ライトノベル〜僕・私のやって欲しくない事BEST3〜

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280sage
ケーキのおすそ分けに来た鐘君。一緒に萌絵ちゃんへプレゼントを渡しています。。
プレゼントは両手に抱えた花束。

「あたしにくれるの」
「うん」
僕からのクリスマスプレゼント。鐘は、そう言おうとした。
「お約束の花束」
「お約束?」
不思議そうな顔をする萌絵。
言った鐘自身、「ベタ?」と思った。
「お約束だよ、僕たち」
萌絵は少し考えた後、
「そうだね」
花束をぎゅっと抱えて、頷いた。
「いっぱい、お約束あるよね」
「うん、いっぱいお約束だね」
それは、どんなお約束なのかは、わからない。
ただ、萌絵といつかやるはずのお約束の、その一つ一つが、追いつめられての能力発動よりも、
「とどめ」と叫んだ敵への逆転の一撃よりもベタであること――それだけはわかる。
「いこう」
「うん」
鐘と萌絵、互いにしっかりと手を握り合い、歩き出した。