▲▽▲新人賞スレッド@厨房専用 Ver.20▲▽▲

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「少女なのです! 地球を救うのは少女なのですよ!」
滝本は叫んだ。
拳を振りあげ、唾液をまきちらし、キャスターの冷たい視線も、精神科医の同情の
表情もかえりみずに、滝本は叫んだ。
「少女の無垢なる力! 純粋な萌えいずるエネルギー! それは生命の息吹き!
いまの世界が必要としているのは、そんな美少女の存在なのです!」
分かっていたはずだ。周囲の人間はみんな呆れている。
何言い出すんだ、黙れこのハゲ、PTAを敵に回すのかよ、苦情電話処理するのは
こっちなんだよ、ふざけるなこの引きこもり野郎、死ねロリコン。
音にならないそんな声が聴こえて来た。
分かっていたはずなのだ。
それでも滝本は叫ばずにはいられなかった。
そう、それは生命への讃歌であり、若さへの憧景である。少女がいれば、この世は
救われるのだ。

その夜、NHKの窓口の電話は千四百七十六回ベルを鳴らした。
だがその中の一本が、リカ−−後に地球を救うことになるであろう少女−−からの
ものであったことは、何の記録にも残らなかった。