Mac関連ネタをそれはもう凄まじい勢いで翻訳するスレ7

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326フグ田@ドテ翻訳
http://www.wired.com/print/gadgets/wireless/magazine/16-02/ff_iphone
語られざるストーリー:どのようにしてiPhoneがワイヤレス産業を吹き飛ばしたのか。
By Fred Vogelstein
2008.01.09

デモはうまくいっていなかった。

まただ。

2006年秋、遅めの朝。ほぼ1年前、スティーブはAppleの約200人のトップエンジ
ニアにiPhoneの制作を命じた。ここにいたっても、Appleの会議室、プロトタイ
プは依然として最悪の状態だった。ただバギーだったのではなく、全力でまっ
たく機能していなかった。かかってきた電話はコンスタントに取りこぼし、フ
ル充電になる前にバッテリーは充電をやめてしまい、データやアプリケーショ
ンはいつも決まって止まって使えなくなってしまった。問題のリストは終わり
がないように見えた。デモが終わると、ジョブズは部屋にいる全員をじっと見
つめこう言った。「我々はまだ製品を持っていない」

その影響はジョブズのいつもの癇癪よりもさらに恐ろしいものだった。このAp
pleの代表がスタッフに怒鳴るのは怖いがいつものことだった。この時の彼が比
較的平穏だったのはさらに恐ろしかった。会議に参加していたある人物はこう
言う。「あの時はAppleで数度目の寒気を覚えたよ」
327フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 12:55:21 ID:2UhF7dQ70
影響は深刻だった。iPhoneはわずか数ヶ月後に予定されていたMacworldの最大
の呼び物になるはずだった。1997年にAppleに復帰してから、Macworldは彼の最
大の製品発表の場としていたし、Appleウォッチャーたちは新しい劇的な発表を
期待していた。ジョブズはすでにLeopard――Apple OSのニューバージョン――
の遅れを認めていた。iPhoneが間に合わなければ、Macworldは失敗に終わり、
批評家が襲いかかり、Appleの株価は傷を負うだろう。

この4.8オンスのガラスとアルミは携帯電話ビジネスを永遠に変えてしまい、キ
ャリアからパワーを奪い、製造者やデベロッパーや消費者にパワーを与える爆
破装置だ。そしてAT&Tはどう考えた? 1年半の秘密会合の後、ジョブズはつい
にテレコムの巨人(当時はCingular)のワイヤレス部門からiPhoneのキャリア
になるための条件を取り付けた。5年間の独占契約と引き換えに、AT&Tストアで
のiPhone売り上げのざっと10%、AppleのiTunes収益のほんのわずか、AT&Tはジ
ョブズに類をみないパワーを与えた。彼はAT&Tを丸め込み、新機能「ビジュア
ルボイスメール」を開発し、時間のかかる店内サインアップシステムを再発明
させるため、数百万ドルと数千人時を支出させた。彼はさらにユニークなレベ
ニューシェア協定を説き伏せ、iPhone顧客のAT&T料金をざっとひとりあたり月
額10ドル獲得した。これらの上に、AppleはiPhoneのデザイン、製造、マーケテ
ィングの全コントロールを保持した。ジョブズは、この固定化したワイヤレス
産業の最大のプレイヤーのひとつからよい取引を絞り出すという、考えられな
いことをなしとげた。いま、最後にしなければならないことは締め切りに間に
合わせることだ。
328フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 12:56:01 ID:2UhF7dQ70
iPhoneのために働いている人々にとって,彼らのキャリアの中で、次の三ヶ月
が最もきつい時間になった。日常的に廊下で罵り合いが勃発した。徹夜のコー
ディングセッションでボロボロになったエンジニアたちは、数日後に再参加す
るためだけに、眠りを取り戻すべく休みをとった。あるプロダクトマネージャ
ーは彼女のオフィスのドアを叩き付けたために、ドアのハンドルが曲がってし
まい、部屋に閉じ込められた。同僚たちは金属バットで強打し、一時間かけて
彼女を救い出した。

しかしMacworldのわずか数週間前、奮闘は終わり、ジョブズはAT&T幹部に見せ
るためのプロトタイプを手にした。2006年12月中旬,彼はワイヤレスのボス、
スタン・シグマンにラスベガスのフォーシーズンズホテルのスイートで面会し、
iPhoneの鮮やかな画面、パワフルなWebブラウザ、魅力のあるインターフェース
を披露した。巨大電話会社に充満している保守的なエンジニアリングの伝統に
どっぷり染まっている口数の少ないテキサス人シグマンは、柄にもなく感情を
むき出しに、iPhoneを「これまで見た中で最良の製品だ」と呼んだ。(これら
の出来事の詳細はある事情通たちによってもたらされた。AppleとAT&Tはこれら
の会合や関係について話そうとしない)
329フグ田:2009/03/14(土) 13:02:41 ID:2UhF7dQ70
連投規制くらったのでつづきはまた。
330フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 13:03:11 ID:2UhF7dQ70
6ヶ月後の2007年7月29日にiPhoneは発売された。当初、アナリストたちは顧客
が2007年の終わりまでに300万台を先を争って買い、史上最速のスマートフォン
の売り上げになるだろうと推測した。これはほぼ間違いなくAppleのもっとも収
益の高い製品だ。Appleは399ドルのiPhone一台の販売ごとに、推測で80ドルの
利益を得る。また、iPhoneの顧客がAT&Tと二年契約をするごとに240ドルを得る。
一方で40%のiPhone購入者はAT&Tの新規顧客で、ニューヨークやサンフランシ
スコのような都会ではAT&TのデータトラフィックはiPhoneによって三倍になっ
た。

しかしAppleやAT&Tの成功と同様に重要なのは、アメリカの110億ドル携帯電話
産業の構造への根本的な影響だ。数十年間、ワイヤレスキャリアは製造メーカ
ーを農奴のように扱ってきた。ネットワークへのアクセスを影響力にして、ど
の電話が製造され、いくらの値段になり、どのような機能が搭載されるのかを
決定してきた。端末は安くて使い捨ての寄せ餌だと見なされており、契約者を
罠にかけキャリアの独占サービスを使うよう閉じ込めるために大量の奨励金が
つけられる。だが、iPhoneがこのパワーバランスをひっくり返した。たとえ高
価であっても、正しい携帯電話は顧客を獲得し、収益をあげることができると
キャリアは学びつつある。現在、Appleのような契約に追従して、すべての製造
メーカーがキャリアに認められる携帯電話ではなく、顧客に愛される携帯電話
を創りだそうと競っている。Piper Jaffrayの証券アナリストマイケル・オルソ
ンはこう語る。「iPhoneはすでにキャリアと製造メーカーの行動を変えている」
331フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 13:04:12 ID:2UhF7dQ70
2002年、最初のiPodが発売されて少し後、ジョブズは携帯電話の開発を考え始
めた。彼はアメリカ人たちが別々に携帯電話、ブラックベリーを、そして今や
MP3プレイヤーを苦労して運んでいるのに気づいた。消費者がただひとつのデバ
イスを望むのは自然なことだった。さらに、携帯電話や携帯Eメールデバイスが
さらに多くの機能を抱え込み、ついには音楽プレイヤーとしてのiPodの支配的
地位に挑むようになる将来が見えた。ジョブズは、彼の新しい製品ラインを守
るために、いつかワイヤレスの世界へ挑戦しなければならなくなると理解して
いた。

アイデアがはっきりしているのならば、問題も明らかだ。データネットワーク
は遅く、完全な携帯インターネットデバイスには不十分だった。iPhoneのため
にAppleは完全に新しいOSを創らなければならなかった。iPodのOSは複雑なネッ
トワークやグラフィックを扱うのに十分ではなかったし、OS Xのスケールダウ
ン版では携帯電話のチップには大きすぎた。Appleは強力な競合にも直面するだ
ろうとおもわれた。2003年、携帯電話とPDAとブラックベリーをひとつのおしゃ
れなパッケージにまとめあげたPalm Treo 600に消費者は群がった。この事実は
いわゆる統合デバイスに需要があることを証明し、一方でAppleのエンジニアに
とってはハードルをあげることにもなった。

そしてワイヤレスキャリアだ。ジョブズはキャリアたちが何を製造し、どのよ
うに製造するかを決定し、ハードウェアをユーザーがネットワークに接続する
ためのただの乗り物のように扱うことを理解していた。コントロールフリーク
として知られるジョブズは,連中に――のちにジョブズが「穴」とよぶ連中―
―どうデザインするかを命令させたりはしなかった。
332フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 13:05:31 ID:2UhF7dQ70
2004年までにAppleのiPodビジネスはかつてないほどより重要かつ攻撃されやす
くなっていた。iPodは同社の収益の16%を占めるが、3G携帯電話が人気を獲得
し、WIFI電話が登場間近で、ストレージの価格が急落し、競合音楽ストアが増
殖する中で、支配的音楽デバイスとしての長期的ポジションは危険にさらされ
ているように見えた。

だからこそあの夏、公式にはAppleフォンを否定する一方で、ジョブズは携帯電
話産業への参入に取り組んでいた。キャリアを出し抜くために彼はMotorolaに
近づいた。簡単な問題に見えた。この端末メーカーは広く人気を得たRAZRをす
でに発売していて、ジョブズはMotorolaの当時のCEO、エド・ザンダーをSun M
icrosystems時代から知っていた。取引の結果、MotorolaとキャリアであるCin
gularが複雑なハードウェアのディティールについて議論している間に、Apple
は音楽ソフトウェアに集中できることになった。

もちろんジョブズの考えではMotorolaはRAZRに値する後継機を製造すると見込
んでいたが、すぐにそうではないことが明らかになった。三社はほとんどあら
ゆることについて政治的取引を行った――どうやって音楽をその携帯電話に入
れるのか、どれだけの音楽が保存できるのか、そして各社の名前がどのように
表示されるのかについてさえ。そして2004年の終わりに最初のプロトタイプが
現れた時、もうひとつ問題があった。そのガジェットは醜かったのだ。
333フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 13:06:28 ID:2UhF7dQ70
2005年9月、ジョブズは彼独特の自信を持って、ROKRを発表し、こう表現した。
「あなたの携帯電話の中のiPod Shuffle」しかしジョブズは彼の手にしている
ものが失敗作だと知っていたに違いない。消費者はROKRを嫌った。ROKR――直
接音楽をダウンロードできず、たったの100曲しか保存できなかった――はすぐ
にアメリカのワイヤレス産業のすべての問題点の象徴になった。消費者のこと
を後回しにする人々の、利害の衝突と混乱の落とし子だった。Wiredは2005年1
1月号の表紙でこの失望を要約した。「これが未来の電話だっていうのか!?」


ROKRが製造ラインに入りつつあったにもかかわらず、ジョブズは彼自身の電話
を作り上げる必要があると認識し始めていた。2005年2月に彼はMotorola抜きの
パートナーシップについて話し合うためにCingularと会談した。ミッドタウン
のマンハッタンホテルで行われたトップシークレットの会合で、シグマンを含
むCingularの一握りの上級幹部に彼の計画を説明した(2006年12月にAT&TがCi
ngularを買収した際、シグマンはワイヤレス事業のトップにとどまった)。ジ
ョブズはCingularに3つのメッセージを伝えた――Appleは「他のあらゆるもの
より数光年先をいった」本当に革命的ななにかを作り上げるテクノロジーを持
っている。Appleは取引を成立させるために独占協定も考慮に入れていた。しか
しAppleはワイヤレス通信の卸売りを買って、現実のキャリアそのものになる覚
悟もしていた。
334フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 13:14:57 ID:2UhF7dQ70
ジョブズの自信には理由があった。Appleのハードウェアエンジニアは約一年を
費やしてタブレットPCのためのタッチスクリーンテクノロジーを研究しており、
電話にも似たようなインターフェースを実現できるとジョブズに確信させた。
加えて、ARM11チップのリリースのおかげで、携帯電話はついに、電話と、コン
ピュータと、iPodの機能をまとめたデバイスを動作させるのに十分なほど速く、
高効率になった。また、ワイヤレス通信はAppleが消費者に再販売するのに十分
なほど安くなった。Virginのような企業がすでにそうしているように。

シグマンと彼のチームはすぐにiPhoneのアイデアに魅了された。他のキャリア
と同様に、Cingularの戦略は消費者にWebアクセスのためにもっともっと携帯電
話を使うよう要求することだった。音声ビジネスは色あせつつあった。価格戦
争が利ざやを大幅に削減してしまっていた。約束されたように、iPhoneが音楽
やビデオをダウンロードでき、WiFiの速度でインターネットをサーフィンでき
るのなら、データ通信の顧客を大きく増やすことができる。そしてデータ通信
は音声と違って利幅が大きかった。
335フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 13:15:53 ID:2UhF7dQ70
それ以上に、Cingularのチームはワイヤレスビジネスモデルは変わらなければ
ならないと認識することができた。キャリアたちはネットワークを貴重なリソ
ースとして、端末を価値のないコモディティとして扱うことにすでに慣れてい
た。この戦略はよく機能した。安い電話の購入に奨励金を支払うことで、キャ
リアは新しい顧客により容易に加入させることができた――顧客を確かな収入
を保証する長期契約に縛り付けることができた。しかし、ワイヤレスアクセス
はもはや贅沢品ではなく、すでに必需品になっていた。キャリアにとって最大
の課題は新規顧客を見つけることではなく、他社から奪うことだった。単純に
安い端末で顧客を買収する方法はもはやうまくいかなかった。シグマンと彼の
チームは他のどのネットワークにも用意されていない、マスト・ハブ・デバイ
スを提供したかった。ジョブズ以上にだれがいい製品をつくりだせる?

Cingularにとって、Appleの野心は興味をそそると同時にイライラさせるものだ
った。iPodのメーカーとの心の通い合う関係は、会社のブランドにセックス・
アピールをもたらすだろう。そしてもしCingularがジョブズを退ければ、他の
キャリアが彼と契約するに違いない――ジョブズは彼のアイデアをきいてくれ
るなら誰でもいいと明確にしていた。だが、どんなキャリアもかつて、誰にも、
ジョブズが望んだ自由とコントロールを与えたことはなかったし、シグマンは
彼の同僚幹部や役員たちにジョブズが提案したような取引を認めるよう説得す
るのは困難だろうと理解していた。
336名称未設定:2009/03/14(土) 14:01:58 ID:U+rK64MPi
連投規制
337フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 15:49:28 ID:2UhF7dQ70
シグマンは正しかった。交渉は一年以上かかり、シグマンと彼のチームは何度
も多くを与えすぎているのではないかと疑問を感じた。ある時点で、ジョブズ
はVerizonの幹部たちと会ったが、彼らはすぐにジョブズを拒否した。彼らを非
難するのは難しい。何年もの間、キャリアたちは顧客と納入業者に彼らの独占
ネットワークを通してサービスを使い、販売するように仕向けていた。巨大な
コントロールをジョブズに明け渡すことで、Cingularは自慢の――そして高価
な――ネットワークを「土管(dumb pipe)」、コンテンツのソースではなくた
だのコンテンツの水道にしてしまう危険を負った。シグマンのチームはシンプ
ルな賭けをした。コンテンツ取引で失うどのような収益よりも、iPhoneはデー
タトラフィックの急増をもたらすだろう。

ジョブズは取引のよりよい点を待ったりはしなかった。2005年の感謝祭の頃、
最終合意にサインされる8ヶ月前、彼はエンジニアたちにフルスピードで働くよ
う命じた。そしてたとえCingularとの交渉が困難だったとしても、Appleが直面
していたエンジニアリングやデザインの困難に比べればシンプルだった。まず
最初にどのOSを使用するかという疑問があった。2002年以後、Appleフォンのア
イデアが最初に孵化した時、今や理論的にモバイルチップは有名なMacintosh
OSのいくつかのバージョンをサポートすることができる能力を獲得していた。
しかし劇的なストリップダウンと書き換えが必要だった。iPhone OSはたったの
数百メガバイト、ざっとOS Xの10分の1に納まる必要があった。
338フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 15:50:29 ID:2UhF7dQ70
iPhoneの設計を始める前に、ジョブズと首席幹部たちはどのようにこの問題を
解決するのか決定しなければならなかった。エンジニアたちはすでに携帯電話
での使用のために書き直されているLinuxを注意深く検討した。しかし、ジョブ
ズは他人のソフトウェアを使うことを拒否した。彼らは電話のプロトタイプを
iPod内に構築した。クリックホイールでダイヤルできたが、選択して数字をダ
イヤルすることしかできなかった――ネットをサーフィンすることはできなか
った。そして2006年の初頭、AppleのエンジニアたちはOS XをIntelチップ用に
改訂する数年間の作業を終えつつあったが、AppleはOS XのiPhoneのための書き
換え作業を始めた。

どのOSを使用するかについての話し合いは、Appleの首席幹部全員のうちの少な
くとも一人にとってはありふれたものだった。彼らは携帯電話の世界の込み入
ったことについて議論するにはあまり準備ができていなかった。たとえば、ア
ンテナの設計、高周波、そしてネットワークのシミュレーションだ。iPhoneの
小さなアンテナが十分に、たしかに機能するようにするため、Appleは数百万ド
ルを投じてロボットを使用した特別なテストルームを購入し設置した。iPhone
が必要以上の放射を生まないために、Appleは人の頭部のモデルをつくり――ネ
バネバを使って脳の密度をシミュレートした――効果を測定した。ネットワー
ク上でのiPhoneのパフォーマンスを予測するため、Appleのエンジニアはサーバ
ーサイズで一台あたり数百万ドルの無線周波数シミュレータを十数台購入した。
ジョブズはプロトタイプをポケットに入れて持ち運んでいる際に、iPodの画面
を設計した経験でさえ、iPhoneの画面の設計には役に立たないことがわかった。
傷を最小化するために、タッチスクリーンはiPodのように硬化プラスチック製
ではなく、ガラス製である必要があった。ある消息通によればAppleはざっと1
5億ドルをiPhoneのために費やしたとみられる。
339フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 15:51:25 ID:2UhF7dQ70
すべての期間、ジョブズは最高の機密性を維持した。内部ではプロジェクトは
Purple 2を略してP2と呼ばれた(廃棄されたiPodフォンがPurple 1と呼ばれた)。
チームはカリフォルニア、クパチーノのAppleキャンパス中に分断さればらまか
れた。Appleの幹部がCingularに行く時はいつも、Appleがこの電話のトランス
ミッタをつくるのに使っていた企業、Infineonの社員として登録した。iPhone
のハードウェアチームとソフトウェアチームでさえ離されていた。ハードウェ
アエンジニアは偽のソフトウェアを載せて回路を設計し、ソフトウェアエンジ
ニアは木の箱に載った基盤を使って開発した。2007年1月のMacworldでジョブズ
がiPhoneを発表した時、プロジェクトに関わっていた30人程度の上級幹部しか
現物を見たことはなかった。

ホサナ(訳注:神を賛美する言葉)、iPhoneはあまりに圧倒的で、その不完全
さを無視してしまいがちだ。599ドルという最初の値段は高すぎた(その後399
ドルに値下げされた)。こ0の電話はAT&TのしょぼいEDGEネットワークを使用し
ている。ユーザーはEメールをサーチできず、ビデオ録画もできない。ブラウザ
はJavaやFlashを使用できない。

だがそんなことは問題ではない。iPhoneはワイヤレス産業のキャリア中心の構
造をこじ開け、消費者、デベロッパー、製造メーカー――そしてあるいはキャ
リア自身にも――巨大な恩恵を解き放った。消費者は使いやすい携帯型コンピ
ュータを手に入れる。そしてPCの登場と同様に、iPhoneは開発の波の火付け役
となりつつあり、それによってiPhoneはさらにパワフルになるだろう。2月には
ジョブズはiPhoneのためにプログラムを書ける人になら誰にでも開発キットを
解放する。
340フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 15:52:08 ID:2UhF7dQ70
その一方で製造メーカーは数十年に渡ってビジネスをしてきたキャリアたちに
対して新しい交渉力を享受している。AT&Tによって顧客基盤を奪われたキャリ
アたちは先を争って競争力のあるデバイスを探しており、そのためにはいくら
かの権限を受け渡す意思があるようだ。製造メーカーは何を製造するかについ
てより強いコントロールを得ることになるだろう。ユーザー――よくあるひと
りよがりの怪物たちではない――はなにがつくられるかにより強い影響力を得
るだろう。ワイヤレスキャリアが消費者の囲い込み戦略を捨て去るサインを示
し始めていることから、アプリケーション開発者はさらなるチャンスを得るべ
く身構えている。T-MobileとSprintは、インディペンデントな開発者にとって
携帯アプリの開発が容易なOS、GoogleのAndroidのパートナーとしてサインした。
最も頑固なキャリアのひとつ、Verizonは11月にあらゆる互換性のある端末に対
してネットワークを解放すると宣言した。数日後にAT&Tも似た発表をした。最
終的にこの傾向はアプリケーションがどのデバイスでも、どのネットワークで
も動作するという、完全に新しいワイヤレスエクスペリエンスをもたらすだろ
う。やがては、ワイヤレスの世界もすこしインターネットの柔軟さと機能性を
得るだろう。
341フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 15:53:11 ID:2UhF7dQ70
ワイヤレスネットワークを土管に変えてしまう一方で、消費者、開発者、製造
メーカーにすべての力を与えてしまうというキャリアにとっての悪夢が現実の
ものとなったように見えるかもしれない。しかしさらなるイノベーションを育
てることで、キャリアのネットワークはより価値を得られるかもしれないが、
減ることはない。消費者はより多くの時間をデバイス上で、つまりはネットワ
ーク上で、消費し、より多くの請求書をため込み、全員にとってより多くの収
入を生み出している。AT&Tのマーケティング部長ポール・ロスによればAT&Tは
iPhoneの性能を引き出すような新しい製品やサービス――モバイルバンキング
のような――を探している。「市場を新しい視線で考えている」とロスはいう。
言い換えれば、ワイヤレスキャリアが長い間恐れていた、開発そのものこそが
彼らの必要としていたものだと証明されるのかもしれない。彼らはスティーブ
・ジョブズに示されるまでそれがわからなかったのだ。
342フグ田@ドテ翻訳:2009/03/14(土) 15:54:23 ID:2UhF7dQ70
以上。age