Mac関連ネタをそれはもう凄まじい勢いで翻訳するスレ7

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541名称未設定
Ars Technicaに今回の13" MacBook ProがCore i5を採用しなかった理由の考察が載っていた。
結構面白かったので、翻訳あげときます。
ttp://arstechnica.com/apple/news/2010/04/why-the-13-macbook-pro-didnt-get-a-core-i5-upgrade.ars


Why the 13" MacBook Pro didn't get a Core i5 upgrade
13" MacBook ProがCore i5に移行しなかった理由

Appleのプロライン最小のノートブックのファンは、過日のMacBook Proのアップデートで13"モデルが
Intelの最新CPUアーキテクチュアを搭載しなかったことに落胆した。
シュリンクされた32nmプロセスで製造されたNehalem世代のコアであるCore i3/i5/i7は、Core 2 Duoと
比較して明らかに性能上のアドバンテージを有している。でも13" MacBook ProはCore 2 Duoにとどまった。
で、どうしてAppleはこの13" MacBook ProにArrandaleの恩寵を与えなかったのだろうか?

実はそれにはいくつもの理由があることが判明したのだ。コスト、グラフィック性能、バッテリー性能、
そして物理的な寸法の問題といったことだ。

まず、2008年10月に登場した以前のMacBook Proの基本的なアーキテクチュアに思いを馳せてみよう。
すべてのモデルがCore 2 Duoプロセッサを搭載し、GPUにはチップセット内蔵型のNVIDIA 9400Mと、
15"及び17"モデルはもう一つのディスクリート型GPUを搭載していた。16個のプロセッシングコアを
内蔵した9400Mは、それ以前のMacに採用していたIntel GMA950やX3100のグラフィック性能をはるかに
凌駕していた。9400Mはまた、CUDA互換という利点があった。AppleがMac OS X 10.6でCUDAに似た
仕組みのOpenCLを新たにサポートした今では、なお意義深いことだった。
542名称未設定:2010/04/20(火) 23:51:30 ID:Pok6KuJy0
15"と17"のMacBook Proについては、Appleはそれをやった。この2モデルについてはCore i5/i7と
組み合わされたIntel HM55コントローラーの他に、NVIDIA GeForece GT 330MモバイルGPUを搭載した。
(なぜ新しいMacBook ProがUSB 3.0をサポートしなかったのか知りたい人は、AppleではなくIntelを
責めるべきだ。なぜならこのArrandaleチップセットはUSB 3.0をサポートしていないからだ)

ところが13" MacBook Proについては、Appleは難しい選択を迫られた。13" MacBook Proは
Appleが作る最小の「プロフェッショナル」なポータブルゆえに、軽量かつお手頃価格でなければならない。
それでいて、ユーザーは性能に期待する。CPU性能のみならずGPU性能も。

ここでCore i5を採用するという選択肢もあったかもしれない。でもその場合、Appleがターゲットとしていた
価格帯よりもずっとコストを上げてしまっていただろう。あるいは、Core i5よりは廉価なCore i3を採用する
という選択肢もあったかもしれない。Core i3ではCore i5/i7が有するターボブースト機能は省かれている。
(ターボブースト機能とは、2つのコアのうち1つが休止状態のときにもう1つのコアのクロックスピードを
必要に応じて上げる機能である。複数コアに対応していない/最適化されていない一部のタスクを処理する
には優れた機能である。)それでもCore i3はハイパースレッディング機能を有している。これは1つのコアが
2つのスレッドを同時に処理できる機能で、マルチコア/マルチスレッド対応のタスクを処理する上で
スピードアップになる。その意味でCore i3は13"には最適なように一見思えるが、後述する理由により、
実はそうではなかったのだ。

今回13"に採用した、旧型より高速な2.4GHz/2.66GHzのCore 2 Duoは、旧世代のアーキテクチュアゆえに
Core i3/i5より低価格である。そして我々は、在庫一掃を目論んだIntelがAppleに破格の条件を提示したものと
確信している。AppleによればこれらのCore 2 Duoは比較対象となるCore i3の約90%の性能だということだが、
勿論これは負荷に大きく依存するし、より発熱が大きいという代償もある(Core 2 Duoは45nmプロセスで
32nmプロセスのi3よりもクロック周波数が高い)。
543名称未設定:2010/04/20(火) 23:52:26 ID:Pok6KuJy0
AppleがCore i3/i5と組み合わされるIntel HDグラフィックスにのみ依存しようとした場合、グラフィック
性能は逆に大きく後退してしまっていたであろう。だからこそ15"と17"のMacBook Proにはディスクリート型
GPUを採用せざるを得なかったとも言えるのだ。コストアップという理由の他に、13" MacBook Proの場合
単純にロジックボード上にディスクリート型GPUを搭載するスペースがないというのもある。
以下の写真を比較してほしい。

(写真上:13" MacBook Pro (2009)のロジックボード。写真下:15"と17"のMacBook Pro (2009)の
ロジックボード。IntelのCPUを赤、NVIDIA 9400Mを緑、NVIDIA 9600Mを青で示す)

13" MacBook Proの場合、Core i3とHM55の組み合わせに加えてディスクリート型GPUを搭載する
スペースがないことはコンピュータエンジニアやエレクトリックエンジニアでなくたって理解できる。
ディスクリート型GPUを搭載するためにロジックボードを改良しようとしたら、バッテリーの占有空間を削り
マシンを爆熱から守るための廃熱のパスを追加しなければならなかった可能性もある。そんなことをすれば
バッテリー寿命には二乗で響いていただろう。ディスクリート型GPUが使う電力分に加え、バッテリーの容量が
減るわけだから。そうなるとバッテリー寿命は先代モデルの7時間を維持できればいい方で、新型の公称10時間
には全く届かなかったことだろう。

AppleはIntel HDグラフィックスのみに依存することでグラフィック性能を後退させたくなかったし、
ディスクリート型GPUを詰め込んでバッテリー寿命を短くしたくなかったというのはここまで書いた通りだ。
GPUとコントローラーを一体化したNVIDIA 9400Mこそが、これらの制約から自由になれる唯一の選択肢
だったのだ。残念ながら、IntelとNVIDIA間でのライセンスをめぐる抗争が原因で、Arrandale(あるいは
他のIntel製メモリコントローラー一体のプロセッサでもいいが)ファミリーにはこのような解決策がないのだ。
互いに相手を訴え合っているこの抗争の結末がどうなるかは誰も知らないことであるが、座して和解を
待つほどの余裕はAppleにはないのだ。
544名称未設定:2010/04/20(火) 23:53:14 ID:Pok6KuJy0
Appleにとって幸いなことに、NVIDIAは一体型コントローラーの性能をいくつかアップさせていた。
40nmプロセスへの移行、それの基となるより進化したローエンドコア(GT216)の構築などだ。Appleは
NVIDIAに、9400Mのコントローラーを進化させたバージョンであるGeForce 310Mのバリアントとして
特別に48コアを内蔵したバージョンを製造させた。このGeForce 320Mにより、13" MacBook Proの
グラフィック性能は最大で80%もアップした(NVIDIAの主張によると、16コア版の310MでもIntel HD IGP
より10倍高速ということだ)。同時に、一般的なタスクの実行時で40%もの省電力化も実現した(おそらく
Core 2 Duoにとどまることによる消費電力上のハンデをも上回っているだろう)。加えて、Mac OS Xの
Grand Central DispatchによるGPGPU用途において3倍ものリソースを供給するのだ。

明らかに、Appleは過去のテクノロジーであるCore 2 Duoにとどまることで13" MacBook Proを「放置」
したわけではなかった。Appleの広報がArs Technicaに語ったところによると、13" MacBook Proは
他には類のない、性能・ポータビリティ・より長くなったバッテリー寿命のコンビネーションを
$1200から始まる価格帯で提供し続けたかったとのことだ。より高速になったCore 2 DuoとNVIDIA 320M
の組み合わせがそれを可能にしたのだ。

勿論、他のメーカーの供給するノートで同等の性能を持つもの、同等のポータビリティを持つもの、
(もしかして)同等のバッテリー寿命を持つもの、同等かより安い価格のものをそれぞれ見つけるのは容易だ。
だが、これら4つのすべてにおいて同等のものを持ち、そして(好みにもよるが)同等にスタイリッシュな
ノートを見つけるのは難しいだろう。

スティーブ・ジョブスが最近、顧客へのe-mailで語ったところによると、「我々はごくわずかなCPUの
性能向上よりも、グラフィック性能の向上と10時間のバッテリー寿命を採ることにした。ユーザーの皆さんは
グラフィック性能の向上により、パフォーマンスが大きく進歩したことを実感できるだろう」


おしまい。
545名称未設定:2010/04/20(火) 23:58:40 ID:Pok6KuJy0
あ、すみません。
>>541>>542の間にこれを補ってください。
(本文が長すぎるって怒られて削った分を戻し忘れてましたorz)


ところで、モバイル向けCPUであるArrandaleファミリーを設計する上で、Intelはメモリコントローラー/
PCIeバスコントローラー/内蔵グラフィックプロセッサをCPUの隣の独立したパッケージに収めた。
このことはすなわち、これらのプロセッサは、USBやFireWire I/Oといった古典的なサウスブリッジ機能を
制御するために、能力に劣る電力食いのプロセッサを別個持たなければならないことを意味していた。
そして内蔵のIntel HDグラフィックス以上の仕事をさせようとすると――以前のGMA950やX3100より
かなり進化したとはいえ一部のタスクにおいて未だに9400Mには及ばない――ディスクリート型GPUが
必要なのだ。