「そんでね、そんでねアキ君」
「あぁ」
「…男の子は、やっぱり買い物、苦手なんだよねぇ。
いっしょに回るの、飽きちゃうよねぇ」
「別に苦手じゃないんだけど、女の買い物は
男の買い物と、一緒じゃないからなぁ」
「それじゃ、映画のほうが、いいかな? どうかな?」
天真爛漫な瞳に詰め寄られると困惑してしまう。
まさに自覚が無いとはこのことだ。
「あのさぁ、なんでそんなこと俺に相談するの?
二人のデートなんだから二人で決めればいいじゃん?」
「だって……高野さんとはまだ上手にしゃべれないんだもん。
アキくんはね。
アキくんは頭がいいし、みんなのこと良く見てるし
説明うまいし、昔からの友達だし、わたし、尊敬してるんだ。
アキくんの言う通りにすれば、間違い無いんだもんっ。
ね、ね? どうすればいい?」
無邪気に俺を見上げるその表情。頬が高潮してるのは
高野先輩のためなんだよな。……お人よしな自分にがっくりくる。
もう、人のもんなんだよなぁ。
知恵つけてやるなんて、俺ってバカだよなぁ。
「ね、あきくん? どしたの? 気分悪い? 熱あるの?
オデコこつん、しよぉか?」
「うわぁ。くっつこうとすんなよ。別にわるくないよ、どっこも。
で、なんだって? ああ、そうか。んじゃ、俺が知恵を貸してやるよ」
「わぁい、あきくん大好き!」
「……。えー。高野先輩だろ? 中学の時はサッカー少年だったんだって。
だから、六本木にいってだなぁ……」
俺って惨めなバカだ。救われねぇ。