つまらない小説を無理矢理褒めちぎるスレッド

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33イラストに騙された名無しさん
『陰陽師は式神を使わない  陰陽道馬神流初伝・入門篇』 藤原京 集英社SD文庫 (昨日発売

陰陽師――先年のブームで消費しつくされ、いささか通俗に堕した感もあるが、
フィクションの世界ではすでに1ジャンルを形成した題材だ。
藤原はあえて今、この題材に挑んだ。
それは流行への乗り遅れなどでは断じてなく、機の熟成を待ったがゆえの必然であった。
作中で開陳される陰陽道の知識の数々は、著者が10年を費やして練り上げただけあって、
圧巻の一言である。
フィクションの虚飾を廃し、エンターテイメントの幻想を切り捨てた
その内側に見えてきたのは、陰陽道という名の理念だった。
本作のストーリーを要約するのは難しくない。
陰陽師の末裔である主人公が、陰陽道に興味をもったヒロインにレクチャーする。
……これだけである。
ライトノベルというパッケージングから想起される超常的な事件どころか、
小説としての起伏さえも完全に廃してみせた潔さは他に類を見ない。
本作のキモはストーリーやキャラクターなどといった表層にではなく、
作中で語られる薀蓄にこそあるのだ。
いや、薀蓄という言葉は相応しくない。
作中の言を借りるなら、陰陽道とは哲学なのである。
陰陽道という哲学を、主人公とヒロインの対話という形で鮮やかに描き出した本作は、
21世紀の東洋で編まれた、『ソクラテス対話編』の正統なる後継に他ならない。
想像して欲しい。
殺人事件などおきず、古書店主の妖怪談義だけで一冊終わってしまう京極堂シリーズを。
聖杯戦争など始まらず、遠坂の魔術講座に終始するFate/stay nightを。
心震えはしないだろうか――?
本作、『陰陽師は式神を使わない〜』は、その願いを完璧に体現した一冊だ。

SDスレの反応
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1135515254/292-