908 :
名称未設定:
iPod classicスレで宣言したので。
ttp://homepage.mac.com/marc.heijligers/audio/ipod/comparison/measurements/measurements.html iPod Classicのオーディオ特性の測定
はじめに
iPod Classicに対する私の第一印象(Apple Discussions Forumの私の投稿を参照されたし)は、6Gは正確で
きびきびした音だが、広がり感に欠け、音が人工的に曇った感じがするというものだった。最初は、これは
「クリーンな」方向の進歩のように思えるかもしれないが、注意深くそして長時間聴いていると、なんだか
聴き疲れする音なのだ。私はハイ上がり特性があるのではないかと疑った。5Gの音は6Gほど正確ではないように
感じるが、その音色はよりハーモニー豊かであり、人工的な感じはしない。私にとっては、実際に生の音楽を
聴いているときの感じにより近いのは5Gであり、全体としてより優れた音質のデバイスであると感じるのだ。
とはいえ、6Gが酷い音質のデバイスであると言うつもりはない。5Gにわずかに劣るだけだ。
新しいiPodで感じることを明らかにするため、6Gのオーディオ特性を調べ、5Gと比較した。測定してわかったことは、
iPod Classic (6G)は実際にハイ上がりであり、時間軸のレスポンスは不正確だ。この問題はファームウェア・
アップデートで解消できるのではないかと私は考えている。
測定方法
iPodの測定にはFuzzmeasureを用いた。1秒間のスイープトーンを入れたサウンドファイル(圧縮アルゴリズムを
避けるためにAIFF方式とした)を作成した。iPodはPowerMacのライン入力に接続し、QuickTimeを用いてスイープ
トーンの再生音を録音した。生成されたファイルはフィールドレコーディングのオプションを用いてFuzzmeasureに
インポートし、インパルス応答を得た。これを用いて解析を行った。
あらかじめお断りしておくが、この方法はプロの測定方法ではない。だから、絶対的な意味においては実際とはずれが
あるかもしれない。とはいえ、両者の違いを見るという意味ではこの方法でも十分に有効である。というのも
測定結果は両検体とも全く同じだったからだ。
909 :
名称未設定:2007/09/14(金) 21:21:09 ID:rhpp9CQp0
どの測定においても、グラフの赤い線がiPod Classicの特性曲線、青い線が5Gの特性曲線である。
周波数特性
ヘッドフォン出力の周波数特性を測定したところ、iPod Classicでは明らかに高域が約0.1dB上がっており、一方5Gは
若干高域が減衰している。低域が減衰しているのは測定方法に起因するものだろう。比較しやすくするために、1kHzを
基準として両者のカーブの高さを揃えた。iPod ClassicのEUボリューム制限を使用すると十分に大きな音が出ないためだ。
(1つ目のグラフ)
問題なのはコーデックであり、ヘッドフォンの出力回路にあるわけでないことは確かだ。iPod Dockを用いてライン
アウトの比較も行った(カーブの高さは合わせていない。出力特性がほとんど同じだからだ)。5Gの出力が0.5dBほど
大きいことを除けば、どちらも同じようなカーブになっているのが読み取れるだろう(すなわち、問題はコーデックで
あろうというヒントが得られる)。
(2つ目のグラフ)
ヘッドフォンスプリッタをなくしてしまったので、ヘッドフォン接続時の特性を測定することはできなかった。後ほど
追加するかもしれないが。
オーディオの世界では、高域が若干減衰することは聴感上好ましいこととされ、ハイ上がりの特性はハーモニーに乏しい・
分析的・金属的とされるのが通例である。0.1dBというのはわずかなものに感じるかもしれないが、広帯域(6kHz-20kHz)
にわたる上昇は、はっきりと聴感上でもわかるものだ。もっと重要なのは、この原因が何かが分かるということなのだ。
周波数特性は単に空間的な広がりを示す指標でしかなく、時間軸の指標ではないのだ。そこで私は、インパルス応答と
ステップ応答についても調べた。
910 :
名称未設定:2007/09/14(金) 21:21:58 ID:rhpp9CQp0
インパルス応答
5Gのインパルス応答波形はだいたい期待通りのものである。
(3つ目のグラフ)
iPod Classic のインパルス応答はひどいものだ。(出力の軸の位置は5Gとはずれている)
(4つ目のグラフ)
異なる周波数のグループディレイが間違った位置に来ている。より一般的な言い方をすれば、低域・中域・高域が
同時に到着しなければいけないのにずれている。位相応答の差から、このことは明らかである(測定方法の限界から
両者の位相特性の軸を合わせることはできなかった)。カーブの傾斜からディレイが現れていることがわかる。負の
傾斜があるということはよりディレイが大きいということになる。
(5つ目のグラフ)
iPod Classic が空間的広がりに欠け、特定の音色が欠けている理由はここから説明できる。Cirrus Logicのコーデックには
深刻な問題があるのだ。このインパルス応答の結果が信じられなかったので、別のファイル(スイープトーンを長くして、
前後の信号レベルをより無音に近くしたもの)でも試してみた。だが結果はほぼ同じだった。そして、ラインアウトに
ついても結果は同じだったのである。
この位相応答についてもう一つ重要な結果がある。完全な線系では、振幅と位相は関連のあるものである。すなわち、
ヒルベルト変換を用いて振幅から位相が得られるのである。測定した位相と計算で得られた最小位相を比較すると、
以下の違いが見られる。
(6つ目のグラフ)
ここでは基本的に、位相歪みは非線形のものであり、一般的には劇的な聴覚的効果が得られるものである。
911 :
名称未設定:2007/09/14(金) 21:22:46 ID:rhpp9CQp0
ステップ応答
(5Gの)Wolfson DACのステップ応答は夢のように理想的な形である。
(7つ目のグラフ)
Classicの方のステップ応答(出力が逆位相になっている)には前述の時間軸の問題が現れている。高域が他の信号より
早く到着するのだ。
リンク
(訳すほどのものでもないので省略)
結論
これらの測定結果から、Cirrus LogicのオーディオICはWolfsonのオーディオICより以下の点で劣る。
- 高域が約0.1dB上がっている。
- このコーデックでは非線形のグループディレイが出ている。
- 非線形の特性により、位相ずれが生じている。
5Gと6Gの聴感上の違いは有意なものである。iPod Classicの音質を本来あるべきレベルに戻すには、ファームウェアの
修正が絶対に必要である。(ほとんどのコーデックはプログラマブルな領域にあるのだから)
912 :
名称未設定:2007/09/14(金) 21:23:36 ID:rhpp9CQp0