幼馴染推奨スレ

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「そーかなー」
楽しいと思ったことはあれど、迷惑と思ったことないんだけど。
……と、振り向くと君は肩震わせている。
「かけてるよ! ……こうやって、週末は一緒にゴハン食べたりしてるけど。
 それだけでも、変な噂が流れてるんだよ」
変なって……なんだそりゃ。と、無反応の僕に君は
「……鈍い。鈍すぎる! 君と私が、付き合ってるんじゃないか、っていうの!」
何故か怒った。
「私なんかより、ずーっと特徴のある人がいーっぱい君の周りにはいるんだよ。
 私が近くにいるだけで……その人達とお近付きになる機会を逃してるってこと!」
「…………」
ピンとこなかった。うーむ。字名:ザ・鈍感野郎。なんちゃって。
「だから……さ。これっきりにしようよ。その方が、君のためだよ!
 一度っきりしかないせーしゅんを、こんな幼馴染みのために無駄にすることはナッシング!
 消えろ邪魔者、逝ってよーし! あぼーん!」
僕が振り向いても、その顔は見えない。見えるのは、拳をふりあげてポーズを取る君。
僕は再び、流しの皿に目を移す。そしてスポンジで、マヨネーズととんかつソースの入り混じった皿をこする。
「これっきりって、何を?」
泡まみれになった皿を、ぬるま湯で洗い流す。流れ落ちると同時に、再び君の声。
「お隣さんとか幼馴染みとか、そういうの。だからさ、これからはもっと、お互いに左右されないようにしようよ、って」
「……って言われてもなぁ。僕達、何かお互いに左右されたっけ?」
「小さい頃からずっとそうでしょ。両方両親が、その……」
「あ、いいよ僕の方は」
僕の母親は交通事故で亡くなってる。親父は単身赴任。対する彼女の両親は、海外での仕事が主とかなんとか。
「ん、ぅ。だからその、両方あまりいなかったから、兄妹みたいになっちゃって……」
「うん。お風呂はいつまで一緒だったか忘れちゃったけど」
「…………」
あ、また怒気。