ため息。
校舎の二階、廊下の窓から眼下を掛ける華奢な黒髪の少女を見下ろす。
「……何ですか、そんなとこから」
「なんでもないよ、会長」
「学校では会長って呼ばないでください。……刀だって持ち歩いてないんだし」
「あのさぁ……」
「なんですか?」
(こいつ、いつからこんなに他人行儀な返事するようになったのかなぁ……
礼儀正しいのは、がきの頃からか……)
「……サト…副会長は元気か?」
「うーん、最近見かけてないけど、元気ですよ。今日も元気に悪即斬。
幼馴染は風紀の乱れ。この学校のそう言うやからは殲滅できたようで、
私もちょっとだけ安心です」
「そうか」
「そうですよ、幼馴染なんて煩いだけだし、周りに変な目で見られるし
文句ばっかり言うし、そのくせへんに縁が出来ちゃうし、
いいことなんか一つもありません。即刻殲滅ですよ」
「あのさぁ……」
「なんですか?」
(それじゃ、俺とおまえって、なんなんだろうなぁ)
「うんにゃ、なんでもねーよ。……おまえ、朝、剣道の稽古してんだろ?
あの掛け声で、俺は毎朝起きてるんだぜ?」
「なっ……」
突然染まる少女の頬。
「がんばれよ、殲滅だか撲滅だかの委員会の仕事」
「さっきのはどう言う意味ですか! 降りてきて説明しなさい」
「おばさんにもよろしくなぁ、んじゃなぁ!」
日常の復讐戦。