古橋秀之 14歳中二

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533イラストに騙された名無しさん
「うっふう」
「うっふう」
 地相の悪い朝の挨拶が、淀みきった配光空間にこだまする。
 最上層のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、魔人妖魔の類を
 触っただけで成仏させる。原罪をしらない心身を包むのは未来チックな全身タイツ。
 ジャージの腹は出しすぎないように、加算ベクトルは掌からはみ出さないように、
 全力の自転車より早く走るのがここでのたしなみ。
 もちろん、遅刻ギリギリ丁度ピッタシで走り込むなどといった、サイボーグ女教師は
 ひょっとしたら海に千年、山に千年生きた大妖怪なのかもしれない。
 私立フルハシ羅漢院。
 紀元前三十四年創立のこの学園は、もとはカロニア人のボスコーン幹部のために
 作られたという、伝統あるエッドア系完全防備の秘密基地だが不完全で不徹底である。
 魔孔直下。煉獄の面影を未だに残している付喪神の多いこの地区で、キーパーに見守られ、
 ドリル怪獣幼児から不死身の金属人間までの一貫教育が受けられる武侠の園。
 時代は移り変わり、元号が神武から百代ばかり改まった平成の今日でさえ
 百八回祈り続ければ次元槽育ちの純粋培養お嬢さま(は魔女だったのです)が
 悪魔憑きで出荷される、という仕組みが未だに残っている貴重な降魔局である。