216 :
イラストに騙された名無しさん:
月夜に響く、ハーモニカの音色。
悲しく、沈痛なメロディ。
「…………」
217 :
イラストに騙された名無しさん:04/09/22 22:22:57 ID:hJr803+6
音の主であるヨシュア・ブライトは 学園の旧校舎で一人、闇を観客に
演奏をしていた。
短い黒髪に、碧色の瞳、細く整った顔立ち。
218 :
イラストに騙された名無しさん:04/09/22 22:23:27 ID:hJr803+6
曲目は星の在り処。
帝国で数年ほど前に大衆の間で好んで演奏されていたもので、現在でも
地方の都市や町で聞くことが出来る。
219 :
イラストに騙された名無しさん:04/09/22 22:23:56 ID:hJr803+6
貴族の青年と幸薄の少女の悲哀を描いた曲。
しかし、この国で知っているものは少ないだろう。
演奏も終わり、ヨシュアはハーモニカをズボンのポケットに閉まった。
220 :
イラストに騙された名無しさん:04/09/22 22:24:26 ID:hJr803+6
「エステルかい?」
後ろを振り返らずにその相手に聞く。
「……クローゼです」
221 :
イラストに騙された名無しさん:04/09/22 22:24:59 ID:hJr803+6
予想すらしていなかった。
「こんな時間にクローゼ、どうしたの?」
とヨシュアは聞いた。
222 :
イラストに騙された名無しさん:04/09/22 22:25:36 ID:hJr803+6
エリート達が自ずと集まる 学園では校則も、寮の規則も厳しいはず。
「ふふっ、それを言うならヨシュアさんだって……寮から抜け出してハー
モニカを吹いているじゃないですか」
223 :
イラストに騙された名無しさん:04/09/22 22:26:07 ID:hJr803+6
クローゼは口に人差し指を当て、控えめな笑みを浮かべた。
いつもの学園服ではなく、私服なのか、白の飾り気の無いワンピースを着ている。
「そうだね」