幼馴染推奨スレ

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シナリオ風にしてみた。>>580 SS書き氏降臨を!

登場人物 少年:少年漫画  少女:少女漫画 H先輩:半角かな

SE:ミンミンゼミ 風鈴。

夏休みのある日、こんがりと日焼けした水泳部の幼馴染みがやってくる。
隣の家から生垣を乗り越えて来た少女。

少女「う〜す、生きてるか〜?」

畳の上で、少しでも冷たいところを求め移動していた少年。
縁側からこちらを見つめる少女と目が合う。

少年「おまえか〜、何しにきた〜?」
少女「見よ、ばーちゃんから送られたこのスイカを!」
少年「おお〜っ! ないす! ぱちぱち」
少女「つーわけで切ってくれ」
少年「……お前、いくらなんでもスイカぐらいは切れるだろ?」
少女「あたしが切ると、どんなものでも前衛芸術になるんだよな」

仕方なく少年がスイカを切って、ちゃぶ台で食べる二人。

少年「あ〜、しっかし暑いな〜」
少女「プールでも行く? いいかげん泳げるようになりなよ〜」
少年「おめーは毎日泳いでて、よく飽きねーなー」
少女「う〜ん、泳ぐのはともかく、ちょっと焼きたいんだよね。
    ほら競泳用水着だと、お腹のあたり真っ白」

無防備にぺろんとTシャツをめくる少女。

向日葵が咲く庭の向こうに入道雲。
SE:風鈴
暗転

SE:ヒグラシ
夕暮れも迫る縁側。庭の洗濯物を見つめながら…

少女「……あのさ……」
少年「あ〜?」
少女「3年の、H先輩って知ってる?」
少年「知らねー。水泳部の先輩か?」

少年独白(嘘。実は知ってる。全国大会にまでいった、学校の有名人)

少女「あのさ〜、嘘みたいな話なんだけどさ〜」
少年「……」
少女「付き合ってほしい……って言われた……って言ったら、信じる?」
少年「……」

寝転がっている少年。俯いて話す少女の顔が見えない。

少年「……まあ、そういうこともあるかもな」
少女「元気で可愛いって言ってくれてさ……正直、嬉しかった」
少年「そっか……」

声がかすれる。頭の中がぐらぐらする。
沈黙が長い。ぺたぺたと、少女は足の裏で地面を叩く。

少女「……嬉しかったけどさ、先輩だから嬉しかったってわけじゃないんだよね」
少年「……どういうこった?」

半身になって起き上がりかける少年。
SE:風鈴

少女「あたしさ〜、好きだって言われたの、初めてだったんだよね」
少年独白(嘘だ。子供の頃、毎日でも言った。少女は覚えていないのだろうか)

少女「ドキドキしたよ? この人があたしのこと好きなんだって思ったら、
   すごく嬉しかった」
少年「……」
もう少女の独白を聞くしかない少年。

少女「で、先輩がどういう人かって、あたし全然知らないのに気づいた」
  「先輩の目に映ってるあたしだって、あたしの一部なんだって気づいた」
  「結局よく知らないんだなって思って、なんか悲しくなった」

少年は起き上がった。少女の横顔を見つめる。

少年「……断ったのか?」
少女「うん。ちょっとこのあたりが違うかなって」
胸を抑えて話す少女。

少女「やっぱりさ、好きな人とじゃなきゃ、付き合えないよね?」
少年「……好きじゃなかったのか?」
少女「たとえばさ……やっぱりその、比べるとたろーの方が好きだったりするし」
少年「……」
微妙な言い回しに言葉を失う少年。
少女は顔を覆うようにして腕を組み、畳に寝そべる。

少年「……まあ俺だって、お前のことは普通に好きだけどな」
少女「……そうだよね。あたしも普通に好きだしね」
少年「……………昔から、けっこう言ってたしな」
少女「……まあ子供の頃の話だしね」
少年「……子供ってのは良かったよな、素直で」
少女「……今じゃそんなこと言えないよね」
少年「……そうだな」

SE:遠い祭囃子