深沢美潮『フォーチュンクエスト』 Part5

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もしもFQに対人戦があったら…
ノルの振り下ろした斧が重戦士の兜を頭蓋骨ごと叩き割り、
クレイの剣が敵の盗賊の首を跳ね飛ばした、ようやく長い戦闘に決着がついた。
血と脳漿をドロリと垂れ流し、ゆっくりと倒れ伏す重戦士の足元に、
ルーミイの放った火炎で黒焦げにされた女戦士が痙攣している。
それを治癒すべき僧侶は、トラップの投擲ナイフを肩に受けたただけだったが、
キットンの調合した猛毒が塗られたそれは、もはや紫に変じた顔色を
見るまでも無く、弱々しくもがく僧侶の命を奪いつつあった。
魔法による援護をまかされていたはずの魔術師の右目を、
恐るべきボウガンの一撃で貫いたパステルは、絶叫を上げた彼がのた打ち回り、
動かなくなるまで呆然と見守っていた。
やがて返り血にまみれたクレイは、未だ佇むパステルの胸元で繰り返す、
小さな音と光の明滅に気づいた。
「あ…」
その場の全員がゆっくりとパステルに空ろな目を向け、のろのろと歌い出す。
「♪レ…レベルアップ…♪おめでとう…♪レ…レベル…」
「えーっ!?ルーミィがレベル6??」
信じられる?あんなに小さいルーミィがだよ?
私よりレベルが高いなんて…。ノルももうレベル8だし。
このままじゃ皆に捨てられちゃうよー。えーんえーん。
「大丈夫ですよ、パステル」
キットンが私の肩を叩いた。あ、レベルが上がってる!どうしてだろ?
「ほら、ポケットミニ図鑑を見てください。エルフや巨人族も載ってるでしょう?」
そう言ってグフグフ笑うキットン。あれえ?なんでクワが血まみれなんだろう。
あ、そっか!
いい方法思いついちゃった!えへへ。
私は急いででウォーマンモス・クロスボウを組み立て始めた。うんしょうんしょ。
立ち直りが早いのが私のとりえだもんね。
「ルーミィ、ちょっとこっちいらっしゃい〜」