小野不由美&十二国記 其の34

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少女はそれをいぶかしく見やり、ふと気配を感じて振り返った。
1つの建物から高里要が出てきたのだ。それに手を振る少女…杉本優香だ。
要は、なぜ僕に会いにくるのかと問う。
そう、杉本が要に会いに来たのは今日が初めてではなかったのだ。
あなたと同じ神隠しに…と答えようとする杉本を遮る要。
そんな要の様子を見ると、あっさり背を向けて帰りだした杉本の背後に
要はもう来ないほうがいいと声をかける。
杉本が、そのセリフを軽く聞き流して歩き始めた時だった。
背後で異様な気配がした。杉本はすぐさま振り返ったが、要の姿はかき消す
ようにいなくなっていた。
隠れる場所の無い道路の中央で呆然と立ちすくむ杉本…