もしもライトノベル作家が一つのクラスにいたら3

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348帰ってきた男1
男は一時期その生存を疑われた。
富士見班の間には戦闘民族河内人として生まれたこの男のためのみに新たな賞
が設立されたと伝えられている。
横文字を使わないSF作家と呼ばれ、定期的にレポートさえだしていれば富士
見班の看板と呼ばれてもおかしくない男。
たった一本の短編レポート集でラノベ校でも権威あるテストでトップ成績を獲得し、
長い沈黙を破り季節ごとにではあるが定期レポートも提出し始めた。
その男がライトノベル校に帰ってきた。
おとこはぷかぁと煙管をふかす。
己の持つ宝貝の力で往事の体力と執筆力を取り戻した男の前に一人のワナビが
襲いかかってくる。
「キシャアアアアアアア!」
もはやワナビはそれが無害であった一般生徒であったとは信じられないほど変容し
ている。
「ほぅ、『領域』の浸食か。『支える者のいない』一般生徒ではひとたまりもないのぅ」
男はワナビの強烈な一撃を一流の武術家の動きでかわすと、直立した人差し指と中指で
ワナビの首筋を数回突いた。
それだけでがくり、とワナビが糸の切れた人形のように崩れ落ちる。