上遠野浩平総合スレッド 緒方のディシプリンSIDE13

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・・・・・それはいつとも知れぬ時の、とある高校の、夕暮れの屋上での会話である。
一人は少年、そして一人は黒マントの奇妙な服装をした人影である。

「しかしおまえの音楽の趣味ってのは何なんだ?」
「なんなんだとは、なんだかずいぶんな言い方のようにも聞こえるがね」
「だっておまえってあんまし“外”に出ないわけだろう。まあこんな言い方が適切かどうか分からないけど。
いったいどこで音楽を聴く機会があるんだよ」
「竹田君、どうやら君には注意力に欠けているところがあるようだね? 宮下藤花と話をしている時にも
“あーっ! 先輩ヒトの話全然聞いてない!”とか言われているだろう」
「・・・・・・だからその顔でそういうことを言うなって言ってるんだよ。悪かったよ。
でもいつもすぐに謝ってるぜ。だけどそれと音楽がどういう関係にあるんだよ」
「世界には音楽があふれているということさ。別に探し回らなくとも、心地よい音というものは
今のこの辺りの街ならどこにでもさりげなく流れているだろう」
「ああ、BGMか。まあそう言われてみればそうだけど、でもそんなもんいちいち聞いていないぜみんな」
「“みんな”ではない。聞いている者がここにこうやっている」
「するとおまえの、あのニュルンベルクなんたらというのもそうなのか。どこで聞いたんだ?
でも口笛はどこで練習したんだ?」
「まあ、その辺は内緒だよ」
「・・・・・・どういう意味だ? まあいいか。でも音楽の効果とかおまえよく言うけど、
それは人の心を安らげるとかそういうことか?」