「はい。昨日かなりひもじい先輩に会いまして…」
219カット
取りあえず弟の暴挙を撲殺しつつ、勇二も聞く。「お前が俺ら以外の人間と仲良くなるのも珍しいな」「失敬な!お友達はちゃんと居るよ!お昼はこっち来てるだけだよ」
「そんなことはどうでもいい、別枠のパンをだせ。俺はスルーなんてさせないぜ」
「仕方ないですね。はい、しましまパンです♪」と言って、晶はしましまの女性用下着を取り出した。
光の速さで晶から縞パンを奪い取り、明後日の方角へダッシュする勇二。途中に居た老婆(17)を蹴り飛ばし、そのまま逃走していった。
勇二が消えた方向の反対から、一人の男子生徒が。「…パン」晶に一言そう告げる。俺は顔を見て…口の中の焼きそばパンを吹き出した。…相馬だ!!
…橋本裕也。こいつは俺に喧嘩を売るプロなのだろうか。…取り敢えず、顔にぶっかけられた焼きそばを拭き取る。「…で、俺のパンはあるか」もう一度晶に聞く。
「勿論ですよ先輩!はい、メロンパンです!」え、なにこの仲良しなムードは。どーゆー関係なんだよ。こいつ何晶の隣にちゃっかり座ってんの?
「別枠のパンならもうないですけど…」困惑した表情で答える晶。「食パンでも食べますか?」
かぶった…。228はスルーでお願いします。
そこへ…「はろはろー♪ソーマ、お昼一緒に食べよー…ってあら?」と更にソーニャがやって来た。そして相馬と一緒にパンを食べる俺たちを珍しそうに見る。
「へぇー。あんたが誰かと一緒に昼ごはんをねぇ。雨でも降りそうね」「お前には関係ないだろ」目をあわさずに相馬は言う。
「えー何々?!ソーニャちゃんはそいつと知り合いなの?!」……いつの間にか戻ってきた勇二がだずねる。
ソーニャ「いかにも!前大戦時にその名を轟かせたコードネーム『ぬらりひょん』は私の事だ!」
「ぬらりひょん?! なにそれ。面白いこと言うね」笑いながら勇二は言った。心の中では、(華麗にスルーするとは…)とでも思っていることだろう。
中庭では晶と半゜田がぱんつを使った八極拳の組み手をしている「ハッハッハハ」
それを傍目にこほんと咳をしてソーニャは答える。「ま、冗談はともかく、ソーマの事ならよく知ってるわ。一言で言うと…捨てた男と捨てられた女ってとこかしらん?」
「ぬあにぃぃぃぃぃ! そこのむっつりスケベとソーニャちゃんが付き合っていたですとー! ありえねー」絶叫する勇二。
勇二をよそにソーニャはピロシキを食べながら相馬に対し不適な笑みを浮かべる。
そして、その相馬は何故か目を逸らし苦渋の表情を浮かべている・・・ソーニャも目が全然笑ってないし、怖っ。
「…うわぁ、綺麗な人ー。この人が噂の転校生さんなんですね?」パンを食べる手を止めてぽーと見惚れていた晶が俺に聞く「ああ。しかもどうやらあのむっつりスパッツスキーの元恋人…みたいだな」
一瞬の出来事だった。突然相馬が立ち上がり、傍らでパンを食べてる晶を小脇に抱え込むように抱き上げたのだ。そのまま、超ダッシュで中庭から消え去ってしまった。
「昼ドラもびっくりな展開だな」勇二も唖然。・・・・も束の間3chにカキコしてるwコテハンでww
(ガキどもが!話にならん!盗聴器の動作が不調だから仕方なく直接探りを入れに来たのに、何であのような話題ばかり!しかも麗まで来やがった!)走りつつ毒づく。
「あっあのっ何ですかっ何が起きたんですかっ!」脇に抱えられた晶が、目を白黒させながら叫ぶ。
…しまったあ!つい勢い余って連れ去ってきてしまった!まずい…何か言い訳を考えないと…。麗と対峙する時とは違う種類の冷や汗が流れる。
「いや…お前の顔が赤かったから、熱があると思ってな。保健室へ連れて行くところだ」…我ながら苦しい言い訳だ。
その頃保健室では半゜田がアマゾン茶を淹れていた
保健室ではみな昼ドラを見ている。昼ドラとは午後1時30分に放映されてるドラえもんの事である。
だが、今は昼休みの12時30分なので、昨日の録画を観ているようだ。半゜田と京棟がアマゾン茶を飲みながら談笑している。
「あの…よく分かりましたね、体調良くないって…」晶が、若干弱くなった声を上げる。「実は、中庭でパン食べてる途中から、少しフラフラしてしまって…」
「熱か?」相馬の短くも温もりのある質問に虚を付かれた顔の晶
「ふぇっ!?…いっいえ、よく分からないんですけど何か頭がボ〜っと…その…ゴニョゴニョ」そっぽを向いて口ごもる晶。「…まあいい。先ずは半゜田に診てもらうか」
一方その頃、裕也たち---「マズイ!…勇二追うぞ、相馬はアイツはスパッツ過激派なんだ。晶が危ない!」
「なんだと!…くそ、なんでまたそこいらの美少女じゃなくってわざわざ晶を!?いまいちモチベーションがあがらねえなあ」そう言いながらも俺に続いてダッシュする勇二!間に合えよっ…!
ガララッと音を立て、保険室に相馬が入ってくる。「おう相馬、どうし…」言いかけて、妙な光景に口をつぐむ半゜田。小脇に、無造作に晶を抱えていたのだ。
「病人だ」無造作に、半゜田に向けて晶を放り投げる。湯のみ片手に晶を抱き止める半゜田。モフッという感触が気持ち良いと思った晶。
湯飲みが落ちる。「ふぇ…?ぁ…」まるでそれがスイッチであったかのように晶の体から力が抜けた。
半゚田「カタギには手をださせない!暫く寝て貰った。相馬、君もね!」片膝を地につける相馬
しかし地についた感触はない。「な…体が沈んでいく!」 何者かの幻術に囚われてしまった。
「この感覚…麗か」膝は床に埋まった半ばで止まっている。身動きが取れない。「『造魔師』の虫…その幻覚だな。まだ衰えていない」
そう…認めたくは無いが、『晶の中』に、麗の存在感がある。その存在が、保健室内一帯を幻覚の中に敷いたようだ。「植えた…のか!晶に!」
幻覚の中の半゜田が答える。「ううん…一時的に寄生させただけ。用事が済んだら、死滅するわよん♪ソーマの大切なガールフレンド!丁重に扱わないとね〜」
くそっ、いくらもがいても身動きがとれない。「ははっあはあはははっははは、誰だ俺の足の裏をくすぐってるのは」
糞っ…くそ!全てにおいて迂闊だった!「少しの間、パンダさんと貴方の動きを止めさせてね。大丈夫、私は探し物をしに来ただけだから」
老婆(17)「我が幻術いやらしい乙女の妄想≠フ味はどうだ?」老婆の幻術で、かつて無いピンチに立たされる俺。
その丁度進路妨害していた老婆(17)を蹴り飛ばした勇二は、ふと周りを見渡す。「あれ?中庭に戻ってきたぞ?」
後ろを振り返ると、目指していたはずの保健室がある。「あれ、俺、熱でも出たのか?」
確かに、勇二と二人で晶を連れ去った相馬を探していたが、いつの間にか中庭に戻ってきてしまっていた。…中庭では、ソーニャが一人寂しくピロシキを食べていた。
俺はもう一度保健室を見る。そして、気付いた。…セカイが微妙に違うのだ、まるで保健室の辺りだけ誰かの意思みたいなモノに包まれている。もしかしてこれが美奈さんが言っていた夢の暴走って奴か…?
取り敢えずどうしていいかわからなくなった俺は、その場でダンボールを被った。勇二も被る。よし、これで何が起きても安心だ!
再び保健室に突入する。何か気味の悪いものに触れる感触がしたが、こらえてそのまま突入する。
しかし同時に気付く。「ダンボール被ってたらドア開けらんねえよ!」勇二が叫ぶ。俺は「まあ待て、ここは一つマジックハンドで…」言いかけ、「キミら…なにしてるのかな〜♪」ソーニャの声が。
保健室に突入し、内部を見回したが…「あれ?ここ中庭やん」足の妙な感触は残ったままだ。
「さっきからあちこち行ったり来たりしてるけど…改めて、キミら、何してるのかな♪」ダンボール被った頭上から、ソーニャの声がかかる。
「俺らが知りたいぐらいだ。俺らは保健室に行こうとしているんだけど、なぜか入れないんだよ」
「保健室…?」不思議そうな顔のソーニャ。俺は一時的にパニックを起こしていたのか、それともまた白昼夢を見ていたのか?振り返っても保健室は無く、中庭といつもの昼休み風景が広がるだけだ。
「ところで、俺ら、何しようとしてたんだっけ?」勇二が俺に問いかける。「あれ、何か重要なことがあったような気はするのだが…」
「それよりお昼食べよ♪一人で食べるの飽きちゃったんだぁ」暖かい笑顔で、俺に隣に座るよう促す。あれ?「…勇二はどこいった?」
その瞬間、凄まじい違和感を感じた。…違う、ここが保健室の中だ!勇二はもう取り込まれている。この夢が俺を拒絶している事を何とはなしに感じた。
「あれ、もう『造魔』が弱ってきたのかな」ソーニャが何事か呟く。「やっぱり寄生だけじゃ弱いわね、個体は…」
…造魔?何の事だ。「やっぱり本物の子じゃないとダメかぁ〜…」ブツブツと何事か言っている。
「それにしても…貴方、不思議ね」突然、ソーニャが俺の顔を覗き込む。「この幻覚の中で、自分を見失って無い。余程の精神力か…或いは、免疫…?」
違和感を感じる…だが、俺に出来る事はそれだけ。それだけなんだが…今回はそれが役に立ったみたいだ。この歪みの元凶はソーニャ、だ。
「ま、いいわ♪どうせ今回の用事が終わったら、記憶は消えてるはずだし♪」何やら怖い事を言っている。
「ソーニャ、君はいったい…」何者だ、という所までは声が出なかった。氷のような笑顔を向けられたからだ。
「その問いには答えられないわ。でも、何しに来たか位は教えてあげる。探し物よ。…私の最愛のペットを探してるの」
「犬かい?…それとも猫?何にせよ、余り穏やかな動物じゃなさそうだね…」頬に冷や汗が流れる。皮膚温度がかなり下がった様に錯覚する。
「そうねぇ…性格は穏やかよ?ちょっと食欲が旺盛なだけ」言って、俺に背を向ける「さて、ソーマの現組織の解析終わり。…ショボイ所だこと」
保健室では半゜田がナイル茶を淹れながら、呪いをかけている……「ソーニャのセリフの語尾が『ニャ』になるアル」
マズイ。彼女が探しているのは多分アレだ。…知られてはならないような気がするが、何時アレが現れてもおかしくない状況と来たもんだ。
「うふふ、ソーマとパンダちゃん、まだ保健室でもがいてる♪…意地悪しちゃおっかな〜っにゃ♪」また一人でブツブツ呟く。その間、俺は金縛りに合ったように動けなくなっていた。さっきの氷の笑顔を見てからだ。
辛うじて何とか動くのは指先と舌のみ…俺は必死に声を振り絞った。「だ、誰かっ……彼女を、止めてくれ!」
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ! 神様が見過ごしてもこの私は見過ごさないだわさ!」こ、この声は…!
ここぞとばかりにアーリテ姫登場。相変わらず決め時は逃さない!!
「ホント、今日は招かれざる客の多い日。いいわ…用事も終わったし少し遊んであげるニャ」そう言ってソーニャは振り向きざまに
何も出来なかった。…ダンッ!弾丸がソーニャの足元を穿つ。「Freeze!(動くな!)次、動いたら当てるわさ…!」アーリテの手にはいつの間にか弁当箱の変わりにMK23ソーコムピストルが握られていた。
現代のインドとロシアの勢いの差を象徴するかのような攻防である・・・か?
「呆れた、なんて物持ってるの貴方。降参だにゃ」そういいながら手を頭の上に乗せ武装解除を…と思った瞬間ソーニャが駆ける。ダンッ!ダンッ!MK23のマズルフラッシュが閃めく。
299 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/23(木) 06:26:17 ID:L3MUOG0y
しかしソーニャは背中からサバイバルナイフを取り出し、迫りくる弾丸全てを叩き落した。
「面白い子ね…。でも、ここは私のホームグラウンド。貴女が私に対抗する事は出来ないニャ」凄絶に笑う。いつの間にか、ソーニャの手にSVD(スナイパーライフル)が握られていた。
「なっ?…何処から!」慌てて身を隠すアーリテ。そして通信機(インダス川原産)に向かって叫ぶ。「イブン、執事、私のAK-47を、カラシニコフを大至急持ってくるわさ!」
フッ…と、ソーニャが視界から消える。死角に入られたかと周囲を警戒するが、中庭の風景が広がるばかりで、ソーニャはどこにも居ない…
チリリッ…と頭の片隅が焼け付く感覚。狙われている!一瞬で前方の木陰に身を隠す。ドガンッと、先程までいた地面に、大穴が開く。
「面白いわぁ〜…貴女って、面白い!平和ボケした国の片隅にあるただの学校に、まさか、貴女みたいな戦士が居るなんてね〜。世の中って分からないわね♪」
平和ボケ…それこそがアリーテにとって一番眩しく感じたもの、守りたいと思ったもの。「姫君、遅くなりました」声と同時にギターケースを抱え塀を越えた執事の姿が目に入る。
「来たかイブン!こいつはかつて無い強敵だわさ!」執事、イブンがギターケースを開く。「ふふ、姫様。カラシニコフと姫様なら敵無しでございます」
視界の端に、裕也の姿が映る。「まあ、安心して観ててユーヤ!」弾倉に入った7.62mm弾を確認しつつ、微笑み掛ける。窮地にてのその姿は、裕也にとって女神にも見えた。
「む…姫様?」突然イブンが声を上げる。「どうしたのイブン…あれ」イブンが、忽然と姿を消していた。その代わりにソーニャの声が。「へえ…お姫様、貴女も虫の免疫持ってるんだ。幻覚で正気を保ってる」
それを見た裕也は足に活を入れアーリテの隣に転がり込む。「…ひ、姫。ソーニャは幻術というか迷彩というか、とにかく隠れて見えない。だけど俺には隠れている位置が分かる」
「半゜田がトレーサーの呪いを仕掛けてくれたからな、語尾の『ニャ』がそれだ」 裕也は教えた。
再び、チリリという感覚。慌てて周囲を見回す姫。が、その瞬間、バゴンッと裕也の鼻先にライフル弾が着弾する。「ひええぇぇぇ」裕也の悲鳴が上がる。
「だいじょーぶ♪別にこの中だったら、死なないにゃ!暫く身動きが取れなくなるだけよ〜ん♪安心してにゃ!」陽気なソーニャの声。
「よくもユーヤを!許さないわさ!」声のする方へとカラシニコフを向ける。「シュートォォォ!!」
渾身の一発を放つ。弾丸は声の発信源に狙い違わず命中した。「わお♪良い腕にゃ!た〜のしい〜♪」ガラスの割れる音と共に、銀髪の少女が姿を表す。手にはSVDを構え、姫を狙ったまま。
「!!」反射的に上体を後方に逸らす姫。鼻先…紙一重の間で、ライフル弾が通り過ぎた。その体勢のままAKをフルオートで前方に乱射し、ソーニャを威嚇する。
「う〜ん、シールドが一個取れちゃったか…仕方ない、保健室から持ってくるかにゃ♪」改めて前方に向き直った姫だが、またソーニャの姿が見えない。瞬間、ズン…という重低音が辺り一帯に響いた。
一方、保健室では、相馬が一人幻覚を打ち破ろうと躍起になっていた。
保健室の真ん中で倒れている晶。麗に操られた後同様に倒れ込んだ半゜田。(無事なのは、足を埋めた俺だけか…)その時、ズンという重低音と共に、びくんっと晶の体が跳ねた。
同時に、晶の体から麗の気配が消えた。俺の埋まった足も元通りになった。半゜田は倒れたままだったが。「ん…」晶から声が漏れる。
恐らく、麗のスキル『造魔』で作られた使役虫、晶の中に居たそれを、強制的にどこかへ転移させたのだろう。ひとまず、目の前の少女の無事を確かめなければ。
「おい…大丈夫か」抱き起こし、声を掛ける。「ん…あれ、相馬先輩。ここは…」晶は、まだ何が起きたか理解出来ないようだ。素早く顔から体に目をやり、外傷の有無を確認する。
特に身体に外傷は無さそうだ。「あ、保健室。そか、具合悪くなって保健室に運んでくれたんだっけ。ありがと…ってお師匠!?」倒れた半田に駆け寄る晶。
返事がない。ただの着ぐるみのようだ。
ズン……辺りに静けさが漂う中一人安堵の姫「間一髪だなアリーテ!コージがモヤットボールを大量に投げ込んだので遅くなった」
325 :
>324ワロス:2006/02/23(木) 21:45:41 ID:Gl3sf2jE BE:560747669-
彼の得意中の得意である呪文の擬音が重く響き渡る中、「重力攻撃とは・・・クッ!」膝をつくソーニャ
重みでソーニャの衣服が破れ崩れていく。俺は彼女から眼が離せない。
破れた衣服の中からパンダが現れた!
「ふう、身代わりの着ぐるみをつけていて助かったニャ。ここはちょっとばかり分がが悪いニャ。退却するニャ」
脅威は去った。だが突然現れた謎の重力使いと謎の姫、彼らの正体は一体!?次回、『パンダは---プチっ。相馬はつけっぱなしのテレビを消した。
「最近はつまんねーアニメばっかりだな」とぼやきつつ振り返ったそこには
半゜田が烏龍茶を淹れていた。「もう昼休みは終わったぞ。早く授業に出ろ」
ちなみにテームズ川の水である。
5時間目の家庭科の先生は22歳の美人教師だがこれ以上キャラが増えるとややこしいので、あえて名前は出すまい。
教師「さて、今日はハンバーグを作ってもらいます。班分けは…」と適当に割り振られた。相馬は橋本と同じ班だ。
「相馬ぁ!テメェをハンバーグにしてやる!」争いの絶えないいつもの風景
しかし、そんな彼らもいつものような覇気はなかった。二人とも、先ほどの戦いのことを思い起こしているのだろう。
あの後、唐突に出現した第三の目…夢食い虫に操られた美奈さんによって事態はあっさり終わりを迎えた。
そう・・・ハンバーグはきれいさっぱり食い尽くされた。
いや…美奈さんの体に居た虫の為だったのかどうかも分からない。ソーニャが「保健室のも持って来る」と言った次の瞬間に、ソーニャの気配が完全に消え、いつもの昼休み風景に戻ったのだ。
相馬は一切表情を変えず教室に戻ってきていて、「晶は熱を出していたから保健室に運んだ」の一言。ソーニャに至っては、一切の記憶が無い様で「ずーっと中庭で一人でピロシキ食べてたよ…校舎の案内もして貰えなかったし…ぶ〜」と膨れっ面だ。
勿論、ソーニャは演技をしているのかもしれない。相馬もひょっとしたらグルなのかもしれない。でも、その場で狙われた俺自身、あれは現実に起こった事なのか自信が無いのだ。
「こら〜実習に集中しなさい!」先生に怒られた…。仕方ない、先ずはハンバーグ作ろう。班員は俺と相馬、勇二、野比(廊下で立ってる)、ソーニャ、姫だ。美奈さんは別の班か…。
だけど困ったぞ。ハンバーグを作ろうにも挽き肉がないぞ。どうしようか。
「は〜いでは各班冷蔵庫から挽き肉持って来てね〜」先生の指示により、各班代表がそれぞれ食材を揃えに行く。素材見極めが美食の第一歩だ。うちの班で眼力のありそうな奴は…、
…姫なんてどうだろう。一国の姫君、さぞ美味い物も食ってるのではなかろうか。「姫、お願いできるか?」と、姫に白羽の矢を立ててみる。
「了解だわさ」そう言って指パッチンをする姫。
他の班からは、美奈さんが代表で食材を取りに行ったようだ。姫と目線を合わせ、何故がバチッと火花を散らす。…食材如きで何対抗意識燃やしてるんだか…。
美奈さんが選んだ挽き肉は牛と豚の比率が7:3の合挽き肉だ。さすがは美奈さん、よくわかっている。一方姫が選んだのは
鶏肉と豆腐の混合挽き肉だった。姫は実はヘルシー志向なのかっ!?「いや、ただ単に貧乏性なんじゃね?」勇二のストレートな一言。「…俺は豆腐ハンバーグも好きだがな」相馬の呟き。
「お〜、鶏肉てことはあれね♪日本の名物『焼き鳥』ね♪」はしゃぐソーニャ。あながち間違いでもない…思わず苦笑してしまう。不味かったら野比に全部食べて貰おう。
すっかり忘れてたが美奈さんはバイト先で作ったまかない料理で、食べた者を全員病院送りにした武勇伝を持つ。
つまり何が言いたいかと言うとだ…美奈さんの班の辺りからその、尋常じゃあない臭いがしてきたのだ。
野比が廊下からこちらの様子を伺ってる。気付かない振りで実習続行
「さて、そろそろできましたか〜?」先生が教室を見回す。味は分からんが形はハンバーグだ。
試食・・・なのだが・・・こ、恐い・・・。だが表情には出さない俺。
実際の所、味付けや調理のメインは全て姫だった。俺は付け合わせのポテト作り、相馬は玉ねぎや人参の刻み、勇二は挽き肉と豆腐をコネるだけ。ソーニャはそれら全てを引っ掻き回す。結局は姫の料理なのだ。
その頃、半゜田は食あたり用のドナウ茶を用意していた
試食の時間―当然の様に校長がいる………withぬらりひょん
「さて諸君らの料理、大いに期待させてもらうぞ」「胃薬もあるアル」そういって審査員席(!?)に付く校長&半田。
しかし審査は最後まで行われることは無かった。まさか美奈さんの作品が最初にくるとは…。
撃沈した審査員を余所に、各班入り乱れて味見合戦が始まっていた。俺は怖くて姫のハンバーグに口を付けられなかったが…あれ?意外に皆から好反応だ、うちの班の…。
「当たり前だわさ。伊達に毎日弁当作ってないわさ。…結局…いつも無駄になってるけど…ブツブツ」言いながら段々ションボリしてきて机にのの字を書く姫。…俺…姫に悪いことしちゃってたんだな…
結局家庭科の時間は、先生たちを相馬と俺が保健室に運んでお開きとなった。
ちょっと味見してみる。あっさりした味の白身の肉に、ポン酢と大根おろし、シソの葉の味が丁度良く混ざって、バランスが取れてる。「うん、美味いよこれ」
365 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/24(金) 23:11:18 ID:dEKlMkrZ
更新してなかった〜364カットで
「相馬…」保健室から戻る途中、ふと声を掛ける。「なんだ」ぶっきらぼうな相馬の返答。「昼休み、ソーニャの白昼夢に襲われた。お前、何か知ってるんじゃないのか?」
チラリと俺の方を伺った後、「…素人が首を突っ込むな」ボソッとそれだけ呟く。「興味本位で突っ込んでるわけじゃない。必要だからだ!…助けたい人が居る」思わず声を荒げる俺。
相馬の、俺を見る目に僅かに力が籠もる。「何だ、それは」怪訝な表情で訊いてくる。…敵である相馬に、全てを話す訳にはいかない。適当に茶を濁すしかないか。
相馬の手にはモヤットボール。どうする!?俺!
とりあえず、サンポールとドメストを混ぜてみた
「俺の友人が、白昼夢に悩まされている。夢を喰う虫の幻覚を何度も見ているんだ。何か…知らないか」
モヤットボールや塩素ガスでテロを画策していた老婆(17)を踏みつけつつ、俺の目をじっと見る相馬。心の内を見透かされているような…錯覚を覚える。
「麗…ソーニャのスキルは『造魔』という。自分の任意の怪物を作り上げる力だ。ソーニャは特に、既存の生物を変質させて使い魔とする術に長けている」静かに語る相馬。
「夢を食う虫はその使い魔かもしれない…、そういうことか?」真偽を確かめるために、俺は相馬の目を覗き込みながら聞いた。
「さあな…そこまでは知らん」素っ気なく返す相馬。「だが、そういった能力を持つ使い魔が居ても、おかしくはない」
…だが、ソーニャは昼休みの白昼夢の時、こう言っていた。「探し物をしている」と。自分の制御下に無い使い魔も居るという事か?それとも、美奈さんに憑いた虫は、ソーニャとは全く別件なのか?
377 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/25(土) 00:49:39 ID:IRfMkrz1
「ええ、そうよ、その使い魔が居たとしてもソーニャには関係ないものよ」
瞬間、またもズン…という重低音が辺り一帯に響いた。日常と非日常の間から漏れ聞こえたような、不思議な、深層の不安や恐怖を呼び覚ます異音…。
「チ…」相馬が舌打ちした。「また、白昼夢…幻覚の始まりか…?」異質な世界の空気を感じ取り、油断無く周囲を警戒する。…流石プロだ、動揺していない…
ズン ズン ズン ズン ズンズンズンズン パララー♪ ジョーズのテーマだ
だが、今感じているのは、昼の違和感の比ではない。胸の中、心が引っかき回される様な、異様な世界の空気。相馬も感じているだろう。額に汗が浮かんでいる。
ズンズンズンズンズンズン♪ 「この響きは……」「何だ?判るのか?」「……ドルビーサラウンド!」
取り敢えず、紛れ込んで5.1chドルビーサラウンドシステムからジョーズのテーマを流した老婆(17)を踏み潰しておく。オカルト同好会は次元の狭間だろうとお構いなしに活動するアグレッシヴな人々なのだ。
「あら、折角雰囲気出てたのに…止めちゃったの?BGM」背後から唐突に声が掛かる。…振り向いた先、美奈さんが居た。…第三の目を開けて…
「違う…麗の気配じゃない!こいつは麗の使い魔などという範疇じゃないぞ!デカすぎる…」焦りを隠しきれず、叫ぶ相馬。
「何か解るのか!?」俺は、叫ぶ様に相馬に訊いていた。現状を打開する策、美奈さんを救う手だて、何か方法があるのか。
「市民 誰も信じるな!レーザーガンを手放すな!」 相馬は呟く
「恐らく、人工の生命体では無い。生徒会長に取り憑いてるのは…精霊か、神獣に近いぞ。人間の容易に手出しできるレベルでは無い!」
相馬の声が二重に響く。…くそ!もう虫の浸食が始まったのか!?正気を保て、呑まれたら終わりだ…!
背後からは絶え間なくズンズンズンズンという重低音が鳴り響いている……
微笑を浮かべながら、美奈さんは無造作に近付いて来る。相馬は懐からコンバットナイフを取り出し、構えた。「!!相馬、美奈さんに危害は…!」慌てて制止する俺。
「安心しろ ブレードには致死性の毒が塗って有る」
「ここは、西島美奈に取り憑いた虫の見せている世界の筈だ。ならば、ここで西島の額にナイフを突き立てても、現実の西島には何ら危害は無いのではないか」
くそ、いよいよ相馬も幻覚に取り込まれたか…。いや、取り込まれているのは俺の方なのか。どちらにせよ、正常な思考が出来なくなっている。…危険だ。
急激に体内から力が抜けてゆく感覚。膝が笑い、へたり込みそうになった。喰われてる…そう改めて実感し、戦慄する。だが、自分からはどうする事も…
出来なくも無い。要は直接第三の目、つまり虫を見なければいいんだ。俺は都市型迷彩を美奈さんの頭にそっと被せた。
その時、美奈さんがスッと自然に手を伸ばし、俺の手を握った。突然の事で慌てたが…「つかまえた、裕也」瞬間、体内から急激に何かが…抜け…て…
その頃……もぞもぞと体を振るわせつつ直立する人物が泣いていた。トイレを我慢してる野比だ、うだつのあがらない奴め。
俺のHPがドラム式に回転しながら減っていく。もうダメだ…と諦めた時、「あー!すみませんボールそっちいっちゃった!」聞き覚えのある声。と同時にバスケットボールが
メコッ…と美奈さんの脳天にクリーンヒットする。鮮やかに床に倒れる美奈さん。こんな勢いでボールを投げつけられる人間は他に知らない。「里香!!」
401 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/25(土) 15:46:37 ID:69RtQo/q
4時間後――ー中央病院302号室
「へっくしょい!チキショウめ!」院内でも古株の田中さんがクシャミをした。
幸い美奈さんの怪我はたいしたことは無かった。明日にでも退院できるらしい。
そんな光景を薄ぼんやりと見ている俺・・・あれ、俺はいったい何を。確か生徒会長が現れ、橋本が捕われ、俺がナイフを出し・・・徐々に意識が覚醒してくる。
そうだ、ここはまだ学校の廊下だ。幻覚の中から抜け出していない…。却って急激な場面転換だった事が、世界のバランス感覚への違和感を増大させ、脱出の糸口を掴めた様だ。
「くっ、直視した訳でもないのにこれほどの威力とは…!」何とか幻覚は払ったが、これでは西島の顔を見れない…つまりマトモに戦えん。ここは人間らしく
…自爆?自爆いっとく?ノリでいっとく?「任務完了」とか言っとく?
「相馬ぁ!しっかりしろ!やばい目付きしてるぞ?!」橋本の声で我に帰る。くっ、素人に助けられるとはな…。しかしこのままでは二人とも幻覚に飲まれて終わりだ。一か八か、西島の額を貫く!
自分が最早正常な思考を行えていない事に、自分自身驚く。落ち着け…冷静になれ。精神集中する中、誰かの声が響く。「あ〜っごっめんなさいっ大丈夫?」
どうやら勇二が野比にぶつかったらしい。(まだ立ってたのか)
目の前に倒れている美奈さん。俯せなので、第三の目は見えていないのに、それでも幻覚の余波が続いている。恐るべき力だ。
美奈さんの傍らに落ちるバスケットボール。投げつけた主は…消えていた。周囲を見渡しても、何処にも居ない。そもそも、現実世界に里香という女の子は居ないのだ…。
そう。「鍵の者」である松本里香は、あっちの世界とこちらの世界を行き来する人外なのだ。
「えっ!!わたし人外だったのっ!?」声と共に、中庭からバスケットボール抱えてバタバタと走り込んで来た里香。……神秘性台無しだよこの子…。
冷静な相馬は争いを避けるべく平静を装う
416 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/25(土) 19:29:22 ID:4YLAzz4a
「じゃあ背中にあるこの翼はわたしが人外だということの証だったの?」……翼だと?
「橋本!そいつから離れろ!」相馬からの鋭い一声。バンッという衝撃波と共に、里香の背中に光の翼が生えていた…!「…土地神や氏神の一種だ…力は弱い様だがな」呟く相馬。油断無くナイフを構えている。
そのころ半゜田は保健室でライン茶を淹れながら、「里香の科白の語尾が『にょ』になるアル」と呪いをかけていた。 破邪の呪文だ!
「あ…あの…!氏神って、何ですかにょ…!」背中に光の翼を広げた里香が、心細そうに相馬に聞く。「…ググれ」身も蓋もない相馬。
橋本「そ…そんな・・グーグルを発動させたのか!?」海軍本部もびっくりの総攻撃開始の合図!
「何を驚いてる?ググれとは自分で調べろという意味。常識だ」「違うんだ!神っぽいものの世界では『ググれ』とは『愚昏』、つまり『敵を地上から抹殺せよ』という意味になるんだ」
「…らしいぞ、氏神。どうする、目の前のアホを地上から消し去っておくか?」冷静に恐ろしい事をのたまう相馬。「えっえっわたしそんなこと出来る力ありませんにょっ」焦る里香。
2人をよそに周囲は混乱している。「ググりなさいさすれば救われん」「はんッググるなんて真似」「うぐぅ」「まさかググれにそんな意味が」「ぐぐぐ…」
「でも…確かに変だとは思ってたんですにょ。羽根は生えるし時々天使の輪みたいなのも頭に乗っかってるし…やっぱりわたしは人間では無いんですにょ…」ションボリする里香。
そんな里香何か言わなければと俺はとにかく口を動かす。「松本…松本は人間だよ。俺の元後輩で元気な女の子…例え羽が生えようと、アイスラッガーが頭に乗ってようとそれでいいじゃないか?」
「残念だが」冷酷な相馬の声。「氏神は氏神だ。元は人間かもしれんが、死後に土地に縛られ、神格化したのだろう。波動の影響力から察するに、友波町一帯の守護が主務の様だな」
青ざめる里香。俺は思わず、相馬に掴みかかっていた。「お前…!里香の事、考えろ!いきなり死んだとか神だとか!頭おかしいんじゃないのか!?」
「信じられないなら信じなくてもいいさ。俺には関係ないしな」淡々とした口調で相馬は言う。
「だが、事実は直視しろ…お前は現実世界でこの氏神の姿を見た事はあるか。必ず幻覚や白昼夢の時にだけ現れているはずだ。神や悪魔は、夢枕でないと人間には認識出来ない」
俺は今どんな顔をしているのだろうか。直感的にわかっちゃいるんだ。相馬の言うことは正しい。だけど、そうとしたら、里香はどうなるんだ…。
「…先輩、わたし、大丈夫にょっ!別に…何も…辛く、ないにょ…!」無理に笑顔を作る里香。その笑顔が…いたたまれ無くて…俺は…
その時。空間を歪ませる様な叫びが、辺り一面に轟いた。俺を突き飛ばし、慌てて周囲を警戒する相馬。叫びの主は…美奈さん!?いや、取り憑いている虫だ!
「そこの氏神! なんとかしろ。それがお前の役割のはずだ」あせった声で相馬が叫ぶ。
相馬はナイフを構え、俺に言う。「おい、西島美奈を倒すぞ。西島美奈が受けた苦痛は虫も共有する…虫を倒す為だ、協力しろ橋本裕也!」
「私は人間じゃなかったのね……。私が氏神なら西島さんを止めるのが私の務め……。さようなら、裕也。あなたに会えて……良かった……!!」里香?!何をするつもりだ?!
焦りつつも楽しむ相馬「分の悪い賭けは嫌いじゃない、ジョーカーを切らせてもらう!」
「おらっそこの氏神、自爆でもするつもりか?そういうロマンは最後に取っとけ」言い捨て、美奈さんに向き直る相馬。「仕方ねえ…ノリだノリ。十二姉妹を統べる兄、『創魔』の力…俺のジョーカーを再起動してやるよ!」
言いつつ、懐から二枚紙切れを取り出す。「氏神、一枚やる。持っとけ」「…にょ?」里香に手渡す相馬。もう一枚を、手に持つナイフに絡ませる。その紙が一瞬で燃え上がり…
一振りの大剣へと変わる。「ふむ…長年出して無かったんだが、錆び付いてはいないな…」その剣を、頭上に掲げる。「来い…我が僕…妹よ…創魔の剣の下に」
相馬の周りに俺には理解できない黒い何かが集まる…うわ、気色悪い、何だこりゃ!?
黒い霧は集まって、十二体の少女の形を取り始めた。 そして口々に叫ぶ「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」「兄者ー!」
そんな声の中、「気色悪いって何なゃ!人聞き悪いわね♪」聞いた事のある声。黒い塊から飛び出して来たのは…ソーニャ!?「…やっぱりお前が来たか。一番近場に居たし、当たり前ではあるがな…」忌々しげな相馬。
いつの間にか、他の塊は消えていた。「ソーマ!私嬉しい!また昔みたいに仕事出来るんだねっ♪」「…勘違いするな。窮地を脱する為に、仕方なく使っただけだ。一か八かだったが…やはり良くない方に転がったか…」ため息を吐く相馬。
「ムカッ何にゃそれ!私はソーマの役に立つよっ!…って、あーー!『オリジナル』!」目を輝かせ、美奈さんを見るソーニャ。恐らく、美奈さんに寄生した虫の事だろう。
「うふふふここで会ったが百万年!器壊して中身をゲッチュ!ってあいたたたた!」相馬が剣をソーニャに向けた。途端、頭を抱えて悶絶するソーニャ。
「退治は待て。お前の目から見て、あの生徒会長と虫を分離させる方法はあるか?」ソーニャに訊く相馬。「ん〜…かなり融合しちゃってるにゃ。無理に引き剥がしたら、寄生元の子も無事じゃ済まないと思うよ〜?」
再び深い溜め息を吐く相馬。「…役立たずめ」ボソッと呟く。「…ガーン」ショックを受けるソーニャ。「橋本、この西島を救うのはまた次の機会だ。今回は脱出するぞ」
「へ…脱出って、そんな事できるのか?」「…幻覚のプロが居るだろ、ほれ」剣の背でソーニャをコツンと叩く。「いだっ…ソーマぁ」涙目のソーニャ。どうやら剣の力で、相馬に逆らえないらしい。
「ほれ、早よシールド出せ」「ぶー…ソーマ人使い荒いっ」超豊乳な胸の谷間から、小さなカブトムシのような昆虫を取り出す。「それじゃ、空間壊すよ〜っ♪」
「ま…待ってくれ!里香…里香も一緒に!」叫ぶ俺に、呆れ顔の相馬が一言。「出来るわけ無かろう」「そんな…」「裕也先輩、良いんです…私…」寂しそうに笑う里香。
「砕け♪」陽気なソーニャの声と同時に、ガラスの割れる様な音が響いた。急激にどこかへ落ちて行く感覚と共に、俺は意識を失った…。
ふと気が付くと、教室に居た。どうやら6時限目の授業中に、机に突っ伏して眠ってしまっていたらしい。口からヨダレがタプタプ出ていたので、慌てて拭き取る。
先生がこっちを見ながら「また居眠りか!廊下に立って な さ い !」後ろの野比が廊下に向かう。うだつのあがらない奴め。
今時廊下に立たせて、体罰とかにならんのだろうか?この件がタチの悪い事で有名な某巨大匿名掲示板の連中に知られようものなら・・・。
今までのは夢だったのかと思い、周囲を見回す。前の席に美奈さんが居た。…頬にバスケットボールの跡がある…痛そう。隣の相馬は鞘に入ったナイフを手で弄び、ソーニャは頭痛にこめかみを押さえげんなりしている。
…夢では無かった様だ。てことは、美奈さんに取り憑いた虫もそのまま。里香も夢の中に置き去りにしたままか。畜生、何とかならないのか…
458 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/26(日) 18:05:01 ID:u/Il7pjS
待てよ…器さえあれば里香をこの世界に存在させることが出来るんじゃないか?
授業が終わり、放課後になったと同時、相馬をひっ掴んで廊下へ。「さっきのは現実に起こった事だよな!?なあ、里香を呼ぶ事は出来ないのか?」小声でまくし立てる俺。
「…会いたいのか?」静かに問う相馬。「相手はお前とは根本的に違う。氏神、人外だぞ」ジッと俺の目を見据える。「それでも会いたいのか?」
相馬が口を開く「……俺自身、現状を把握出来てない。行き当たりばったりで対策は何も無い。…まだ…だけどな」
「ああ、会いたいね。里香はクラスメイトだ」相馬を睨み返す。
464 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/26(日) 21:06:35 ID:u/Il7pjS
「それでもだ。俺達の力だけではどうする事が出来ない以上、里香の持つ力に賭けてみたい。それに里香は俺にとって可愛い後輩だからだ」
465 :
464:2006/02/26(日) 21:07:52 ID:u/Il7pjS
被ったのでスルーを
短く息を吐く相馬。「了解」と言って、懐から紙切れを取り出す。幻覚の中で…里香に渡したのと同じ物だ。「式紙だ。あの氏神を、式神として呼び寄せる。後の事は知らん。面倒はお前がみろ」
し…式神?…里香を氏神と言ったり、ナイフを大剣にしたり、ソーニャを召還してみたり…「相馬…お前、一体…」
「…俺は…タダの高校生さ」言ってそっぽを向く。高校生にしちゃ、老けてると思うが…「人気の無い所、屋上で良いか。来い」
「おい、ちょっとジャンプしてみろ」絡まれる野比をよそ目に屋上へ向かう
ちなみに絡んでるのは、野比の友人だ。何がどーなったか知らないがつっついて離れないらしい。…そんな事を考えているうちに俺は屋上に着いた。
屋上に続く扉を開ける。秋風が吹きぬける。生徒の姿は無い。「相馬、何をするんだ?」
「言うよりは、行動した方が早い」床に、赤マジックで何かの図形を描いた。中心に式紙を置き、ブツブツと何かを呟く。と、「あ、契約者はお前にしとくからな」いきなりそう告げられた。…契約者?
勇二が居れば「これサインコサインじゃね?」とツコッミをいれるタイミングだが今は居ない。ボケ不発に焦る相馬
相馬が短く叫ぶ!…気付いたら俺は一人で白い空間に居た。そして「えーと、あなたが私と契約…ですか?それをしたいって人ですか?」どこか困ったような声で白い影が俺に聞く。
え、いやそんな自信なさそうに言われても……。「俺もよく分からないんだが……そうみたい」
古い…おひな様?みたいな着物を着た…俺と同じ位の年格好の、女の子だ。「あ」思わず声を上げる。そうだ、余りに雰囲気が違っていて、気づかなかった。この子…里香だ!
里香は静かに言う。「契約すると、あなたの夢から一定の力を貰い受けます。まあ、夢見が悪くなるとかそんなところですが。それでもいいですか?」
「ああ。夢だろうと精神力だろうと持ってっていい。だから…」「え、その…や、やっぱり私、神様とか式神の事とかよく分からないので、契約止めませんか?」と急に弱気になる里香。…俺の事が見えてないのか?
「お〜い、里香」一声掛けてみる。「にょっ!!」ビビクンッと体を飛び上がらせる里香。「ななな何でその名前を?」「…忘れたのか、里香。俺だ、裕也だ」
「せ、先輩?! あれ、ほ、ホントだ。先輩なんですね」ひまわりのような笑みを浮かべて里香は小躍りする。
その時、どこかから声が。「橋本、そろそろタイムアップだ。お前だけ引きずり戻すぞ」…げ、時間制限あるのこれ!?「ちょっ待て!」
「里香、美奈さんを救うのにお前の協力が必要なんだ!協力してくれるな?」
「なに!?契約ってどうやるの!?」「えっ!わっわたしも知らないんです!こんな事今まで一度も無かったしっ!」涙声の里香。ヤバい、体がどこかに引き寄せられ始めてる…!
「橋本!指きりだ!小指を絡ませればいいんだ!急げ、時間が無い!」
駄目だ、体が引き戻されてゆく。里香との距離が…空いてゆく…。「先輩…!先輩!嫌だ!行かないで!もうここに一人で居るのは嫌ぁ!」泣きながら…俺に飛び込み、しがみついてきた。俺も抱き締め返す。
お互いに抱き締め合ったまま、引きずり戻されてゆく。小指は、しっかりと絡められていた。…光から抜け、いつしか、屋上の風景が目に飛び込む。
一瞬、頭の中が空白になっていた。ボーっと夕方の赤い空を見上げ、こちらを見ている相馬を見て、床の赤い図形を見て、…傍らに倒れる、着物姿の女の子を見て…意識がはっきりと覚醒した。
「里香!」慌てて駆け寄り、抱き起こす。「にょ…」まだ意識がぼんやりしている様だ。「…あれ…ここは…?」ゆっくりと辺りを見回している。
「…って半透明!?」「契約は成立したようだな、普段は力の消費を抑えるために実体化していない。必要に応じてこれで実体化させるんだな」そういって相馬は式紙符を俺に渡す。
「それと…」相馬が、里香の胸の上に落ちていた式紙を拾い上げる。「この紙が、氏神のこの世界での本体だ。これが消滅すれば、氏神の存在そのものが消える。注意する事だ」その紙を、俺に握らせる。
結果、俺の手元には、2枚の紙切れと、一人の半透明な着物少女が舞い込んだわけで。「…後はお前に任せる。じゃあな」と言いながら、相馬は屋上から去ってしまった。
突然な事に、今後の考えが纏まらない。ひとまず…里香が半透明なのがヤバい。次に、着物姿なのがヤバい。…里香をこれからどこに住まわせるのかも決めないとヤバい。
「大丈夫ですよ。契約主にしか私見えないみたいですし。」いや、でも女の子と一緒に暮らすってのは……。
途方に暮れていると、屋上貯水タンクの上から声が。「んふふ♪面白い事になってるにゃ!」ソーニャだ。「氏神ちゃんには悪いけど、式神として降臨した以上は、ちょっと力のある人には、簡単に姿が見えちゃうよ?」
「見えるなら好都合だ。さすがに式神とはいえ、女の子を俺の家に連れて行くわけにはいかない。夜は里香を預かってくれないか?」
「ざんね〜ん♪式神は、契約者と離れる事が出来ません!」…んげ。まじか。里香も困り顔だ。
「では…どうすれば。この姿の里香をずっと連れ回せば、相当ヤバい人になってしまう…」
「式神を見れる人間はそんなにいないから、気にしないことよん♪ それに、離れられないといっても、30メートルぐらいなら大丈夫だよん♪」
「てゆーか貴方、式神との契約の事、ちゃんと分かってる?私達みたいな人間にはメリットが多いけど、ふつーの人間には結構きつい事が多いわよ〜?」ちょっと真剣な顔でソーニャがいう。
「てなわけで、一緒に生活しないといけません!で、その半透明の姿、日常生活で困るでしょ♪きちんと実体化させたくありません?実は、一定の魔力を供給する事で、何とでもなるんです!」一気にまくし立てるソーニャ。…何か怪しい。
「その一定の魔力って何だよ。何かたくらんでないか」俺はジト目でソーニャを見やる。
「んふふ、『造魔師』の私には簡単な事♪はいこれ!」言って、何かを投げて寄越す。…あ、見たことある…。天使の輪、だ。「それを氏神ちゃんの頭に乗せるだけでおっけ!後はどこかから魔力が…ウフフフフフフフ」微妙に怖い笑みを浮かべている…
「あの別に半透明でもいいです私。…服とかが透けてたらそりゃ嫌ですけど」と、里香。なんとなく嫌そうな顔をしているな…まあ怪しいからなソーニャ。
なんとか里香を正常化させたい。ついでに服を半透明にするいい策はないのだろうか?
「んふふ♪使うかどうかの判断は、お任せするわん♪ただ…氏神ちゃんの願望、同年代のお友達と、普通の生活を送ってみたかったんじゃないかな?幻覚世界で、制服着て、お友達とバスケやってたよね」
「それは…」言い淀む里香。確かに、何時幻覚世界で会っても、必ず誰かと関わりを求め、友達と遊び、自己を精一杯表現していた。折角現実に来ても、誰とも交われないのでは…可哀想かもしれない…。
「それでも…それでもいらないです!私、知ってます…悪魔はみんな優しいって!」ざわ・・・ざわ・・・。そうだ、悪魔は狡猾、忘れていたよ里香。この取引は圧倒的に俺たちが不利なんだ!
「…なかなかしぶといにゃ…ゴニョゴニョ」…!!今何か言った!今何かソーニャ言ったぞ!「やっぱ怪しい!何か企んでるな!」「ウフフフフ!使うかどうかは貴方次第!それじゃっ!」逃げるように屋上から走り去ってしまった…。
…後には、着物姿で半透明な式神女の子と、紙切れ2枚と、天使の輪が残された。…マジでこれからどうしよう…。途方に暮れる。
「えーと……う、ウチに泊まるか?」自分がものすごいヤバイことを言っていることは自覚している。
511 :
ふむ……:2006/02/27(月) 02:33:08 ID:9ivNpu7Q
校舎裏からブツブツと声が聞こえる。上から見ると野比が拳を固め直立不動の姿勢だ。「あいつ……なんかヤバイな」
野比を無視する俺。里香「え!?いいんですか?お泊まりなんて小学生依頼です」
無邪気に喜ぶ里香。そして冷や汗が止まらない俺。(…いや焦るな俺!俺は美奈さん一筋、間違いなんて起こる筈が無いんだ、そうだそうそう、そうなのだ!)
しかも両親はそれぞれ熱海とトリノに旅行中。
(とりあえずライフカードの確認だ、一枚目は……紳士的(´・ω・`)
ともあれ帰宅。ま、まずは里香にお茶でも出さんと・・・。
517 :
464:2006/02/27(月) 06:12:46 ID:+QwNPTmG
家には誰もいなかった事は幸いだったのだろうか。兄者達にからかわれずに済んだがどうも落ち着かない。
いや…そもそも透明だから、別に家に誰が居ても構わないのか…てか、お茶だって飲めないよな。…どうしよう、ソーニャの天使の輪、使うかな。
チラリと横目で着物の少女を見る。居間に敷いてあった座布団に座り、ポケーッとテレビを観ている。一度お茶に手を伸ばしたが、スカッと透過してしまい、えへへ、と照れたように笑った。
…いや、やはりソーニャは怪しい。とりあえず相馬に貰った式紙符のほうを…どうやって使うんだこれ?「式神…降臨っ!」構えて叫んでみたが何も起こらない。
「里香、使い方分かる?」「…?」小首を傾げて、分からないの意思表示。お茶受けの海苔煎餅に手を伸ばし、やっぱりすり抜けて、エヘヘと笑う。
やっぱり、緊急事態でもないと、具現化は出来ないのか?しかしそれは、余りにも里香にとって可哀想だ。何か方法はないのだろうか…。
里香をお風呂に入れて全身をお湯にひたせばなんらかの変化があるのでは!?
そんなサービスカットも想像してグフフな気分になったが、傍目には透明な何かにお湯がまとわり付いたスライムみたいな外観になると予想。身震いしてしまう。
だが何もしないよりはマシだ、と里香を風呂場へ誘導する。
寸前に思いとどまる。待てよ、実体化してないって事はつまり幽霊みたいなものだよな。…風呂に入るどころかお湯に触れる事すら出来ないじゃないか…危うく里香を傷つける所だった。
ふと、式神符を居間の机に置きっぱなしなのに気付く。慌てて拾い上げた時、机の上に飾ってあった生け花に式神符が触れた。瞬間、バシュッという音と共に生け花が枯れてしまった…同時に、背後で里香が悲鳴を上げた。
なななんだなんだ!?慌てて後ろを振り返る。「…あ、あれれ?私…」里香が…透けてない。里香も気付き、辺りの物をペタペタ触る。「わぁ…」感動している。俺はびっくりだ。
どうやら式神符は「生命」を吸い取り、それを里香の力とするようだな。
生け花一つの生命力だと、どの位の時間具現化できるかは判らないが…少し光明が見えた気もする。さて、次は現代に非常識な着物を何とかしないと。
アーリテ姫は小さすぎて合う服がないだろうし、美奈さんに頼むのはヤバイ気がする。仕方がない。買ってくるしかないな。
そこでふと気付く。晶なら、背格好も似てるし、女の子の服も結構あるんじゃないかな?気心も知れてるし、借りれそうかも。早速携帯に電話を入れてみる。
「お、晶か。俺だけど。あのさ、女ものの服貸してくれないか?」一瞬の沈黙の後、「……え、いいですけど。先輩もやっぱり興味あるんですね?」完璧に勘違いしてやがる。
534 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/27(月) 23:56:19 ID:+QwNPTmG
「コスプレ系とギャル系のどっちがいいですか?」突っ込もうとしたがこの選択肢のおかげでイケナイ妄想が頭の中を駆け巡った。
頭の中にある欲望のまま、「メイド服ある?」と言ってしまった。「いや無ければ普通にギャルで良いんだけどさっ…あ、うちの学校の制服も、出来れば…」
「ありますよ、メイド服。制服の方も私の予備で良ければ」俺は思わずガッツポーズを取る。「有り難い、少しの間貸して貰えると助かるよ」「はい、それじゃ夕方6時位に学校前で」
よし、後は学校まで俺が取りに行けば…て、里香を家に置いて行くわけにもいかないんだったか。仕方ない、俺の服を着てて貰おう。多少ブカブカだが、何とかなるだろ。
校門前。脇のフェンスに寄りかかっていた晶がこちらに気付く。「あ!先輩遅いですよ〜!…あれ、そちらの方は?」里香を見ながら俺に聞く。
数秒固まる俺。マズい、その辺の事何も考えてなかった…!俺が苦悩していると、「…従姉妹なんです」と里香が答えた。おお、ナイスフォローだ里香!
晶「従兄妹なんていたんですね〜、あっ先輩が着ると思ってたんですけどこちらが?」
里香「うん、その通り」突然服を脱ぎ出す里香。「いとこ同士ですからはずかしくないですよ」
「ちょっと待て!」あわてて俺は突っ込む。晶は困った顔でいる。「まあ、ここで着替えるのは冗談として。服を貸していただいてありがとうございます」
543 :
イラストに騙された名無しさん:2006/02/28(火) 06:30:23 ID:PBbytxMA
「う…うん。とりあえず、サービスとしてメイド服以外のコスプレ系でいくつか入れておいたから。それは中を見てからのお楽しみという事で」
「晶はこれからどうするんだ?」「はい、今日はこれから鍛錬なんです…あ、お師匠来ました」チラリと道を振り返ると、パンダの着ぐるみと、スーパーの紙袋を両手に抱えた相馬がこちらに歩いて来ていた。
「晶、ありがとなっ」相馬と関わりたくないのでさっさと帰ろうとする俺と里香。
相馬はおれと里香の姿を確認すると、フンと鼻を鳴らした。格好つけたつもりかもしれないが、紙袋から伸びたネギが妙に所帯染みていて笑える。
「あれ、先輩もう行っちゃうんですか…」晶が残念そうに呟いた。「橋本じゃないか。これから中庭で鍋でもやろうと思ってたんだが、一緒にやるかね?」半田が誘ってくる。
というわけで帰宅。里香「じゃあ向こうで着替えてきます。のぞいちゃダメですよ」
あ、すまん548はスルーで
家に帰っても、親は旅行、兄貴達も親に付いて行っているので飯は自分で調達しないといけないんだよな…。だが、相馬の視線が痛い…。
「はは、お誘いは有り難いんですが…今日は家でやることがありますので、帰ります」まあ飯位なんとかなるだろ。俺は断った。
「鍋奉行ならぬ鍋都督の私に着いてこい」俗に言うNOと言えない日本人
だが俺の親父は北海道生まれ。北海道は最早日本とは言えないのだ。母は沖縄だ。どちらも日本ではないので、断るのはお手の物だ。
何より、相馬が『帰っとけオーラ』を放っている。俺と居るのが嫌なのかとも思ったが、しきりに里香の方を気にしていた。今はあまり里香を動かすな、という事だろうか。
まあ相馬もプロみたいだし、従っておくほうが良いか。誘ってくれた半田と晶に感謝しつつ、家に帰る事にした。
だが帰宅の途中で里香の体が薄れてきてしまった。やはり生花一輪の生命力ではこの程度か。
いきなり動かしすぎたのも原因かもしれない。急ぎ帰り道にあるスーパーで夕食の材料と花を数輪買い、帰宅した。
ひとまず、花の活きが良い内に式神符と花を接触させ、里香に充電する。さて、里香に着替えて貰うか…。メイド服に!
かくして、氏神兼式神兼メイドの女の子が誕生した。「やっべめっちゃ可愛い…」と呟いてしまう。里香はこの格好が何の職業のものかイマイチ分かっていない様だが、可愛いと言われて頬を染めている。
そう…その時の俺はまだ気付いていなかったんだ。花の一本や二本の代価で式神を維持出来るはずが無いって事に…。
そう…里香が具現化される度に、アフリカの砂漠化が10a進行し、北極の氷が1g溶け出していたのだ。恐るべし里香…環境破壊の急先鋒…!
「先輩、お腹すきません?台所借りますね」ああ……メイドさんが台所で俺のためにメシを作ってる……。最高だ!!!
だがしかし、これだけは言っておかなければ…!「里香、その服を着ている時は、俺の事をご主人様と呼ぶんだ。これは世界中の決まり事だから、よろしく頼むよ」「?…わかりました、ご主人…様」
ひとしきり感動した後、ふと思い当たる。…そういえば、里香は現代の調理器具を使った事があるのか?例えば、ガスコンロとか…!!
気付いた時にはもう遅かった。辺り一帯に、プロパンガス特有の異臭が充満している。少しでも火気があれば、大爆発だ…!
里香も、異臭と異常事態に気付いた様だ。だがどうして良いか判らずオロオロしている。その手が点火ツマミに伸びた。もしそれを捻ったら、火花が出て大爆発のはずだ。マズい死ぬ!
スカッ…。……ん?何も起きない。恐怖で瞑っていた目を開けると、里香の体がまた透けていた。ツマミを握った時点で、また具現の効果が切れたのだろう。助かった。
568 :
誰視点かわからん:2006/02/28(火) 19:59:38 ID:85MMVyBw BE:498441986-
手っ取り早く相馬に電話するため今時珍しい黒電話に手を伸ばす。ズィーコ、ズィーコ・・・・・・
「お客様のお掛けになった電話は、現在使われておりません」あれ、繋がらない。そもそもあいつ携帯持ってたっけ。あいつひょっとしたら、学校に嘘の番号で登録してるのか。
俺は、換気の為開けていた窓を閉める。相馬に相談するのは明日でも良いか。どうせ今頃鍋食ってるだろうし…。買った花にまた式神符を付けてから、改めて里香と台所に立った。
「しかし、ただの高校生に氏神と契約などさせて大丈夫か?」「ふん、奴は封印状態とはいえ俺を倒した男だ、まあ慣れるまでは大変だろうがな」「ソーマ、もうその肉煮えてるよ」
「まてまて!肉はまだとるな!味が染み渡るまで待つんだ!」鍋奉行な相馬がしきる。
「ソーマ、細かいよ〜。牛肉は生でも食べられるんだし〜」ソーニャが文句を言う。流石外国人はアバウト且つおおらかだ。晶は小食で、白滝とネギをモキュモキュ食べている。
そういえば…。突然相馬が鍋をやろうと言った時は驚いた。今まで、私や組織の同僚達とこんな風に連むような事など無かったからな…。思わず、着ぐるみの覗き穴から相馬を伺ってしまう。
「…どうした、半田。食わんのか」相馬に言われ、どきりとした。様子を伺っていたのは幸いバレなかった様だが、流石に恐ろしく勘が働く。組織で最強との呼び声も頷ける。
「ほれ、晶、肉をもっと食え。体力を付けなきゃ練習でバテるぞ」ひょいひょいと箸で肉を晶の皿に入れていく。「ちょっと?!何か態度がアタシと違わない?!」膨れるソーニャ。
そんな相馬の姿を微笑ましく見つつ…思う。私は相馬の事を何も知らない。昔に何をしていたか、どうして強い力を手に入れたのか。何故私達の組織に来たのか…。
そんな事を考えていた時だ。唐突に、凄まじい羽音のような音が辺りに鳴り響く。ソレは私の着ぐるみ装甲をあっさり破り、脳を激しく揺さぶってくる。…眠い。
意識がだんだんと遠のいていく。そのとき、小さな物音がした。ような気がする。
いや、これはたぶん、隣に居た晶が…倒れる、音……だ。………ねむい。
意識の遠くで、皆の声が聞こえる。(いきなり半田に何すんだソーニャ!)(えー、中身見たくありません?今パンダさん無防備だったから〜)(お師匠!大丈夫ですか!?…わ、お師匠の、素顔だ…)
くわ、被りまくった〜。スルーどぞ〜
「いよいよ、始まったわねぇ♪」「ああ、どうやらこの町一帯の夢を食らうつもりのようだな…」「どうするの?ソーマも参加する?」「…さあな」
「それよりもqvUD/Petをいじらないか。いい歳して被ってるらしいぜ」
ズン…という響きを、居間で里香と夕食を食べている時に、聞いた。この感覚は…知っている。
そして、気が付くと俺は学校に居た。(あれ…俺は何でこんな所に。…そうだ里香は!?)慌てて辺りを探すが誰も居ない…いや何か嫌な気配が、ある。俺はこの気配をよく知っている。
虫だな…またどこかでソーニャが何かしているのだろうか…。
とりあえず、里香を探さなければ。俺から離れられないはずなのに、いないというのは、どうもまずい気がする。
589 :
急展開だな…:2006/02/28(火) 23:03:33 ID:w0iW+7+Z
先ずは、里香を探さないと。俺だけじゃ、何も出来ない。
俺は手に持っていた式神符を握って念じてみる。この札は里香に繋がってるはずだ。(里香…聞こえないか、里香!)
(ダダイマ、ルスニシテイマス。ゴヨウノカタハ ピーットイウハッシンオンノアトニ…)
592 :
野比参加表明:2006/02/28(火) 23:21:26 ID:0uO2nuX8
校舎裏にはまだ野比が居た「5年前に隠滅された未来のロボットをここに召喚する」呪文の制約で廊下に立つ事が条件だったみたいだ
やっべ繋がらね!…ってこれau by KDDIやん!式神符と間違えたよ!改めて…あれ、無い…。と同時に校舎裏から野比の雄叫びが…!
今度こそ式神符を…と思った瞬間、何処からか声がした「裕也、くん…止めて!この子、最後に全部食べて、羽化する…って!」…この声、美奈さんか!
「なんとかしますよ。美奈さんは大船に乗った気持ちでいてください」里香がいない焦りを隠して、俺は言った。
「お願い…、この…じゃ……みんな…死んじゃ…うっ!」「え、美奈さん…美奈さんっ!」呻き声を残して声は聞こえなくなる。…出よう。美奈さんを…いや美奈さんの姿をした虫を見つけなければ!
「・・・・ううやめて」「何ヲ止メルノダ、コレハオ前ノ望ミダ、奪ワネバアノ男ハ手二入ラヌゾ」
美奈さんを探しに…と、突如、鋭い銃声と共に、足元に穴が空く。「何、勝手に退治しようとしてるの?」冷酷な声…ソーニャだ。姿は見えない。「『オリジナル』は私の物よ。私が戴く。お前には渡さない」
「何ユーヤに危ないもの向けてるわさ!あんたの相手は私だわさ!」姫がカラシニコフを構えて立ちはだかる。
ジリジリ後ろに下がりながら俺は言う。「…じゃあ持ってってくれよ、あんな物騒な虫。ただし、美奈さんを傷つけないでだ」
「あの『オリジナル』には、様々な利用価値がある。人の精神を喰らう神獣とか言われてるけど、実際は太古から生き続けている、生ける化石の一つよ。薬にも、兵器にもなる」チラリと姫を確認しつつ、言う。
姫が来てくれた事に力付けられ、俺はさらに言う。「それは凄いな…でも俺にとってはそんな物より、美奈さんの方が大事だ。答えろよ!」
「あんたらガキには解らないかしら?…『金』になるのよ。金と、兵器としての愚民の『支配(コントロール)』を得られる。君臨出来る。この世に。小娘一人、今更死のうが関係無いわね」手にはSVDが。
「大体、あなたはあの子の何なの?ほら、そこのお姫様にも聞こえるように言ってごらんなさいよ!!」
ゆっくりと、完全に俺に姿を表すソーニャ。月明かりに照らされたその姿は…高校生じゃない。…兵士だ。甘さや妥協などとは無縁の、プロの殺人者…。あらゆる武装を中に潜めている。…背筋が冷えるのを感じる。
俺はその顔を睨み返し、言う。「守りたい人だ。…姫、ここ任せていいか?」「…OK、ユーヤ。やるべき事があるみたいね。そのかわり…今度、私のお弁当を…食べて欲しいわさ!」
「ボウヤ、お嬢ちゃん…」体から、『虫』を取り出す。「人が死ぬのを見た事がある?目の前で親兄弟、友達、恋人が、殺されてゆく様を見たことがある?」大量の虫が、姫と俺の周りに集まる。「私の故郷はロシアじゃないの。…ボスニアよ」虫が…虫が…!
囲まれた…!?「残念だけど、逃がすわけにはいかないの。組織と私の未来が掛かっている」虫がにじり寄る。姫にも。くそ…どうする。
くそ、虫がもう目の前に!…その瞬間、姫がにやりと笑い、言った。「イブン、準備は?」「上々で御座います姫様」
「守りたい人…?フフフ……ガキが!!!」SVDを構え、射撃姿勢を取る。「ガキにはわからないのさ!!守るなんて事はね!人生の半分も知らないガキが一端の大口叩いてんじゃないわよ!!」引き金に指をかけた、その時。
ズガァァァン!!空気を震わす爆炎が俺と姫の後ろに居た虫たちを残らず呑み込む!すかさず後退しカラシニコフを掃射しながら姫が言った。「ユーヤ、今のうちだわさ!」
「姫、死ぬなよ」その言葉を残して俺は走り出した。そして、美奈さんの声がした方、学校の屋上に向かう。
「ち、また貴女なの。そんなに死に急ぎたいのなら、お望みどおり、殺してあげるわ!」
「イブン、援護を。時間を稼ぐわさ!」 ダンっ!俺は階段を駆け昇り屋上の扉を開ける。…そして、見た。中空に浮かび額から辺りのものを吸い込む美奈さん、いや…『夢食い虫』の姿を!
その姿は、もはや人間の形をしていなかった。一応立ち上がってはいるものの、手足は合わせて6本あり、頭には触角すらある。
『夢食い虫』は屋上から眺める俺を完全に無視して、ただただ周辺のモノを吸い込み続ける。(…もう俺なんか眼中に無いって訳か)
「これが……美奈さん?」その時、異形のモノがこちらを向いた。「キタカ……。キサマを喰らうトキをマチ望ンデイタ」
その言葉とともに、俺に容赦なくかかってくる威圧感。前回とは比べ物にならないほど大きい。
辺りは静寂な霧に包まれる…………
美奈さんは・・・もはやあの頃の美奈さんじゃないのか・・・・・・。
虫から触手がはえてき俺を捕らえようとする「裕也、逃げて!・・・・逃ゲナイデ私ト一ツニ」内容の違う言葉が同時に美奈の声で出た
逃げる事なぞできるものか!!美奈さんにせまる俺!!!
ぬらりひょん「え、何、このタイミングで俺出現していいの?」
ぬらりひょん「出てきたからには仕方ない。放て!揺らめく霧の一斉射撃!」その手にファブリーズ(消臭)が握られている
霧! 俺と美奈さんは視界を失って手探りで周りを確かめている。「やだっ、そんなとこ触らないでよ!」
「あっ!!…ごめん」今の軟らかい感触は…まさか…
まさか…、"そこ"に触れた指先がぬるっとして、少し湿っている…まさか…
しかも微かに熱を帯びている。まさか…まさか…
「残念それは私のおいなりさんだ」半゚田登場
「うおおおおお!さわっちまったじゃねーか!」怒りをぬらりひょんにぶつける。彼方に消えるぬらり。「冗談言ってる場合ではないぞ」半゜田が厳しい表情で言う。
「いつまで幻覚に捕らわれている気だ、橋本裕也?」うるさい!大体なんでいきなり半゜田が…あれ、今の声は…相馬!?
「早く蟲を倒さないと、西島美奈と完全に同化してしまうぞ!」そうだった。はやく美奈さんを何とかしないと…!
でも美奈さんと同化するのも悪くないかもなと思っている自分がいた。自分が美奈さんの体だったらあんなことやこんなことを…
おい妄想もいいが、何故彼女が虫にとりつかれたのか、どんな思いを秘めていたのかわからないのか!わからなければ彼女は救えんぞ。
「違う!自分の身体にあんなことやこんなことしても…全然嬉しくない!」そう叫んだ瞬間、俺を包む霧が四散する!…辺りを見るとそこは屋上、俺は虫を眺めているうちに幻覚に捕らわれてたのか!?
「幻覚を使う相手だってことはよくわかっているはずなのに、また幻覚にかかるなんて、お前は馬鹿か」さげずんだ口調で相馬は言う。
「うっ…」返す言葉も無い。虫は相変わらず周辺のモノを喰らい続けて俺の方を見ようともしない…姿を見ただけで幻覚にかけられるなんて…。「情けない面だな橋本裕也。何も出来ないならそこをどけ。…俺がやる」
「待て。お前、前に、虫に与えたダメージは美奈さんにもフィードバックすると言ったな。美奈さんをどうやって救う気だ?」
一振りの大剣を手に相馬は言う。「西島の精神ごと虫を斬る。痛みに耐えかねて虫が西島から逃げるも良し、西島ごと死ぬも良し、だ。…もはや救う方法を考えている時間は、無い」
「お前、やっぱり美奈さんを救うことを考えてないな。きっとあるはずだ。美奈さんを救う方法が。…そうだ、里香、里香ならどうだ?!」
「氏神にそれ程の力があるとは思えん。…聞け。このままでは町中の人間の精神が食われる。精神を完全に食われたら…人間は死ぬ。俺は奴を止めるぞ…例え殺してでも」
さらに相馬が言う。「恨むなら…突然胎動を始めた虫を恨むんだな。氏神を成長させて退魔能力を伸ばす事も、妹を懐柔して退魔師に充てる事も出来なかった。…俺の立てた計画は全て御破算。中途半端だ。後は、斬るしかない」
「お前の言い分はよく分かったよ。…けど、だからと言って納得するわけにはいかないんだ。まだ時間はあるんだ…美奈さんを犠牲になんて、させない!」---都市型迷彩発動、俺は相馬を倒してでも止める!
「お前、正気か…?! わかった。俺は町の住人を救うために、お前を殺す覚悟で戦うからな。覚悟しろ!」諭吉が「キーッ!」とうなずく。
馬鹿め!前スレで俺に一撃でふっとばされたのを忘れたか!!
とか思ったけど今の相馬って大剣を持っているんだよな…素手で勝てるかな俺?その時「あ、せんぱーい!兄ぃ、居たよ屋上ー!」原付に乗った勇二と晶がこちらに向かってくる。何でこんな所に!?
勇二と晶に気を取られている間に相馬が大剣を振りかぶって駆け寄ってくる! そして、大剣が空気を切り裂く音。俺は寸前でバックステップをしてかわす。
648 :
642:2006/03/02(木) 01:30:07 ID:sir72Jyy
「フン…また素人が増えたか」チラリと広間兄弟を見やる相馬。剣は隙無く俺たちに向けられている。
お互い牽制しあって動けない俺と相馬。そして広間兄弟が到着する。「…勇二、晶なんでここに!?」「おー、やっぱ居やがったな。ほれお前、前に夢を食う虫の話しただろ?空に浮いてるアレ見て気になってな。…近くにいると思ったぜ」
「お前らは幻覚に耐性ないんだ。ここに来てどうするんだよ。今ならまだ間に合うかもしれない。早く友波町を出ろ」
「お前の話がマジなら、ここは夢の中なんだろ?それなら何処に逃げても無駄じゃねーか。…手ぇ貸すぜ裕也、俺に何が出来るかは知らんが!」ダンボールを手に勇二が俺の隣に立つ。
その時誰かが叫んだ「今は争ってるバヤイじゃないでしょう!?」野比だ…隣には……ラスカル!?
その頃、校庭では一時的な膠着状態に陥っていた。「好きな男が自分以外の女の為に命を賭けるってのは…どういう気分かしら?」「う、うるさいわさ!」水飲み場の陰からカラシニコフの銃声が響く。
美奈は裕也達の会話を全て聞かされていた「ミンナオ前を殺ソウシテイルゾ」「全部あなたのが原因じゃないですか」「ソウダ、ダガオ前ハ受ケ入レタ人ヲ自由二操レル夢ノ力ヲ」
野比「これは僕が虐めを耐え抜いたストレスで作ったロボ、ラ・スカール。ラス君と呼んでね」正直うざいがまぁ良しとしよう
「ずいぶん勝手な事を言うのね…でも、まだ諦めるのは早いわ」「何故アキラメナイ?モウ…」「貴女だって本当は皆を殺してまで夢を食べたいわけじゃないんでしょ?」「…」「私は信じてる…裕也くんなら、裕也くん達ならきっと!」
校舎の中庭でカラシニコフが火を噴く。雨あられと振りそそぐ銃弾をすべてナイフだ叩き落すソーニャ。「人間業じゃないわさ!アタシの国にもあんなのはいなかったわさ!」
「でもナイフはかわせてもこれならどう?」 よく練られた納豆がソーニャを襲う!
「どう、納豆のネバネバは?」姫は立ったまま寝言をいった「ふう、排除完了。まずいわ思ったより時間がかかった、その上ソーマも来てるなんて。」
そして、姫はソーニャをロープでぐるぐる巻きにして、屋上に向かおうとした。しかし、眠気がひどい。
「流石…よく練られた納豆はやはり違いますな、姫様」倒れそうな姫を執事のイブンが支える。
「私の…お手製の…納豆…だわさ」「姫様、眠ってはいけませんぞ。イブンめがエスプッレッソをお持ちしました。お飲みください」
「ありがと、イブン。…流石に、ちょっとキツかったわさ」「人ならざる化物どもと戦われた経験など無かったでしょうに…姫様、成長されましたな」納豆…姫たちはトリモチ弾(よく練られてる)の事をそう呼んでいた。
「行くだわさ。ユーヤたちとこの町を救うために」「イブンもお供いたしますぞ」そして、姫とイブンも屋上へと向かっていく。
そしてその頃、俺と勇二は相馬と諭吉を相手に死闘を繰り広げていた。「都市型迷彩・捕縛術!」「キキッ!?」「させるか…そんなもの切り裂いてくれる!」「おわー!?卑怯だぞ相馬ー!」
戦いは膠着状態になりつつあった。
現在の戦局はソーニャ対姫(決着)、相馬対裕也(美奈を犠牲とするか否か)、美奈対夢食い虫(精神世界においての対決)、この長い夜の夜明けは未だ見えない。
一方その頃、晶と半゜田は
作者急病につき一レスのみ休載します。
そしてフカーツ!!
戦いを見守っていた。晶はどっちに味方して良いのか判らず立ち尽くし、半゜田はただ悠然とタバコをくわえ見守っている。
そして僕はというと、晶の言いつけで焼きそばパンを買いにパシっていた。「くそっ、どこにも売ってない!」
「お師匠…私はどうしたら」晶の問いに半゜田は言う。「フ〜…自分で考えるアル。私にとってはどちらも大差ない…一を切るか切らないか、たったそれだけの違いで争ってるだけアル」
その頃僕は「ナポリタンスパゲティパン」なるモノとにらめっこしていた。「いちおー麺類だし、これでいいかなぁ」
ナポリタンスパゲティパン1個とホットコーヒーを5個、レジに持っていく。「1000円になります」高っ! ナポリタンスパゲティパンって400円もするの?!
悔しかったので「スマイルください」と言ったら、赤面しながらかわいく微笑まれてしまった。(この金髪ツインテール美少女店員、どこかで見たことがあるぞ…?)
たしか友波高校で先生をしていたような…。「もしかして、あなたは京棟先生ですか?」とたずねてみる僕。
「あら、あなたウチの生徒ね。野比君でしょ。私がここで働いていることは内緒ね。それ奢ってあげるから」―かくして戦いはクライマックスを迎えようとしていた。
野比は思う(今や空前絶後のツインテールブームだ。シャギー派には世知辛い世になったものだ・・・)
僕が学校の屋上に戻ったとき、そこにはたくさんの都市型迷彩のなれの果てが転がっていた。晶にナポリタンスパゲティパンを渡す。
「…遅い」な、なんて冷たい眼差しなんだ!
あまりの冷たさに思わず懐から温度計を取り出して測ってみた。……零下30度。こ、これがバナナで釘を打てる世界なのか!?
この寒さは相馬だ、僕にはやり方がわからないがお札のようなもので裕也を氷で拘束している。「終わりだ裕也、全てを救う方法などない、ならば犠牲が少ない方法を選ぶだけだ」
684 :
イラストに騙された名無しさん:2006/03/04(土) 19:25:53 ID:pPGfoBnk
「な、何が犠牲の少ない方法だ…。そうやってお前は、自分を正当化しているだけだろ…。少しでも可能性があるなら、俺はあきらめない!」裕也が叫んだ瞬間
姫が飛び出して、相馬からお札を奪った。裕也を拘束していた氷が一瞬にしてとける。「裕也、今がチャンスだわさ」
雄たけびと共に裕也は駆ける。胸ポケットにある紙が、それに呼応するように赤く輝きだす!
「よし、里香、行くぞ!」その瞬間、里香が現われ、どこからともなく取り出したバスケットボールを相馬に投げつける。
「なぜ里香が突然現れたかというと・・・あそこにいるベジータさんの息子だからです」意味不明な発言をする野比。
そんな野比にバスケットボールが命中。漫画のように吹っ飛ぶ野比。「ああ!?…ご、ごめんなさいごめんなさい!」
そして野比が吹っ飛んだ先は、裕也と相馬の丁度間だった。野比に足がひっかかって、もつれて倒れこむ裕也と野比。
相馬は大剣を振りかぶったが、裕也はとっさに野比を盾にした「なっ、裕也貴様!」一瞬、躊躇した相馬に裕也は顔面に拳を叩きこんだ。『キタネー』外野の声がハモッた。
692 :
今日はペースが遅いねぇ:2006/03/05(日) 19:20:09 ID:Wi53ZOut
裕也は知ったこっちゃ無いという顔で相馬に言う。「誰かが犠牲にならないとみんなが助からないと考えるくらいなら、お前が犠牲になれ!」そして叫ぶ。「里香、相馬を拘束しろ!」
「ちょっと待って、準備するから」 10分後、里香は黒ボンデージの蝶サイコーな衣装を身にまとっていた。なんか勘違いしてるぞこいつ。
「じょ、女王様とお呼び!」そう叫んで、鞭をピシッと鳴らす里香。あまりのことに相馬は硬直する。裕也もだけど。
「ちょ、ちょっと待て里香!もういい、もう拘束したから・・・っておい!」つかつかと近寄る里香。
「この格好、先輩の好みなんですか? いくら先輩の好みでもこんな格好をさせるなんて…」そう言って、目をウルウルさせている。
「馬鹿いうな!!俺の好みはボディコンだ!!あのバブル時代を象徴する・・・」・・・里香に無視された。
「お前らいつまで遊んでる!」全員が後ろに現れた人物―――半田に視線を送る。
(ああ、救いの主が・・・)と半田を見た裕也の目が点になった。・・・ボディコンだ。紛れも無くパンダのきぐるみがボディコンを着ている。
やはりボディコンはいい。メイド服への未練なぞとうに捨てた!!
「・・・・オ前ガ信ジテイルノハアイツカ?」「そっそうよ裕也君ならきっと・・助けてくれる」「大変ダナ」一人と一匹の間に奇妙なシンパシーができた
だが、虫と美奈は見逃していた。裕也の萌える・・・燃えるような心に世界が微かに反応していた事に。虫に食われた空間が僅かに再生していたのだ。・・・余りに小さなその反応に気付く者はまだいない。
だれにも気づかれず、そいつは時がくれば自動的に現れるだろう。世界の敵を倒すために。まるで泡のように…
「世界が再生している…? まさかね…」ぐるぐる巻きにされていたソーニャが、学校の屋上をうかがって、そうひとりごちる。
「しっかし『十二姉妹』たる、この私がただの人間の戦士に負けちゃうなんてね。これじゃソーマのこと笑えないわ…そう思うでしょ、貴女も」ソーニャは壁に寄りかかっている人影に話しかける。そこには…校長がいた。
「幾度もの死線を潜り抜けてきた戦士よりも誰かを想うその心が勝っていたということか。ヒトは時に奇跡をおこすものなのだね」
「いや、彼らは強い。私達『戦士』とは違う、他人の為に力を振るう事の出来る者だからな」
被った!Σ(゜゜;)706活かしでヨロ。
「想いだけで勝てたら世話無いわよ…」「いや。彼女が特殊だったのは確かだが、結局はその想いにキミは負けたのさ。…さて、ではそろそろこの異常の説明をしてもらおうか?」ソーニャにブルマを穿かせながら久賀校長が聞く。
「人の夢を喰らうことでしか生きることのできない惰弱な生き物が肥え太って、宿主だけでなく、他の人間からも夢―生きる力を喰らうまでに進化した…こんなところだよん。
「待て…生きる力を喰らうだと?見たところアレは校舎だろうが地面だろうがお構いなしに食っているぞ。とても夢だけを…まさか!?」「気付いた?そう、ここは現実じゃない。橋本裕也の夢の中」
「そうか…。だとしたら、この悪夢から抜け出すにはどうすればいいのだ? そもそも、私は橋本の夢の中だけに存在して、彼が目覚めたらいなくなってしまうのか?」
「んー、シロウトが抜け出すのは無理ね。この夢、虫にがっちりと支配されてるし。…あと貴女は貴女よん。この夢の中に引きずり込まれたいってみれば精神体ってやつ?」
「所で虫の事だかそれほど危険なのかね」「はあ?こうしてる間も生きる力を吸い取ってるのよ」「だが今回の騒動で本当の意味で危害を加えられたものは?私には皆で大騒ぎしていると感じるがね」
「そ、そんなこと…」校長はソーニャの目をじっと見つめる。「アレが人間…いや精神体だったか。ともかく人を直接襲わず、物や地面ばかり食べている理由をキミは知っているんじゃないか?」
「校長、アレとは私の事かね?」校長の方を叩きつつ話すぬらりひょん
そして二週間後私が再びこのスレを見た時
後悔するのだろうか?」ぬらりは言う。「失礼。私はここで見守るから、そこの二人は会話を続けてくれたまえ。ひゃっはっはーー」
そのころ僕はというと、
相馬をぐるぐる巻きにしていた。他のみんなは僕の買ってきたコーヒーを飲みながら、美奈さんを救う方法を模索している。
「ご主人様ちょっといいですか」「何だ里香?」呼び方に周りが変な目で見たが気にしない「私気付いたんですが、虫さんの能力は夢を操るだけですよね、ならこんな町全体を覆う力はどこから、誰からもらっているんでしょう?」
「…いや虫の力だろ?だってここに引きずり込まれる前に虫の羽音みたいなのが聞こえたし」
勇二「まさに虫の知らせだな」
「ふ〜…いっそ羽化せたらどうだ?虫が西島を傷つけずに変態する可能性もあるアル」と横から見ていた半田が一言。
「もし美奈さんが完全に取り込まれたらどうするんだよ?!」思わず半田につかみかかる。
「やめろよ、焦りは何も生まないぞ」………そんなキャラだったか?野比!?
野比は謎の暗黒世界(?)に飲み込まれていった。どーやら完結に向けて、不要なキャラは削除される模様だ。
なんてな「あれ、野比どこいった?」その野比は突如校長の前に現われた「あれ校長、なんでさっきまで裕也君達といたはずなのに?」
「キミは…うちの生徒か?一体今のは。これはどういう事だ?」「…どーもここ(裕也の精神)かなり不安定になってるみたいね〜、まあこれだけ食べられたらね」そういってソーニャは虫が食べている空間に目を向ける。町はかなり虫食い状態だ。
「どうやら隔離するしか無いようだな」と肩をすくめる相馬。ヒントを出すポジションのキャラだとようやく気付いたか。
ソーニャ「なんだか、あの虫おいしそう…じゅるり」
(何ダコノ寒気、モウ少シ力ヲ貰ッタライツモ通リ記憶ヲ消シタラ逃ゲルカ)
「おい、早まるな!」 僕が制止のも聞かず、ソーニャは虫をバリバリと食べ始めた。
いや待てよ。あんな巨大な虫を人がバリバリ食えるはずがない。…これは幻覚だ!
735 :
イラストに騙された名無しさん:2006/03/08(水) 23:46:08 ID:lL4gTGqT
「ソーニャさ〜ん、いくらなんでも生のままで食べたらお腹壊しますよ!」そう言いながら里香は包丁と中華なべを手に持ち、虫を調理し始めた。
これは幻覚なんだ、これは幻覚なんだ、これは幻覚なんだ…。
そのとき勇二がボソッと呟いた。「虫が相手なら殺虫剤とか効くんじゃねーの、なんてな」
「美奈さんまで死んじゃうだろ、それ」「あ、でも先輩。兄ぃの案いいかも。虫が嫌いな臭いで追い払うっていうのはいいかもしれませんよ」野比が幻覚に捕らわれているとは露知らず、俺たちは未だに話し合っていた。
「・・い、おい裕也どうした裕也お前がしっかりしないと美奈さん助けられないだろ」「・・ああ(よかった幻覚だった、でもおかしいな何か俺の考え通りになりすぎな気が・・・・)」
「よし、じゃあとりあえず試してみるか勇二、なにか虫が嫌がりそうな臭いのものあるか?」「俺の靴下なんぞかなりゲキレツな香りだぞ、使うか?」
その頃の野比はと言うと
校長に進路相談をしていた「−−というわけで福祉関係に進みたいんですよ」「うーん君の成績ではちょっと、とりあえず海外ボランティアに参加してみるかい」
「いやでも僕ってほら、宇宙を開拓したり魔法の国に行ったり雲の王国に行ったことありますから、今更海外なんて笑っちゃいますよ先生」
「ふむ。それは稀有な経験だな。それほど経験豊富なら、ここで新しく創設する予定の【不思議現象科】の先生をしてみるのも良いかも知れんな」
「この騒動が終わったらな」校長の眼は幻覚に捉われたはずのソーニャをみている、ソーニャは幻覚に捉われた事で追求から逃れようとしてたのだ。
「まったく、都合の悪い事から目を逸らすのはお前の悪いクセだ。だが、だからこそお前はお前でいられたのだろうな…」野比に聞こえない程の小さな声で呟いた校長の瞳はどこか羨ましそうだった。
そう、この校長こそかつてこの世界を誕生せしめた七賢者がひとり、初代ぬらりひょんだったのである。
「ところで当代ぬらりひょん、おまえはこの虫食いだらけの世界を修復できるかね? そうしないと、一名の精神が破綻することになってしまうだろうな」
二代目ぬらりひょん「うむ、難しいがやってみよう。宇宙のエーテルを集束してバン・アレン帯と干渉させることで地球を40億年ほど若返らせてみよう」
「そこまでしたら精神が赤ん坊並になってしまう。修復だけでかまわん」校長はきっぱりと言った。
二代目「ならば私に出来ることはない」 そういい残して彼は去った。残されたのは、僕と君。ふたりぼっち。
最後まで役立たずだったぬらりひょん・・・。奴はこの物語の偉大なる雑音というにふさわしい。
「さーて私もそろそろソーマ所に行こう、所であんた誰?」僕は泣いた泣いて走ったそうするしかなかった、所詮僕は物語で言えば同級生Aだった。
ようやく---校長と同級生Aを惑わす事に成功した。二人にトリモチを食べさせながらソーニャはほくそ笑む。トリモチと縄のせいで『使い魔』をうまく使役出来なかったが、
755 :
混乱してますなww:2006/03/11(土) 14:11:15 ID:eWjxVtTR BE:332294584-
相馬「精神の世界には蟲も入っていない、つまり器だけを破壊し別の器に精神を移す・・・なんてのは机上の理想でしかないか・・・ドラ助じゃあるまいしな」
そこで、はたと目が覚めた。ふとんから半分身体がはみだして、足先が冷たくなっている。 「夢・・・?」
「変な夢見たな学校のみんなも出てたような」そう呟き野比は二度寝した。今度は普通の夢だった。虫の造りし夢は綻び始め、物語の主要人物以外はもはや介入できない。
いつもの教室・・・「!!?」なんと美奈さんがひょっこりあらわれた。
「ねえ体操服貸してくんない?持ってくるの忘れちゃってさぁ」「え、でも男子用だけど・・・」「いいよいいよ、それで」
ユージ「だが断る……っと」
あからさまにがっかりしている美奈さん。どうして男子用の体操服なんか借りたがるんだ?
(ひょっとして…フラグが立ったのかな…) 「やっぱ貸してあげるよ。でも、1つ条件があるんだ」
「あんた誰?正体を教えたら貸すよ」
アリーテ姫「それについてはアタシが説明するだわさ!」男子更衣室に禁断とも言うべき天使達が登場
俺はヒジョーにいやな予感がした(ひょっとして今スレでも完結不可能!?)
女子が更衣室に来てテンションが高まる中見張りとして外に出る野比。うだつのあがらない奴め
そこで、はたと目が覚めた。ふとんから半分身体がはみだして、足先が冷たくなっている。「また、夢・・・?」
そこは真っ白い部屋。いや、部屋なのか? 右を見ると地平線。左も同じ。どこにも壁が見えない。
ここは……!以前も来たことがある。蟲の作り出した異空間……!!ならば、どこかに美奈さんがいる筈。俺は辺りを見渡した。
だが誰もいない。そのときズボンの裾が何かに引っかかった。足元を見ると…8分の1スケールの美奈さんがいた!
「まるでウルトラQだわさ」外国人のわりにマニアックなアーリテ姫。
8分の1美奈さんは・・・泣いている。何か悲しい事でもあったんだろうか?
「美奈さん…。何か困ったことがあったら、俺でよければ相談に乗りますよ」俺は、8分の1美奈さんをそっとかかえる。
そしてお約束としてスカートの中を覗く
ふと気付くと、美奈さんは等身大に戻っており、俺の体勢はスカートの中に首をつっこんでいるという。人に見られたらいいわけできない状況になっている。
そこにお約束のように里香が登場。
どうすんの俺!どうすんのオレ!!?・・・つづく!!!なんていってるバヤイじゃない!!
「美奈さん?いやそれよりもそこの変態美奈さんから離れなさい!さもなくば」そうか、顔が隠れているから俺だとわからないのか。どうする名乗るべきか、名乗らないべきか。
「ま、待て、違うんだ!…ふっ、俺だ、相馬だ。これはスカートが持つマジュツテキな力場を調べていたんのさ!ふっ」とりあえずかっこつけた口調で相馬を騙ってみた。
「どうみてもユーヤだわさ」容赦なくバラす姫。いや、こんなことしている場合では無い。蟲との決着をここでつけるんだ。
「そうだ、こんな事をやってる場合じゃない、俺たちは---」「みんな…食べられちゃった」と、しくしくと泣きながら美奈さん。「---虫と決着を…え!?」
「ここは…ヒック…虫の、食事場…グスッ…胃袋の中…なの」
「ガッデム!なんだって!?一体いつの間に…」と、そこまで言って思い出す。確か俺たちは激烈に臭い靴下を手に(相馬は最後まで反対してたが)虫に突撃したんじゃなかったっけ。あれ?
「裕也くん…真っ先に食べられちゃうんだもん…ヒック…もうおしまいよぉ」
周りには異臭と仲間達の残骸「そんな馬鹿な!」「結局、助けてくれなかったねもういいから一緒に死にましょう」違う何が違うのかわからないがコレは違う「何ガ違ウノ、ウフフフ」
「裕也くん…しっかりして!気持ちをしっかり持たないと…消化されちゃうわ」
「もぺぺぺぺぺぺぺッー!!」
いや、待てよ。これは何か悪い夢に違いない。今までもこういうどうしようもない状態は、決まって夢だったし。「俺は騙されません」
気合の咆哮をあげ、俺は絶望を振り払う!暗転する視界…気付くとそこは先程と変わらない白い空間。目の前には心配そうな顔をした姫と里香…そして、美奈さんが居る。
ぐずぐずと溶け出す美奈さん。見ると何やら祈り?を奉げている里香の姿が。「ユーヤ!そいつは偽者だわさ!」姫がカラシニコフを構えて叫ぶ。くそ!本物の美奈さんはもう消化されちまったのか?!
「…待って!ちょっと消化されかかっただけで、偽物じゃないわ」ぐずぐずと元に戻り出す美奈さん。
眉を顰めながらもとりあえずカラシニコフを下げる姫。「本物だとしても、なんでミナまで、その…食べられてるわさ?」
「全部食べる前に…先に宿主を食べなきゃ羽化出来ない気がするって…気がついたらここに閉じこめられてたの…」
虫は、美奈さんまで食べる気だったのか!(靴下で神獣レベルの敵を倒すだと…正気か!?)ああ相馬。お前が…正しかった。俺たちは靴下を頼りに戦っちゃいけなかったんだ!
「あのぉ、虫が食べられるって事は…もしかしたら美奈さんの精神…虫から分離されたんじゃないですか?」祈りを奉げながら里香がポツリと呟く。
「ソノ通リダ、ココマデ来タラ宿主ヨリモ夢ノ主ガ必要ダ」声と共に皆が糸で拘束される、「どういうことだ虫」「私ノ能力ハ夢ノ操作、ココマデ大キナ空間ヲ展開シタ力ノ源ハ裕也オ前ダ!」
「俺が力の源…?いったい俺をどうするつもりなんだ」
言いながらも、なんとか糸を断ち切ろうと俺は足掻く。横を見ると俺と同じように美奈さんが足掻き、里香は静かに祈り続け、姫は…チラリとこちらを見ると、手の内に隠したナイフを俺に見せた。
姫「このナイフであの蟲をイナフにしてみせるわさ」・・・・・俺は聞えない振りをしたがバケツを持って立ってる野比が吹きやがった
どこからともなく、どんなに立派な大根でもまるごと洗えそうな立派な金だらいが、野比の頭上めがけて降ってきました。
ガゴン!見事な音に虫の眼が野比に向いた瞬間、姫が動いた。
命中すると頭上に1HIT!の表示が出てきました
野比がのびている間、姫が自分に巻きついている糸を切り、俺の元に向かってくる。「させないだわさ!」
言葉と共に姫はナイフを一閃する!パラリと俺を縛っていた糸がほどける。「…俺たちを甘く見るなよ!消化される前にお前を倒して美奈さんから追い出してやるから覚悟しろよ!」
2メートルをゆうに超えるまでに成長した巨大な蟲。裕也、姫、里香が対峙する。
姫「わが国で開発した根元的消滅銃をやるわさ。弾丸は一発しかないから気を付けるわさ」
今までよく見えなかった虫の姿が現われる。その姿は昆虫を擬人化したようなもので体のパーツにあらゆる虫の特徴が混ざっている。「根元消滅銃カズイブン都合ヨク出タナ」
「ソンナ銃、本当ニ有ッタカナ?」「な、何を言ってるわさ!」「構造原理ハ?製作者ハ?思イ出セルカナ?」「う…あっ…」姫の根元消滅銃が薄れていく…!?ど、どうなってるんだ!
相馬「この世界は描いた想像を具現化出来るだよ!」当たり前のように一同ナンダッテー
はっ!い、今一瞬居ないはずの相馬がいたような!?あまりの異常事態に顔を見合わせる俺たち。…里香だけは相変わらず静かに祈り続けているが。
里香「幻を薙ぎ払う守護の眠りを………ナントカ!カントカ!パトローナァ〜ム!!」
「・・・デ」里香からでた銀色の鹿ぽい何かを粉砕すると俺を一撃で吹き飛ばした「次ハドンナコントヲ見セテクレルンダ」
ちんちんおっきっき
「ウホッ…… ソ、ソレハ……」
「…で、出来た。相馬先輩のいうとおりだ!」何かを出した自分を信じられなさそうに見ながら里香は俺に言った「裕也先輩、イメージです!虫さんを何とかできるモノをイメージしてみてください!」
「ゲホッ、イメージ?」俺は体勢を立て直すと半信半擬ながら、虫が吹き飛ぶイメージをした「吹き飛べぇー」虫は本当に吹き飛んだか空中で静止した「ルール二気付イタカ、ダカドチラモイメージノ認識ガ甘イ!」
虫が糸を吐き出す!地面を切り裂きながら俺に向かってくるそれを避けようと、俺が体を動かした瞬間…!ズガァァァン!!「なるほど…こいつは凄いわさ!」姫が撃った地対空ミサイルが糸を迎撃した!
故郷で紛争の絶えることの無かったことが不幸中の幸いとなった。姫の思い描く兵器は確実に実体を伴って具現化された!
「巨神兵よ、薙ぎ払え」 クシャn…もといアリ姫は命じた。
「ソンナクズ鉄デ勝テルト思ッタカ?」その言葉と共に姫の巨神兵はバターのように斬り裂かれた、それを行ったのは虫の腕にあるカマキリの鎌、それは鉄する切断する虫の本来持つ刄だった。
「やっぱり、よくわからない兵器は脆いわさ…」後ずさりながら姫がいう。その隙に美奈さんが俺の所に来て「裕也くんこれを食べて!私が想像した飲むと強くなるスープ!」…凄まじい臭いがするスープ皿を俺に渡してくれた。
この鼻にツンとくるアンモニア臭は・・・まさか!
そういえば、汗からアンモニアが出ると聞いたことがある。これは、美奈さんの汗を出汁にしたスープなのか?!
「あ、あの美奈さん?…なんか変なものが入ってないデスカ?」あまりの臭いに口調まで変になる俺。「入ってないけど?これはね、体に良い食材だけで出来た私が理想として描いていたけどどうしても作れなかった究極のスープ。そう…名付けるなら『天国のコンソメスープ』よ!」
鋼鉄をも切り裂く鎌や糸を持つ虫に姫と里香が苦戦している。俺は意を決して、この天国に逝っちまいそうなスープ(アンモニア臭い)を飲んだ。
みるみる力がみなぎっていく・・・!たとえるなら若返ったピッコロ大魔王のようだ。
「URYYYYY!今なら虎より強い人間サイズの蟷螂とだって戦えるぜえ!!」意識が研ぎ澄まされ、力が溢れ出す。最高にブースト状態って奴だぁぁぁ!!
「さすがユーヤ!私にはとても飲めないような代物も平気で飲んでみせる!そこに痺れる憧れるぅ!」
そこに現れた男。「何をするだァァァァーーーー!!!!!」
奇声を上げ飛び込んだのは相馬だ「間に合ったか!いいか聞け、この夢の世界のルールは精神力の強い、つまり思い込みの強い単純バカ程強くなる。今の感じのままもっと馬鹿になれ!得意だろお前」
「マタ一人ワザワザ胃袋ニ飛ビ込ンデキタカ…」虫は蝶のように羽を広げて空中に舞う!くそ、考えたな、空に飛ばれたら一方的に攻撃される…!
(空を飛ぶには“あれ”だ。…思い出せ、思い出すんだ。子供の頃によく見ていたアニメに出てきた“あれ”を。空を自由に飛びたいな、っと)
ド○えもん「はい、覚醒剤〜!」 のび太「わあ、ありがとうドラ○もん〜」
これじゃ空飛べねーじゃん! 仕方がないので虫の口に覚醒剤を放り込んだ。今度こそ空を飛ぶアイテムをっと。
とかやっている内に背中から羽を出した里香がやってきて俺を掴んだ。「先輩、行きますよ!」
そういうと里香は天使のような翼を羽ばたかせ、俺を連れて上昇する---が!『ビュウっ』…虫が鋼線のような糸を吐き、俺たちの接近を許さない!
「クックックッ、何ヤラ糸ヲ警戒シテイルガ知ッテイルカ?蜘蛛ノ糸ハ獲物ヲ捕ラエル罠二ナル事ヲ」気付いたときは、俺たちの回りには無数の蜘蛛の巣があった。
「わざわざ教えてくれてありがとうだわさ。それなら、これで焼ききるだけだわさ」そう言って、姫は火炎放射器を取り出す。
そして固まる。…そりゃそーだ、流石に地上からじゃ距離がありすぎる。どーする気だ姫?
「安心するだわさ、このスペシャルな火炎放射器はユーヤまで届くだわさ」「ちょっとまて!蜘蛛の巣を焼くと俺達まで燃え・・」
「見るのでは無く感じるのだ!」……なんだ、ぬらりひょんか
「そうそう、ユーヤがこの炎に焼かれないと念じれば大丈夫だわさ」目を泳がせながら答える姫。これは、俺たちも巻き込むとは考えてなかったな。
「というわけで…ファイヤー!」「ま、待った姫!俺は炎に焼かれて無事なんてイメージぎゃああああ熱いやわあ!」姫が放った炎が俺たちのすぐそばの蜘蛛の巣を焼いた!
「僕が強くないとあいつが安心して帰れ無いんだ!」必死に炎に堪える野比に少し感動
「コノ外道ガ!人ヲ二回モ盾二スルワ宿主ノスカート二首突ッ込ムワ、貴様ハ宿主二比べドス黒スギル!」「・・・?里香それ位普通の事だよな?」
「ええそうよね、食前食後にスカートINなんて普通よ」
…なんて事をもちろん里香は言ってくれなかった。ジト目で俺を見る里香。(ヤバイ、このままじゃ俺のイメージがダウンしてしまう!何かいいわけを…!)
はい、ここでCM入ります。
「ていうかお前が悪くね?」勇二がつっこむ
否、悪いのは虫だ! 俺は虫に野比を投げつけた
ぺチ。黒焦げの野比は虫に当たって落ちていった。「く、くそ…よくも野比をやりやがったな!許さないぞ虫!」怒りを滲ませ虫に言う俺。…よし、とりあえずこれでいろいろと解決した筈だ。
「恥カシク無イノカ?」あれ?何か俺が悪者の流れに
野比!進化!!! 出 来 杉 降 臨 !
出来杉「よっ兄ちゃんいい娘入ってるよ〜どう〜遊んでいかない〜?」
待て、これは虫の幻覚だ! 落ち着くんだ俺!
856 :
イラストに騙された名無しさん:2006/03/18(土) 22:57:49 ID:KkC8VGVy
お・・・落ち・・駄目だ、逆らえない!男の性には・・・
虫の幻惑に抵抗していると、ふと美奈さんの泣いている顔が思い浮かんできた。そうだ。俺はこういう誘惑に屈してはいけないんだぁ!
858 :
イラストに騙された名無しさん:2006/03/18(土) 23:05:25 ID:KkC8VGVy
すると、涙目を俺に向けながら(頭の中で)美奈さんが言った
愛してる、そう、愛してるのよ……
「雄雄雄雄ぉぉぉ!!!」幻覚を破り、俺は燃える蜘蛛の巣を蹴り、虫に向かって踊りかかる!「美奈さん!俺もI LOVE YOU!」空中に印を切る!
「私ノ方ガ宿主、イヤ美奈I LOVE YOU!」 何こいつどうも発言がおかしいと思ったら、ライバルだったのか!?許せん駆除してやる!
印を切った裕也が呼び寄せたそれは…ダンボール箱というにはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。それはまさにダンボール塊だった。
中には蛇が一匹
864 :
イラストに騙された名無しさん:2006/03/19(日) 09:50:13 ID:6f9TFhRH
八岐大蛇と呼ばれた生物が今まさに虫に喰らいつこうとしていた。
美奈「やめてぇっ!」 ショック! 美奈さんは虫を庇って蛇に直撃
される!「み…美奈さぁぁぁぁぁんっ!!!」俺の渾身の八岐大蛇を喰らいボロクズの様に落ちていく美奈さん。「美奈、ナンデ…」
八岐大蛇「大佐、本当にこれで良かったのか?」何勝手に体内通信してやがるんだ、この蛇は?
八岐大蛇に跨り地上に降りる俺と里香。…虫も俺に続く。駆けつける俺たちを見て、美奈さんの横にいた相馬が静かに首を振る。「…只でさえ消化されかかって弱っていた所にあれだ、もう…持たんかも知れん」
「マダダ、美奈オ前ハ怪我ナドシテイナイ助カル」そう言い手首を傷つけて出した血を美奈さんに飲ませると、美奈さんはみるみる内に血色がよくなり怪我前より健康になった。
が、血色はすぐに悪くなりだす。「…駄目か。消えかけの炎に油を注いでも、火種そのものが尽きかけていては…」
「美奈、ナンデ…私ハコノ運命ヲ受ケ入レタンダゾ…」心なしか悲しそうな声で虫が言う「ふふ、だから私も貴女なんて死んじゃえって…思ってたのにね。でも、実際にそうなるって思ったら…つい、体が動いちゃったのよ」
八岐大蛇「長文はごめんだ」
待て、虫と美奈さんは百合なんだな!? ならば俺は応援しなくては…
マリア像の陰に隠れる俺。そこに虫と、ロザリオを手にした美奈さんがやってきた。
虫は体に鎧のように纏っていた昆虫の外皮のようなものを外して美奈さんに駆け寄り治療自らの血を分け与え続けてる。ちなみに可愛いというより美人系の顔で結構際どい格好だ。
虫はお姉さま系女王様キャラだったのか! 美奈さんだけでなく、虫様も救われる道はないものか…。
「いろいろ…あったよね」「…アア」 「結構…楽しい事もあったよね?」「…アア!」 「だから…お願い。私を食べたら、それで満足して。裕也くんたちは…食べないで」「…」
八岐大蛇「オタコンなら何か分かるかも知れない」………野比の事か?そうか、今は出来杉か!
裕也「…この世界では、想いが力になるはずだ! 俺達の美奈さんへの愛を合わせるんだ、虫ィッ!!」
「断ル!美奈ヲ助ケルニハ死者ヲ蘇生スル程ノ生命力ガ必要ダ」「お前は最初から死ぬ気か?」「コノ学校ハ異常ダ、力ノ持チ主ガ山ノヨウニイル、ダカラ私ヲ狙ウ組織ガ知ル前二異常ノ原因ハ私一人二スル」
「貴女…まさか。駄目よ、そんなの!」美奈さんが叫ぶ。そして虫は哀しそうな顔で言った。「自分ノ意思ジャアモウ食ベル事ヲ止メラレナイ…私ハ美奈ヲ食ベタク無イ…ダカラコレデ良インダ」
「勝ち逃げなんて、許さないからな… 恋敵」このままでは美奈さんは永久に虫を―――
血を…命を直接、美奈さんに分け与えていた虫の輪郭が徐々に薄れ始める。
「サテ、決着ヲツケヨウ。私モ死ニタイ訳デハ無イノデ美奈ノ騎士二相応シクナケレバオ前ノ命ヲ貰ウ」だが言葉とは逆に殺気は微塵も感じられない。まったく反吐が出る偽悪者だ。
勇二「橋本ぉ!あんたって人はぁーーー!!」……あれ、俺なの??
「あんたって人は・・・ほんまに・・・ええ男やぁ〜〜〜!」
まさか虫姉までもがヒロインに…
「そこまで言うのなら…。よし。受けて立とう」そう言いながら、俺は心の中では別のことを考えていた。そう、俺の思いで虫も救えないか…ということだ。
ぬらりひょん「俺がいるだろ?」
勇二がぬらりひょんを箱に詰め動物園に郵送する準備をしている。それを横目に俺は虫と対峙する。こいつが決着を望んでいるんだ…受けないわけには、いかない。
これが世に言う煩悩寺の変である
「わかった… 殺し愛をしよう、恋敵!」
「アリガトウ…裕也」そう言って虫は先程とは比べ物にならない程、小さな小さな鎌を向ける。俺は---『1、ナイフを出す 2、ダンボールを出す 3、愛の心』
ゲスッ、ドカッ、ボコッ目も眩む様な三連撃。思わず意識が飛びそうになる、だが気絶するわけにはいかない、気絶してしまえば次に目を覚ました時には全てが終わった後になる。
八岐大蛇「技で出された俺の身になれよ」
七岐大蛇「ところで俺の出番はまだか?」
六岐大蛇「ワシの出番は?」
知ったこっちゃない、今はただ、目の前の彼女と…
闘うだけだ、彼女の拳には全ての想いが乗せられている。それを受け決着をつける。そうしなければ、これからの事を話せない。虫は俺を殺すのではなく気絶させようとしている俺の勝機はそこに有る。
彼女のコークスクリューを紙一重でかわし、俺はカウンターパンチを繰り出す。
彼女の頭に俺のこぶしが届くその刹那、彼女のアッパーカットが決まる。そうだ、彼女は手足が合わせて6本もあるんだった。忘れていた。
やばい今のは、くそっ意識が「サヨウナラ裕也、美奈ト仲良ク個人的ニハシテ欲シク無イガ仲良クナ、次二目覚メタラコレハ夢、何デモ無イ夢二ナル」駄目だ!こんな結末は認めない動けよ体!
相馬「悪いな、俺はスパッツ過激派。お前と俺は敵同士だ」強烈なムーンサルトが倒れた俺のミゾオチに一閃。
「ぐはぁ!」…ど、どさくさに紛れて、何て事をするだぁーーー相馬っ!!
「くそ…!まだ学園祭編も兄貴全員集合編もやらずして負けるわけには……いかない!!」様々な思いが裕也に力を与えた!
全身が金色のオーラに包まれる裕也。髪も金髪になっている。これは…まさか…
やれやれ、まったく手間のかかる男だ。しかし俺も間抜けだな、危険な能力を持つ者が喜んで能力を使う戸は限らんか・・裕也お前はこの騒動をどんな結末にするんだ?
裕也「そんな疑問は脚本家に聞いてくれ。ってか俺も知りたい」
愛だ! 愛の力で彼女(虫姉)を助けるんだ! 俺は… 彼女を! 虫姉を助けたいんだ!!
「これで、全ての悪夢を終わらせる!」そして俺の全てをかけた一撃を虫姉に放つ。「当れぇ!」
「美奈ヲ…頼ム…」---その言葉を聞いた瞬間、俺は拳を止める。そして言ってやった。「や〜めた」そして虫に背を向けて皆に話しかける。「皆…ちょっと力を貸してくれないか?」
「1000円でいいか?」 相馬よ…物分りが良すぎるぞ
「何する気だわさ、ユーヤ?」千円札を相馬に投げつけながら俺は姫に答えた。「虫を…助ける。こいつは美奈さんを食べないように自殺しようとしている。だから俺は…こいつの胃袋を断って死ななくてもいいようにしてやりたい」
「どーゆー事だ?」と、勇二。「虫の人が自力で食べる事を止められないから、先輩が虫の人の胃…つまりこの空間に消化できないほどのダメージを与えて強制的に食べれないようにしよう…って事、かな?」自信無さそうに晶が答える。
「そうだ、この夢の源は俺だからな… やってみせるさ!」 美奈さんと… なにより、虫姉のためにも
相馬「はっはははは裕也お前は馬鹿だな、だがそんな馬鹿になってみるか。みんな大事な者や事を思え!それがこの世界での力になる、人を大事に思う虫に人を食う必要が無いくらい御馳走してやろう」
「俺に良いかんがっ…………って………orz」登場のタイミングを間違えたぬらりひょん
918 :
主人公は裕也のままだろ:2006/03/23(木) 19:44:34 ID:XycysOIL
ぬらりひょんなんかどうでもいい、今は全力でこの虫姉の胃を… 破壊する!
コトコトとカレーを煮込む俺。エプロン姿が妙に似合う。
この騒動が終わったらみんなで食事をしよう美奈さんと里香と虫姉とそんな未来を思い描くと俺から凄まじい光、生命力が辺りを照らす「これが相馬の言ったことか、みんな俺に力を貸してくれー!!」
(感じるぞ…みんなの心を!ここには居ない皆の心も…命を!)溢れんばかりの命の光を俺は八岐大蛇に向けて放つ!…ガッ!大蛇の体が光ったかと思うと尾から一振りの剣が飛び出した!
文化包丁だ!
飛び出した文化包丁(?)を俺は掴む!ドクン…。握った瞬間俺は包丁から熱い意思の様なものを感じた。この包丁なら…いける!だけど、あと少し…足りない!「せ、先輩…おかしいんです…体が…熱い!」そんな俺の後ろで里香が光の翼を広げて呻いた。
熱いはずだ。「里香・・・なんで土鍋の中に入ってるんだ・・・?」
「え、これ鍋だったのですか? お風呂用の入れ物じゃなかったのですか…」よくぬくもったせいか、里香は頬をほんのり桜色に染めている。
「これはいい出汁が取れそうだぜ…」対抗しようとするアーリテ姫を押しとどめつつ呟く裕也。
ははは、あまりにも場にそぐわない里香の行動に俺は脱力する。その時裕也の体から余分な力が抜け極めて自然に包丁を振るう、そして包丁から凄まじい光が放たれる。
包丁かから出た波動は一文字に空を断つ!数瞬後、セカイが凄まじい音をたてて揺れ出した!
轟音とともにセカイが土鍋に吸い込まれていく。「これは・・・どんな料理ができるんだ!?」
煮込む事20分…美奈さんがいい感じに消滅しかけた頃ようやく料理が完成した!「よし、いくぞ!愛と勇気と里香の出汁がきいた究極の鍋を喰らえぇぇぇ!!」
「フフフ、馬鹿馬鹿シイガ最高ダ。アア暖カイナ、満タサレテイク」そして空間が変化する。満開の桜が咲く、どこまでも広く美しい世界へ。美奈さんが虫姉の所へ向う「綺麗、これが貴女の心の中なのね」
「まぁ、胃の中なんだがな」 相馬め… 余計なことを
「でも、綺麗ですよ!相馬先輩」桜を見ながら晶がはしゃぐ「まあ…確かに、な」晶を見ながら相馬も呟く。…そして虫姉が言った。「アリガトウ、裕也。消化活動ハ止マッタヨウダ…。ソシテ、美奈。オ別レダ」
「何で!?」虫姉さんはどこまでも優しい笑顔で「美奈、私ヲ狙ウ組織ハ多イ私ノ傍ハ危険ダ。ソレト美奈コノ風景ガ綺麗ナノハ美奈ト出会エタカラダ」
「はふっはふっ…あちちっ…」 虫の独り言はほっといて俺は鍋をがっついていた。意外とうめぇぞこれ。
空気を読めない俺を吹き飛ばしながら、美奈さんは虫に駆け寄る
勇二が俺に石を投げる!し、シリアスな空気に耐えられなかったんだよ、あ、くそ相馬まで! 「どうしても、行ちゃうの?せっかく友達になれたのに…」そんな俺たちを余所に美奈さんは虫にいう「コンナ私ヲ…友ト呼ンデクレルノカ…?」
「私ノ周リニハ敵カ、利用スル者ダケダッタ。名前モ虫、番号トシカ呼バレナイ」「だから何!私は貴女と一緒にいたい!名前が無いなら私がつけるわ」
「本当カ?」「そうね…、セクト…なんてどうかしら?」「せくと、カ。いい名ダ。アリガトウ、美奈」顔をほころばせながら、虫姉―セクト姉は喜ぶ。
「美奈、アリガトウ。何時ニナルカは判ラナイケド、マタ…会オウ」桜吹雪が辺りを覆い前がまったく見えなくなる。「夢の拘束が解けたか…夢の終わりだ」そんな相馬の呟きが聞こえたような気がした。
だがそれは幻聴だと後になって知った。なぜならそのときもう、相馬はこの世に居なかったからだ。
次は勇次、だんだんとこの世界からみんなが消えて目覚めていく。
はっ、と気付くと…そこは家の居間だった。目の前にはすっかり冷めた鍋だけがある。---ぜんぶ夢、だったのだろうか?
とりあえず・・・朝メシ食って学校へ向かう。みんなはどうしてるのか少し不安になるが・・・。
玄関から外に出ようとした瞬間、半透明な女の子が飛び込んできた。里香!?…やっぱりあれは夢なんかじゃない!「先輩!外、空を見てください!あれって…!」興奮気味に里香が俺を引っ張る!
桜、町全体の桜が満開になり花びらが空をまっている。開花時期には少し早いがそれも忘れるほどの美しさだった「綺麗ですね、どこかでこの風景見たような?」あの風景だ、ん?あの風景?
記憶が薄れていく中で、声が聞こえた 「マタ、会オウ… 恋敵ヨ」
忘れない……忘れたとしても、また桜の花びら舞い散れば君の声と記憶は舞い戻るから……
そうだ。すべてが終わったのだ。再び何事も無い日常生活が始まる。俺は満開の桜を見上げて呟いた。「……元気でな。セクト……!」
「・・・虫は暴走、街一つ程の世界を構築、入手は不可能と判断し処分。・・ええ異常は見受けられません」「ソーニャ嘘の報告などしてよいのか?」「ソーマね馬鹿な連中を見て私も馬鹿になったみたいね」
「そうか。そうだな…まさか現地の高校生に負けて拘束されているうちに事件が終わりましたとは…お前も報告できんだろうしな」「な、何の事かな〜?私はただ愛に目覚めただけよぉ?」からかい半分の相馬の言葉にソーニャが目を泳がす。
「愛か… 裕也となんてお兄ちゃんは認めんぞ」 久しぶりだから忘れていたが、こいつはからかうと可愛い
そしてエピローグへ byぬらりひょん
里香も姫もいつも通りだ。穏やかな日々。・・・だが美奈さんは学校を欠席・・・。
こそしていないものはかなげで今にも消え入りそうだ「なあなあ今日の美奈さんよくない、影があるていうか憂いを秘めた横顔たまんねえー」勇次、空気よめよ。
ガラリ。先生が入ってきた。「みんな喜べー、転校生だぞ。しかも美人さんだ」 げ…嫌な予感がする…
「相馬麗です! よろしくね!」 ソーニャさんだ
あれソーニャってもう転入してたような?いかんここ数日の記憶が曖昧だ「さらにビッグニュース今日から副担任も就任だ、しかも美人女教師だ!外国の方だからちょっと日本語ぎこちない点がチャームポイント」
こうして夢食い事件は終った。…だが満開の桜を残して消えたセクトがどうなったのか、生死すらも判らないという現状が美奈さんから笑顔を奪っていた。---そして放課後、俺は一大決心をして今、美奈さんの前に居る。
「美奈さん!あと40レスで一体どうまとめる気ですかっ!」
「言いたいのはそのことだったの?」どこかがっかりした表情の美奈さん。「いや、いざ美奈さんに言うとなると物怖じしちゃって」
「やっぱりあなたでは無理だったのね…。次の主人公を探さないといけないわ」 どこか寂しそうな表情の彼女。何のことを言っているんだ?
そう言ったオカルト同好会の老婆(17)を追い払って俺は言った。「美奈さん…笑ってください。俺は…笑っている美奈さんが好きだ!」「え…ええ!?ゆ、裕也くん…そ、それって」美奈さんの顔が赤くなる。…俺は既に真っ赤だが。
「お、お、俺と付き合ってください!」「はい…うれしい!」その瞬間、俺の胸に湧き上がる幸福感。美奈さんもニコニコしている。
うん、よかった。告白が受け入れられた事はもちろん嬉しいが、なによりも美奈さんの笑顔が嬉しい。「よかった…きっとアイツも美奈さんが笑っている方が嬉しいと思うんだ」「…ゴメンね、裕也くん。心配かけちゃって」
(ふん、それで綺麗に終わったと思っているの?) 校舎の隅っこから覗いているオカルト同好会の少女(17)。そう、彼女こそ美人の転校生さんだ。
新たな転校生、嵐の予感はあったが…とりあえず俺たちは日常を取り戻したのだ。大丈夫、俺はきっとこの笑顔を守ってみせる。-----美奈さんの部屋の枕元に一通の手紙が置かれていた事を知ったのはこのちょっと後の話。
手紙はセクトからだった[イッテキマス。セクト]
---ビュウ!風が桜の花びらを吹き上げる。桜吹雪と共にセクトが一緒に舞い踊っていたような気がして、俺たちはをそれをいつまでもいつまでも見続けていた・・・。 『完』
・・・では各キャラの後日談を。アーリテ姫は母国に帰ったと思いきや、ひょっこり教室に顔を出したりしている。
ソーニャと相馬は数日学校を休んだ、その後外国の大きな犯罪組織が二人組に壊滅させられたと聞くが関係ないよね?
どうやら野比の席は廊下になったようだ。まったくうだつのあがらない奴め
いつのまにか美奈さんはこの学校からいなくなった。代わりに転校生の女の子が学園のアイドル扱いされている。
いや待て確か原因が・・あっ里香との同棲がばれた直後だ。まだ三日なのかもう三日なのか
975 :
イラストに騙された名無しさん:2006/03/26(日) 22:09:37 ID:GVP5vtpu
ちなみに里香はコスプレに目覚め、毎日いろんな衣装で俺を楽しませてくれるようになった。
勇二は麗に夢中で毎日アタックしているが今のところ実る気配は無い。
ということで以下あとがき。
まず思ったんだが、話のジャンルぐらいは決めておいた方が良かったんじゃないか?
…いや無茶苦茶でおもしろかったけどさw
>>977 それは板の主旨にそぐわないでしょう
前スレの頭はゆうやがセンター試験に出かける所だったしw
俺は野比を作って少し後悔した
シチュエーションだけ決めて後は各自が発展でいいんじゃない。
今回のスレを超要約すると学校で大騒動が起きた、だし
毎朝廊下へ立たせる野比は悪くなかったが
話に加わってくると扱いが大変だったw
んじゃシチュだけ決めるってことで?
どのへんまで決める?主人公の性別、名前、舞台くらい?
そんなもんでしょう。
キャラが多すぎると混乱するがこればかりは仕方ないか?
ぬらりひょん・性別(謎)
こうですか?わかりません><
ぬらりひょんあたりは次スレでも出てきそうだな
ぬらりひょんは主人公にしちゃ駄目でしょw
神出鬼没の謎キャラとして確立してしまったようだなw
キャラの流用は収集つかないから程々に。
まず舞台から決めない大別すれば現代世界か異世界もしくはどちらかが召喚されるかってとこかな。
986 :
イラストに騙された名無しさん:2006/03/27(月) 20:50:12 ID:Ja8YC499
舞台は現代にしておいてほうがイメージもわきやすいし
話をつなげやすいと思うな。
というか超おおまかでいいからプロットが欲しいなって思った。
どういう風に持っていく気なのかがまったく分からないと話を繋げにくい。
特に今回のような連続物だと。
>>990 次スレよろ。
私はどう持って行くかわからないから、逆に楽しい気がするのですが。
でも、ある程度設定は決めたほうがいいと思います。
希望としてはやりやすさで現代世界希望です。
ラ板住人のラ板住人によるラ板住人のための一行リレーラです。
<ルール>
・一レス一行にまとめること
・前の人のレスを受けて展開させること
<禁止事項>
連投/夢オチ/シモネタ/即死/ライトノベルをラノベと省略すること/流れを読まない粘着
次巻は
>>980が出版することとします。この辺例外もあります。
設定を決めるってのはつまらん
如何に繋げるかが楽しいしそれがルールじゃない?
ムキャアァァァ!
出張で暫く見ない内に、完結してるっ!
くっそう…次スレこそはギャルゲ風味ストーリーにしてやるぅ!
…と心に誓う、偽ぬらりひょんマスターでした。
…あ〜…姫とも晶ともお別れか〜。結構愛着あったからなぁ。
てなわけで。
あんまり設定だなんだで縛るのもつまらない。
自由にやろう。
…さて、次はどんな萌えキャラ作るかな…
十分今回もギャルゲ風味のような。
晶、姫、美奈、ソーニャ、セクト、里香等
ヒロインだらけで次はもう少し男性キャラ増やさない。
後プロットつくるとあまりはちゃけられず短く終わると思う
次スレいまのところ20前後だが現時点でどえらい展開だなw
埋
埋
一行リレーラ創刊に際して
リレーラは、我が板にとどまらず、世界のラの流れ
のなかで“小さな巨人”としての地位を築いてきた。
古今東西の名ラを、小粋で分かりやすい形でリスペクト
してきたからこそ、人はリレーラを自分の師として、ま
た青春の想い出として、語りついできたのである。
しかし、<Changing 2ch, Changing LightNovel>
時代は変わって、スレも変わる。レスを重ねるなかで、
精神の糧として、ラ心の一隅を占めるものとして、次
なる文化の担い手の住人たちに確かな評価を得られ
ると信じて、ここに「一行リレーラ」を出版する。
2004年8月13日
1001 :
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━━━━━━━━━━ 奥 付 ━━━━━━━━━━
発行: ライトノベル板
発売: 2ちゃんねる
定価: priceless
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