6月14日付けのWall Street Journalにジョブズの短いインタビューが載ってます。
http://online.wsj.com/article/0,,SB108716565680435835,00.html インタビュア『あなたは合法的音楽ダウンロードのリーダーです。現在の状況について教えてください。』
禿『我々は合法的音楽ダウンロードの70%の市場シェアを持っている。これは素晴らしいことだ。
さてこの業界全てについて見てみよう。合法的音楽ダウンロード業界全てについてだ。
我々は1年前に全くのゼロから現在アメリカで合法的に販売されている音楽の2%を占めるまでに至った。
2%はそんなに大きな数字ではないかもしれない。しかしこれがたった1年で成し遂げられたことを考え、
さらにその通った道について見てみてほしい。そうすれば例えば次の24ヶ月のうちに5%を突破するだろう
という予測もあながち説得力がないとは言えないだろう。多分もっと短い期間だろうけどね。』
イ『でも非合法ダウンロードは合法側よりもまだ大きいんですよね?』
禿『あぁ、大きい。それは我々が本気で競争している相手だ。我々は本気で著作権侵害と戦っている。』
イ『レコードレーベルについても少し話しましょう。1年間かけてあなたはまだ2%のシェアしか獲得
していません。そして世界にはまだ夥しい数の非合法ファイルが流れています。そこでレコード会社は
シングルの値段を上げようと考えだしています。もし彼らがあなたに”新曲のシングルは$1.29にすべきだ。
99セントではだめだ。”と言い出したらどうしますか?』
禿『そうだな。ちょうど最近我々はレコード会社との契約を更新したばかりだ。そして我々は彼らに
かなり強く我々の意見を伝えた。”消費者は1曲あたり99セント以上は支払わないと思いますよ。”と。
それに彼らが曲をCDで売るよりも我々が99セントで売る方がレコード会社に入る金額は大きいという
ことが判明している。
iTunesの曲の値段は上がらない。これについては断言できる。』
イ『Appleはこれからも主としてコンピューターを製造販売する会社としてあり続けるのでしょうか?
それとも我々はこの会社の本質が変化しだしているのを見ているところなのでしょうか?』
禿『ふむ。明らかに我々は新しい事をしている。つまり、iPodが何も無い所から年に数十億ドルの
ビジネスに2年間で成長したということだ。しかしAppleの芯を見るとAppleの偉大な所はクールな
技術を素晴らしく使いやすいように発明するやり方を知っているということだ。それこそが我々が
常日頃やっていることだ。以前はそれはMacだった。今は他の多くの事をやっている。』
イ『Macの市場シェアは上昇しているようには見えませんね。5%以下です。しかしiPodについては
一桁台のシェアなんてものではありませんね。』
禿『その通り』
イ『ということは、それはこの会社が咲き誇ることの無かったコンピューターではなく
何か他のデジタルデバイスを作って成長して行くということの予言でしょうか?』
禿『時が来ればわかる。我々は自分自身が発明したり内部のコアテクノロジーをコントロールしたり
できない限りその分野に傾注したいとは思わない。そして我々が思うにコンシューマーデバイスの
コアテクノロジーはますますソフトウェアになって来ている。まるで箱に入ったソフトウェアのよう
になって来ている。昔ながらのコンシューマーエレクトロニクス会社の多くはまだソフトウェアとは
何かという事を分かっていない。』
イ『つまりそれはあなたは今までにも他の製品についても興味を持っていたと言う事ですか?』
禿『我々は様々な製品を見ている。そして私は今までに作り上げた製品と同様送り出さなかった製品についても誇りを持っている。』
250 :
すぐ楽しい:04/06/14 23:28 ID:NtxlMnGs
すみません。始めてみると意外と長くて時間をとってしまいました。
残りの半分強は明日まで御待ちください。
興味深く読ませていただいてます!
乙!!
乙です。なんで海外のインタビュアってこんなに挑発的なんだろ。
漏れたちが日本の生温い報道に慣れてるからでないかと(w。
すぐさんおつです。
すごい乙 >> すぐ楽しい
>>252 アップルの社長に訊いても大した情報は得られないしなぁ。
すぐ楽しいさん、いつも乙です。楽しみにしてます。
おまたせ。続きです。
イ『製品化しなかったもので一番気に入っているのは何ですか?』
禿『PDAだ。我々はPDAを作れという巨大なプレッシャーを感じていた。
そこでPDAを調べてみてこう言った、”ちょっと待ってくれ。この手のモノを使っている人の90%は
ただ外から情報が欲しいだけじゃないか。彼らは自分で定期的に情報を入力したいわけでもないし
必要でもない。それなら携帯電話でもできるんじゃないか?”
だからPDA市場に打って出るということは携帯電話市場に行くと言うことだ。
そしてご存知の通り我々は企業相手に物を売るのは上手ではない。
フォーチュン500だけでも500ものCIOという名の穴があるんだからね。
だからそこに打って出るのはあまり得策ではないと考えた。』
イ『Macの市場シェアがはっきりと上昇する見込みは何かあるんですか?』
禿『そうだな、我々は2500万人の顧客を抱えている。それにリテールストアも持っていて
今や10億ドル以上を売り上げていて、多くの新しい顧客を引きつけている。リテールストア
でMacを購入する顧客の半分以上は新しい顧客だ。そこで私が思うに我々はとても健康的な
顧客層を持っている。我々は彼らを愛している。そして我々は新しい製品で彼らを喜ばしたい
と思っている。これはとても健康的なビジネスだ。それに成長している。』
イ『”デジタルハブ”としてのコンピューターについてお話しましょう。
あなたはまだMacやPCがデジタルワールドの中心になるというアイデアを持っていますか?』
禿『あぁ。そうだな、君が5000枚のデジタル画像を持っていたらどこにしまう?
安全のためには携帯電話にしまったりはしないだろう?』
イ『ハードディスクが小さくなればいずれ電話やデジカメに収めることができるようになるでしょう。
そうなれば状況は変わりませんか?』
禿『写真をカメラや電話だけに入れておきたいとは思わないはずだ。
もしそれを無くしたら大変なことになるじゃないか。』
イ『ポータブルビデオについてはいかがですか?』
禿『そういったポータブルデバイスでビデオを見たいと言う人々の市場があるとは思えない。
ビデオを見れるようにするために他の会社はiPodよりも2倍も重く2倍も大きい製品を作っている。
そんなのじゃあポケットに入らないじゃないか。それにiPodの2倍も高価だ。』
イ『長年の間、あなたは低価格PC市場に参入しないことで批判を受けていましたね。
iPodがあなたの$400コンピューターなのでしょうか?』
禿『その通り。これが我々のアプローチだ。我々がかつて言ったように我々はPDAではなく
iPodに注力する。そしてそれは$400コンピューターによく似ている。
そしてその出荷数はなかなか良い。なかなかね。
しかし我々はそれをもっと安価にしたいと思っている。つまり、我々はiPodが$300から
$400もするのには満足していない、さらに価格を下げたいし、そうなるように頑張っている。』
イ『多くの曲が今の所iPodでは聴けないフォーマットでしか入手できませんよね?』
禿『どういうことだい?』
イ『Windows Media Formatのことです。あなたがビルゲイツとの間に宗教戦争をしてるからって
どうして消費者が自分のデバイスに制限されないといけないのですか?
あなたは消費者の選択に反対しているんですか?』
禿『ノー。今、我々は我々のエネルギーをミュージックストアやiPodをより良くする方へ
向けるために70%のシェアのフォーマットにつぎ込むか、30%かそれ以下のシェアしかない
Windows Mediaでも聴けるようにいくらかのエネルギーを割いて革新を止めて後ろ向きに
進むかの選択を迫られている。そして我々は今の所は70%のフォーマットで行こうと決めた。
我々は自分自身でコントロールできないテクノロジーでは革新を行う事は不可能だと信じている。』
イ『Windows Mediaが50%を占めるようになったらどうします?』
禿『そうだな、その時はまたインタビューに来てくれたまえ。』
イ『経済一般を見渡した時、テクノロジー業界は完全に回復したとお考えですか?
前回ブームの時のように戻るでしょうか?今は経済周期のどのあたりにいるとお考えですか?』
禿『Appleは直近四半期に30%成長した。3四半期連続の成長だ。そして今のこの四半期にも
成長を続けられると思っている。だから我々がどう思おうが状況は明らかに上向いている。
コンピューター業界も音楽業界も。』
イ『昨年あなたはクリエイティブ業界の人々とテクノロジー業界の人々の性格の違いについて
仰られましたね。一年が経ってみて、彼らの間に何らかの交流は見られるでしょうか?
双方の文化が一緒になるような何かは?』
禿『まぁ少しはね。しかしゆっくりしたものだ。なぜなら彼らはお互いに全く理解していないからね。
ハリウッドスタジオの首脳たちは何人かの人を著作権侵害について語ってもらおうと招いた、
(原註:MicrosoftのCEOの)スティーブバルマー、(原註:HPのCEOの)カーリーフィオリーナ、
この私、その他の人々。これから先どうなるのか、どうしたら良いのかを知るためにね。
こういう事が行われるのは素晴らしいことだ、しかしまだまだ大きな隔たりがある。』
イ『双方の態度の問題でしょうか?』
禿『ノー。態度の問題ではないように思う。これは単なる経験の問題なんだ。
つまり、テクノロジー業界の人々はクリエイティブなプロセス、どのようにして製品を作り出すか
という過程を理解していない。それがどんなに難しいことかということに敬意を持っていないんだ。
そしてクリエイティブ側もテクノロジー業界がいかにクリエイティブかということが分からない。
単に金を出せば買えるものだとしか思っていないんだ。このようにこの双方の間には理解の裂け目
(訳注:バカの壁みたいなものか?)があるんだ。
映画について面白いことは、映画は音楽とは以前はまったく違うものだった。
我々がiTunes Music Storeを始めた時、音楽を聴くためにはたった2つの方法しかなかった。
1つはラジオで聴く。もう1つは店に行ってCDを買うことしかね。
映画を見る方法がどれだけあるかを考えてみてくれたまえ。映画館に行って10ドルを支払ってもいい。
20ドルでDVDを買う事もできる。1ドルか2ドルを払ってNetflixからDVDをレンタルして家まで
配達してもらうことも可能だ。もちろんBlockbusterまで言ってDVDをレンタルして帰ることもできる。
pay-per-viewでDVDを見る事もあるだろう。少し待てばケーブルTVで見る事もできる。もっと待てば
無料でTVで見る事もできるだろう。飛行機の中で見る事もあるだろう。映画を見る方法はたくさん
あるんだ。それに大抵は1、2ドルしかかからない。
いくらお気に入りの映画だからって一生に何千回も見たいとは思わない。まあ一生に5回ぐらいかな。
しかしお気に入りの曲は一生に千回でも聴きたいと思う。
このように映画業界は音楽業界に比べてずっと成熟した配給戦略を取っている。全く異なる状況にある。
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すぐ楽しい:04/06/15 22:02 ID:CWzfIoz7
さらに言えば、人々は音楽のクオリティに比べてずっと映像のクオリティを気にする。
CDフォーマットの次に来たのはなんだったかな?MP3だ。クオリティとしてはより低い。
しかし音楽をインターネットで送信するのに便利なようにできている。
他のフォーマットではこうはいかなかった。
しかし。映像に関してはこうはいかない。DVDのクオリティに慣れてしまったら、
いくらインターネットで速く送れるからってVHSのクオリティに戻ろうと思うかい?
そんなことは起こらない。しかし大抵のブロードバンド接続でもDVDクオリティの映画を送ろうと
思うと何時間もかかる。
このようにハリウッドを脅かしているモノと音楽業界を脅かしているモノは全く別ものだ。
実際の所インタネットは全くハリウッドの脅威になっていない。一番の脅威はDVDバーナーだ。
インターネットはそれほど大きな脅威ではないだろう。』
おしまい。